JP2617783B2 - 肝臓癌疾患の診断用試薬 - Google Patents

肝臓癌疾患の診断用試薬

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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は肝臓癌疾患の診断のためのヒト体液中のヒト
コラゲナーゼインヒビターの定量用試薬に関するもので
ある。コラゲナーゼインヒビター(テイシユ・インヒビ
ター・オブ・メタロプロテアーゼ:TIMP)はヒト及びそ
の他の動物の骨、皮膚、歯髄、羊水、血液、関節液中及
び関節軟骨細胞、滑液細胞、各種組織由来線維芽細胞、
線維肉腫細胞培養外液中に存在するたん白質である(Mu
rphyら、Biochem.J.195、167〜170、1981;Welgusら、J.
Biol.Chem.258、12259〜12264、1983;Kishiら、J.Bioch
em.96、395〜404、1984等参照)。TIMPは特定のたん白
質であってたん白化学的に単一な物質である。本発明は
ウシコラゲナーゼインヒビターに対するモノクローナル
抗体のうち、ヒトコラゲナーゼインヒビターとも反応す
るコノクローナル抗体を用いるサンドイツチ法に基づく
酵素免疫学的測定法により、ヒト体液中のヒトコラゲナ
ーゼインヒビターを定量する方法に関するものであり、
そのヒトコラゲナーゼインヒビター量を健常人の血清
中、血漿中あるいは関節液中のヒトコラゲナーゼインヒ
ビター量と比べることにより肝臓癌疾患の診断を行うこ
とができるものである。
〔背景技術〕 コラゲナーゼインヒビターは、ヒトおよびその他の動
物の骨、皮膚、歯髄、羊水、血液、関節液中及び関節軟
骨細胞、滑液細胞、各種組織由来線維芽細胞、線維肉腫
細胞培養液中に存在することが知られている。コラゲナ
ーゼインヒビター量を測定する手段としては、従来、そ
の生物活性を測定することによる方法が知られている。
しかし、J.Lab.Clin.Med.75,258〜263(1970)にEisen
らが、また、Arthritis and Rheumatism27,285〜290(1
984)にCawstonらが記載しているように、血清中あるい
は血漿中のコラゲナーゼインヒビター活性を測定するに
は、それらの液中に、その測定を妨害する蛋白質、たと
えば、α−マクログロブリンが存在するため、従来知
られている測定方法によっては、その測定は不可能であ
る。早川、岩田らは、先に、ウシコラゲナーゼインヒビ
ターに対するモノクローナル抗体を用い、サンドイツチ
法に基づく酵素免疫学的測定法(EIA)を行うことによ
り微量の試料で精度良く、簡便かつ迅速にコラゲナーゼ
インヒビターを特異的に定量する方法を開発したが(特
願昭62−42781号)、本発明者らは、ヒト血清中あるい
は血漿中に存在するコラゲナーゼインヒビター量が、肝
臓癌疾患にかかることにより明らかに増加することを発
見し、血清中あるいは血漿中に存在するコラゲナーゼイ
ンヒビターの量を上記の酵素免疫学的測定法により測定
することによって、肝臓癌疾患の診断を行い得ることを
見出した。
〔発明の開示〕
本発明は、上述の如き知見に基づいてなされたもので
あって肝臓癌疾患を診断するためのヒト体液中のヒトコ
ラゲナーゼインヒビターの定量法であって、ウシコラゲ
ナーゼインヒビターに対するモノクローナル抗体で、ヒ
トコラゲナーゼインヒビターの異なる抗原決定基に対
し、特異的に結合する2種類のモノクローナル抗体の組
合せを用い、その一方を固相用抗体として使用し、他方
を酵素標識用抗体として使用して、サンドイッチ法によ
りヒトの血清中あるいは血漿中に存在するヒトコラゲナ
ーゼインヒビターを酵素免疫学的に定量するための診断
用試薬を提供するものである。
本発明者らは、ウシ歯髄の培養外液から精製したコラ
ゲナーゼインヒビターを含む溶液をBalb/cマウスの腹腔
内に投与することにより免疫した後、そのマウスのひ臓
細胞を分離した。そのひ臓細胞と8−アザグアニン耐性
ミエローマ細胞NS−1とを5:1の割合で混合し、50%ポ
リエチレングリコール4000中で融合させることによりハ
イブリドーマを得た。ポリスチレン製96穴マイクロウエ
ルに各ウエル当たり6.0×105個となるように得られたハ
イブリドーマを分散した後、HAT培地中で培養した。各
ウエルの培養液中にウシ歯髄コラゲナーゼインヒビター
に対する抗体が産生されているか否かを固相−抗体結合
テスト法(ELISA)によりチエツクし、それが陽性であ
るウエル中のハイブリドーマを限界希釈法によりクロー
ニングした。その結果、ウシ歯髄コラゲナーゼインヒビ
ターに対するモノクローナル抗体を産生する17種類のモ
ノクローンを得、その各モノクローンをBalb/cマウスの
腹腔内に投与することにより、モノクローナル抗体を含
む腹水を得た。その腹水から硫酸アンモニウムによる塩
析分別、DEAE−Sephacelによるイオン交換クロマトグラ
フイーおよびSephacryl S−300 Superfineによるゲルろ
過クロマトグラフイーなどによってモノクローナル抗体
を精製した。上記の如く精製した17種類のモノクローナ
ル抗体いずれもウシコラゲナーゼインヒビターと特異的
に交叉したが、それらのなかの4種類のモノクローナル
抗体、すなわち、IgG(クローン7−6C1)、IgG(クロ
ーン7−19F6)、IgG(クローン7−21B12)およびIgG
(クローン7−23G9)がヒトコラゲナーゼインヒビター
とも反応することをウエスタンブロツテイングによって
明らかにした。これら4種類のモノクローナル抗体のう
ち2種類のモノクローナル抗体、すなわち、IgG(クロ
ーン7−23G9)を固相用抗体とし、IgG(クローン7−6
C1)から調製したFab′(クローン7−6C1)−POD複合
体を標識抗体として用いたサンドイッチ法に基づくEIA
を行うことにより、ヒトコラゲナーゼインヒビターを微
量(1.5pg)で、特異的に、精度良く、定量することが
できた。このサンドイッチ法を用いて、健常人血清50検
体中のコラゲナーゼインヒビターを定量したところ、血
清1ml当たり184±30ngのコラゲナーゼインヒビターが存
在することがわかった。一方、原発性肝臓癌患者血清10
0検体中および転移性肝臓癌患者血清3検体中に存在す
るコラゲナーゼインヒビター量は血清1ml当たりそれぞ
れ平均486±316ngおよび1172±712ngであり、これらの
値は健常人血清中に存在するその値に比べて明らかに高
い。一方、肝硬変患者血清46検体、慢性活動性肝炎患者
血清45検体および慢性非活動性肝炎患者血清26検体の中
に存在するコラゲナーゼインヒビター量は血清1ml当た
りそれぞれ平均228±163ng、233±88ngおよび166±73ng
であり、健常人血清中に存在するその量と比べて有意の
差は認められなかった。従って、種々の肝臓病患者中で
も肝臓癌患者における血清中での特異的に高いコラゲナ
ーゼインヒビターの量に着目して、患者血清中のコラゲ
ナーゼインヒビター量を測定することにより、その患者
が、肝臓癌患者であるか否かを診断することができるこ
とになることが判った。また、健常人血漿26検体中のコ
ラゲナーゼインヒビターの量は血漿1ml当たり64±10ng
であるのに対し、原発性肝臓癌患者8検体中に存在する
コラゲナーゼインヒビター量は血漿1ml当たり583±447n
gであり、健常人血漿中に存在するその値に比べて明ら
かに高いことが認められた。
ただし、血清中あるいは血漿中に存在するコラゲナー
ゼインヒビター量増加の現象は、肝臓癌患者以外に慢性
関節リウマチ疾患患者についても認められるので、この
血清中のコラゲナーゼインヒビターの測定を、肝機能判
定法であるZTT(硫酸亜鉛混濁反応)、GOT(グルタミン
オギザロ酢酸トランスアミナーゼ)、GPT(グルタミン
ピルビン酸トランスアミナーゼ)、ALP(アルカリ性フ
オスフアターゼ)、LDH(乳酸脱水素酵素)、γ−GTP
(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)、PH(プロリ
ルハイドロキシラーゼ)およびAFP(α−フエトプロテ
イン)などの測定と併用することにより、被測定者の肝
臓癌の罹患の有無を診断することができるのである。
本発明においては上記の酵素免疫学的測定法が用いら
れるが、固相単体として抗原や抗体を受動的に良く吸着
するポリスチレン製、ポリカーボネイト製、ポリプロピ
レン製、あるいはポリビニール製のボール、マイクロプ
レート、ステイツク、試験管などの種々の材料および使
用形態が任意に選択、使用できる。一方、酵素標識を付
与する抗体としては、抗体含有物を硫安分画後、DEAE−
Sephacelの如き陰イオン交換ゲルにより精製したIgG画
分、さらにはペプシン消化後、還元して得られる特異的
結合部分Fab′を用いることもできる。
前述のとおり、本発明は、固相単体に結合させる抗体
および酵素標識を付与する抗体として、コラゲナーゼイ
ンヒビターの異なる抗原決定基に対し、特異的に結合す
る種類のモノクローナル抗体の組み合わせを用いた酵素
免疫学的測定法に基づいたヒトコラゲナーゼインヒビタ
ーの定量を行い、その結果を、健常人の値と比較するこ
とによって、被測定者が、肝臓癌疾患にかかっているか
否かを診断するものである。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。ただ
し、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例 1 抗ウシコラゲナーゼインヒビターモノクローナル抗体の
作製 (a)抗原−ウシコラゲナーゼインヒビターの調製 J.Biochem.96,395〜404(1984)に記載の本発明者ら
の方法に従いウシ未萌出知歯の根部歯髄をイーグルMEM
培地(日水製薬製)で培養した培養外液からCon A−セ
フアロース、ウルトロゲルAcA44およびDE−52セルロー
スの各カラムを用いてコラゲナーゼインヒビターを精製
した。精製インヒビターはJ.Mol.Biol.80,579〜599(19
73)に記載のLaemmliらの方法に従いドデシル硫酸ナト
リウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAG
E)で調べたところ分子量約32,000ダルトン(D)の単
一バンドを示した。
(b)抗体産生細胞の調製 6週令のBalb/c雌マウス2匹をまずフロインド完全ア
ジユバンド中で、前記(a)で記述した精製ウシコラゲ
ナーゼインヒビターで初回免疫する。マウスにそれぞれ
48μgのウシコラゲナーゼインヒビターを0.4mlの溶液
として腹腔内投与する。さらに30日目に生理食塩水に溶
解した84μgのウシコラゲナーゼインヒビターを追加免
疫する。最終免疫として58日目に腹腔内投与(95μg/50
0μl生理食塩水)により補助免疫し、3日後にマウス
脾臓を取り出し、脾細胞を調製する。
(c)細胞融合 (1)以下の材料および方法を用いる。
RPMI1640培地:PRMI No.1640(Difco Laboratories)
に重炭酸ナトリウム(12mM)、ピルビン酸ナトリウム
(1mM)、L−グルタミン(2mM)、ペニシリンGカリウ
ム(50U/ml)、硫酸ストレプトマイシン(50μg/ml)、
および硫酸アミカシン(100μg/ml)を加え、ドライア
イスでpHを7.2にし、0.2μm東洋メンブレンフイルター
で除菌過する。
NS−1培地:上記RPMI1640培地に除菌過した仔牛胎
児血清(M.A.Bioproducts)を15%(v/v)の濃度に加え
る。
PEG4,000溶液:RPMI1640培地のポリエチレングリコー
ル4,000(PEG4,000、Merck&CO.,Inc.)50%(w/w)無
血清溶液を調製する。
8−アザグアニン耐性ミエローマ細胞NS−1(P3−NS
1−1)との融合はSelected Method in Cellular Immun
ology(ed.B.B.Mishell and S.M.Shiigi)、W.H.Freema
n and Company(1980)、351〜372に記載のOiらの方法
を若干改変して行った。
(2)前記(b)で調製した有核脾臓細胞(生細胞率10
0%)とミエローマ細胞(生細胞率100%)とを5:1の割
合で融合する。脾臓細胞とミエローマ細胞とを別に前記
のRPMI1640培地で洗浄する。次に同じ培地にけん濁し、
融合させるため上記の割合で混合する。容量50mlの円錐
形スチロール樹脂製試験管(Iwaki Glass)を用い、40m
lのRPMI1640培地中400×g、10分間遠心し、上清を完全
に吸出する。沈澱細胞に37℃加温PEG4,000溶液1.3mlを
穏やかに撹拌しながら1分間で滴下し、さらに1分間撹
拌し細胞を再けん濁、分散させる。次に37℃加温PRMI16
40培地1.3mlを1分間で滴下する。この操作をさらに1
回繰返した後、同培地9mlを2〜3分間で常に撹拌しな
がら滴下し細胞を分散させる。これを400×g、10分間
遠心分離し、上清を完全に吸引除去する。次にこの沈澱
細胞に37℃加温NS−1培地12.9mlをすみやかに加え、細
胞の大きい塊りを10mlのピペツトを用いて注意深くピペ
ツテイングして分散する。さらに同培地26mlを加えて希
釈し、ポリスチレン製96穴マイクロウエル(Iwaki Glas
s)にウエル当り6.0×105個/0.1mlの細胞を加える。な
お、この時使用する96穴マイクロウエルは前処理として
0.2mlのNS−1培地を加え、炭酸ガス培養器中(37℃)
で一晩保温し、使用時に培地を吸引除去しておく。細胞
を加えた上記のマイクロウエルを7%炭酸ガス/93%空
気中で温度37℃、湿度100%下に培養に付する。
(d)選択培地によるハイブリドーマの選択的増殖 (1)使用する培地は以下のとおりである。
HAT培地:前記(c)で述べたNS−1培地にさらにヒ
ポキサンチン(100μM)、アミノプテリン(0.4μ
M)、およびチミジン(16μM)を加える。
HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT培
地と同一組成のものである。
(2)前記(c)の培養開始後翌日(1日目)、細胞に
パスツールピペツトでHAT培地2滴(約0.1ml)を加え
る。2、3、5、8、11日目に培地の半分(0.1ml)を
新しいHAT培地で置き換え、14日目に培地の半分を新し
いHT培地で置き換える。以降3〜4日毎に培地の半分を
新しいHT培地で置き換える。通常2〜3週間で充分なハ
イブリドーマの生育が観察される。ハイブリドーマ生育
全ウエルについて次項(e)記載の固相−抗体結合テス
ト法(ELISA)により陽性ウエルをチエツクする。次に
フイーダーとして107個のマウス胸腺細胞を含むHT培地1
mlをポリスチレン製24穴セルウエル(Iwaki Glass)に
加えたものを用い、上記で検出された各陽性ハイブリド
ーマの全内容物を移す。これを上記(c)におけると同
様に7%炭酸ガス存在下、37℃で約1週間培養に付す
る。その間1〜2回各ウエルの上清0.5mlを新しいHT培
地0.5mlと交換する。ハイブリドーマの充分生育した時
点でELISA法により陽性を再確認し、それぞれについて
次項(f)記載の限界希釈法によるクローニングを行
う。なお、クローニングに使用後の残液をポリスチレン
製25cm2組織培養フラスコ(Iwaki Glass)に移し、凍結
保存用試料を調製する。
(e)固相−抗体結合テスト(ELISA)による抗ウシコ
ラゲナーゼインヒビター抗体産生ハイブリドーマの検索 Anal.Biochem.104,205〜214(1980)に記載のRennard
らの方法を若干改変した方法を用いる。この方法は、ハ
イブリドーマ抗体の検出に適している。96穴ミクロタイ
トレーシヨンプレート(Flow Laboratories,Inc.)を0.
5〜1.0μgのウシコラゲナーゼインヒビターでコート
し、次に、未コート部分を1%牛血清アルブミン(BS
A)でブロツクする。これに前記(d)で得られたハイ
ブリドーマ生育ウエルの上清の一部を加えて室温で約1
時間インキユベートする。2次抗体として西洋わさびペ
ロキシダーゼ標識ヤギ抗マウスイムノグロブリン(capp
el Lab.)を加え、さらに室温で約1時間インキユベー
トする。次に過酸化水素と基質である−フエニレンジ
アミンを加え生成した褐色の程度を肉眼で定性的に判定
するか、あるいはコロナ2波長マイクロプレート光度計
(MTP−22、コロナ電気社)を用いて500nmの吸光度を測
定する。
(f)クローニング 前記(d)の操作後、各ウエル中には2種以上のハイ
ブリドーマが生育している可能性があるので、限界希釈
法によりクローニングを行い、モノクローナル抗体産生
ハイブリドーマを取得する。NS−1培地ml当りフイーダ
ーとして107個のマウス胸腺細胞を含むクローニング培
地を調製し、96穴マイクロウエルの36ウエル、36ウエル
および24ウエルにウエル当り5個、1個および0.5個の
ハイブリドーマを加える。5日目、12日目に全ウエルに
各約0.1mlのNS−1培地を追加する。クローニング開始
後14〜15日で充分なハイブリドーマの生育が認められ、
コロニー形成陰性ウエルが50%以上である群についてEL
ISA法を行う。テストした全ウエルが陽性でない場合、
抗体陽性ウエル中のコロニー数を確認し、ウエル中に1
コロニーが確認されたウエルを4〜6個選び再クローニ
ングする。最終的にウシコラゲナーゼインヒビターに対
するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ17株が得ら
れた。
(g)モノクローナル抗体の生体外増殖および生体内増
殖 モノクローナル抗体の増殖は常法による。すなわち、
モノクローナル抗体は、得られた各ハイブリドーマをNS
−1培地などの適当な培養液で培養(生体外増殖)し、
その培養上清から得ることができる(モノクローナル抗
体たん白質濃度は10〜100μg/mlである)。一方、大量
に抗体を得るためには脾細胞とミエローマ細胞の由来動
物と同系の動物(Balb/c、マウス)に腫瘍形成促進剤プ
リスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン、Ald
rich Chemical社)をマウス一匹当たり0.5ml腹腔内投与
し、1〜3週間後に、各ハイブリドーマ1×107個を同
じく腹腔内投与することにより、生体内で、さらに、1
〜2週間後、4〜7mg/mlのモノクローナル抗体を含む腹
水を得ることができる。
(h)モノクローナル抗体のアイソタイプ 前記(g)で得られた各々の腹水を先ずウシコラゲナ
ーゼインヒビターをコートしたミクロタイトレーシヨン
プレートに前述したELISA法に従って結合させる。PBSに
よる洗浄後次に、アイソタイプ特異的ウサギ抗マストIg
抗体(Zymed Laboratories)を加える。PBSによる洗浄
後、西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG
(H+L)抗体を加え、基質として2,2′−アジノージ
(3−エチルベンゾチアゾリン硫酸−6)および過酸化
水素を用いて検出した。その結果をまとめて後掲の第1
表に示した。得られたウシコラゲナーゼインヒビターに
対するモノクローナル抗体の内15個が免疫グロブリン鎖
γ1/κを、1個がγ2a/κを、そして、1個がγ2b/κを
有していた。
(i)モノクローナル抗体の精製 前記(g)で得られた各腹水を硫安分画(40%飽和)
後、塩化ナトリウム0.06Mを含む40mMリン酸緩衝液、pH
8.0で平衡化したDEAE−Sephacel(pharmacia社)の非吸
着画分を分取し、このIgG画分を更に0.42M塩化ナトリウ
ムを含む50mMリン酸緩衝液、pH7.4で平衡化したSephacr
yl S−300Superfine(Pharmacia社)カラムでゲル過
し、培地中のFCSおよびマウス由来のたん白質を分離、
除去した。
実施例 2 ウシ歯髄コラゲナーゼインヒビターとモノクローナル抗
体との交叉性 (a)酵素標識モノクローナル抗体(Fab′−POD複合
体)の調製法 (1)Fab′画分の調製 実施例1(i)で得られたIgG画分を0.1M塩化ナトリ
ウム含有0.1M酢酸緩衝液(pH4.2)に溶解し、その溶液
を以下述べるようにしてペプシンで消化した。すなわ
ち、前記画分中のIgGに対して2%(w/w)のペプシンを
加え、37℃、24時間消化した。更にその消化物に2Mトリ
ス溶液を加えてpH7.0を調整することにより消化反応を
停止させ、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したウ
ルトロゲルAcA44カラム(LKB製)を用いたゲル過によ
りF(ab′)画分を分取した。
次に、このF(ab′)画分をエチレンジアミン四酢
酸(EDTA)含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)中で透析
し、終濃度10mMとなるようにアミノエタンチオール(ME
A)を加えて37℃で1.5時間還元した後、5mM EDTA含有0.
1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したウルトロゲルAcA
44カラムを用いてゲル過し、Fab′画分を分取した。
(2)マレイミド標識POD画分の調製 上記(1)の操作とは別に、以下述べるようにして西
洋わさび由来ペルオキシダーゼ(POD)にマレイミドを
標識した。すなわち、PODを10mg/mlの量で0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.0)に溶解し、そのPODに対して、25倍モル量
のN−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イ
ミド(EMCS)をジメチルホルムマミド溶液として加え、
30℃、30分間反応させた。これを0.1Mリン酸緩衝液(pH
6.0)で平衡化したセフアデツクスG−50カラムでゲル
過し、マレイミド標識POD画分を分取した。
(3)Fab′−POD複合体画分の調製 上記(1)の如くして調製した画分中のFab′に対し
て上記(2)で得られた画分中のマレイミド標識PODと
して等モルになるようにして、両画分を混合し、更にFa
b′およびマレイミド標識PODの終濃度が100uMとなるよ
うに5mM EDTA含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で希釈し
た。この混合液を4℃、20時間反応後、Fab′の10倍モ
ル量のN−エチルマレイミドで未反応のチオール基をブ
ロツクした。これを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡
化したウルトロゲルAcA44カラムでゲル過し、Fab′−
POD複合体画分を分取後、0.1%牛血清アルブミン(BS
A)及び0.005%チメロサールを添加し、4℃で保存し
た。
(b)ウエスタンブロツテイング 実施例1(a)項で精製したウシ歯髄コラゲナーゼイ
ンヒビターをSDS−PAGEに供した後、市販のPOD標識ヤギ
抗マウス免疫グロブリンおよび上記実施例2(a)で得
られたFab′−POD複合体を用いて細胞工学1&2、1061
〜1068(1983)に記載の田部の方法に従ってウエスタン
ブロツテイングを行い、酵素標識抗体による染色のパタ
ーンを得た。これを第1図に示す。第1図において、A
及びBはウエスタンブロツテイング後のニトロセルロー
ス膜をそれぞれ実施例2(a)で得られたFab′(クロ
ーン7−3F1)−POD複合体及びFab′(クローン7−21B
12)−POD複合体で免疫染色した結果を示すものであ
る。
また、1〜16は下記の各モノクローナル抗体(いずれ
もIgGタイプ)の溶液にウエスタンブロツテイング後の
ヒトロセルロース膜を浸した後、あらためて各ニトロセ
ルロース膜をPOD標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cap
pel Labortatories製)で免疫染色した結果を示すもの
である。
1:クローン7−3F1、2:クローン7−4F2、3:クローン
7−5A1、4:クローン7−6C1、5:クローン7−7F11、6:
クローン7−8B2、7:クローン7−9B4、8:クローン7−
10E11、9:クローン7−11A5、10:クローン7−12B6、1
1:クローン7−15E8、12:クローン7−18F3、13:クロー
ン7−19F6、14:クローン7−20C2、15:クローン7−21
B12、16:クローン7−23G9。
第1図に示されるところから明らかなように、上記の
モノクローナル抗体は、いずれもウシ歯髄コラゲナーゼ
インヒビターと交叉することがわかった。
実施例 3 サンドイツチ酵素免疫測定法 (a)モノクローナル抗体結合ボールの調製法 J.Immunoassay,209〜327(1983)に記載の石川らの
方法に従って実施例1(i)で得られたモノクローナル
抗体を0.1%アジ化ナトリウム含有0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.5)に溶解し、それを100μg/ml(A280=0.15)の濃
度に調整した後、そのモノクローナル抗体溶液にポリス
チレンボール(径6.5mm、Precision Plastic Ball製)
を浸漬し、4℃に24時間静置した。次にモノクローナル
抗体溶液を除去した後、0.1%BSA、0.1%塩化ナトリウ
ム及び0.1%アジ化ナトリウム含有10mMリン酸緩衝液(p
H7.0)(以下緩衝液Aと略記する)で5回洗浄した後、
緩衝液Aに浸し、4℃で保存した。
(b)サンドイツチ測定法 精製したコラゲナーゼインヒビター溶液、あるいはコ
ラゲナーゼインヒビターを含む試料溶液を1%BSAを含
む緩衝液Aで希釈し、各試験管に300μlを加えた。次
に前記(a)項で調製した抗体結合ボールを加え、37℃
で1時間振とう加温後(第1反応)、0.1M塩化ナトリウ
ム含有10mMリン酸緩衝液(pH7.0)3mlで各試験管を3回
洗浄した。次に実施例2(a)項で調製したFab′−POD
複合体を20ng/試験管となるように0.1%BSA及び0.1M塩
化ナトリウム含有10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し3
0℃で1時間振とう加温した(第2反応)。反応終了
後、第1反応終了時と同様に洗浄した。次に0.1M酢酸緩
衝液(pH5.5)に溶解したPOD基質、すなわち0.0134%テ
トラメチルベンチジン(TMBZ)を0.3ml加え、更に0.01
%過酸化水素0.1mlを加えて30℃で1時間振とう加温
(第3反応)後、1.33N硫酸0.6mlを添加することにより
反応を停止させた。その反応混液のA450値を分光光度計
で測定し、標準直線より試料中のコラゲナーゼインヒビ
ター量を求めた。
(c)サンドイツチ測定用モノクローナル抗体の選択 コラゲナーゼインヒビターを定量することが可能なモ
ノクローナル抗体の組み合わせを探す目的で実施例1
(i)項の方法で精製したクローン7−3F1、7−6C1、
7−19F6、および7−21B12の各モノクローナル抗体か
らFab′−POD複合体を調製した。一方、クローン7−3F
1、7−4F2、7−5A1、7−6C1、7−7F11、7−8B2、
7−9B4、7−10E11、7−11A5、7−12B6、7−15E8、
7−18F3、7−19F6、7−20C2、7−21B12、および7
−23G9の各モノクローナル抗体を固相として、試験管当
たり1ngの精製したウシ歯髄コラゲナーゼインヒビター
を用いて実施例3(b)項の方法によりサンドイツチ定
量を行った。得られたA450値を後掲の第2表に示す。な
お、第2表中のA450値は試料1ng添加の値からコラゲナ
ーゼインヒビターを添加しない時の値を差し引いた数値
である。上記4種類のいずれのFab′−POD複合体を用い
た場合においても、固相として7−4F2、7−11A5、7
−12B6、7−18F3、7−20C2、および7−23G9の6種類
の抗体を用いた時のA450が2以上の値を示した。次にこ
れら24通りの組み合わせについて、ウシ歯髄コラゲナー
ゼインヒビターの添加量を変えてサンドイツチ定量を行
った。Fab′(クローン7−6C1)−PODを複合体とし
て、クローン7−23G9抗体を固相とした場合に得られた
結果を第2図に示す。第2図に示すように、添加したウ
シ歯髄コラゲナーゼインヒビター量とA450の間に直線関
係が成立し、定量感度は試験管当たり約1pg(3a mol)
であった。上記以外の組み合わせについても上記の直線
関係がみられ、いずれの組み合わせについてもサンドイ
ツチ定量が可能であることがわかった。
実施例 4 ヒト血清中のコラゲナーゼインヒビターの同定 (a)アフイニテイカラムの調製 Nature214,1302〜1304(1967)に記載のAxnらおよ
びProc.Natl.Acad.Sci.USA,61 636〜643(1968)に記載
のCuatrecasasらの方法に従って臭化シアンを介して担
体のセフアロース4Bにリカンドとして実施例1(i)で
得られた精製モノクローナル抗体を固定化した。次に抗
体結合セフアロース4Bゲル0.3mlをガラス管に充填し、
0.1M塩化ナトリウムおよび5mM塩化カルシウム含有30mM
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化し使用した。
(b)ヒト血清コラゲナーゼインヒビターのアフイニテ
イカラムクロマトグラフイー ヒト血清1mlを0.1M塩化ナトリウムおよび5mM塩化カル
シウム含有30mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に対して
透析した後、上記(a)項記載の方法に従って調製した
クローン7−21B12抗体結合セフアロース4Bカラムに供
し、上記緩衝液で洗浄し(非吸着画分)、次にカラムを
2M塩化ナトリウム含有30mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)および0.5M塩化ナトリウム含有0.2Mグリシン−水酸
化ナトリウム緩衝液(pH10.5)で順次洗浄し(洗浄画
分)、最後にカラムに吸着した蛋白質を0.2Mグリシン−
塩酸緩衝液(pH2.0)で溶出した(溶出画分)。得られ
た溶出画分を0.1M塩化ナトリウムおよび5mM塩化カルシ
ウム含有30mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)中で透析し
た後、もう一度クローン7−21B12抗体結合セフアロー
ス4Bカラムを用いた再アフイニテイクロマトグラフイー
に供し、上記と同様の操作により溶出画分にコラゲナー
ゼインヒビターを得た。そこで、ウシ歯髄コラゲナーゼ
インヒビターに対するモノクローナル抗体がヒト血清コ
ラゲナーゼインヒビターと交叉するのか否かを検討する
ため、上記の溶出画分をSDS−PAGEに供した後、ウエス
タンブロツテイングを行った。第3図はウエスタンブロ
ツテイング後のニトロセルロース膜を1:クローン7−3F
1、2:クローン7−6C1、3:7−19F6、4:クローン7−21B
12および5:クローン7−23G9の各モノクローナル抗体か
ら調製したFab′−POD複合体で免疫染色を行った結果を
示すものである。第3図に示されるように、ヒト血清中
にもウシ歯髄コラゲナーゼインヒビターに対するモノク
ローナル抗体と反応するコラゲナーゼインヒビターが存
在することがわかった。しかも、それらの分子量はいず
れも実施例1(a)項で得られたウシ歯髄コラゲナーゼ
インヒビターのそれと同じ32,000Dであることがわかっ
た。
実施例 5 サンドイツチ測定法によるヒト血清中のコラゲナーゼイ
ンヒビターの定量 (a)標準直線の作成 ヒトコラゲナーゼインヒビターをサンドイツチ定量す
るのに最も適したモノクローナル抗体の組み合わせにつ
いて検討した。実施例3(c)項に示したように、ウシ
歯髄コラゲナーゼインヒビターを感度良く定量できる4
種類のFab′−POD複合体、すなわち、Fab′(7−3F1)
−POD、Fab′(7−6C1)−POD、Fab′(7−19F6)−P
ODおよびFab′(7−21B12)−PODと6種類の固相用抗
体、すなわち、クローン7−4F2、7−11A5、7−12B
6、7−18F3、7−20C2および7−23G9のモノクローナ
ル抗体を用いた24通りの組み合わせのうち、実施例4
(b)項に記載したとおりにカラムクロマトグラフイー
処理したヒト血清コラゲナーゼインヒビターを定量でき
る組み合わせを調べた。その結果、ヒト血清コラゲナー
ゼインヒビターを抗原とした場合、用いたほとんどの組
み合わせでA450のシズナルは全く検出されなかったが、
固相用抗体としてクローン7−23G9抗体、複合体として
Fab′(クローン7−6C1)−PODを用いた場合、サンド
イツチ定量可能であることがわかった。次に、上記の組
み合わせを用いて、実施例3(c)項に示した方法によ
り、ヒト血清コラゲナーゼインヒビターの添加量を変え
てサンドイツチ定量を行うことによって標準直線を作成
し、得られた結果を第4図に示す。第4図にみられるよ
うに、添加したヒト血清コラゲナーゼインヒビター量と
A450の間に直線関係が成立し、ヒトコラゲナーゼインヒ
ビターの定量が可能であることがわかった。しかし、そ
の定量感度は試験管当たり約10pg(320a mol)であり、
ウシ歯髄コラゲナーゼインヒビターの場合の定量感度
(試験管当たり1pg)に比べて10倍低いことがわかっ
た。
(b)患者血清中のコラゲナーゼインヒビターの定量 上記(a)において示したモノクローナル抗体の組み
合わせを用いて健常人血清95検体、原発性肝臓癌患者血
清100検体および転移性肝臓癌患者血清3検体の中に存
在するコラゲナーゼインヒビターをサンドイツチ定量
し、その結果を第3表の1および2に示した。なお、こ
のサンドイツチ定量において、標準直線の作成には抗原
とし実施例4(b)項で精製したヒト血清コラゲナーゼ
インヒビターを用いた。また、この定量は検体血清を1
%BSAを含む緩衝液Aで1,600倍に希釈して行った。第3
表の1および2に示した数値は同一の実験系を2回行っ
た結果の平均値である。第3表の1にみられるように、
健常人血清1ml中に存在するコラゲナーゼインヒビター
量は平均1.59±0.37μgであるのに対し、原発性肝臓癌
患者血清および転移性肝臓癌患者血清1ml中に存在する
コラゲナーゼインヒビター量は第3表の2に見られるよ
うにそれぞれ平均3.22±2.10μgおよび7.81±3.87μg
と高い値を示した。一方、肝硬変患者血清46検体、慢性
活動性肝炎患者血清45検体および慢性非活動性肝炎患者
血清26検体の中に存在するコラゲナーゼインヒビターを
サンドイツチ定量した値を第4表に示した。その結果、
肝硬変患者血清中、慢性活動性肝炎患者血清中および慢
性非活動性肝炎患者血清1ml中に存在するコラゲナーゼ
インヒビター量はそれぞれ平均1.52±1.08μg、1.55±
0.58μgおよび1.10±0.47μgであり、これらの値はい
ずれも健常人血清中に存在するコラゲナーゼインヒビタ
ー量と有意の差は認められなかった。
実施例 6 ヒト血清中のコラゲナーゼインヒビターの精製 実施例4の(b)で最終的に得られた溶出画分中には
前述したとおり、ウシ歯髄コラゲナーゼインヒビターに
対するモノクローナル抗体と反応するコラゲナーゼイン
ヒビターが存在する(第3図参照)。しかし、この溶出
画分中には、コラゲナーゼインヒビター以外にも、上記
モノクローナル抗体とは反応しない蛋白質が多種存在す
ることが認められた。そこで、この溶出画分を0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したAcA44カラムを用いてゲ
ル過を行い、コラゲナーゼインヒビターと他の蛋白質
とを分離することによりヒト血清コラゲナーゼインヒビ
ターを精製した。第5図は得られた血清コラゲナーゼイ
ンヒビター(1)、対照としてのウシ歯髄コラゲナーゼ
インヒビター(2)および分子量マーカー(3)の各SD
S−PAGEパターンを示している。第5図にみられるよう
に、ヒト血清コラゲナーゼインヒビターの分子量はウシ
歯髄コラゲナーゼインヒビターのそれと同様、32,000D
であることがわかった。
実施例 7 サンドイツチ測定法における精製ヒト血清コラゲナーゼ
インヒビターの標準直線の作成 実施例6において得られた精製ヒト血清コラゲナーゼ
インヒビターの添加量を変えて、実施例5の(a)項記
載のモノクローナル抗体の組み合わせを用いてサンドイ
ツチ定量を行うことによって標準直線を作成した。得ら
れた結果は第6図に示すとおりである。第6図にみられ
るように、添加したヒト血清コラゲナーゼインヒビター
量とA450の間に直線関係が成立し、この時の定量感度は
試験管当たり1.5pg(48a mol)であった。この定量感度
は、実施例5の(a)項で作成した標準直線の場合に比
べて6.7倍高く、また、実施例3の(c)項記載のウシ
歯髄コラゲナーゼインヒビターの場合に比べて1.5倍低
いことがわかった。
実施例 8 サンドイツチ測定法によるヒト血清中あるいはヒト血漿
中のコラゲナーゼインヒビターの定量に基づく肝臓癌疾
患の診断 (a)肝疾患患者血清中のコラゲナーゼインヒビターの
定量 実施例7において示したモノクローナル抗体の組み合
わせを用いて健常人血清50検体、原発性肝臓癌患者血清
100検体および転移性肝臓癌患者血清3検体の中に存在
するコラゲナーゼインヒビターをサンドイツチ定量し、
その結果を第5表の1および2に示した。なお、このサ
ンドイツチ定量において、標準直線の作成には抗原とし
て実施例6で精製したヒト血清コラゲナーゼインヒビタ
ーを用いた。また、この定量は検体血清1%HBSAを含む
緩衝液Aで1,600倍に希釈して行った。第5表の1およ
び2に示した数値は同一の実験系を2回行った結果の平
均値である。第5表の1にみられるように、健常人血清
1ml中に存在するコラゲナーゼインヒビター量は平均184
±31ngであるのに対し、原発性肝臓癌患者血清および転
移性肝臓癌患者血清1ml中に存在するコラゲナーゼイン
ヒビター量は第5表の2に見られるようにそれぞれ平均
484±316ngおよび1171±712ngと高い値を示した。一
方、肝硬変患者血清46検体、慢性活動性肝炎患者血清45
検体および慢性非活動性肝炎患者血清26検体の中に存在
するコラゲナーゼインヒビターをサンドイツチ定量した
値を第6表に示した。第6表に見られるように、肝硬変
患者血清中、慢性活動性肝炎患者血清中および慢性非活
動性肝炎患者血清1ml中に存在するコラゲナーゼインヒ
ビター量はそれぞれ平均228±163ng、233±88ngおよび1
66±73ngであり、これらの値はいずれも健常人血清中に
存在するコラゲナーゼインヒビター量と有意の差は認め
られなかった。
(b)肝疾患患者血清中のコラゲナーゼインヒビターの
定量 Br.J.Haematol.33,239−247(1976)に記載のLudlamとC
ashの方法に従って、健常人血液および原発性肝臓癌疾
患患者血液からそれぞれの血漿を採取した。なお、ここ
で採取した血漿は、血液にEDTA、プロスタグランジン
E1、およびテオフイリンを加え冷却した後、4℃で1900
×g60分間遠心分離して得られた上澄であり、血液中の
血小板は、分解されずに沈澱画分にとどまっている。
上記の如くして得られた健常人血漿26検体および原発
性肝臓癌患者血漿8検体の中に存在するコラゲナーゼイ
ンヒビターを上記(a)項に示したのと同じ方法を用い
てサンドイツチ定量した。その結果は後掲の第7表に示
されるとおりである。第7表にみられるように、健常人
血漿1ml中に存在するコラゲナーゼインヒビター量は平
均64±10ngであるのに対し、原発性肝臓癌疾患患者血漿
1ml中に存在するコラゲナーゼインヒビター量は平均583
±447ngと高い値を示した。
(c)モノクローナル抗体とコラゲナーゼインヒビター
との特異的反応の確認 実施例4、(b)項に示したように、サンドイツチ測
定法に用いる2種類のモノクローナル抗体(クローン7
−6C1とクローン7−23G9)はヒトコラゲナーゼインヒ
ビターと反応するが、血清あるいは血漿などのように、
種々の蛋白質が高濃度で溶解している系でも、このモノ
クローナル抗体がコラゲナーゼインヒビターと特異的に
反応していることを確認するための試験を行った。
健常人血清あるいは肝臓癌患者血清を0.1M塩化ナトリ
ウムおよび5mM塩化カルシウム含有30mMトリスー塩酸緩
衝液(pH8.0)で5倍に希釈した後、実施例4の(a)
項記載の方法に従って調製したクローン7−23G9(サン
ドイツチ測定法の固相用抗体)結合セフアロース4Bカラ
ムに供し、実施例4の(b)項記載の方法に従って溶出
画分を得た。この溶出画分をSDS−PAGEを供した後、ウ
エスタンブロツテイングを行い、サンドイツチ測定法の
標識抗体であるFab′(クローン7−6C1)−POD複合体
で免疫染色を行った。その結果は第7図に示すとおりで
ある。1:精製ヒト血清コラゲナーゼインヒビター、2:健
常人血清、3:肝臓癌患者血清のいずれを用いた場合に
も、単一バンドを示すことから、本発明の診断法におけ
るサンドイツチ測定法では、極めて特異的にコラゲナー
ゼインヒビターだけが定量されていることが示された。
以上述べたことから明らかなように、本発明に係る診
断用試薬を用いるサンドイッチ法を適用することによ
り、肝臓癌疾患の診断を、簡便に、短時間内にさらに感
度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はウシ歯髄コラゲナーゼインヒビターをSDS−PAG
Eを供した後、種々のモノクローナル抗体を用いた時の
ウエスタンブロツテイングパターンを示す図であり、第
2図は固相7−23G9抗体−複合体Fab′(7−6C1)−PO
D測定系でのウシ歯髄コラゲナーゼインヒビターの標準
直線を示す図であり、第3図はヒト血清コラゲナーゼイ
ンヒビターをSDS−PAGEに供した後、ウエスタンブロツ
テイングを行った時の免疫染色のパターンを示す図であ
り、第4図は固相7−23G9抗体−複合体Fab′(7−6C
1)−POD測定系でのヒト血清コラゲナーゼインヒビター
の標準直線を示す図であり、第5図はヒト血清から精製
したコラゲナーゼインヒビターのSDS−PAGEパターンを
示す図であり、第6図は精製したヒト血清コラゲナーゼ
インヒビターを用いて、サンドイツチ測定した時の標準
直線を示す図であり、第7図はヒト血清をIgG(7−23G
9)抗体結合アフイニテイカラムに供して得られた溶出
画分をSDS−PAGEに供した後、Fab′(7−6C1)−POD複
合体を用いた時のウエスタンブロツテイングパターンを
示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 早川 太郎 愛知県名古屋市天白区天白町平針大提下 1355番地 (72)発明者 小玉 修嗣 富山県高岡市長江1868番地 高岡スカイ ハイツ603号 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市五十里東町190番地

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サンドイッチ法によりヒト体液中に存在す
    るヒトコラゲナーゼインヒビターを酵素免疫学的に定量
    するための、ウシコラゲナーゼインヒビターに対するモ
    ノクローナル抗体であってヒトコラゲナーゼインヒビタ
    ーと特異的に結合する2種類のモノクローナル抗体から
    なる肝臓癌疾患の診断用試薬。
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