JP2623598B2 - アルミ電解コンデンサーの製造方法 - Google Patents

アルミ電解コンデンサーの製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、外装用容器にコンデンサー素子を収納した
アルミ電解コンデンサーの製造方法に関する。
(従来の技術及びその問題点) 予めアルミニウム板等の金属板に合成樹脂層を設けた
積層体を合成樹脂層が外側になるように絞り加工してコ
ンデンサー外装用容器等の合成樹脂被覆金属容器とする
ことは知られている。しかしながら、このような積層体
を用いて絞り加工により得られたコンデンサー外装用容
器では次のような問題があり、実用化されていなかっ
た。つまり、上記コンデンサー外装用容器において多段
絞り等の絞り加工を行ない、コンデンサー素子を挿入
後、かしめ加工(カーリング)を施すと、絞り加工では
層間接着に問題ないものでも、かしめた部分の樹脂が剥
離や破断するためコンデンサーの外装用容器として、最
終的にはアルミ電解コンデンサーの性能上、外観上に問
題を生じやすい。
(問題点を解決するための手段) 本発明は絞り加工を行なった後、特定の温度範囲を熱
処理することにより、層間の接着強度の改良を図り、上
記問題点を解消できることを見出したものであって、そ
の要旨とするところは、 金属板の少なくとも片面に、ナイロン系樹脂を被覆し
た合成樹脂被覆金属板を絞り加工した後、上記ナイロン
系樹脂の融点から加熱減量(JISK7120に準拠)が10重量
%以下の加熱温度範囲で熱処理した後、コンデンサー素
子を挿入し、ついで、かしめ加工を施すことを特徴とす
るアルミ電解コンデンサーの製造方法にある。
本発明に使用する金属板としては、アルミニウム板、
銅板、鉄板及びこれらの金属合金からなる金属板が使用
できる。厚みが0.2〜0.5mm程度のものが好適に使用で
き、さらに表面をリン酸一クロム酸塩等による化成処理
や電解エッチング等のエッチング処理を施したものも使
用できる。
ナイロン系樹脂層に使用する樹脂は6−ナイロン、6.
6−ナイロン、ナイロン系エラストマー、ナイロン系ポ
リマーアロイ等が好適に使用できる。さらには上記樹脂
を組合わせて積層したものも可能である。上記金属板に
ナイロン系樹脂層を被覆する方法としては、種々の方法
が適用できるが、金属板に各種接着剤を塗布し焼付けた
後、ナイロン系樹脂フィルムを押出機により溶融押出し
ラミネートする方法が生産性が良好で好ましい。被覆し
たナイロン系樹脂の層厚みは15μm〜300μmの範囲が
好ましく、15μm未満では絞り加工における絞り率が大
きい場合、コーナー部分での樹脂層が破断しやすく、30
0μmを越えるものでは、層間の接着強度が低下し、又
コスト的に不利になり不都合である。
上述した構成の合成樹脂被覆金属板は、合成樹脂層が
外側になるように絞り加工して有底円筒容器を成形す
る。絞り加工としては、ランススリットによる順送り金
型を使用し、多段で絞ることができ、またしごき加工と
することもできる。
本発明では絞り加工後の容器をナイロン系樹脂の融点
から加熱減量が10重量%以下の加熱温度範囲で熱処理す
る必要がある。
上記融点の測定方法は差動走査熱量計(DSC)により
測定すればよく、加熱減量は熱天秤法(TGA)により昇
温速度10℃/分で質量変化を測定する(JISK7120に準
拠)。
上記温度範囲は樹脂により異なり、例えば6−ナイロ
ンでは融点215℃、10%加熱減量の温度375℃、6.6−ナ
イロンでは融点268℃、上記加熱減量の温度400℃であ
る。熱処理温度がナイロン系樹脂の融点未満では接着強
度の改良効果がみられず、加熱減量が10重量%を越す温
度では樹脂の熱分解が進行するために変色等が発生し不
都合である。
なお、熱処理時間は加熱温度や樹脂層の変色の有無等
を考慮して適宜決めることができる。
本発明では上記条件で熱処理後、容器にかしめ等の加
工を施しても樹脂の剥離等がみられない。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
(実 施 例) 厚みが0.4mmのアルミニウム板をリン酸−クロム酸塩
処理液で化成処理し、処理皮膜を20mg/m2の厚みで形成
した。この化成処理したアルミニウム板の片面にエポキ
シ系接着剤を1.4μmの厚みで塗布した後、6ナイロン
樹脂フイルムを槓層した。得られたアルミニウム積層体
を用いランススリットによる順送り絞り金型を用いて、
打ち抜き後のサイズが10mmφ×20mmの円筒容器を得た。
得られた円筒容器を用いて、表1に示した条件で熱処
理を行なった。ついで、円筒容器の開口先端部をかしめ
機械を使用し、かしめごまを円筒容器の周辺を回転させ
表1に示す最大深さのかしめ部を円筒容器の開口部周辺
に設けた。
このかしめ部の樹脂の接着状態を目視で評価しその結
果を表1に示した。
かしめ部の樹脂が剥離等を生じなかったもの(○)、
樹脂の剥離等が生じたものを(×)とした。
表1から本発明の熱処理範囲を満足するもの(250
℃、350℃)では、かしめ部の深さが深くても樹脂の剥
離等がなく良好であるのに対し、処理温度が低すぎるも
のではかしめ部が深いと樹脂の剥離がみられ、逆に高す
ぎるものでは変色して実用性に劣ることが判る。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の方法によればかしめ機
を用いた過酷な加工条件でも層間の剥離が生じないた
め、アルミ電解コンデンサーに好適に使用できるもので
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板の少なくとも片面に、ナイロン系樹
    脂を被覆した合成樹脂被覆金属板を絞り加工した後、上
    記ナイロン系樹脂の融点から加熱減量(JISK7120に準
    拠)が10重量%以下の加熱温度範囲で熱処理した後、コ
    ンデンサー素子を挿入し、ついで、かしめ加工を施すこ
    とを特徴とするアルミ電解コンデンサーの製造方法。
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