JP2622170B2 - 球状ポリビニルアルコール系含水ゲル及びその製造法 - Google Patents

球状ポリビニルアルコール系含水ゲル及びその製造法

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JP2622170B2 JP3147889A JP3147889A JP2622170B2 JP 2622170 B2 JP2622170 B2 JP 2622170B2 JP 3147889 A JP3147889 A JP 3147889A JP 3147889 A JP3147889 A JP 3147889A JP 2622170 B2 JP2622170 B2 JP 2622170B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は球状ポリビニルアルコール系含水ゲル及びそ
の製造法に関し、詳しくは直径が1mmより大きく、かつ
負の表面電位を有することを特徴とする球状ポリビニル
アルコール系含水ゲル及びその製造法に関する。
本発明によって提供される球状ポリビニルアルコール
系含水ゲルは流体中における分散性及び流動性が良好で
あることから、バイオリアクター用の固定化生体触媒に
おける担体として有用である。
B.従来の技術 酵素、微生物等の生体触媒を固定化する方法の1つ
に、高分子素材を用いて酵素や微生物をそのまま包み込
む包括固定化法があり、この方法によく用いられる高分
子素材として、寒天、アルギン酸塩、κ−カラギーナ
ン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、光硬
化性樹脂等がある。このうち、ポリビニルアルコール
(以下PVAと略記することがある)はPVA水溶液を−5℃
以下に凍結後、常温で解凍することによつて、秀れた耐
水性、弾性及び柔軟性を有する、高含水性のゲルが得ら
れ、(特公昭47−12854号公報)これに酵素や微生物を
包括させることによつて、秀れた固定化担体として利用
できる。このPVAゲルは凍結−解凍をくり返すことによ
つて、あるいは凍結後、真空脱水を行うことによつて、
従来の高分子素材に見られない、高強度のゲルが得られ
る。(特開昭58−47492号公報) 微生物の固定化に用いられる高分子素材は、それ自
身、毒性がなく、微生物に悪影響を与えないものでなけ
ればならないが、PVA凍結ゲルはゲル成形に於いて、全
く化学薬品を使用しないため、生体に対する安全性が高
く、しかも高含水性で多孔質構造のため、微生物の培
養、増殖に対して秀れた包括固定化担体である。
C.発明が解決しようとする課題 包括固定化法によつて得られた固定化生体触媒を用い
て生体反応を行わせる反応槽には、固定層(充填層)、
流動層等があるが、これらの反応槽で用いられる固定化
生体触媒としては、流体との分離を容易に行いうるもの
が望まれるほか、とくに固定層の状態で使用される場合
には固定層での流体抵抗をあまり上昇させないものが望
まれ、またとくに流動層の状態で使用される場合には個
々の固定化生体触媒の流体中での分散性及び流動性が良
好であるのが望まれる。
しかして、本発明の目的は、流体中における分散性及
び流動性並びに流体との分離性が良好であり、また流体
抵抗の上昇が抑制される点において固定化生体触媒にお
ける担体として有用な球状PVA系含水ゲルを提供するこ
とにあり、またその球状PVA系含水ゲルの効率的な製造
法を提供することにある。
D.課題を解決するための手段 本発明によれば、上記の目的は、直径が1mmより大き
く、かつ負の表面電位を有することを特徴とする球状PV
A系含水ゲルを提供することにより達成され、またPVA及
び陽イオンとの接触によりゲル化する能力のある水溶性
高分子多糖類を含有する水溶液の液滴を、界面活性剤及
び陽イオン含有化合物を含有する水溶液と接触させるこ
とにより、該液滴を球状に成形させた後、この球状成形
物を−5℃以下での凍結とそれに続く解凍からなる操作
に少なくとも1回付することを特徴とする上記球状PVA
系含水ゲルの製造法を提供することによつて達成され
る。
本発明の球状PVA系含水ゲルの直径は1mmより大であ
る。直径が1mm以下の場合には、球状PVA含水ゲルに生体
触媒を包括固定化してなる固定化触媒の流体抵抗が高く
なり、さらに流体との分離が容易ではなくなることか
ら、実用上不利である。形成される固定化生体触媒の流
体中での流動性及び流体との分離性並びに活性の高さを
考慮すれば、本発明の球状PVA系含水ゲルの直径は1mmよ
り大、かつ3mmより小であることが望ましく、1.2mm以
上、かつ2.5mm以下であることがより好ましい。
本発明の球状PVA系含水ゲルは負の表面電位を有す
る。0又は正の表面電位を有する球状PVA系含水ゲルか
らなる固定化生体触媒は分散性及び流動性が悪く、反応
槽中で凝集し易く、とくに、浮遊微生物との共存下にお
いては、該浮遊微生物が通常負に荷電していることか
ら、固定化生体触媒が浮遊微生物と凝集し沈澱するおそ
れがある。分散性および流動性の観点からは球状PVA系
含水ゲルの表面電位は−2mV以下の値であることが望ま
しいが、包括固定化された微生物の洩出が極めて少ない
点から表面電位の下限は−20mVであることが好ましい。
本発明の球状PVA系含水ゲルの基材は、PVA及び陽イオ
ンとの接触によってゲル化する能力を有する水溶性高分
子多糖類からなるが、かかるPVAとしては、平均重合度
が1000以上、好ましくは1700以上で、ケン化度は98.5%
以上、好ましくはケン化度99.85モル%以上の完全ケン
化PVAがPVAゲルの形成上、望ましい。後述のとおり、本
発明の球状PVA系含水ゲルは凍結工程を経て形成される
が、使用するPVAのケン化度が低下すると、ゲル成形の
凍結条件が厳しくなり、必要な強度のゲルを得るため、
より低い凍結温度と凍結時間を要するなど生産性が低下
することから好ましくない。またPVAとしては、本発明
の目的を阻害しない範囲において、公知の種々の変性PV
Aを用いることができる。本発明の球状PVA系含水ゲルの
基材を構成するもう一つの成分である陽イオンとの接触
によつてゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類とし
ては、具体的には、アルギン酸のアルカリ金属塩、アラ
ギーナン、マンナン、キトサン等が挙げられ、これはマ
グネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウム
イオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;
アルミニウムイオン、セリウムイオン、ニツケルイオン
等の他の多価金属イオン;カリウムイオン;アンモニウ
ムイオンなどの上記水溶性高分子多糖類をゲル化し得る
陽イオンと共存していてもよい。基材を構成するPVAと
水溶性高分子多糖類の重量割合は35対65乃至95対5の範
囲内が好ましい。PVAが50%より少ない場合にはゲルの
強度が不充分となるおそれがあり、また95%より多い場
合には形状がいびつになつており、好ましくない。
本発明の球状PVA系含水ゲルにおける基材は、微生物
の培地の構成成分、固定化担体の強度を上げるための補
強材、生成ゲルの比重を調整する充填材、凍結処理によ
る微生物の凍結障害に対する保護剤等を含有していても
よい。
本発明の球状PVA系含水ゲルを包括固定化用担体とし
て利用し得る生体触媒は、特に限定されるものではな
く、その代表例を挙げるならば、アスペルギルス(Aspe
rgillus)属、リゾプス(Rhizopus)属等のかび類;シ
ュードモナス(Pseudomonas)属、アセトバクター(Ace
to−bacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)
属、エシエリシア(Esherichia)属等の細菌;サツカロ
マイセス(Saccharomyces)属、キヤンデイダ(Candid
a)属等の酵母などの微生物;ラクテートデヒドロゲナ
ーゼ(1.1.2.3)、ラクテートオキシダーゼ(1.1.3.
2)、グルコースオキシダーゼ(1.1.3.4)、ホルメート
デヒドロゲナーゼ(1.2.1.2)、アルデヒドデヒドロゲ
ナーゼ(1.2.1.3)、アルデヒドオキシダーゼ(1.2.3.
1)、キサンチンオキシダーゼ(1.2.3.2)、ピルビン酸
オキシダーゼ(1.2.3.3)、ピルビン酸リダクターゼ
(1.2.4.1)、コルチゾン−α−リダクターゼ(1.3.1.
4)、アシルCoA−デヒドロゲナーゼ(13.99.3)、3−
ケトステロイドΔ−デヒドロゲナーゼ(1.3.99.4)、
3−ケトステロイドΔ−デヒドロゲナーゼ(1.3.99.
5)、L−アラニンデヒドロゲナーゼ(1.4.1.1)、L−
グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(1.4.1.3)、L−アミ
ノ酸オキシダーゼ(1.4.3.2)、D−アミノ酸オキシダ
ーゼ(1.4.3.3)、ピリドキサールリン酸オキシダーゼ
(1.4.3.5)、カタラーゼ(1.11.1.6)、カテコールメ
チルトランスフエラーゼ(2.1.1.6)、カルニチンアセ
チルトランスフエラーゼ(2.3.1.7)、アセチルCoAアセ
チルトランスフエラーゼ(2.3.1.9)、アスペルテート
アミノトランスフエラーゼ(2.6.1.1)、アラニンアミ
ノトランスフエラーゼ(2.6.1.2)、ピリドキサミンピ
ルベートトランスフエラーゼ(2.6.1)、ヘキソキナー
ゼ(2.7.11)、グルコキナーゼ(2.7.1.2)、フルクト
キナーゼ(2.7.1.4)、ホスホグルコキナーゼ(2.7.1.1
0)、ホスホフルクトキナーゼ(2.7.1.11)、ピルベー
トキナーゼ(2.7.1.40)、カルボキシエステラーゼ(3.
1.1.1)、アリールエステラーゼ(3.1.1.2)、リパーゼ
(3.1.1.3)、ホスホリパーゼA(3.1.1.4)、アセチル
エステラーゼ(3.1.1.6)、コレステロールエステラー
ゼ(3.1.1.13)、グルコアミラーゼ(3.2.1.3)、セル
ラーゼ(3.2.1.4)、イヌラーゼ(3.2.1.7)、α−グル
コシダーゼ(3.2.1.20)、β−グルコシダーゼ(3.2.1.
21)、α−ガラクトシダーゼ(3.2.1.22)、β−ガラク
トシダーゼ(3.2.1.23)、インベルターゼ(3.2.1.2
6)、ペプシン(3.4.4.1)、トリプシン(3.4.4.4)、
キモトリプシンA(3.4.4.5)、カテプシンA(3.4)、
パパイン(3.4.4.10)、トロンビン(3.4.4.13)、アミ
ダーゼ(3.5.1.4)、ウレアーゼ(3.5.1.5)、ペリシリ
ンアシダーゼ(3.5.1.11)、アミノアシラーゼ(3.5.1.
14)、アデニンデアミナーゼ(3.5.4.2)、A.T.P.アー
ゼ(3.6.1.3)、ピルベートデカルボキシラーゼ(4.1.
1.1)、オキザレートデカルボキシラーゼ(4.1.1.2)、
トリプトフアンデカルボキシラーゼ(4.1.1.27)、アル
ドラーゼ(4.1.2.13)、マレートシユターゼ(4.1.3.
2)、トリプトフアンシンターゼ(4.2.1.20)、アルペ
ルターゼ(4.3.1.1)、リジンラセマーゼ(5.1.1.5)、
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(5.3.1.9)、ス
テロイドΔ−イソメラーゼ(5.3.3.1)、マクシニルCoA
シンセターゼ(6.2.1.5)など[(註)カツコ内の数字
は酵素番号を表わす。]の酵素などが挙げられる。
次に本発明の球状PVA系含水ゲルの製造法について詳
述する。
本発明の製造法で使用するPVA及び水溶性高分子多糖
類は前記のとおりの本発明の含水ゲルの基材を構成する
PVA及び水溶性高分子多糖類である。PVA及び水溶性高分
子多糖類を含有する水溶液において、PVAの濃度はPVAゲ
ル形成能の範囲から、通常3〜40wt%の範囲内であり、
PVA濃度が高いほど、より強固なゲルが生成するが、必
要なゲル強度が得られれば、PVA濃度が低い方が原料コ
スト面から有利である。PVA以外の添加成分の種類や濃
度、PVA及び水溶性高分子多糖類を含有する水溶液の液
温及び液滴の形成方法によつて、適切な濃度を選定する
必要はあるが、常温で液滴を陽イオン含有化合物を含有
する水溶液と接触させる場合には、PVA濃度が5〜10wt
%であれば球状化が容易であり、実用上十分なゲル強度
が得られる。またPVA及び水溶性高分子多糖類を含有す
る水溶液において、水溶性高分子多糖類の濃度は、水に
対して0.2〜4wt%が好ましく、0.5〜2wt%がさらに好ま
しい。0.2wt%未満では、PVA及び水溶性高分子多糖類を
含有する水溶液の球状化形成能が乏しく、又、4wt%よ
り大の場合は、固い球状成形物が得られるが、溶液粘度
の上昇をもたらす上、原料コスト上昇の要因となり好ま
しくない。
本発明の球状PVA系含水ゲルを生体触媒を包括固定化
するための担体として使用する場合には、包括固定化す
べき生体触媒をPVA及び水溶性高分子多糖類を含有する
水溶液に混入する必要があり、また該水溶液にはPVAの
ゲル化を阻害しない範囲で、微生物の培地、固定化担体
の強度を上げるための補強材、生成ゲルの比重を調整す
る充填材、凍結処理による微生物の凍結障害に対する保
護剤等を添加しても良い。
以上のようなPVA及び水溶性高分子多糖類を含有する
水溶液は、例えば噴霧口金から噴霧させるか又は管状の
口金から滴下させることによつて液滴を形成させ、次い
で該液滴を陽イオン含有化合物を含有する水溶液と接触
させることにより球状を成形させる。すなわち、かかる
液滴は陽イオン含有化合物を含有する水溶液に接触する
と表面張力によつて球体となり、更に球体の最表面が薄
膜状に固化して、PVA及び水溶性高分子多糖類を含有す
る水溶液の球状成形物となる。球状成形物の直径は口金
の直径、噴霧圧力、PVA及び水溶性高分子多糖類を含有
する水溶液の粘度などを調整することによつて任意に変
えることができるが、3mmより小さい直径を有する比較
的小径の球状PVA系含水ゲルを製造する場合には噴霧に
よつて液滴を形成させるのが効率的である。
液滴に接触させる陽イオン含有化合物を含有する水溶
液に界面活性剤を存在させておくと、液滴が球状を維持
した状態で陽イオン含有化合物を含有する水溶液中に浸
入し易くなる場合がある。とくに3mmより小さい直径を
有する比較的小径の球状PVA系含水ゲルを製造する場合
には、液滴が陽イオン含有化合物を含有する水溶液の表
面で偏平状態で表面固化する傾向があることから、それ
を抑制するために界面活性剤を使用することが望まし
い。界面活性剤としては、本発明に従う製造法に悪影響
を及ぼさない限りとくに限定されず、エレミノール、ノ
ニポール、オクタポール[いずれも三洋化成工業(株)
製]などのオリエチレングリコール誘導体などのノニオ
ン界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキ
ルフエノールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩な
どのアニオン界面活性剤;トーレシリコーンSH30PA[ト
ーレシリコーン(株)製]などの水溶性シリコンオイル
などが挙げられる。また界面活性剤及び陽イオン含有化
合物を含有する水溶液における界面活性剤の濃度も特に
限定されるものではないが、通常0.01〜5wt%の範囲内
が採用される。一方、陽インオ含有化合物としては使用
する水溶性高分子多糖類をゲル化し得る陽イオンを含有
する化合物であれば特に限定されず、塩化カルシウムな
どが例示される。陽イオン含有化合物を含有する水溶液
における陽イオン含有化合物の濃度は通常0.05モル/
以上乃至飽和濃度の範囲内が採用される。
陽イオン含有化合物を含有する水溶液中で成形された
固化した表面を有する球状成形物は水溶液から分離し
て、そのまま凍結する。凍結温度は−5℃以下で良い
が、より強力なPVAゲルを得るには−20℃以下がより望
ましい。凍結保持時間は2時間以上、好ましくは10時間
以上が良い。凍結処理によつて、球状成形物はゲル化す
る。これを微生物などの生体触媒に悪影響を及ぼさない
温度範囲に放置して解凍することによつて、球状のPVA
ゲルが得られる。
これらの球状のPVAゲルは1回の凍結−解凍処理によ
つても得られるが、PVA及び水溶性高分子多糖類を含有
する水溶液の組成や凍結条件によつては、必要な強度に
達しない場合もあり、好ましくは2回以上、更に好まし
くは3回以上の凍結−解凍をくり返すことによつて、強
度の充分高いゲルが得られる。
E.実施例 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1 (株)クラレ製のPVA(平均重合度1740、ケン化度99.
85モル%)を40℃の温水で約1hr洗浄後、PVA濃度8wt%
になる様にPVAに水を加え全量を40gにしてpH6に調整し
た。これをオートクレーブで120℃で30分処理すること
によりPVAを溶解した後、室温まで放冷した。このPVA水
溶液にアルギン酸ナトリウム0.4gを加えて、混合した
後、更にウレアーゼ0.5gを含む蒸留水を4ml添加して充
分攪拌した。
これらの混合液を先端に0.3mm口径のノズルを取りつ
けた噴霧器[日本精機(株)製タフエアレス−350]を
使用して60kg/cm2の吐出圧力で、攪拌した0.5mol/塩
化カルシウム水溶液に水表面10cmの高さより噴霧した。
なお、塩化カルシウム水溶液中には、界面活性剤として
トーレシリコーンSH30PA(トーレシリコーン(株)製)
を0.5wt%含有せしめた。滴下した液滴は塩化カルシウ
ム水溶液中で直ちに球状化して沈降した。これらの球状
化した成形物を全量塩化カルシウム水溶液と分離し、蒸
留水で軽く洗浄した後、−20℃±3℃の冷凍庫で凍結し
た。20hr凍結後、常温で解凍することによつて、不透明
な黄白色の柔軟性に富んだ球状のゲルが得られた。この
ゲルは球状に成形化され、粘着性もない。更に、このゲ
ルの強度を上げるため、以上の凍結−解凍処理を2回く
り返した。
この様にして得られたウレアーゼを固定化した球状の
PVA系含水ゲルは製造途中でその一部が容器等に付着し
た為、全重量は32g、直径は平均2.0mmで、全個数は約70
00個であつた。また水分率は89%であつた。
このウレアーゼを固定化した球状PVA系含水ゲルの表
面電位を電気泳動法にもとづくゼータメータ(米国ゼー
タメータ社製、オルガノ販売)により測定した。試料と
しては前もつて蒸留水中でミキサーにて微細化し、コロ
イド状態になつた部分を用いて常温にて測定したとこ
ろ、表面電位は−10mVであることが判明した。
ウレアーゼを固定化した球状PVA系含水ゲルの固定化
されていないウレアーゼに対する相対活性を次のように
して評価した。球状PVA系含水ゲルの50mg(ウレアーゼ
含量0.25mg)を1モル/の尿素水溶液5mlに加え、37
℃で10分間反応させた。また、これとは別に0.25mgのウ
レアーゼを1モル/の尿素水溶液5mlに加え、同じ条
件下で反応させた。両反応液中のアンモニア生成量を比
較した結果、ウレアーゼを固定化した球状PVA系含水ゲ
ルでは、98%の活性が保持されていることが判明した。
ウレアーゼを固定化した球状PVA系含水ゲルの流動水
中での流動性及び分散性を次のようにして評価した。上
部が高さ30cm、直径10cmの円筒状、下部が下に凸の90゜
の円錐状になつており、円錐部の最下部にエアストーン
をとりつけた透明な塩化ビニル樹脂製の槽の内部に、該
槽の円筒部と中心及び下端の高さが一致するように長さ
15cm、直径7cmの透明な塩化ビニル樹脂製の円筒をとり
つけた。この槽に蒸留水1.3及びウレアーゼを固定化
した球状PVA系含水ゲル260ccを仕込んだ。なお、液面は
内部の円筒の上端より高い位置にあつた。エアストーン
を通して2/分で空気を通気することにより槽内の水
を循環させ、ゲル粒子の流動性及び分散性を観察した。
全てのゲル粒子は流動しており、また分散性は良好であ
つた。
実施例2〜6 次に挙げる点を除き、実施例1におけると同様にして
ウレアーゼが固定化された球状PVA系含水ゲルを得た。
実施例2では界面活性剤としてトーレシリコーンSH30PA
の代りに同重量のノニポール500「三洋化成工業(株)
製]を使用した。実施例3では噴霧器のノズルの口径を
0.6mmに変更した。実施例4では噴霧器の代りに内径0.3
mmの注射針から液を滴解させることにより液滴を形成さ
せ、また液滴を滴下する塩化カルシウム水溶液には界面
活性剤を添加しなかつた。実施例5及び6では噴霧器の
代りにそれぞれ内径1.0mm及び2.0mmのノズルから液を滴
下させることにより液滴を形成させ、また液滴を滴下す
る塩化カルシウム水溶液には界面活性剤を添加しなかつ
た。
このようにして得られたウレアーゼが固定化された球
状PVA系含水ゲルについて、それぞれ実施例1における
と同様にして表面電位、相対活性、流動性及び分散性を
調べた。結果を第1表に示す。
比較例1及び2 (株)クラレ製のPVA(平均重合度1740、ケン化度99.
85モル%)を40℃の温水で約1hr洗浄後、PVA濃度8wt%
になる様にPVAに水を加え全量を40gにしてpH6に調整し
た。これをオートクレーブで120℃で30分処理し、PVAを
溶解した後、室温まで放冷した。このPVA水溶液にウレ
アーゼ0.5gを含む蒸留水を4ml添加して充分攪拌したの
ち、これらの混合液を2分した。
一方の液はそのままサンプルビンに入れ−20℃にて凍
結を行つた。その後実施例1と同様にして凍結及び解凍
を2回くり返すことによりゲル強度をあげた。このゲル
をミキサーにて粉砕し、1〜3mmの粒径とし、実施例1
と同様の反応に供した。粉砕状態のため球状でなく、ま
た表面電位がほとんどないため流動状態はきわめて不良
であつた。このため酵素活性は低い値にとどまつた。
(比較例1) もう一方の液を特開昭62−45637号公報に記載された
方法に従い、500ml攪拌槽で500rpmで攪拌されているヘ
キサン中に注射針により滴下して液滴を形成させた後、
−20℃にてフリーザ中にて一昼夜凍結した後、5℃にて
10時間解凍し結晶化を行つた。結晶化終了後、水洗する
ことによりヘキサンをPVAゲルより分離除去した。液滴
強度がよわく、またヘキサンのPVAゲルからの除去が困
難なこと等操作上大きな問題があつた。PVA溶液中に含
有されていた酵素の一部がヘキサン中に沈澱分離し、活
性上の低下を生じた。また、表面電位もほとんどなく、
流動性もきわめて不良であつた。(比較例2) これらの比較例1及び2の結果を第1表にあわせて示
す。
F.発明の効果 本発明によれば、上記の実施例から明らかなとおり、
流体中での流動性及び分散性が良好であり、しかも活性
が高いレベルで保持された固定化生体触媒における担体
として有用な球状PVA系含水ゲル及びその製造法が提供
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 弘明 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 審査官 森川 聡

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直径が1mmより大きく、かつ負の表面電位
    を有することを特徴とする球状ポリビニルアルコール系
    含水ゲル。
  2. 【請求項2】直径が1mmより大、3mmより小である請求項
    (1)記載の球状ポリビニルアルコール系含水ゲル。
  3. 【請求項3】直径が1.2mm以上、2.5mm以下である請求項
    (2)記載の球状ポリビニルアルコール系含水ゲル。
  4. 【請求項4】ポリビニルアルコール及び陽イオンとの接
    触によりゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類を含
    有する水溶液の液滴を、界面活性剤及び陽イオン含有化
    合物を含有する水溶液と接触させることにより、該液滴
    を球状に成形させた後、この球状成形物を−5℃以下で
    の凍結とそれに続く解凍からなる操作に少なくとも1回
    付することを特徴とする請求項(1)、(2)又は
    (3)記載の球状ポリビニルアルコール系含水ゲルの製
    造法。
  5. 【請求項5】ポリビニルアルコール及び陽イオンとの接
    触によりゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類を含
    有する水溶液の液滴を噴霧状態で形成させる請求項
    (4)記載の製造法。
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