JP2616801B2 - 着色ジルコニアセラミックス及びその製法 - Google Patents

着色ジルコニアセラミックス及びその製法

Info

Publication number
JP2616801B2
JP2616801B2 JP63092448A JP9244888A JP2616801B2 JP 2616801 B2 JP2616801 B2 JP 2616801B2 JP 63092448 A JP63092448 A JP 63092448A JP 9244888 A JP9244888 A JP 9244888A JP 2616801 B2 JP2616801 B2 JP 2616801B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
zirconia
colored
firing
coloring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63092448A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01264960A (ja
Inventor
拓哉 源通
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP63092448A priority Critical patent/JP2616801B2/ja
Publication of JPH01264960A publication Critical patent/JPH01264960A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2616801B2 publication Critical patent/JP2616801B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は金属化合物から成る着色成分及び炭素成分に
よりジルコニアセラミックスを所望通りに着色化させ且
つ高強度・高靱性特性を有する着色ジルコニアセラミッ
クス並びにその製法に関するものである。
〔従来技術及びその問題点〕
近時、ジルコニアセラミックスに所要な範囲内で安定
化剤を含有させた部分安定化ジルコニアセラミックスが
注目されており、その高強度且つ高靱性特性により広範
な用途に期待されている。
一方、このセラミックスに着色剤を含有させた着色ジ
ルコニアセラミックス、更に着色剤及び炭素を含有させ
た黒色系ジルコニアセラミックスが提案されている。
後者の黒色系ジルコニアセラミックスとして特開昭59
−227770号が提案されており、そのセラミックスに用い
られる着色剤には、(1)・・・周期律表の4a,5a,6a族
金属及び鉄族金属の中から選択された少なくとも1種以
上の金属および/または合金、或いは(2)・・・周期
律表の4a,5a,6a族金属の炭化物、硼化物、硅化物及びこ
れらの相互固溶体の中から選択された少なくとも1種以
上の化合物、更に(1)と(2)の組合せを提案してい
る。そして、この着色剤にカーボンおよび/または黒鉛
を含有させ、これによって焼結を促進させると共に黒色
系の色調コントールを容易とする。
このような黒色系ジルコニアセラミックスによれば、
(1)の着色剤を含有させた場合には金属成分がジルコ
ニアセラミックス中に含有されるためにサーメット化
し、これにより、ジルコニア自体の焼結を阻害してジル
コニア本来の特性が発揮できなくなり、例えば高強度且
つ高靱性特性が得られなくなる。他方、(2)の着色剤
を含有させた場合には、真空焼成が採用されるが、それ
による焼成のコントロールは難しく、これにより、同一
焼成炉の内部全体に亘って雰囲気を均質化することは難
しく、或いは個々の焼成炉の間で焼結条件を同一にする
ことが難しくなり、その結果、出来上がった個々のセラ
ミックスの間に着色ムラが生じ、更に同じレベルの高強
度且つ高靱性特性が得られないという問題がある。
更にこのセラミックスによれば、上記の着色剤に加え
て、カーボンおよび/または黒鉛を含有させることによ
り焼結を促進させると共に黒色系又は暗色系の色調コン
トロールを容易にしている。
しかしながら、このように炭素成分を含有させるに当
たっては、この成分を出発原料中に含有させているため
に焼結体中に炭素が未反応のままに残留したり、ポーラ
スな焼結体となり、これにより、強度の劣化を招くと共
に深みのある艶をもった鏡面に成りにくいという問題が
ある。
〔発明の目的〕
本発明は叙上に鑑みて案出されたものであり、その目
的は個々の間に着色ムラがなく所望通りの着色化が可能
となった着色ジルコニアセラミックスを提供することに
ある。
本発明の他の目的は滑らかで深みのある艶をもった鏡
面を有する着色ジルコニアセラミックスを提供すること
にある。
本発明の更に他の目的は部分安定化ジルコニアセラミ
ックス自体が有している高強度且つ高靱性特性を損なう
ことなく着色化を達成した着色ジルコニアセラミックス
を提供することにある。
本発明の更に他の目的は上記の着色ジルコニアセラミ
ックスを得んがための製法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明によれば、金属酸化物換算で0.1乃至10重量%
の着色成分、安定化剤、0.05重量%以上且つ0.2重量%
未満の炭化ジルコニウムを含有すると共に遊離炭素の含
有量が0.1重量%以下であるジルコニアから成り且つ該
ジルコニアの結晶相が正方晶結晶から成ることを特徴と
する着色ジルコニアセラミックスが提供される。
更に本発明によれば、0.1乃至10重量部の金属酸化物
と、90乃至99.9重量部のジルコニア及び安定化剤から成
る原料より所要形状の成形体を形成し、第1の焼成によ
り該成形体を焼結し、次いで炭素含有雰囲気の第2の焼
成によって所望通りに着色化させたジルコニアセラミッ
クスとし、このジルコニアセラミックスが該金属酸化物
の還元生成物及び0.05重量%以上且つ0.2重量%未満の
炭化ジルコニウムを含有すると共に遊離炭素の含有量が
0.1重量%以下であり且つジルコニア正方晶結晶から成
ることを特徴とする着色ジルコニアセラミックスの製法
が提供される。
本発明の着色ジルコニアセラミックスは部分安定化ジ
ルコニアセラミックス(このセラミックスを、以下、PS
Zセラミックスと略す)に着色成分として金属酸化物及
び炭化ジルコニウムを含有させたものであり、この金属
酸化物の選択及びその添加量並びにその還元生成物によ
ってベースとなる色調と成し、更に炭化ジルコニウム
(ZrC)の含有量によって所望通りに黒色化又は暗色化
したことが特徴である。
更に本発明の着色ジルコニアセラミックスは、本発明
者が既に特願昭61−311193号により提案した着色ジルコ
ニアセラミックスに比べてZrCの含有量を少なくしてお
り、このようにした場合であれば、小さな寸法形状の成
形体に対して色ムラがなく黒色化又は暗色化ができる点
も特徴である。
また、この着色ジルコニアセラミックスは正方晶結晶
から成るPSZセラミックスであり、その特徴は高強度且
つ高靱性特性を有する点にあるが、着色成分である金属
酸化物を添加したためにその特性が劣化傾向にあり、こ
れを補完するためにZrCを含有させて高強度且つ高靱性
特性を維持していることが特徴である。
先ず、本発明の着色ジルコニアセラミックスによれ
ば、PSZセラミックスに着色成分である金属酸化物及び
/又はその還元生成物並びにZrCを所定の範囲内で含有
させて所望通りに着色化し且つ高強度・高靱性特性を達
成しており、金属酸化物及び/又はその還元生成物につ
いてはその合計量を金属酸化物換算で0.1乃至10重量%
の範囲内で含有させればよく、0.1重量%未満であれば
所望通りの着色化が不十分となると共に色ムラが発生し
易くなり、10重量%を越えると高強度且つ高靱性特性が
得られなくなる。
またZrCは0.05重量%以上且つ0.2重量%未満、好適に
は0.1重量%以上且つ0.2重量%未満の範囲内で含有させ
ればよく、0.05重量%未満であれば黒色化又は暗色化が
所定通りにならない。
前記着色成分には周期律表IV a族、V a族、VI a族、V
II a族、VIII a族元素のそれぞれの酸化物があり、例え
ばCr,Co,Fe,Ti,Mn,V,Niの酸化物がある。但し、これら
の酸化物は炭素を含有する還元性雰囲気の焼成によって
炭化物、金属単体などに還元されてもよい。
かくして上述したような成分を含む本発明の着色ジル
コニアセラミックスによれば、着色成分の一部にZrCを
含有させたことによって黒色化し又は着色成分の発色を
暗傾向とし、これによってその要求に応じられる着色化
が可能となる。例えば玉虫色又はメタリックな色調はNi
O,CoO等を添加し且つZrCを含有させることによって得ら
れる。
更に本発明によれば、上述した着色化に加えてその黒
色化成分であるZrCを所定の範囲内でPSZセラミックスに
含有させ、これにより、所望通りに黒色化又は暗色化に
着色すると共に高強度且つ高靱性特性を達成したことも
特徴である。
即ち、本発明のPSZセラミックスによれば、着色成分
を添加したことによって高強度且つ高靱性特性が劣化傾
向となるが、そこで、ZrCをPSZセラミックスに含有させ
た場合、前記着色成分の含有量を減少させると共に所望
通りの着色化が可能となり、これにより、上記劣化傾向
を阻止することができる。
それに加えてZrCとZrO2の両者がそれぞれ所定の範囲
内で共存した場合、強度及び靱性を高めることができ、
これにより、着色成分を添加したことによる高強度且つ
高靱性特性の劣化傾向を補完することができる。
そのためには、ZrC添加量を0.05重量%以上、好適に
は0.1重量%以上に設定すればよく、更にZrO2含有量は
その結晶相の種類と関連するが、75乃至99.7重量%の範
囲内に入るように設定すればよい。そして、このZrO2
なかで正方晶結晶の存在は必須不可欠であり、これによ
って高強度且つ高靱性特性をもたらすものであり、その
占める比率はZrO2全結晶相中40モル%以上、好適には80
モル%以上がよい。
また、上記のPSZセラミックスによれば、遊離炭素は
高強度且つ高靱性特性を低下せしめる成分であり、その
含有量は全焼結体中0.1重量%以下、好適には0.05重量
%以下にすればよい。
本発明者はこのような組成を有する着色ジルコニアセ
ラミックスの強度及び靱性を測定した結果、約130Kg/cm
2の高強度特性及び約15MN/m3/2の高靱性特性が得られ
た。
かくして得られた着色ジルコニアセラミックスによれ
ば、従来周知の白色PSZセラミックスと同程度の強度及
び靱性を具備し且つ着色成分及びZrCによってムラのな
い着色化ができ、更にその焼結体の表面を研磨した場
合、深みのある艶を有した鏡面になる。
次に本発明の着色ジルコニアセラミックスを得るため
の製法を述べる。
本発明の製法は二段階に焼成を行っており、第1回目
の焼成は金属酸化物を着色成分として含有するPSZセラ
ミックスを得る方法であり、次に、このPSZセラミック
スに対して第2回目の焼成を行い、これによって炭素成
分をPSZセラミックスの内部に含浸させると共に金属酸
化物の還元生成物を生成させることを特徴とする。
即ち、先ず第1回目の焼成(以下、第1の焼成と呼
ぶ)によれば、ZrO2原料、金属酸化物着色成分、安定化
剤をそれぞれ所定の範囲内の比率にして十分に均一混合
し、所定の形状に加圧成形し、次いで、1200述至1700
℃、特に1350乃至1600℃の温度で焼成して着色化PSZセ
ラミックス成形体を得る。
金属酸化物とZrO2の配合比率は、金属酸化物が0.1乃
至10重量部の場合、ZrO2が90乃至99.9重量部の範囲内に
設定すればよい。
即ち、金属酸化物が0.1重量部未満になると所望通り
の着色ができず且つ色ムラが発生し易くなり、10重量部
を越えると高強度且つ高靱性特性が得られなくなり、ま
た、ZrO2が90重量部未満の場合には焼結が難しく高強度
且つ高靱性特性が得られなくなる。
前記金属酸化物は原料の段階で粉体、液体、ペースト
状のいずれの状態であってもよく、その粒度は平均粒径
0.06μm以下、好適には0.03μm以下がよく、これによ
り、原料中に均一分散した場合、PSZセラミックス全体
に亘って均質に着色化し且つ高強度・高靱性特性が得ら
れる。
前記ZrO2原料は平均粒径0.15μm以下、好適には0.06
μm以下がよく、或いは水酸化ジルコニウム等の仮焼に
伴ってZrO2粉末になるようなものであってもよい。この
水酸化ジルコニウム(ZrO2・xH2O)を用いる場合、仮焼
温度を高くするほどZrO2粉末の一次粒子が大きくなるた
め仮焼温度を900乃至1050℃の範囲内で変えることによ
り一次粒子の平均粒径が0.02乃至0.1μmのZrO2粉末が
得られる。
前記安定化剤にはY2O3,MgO,CaO及びCeO2等々の公知の
ものを用いることができ、これらを単独又は組合わせる
と共にPSZ化させるのに必要な量だけ配合すればよい。
Y2O3を単独で配合する場合、焼結体中、2乃至7モル
%の含有比率になるように添加すればよい。
また、CaO及びMgOをそれぞれ単独で配合する場合、焼
結体中、それぞれ8乃至11モル%、7乃至13モル%の含
有比率になるように添加すればよい。
この安定化剤は平均粒径2μm以下、好適には1μm
以下のものを用いるのがよい。或いは所定量の安定化剤
が加えられた共沈ZrO2粉末を用いてもよく、この粉末を
用いると安定化剤とZrO2が一層緻密且つ均一に分布した
混合状態になるため、焼結体の結晶粒径が均一化される
という点で望ましい。
本発明の着色ジルコニアセラミックスは、ZrO2金属酸
化物着色成分及び安定化剤を必須成分として含有する
が、上記成分以外の成分の含有を排除するものではな
い。例えば、ジルコニア、安定化剤及び着色成分の混合
粉枠時にボール等の粉枠媒体を使用するときには、この
粉枠媒体を構成する成分が混合粉枠中に必然的に含有さ
れるようになる。例えばアルミナ(Al2O3)等であり、
これはセラミックス全体当たり20重量%まで混入される
ことが許容される。
第1の焼成に採用される焼結条件は酸化性雰囲気、真
空雰囲気又は還元性雰囲気のいずれでもよく、就中、酸
化性雰囲気がよい。この酸化性雰囲気であれば、焼成条
件の設定が容易であり、これにより、個々の間で着色ム
ラがなくて所望通りの着色化が可能となる。
また、この第1の焼成によれば、加熱焼結又は非加圧
焼結のいずれでもよく、加圧焼結としてオットプレス、
HIPなどがある。
かくして、第1の焼成により得られた着色セラミック
ス成形体は、着色成分により強度及び靱性が低下傾向に
なる。しかし乍ら、着色成分として金属酸化物を用いて
いるために焼成に伴って熱分解せず、これにより、焼結
体中にボイドが発生せず且つ均質な着色化が可能になる
という利点がある。
また、この第1の焼成によって得られた着色セラミッ
クス成形体によれば、ZrO2正方晶結晶を含有しており、
その含有量ができるだけ多くなるように焼結条件を適宜
設定するのがよい。そのZrO2正方晶結晶はZiO2中約60モ
ル%以上、好適には約80モル%以上含有させた場合、次
の第2回目の焼成(以下、第2の焼成と呼ぶ)によって
高強度且つ高靱性特性を有利に達成することができる。
第2の焼成によれば、炭素含有雰囲気を不可欠として
おり、これにより、上記着色PSZセラミックス成形体中
の金属酸化物を還元し且つ焼結体中にZrOを含有させ、
その結果、ベースの色調を所望通りに黒色化又は暗色化
することができる。この焼成は一般に1100乃至1650℃、
特に1300乃至1550℃の温度で行うのがよい。
このような還元性雰囲気焼成には、例えば、着色PSZ
セラミックス成形体にカーボンブラックのような炭素成
分を接触させて非酸化物性雰囲気中で焼成したり(これ
は通常埋め焼きと呼ばれる)、或いはHIP装置の内部に
炭素源を設置し、炭素成分をセラミックス中に含浸させ
てもよく、更にこれらの2通りの焼成法を組合わせても
よい。この第2の焼成によれば、炭素含有雰囲気による
焼成を行うのであれば、種々の焼成方法を採用すること
ができるが、就中、HIP法を行った場合、高靱性特性が
維持又は向上し得るという点で望ましいと言える。
このようなHIP法によれば、HIP装置に上記着色PSZセ
ラミックス成形体を配置すべき隔壁室があり、この室の
内部に不活性ガス(Ar,N2)を導入すると共に所定の大
きさで加圧を行い且つ加熱し、これによってHIP焼成が
行われる。
この隔壁室へ着色PSZセラミックス成形体を配置する
に当たっては、カーボン製の容器を用意し、この容器に
この成形体を置き、所望によってこの容器を蓋体などに
よって閉じ、次いでこのような容器を上記隔壁室内部へ
設置すればよい。
また、成形体を黒色化または暗色化させる炭素源は上
記容器の内部へ成形体と共に配置すればよい。
HIP焼成を行う場合、その圧力は1000乃至2000atm(ゲ
ージ圧)の範囲内に且つその温度は1400乃至1600℃の範
囲内に設定すると炭素がセラミックス成形体の内部へ効
率よく含浸するという点で有利である。
第2の焼成によれば、第1の焼成によって得られた着
色ジルコニアセラミックス成形体に炭素を含浸させ且つ
金属酸化物が還元され、これにより、所望通りの着色化
が可能となる。そして、金属酸化物の還元化については
その還元量に応じて着色の具合を適宜変えることがで
き、金属酸化物の種類及び焼成条件等々によって部分的
に又はその全部を還元することができる。
また、この第2の焼成によれば、ZrO2の一部がZrCに
還元され、ZrO2とZrCの両者がそれぞれ所定の範囲内で
共存した場合、強度及び靱性が高められる。
即ち、ZrCがセラミックス全体当たり0.05重量%以上
且つ0.2重量%未満の範囲内で生成させればよく、この
範囲内であれば所望通りの黒色化又は暗色化が得られ且
つ高強度・高靱性特性となり、また、ZrO2の結晶相はZr
O2中正方晶結晶が約60モル%以上、好適には80モル%以
上と成るように焼成条件を設定した場合、高強度且つ高
靱性特性が得られるという点で望ましい。
更に第2の焼成によれば、この炭素含浸に伴ってセラ
ミックス成形体中に遊離炭素が微量存在する場合がある
が、セラミック成形体中に炭素を配合する場合に比べて
その残存量は桁違いに小さい。
また、第2の焼成によって得られた着色PSZセラミッ
クス成形体に対してその表面をダイヤモンドホイール、
ダイヤモンドパウダ、ダイヤモンドペースト等によって
研磨した場合、その成形体の結晶粒子の大きさが均等に
なり且つ小さく、そして、ボイドがほとんどなく、これ
により、深みのある艶を有した鏡面が表れる。
かくして、第1の焼成によってムラのない着色化がで
き、第2の焼成によって所望通りの着色化と共に高強度
且つ高靱性特性が得られる。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を述べる。
(例1) 高純度ZrO2粉末100重量部にY2O3安定化剤を5.3重量
部、着色成分としてCr,Fe,Ti,Co,Niの酸化物をその合計
量が2重量部となるように配合し、アルミナボールを用
いて湿式粉枠し、次いで、乾燥した。これによって得ら
れた原料粉体を120メッシュの櫛に通し、この粒度調整
された粉体にパラフィンワックスを添加し、更に80メッ
シュの櫛に通した。このようにして得られた粉体混合物
を成形圧1ton/cm2で3.5×3.5×40mmの形状に成形し、脱
バインダー後、酸化雰囲気中焼成温度1450度で第1の焼
成を行ったところ、濃青色の着色ジルコニアセラミック
ス成形体が得られた。
このようにして得られたセラミックス成形体のZrO2
方晶結晶含有量は全ZrO2中約80モル%であり、その強度
及び靱性を測定したところ、それぞれ95Kg/cm2、12.1MN
/m3/2であった。
尚、強度はJIS−R−1601の3点曲げ試験法により求
め、靱性はS.E.N.B(Single Edge Notched Beam)法に
よりセラミックスがマイクロクラックの成長により破壊
する際の臨界応力拡大係数値とした。
次に上記着色PSZセラミックス成形体に対してHIP法に
よって第2の焼成を行った。
即ち、HIP用カーボン製容器に上記成形体を炭素源
(例えば、カーボンペーパー)と共に配置し、この容器
を蓋体によって閉じ、次いで、この容器をHIP装置の内
部に設置した。そして、焼成温度を1475℃、圧力媒体と
してArガス、その圧力を2000Kg/cm2(ゲージ圧)に設定
し、1時間HIP処理を行った。
かくして得られたセラミックス成形体の表面はHIP前
の状態に比べて面荒れの状態であった。
そこで、このセラミックス成形体の表面全体を100μ
mの厚みに亘って研削及び研磨したところ、緑青色をベ
ースにしてそれが薄黒色化した色調であり且つボイドの
少ない艶を有した表面性状となり、また、この成形体の
結晶成分を測定したところ、ZrO2が約95重量%、ZrCが
約0.08重量%、遊離炭素が約0.01重量%であり、そし
て、着色用金属成分はその酸化物換算で約2重量%であ
り、しかも、このZrO2は90モル%の正方晶結晶から成っ
ていた。
また、このセラミックス成形体の強度及び靱性を測定
したところ、それぞれ125Kg/cm2、14.1MN/m3/2であっ
た。
(例2) 本例においては(例1)中金属酸化物の配合量を幾通
りにも変え、その他の第1の焼成及び第2の焼成の製造
条件を(例1)と同じに設定し、これにより、第1表に
示す通り試料No.1乃至6のセラミックス成形体を得た。
第1表より明らかな通り、試料No.2乃至5によれば、
緑青色をベースにしてそれが黒色化した色調であり、ま
た、ボイドのない艶を有した表面性状であり、いずれの
試料も高強度且つ高靱性特性であった。
然るに試料No.1については金属酸化物着色成分の配合
量が少なく、これによってベースとなる所要な着色化が
できなくなると共に色ムラが発生し、また、試料No.6に
ついては金属酸化物着色成分の配合量が多過ぎるために
強度及び靱性が著しく低下していた。
(例3) 本例においては、(例1)中第2の焼成のなかで焼成
温度、圧力、HIP保持時間、炭素源量等々を変更し、こ
れによってZrCの含有量を変え、その他の製造条件を
(例1)と同じに設定し、これにより、第2表に示す通
り試料No.7乃至14のセラミックス成形体を得た。
第2表より明らかな通り、試料No.8乃至10によれば、
緑青色をベースにし、それが薄黒色化した色調であり、
また、ボイドのない艶を有した表面性状であり、いずれ
の試料も高強度且つ高靱性特性であった。
然るに試料No.7についてはZrC含有量が著しく少な
く、これにより、全体に亘って一様な薄黒色化ができな
く、しかも、色ムラが生じていた。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明の着色ジルコニアセラミックスに
よれば、高強度・高靱性特性を具備し、そして、小さな
寸法形状の成形体に対して金属化合物着色成分とZrCに
よって所望通りの暗色化色調を得ることがてきる。
更に本発明の着色ジルコニアセラミックスによれば、
その表面を研磨することによって深みのある艶をもった
鏡面となり、種々の装飾部材に用いることができる。例
えば、時計ケース、文字盤、タイピン、楯、ブレスレッ
ト、リング、ボタン、ペンダント、スパイク鋲等々があ
る。
また本発明の着色ジルコニアセラミックスによれば、
高強度・高靱性特性を具備し且つメタリックな色調に着
色化することができ、これにより、各種の金属代替部材
に用いることができる。例えば刃物などの日用品、各種
産業構造品、機械部品などに用いることができる。
更にまた本発明の着色ジルコニアセラミックスの製法
によれば、高強度・高靱性特性を具備した着色部材とな
り、且つその着色化にムラがなく、これにより、製造歩
留りを高め、その結果、低コスト、高品質及び高信頼性
を達成した着色ジルコニアセラミックスが提供できる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属酸化物換算で0.1乃至10重量%の着色
    成分、安定化剤、0.05重量%以上且つ0.2重量%未満の
    炭化ジルコニウムを含有すると共に遊離炭素の含有量が
    0.1重量%以下であるジルコニアから成り且つ該ジルコ
    ニアの結晶相が正方晶結晶から成ることを特徴とする着
    色ジルコニアセラミックス。
  2. 【請求項2】0.1乃至10重量部の金属酸化物と、90乃至9
    9.9重量部のジルコニア及び安定化剤から成る原料より
    所要形状の成形体を形成し、第1の焼成により該成形体
    を焼結し、次いで炭素含有雰囲気の第2の焼成によって
    所望通りに着色化させたジルコニアセラミックスとし、
    このジルコニアセラミックスが該金属酸化物の還元生成
    物及び0.05重量%以上且つ0.2重量%未満の炭化ジルコ
    ニウムを含有すると共に遊離元素の含有量が0.1重量%
    以下であり且つジルコニア正方晶結晶から成ることを特
    徴とする着色ジルコニアセラミックスの製法。
JP63092448A 1988-04-14 1988-04-14 着色ジルコニアセラミックス及びその製法 Expired - Lifetime JP2616801B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63092448A JP2616801B2 (ja) 1988-04-14 1988-04-14 着色ジルコニアセラミックス及びその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63092448A JP2616801B2 (ja) 1988-04-14 1988-04-14 着色ジルコニアセラミックス及びその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01264960A JPH01264960A (ja) 1989-10-23
JP2616801B2 true JP2616801B2 (ja) 1997-06-04

Family

ID=14054687

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63092448A Expired - Lifetime JP2616801B2 (ja) 1988-04-14 1988-04-14 着色ジルコニアセラミックス及びその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2616801B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108863353A (zh) * 2018-06-28 2018-11-23 东莞信柏结构陶瓷股份有限公司 黑色陶瓷材料及其制备方法
JP7526053B2 (ja) * 2020-08-18 2024-07-31 第一稀元素化学工業株式会社 黒色系ジルコニア焼結体、黒色系ジルコニア粉末、及び、黒色系ジルコニア粉末の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01264960A (ja) 1989-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5059562A (en) Colored zirconia ceramics and process for preparation thereof
US4325710A (en) Sintered ceramics for cutting tools and manufacturing process thereof
JPH1081562A (ja) 黒色ジルコニア焼結体およびその製造方法
GB2132600A (en) Zirconia type black decorative article and process for production thereof
EP1279650B1 (en) Sintered alumina ceramic, method for producing the same, and cutting tool
JP3048081B2 (ja) 焼結複合研摩剤材料、その製造及び使用
JP2821680B2 (ja) 着色ジルコニアセラミックス
EP0170889B1 (en) Zrb2 composite sintered material
JPS6283366A (ja) 茶色系ジルコニア焼結体の製造方法
EP0170864A2 (en) ZrB2 Composite sintered material
EP0310342B1 (en) Sic-al2o3 composite sintered bodies and method of producing the same
US5118457A (en) Colored zirconia ceramics and process for preparation thereof
JP2616801B2 (ja) 着色ジルコニアセラミックス及びその製法
EP0311289B1 (en) Sic-al2o3 composite sintered bodies and method of producing the same
JPH0712978B2 (ja) 黒色系ジルコニアセラミックス及びその製造方法
JPH0543316A (ja) 着色ジルコニアセラミツクス
US6156238A (en) Liquid phase-sintered, electrically conductive and oxidation-resistant ceramic material, a process for producing it and its use
JPH039062B2 (ja)
JPS6337060B2 (ja)
JPH0679987B2 (ja) ジルコニアセラミツクスの黒色化法
JP2650049B2 (ja) セラミック切削工具及びその製造方法
JPH08295568A (ja) 窒化珪素質着色セラミックスおよびそれを用いた釣り糸用ガイド部材
JP3250869B2 (ja) 部分安定化ジルコニア焼結体およびその製造方法
JP2581939B2 (ja) 高強度アルミナ質焼結体及びその製造方法
JP3116242B2 (ja) 窒化珪素質焼結体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090311

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090311

Year of fee payment: 12