JP2619864B2 - ばね用鋼材 - Google Patents

ばね用鋼材

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JP2619864B2 JP61292761A JP29276186A JP2619864B2 JP 2619864 B2 JP2619864 B2 JP 2619864B2 JP 61292761 A JP61292761 A JP 61292761A JP 29276186 A JP29276186 A JP 29276186A JP 2619864 B2 JP2619864 B2 JP 2619864B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばコイルばねやトーションバー等に使
用されるばね用鋼材に関する。
〔従来の技術〕
自動車の懸架用ばねとしてのコイルばねやトーション
バー等に使われるばね用鋼材は、省資源・省エネルギー
の観点から軽量化が強く望まれており、それに伴ってば
ね用鋼材は高応力で使われる傾向にある。そしてこの種
のばね用鋼材においては、疲労強度が高いことがきわめ
て重要である。
従来、ばね用鋼材としてオイルテンパー処理によって
高強度化されたものが広く使用されてきた。このばね用
鋼材は、全断面にわたって実質的に均一な焼戻し組織を
得るようにしている。従って、ばねとして使用される際
の曲げやねじり等に対して表層部では高応力で使われる
が、芯部では応力が低い。言い換えると、芯部では不必
要に高強度化されたものとなっており、高強度化するた
めに費やされたエネルギー等が有効に活用されていると
は言いがたい。
また、特公昭59-13567号公報に開示されているよう
に、断面内の結晶粒の分布に変化をもたせることによっ
て高強度化を図ったばね用鋼材も考えられている。この
ばね用鋼材は、Ac3変態点以上でかつAr1変態点以下で加
熱と冷却を複数回繰返すことにより、第9図に模式的に
示されるような結晶組織1aが得られるとされている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記従来例のような結晶粒の分布をもつ
ばね用鋼材を得るには、高周波誘導加熱と冷却を何度も
繰返す必要があり、加熱回数が多いことによる消費エネ
ルギーの増大を招いている。しかも、素材の組成が異な
れば加熱条件の設定が微妙に変化する等の理由から、加
熱回数が多いと材質の安定性に欠けるといった問題もあ
った。
また上記従来例(特公昭59-13567号公報)以外に、例
えば特開昭59-170241号公報に記載されているように制
御圧延によって結晶粒を微細化することも提案されてい
るが、単に結晶粒を微細化するだけでは結晶粒が比較的
丸い形状を呈した未加工の等軸粒であるので、表層部の
加工硬化や再結晶の抑制効果をもたらすことができず、
ばね鋼の高強度化を図る上で更なる改善の余地があっ
た。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明のばね用鋼材は、材料の表層部のみに、ダイス
による引抜き加工によってこの材料の軸方向と円周方向
に結晶粒が伸展しかつ微細化した加工集合組織を有する
とともに、この加工集合組織よりも深層に結晶粒が粗く
かつ伸展されていない未加工組織を有したことを特徴と
するものである。このばね用鋼材は、断面円形のもの以
外に、矩形や楕円形断面であってもよい。
〔作用〕
表層部の加工は、素材を加熱したのち、冷却の過程で
引抜き加工を行なうことによって、表層部のみの結晶粒
を伸展させて平坦な形状に微細化させればよい。加工前
の加熱は1度行なえばよい。このように表層部が加工さ
れたばね用鋼材は、結晶粒の伸展と微細化による効果に
加えて、表層部での加工硬化も発揮されるため、従来の
ように熱処理のみによって結晶粒の大きさに変化をもた
せたものに比べて、一層の高強度化が図れる。
そして本発明のばね用鋼材は、表層部のみが強化され
ているから、コイルばねやトーションバーのように主に
曲げやねじりの加わる応力条件下での使用に対して、高
強度化された部分(表層部)が有効に働くため、高強度
化に費やされたエネルギー等を有効に活用できる。
〔実施例〕
本実施例のばね用鋼材1は断面が真円形であり、例え
ばコイルばね等に使用される。このばね用鋼材1は、第
1図ないし第4図に模式的に示されるように、表層部の
みに塑性加工を受けた組織2(以下、加工集合組織と呼
ぶ)を有している。そして加工集合組織2よりも深層に
は、結晶粒の粗い未加工組織3がある。未加工組織3は
通常の調質組織でよい。
加工集合組織2は、第3図および第4図に示されるよ
うに鋼材1の軸方向と円周方向とに伸展されてこの方向
に結晶粒が平坦な形状になっているとともに結晶粒が微
細化し、強度(特に降伏点)が著しく上昇する。しかも
この加工集合組織2は結晶粒の微細化に加えて塑性加工
による加工硬化も含むため、加工による転位を導入した
表層部の加工集合組織2が凍結されることにより、結晶
粒を微細化した以上の強度が発揮される。
なお、通常のばね用鋼材では耐疲労性の向上を目的と
して、ショットピーニング処理が行なわれている。ショ
ットピーニングが行なわれた鋼材の断面内残留応力分布
の一般状態は、表層部においては圧縮残留応力場を呈
し、中心に向って引張り応力場を呈する。圧縮から引張
りに移行する材料深さは通常0.1〜0.2mm位であるから、
本実施例の加工集合組織2の加工深さもその程度とすれ
ば充分な効果が期待できる。本実施例では鋼材1の外径
d1に対して、加工集合組織2の深さを0.1d1前後とし
た。また、組織の粒度は一例として加工集合組織2では
結晶粒度13、未加工組織3では結晶粒度9である。
第5図に上記ばね用鋼材1を得るための装置の一例を
示す。同図において、加工前の素材1′は、塑性加工を
行なうためのダイス等の加工手段5を通過させて縮径さ
せられる。加工手段5の入口側には素材1′をオーステ
ナイト化温度まで加熱可能な加熱手段6と、過冷オース
テナイト温度まで冷却するための冷却手段7が設けられ
ている。加熱手段6は、例えば電源10とこの電源10に接
続されるローラ状の電極11等を備えて構成され、素材
1′に通電することによって抵抗加熱を行なう。
加工手段5の出口側には冷却手段13と、焼戻し用の加
熱手段14が設けられている。この加熱手段14も、電源10
に接続されるローラ状の電極15を備えている。なお、加
熱手段6,14は高周波誘導加熱装置であってもよい。図示
例では焼戻し用の加熱手段14を冷却手段13の搬出側に連
続して設けているが、この加熱手段14は、焼戻しをバッ
チで処理するために図示例とは別の位置に設けられてい
ても差支えない。加工手段5としてのダイスを用いた引
抜きは、圧延と異なり材料の軸方向に強制的に大きな引
張力が作用するためダイスと接する表層部の粒が伸ばさ
れやすく、材料表層部において軸方向と円周方向に平坦
な粒の加工集合組織が得られる。
素材1′は、第6図に示される温度履歴を経て熱処理
と塑性加工が行なわれる。まず加熱手段6によって素材
1′がオーステナイト域(850℃以上)まで急速加熱さ
れる。そののち、冷却手段7によって上記オーステナイ
ト温度からマルテンサイト変態の始まるMs点(約300
℃)までの間の所定温度に急冷される。この時の温度は
素材1′の組成に応じて適宜に設定される。そして所望
のMs点以上の温度に達した瞬間に加工手段5に導入され
て表層部が加工される。
加工度(減面率r)は、素材外径をd0,加工後の外径
をd1としたとき、 r=1−(d1/d02で表わされる。
加工域の長さLと深さhとの比h/LをΔとした場合、
第7図に示される降伏圧力のΔ依存の関係からわかるよ
うに、Δを約8.7以上の値にすれば、変形域が軸芯にま
で及ばなくなる。例えばダイスを用いた引抜き加工にお
いて、ダイス半角α=15°(0.2618rad)の場合には、 なる関係式より、Δ≧8.7の条件を満たすことのできる
減面率rの値を求めると、表層部のみの加工にとどめる
ための減面率rは0.11(11%)以下となる。但し5%未
満では所望の効果が得られなくなる。なお第8図に示さ
れるように、ダイス半角と変形が浸透しない限界の減面
率との間には相関関係がある。工業的に使用されるダイ
ス半角は7〜30degのものが多いこと、およびダイス半
角が増加するとダイスに加わる面圧力が増加し、ダイス
の摩耗の増加と寿命の低下を招くこと、更には、面圧力
が増加することにより、加工熱が増大し、所望の効果が
得られるなくなるので、減面率rは5〜20%の範囲とす
る。このように表層部のみを加工することによって、伸
展された微細な粒子の加工集合組織2が得られる。
加工後は組織を凍結するために冷却手段13によって更
に冷却が行なわれる。その後、必要に応じて加熱手段14
を用いて再加熱し、焼戻しが行なわれる。なお、加熱手
段6,14による素材1′の加熱速度については特に限定し
ないが、通電加熱や高周波誘導加熱のような急速加熱の
方が炭化物の微細分散と結晶粒の微細化にとって望まし
い。焼戻し後のばね用鋼材1は図示しないコイリングマ
シンによって成形され、コイルばねになる。
次表1は、素材1′にばね鋼SUP7を用いた場合の加工
条件の一例である。
以上の条件のもとで製造されたばね用鋼材1の主要諸
元を次表2に示す。なお、表1と表2はSUP7をばね用鋼
材に加工する際に、比較的柔らかく加工した例である。
なお、表層部の加工が行なわれていない従来材(第9
図参照)では、上記実施例と同じ硬さに熱処理した場
合、引張り強さσBは上記実施例と同等の値が得られた
が、降伏点σ0.2は152Kgf/mm2、疲労強度σwbは66Kgf/m
m2であった。すなわち本実施例品は従来材に比較して降
伏点および疲労強度(107回)とも優れている。
次表3は、SUP7をばね用鋼材に加工する際に、上限の
硬さ(HMV=608)に仕上げるための加工条件の一例であ
る。この加工条件で製造されたばね用鋼材1の主要諸元
を表4に示す。
表層部の加工が行なわれていない従来材では、上記実
施例と同じ硬さに熱処理した場合、引張り強さσBは21
0、降伏点σ0.2は185Kgf/mm2、疲労強度σwbは80Kgf/mm
2であった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、表層部の結晶粒が単に微細化してい
るだけでなく、表層部のみが材料の軸方向と周方向に伸
展されて微細化するようにダイスによって引抜き加工さ
れた加工集合組織を有し、この加工集合組織よりも深層
は伸展されていない通常の調質組織としたため、僅かな
回数の加熱処理と1度の表層部の引抜き加工を行なうだ
けで高強度のばねが得られる。そして表層部での結晶粒
の伸展と微細化に加えて加工硬化も含まれかつ再結晶の
抑制効果も得られるため、熱処理だけで結晶粒を微細化
しているに過ぎない従来材や制御圧延によって単なる微
細化をねらった従来材のように微細化された結晶が丸に
近い形状の等軸粒であるものに比較して一層の高強度化
が図れる。しかも本発明のばね用鋼材は表層部のみが強
化されているから、コイルばねやトーションバーのよう
に主に曲げやねじりの加わる使用条件のもとでは高強度
化された部分が有効に働く。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第6図は本発明の一実施例を示し、第1図
はばね用鋼材の径方向の断面図、第2図は軸方向の断面
図、第3図は第1図中のa部分を拡大して示す組織説明
図、第4図は第2図中のb部分を拡大して示す組織説明
図、第5図は熱処理と加工を行なう装置の一例を示す概
略図、第6図は素材の温度履歴を示す図である。第7図
は変形域の長さおよび深さと降伏圧力との関係を示す
図、第8図はダイス半角と減面率との関係を示す図であ
る。第9図は従来材の断面の一部を示す組織説明図であ
る。 1……ばね用鋼材、2……加工集合組織、3……未加工
組織。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】材料の表層部のみに、ダイスによる引抜き
    加工によってこの材料の軸方向と円周方向に結晶粒が伸
    展しかつ微細化した加工集合組織を有するとともに、こ
    の加工集合組織よりも深層に結晶粒が粗くかつ伸展して
    いない未加工組織を有したことを特徴とするばね用鋼
    材。
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