JP4131389B2 - ショットピーニング方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体形状の金属成品の表面にショットを投射して、被ショット面の硬度を向上させるショットピーニングの方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属成品の表面処理方法としては、バネや成品形状に鋳造した鋳鋼品、鋳造成品、ステンレス鋼などの金属成品を、その全部あるいは一部に、焼き入れ焼き戻し処理した後に冷間加工を施すショットピーニング法が知られている。この方法は、高周波誘導加熱などにより成品に約850℃前後で焼き入れし、600℃前後で焼き戻すという処理を行って、表面組織の変態を行わせた後、空冷し、常温あるいは温間で通常のピーニング加工を施して圧縮残留応力を生じさせて、疲労強度を増加させるものである。
【0003】
上記のようなショットピーニングでは、金属成品の表面にショットを投射させたときの衝突による塑性変形によって金属成品の表面に圧縮残留応力が生じる。そして、この圧縮残留応力は塑性変形部であるくぼみの大きさに比例する。また、塑性変形部であるくぼみの大きさは、ショット径に比例するので、圧縮残留応力とショット径も比例関係にあるといえる。
【0004】
つまり表層からより深い内部での内部圧縮応力や硬化の深さを得るためには、ショット粒径の大きなショットが有効であり、従来は、ショット径が1.2〜0.6mm程度のショットを用いていた。
【0005】
上記のような表面処理方法においては、熱処理工程とショットピーニング工程とを別個に行わなければならず、温度制御を伴う工程管理が煩雑でコスト高となるという問題があった。しかし、この問題に対して、金属成品の表面に、成品と同等以上の硬度を有する40〜200μmのショットを噴射速度100m/sec以上で噴射し、表面付近の温度をA3変態点以上に上昇させて、ブラスト処理により、圧縮残留応力の発生に伴う成品表面の硬化や疲労強度の増加と共に熱処理による表面の改質をも可能とした加工熱処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、高強度、高硬度な材質からなり、ショット径が異なる混合ショットを用いてブラスト処理を行い、金属成品の表面内部までのより深い圧縮応力の発生と表面粗さの向上を可能とし、特に、従来の多工程のショットピーニングやピーニング加工後の研磨加工などの処理工程を不要とした金属成品の表面処理方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第1594395号
【特許文献2】
特開平11−347944号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の特許文献1では、噴射速度および噴射密度(以降、カバレージと称する)との関係から、高速な噴射速度を得るためにショット径が40〜200μmである小さなショットを用いているので、圧縮残留応力や熱処理硬化の生じる成品表層からの深さには限界があった。
【0009】
また、前記の特許文献2におけるショットピーニングでは、ショット粒径が0.6mm〜0.03mmと1mm以下のショットを用いることを提案している。このような粒径のショットを用いたショットピーニングでは、図1に示すようにカバレージが500%付近を頂点として被処理物の表面近傍の圧縮残留応力は低下し始めることが知られている。このために、通常のショットピーニングはカバレージが500%以下の範囲で実施されている場合が多い。
【0010】
また、カバレージが500%以下のショットピーニングによって得られる硬さの増加分は、炭素鋼ではHVで50〜300程度であり必ずしも満足のゆくものではない。
【0011】
そこで、本発明の課題は、より高い表面硬度を付与することのできるショットピーニング方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のショットピーニング方法は、炭素鋼からなる回転体形状の金属成品の表面に、前記金属成品と同等以上の硬度を有するショットを投射し、前記金属成品の表面の硬度を向上させる金属成品のショットピーニング方法において、n:ショットカバレージ(%/100)、ρ:ショット粒密度(g/cm 3 )、D:ショット粒径(mm)、V:ショット速度(m/sec)、θ:ワーク中心からの偏心角度としたとき、ショット速度(V)が50〜250m/sec、ショット粒径(D)が0.03〜3.5mm、およびショットカバレージが3000〜20000%の範囲となり、かつ、n×ρ×D×(Vcosθ) 2 ≧3.0×10 6 となるように設定し、前記金属成品の被ショット部分を500nm以下の超微細結晶粒組織にすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のショットピーニング方法において、ワーク中心からの偏心角度θは、0〜45゜であることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のショットピーニング方法は、炭素鋼からなる回転体形状の金属成品の表面に、前記金属成品と同等以上の硬度を有するショットを投射し、前記金属成品の表面の硬度を向上させる金属成品のショットピーニング方法において、n:ショットカバレージ(%/100)、ρ:ショット粒密度(g/cm 3 )、D:ショット粒径(mm)、V:ショット速度(m/sec)、θ:ワーク中心からの偏心角度としたとき、ショット速度(V)が50〜250m/sec、ショット粒径(D)が0.03〜3.5mm、およびショットカバレージが3000〜20000%の範囲となり、かつ、n×ρ×D×(Vcosθ) 2 ≧3.0×10 6 となるように設定し、前記金属成品の被ショット部分を500nm以下の超微細結晶粒組織にすることを特徴とする。
【0015】
このショットによる衝突が連続して付加されることによって、金属成品の表面層の金属組織が微細化され、高強度で且つ高硬度な表面が生成される。特に、カバレージが3000%以上になると、金属成品の単位面積当たりに付与されるショットによるエネルギはきわめて大きくなる。そして、表面部分の塑性変形が頻繁に繰り返されることにより金属成品の表面層は500nm以下の超微細結晶粒からなる組織となる。
【0017】
上記の関係式において、nはショットの投射密度(カバレージ)を表しており、金属成品の被ショット面を満遍なくn回ショットしたと考えることができる。一般に質量mの物体が速度vで運動するときの運動エネルギeは、e=1/2mv2 で与えられるので、カバレージがnの場合のショットによる総運動エネルギEは、E=n(1/2)(4/3)πρ(D/2)32 で与えられる。これをショット粒子が接触した面積、0.36×(π/4)D2で除すと、ショットによって付与された被ショット面の単位面積当たりのエネルギとなる。つまり、前記の関係式は、この単位面積当たりに付与されたエネルギ(以降、K値と呼ぶ)が3.0×106 以上であれば、金属成品の被処理表面は500nm以下の超微細結晶からなる組織となることを示している。
【0018】
以上は、静止している被処理物(ワーク)の表面に垂直にショットを投射する場合であって、回転体形状の金属成品の表面(主として側面)にショットを投射する場合には前式と同程度の運動エネルギの付与では被処理物の表面を所望の超微細結晶組織とすることはできない場合がある。つまり、被処理物(ワーク)表面にショットが付与する運動エネルギは、衝突した面に垂直の成分のみが表面の塑性変形やひずみの蓄積に有効であるからである。
【0019】
回転体形状の金属成品としては、断面が円形の棒あるいはパイプなどを例示することができる。円形断面の被処理物(ワーク)の側面にショットピーニングを施す場合を図2によって説明する。図2は半径Rの円形断面のワークの側面に半径Lのショット発射口Aよりショットを投射する場合の平面模式図である。ここで、ショットはショット発射口Aより平行の束状となってワーク表面に投射される。
【0020】
ショット投射口Aの中心Qからワークの中心Oに向かって投射されたショットS1は、速度Vでワーク表面P1に垂直に衝突するので、P1にはショットS1の質量mと速度Vで与えられるエネルギe1が付与されることになる。しかし、ショット発射口Aは直径が2Lの円形断面、すなわち面積を持つので、例えば、発射口Aの最縁部から投射されるショットS2はワーク表面のP2点(ワーク中心からの偏心角度:θ)に速度Vで衝突する。しかし、P2点に作用する有効速度はVcosθである。従って、P2に付与される有効エネルギe2は1/2m(Vcosθ)2となる。すなわち、P1に付与されるエネルギe1よりも(cosθ)2だけ小さいエネルギしか付与されないことになる。
【0021】
以上は、ワークが静止している場合であるが、ワークが接線速度vで回転している場合についても同様である。いま、ショットS3が速度Vでワーク表面P3に衝突したとする。このとき、P3に働く力は、ショットの速度Vとワークの接線速度vとの合力V1となる。しかし、このV1のP3点での有効速度は、P3とワーク中心Oとを結んだ線上の分力V2であり、接線分力V3はP3点へのエネルギ付与という意味では無効である。すなわち、ショット速度Vの有効成分V2はVcosθとなる。
【0022】
ここで、ショットの投射速度は、50〜250m/secである。投射速度が50m/sec未満ではエネルギ不足であり、250m/secを越えると設備的な制約があり困難な場合がある。より好ましくは100〜200m/secである。
【0023】
次に、K値を3.0×106 以上とした根拠について説明する。ショット後の金属成品の表面硬さとK値との関係を図3に示す。図3はショット粒径、ショット速度、カバレージといったショットピーニング条件を変化して炭素鋼の表面を処理し、得られた表面の硬度を測定して、K値との関係をプロットしたものである。多少のばらつきはあるものの、ショット後の表面硬度とK値とはほぼ比例関係にあり、K値が増加するとショット後の表面硬度も増加することが分かる。ここで、ショット後の表面硬度をHv600以上とするには、K値は3.0×106 以上であれば良い。なお、カバレージ500%(すなわち、前述の圧縮残留応力が最高となるカバレージ)の場合には、ショット後の炭素鋼の表面硬度はHv600程度であることから、本発明のショットピーニング方法ではショット後の表面硬度をHv600以上とすることを目標とした。
【0024】
また、図4にはショット速度によるショット粒径とカバレージとの関係を示した。すなわち、横軸にショット粒径(mm)をとり、縦軸をカバレージ(%)として、ショット速度を、各々50m/s(◆)、100m/s(■)、150m/s(▲)200m/s(●)一定として計算で求めたものである。得られた各曲線の上方の範囲が本発明の範囲である。なお、ショットは鉄製のショットとし、比重は、7.87g/cm3として計算した。図4からショット速度が一定ならば、ショット粒径の減少に伴いカバレージは急激に増大することが分かる。ショット粒を細かくすればショットの投射速度を速くすることができるので、低カバレージで目的が達成できるわけである。例えば、粒径1mmのショットを100m/sの速度で投射して効果を得るには、5000%以上のカバレージが必要である。しかし、ショット粒径を0.6mmとして150m/sの速度で投射すれば、カバレージは3000%以上で同様の効果を得ることができる。
【0025】
本発明のショットピーニング方法によって得られたSCr30の焼鈍材の極表層の断面を図5に示す。図5のショットピーニング条件は、ショット粒径:1.4mm、ショット粒の硬さ:HV700、投射圧:0.3MPa、ショット速度:50m/sec、カバレージ:15000%で、K値は4.1×106であった。図5は、ピーニング表面から約200μmの範囲を示しているが、Sが最表面であり、ショットピーニングによって大きく波打っていることが分かる。黒く渦巻き状に見える部分(A)は直接ショットを受けて硬化した部分であり、その直下の白と黒との層状に見える部分(B)はショットの投射圧力で加工硬化した部分である。図5では示されていないが、(B)のさらに下の部分はショットピーニング処理の影響を受けていない未加工部分となっている。
【0026】
(A)のショット部位の組織は500nm以下の超微細結晶粒からなっており、硬度測定したところ(HV25gとした)HV681であった。また、(B)の加工硬化部位は700〜2000nmの微細結晶粒からなる組織であり、HV347であった。未加工部位は5〜10μmの結晶粒径であり、硬度はHV182であった。なお、(A)のショット部位の超微細結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定した。
【0027】
ここで、ショットの投射速度は、50〜250m/secであることが望ましい。投射速度が50m/sec未満ではエネルギ不足であり、250m/secを越えると設備的な制約があり困難な場合がある。より好ましくは100〜200m/secである。
【0028】
ワーク中止からの偏心角度θは、0〜45゜が好ましい。 θが45゜を越えるとエネルギ不足となるので適当ではない。
【0029】
また、ショット粒径は0.03〜3.5mmである。ショット粒径が0.03mm未満では、上記の式を満足するショット速度を得ることが困難な場合があり、一方、3.5mmを越えるとショット速度不足となって十分なエネルギを付与することができない。より好ましくは、0.1〜3mmである。
【0030】
さらに、カバレージは偏心角度θが0゜の場合には3000〜20000%である。カバレージが3000%未満では、必要なK値が得られない。一方、20000%を越えても被ショット面の硬度が飽和してしまって効果が得られない上に生産性を阻害するので適当ではない。より好ましくは、3000〜10000%である。なお、カバレージは偏心角度θによって変化し、例えば、θが45゜の場合にはcos2θが1/2となるので、0゜の場合の2倍となる
【0031】
ショットの材質については特に制限はないが、被処理物である金属成品と同等またはそれ以上の硬さを有するものが望ましく、具体的には、HV600以上であることが好ましい。例えば、鋳鉄、鋳鋼、高速度工具鋼、合金工具鋼、非鉄合金鋼などからなるショットを例示することができる。
【0032】
なお、K値は前記のように3.0×106以上であることが好ましいが、前記の投射速度の上限と、カバレージの上限とを考慮すると、K値の上限は7×107であることが適当である。
【0033】
【実施例】
(試験条件)
被処理物として炭素鋼(外径30mm×長さ30mm)の側面に、硬さHv700の鋼球(比重:7.87g/cm3)からなるショットを直径10mmのショット発射口から投射した。投射圧は0.3MPa一定とし、その他のショット粒径(D)、ショットカバレージ(%)、投射速度(m/sec)の条件を変化させて、実施例1a〜実施例4aと比較例1および比較例2の6水準のショットピーニングを施した。それぞれの条件と、算出されたK値とを表1に示した。
(評価方法)
ショット後の金属成品表面のビッカース硬度をmHV25gで測定した。また、各供試材の表面近傍からサンプルを切り出して断面を研磨、腐食して、走査型電子顕微鏡でショット部位の結晶粒径を測定した。結果を表1に併記した。
(偏心角度による調整)
本試験においては、ワーク中心からの偏心角度:θは、ワーク半径(図2のR)が15mmでワークオフセット量(図2のL)が5mmであるからsinθ=5/15を満足する角度であり、約19゜である。
【0034】
表1の各実施例のa欄はこの偏心角度が0゜の場合のデータであるので、何らかの方法で偏心角度による有効ショット速度の低下分を補わなければならない。具体的にこの場合には、粒径、投射速度、あるいはカバレージのいずれかを少なくとも12.5%(1/cos2θ)以上増加させることが必要となるわけである。
【0035】
各実施例のbはカバレージを高めた場合のデータであり、cは粒径を変化させた場合のデータ、dは投射速度を速くしてK値を補正した場合のデータである。
【0036】
【表1】
Figure 0004131389
【0037】
実施例1a〜実施例4aは、すべてK値が3.0×106以上であり、ショット後の表面硬さは、HV750〜879であった。そしてショット部位の結晶粒径は85〜120nmと超微細な結晶組織となっていた。
【0038】
一方、比較例1は、ショット粒径が1.1mmで、投射速度が110m/secと実施例1aと同一の条件であったが、カバレージが1000%と実施例1aの1/3であった。そのためK値は0.9×106と小さくなり、ショット後の表面硬さはHV445と低い値しか得られなかった。そして、結晶粒径は5000nm(5μm)と大きなものであった。また、比較例2はショット粒径と投射速度は実施例4aと同じであったが、これもカバレージが1000%と非常に小さいために、K値は0.3×106ときわめて小さな値であった。この結果、ショット後の表面硬さはHV400で、また、結晶粒径は8000nm(8μm)と実施例に比べて約40倍も大きな値であった。
【0039】
実施例1bは実施例1aのカバレージを約13%増大させて3400%とした場合である。K値は、3.2×106となり、表面硬さはHV825で、結晶粒径は200nmと、aとほとんど変わらない効果が得られた。実施例1cは、カバレージと投射速度はaと同じとして、ショット粒径のみを1.1mmから1.4mmと大きくしてショットピーニングしたデータである。K値は、3.6×106となり、表面硬さはHV840で、結晶粒径は180nmと、aとほとんど変わらない効果が得られた。また、実施例1dは、ショット粒径とカバレージとはaと同じとして、投射速度のみを110m/sから130m/sと大きくしてショットピーニングしたデータである。K値は、3.9×106となり、表面硬さはHV825で、結晶粒径は170nmと、aとほとんど変わらない効果が得られた。
【0040】
実施例2、3および4についても実施例1と同様に、ショット投射の偏心角度を考慮して、カバレージ、粒径、および投射速度を変化させたデータを採取した。その結果、いずれかのパラメータを変化させることで、aと同様の効果の得られることが分かった。
【0041】
また、ショットピーニング処理を施すことによって得られる硬さの増分は、ショット後の表面硬さからショットピーニング処理前の表面硬さを減じた値である。本実施例では、この値が480〜700ときわめて大きな値が得られた。これは通常の焼き入れ焼き鈍し処理によって得られる硬さの増加分(HVで300程度)に比べて約1.5倍以上であり、きわめて大きな表面改質効果の得られることが分かる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は通常行われるショットピーニング処理よりも数倍大きなショットカバレージとしているので、金属成品の被ショット面に付与されるショットの運動エネルギは極めて大きい。その結果被ショット面は500nm以下と超微細な結晶組織となるため、金属成品の表面硬度をHV600以上と、大きく向上することができる。従って、バルブやシャフトなどの耐摩耗性や曲げ疲労といった特性を大きく改善する好適な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素鋼のショットピーニング処理によるカバレージ(%)と圧縮残留応力との関係を示す概念図である。
【図2】ショットの投射速度と有効速度との関係を示す説明図である。
【図3】炭素鋼のショット後の表面硬さとK値との関係を示す図である。
【図4】比重7.87g/cm3の鉄ショットを用いた場合の投射速度によるショット粒径とカバレージとの関係を示す図である。
【図5】クロム炭素鋼のショット後の表面近傍の結晶組織を示す写真である。
【符号の説明】
A:ショット部位 B:加工硬化部位

Claims (2)

  1. 炭素鋼からなる回転体形状の金属成品の表面に、前記金属成品と同等以上の硬度を有するショットを投射し、前記金属成品の表面の硬度を向上させる金属成品のショットピーニング方法において、
    n:ショットカバレージ(%/100)、ρ:ショット粒密度(g/cm 3 )、D:ショット粒径(mm)、V:ショット速度(m/sec)、θ:ワーク中心からの偏心角度としたとき、
    ショット速度(V)が50〜250m/sec、ショット粒径(D)が0.03〜3.5mm、およびショットカバレージが3000〜20000%の範囲となり、かつ、n×ρ×D×(Vcosθ) 2 ≧3.0×10 6 となるように設定し、
    前記金属成品の被ショット部分を500nm以下の超微細結晶粒組織にすることを特徴とするショットピーニング方法。
  2. 前記ワーク中心からの偏心角度(θ)は、0〜45゜である請求項1に記載のショットピーニング方法。
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