JP2623704B2 - セメント系基材の塗装方法 - Google Patents

セメント系基材の塗装方法

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JP2623704B2
JP2623704B2 JP63150243A JP15024388A JP2623704B2 JP 2623704 B2 JP2623704 B2 JP 2623704B2 JP 63150243 A JP63150243 A JP 63150243A JP 15024388 A JP15024388 A JP 15024388A JP 2623704 B2 JP2623704 B2 JP 2623704B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、セメント系基材の塗装方法に関するもので
あり、更に詳しくは、セメント系基材に直接、あるいは
予め下塗り塗料が塗装されたセメント系基材に加水分解
性シリル基を含有するビニル系重合体と加水分解性シリ
ル基を含有しないフルオロオレフィン系重合体の両方を
必須成分として含んで成る溶液型塗料を上塗り塗料とし
て塗装することにより、極めて耐久性に優れた塗膜を形
成させることができる新規な塗装方法に関するものであ
る。
(従来技術とその問題点) コンクリート、石綿スレート、モルタル、ALC板、ケ
イ酸カルシウム系材料、石膏・スラグ系材料の如きセメ
ント系材料は建築、建材用途に広く使用されており、美
粧性付与や耐久性向上の目的で、その表面に中間層を介
してアクリルウレタン系塗料、アクリルメラミン系塗料
の如き架橋タイプの塗料が塗装されてきた。しかし、か
かる塗料は耐候性が不充分なために比較的短期間で光沢
が低下して美粧性が損なわれる欠点がある。
かかる欠点を改良するためにエポキシ樹脂塗料、フェ
ノールアルキド樹脂塗料の如き塗料を中間層として施し
た後に、上塗り塗料として水酸基やエポキシ基の如き官
能基を含有するフルオロオレフィン系重合体と硬化剤と
してのポリイソシアネート化合物やポリアミン化合物等
から成る塗料を塗装する方法が提案されている(特公昭
62−16141号公報)。しかしながら、かかる塗装方法に
おいても、中間層を形成する塗料として水性塗料を使用
し、且つ、中間層の乾燥が不充分で多くの水を含む場合
には水分による硬化阻害を受けるために充分に硬化した
塗膜が形成されず、比較的短期間で光沢や付着性が低下
する欠点がある。また、基材として含水率の高いセメン
ト系基材を使用すると、かかる基材に直接塗装した場合
は無論のこと有機溶剤型塗料をベースとする中間層を介
して塗装した場合においても上記した如き水分による硬
化阻害に基因する耐久性低下が見られるといった欠点も
ある。さらに、硬化剤を含まない、いわゆるラッカー型
塗料を塗装した場合にも長期間の曝露により付着性が低
下する欠点を有する。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、かかる欠点を改良すべく鋭意研究を重
ねた結果、セメント系基材に直接、あるいは予め下塗り
塗料が塗装されたセメント系基材に加水分解性シリル基
を含有するビニル系重合体と加水分解性シリル基を含有
しないフルオロオレフィン系重合体の両方を必須成分と
して含んで成る溶液型塗料を上塗り塗料として塗装する
ことにより、長期間の曝露後も付着性に優れる極めて耐
久性に優れた塗装物が得られることを見い出し、本発明
を完成させるに至った。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明を概説すれば、本発明は、加水分解性シリル基
を含有するビニル系重合体(A)と加水分解性シリル基
を含有しないフルオロオレフィン系重合体(B)とを必
須成分として含んで成る溶液型塗料を、セメント系基材
あるいは予め下塗り塗料が塗布されたセメント系基材に
塗装することを特徴とするセメント系基材の塗装方法に
関するものである。
以下、本発明の構成について詳しく説明する。
まず、本発明で用いる加水分解性シリル基を含有する
ビニル系重合体(A)成分について説明する。
前記加水分解性シリルを含有するビニル系重合体
(A)成分とは、側鎖及び/又は主鎖末端に一般式、 (X)3-a(R1aSi (式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル
基、アリール基、アラルキル基、Xはハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アシロキシ基、イミノキシ基、フェノキシ
基、メルカプト基、アミノ基、アルケニルオキシ基、ア
ルコキシアルコキシ基、aは0または1〜2の整数を表
す) で示される加水分解性シリル基を含有する重合体を指称
する。
かかる加水分解性シリル基含有ビニル系重合体(A)
の具体例としては、加水分解性シリル基含有フルオロオ
レフィン系重合体類、加水分解性シリル基含有アクリル
系重合体類、加水分解性シリル基含有カルボン酸ビニル
エステル系重合体類が挙げられる。
前記した加水分解性シリル基含有フルオロオレフィン
系重合体類は特開昭62−81409号公報、特開昭61−14713
号公報、特開昭62−149762号公報に開示された如き方法
等で合成することができる。また加水分解性シリル基含
有アクリル系重合体は特開昭57−55954号公報、特開昭5
8−38766号公報に開示された如き方法で合成することが
できる。また加水分解性シリル基含有カルボン酸ビニル
エステル系重合体類についてはカルボン酸ビニルエステ
ル系単量体類を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステ
ル類以外の共重合可能な単量体類を使用し公知慣用の手
法により加水分解性シリル基を導入することにより合成
することができる。
このようにして得られる加水分解性シリル基を含有す
るビニル系重合体(A)成分の重量平均分子量(▲
▼)は、重合体の成膜性及び溶剤への可溶性の観点から
2,000〜600,000、好ましくは4,000〜300,000の範囲が望
ましい。
次に、本発明で用いる加水分解性シリル基を含有しな
いフルオロオレフィン系重合体(B)成分とは、フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、
クロロトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン及び(パー)フルオロア
ルキルトリフルオロビニルエーテル〔但し、(パー)フ
ルオロアルキル基の炭素数は1〜18個〕より成る群から
選ばれるフルオロオレフィン単量体の少なくとも一種を
重合させて得られる重合体であり、かかるフルオロオレ
フィン単量体の使用量としては10〜100重量%からなる
範囲が好ましい。
本発明においては、これらフルオロオレフィン単量体
からの重合体(B)成分を調製するに際して、他の共重
合体単量体を用いることができる。このような共重合性
の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カ
プリン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサティック酸
ビニル、ラウリル酸ビニルもしくはステアリン酸ビニル
の如き直鎖状ないしは分岐状の脂肪族カルボン酸のビニ
ルエステル類;シクロヘキサンカルボン酸ビニルエステ
ルの如き脂環式カルボン酸ビニルエステル類;安息香酸
ビニルエステル、p−t−ブチル安息香酸ビニルエステ
ルもしくはサリチル酸ビニルエステルの如き芳香族カル
ボン酸ビニルエステル類;2−トリメチルシリルオキシエ
チルビニルエーテル、3−トリメチルシリルオキシプロ
ピルビニルエーテル、4−トリメチルシリルオキシブチ
ルビニルエーテル、2−トリメチルシリルオキシエチル
メタアクリレートもしくは2−トリメチルシリルオキシ
エチルアクリレートの如きトリアルキルオキシ基を含有
するビニル系単量体類;無水マレイン酸、無水イタコン
酸もしくは無水トリメリット酸モノビニルエステルの如
きカルボン酸無水基を含有する単量体類;ビニルイソシ
アネート、アリルイソシアネートもしくは2−イソシア
ナートエチルメタクリレートの如きイソシアネート基を
含有する単量体類;4−トリメチルシリルオキシカルボニ
ルペンタン酸ビニル、トリメチルシリルメタアクリレー
トもしくはトリメチルシリルアクリレートの如きトリア
ルキルシリルオキシカルボニル基を含有する単量体類;
ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピル
ビニルエーテルもしくはヒドロキシブチルビニルエーテ
ルの如きヒドロキシアルキルビニルエーテル類;メチル
ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニ
ルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビ
ニルエーテル、t−ブチルビニルエーテルもしくはシク
ロヘキシルビニルエーテルの如き直鎖状ないしは分岐状
の脂肪族もしくは脂環式ビニルエーテル類;グリシジル
エーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポ
キシ基を有する単量体類;アクリル酸、メタアクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、フマル酸、マレイン酸モノエチル、マレイン
酸モノブチル、フマル酸モノブチル、イタコン酸モノブ
チル、アジピン酸モノブチル、セバシン酸モノビニルな
どのカルボキシル基を含有する単量体類;ジメチルアミ
ノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノプロピルビニ
ルエーテル、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
トの如き塩基性窒素を含有するビニル系単量体類;エチ
レン、プロピレン、ブテン−1もしくはヘキセン−1の
如きα−オレフィン類;塩化ビニルもしくは塩化ビニリ
デンの如き前記フルオロオレフィン単量体を除くハロゲ
ン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンもし
くはビニルトルエンの如き芳香族ビニル系単量体類;メ
チル(メタ)アクレリレート、エチル(メタ)アクリレ
ーシ、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートもしくはβ−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートのリン酸エステルの如き(メタ)アクリル酸
エステル類;さらには(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドが
ある。
以上に述べた単量体類の存在下にラジカル重合開始剤
を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合法等の公知の技
術を駆使し回分式、反連続式あるいは連続式の操作で重
合させればよい。
かかるラジカル重合開始剤としては、アセチルパーオ
キシサイドもしくはベンゾイルパーオキサイドの如きジ
アシルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキ
サイドもしくはシクロヘキサノンパーオキサイドの如き
ケトンパーオキサイド類;過酸化水素、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイドもしくはクメンハイドロパーオキサ
イドの如きハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチル
パーオキサイドもしくはジクミルパーオキサイドの如き
ジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセ
テートもしくはt−ブチルパーオキシピパレートの如き
アルキルパーオキシエステル類;アゾビスイソブチロニ
トリルもしくはアゾビスイソバレロニトリルの如きアゾ
系開始剤類;または過硫酸アンモニウムもしくは過硫酸
カリウムの如き過硫酸塩などが用いられ、さらに必要に
応じて亜硫酸水素ナトリウムもしくはピロ亜硫酸ナトリ
ウムの如き無機の還元剤、またはナフテン酸コバルトも
しくはジメチルアニリンの如き有機の還元剤もまた用い
られる。
重合反応に用いられる溶剤としてはトルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはオクタンの
如き炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチルもしくは酢酸
ブチルの如きエステル系;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンもしく
はメチルアミルケトンの如きケトン系;ジメチルホルム
アミドもしくはジメチルアラトアミドの如きアミド系;
メタノール、エタノール、i−プロパノール、sec−ブ
タノールもしくはエチレングリコールモノアルキルエー
テルの如きアルコール系溶剤またはこれらの混合物が用
いられる。
またこの重合にさいしては、分子量調節剤としてラウ
リルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−メルカ
プトエタノールまたはα−メチルスチレンダイマーの如
き各種の連鎖移動剤をも使用することができる。
このようにして得られる加水分解性シリル基を含有し
ないフルオロオレフィン系重合体(B)の重量平均分子
量(▲▼は、重合体の成膜性、溶剤可溶性及び作業
性の観点から5,000〜600,000、さらには7,000〜300,000
が好ましい。
本発明で用いる加水分解性シリル基を含有するビニル
系重合体(A)と加水分解性シリル基を含有しないフル
オロオレフィン系重合体(B)の使用割合は、固形分換
算重量比で通常10/90〜90/10の範囲、さらに好ましくは
15/85〜85/15の範囲である。
本発明においては、前記(A)成分および/または
(B)成分中に水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボ
キシル基、リン酸基、アミド基、トリアルキルシリルオ
キシ基、トリアルキルシリルオキシカルボニル基等の反
応性官能基が含有されている場合、必要に応じてこれら
の官能基と反応し得る硬化剤(C)を配合することがで
き、該硬化剤を配合することにより塗膜の架橋密度を一
層高め、塗膜性能を向上させることができる。また、本
発明においては、かかる硬化剤(C)を使用する際に
は、前記反応性官能基との反応を促進せしめる硬化触媒
および/または加水分解性シリル基の加水分解−縮合反
応用触媒(D)を添加することにより塗膜の硬化を更に
促進することができる。
かかる上塗り塗料を構成する反応性官能基と反応し得
る硬化剤(C)の代表的なものとしては、反応性官能基
が水酸基の場合にはポリイソシアネート化合物、ブロッ
クポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂もしくはポリ
カルボン酸無水物化合物を、反応性官能基がカルボキシ
ル基の場合にはポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化
合物、ポリイソシアネート化合物もしくはブロックポリ
イソシアネート化合物を、反応性官能基がアミノ基の場
合にはポリエポキシ化合物、1分子中にエポキシ基と加
水分解性シリル基を併有する化合物、ブロックイソシア
ネート化合物もしくはポリイソシアネート化合物を、反
応性官能基がエポキシ基の場合にはポリカルボキシ化合
物、ポリカルボン酸無水化合物、ポリケチミン化合物も
しくはポリアルドイミン化合物を、反応性官能基がトリ
アルキルシリルオキシ基の場合にはポリイソシアネート
化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、
もしくはポリカルボン酸無水物化合物を、反応性官能基
がトリアルキルシリルオキシカルボニル化合物の場合に
はポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、ポリイ
ソシアネート化合物もしくはブロックポリイソシアネー
ト化合物を、反応性官能基がカルボキシル基の場合には
ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、ポリイソ
シアネート化合物、もしくはブロックポリイソシアネー
ト化合物を、反応性官能基がアミド基の場合にはポリイ
ソシアネート化合物、アミノ樹脂もしくはブロックポリ
イソシアネート化合物を配合することができる。
また、反応性官能基がトリアルキルシリルオキシ基の
場合には、塗装後にトリアルキルシリルオキシ基が空気
中の水分により加水分解されて水酸基を生成して、上記
の如く水酸基と反応し得る硬化剤により硬化させること
が可能である。さらに、反応性官能基がトリアルキルシ
リルオキシカルボニル基の場合には、塗装後にトリアル
キルシリルオキシカルボニル基が空気中の水分により加
水分解されてカルボキシル基を生成するので上記の如く
カルボキシル基と反応し得る硬化剤を配合して硬化せし
めることができる。そして反応性官能基が水酸基、カル
ボキシル基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキ
ルシリルオキシカルボニル基の場合には、アルミニウ
ム、チタニウム、ジルコニウム、ケイ素等の金属のアル
コキシドもしくは錯化合物を硬化剤として配合すること
もできる。
前記した硬化剤(C)としてのポリイソシアネート化
合物の代表的なものとしては、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
の如き脂肪族ジイソシアネート類;キシレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族
ジイソシアネート類;またはトリレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き
芳香族ジイソシアネート類などの有機ジイソシアネー
ト、あるいはこれら有機ジイソシアネートと多価アルコ
ールとの付加物、さらには前記有機ジイソシアネート同
士の重合体やイソシアネート・ビウレット体などが挙げ
られるが耐候性の点からは脂肪族系、脂環族系あるいは
アラルキル系のイソシアネート化合物が特に好ましい。
かかる各種のポリイソシアネート化合物の代表的な市販
品の例を挙げれば「バーノック、DN−950,−980,−98
1」〔大日本インキ化学工業(株)製品〕、「ディスモ
ジュールN」(西ドイツ国バイエル社製品)、「タケネ
ートD−140N」〔武田薬品工業(株)製品〕、「コロネ
ートEH」〔日本ポリウレタン工業(株)製品〕、「デュ
ラネート24A−90CX」(旭化成工業(株)製品〕あるい
はイソシアネート基を含有するビニル系重合体などがあ
る。
他方、ブロックポリイソシアネート化合物の代表例と
しては、前記した如き各種のポリイソシアネート化合物
を公知慣用のブロック化剤でブロック化せしめて得られ
るものを指称し、かかるブロックポリイソシアネート化
合物の代表的な市販品の例を挙げれば「バーノックB7−
671」〔大日本インキ化学工業(株)製品〕、「タケネ
ートB−815−N」〔武田薬品工業(株)製品〕、「ア
ディトール(ADDITOL)VXL−80」〔ヘキスト合成(株)
製品〕または「コロネート2507」〔日本ポリウレタン工
業(株)製品〕、あるいはブロックイソシアネート基を
有するビニル系重合体などがある。
ポリカルボン酸無水化合物の具体例としては、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸もしくはカルボン酸
無水基を含有するビニル系重合体などがある。
ポリエポキシ化合物の具体例としては、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジ
ルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フ
タル酸グリシジルエステルあるいはエポキシ基を含有す
るビニル系重合体などがある。
1分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基を併有す
る化合物の具体例としてはγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソ
プロペニルオキシシランもしくはグリシジルメタアクリ
レートとγ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランを必須のモノマー成分とするアクリル系共重合体の
如きものがある。
アミノプラストの代表的なものとしてはメラミン、尿
素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンの如きアミノ
基含有化合物成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒドまたはグリオキザールの如
きアルデヒド系化合物成分とを、公知慣用の方法により
反応させて得られる縮合物、あるいはこれらの各縮合物
をアルコールでエーテル化せしめて得られるものなどが
挙げられるが、通常、塗料用として使用されているもの
であれば、いずれも使用することができることは勿論の
ことである。
そのうちでも、C1〜C4なるアルコール類で部分的にあ
るいは完全にエーテル化せしめたものが好ましく、かか
るアミノプラストの具体例としては、ヘキサメチルエー
テル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メ
チロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロ
ールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、
ブチルエーテル化メチロールメラミンまたはiso−ブチ
ルエーテル化メチロールメラミン、あるいはそれらの縮
合物などが挙げられる。
ポリアジリジン化合物の具体例としては、エチレング
リコールジアクリレートとエチレンイミンのモル比1:2
付加物、トリメチロールプロパントリアクリレートとエ
チレンイミンのモル比1:3付加物もしくはアジリジニル
基を含有するビニル系重合体等が挙げられる。
前記した如き硬化剤(C)成分を使用する場合、その
使用量は、(A),(B)両成分の総量100重量部に対
して1〜100重量部、更に好ましくは2〜70重量部が良
い。
本発明においては、硬化剤(C)成分としてポリイソ
シアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物もし
くはアミノプラストを用いる場合、かかる硬化剤(C)
成分と(A)成分もしくは(B)成分中の反応性基との
反応を促進するために硬化触媒を配合することができ
る。
かかる硬化触媒成分の代表的なものとしては、硬化剤
(C)成分として(ブロック)ポリイソシアネート化合
物を用いる場合、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫
ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルア
ミンまたはジメチルアミノエタノールなどが挙げられる
し、また硬化剤(C)成分としてアミノプラストを用い
る場合、パラトエンスルホン酸、燐酸または燐酸のモノ
又はジアルキルエステル、または「ネイキュア155、250
0X、X−49−110、5225もしくは3525」(アメリカ国キ
ング社製品)などで代表されるジノニルナフタレンジス
ルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸またはそれらの
有機アミンブロック化合物などが挙げられる。
本発明においては、そのほか(A)成分中の加水分解
性シリル基の加水分解−縮合反応を促進させる加水分解
−縮合反応用触媒(D)を必要に応じて用いることがで
きる。
(A)成分または(B)成分中に、アミノ基、リン酸
基もしくはスルホン酸基の如き加水分解性シリル基の加
水分解−縮合反応を促進する基が存在する場合には、特
に加水分解性シリル基の加水分解−縮合用触媒(D)成
分を添加せずとも硬化反応が進行し、耐溶剤性に優れた
硬化塗膜が形成される。しかし(A)成分または(B)
成分中に上記した如き基が存在しない場合には、加水分
解−縮合用触媒(D)成分を用いる必要がある。
かかる加水分解性シリル基の加水分解−縮合用触媒
(D)成分の代表的なものとしてはブチルアミン、ジブ
チルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチ
レンジアミン、トリエチルアミン、イソホロンジアミ
ン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートの如き塩基
性化合物;テトラプロピルチタネート、テトラブチルチ
タネート、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コ
バルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフ
テン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジアセテー
ト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫マレートの如き含金属化合物;p−トルエ
ンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐
酸、ジアルキル燐酸、β−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートの燐酸エステル、モノアルキル亜燐酸、ジア
ルキル亜燐酸の如き酸性化合物などが挙げられるが、特
にジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートの如き錫
化合物が好ましい。触媒を添加する場合、触媒の使用量
は、加水分解性シリル基含有ビニル系重合体(A)100
重量部に対して通常0.005〜10重量部、好ましくは0.01
〜5重量部の範囲である。
本発明において使用される(A)成分および(B)成
分を必須成分として含んで成る溶液型塗料はクリヤー塗
料として使用しても良いし、各種着色材を配合して着色
塗料としても使用できる。
着色塗料として使用する場合、着色材の代表的なもの
には、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリー
ン、キナクリドンレッド、カーボンブラック等の如き有
機顔料類;酸化チタン、酸化バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸バリウム、硫酸バリウムおよび各種焼成顔料等
の如き無機系顔料類;アルミニウム、真ちゅう、銅、
銀、金、ニッケル等の金属粉末等がある。
またクリヤー塗料として使用する場合には、高度の耐
久性を維持する上から紫外線吸収剤および/または酸化
防止剤を添加することが特に好ましい。
クリヤー塗料に添加できる紫外線吸収剤としては
(A)成分および(B)成分と相溶性を有するものであ
れば特に制限されるものではなく、具体的には2−
(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブ
チル−5′−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−4′−n−オクトキシ・
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−′ヒドロキ
シ−5′−t−オクチル−フェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−〔2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α
−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾ
ール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール、2(3′−t−ブ
チル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t
−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′,4′−ジヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール、等の如きベンゾト
リアゾール系化合物;2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′
−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′
−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンゾフ
ェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベン
ゾフェノン、等の如きベンゾフェノン系化合物;フェニ
ルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、
p−t−ブチルフェニルサリシレート、等の如きサリチ
ル酸誘導体;N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4
−イソドデシルフェニル)エタンジアミド、N−(2−
エトキシフェニル)−N′−(2−エチル)エタンジア
ミド等の如きシュウ酸アニリド誘導体;2−シアノ−3,3
−ジフェニルアクリル酸オクチル、2−シアノ−3,3−
ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3−フェニ
ル−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリル酸−(2
−エチルヘキシル)、2−シアノ−3−(p−メトキシ
フェニル)−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリル
酸−2−(エチルヘキシル)、p−メトキシ−α−(3,
4−キシリル)ベンジリデンマロノニトリル、等の如き
不飽和ニトリル基を含有する紫外線吸収剤;その他レゾ
ルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
ベンゾエート、〔2,2−チオビス(4−t−オクチルフ
ェノレート)〕−n−ブチルアミン・ニッケル(II)錯
体、ニッケルジブチルジチオカーボネート等がある。
前記した如き紫外線吸収剤のうち、耐久性を向上させ
る効果の点が特にベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロ
キシベンゾフェノン系化合物の使用が好ましい。
次に、本発明において塗料に添加できる酸化防止剤と
しては、(A)成分および(B)成分と相溶性を有する
ものであれば特に制限されるものではなく、具体的に
は、4,4′メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノ
ール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン、1,1,3−トリス−(2−メチル−5−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2′
−エチリデンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノー
ル)、トリエチレングリコールビス−3−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルェニル)プロピオネ
ート、3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、2,2′−メ
チレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)、
ペンタエリスリチル−テトラキス−〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
6−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロ
キシベンジル)−4−メチルフェニルアクリル酸−t−
ブチル、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3
−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン,N,N′−ヘキサメチレン
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシ
ンナムアミド)、1,6−ヘキサンジオールビス−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、2,2′−チオジエチルビス−〔3
−(3′,5′−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、4,4′−チオビス(3−メチル−6
−t−ブチルフェノール)等の如きヒンダードフェノー
ル系化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジ
ル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−ト
リアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベ
ンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等
の如きヒンダードアミン系化合物;ジラウリルジチオプ
ロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペ
ンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオ
プロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、
ジトリデシルチオプロピオネート、等の如き有機硫黄系
化合物;その他3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジルリン酸ジエチルエステル、3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジルリン酸ジオクタデシルエス
テル等のリン酸エステル類などがある。
これらの酸化防止剤類のうち、耐久性向上効果の点か
らすれば特にヒンダードアミン系化合物もしくはヒンダ
ードフェノール系化合物が特に好ましい。
本発明の(A),(B)両成分を必須成分とするクリ
ヤー塗料においては、かかる紫外線吸収を(A),
(B)両成分の総量100重量部に対して0.1〜20重量部、
好ましくは0.3〜15重量部添加することにより、また酸
化防止剤を(A),(B)両成分の総量100重量部に対
して0.1〜10重量部添加することにより、耐久性に優れ
た塗装物が得られる。また、前記した着色塗料に紫外線
吸収剤および/または酸化防止剤を添加しなくても優れ
た耐久性を有する塗装物を得ることができるが、これら
を添加することにより、いっそう耐久性を向上せしめる
ことができる。
また、本発明で使用される溶液型塗料には、色分かれ
防止剤、レベリング剤、その他公知慣用の添加剤を配合
することができることはいうまでもないことである。
本発明の塗装方法において使用されるセメント系基剤
としては、コンクリート、石綿スレート、モルタル、AL
C板、石膏・スラグ系材料、ケイ酸カルシウム系材料、
その他のセメント系原料を必須成分として製造された基
材を指称する。また、本発明の方法において、アルカリ
分の滲出し易い基材を使用する場合には、前記アルカリ
分の滲出を防止したり、基材との付着性を向上させる点
から、予めシーラー等の下塗り塗料を塗布することが特
に好ましい。かかる下塗り塗料の代表的なものとしては
アクリルウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、アクリ
ルラッカー型塗料、塩素化ポリエチレンもしくは塩素化
ポリプロピレンの如き塩素化ポリオレフィン類を主体と
するラッカー型の塗料、湿気硬化型ウレタン樹脂塗料、
アクリルエマルジョン塗料、カルボン酸ビニルエステル
を主成分とするエマルジョン塗料等が有る。
本発明において前記した如き下塗り塗料を塗装するに
は、スプレー塗装、ハケ刷り、ローラー塗り等の公知慣
用の方法に従って行なえば良い。しかる後に室温で乾燥
するか、もしくは60〜150℃程度下で加熱成膜すれば良
い。
また、前記した如きセメント系基材または下塗り塗料
が塗布されたセメント系基材に、本発明の(A),
(B)両成分を必須成分とする上塗り塗料を塗装するに
は、前記した下塗り塗料を塗装する際に用いた如き公知
慣用の方法に従って行なえば良い。この様に上塗り塗料
を塗装した後、室温で硬化させたり、60〜250℃程度の
温度で焼付けを行なえば良い。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例のものに限定されない。な
お、以下において、特に断りのない限り「部」とあるの
は重量基準である。
参考例1〔加水分解性シリル基を含有するビニル系重合
体の調製〕 撹拌装置、温度計、窒素導入管および還流冷却管を備
えた反応器に、トルエン400部およびn−ブタノール400
部を仕込み、窒素雰囲気下で105℃に昇温した。次い
で、同温度でメチルメタアクリレート700部、n−ブチ
ルメタアクリレート120部、n−ブチルアクリート110
部、γ−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン70部、トルエン200部、アゾビスイソブチロニト
リル6部、t−ブチルパーオキシオクトエート10部およ
びt−ブチルパーオキシベンゾエート5部から成る混合
物を3時間で滴下した。その後110℃に昇温し同温度に1
5時間保持し不揮発分50%、重量平均分子量(▲
▼)20,000なるトリメトキシシリル基を含有するビニル
系重合体の溶液を得た。以下、これをA−1と略記す
る。
参考例2〔同上〕 共重合させる単量体としてベオバー10(オランダ国シ
ェル社製C10なる分岐脂肪酸のビニルエステル)400部、
ピバリン酸ビニル350部、酢酸ビニル150部、ビニルトリ
メトキシシラン(以下VTMSと略す)100部を使用する以
外は参考例1と同様な反応を行ない不揮発分49%、▲
▼35,000なるトリメトキシシリル基を含有するビニル
系重合体の溶液を得た。以下、これをA−2と略記す
る。
参考例3〔同上〕 窒素で充分置換した1のステンレス製オートクレー
ブにVTMS60g、エチルビニルエーテル(以下、EVEと略称
する)90g、安息香酸ビニル210g、メチルイソブチルケ
トン120g、オルト蟻酸メチル30g、t−ブチルパーオキ
シピバレート(TBPVと略称する)4.2g、およびt−ブチ
ルパートキシオクトエート3gを仕込んだ。次いで液化採
取したヘキサフルオロプロピレン(以下HFPと略す)240
gを圧入し撹拌しながら60℃で15時間、さらに85℃で2
時間反応を行ない不揮発分77%、▲▼46,000なるト
リメトキシシリル基を含有するビニル系重合体の溶液を
得た。以下、これをA−3と略記する。
参考例4〔同上〕 参考例3と同様の反応器にEVE60g、ベオバー9(オラ
ンダ国シェル社製、C9なる分岐脂肪酸ビニルエステル)
150g、ビニルトリイソプロペニルオキシシラン90g、メ
チルイソブチルケトン120g、オルト蟻酸メチル30g、TBP
V4.2g、TBPO 3gを仕込んだ。次いでクロロトリフルオロ
エチレン(以下CTFEと略す)300gを圧入した後、参考例
3と同様に反応を行ない不揮発分78.5%、▲▼45,0
00なる加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体の
溶液を得た。以下、これをA−Aと略記する。
参考例5〔加水分解性シリル基を含有しないフルオロオ
レフィン系重合体の調製〕 参考例3と同様の反応器にEVE40g、ベオバー9 160g、
トルエン270gおよび2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトレル)(以下ABNVと略す)6gを仕込んだ。次い
でCTFE200gを圧入した後、参考例3と同様に反応を行な
い不揮発分59%、▲▼98,000なるフルオロオレフィ
ン系重合体の溶液を得た。以下、これをB−1と略記す
る。
参考例6〔同上〕 参考例3と同様の反応器に4−ヒドロキシブチルビニ
ルエーテル100g、エチルビニルエーテル70g、シクロヘ
キシルビニルエーテル30g、ベオバー9 100g酢酸ブチル2
15g、ABNV20g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート5gおよび固体塩基としてMg4.5Al2(OH)13CO
3・3.5H2Oなる示性式を有するハイドロタルサイト10gを
仕込んだ。次いでクロロトリフルオロエチレン250gを圧
入した後、参考例3と同様に反応を行なった後ハイドロ
タルサイトを濾過してNV67.3%、▲▼75,000なる水
酸基を含有するフルオロオレフィン系重合体の溶液を得
た。以下、これをB−2と略記する。
参考例7〔同上〕 参考例3と同様の反応器にメチルイソブチルケトン21
5g、グリシジルビニルエーテル35g、エチルビニルエー
テル115g、ベオバー9 100g、ABNV10gおよびTBPO5gを仕
込んだ。次いでクロロトリフルオロエチレン250gを圧入
した後参考例3と同様に反応を行ないNV68.0%、▲
▼120,000なるエポキシ基を含有するフルオロオレフィ
ン系重合体の溶液を得た。以下、これをB−3と略記す
る。
参考例8〔同上〕 参考例3と同様の反応器にメチルイソブチルケトン21
5g、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル50g、2,
2−ジメチルブタン酸ビニル250g、ABNV 10gおよびTBPO
5gを仕込んだ。次いでフッ化ビニリデン50gおよびヘキ
サフルオロプロピレン150gを圧入した後参考例3と同様
な反応を行ないNV67.9%、▲▼110.000なる3級ア
ミノ基を含有するフルオロオレフィン系重合体の溶液を
得た。以下、これをB−4と略記する。
実施例1 A−1 100部、B−1 100部、キシレン48.1部からなる
混合物に、チヌビン−900〔CIBA−GEIGY社製、2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アルミフェニ
ル)ベンゾトリアゾール〕5部およびジブチル錫ジオク
テート1部を添加、溶解せしめた後、キシレン60部と酢
酸ブチル40部からなる混合溶剤でスプレー粘度まで希釈
し塗料溶液(以下AT−1と略す)を得た。
かかるAT−1を予め1日間水へ漬けた後、25℃下で1
日乾燥せしめたコンクリート板に乾燥膜厚として50μm
となるようにスプレー塗装せしめた。得られた塗板を25
℃の温度に10日間放置し、乾燥せしめて促進耐候性の試
験用塗板とした。促進耐候性試験に「デューパネル光コ
ントロールウェザーメーター」(スガ試験機(株)製、
促進耐候性試験機:試験条件;UV照射70℃−8時間、凝
縮50℃−4時間を1サイクルとし繰返し曝露)を使用し
2,000時間の曝露を行なったところ外観の変化は認めら
れなかった。さらに塗膜にカット線を入れてセロテープ
による剥離試験を行ない付着性を評価したところ全く剥
離は見られず優れた付着性を示した。
実施例2〜14 (A),(B),(C),(D)各成分等を下記第1
表に示す割合で混合して塗料組成物AT−2〜11を得た。
次いで下記第2表の如きコンクリート系基材に乾燥膜厚
が50μmとなるようにスプレー塗装せしめ、第2表に示
す条件下にて硬化させ塗膜を得た。かかる塗膜について
実施例1の如く塗膜性能を評価した。これらの結果を第
3表にあわせて示す。
比較例1 A−1 200部、キシレン48.1部、タイペークCR−93 5
3.8部から調製した白色塗料に実施例1で使用した混合
溶剤でスプレー粘度まで希釈し、ジブチル錫ジオクテー
ト1部を加えて、予め水に1日漬けた後、25℃で1日間
乾燥せしめたコンクリート板に乾燥膜厚として50μmと
なるようにスプレー塗装を行った。得られた塗板を25℃
で10日間放置し乾燥、硬化せしめた。かかる塗板につい
て実施例1の如き試験に供したところ光沢が著しく低下
し、基材と塗膜との間で剥離が認められた。
比較例2 B−1 200部、キシレン48.1部、タイペークCR−93 5
3.8部より調製した白色塗料に実施例1で使用した混合
溶剤によりスプレー粘度まで希釈した。一方、基材とし
ては水に1日間浸漬した後25℃で1日間乾燥した軽量コ
ンクリート板を使用し、予めビニル系重合体エマルジョ
ンを乾燥膜厚として100μm塗布し、25℃の温度下で1
日間乾燥して下塗り塗膜を形成した。次いで前記スプレ
ー粘度まで希釈せしめた白色塗膜を前記基材に乾燥膜厚
として50μmとなるようにスプレー塗装により塗布し25
℃の温度下で10日間乾燥せしめた。得られた塗板につい
て実施例1の如き試験に供したところ光沢はわずかに低
下したのみであったが、下塗り塗膜との間で著しく剥離
がみられた。
〔第1表脚註〕 注1)重量平均分子量120,000のフッ化ビニリデン50重
量%とテトラフルオロエチレン50重量%からなる共重合
体のメチルエチルケトン溶液、不揮発分30%。
注2)重量平均分子量100,000のフッ化ビニリデン45重
量%、テトラフルオロエチレン45重量%及びヘキサフル
オロプロピレン10重量%から成る共重合体のメチルエチ
ルケトン溶液、不揮発分30%。
注3)大日本インキ化学工業(株)製、脂肪族ポリイソ
シアネート、イソシアネート基含有率15%、不揮発分75
%。
注4)住友化学工業(株)製、メチルエーテル化メラミ
ン樹脂。
注5)数平均分子量5,000のグリシジルメタアクリレー
ト/n−ブチルメタアクリレート=50/50(重量比)の共
重合体、不揮発分50%。
注6)数平均分子量5,000のジメチルアミノエチルメタ
クリレート/n−ブチルメタアクリレート=50/50(重量
比)の共重合体。
注7)米国キング社製、有機スルホン酸のアミン塩系硬
化触媒。
注8)石原産業(株)製、ルチル型酸化チタン。
注9)日本フェロー社(株)製、黄色焼成顔料。
注10)三菱化成(株)製、カーボンブラック。
注11)AMERICAN CIANAMID社製、2−ヒドロキシ−4−
n−オクトキシベンゾフェノン。
注12)三共(株)製、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)セバケート。
注13)CIBA−GEIGY社製、ペンタエリスリチル−テトラ
キス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕。
〔発明の効果〕 本発明のセメント系基材の塗装方法、即ちセメント系
基材あるいは予め下塗り塗料が塗布されたセメント系基
材に加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体およ
び加水分解性シリル基を含有しないフルオロオレフィン
系重合体とを必須成分として含んで成る溶液型の塗料を
塗布し硬化せしめることにより、極めて耐久性、密着性
に優れた塗膜を形成させることができる。
従って本発明の塗装方法は各種のセメント系基材に適
用され、長期に亘りセメント系基材の美粧性や耐久性を
向上させることができるもので、その利用価値は極めて
高い。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント系基材に加水分解性シリル基を含
    有するビニル系重合体(A)、および加水分解性シリル
    基を含有しないフルオロオレフィン系重合体(B)とを
    必須成分として含んで成る溶液型塗料を塗装することを
    特徴とするセメント系基材の塗装方法。
  2. 【請求項2】予め下塗り塗料が塗装されたセメント系基
    材に加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体
    (A)、および加水分解性シリル基を含有しないフルオ
    ロオレフィン系重合体(B)とを必須成分として含んで
    成る溶液型塗料を塗装することを特徴とするセメント系
    基材の塗装方法。
  3. 【請求項3】前記溶液型塗料が、硬化剤(C)および/
    または前記加水分解性シリルキ基の加水分解−縮合用触
    媒(D)を含むものである請求項1または2に記載の塗
    装方法。
  4. 【請求項4】前記加水分解性シリル基を含有するビニル
    系重合体(A)が、フルオロオレフィン系共重合体であ
    る請求項1または2に記載の塗装方法。
  5. 【請求項5】前記加水分解性シリル基を含有するビニル
    系重合体(A)が、アクリル系重合体である請求項1ま
    たは2に記載の塗装方法。
  6. 【請求項6】前記加水分解性シリル基を含有するビニル
    系重合体(A)が、カルボン酸ビニルエステルを主成分
    とするビニル系重合体である請求項1または2に記載の
    塗装方法。
  7. 【請求項7】前記下塗り塗料が溶液型アクリル樹脂系塗
    料である請求項2に記載の塗装方法。
  8. 【請求項8】前記下塗り塗料が、アクリル樹脂系エマル
    ジョン系塗料である請求項2に記載の塗装方法。
  9. 【請求項9】前記下塗り塗料が、塩素化ポリオレフィン
    系塗料である請求項2に記載の塗装方法。
  10. 【請求項10】前記加水分解性シリル基を含有しないフ
    ルオロオレフィン系重合体(B)が、(a)フルオロオ
    レフィン系単量体10〜100%、(b)共重合可能な他の
    単量体90〜0%を重合して成るものである請求項1また
    は2に記載の塗装方法。
  11. 【請求項11】前記共重合可能な他のビニル系単量体の
    一部として反応性官能基を有する単量体を含有するもの
    である請求項10に記載の塗装方法。
  12. 【請求項12】前記加水分解性シリル基を含有しないフ
    ルオロオレフィン系重合体(B)が、フッ化ビニル、フ
    ッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオ
    ロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフル
    オロプロピレンおよび(パー)フルオロアルキルトリフ
    ルオロビニルエーテル〔但し、(パー)フルオロアルキ
    ル基の炭素数は1〜18〕より成る群から選ばれるフルオ
    ロオレフィン系単量体の少なくとも1種を必須成分とす
    るものである請求項10に記載の塗装方法。
  13. 【請求項13】前記反応性官能基が、水酸基、カルボキ
    シル基、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基、ア
    ミド基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルシ
    リルオキシカルボニル基、およびカルボン酸無水基から
    成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項11に記
    載の塗装方法。
  14. 【請求項14】前記硬化剤(C)が、ポリイソシアネー
    ト化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、アミノ
    樹脂、ポリエポキシ化合物および1分子中にエポキシ基
    と加水分解性シリル基を併有する化合物から成る群より
    選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の塗装方
    法。
  15. 【請求項15】前記加水分解性シリル基を含有するビニ
    ル系重合体(A)および加水分解性シリル基を含有しな
    いフルオロオレフィン系重合体(B)を含んで成る溶液
    型塗料が、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を含
    むものである請求項1または2に記載の塗装方法。
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