JP2618421B2 - 下塗兼用上塗塗料組成物 - Google Patents

下塗兼用上塗塗料組成物

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JP2618421B2
JP2618421B2 JP63010990A JP1099088A JP2618421B2 JP 2618421 B2 JP2618421 B2 JP 2618421B2 JP 63010990 A JP63010990 A JP 63010990A JP 1099088 A JP1099088 A JP 1099088A JP 2618421 B2 JP2618421 B2 JP 2618421B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はポリウレタン樹脂又はポリウレア変性ポリウ
レタン樹脂成形品用の下塗兼用上塗塗料組成物に関す
る。
[従来の技術] 従来、軟質材、例えば自動車バンパー等にポリウレタ
ン樹脂成形品が使用されているが、生産性や成形品の物
性が優れていることからアミン処方型のポリウレア樹脂
か又はポリウレア変性ポリウレタン樹脂成形品がしだい
に多用されつつある。一般に、ポリウレタン樹脂成形品
は塗料が塗装されてから使用に供されているが塗装には
通常、専用の下塗塗料と上塗塗料の組合せによる2コー
ト塗装系及び、下塗兼用上塗塗料による1コート塗装系
が適用されている。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、これらの塗装系に使用されている塗料
をポリウレア樹脂又はポリウレア変性ポリウレタン樹脂
成形物に適用する場合、素材と塗料間の密着不良を生じ
るという問題がある。この問題は、特にアミン処方型ポ
リウレア樹脂の場合、従来のグリコール処方型のものに
比較して、樹脂組成物が異なったり、硬化性が高かつた
りすることによつて起こるかまたはアミン処方型ポリウ
レア樹脂に内部離型剤が添加されていることによつて起
こるものと推測される。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは前記した問題点のない、殊にアミン処方
型ポリウレア樹脂成形物に対し1コート塗装系で密着性
の良好な塗料組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、本発明を完成するに至ったものである。
かくして、本発明に従えば、ポリエステルポリオール
樹脂及びアクリルポリオール樹脂から選ばれる少なくと
も1種の樹脂とアミノアルデヒド樹脂を含有するポリウ
レタン樹脂成形品用塗料組成物(A)に、酸性リン酸エ
ステル化合物又は酸性亜リン酸エステル化合物(B)を
添加してなることを特徴とするポリウレア又はポリウレ
タン樹脂成形品用下塗兼用上塗塗料組成物が提供され
る。
本発明によつて得られる塗料組成物はポリウレア樹脂
又はポリウレア変性ポリウレタン樹脂成形品に塗布する
ことにより1回の塗装工程でプライマーと上塗りの両機
能を付与することができ従来の2工程による塗装物と同
等もしくはそれ以上の機能を有する塗装物を提供するこ
とができるものである。
以下、本発明の下塗兼用上塗塗料組成物を詳細に説明
する。
本発明において用いられるポリウレタン樹脂成形品用
塗料組成物(A)は、ポリエステルポリオール樹脂及び
アクリルポリオール樹脂から選ばれる少なくとも1種の
樹脂とアミノアルデヒド樹脂を含有し、必要に応じて、
素材との密着力を向上させるピロリドン(又はその誘導
体)およびエポキシ基含有化合物を添加したもので、焼
付型上塗塗料としてまたは下塗兼用上塗塗料として用い
ることができるものである。
塗料組成物(A)におけるポリエステルポリオール樹
脂はフタル酸およびその酸無水物、イソフタル酸、テレ
フタル酸、トリメリツト酸およびその酸無水物、ヘキサ
ヒドロフタル酸およびその酸無水物、コハク酸、アジピ
ン酸、ピメリン酸、セバシン酸、ブラシリン酸などの多
塩基酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリシクロデ
カンジメタノールなどのポリオール成分とを常法に従い
縮合重合させることにより製造することができるもので
ある。その際末端封鎖剤として、例えば安息香酸、p−
t−ブチル安息香酸などを使用して分子量を調節しても
よい。又、上記酸成分の一部として耐候性をそこなわな
い範囲で、ヤシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマシ油脂
肪酸などの脂肪酸を使用し、該変性したものでもかまわ
ない。
また1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどで鎖
延長して変性したものでもかまわない。これらのポリエ
ステルポリオール樹脂は架橋に必要な水酸基価を有し、
好ましくは適当な可撓性が必要である。
また、塗料組成物(A)において用いられるアクリル
ポリオール樹脂はラジカル重合性のエチレン性不飽和結
合(>C=C<)を有する単量体を常法に従い重合させ
ることにより製造することが出来るものである。
該単量体として、水酸基を導入するための後記単量体
(1)を1部又は全部含む限り、特に制約が無く所望の
塗膜性能に応じて広範に選択することができ、2種又は
それ以上組合わせて使用することができる。
かかる不飽和単量体の代表例を示せば次のとおりであ
る。
(1)水酸基含有単量体:例えばヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリ
レートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC2〜8
ドロキシアルキルエステルが挙げられる。
(2)その他の単量体 (イ) アクリル酸又はメタクリル酸のエステル:例え
ば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタク
リル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアク
リル酸又はメタクリル酸のC1〜18アルキル又はシクロ
アルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタク
リル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メ
タクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチ
ル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメ
タクリル酸のC2〜18アルコキシアルキルエステル;グ
リシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートと
2〜18モノカルボン酸化合物(例えば酢酸、プロピオ
ン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、p−t
−ブチル安息香酸等)との付加物;カージユラE−10と
アクリル酸等の不飽和酸との付加物;アリルアクリレー
ト、アリルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリ
ル酸のC2〜8アルケニルエステル (ロ) ビニル芳香族化合物:例えば、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレ
ン、ビニルピリジン (ハ) α,β−エチレン性不飽和カルボン酸:例えば
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸 (ニ) グリシジル基含有ビニル系単量体:例えばグリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリ
ルグリシジルエーテル (ホ) アクリル酸又はメタクリル酸のアミド:例え
ば、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
N−ブトキシメチルアクリルアミド (ヘ) アルコキシシラン基を有するエチレン性不飽和
モノマー:例えばγ−メタクリロキシトリメトキシシラ
ン (ト) その他:アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ビニル
プロピオネート、ビニルピバレートなど これら不飽和単量体の共重合は、アクリル系共重合体
を製造するためのそれ自体公知の方法に従い、例えば溶
液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて行なうこ
とができる。
これらのアクリルポリオール樹脂は架橋に必要な水酸
基価を有し、好ましくは適当な可撓性が必要である。
つぎに塗料組成物(A)におけるアミノアルデヒド樹
脂はポリエステルポリオール樹脂および/又はアクリル
ポリオオール樹脂を架橋・硬化させるためのものであ
る。
アミノアルデヒド樹脂は、アミノ成分としてメラミ
ン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステ
ログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等
とアルデヒドとの反応によつて製造される。アミノ成分
と反応させるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、
パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアル
デヒド等がある。なお、アミノアルデヒド樹脂は適当な
アルコールによつて変性されるが、変性に用いられるア
ルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコ
ール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2
−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジ
ルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレン
グリコールエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチ
レングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソル
ブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチ
ルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル(エチルカルビトール)、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル(ブチルカルビトール)などがあ
る。アミノアルデヒド樹脂としてヘキサメトキシメチル
メラミンやそのメトキシ基の一部をC4以上のアルコール
で置換したメラミン樹脂を用いるときは、例えばパラト
ルエンスルホン酸のような常用の硬化触媒を添加するこ
とが好ましい。
また、塗料組成物(A)に必要に応じて添加されるピ
ロリドン(又はその誘導体)は、ポリウレア樹脂又はポ
リウレア変性ポリウレタン樹脂成形品の表面を膨潤させ
る目的で使用するものであり、0〜200PHR(重量部/樹
脂成分100重量部)、好ましくは10〜100PHR添加すると
良い。
ピロリドン(又はその誘導体)は常温で液体であり、
多くの有機化合物に対する溶解力が強いために、一般に
工業用溶剤として広く使用されている。具体的には2−
ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル
−2−ピロリドンなどが挙げられる。
これらのピロリドン(又はその誘導体)はいわゆる
“強い溶剤”であり、ポリウレア樹脂成形物のような凝
集力が強い熱硬化型の樹脂をも膨潤させるることができ
る。しかしながら、高沸点であること、吸水性であるこ
と、高価であるために塗料用溶剤としては通常使われて
いない。
ピロリドン(又はその誘導体)の添加量が200PHR以上
の場合、高沸点のため、焼付後にも塗膜中に残留して、
吸湿したり塗膜が粘着性を示したりして耐湿性が低下す
るので不適当である。
また、エポキシ基含有化合物はそのグリシジル基や水
酸基に基づく極性のためポリウレア樹脂との極性基同志
の親和力が強く、ポリウレア樹脂又はポリウレア変性ポ
リウレタン樹脂成形品と強固な密着力を示す。上記の目
的のために使用されるエポキシ基含有化合物は、エポキ
シ基 を1分子中に1個以上有する化合物である。
そのようなエポキシ基含有化合物としてはそれ自体公
知のものを使用することががき、例えば、ポリフエノー
ルをアルカリの存在下にエピクロルヒドリンと反応させ
ることにより製造することができるポリフエノールのポ
リグリシジルエーテルが包含される。ここで使用しうる
ポリフエノールとしては、例えばビス(4−ヒドロキシ
フエニル)−2,2−プロパン、4,4′−ジヒドロキシベン
ゾフエノン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−1,1−
エタン、ビス−(4−ヒドロキシフエニル)−1,1−イ
ソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フエ
ニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチ
ル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等が挙げら
れる。また、ジグリシジルエーテルと上記の如きポリフ
エノールを反応させ、さらにこれをエピクロルヒドリン
と反応させて得られるエポキシ基含有化合物も使用する
ことができる。
これらのポリフエノールはその芳香族環の一部又は全
部の二重結合に対し水素を付加した水添化合物も使用出
来、耐候性の点からは水添化合物の方が好ましい。
他の使用可能なエポキシ基含有化合物には、フエノー
ル系ノボラツク樹脂のポリグリシジルエーテル及び多価
アルコールのポリグリシジルエーテルが包含される。そ
の際多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリ
コール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリ
オール、グリセロール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘ
キシル−2,2−プロパン、ソルビトール等が挙げられ
る。
上記の他に1価のアルコール、例えばフエノール、2
−エチルヘキシルアルコールなども使用できる。
さらに、ポリカルボン酸例えば、こはく酸、グルター
ル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
二量化リノレン酸等のポリグリシジルエステルを使用す
ることもできる。
アクリル酸グリジルあるいはメタクリル酸グリシジル
のようなエポキシ基含有モノマーをそれ自身あるいは該
モノマーを1種又はそれ以上の他の重合性エチレン系不
飽和モノマー例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ス
チレンなどと重合させることによつて得られるエポキシ
基含有アクリルポリマーも使用することができる。さら
に、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリシクロ
アルケンなども使用可能である。
上記したエポキシ基含有化合物は数平均分子量が100
〜10,000、好ましくは200〜5,000のものが適当であり、
特にエポキシ当量が2,000以下、好ましくは87〜1,000の
範囲ポリフエノールのポリグリシジルエーテル及びその
水添物及び多価アルコールのポリグリシジルエーテルが
好適である。市販品としては例えば ポリフエノールのポリグリシジルエーテル型 Epikote 828(シエル化学社製) 平均分子量380、エポキシ当量約190 水添ポリフエノールのポリグリシジルエーテル型 サントートST−5080(東都化成社製) 平均分子量約1,200、エポキシ当量約600 多価アルコールのポリグリシジルエーテル型 デナコールEX314(長瀬産業社製) 平均分子量260、エポキシ当量約145 などを挙げることが出来る。
エポキシ基含有化合物の数平均分子量が10,000より大
きいと基体樹脂のポリエステルポリオールとの相溶性が
悪くなり、かつ素材表面への拡散速度が小さくなるため
密着力が低下する。また数平均分子量が100より小さい
と、一般に揮発しやすいため塗膜成分中に残り難くな
り、また残留していても、粘着性等の不具合を生じる。
さらにエポキシ当量が2,000以上だと、分子中のエポキ
シ基濃度が低いため、素材との密着力が低下する。
エポキシ基含有化合物の配合量はポリエステルポリオ
ール樹脂及びアクリルポリオール樹脂から選ばれる少な
くとも1種の樹脂成分およびアミノアルデヒド樹脂成分
の合計50〜95重量部に対して0〜50重量部、好ましくは
10〜30重量部の範囲で合計量が100重量部になるような
割合である。50重量部以上では、塗膜強度が低下し、耐
久性、耐候性、物性等が低下する。
前記した塗料組成物(A)は、適宜顔料を分散してエ
ナメルとして、又適当な溶剤、素材膨潤剤、ハジキ防止
やタレ、ワキ防止などの添加剤を混合して使用に供され
る 成分(B)として用いられる酸性リン酸エステル化合
物及び酸性亜リン酸エステル化合物はそれぞれ下記式
(I)及び(II)で示される化合物である。
前記式中、R1,R2は各々水素又はC1〜20の1価の有
機基を表わし、R1,R2の少なくとも一方は有機基であ
る。
かかる有機基としては例えばメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチ
ル、ラウリル、ステアリルなどのアルキル基;フエニル
ネトリル、キシリル、ナフチルなどのアリール基;ベン
ジル、フエニルエチル、メチルベンジル、ナフチルベン
ジルなどのアラルキル基;ビニル、アリル、オレイルな
どのアルケニル基;シクロペンタジエニル、2−シクロ
ブテニルなどのシクロアルケニル基;ビニルフエニルな
どのアルケニルアリール基などを挙げることができる。
中でもアルキル基が密着性に対する効果が大きいので好
適である。
本発明で使用される上記した酸性リン酸エステル化合
物又は酸性亜リン酸エステル化合物は、塗料中の樹脂固
形分100部に対し、酸当量として0.0005〜0.1グラム当
量、好ましくは0.0025〜0.05グラム当量の範囲で添加す
る。
酸性リン酸エステル化合物又は酸性亜リン酸エステル
化合物の添加量が0.0005グラム当量より少ないと、ポリ
ウレア樹脂又はポリウレア変性ポリウレタン樹脂成形物
に対する本願発明の塗料組成物の密着性が充分でなく、
又添加量が0.1グラム当量より多いと該塗料組成物の貯
蔵安定性が低下したり、塗膜の耐水性が低下する。
本発明の下塗兼用上塗塗料組成物は従来より行なわれ
ている塗装方法によって塗装できる。すなわち、溶剤で
塗装に適当な粘度に希釈した塗料を、エアスプレー、エ
アレススプレー、各種静電塗装、浸漬、ロール塗装、ハ
ケ、などにより常温または加温して塗装することができ
る。
本発明の下塗兼用上塗塗料組成物は、塗装後加熱によ
り乾燥させる。加熱条件は例えば、100〜180℃で10〜10
0分間の範囲内で適当な温度、時間条件を選べば良い。
本発明の下塗兼用上塗塗料組成物はポリウレア樹脂又
はポリウレア変性ポリウレタン樹脂成形品の上に塗装
し、そのまま使用に供しても良いし、さらに上塗を塗装
し2トーンカラー仕上げすることもできる。
[作用および効果] すなわち、本発明の組成物による塗膜はポリウレア樹
脂又はポリウレア変性ポリウレタン樹脂成形品と強固な
密着力を示し、ゴバン目密着試験による初期密着性は勿
論、耐湿試験、ガソリン浸漬試験及び耐候性試験を行っ
ても、良好な密着性を維持する。さらに、光沢、鮮映
性、耐薬品性、物性および耐候性などを充分に満足す
る。
前記した強固な密着力の得られるメカニズムは、素材
のポリウレア樹脂又はポリウレア変性ポリウレタン樹脂
中のウレア結合の2級アミンに対し、塗膜中の酸性リン
酸エステル又は酸性亜リン酸エステルが吸着し、アミン
とリン酸による中和によりイオンの結合を生じ強固な密
着力を示すものと考えられる。この際、酸性リン酸エス
テル又は酸性亜リン酸エステルはリン酸根と有機基を有
するため、界面活性作用を生じ、素材と塗膜との界面に
単分子層を生成し易く、かつ塗膜との親和性も有するた
め、効果が著しいものと推測される。
なお、酸性リン酸エステル又は酸性亜リン酸エステル
はポリオール樹脂とアミノアルデヒド樹脂の縮合反応の
触媒ともなり、塗料組成物(A)の硬化が促進されるた
め、密着力が向上するとも考えられる。しかしながら、
本発明者らの実験では、同じ触媒として知られているP
−トルエンスルフオン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンス
ルフオン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルフオ
ン酸(DNNDSA)などの、スルフオン酸系触媒では密着力
に全く効果が見られない。
したがつて、酸性リン酸エステル又は酸性亜リン酸エ
ステルの密着力への効果は、塗膜の硬化促進では無く、
前記したメカニズムによるものと思われる。
[実施例] 以下、本発明を実施例により説明する。
なお、部及び%は重量部及び重量%を示す。
[塗装素材の準備] 自動車外装用に使用されるリアクシヨン・インジエク
シヨンモールデイング・ポリウレア樹脂(スペクトリム
・ダウケミカル社製)及びポリウレア変性ポリウレタン
樹脂(バイフレツクス110−40,住友バイエル社製)成形
品をトリクロルエタン蒸気中に1分間曝して脱脂しテス
トピースとした。
[ポリウレタン樹脂成形品用焼付型上塗又は下塗兼用上
塗塗料の準備] 塗料A ポリエステルポリオール樹脂、アミノアルデヒド樹
脂、黒顔料及び溶剤等を下記の重量比で混合し、ボール
ミルで分散し塗料Aを得た。
部 60%ポリエステルポリオール樹脂溶液(注1) 108.3 60%アミノアルデヒド樹脂溶液(注2) 41.7 フアーネス型カーボンブラツク(注3) 3 キシレン 20 セロソルブアセテート 20 シリコンオイルKP−323(注4) 0.01 193.01 (注1)三井東圧化学社製、商品名オレスターXQ3469 (注2)三井東圧化学社製、商品名ユーバン22R (注3)キヤボツト社製、商品名ブラツクパールス1300 (注4)信越化学工業社製 塗料B 塗料A,193.01部に対し、エポキシ化合物、2−ピロリ
ドン等を下記のように配合し、塗料Bを得た。
部 塗料A 193.01 エピコート828(注5) 10 2−ピロリドン 20 223.01 (注5)シエル化学社製、ポリフエノール型エポキシ化
合物 塗料C ポリエステルポリオール樹脂、アミノアルデヒド樹
脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、アルミペー
スト及び溶剤を下記の重量比で混合し、デイスパーで撹
拌し塗料Cを得た。
部 60%ポリエステルポリオール樹脂溶液(注1) 116.7 60%アミノアルデヒド樹脂溶液(注2) 50.0 CAB−551−02(注6) 15 アルミペースト55−519(注7) 9.2 エピコート828(注5) 10 2−ピロリドン 30 キシレン 50 メチルエチルケトン 30 セロソルブアセテート 20 シリコンオイルKP−323(注4) 0.01 計 330.91 (注6)イーストマンケミカル&プラスチツク社製 (注7)東洋アルミニウム社製) 塗料D アクリルポリオール樹脂、アミノアルデヒド樹脂、黒
顔料及び溶剤を下記の重量比で混合し、ボールミルで分
散し黒ペーストを得た。
部 60%アクリルポリオール樹脂溶液(注8) 108.3 60%アミノアルデヒド樹脂溶液(注2) 41.7 フアーネス型カーボンブラツク(注3) 3 キシレン 20 セロソルブアセテート 20 193 上記の黒ペーストに対し、エポキシ化合物、2−ピロ
リドン等を下記のように配合撹拌し、塗料Dを得た。
部 黒ペースト 193 エピコート828(注5) 10 2−ピロリドン 20 シリコンオイルKP−323(注4) 0.01 223.01 実施例1〜2 前記の塗料B、223.01部にジブチル・ハイドロジエン
・フオスヘート[(C4H9O2P(O)(OH)],2.1部
(酸当量0.01グラム当量)添加し充分撹拌した。
かくして得られた塗料をキシレン/酢酸ブチル/メチ
ルエチルケトン=50/30/20(重量比)の混合溶剤で粘度
18秒(フオードカツプ#4、20℃)に希釈した。希釈剤
塗料を前記の塗料素材上に乾燥膜厚が約30ミクロンとな
るようエアスプレーし、室温で10分間静置した後、電気
熱風乾燥機中で120℃の温度で30分間焼付けて塗板を作
った。
さらに得られた塗板の半分をマスキングして、市販さ
れているプラスチツク用上塗(関西ペイント社製、商品
名ソフレツクスNo.1200白)を上記と同様にして塗装・
焼付けて、試験塗板を作つた。得られた塗板の試験結果
を表−2に示す。
実施例3 前記の塗料A,214.5部に2エチルヘキシル・ジハイド
ロジエン・フオスヘート[C8H17O−P(O)(O
H)],2.1部(酸当量0.02グラム当量)添加し充分撹
拌した。
以下、実施例1と同様にして試験塗板を作製した。得
られた塗板の試験結果を表−2に示す。
実施例4 前記の塗料C,264.7部にトリデカノール・ジハイドロ
ジエン・フオスヘート[C13H27O−P(O)(OH)],
0.7部(酸当量0.005グラム当量)添加し充分撹拌した。
以下、実施例1と同様にして試験塗板を作製した。得
られた塗板の試験結果を表−2に示す。
実施例5 前記の塗料D,223.01部にジラウリル・ハイドロジエン
・フオスフアイト[(C12H25O)−POH],4.18部(酸
当量0.01グラム当量)添加し充分撹拌した。
以下、実施例2と同様にして試験塗板を作製した。得
られた塗板の試験結果を表−2に示す。
比較例1 塗料Aを実施例1と同様にして試験塗板を作製した。
得られた塗板の試験結果を表−2に示す。
比較例2 塗料Bを実施例2と同様にして試験塗板を作製した。
得られた塗板の試験結果を表−2に示す。
比較例3 塗料Cを実施例1と同様にして試験塗板を作製した。
得られた塗板の試験結果を表−2に示す。
比較例4 塗料Dを実施例2と同様にして試験塗板を作製した。
作られた塗板の試験結果を表−2に示す。
以上の実施例1〜5、比較例1〜4の概要を表−1に
示す。
(注−1) 屋内における昼光色蛍光灯500ルツクス以
上の条件で塗膜の光沢感及び肉持感等を目視観察する。
(注−2) 60゜鏡面反射率を測定する。
(注−3) 各塗装板の塗膜面に対し、JIS K 5400のゴ
バン目セロテープ試験を行った。
(注−4) 3%硫酸水溶液0.2ccを塗面に滴下し、20
℃、75%RHで4時間放置した後、水洗して塗面を観察し
た。
(注−5) 1%水酸化ナトリウム水溶液0.2ccを塗面
に滴下し、20℃、75%RHで4時間放置した後、水洗して
塗面を観察した。
(注−6) 20℃の自動車ガソリン(日本石油会社製、
日石シルバーガソリン)中に、塗板を30分浸漬し、取出
後ガーゼで払拭して塗面の観察と、ゴバン目密着試験を
行った。
(注−7) 塗板を50℃、100%RHの耐湿性試験箱の中
に10日間置いた後取出し、塗面の観察とゴバン目密着試
験を行った。
(注−8) 塗板を−30℃の雰囲気に4時間放置後、こ
れを直ちに直径10mmの鉄の棒にはさんで180゜折り曲げ
た。屈曲部の塗膜にひび割れの無いものを合格、ひび割
れ発生のものを不合格とした。
(注−9) 塗板を、沖永良部島の暴露台上、南面22゜
の角度に12ケ月放置後、水洗して60゜グロスとゴバン目
密着試験を行った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 161:20) (C09D 167/00 161:20) (72)発明者 根津 嗣男 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 石黒 正春 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 松本 直次 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−124954(JP,A) 特開 昭54−95637(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルポリオール樹脂及びアクリル
    ポリオール樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂とア
    ミノアルデヒド樹脂を含有するポリウレタン樹脂成形品
    塗料組成物(A)に、酸性リン酸エステル化合物又は酸
    性亜リン酸エステル化合物(B)を添加してなることを
    特徴とするポリウレア又はポリウレタン樹脂成形品下塗
    兼用上塗塗料組成物。
  2. 【請求項2】(B)成分を塗料組成物(A)の樹脂固形
    分100重量部あたり0.0005〜0.10グラム当量含有する特
    許請求の範囲第1項記載の下塗兼用上塗塗料組成物。
  3. 【請求項3】塗料組成物(A)がピロリドン(又はその
    誘導体)及びエポキシ基含有化合物を含有する特許請求
    の範囲第1項記載の下塗兼用上塗塗料組成物。
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