JP2618653B2 - 肝性脳症患者用アミノ酸製剤 - Google Patents

肝性脳症患者用アミノ酸製剤

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JP2618653B2 JP62238237A JP23823787A JP2618653B2 JP 2618653 B2 JP2618653 B2 JP 2618653B2 JP 62238237 A JP62238237 A JP 62238237A JP 23823787 A JP23823787 A JP 23823787A JP 2618653 B2 JP2618653 B2 JP 2618653B2
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健昌 三條
幸史 國場
光晴 藤井
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ルセル森下株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明、肝性脳症を伴う重篤な患者に適したアミノ酸
製剤に関する。
〔従来の技術〕
近年肝疾患時における病態・生理が解明されるに伴
い、蛋白・アミノ酸代謝面からの研究が盛んとなり、肝
臓病患者用のアミノ酸製剤が種々提案されている。
例えば、特開昭49−135966には、バリン、メチオニ
ン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリ
プトファン、リジン及びトレオニンのα−オキシ酸を含
有する組成物が開示され、この組成物は、体内での蛋白
質合成において血液中の有害なアンモニアの利用を促進
し、その濃度を低下して肝臓病の治療に有効としてい
る。
特公昭56−27493には、肝性脳症の原因となる芳香族
アミノ酸の脳内への過剰移行を防止し、同時に栄養効果
により肝臓病の治療を図るとの観点から、必須アミノ酸
ないし非必須アミノ酸も含めた各アミノ酸の相関的モル
範囲、並びに分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸のモル比
率範囲を特定したアミノ酸製剤が開示されている。
また、三條らは、劇症肝炎患者の血漿中に激増した遊
離アミノ酸を人工肝補助システムにより除去した後に、
アミノ酸バランスを補正する目的で調整したアミノ酸製
剤(記号:THF)が、肝性脳症の改善に有効であったと報
告している(治療学,,606〜609(1979))。
〔発明が解決しようとする問題点〕
前記特公昭56−27493の発明については、既に輸液製
剤として実用化され臨床に供されているが、さらに有効
なアミノ酸製剤の開発が要望されている。
したがって本発明の目的は、肝性脳症患者に奏効する
アミノ酸製剤を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、肝性脳症アミノ酸製剤は、先ず、肝性
脳症起因物質として知られているアンモニアの代謝を促
進することによりその血中濃度低下にすぐれた効果を示
すこと、さらには肝性脳症時の血中アミノ酸パターンの
是正に有効であることが望ましいとの観点から、最適ア
ミノ酸組成を見出すべく鋭意研究した結果、所期の目的
を達成する本発明を完成することができた。
すなわち、本発明は、少なくとも下記アミノ酸を下記
組成範囲内で含有する肝性脳症患者用アミノ製剤を提供
するものである。
本発明のアミノ酸組成は、通常の栄養補給用アミノ酸
製剤の組成と比較して、アンモニア代謝に関与するアル
ギニン、イソロイシン、ロイシン、バリンの含量が相対
的に多く、一方、アンモニアを発生し易い糖原性のアミ
ノ酸であるトレオニンのほか、リジン、メチオニン、フ
ェニルアラニン、トリプトファン等の含量が相対的に少
なくなっている。また、前記特公昭56−27493に開示さ
れているアミノ酸組成(相関的モル範囲)との比較で
は、アルギニン含量が多く、一方トレオニン、メチオニ
ン、リジン及びプロリンの含量が少ないものとなってい
る。さらに、前記THFのアミノ酸組成との比較では、ア
ルギニン含量が相対的に多く、トレオニン、メチオニン
及びチロシンの含量が相対的に少なくなっている。
本発明に用いるアミノ酸は、遊離型のみならず薬理学
的に許容される塩、例えばナトリウム、カリウム等との
金属塩、塩酸、硫酸等との鉱酸塩若しくは酢酸、乳酸等
との有機酸塩の形で使用することができる。
本発明アミノ酸製剤の適用にあたっては、通常無菌水
溶液の形態で静脈注射、点滴等が行われ、本剤単独で、
又は現在市販されている糖質輸液、脂肪輸液、電解質輸
液等と併用してもよく、予め糖質、電解質、ビタミンあ
るいは必須微量元素と共に配合した輸液剤としてもよ
い。
また、経口投与可能な患者には、散剤、顆粒剤、細粒
剤等の固形製剤を適用してもよい。
これらの製剤は、通常用いられる製剤学的添加剤、す
なわち安定化剤やpH調整剤あるいは賦形剤、結合剤、矯
味剤等を使用し、公知の方法に従って製造できる。
〔実施例1〕 下記アミノ酸を下記濃度で注射用蒸留水に溶かしpHを
中性付近に調整後、除菌濾過する。次いでこの溶液をガ
ラス瓶に充填し、空間部を窒素置換後密栓し常法により
加熱滅菌してアミノ酸輸液を得た。
遊離アミノ酸としての全量 71.70 〔実施例2〕 実施例1と同様にして下記組成及び濃度のアミノ酸輸
液を得た。
遊離アミノ酸としての全量 74.70 〔実施例3〕 下記の比率でアミノ酸(粉末)、硬化油及びL−メン
トールを混合し、造粒機にて撹拌下加熱造粒した。冷
後、粒度500μ以下に分級し、次いで軽量無水ケイ酸を
加え、混合機にて混合し分包(3.0g包)して顆粒剤を得
た。
〔作 用〕 以下試験例を挙げて本発明の作用を説明する。
なお、前記特公昭56−27493の発明に基づく輸液製剤
(商品名、アミノレバン)を希釈し全遊離アミノ酸濃度
を7.5%(w/v)として対照液1とし、前記THFの処方か
ら同濃度の溶液を調整して対照液2として用いた。
(試験例1) 1日絶食した7週齢の雄性健常ラットの尾静脈に、試
験液(実施例2、対照液1及び対照液2)10ml/kgを注
射した。その2分後に10%塩化アンモニウム液(pH7.
0)を腹腔内投与して実験的昏睡を惹起させ、試験液の
昏睡抑制効果及びアンモニア負荷30分後の血中アンモニ
ア濃度を測定した。その結果、下記第1及び第2表に示
す如く実施例2のアミノ酸輸液は、対照液1及び対照液
2に比し、アンモニア誘発昏睡を有意に抑制し血中アン
モニア濃度も有意に低値であった。
(試験例2) 0.05%フェノバルビタール水自由飲水下、20%四塩化
炭素・オリーブ油混液2ml/kgを2回/週、10週間皮下投
与して作製した慢性肝不全ラットを用い、試験例1と同
様な方法により試験液(実施例2、対照液1、対照液
2、及び生理食塩水)のアンモニア誘発昏睡抑制効果を
調べた。なお、10%塩化アンモニウム液の投与量は2.26
ml/kgとし、負荷40分後に採血した。
その結果、下記第3表及び第4表に示す如く実施例2
のアミノ酸輸液は、対照液1、対照液2及び生理食塩水
に比し、有意にアンモニア誘発昏睡を抑制し血中アンモ
ニア濃度も低下させた。
(試験例3) ビーグル犬(3頭)に門脈・下大静脈吻合術を施し、
肝不全犬を作製した。通常飼育下、術後4〜8週目に流
涎、流涙、失調性歩行あるいは起立障害など肝性脳症の
昏睡度II以上に達したモデルを用いて、実施例2のアミ
ノ酸輸液を3.3ml/kg/hrの速度にて3時間末梢より持続
投与し、神経症状改善効果を調べた。
その結果、下記第5表、第6表に示す如く実施例2の
アミノ酸輸液は、肝性脳症時の異常神経症状を改善し血
中アンモニア濃度低下作用を示した。
〔発明の効果〕 本発明のアミノ酸製剤は、前記試験例からも明らかな
ように肝性昏睡発症の予防ないし症状改善にすぐれた効
果を示す。したがって本発明のアミノ酸製剤によれば、
肝性脳症を伴う重篤な患者に対してすぐれた治療効果を
あげることができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも下記アミノ酸を下記の組成範囲
    内で含有することを特徴とする肝性脳症患者用アミノ酸
    製剤。 組 成 アミノ酸 (g/全アミノ酸100g) L−イソロイシン 11.70〜13.00 L−ロイシン 12.00〜13.30 L−リジン 3.56〜 3.95 L−メチオニン 0 〜 0.62 L−フェニルアラニン 0 〜 0.43 L−トレオニン 2.72〜 3.00 L−トリプトファン 0.89〜 0.99 L−バリン 11.30〜12.50 L−アラニン 10.70〜11.80 L−アルギニン 16.60〜21.60 L−アスパラギン酸 0 〜 0.29 L−ヒスチジン 3.94〜 4.36 L−プロリン 6.75〜 7.46 L−セリン 3.31〜 3.67 L−チロシン 0 〜 0.56 アミノ酢酸 6.87〜 7.61
  2. 【請求項2】下記アミノ酸を下記の組成で含有すること
    を特徴とする請求項1記載の肝性脳症患者用アミノ酸製
    剤。 組 成 アミノ酸 (g/全アミノ酸100g) L−イソロイシン 12.32 L−ロイシン 12.65 L−リジン 3.75 L−メチオニン 0.59 L−フェニルアラニン 0.40 L−トレオニン 2.86 L−トリプトファン 0.94 L−バリン 11.91 L−アラニン 11.24 L−アルギニン 20.58 L−アスパラギン酸 0.27 L−ヒスチジン 4.15 L−プロリン 7.10 L−セリン 3.48 L−チロシン 0.54 アミノ酢酸 7.23
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