JP2616653B2 - 車両用シートのヘッドレスト装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両用シートのヘッドレ
スト装置に関し、更に詳細に説明すると、シートバック
のシートフレームがワイヤーフレームより形成され、該
ワイヤーフレームの上部フレームに支持プレートが固着
され、前記支持プレートにホルダブラケットが取付けら
れ、該ホルダブラケットにスティホルダが取付けられ、
該スティホルダにヘッドレストのヘッドレストスティが
挿入保持されるようになされた車両用シートのヘッドレ
スト装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、車両用シート等にあっては、自
動車の走行中、着座者を安定して保持すると共に、適切
な座り心地感を与え、長時間にわたる着座状態にあって
もその疲労をできるだけ軽減し得ることが望まれ、この
為シート各部に種々のサポート装置が付設される。そし
て、このようなサポート装置として着座者の頭部背面側
を支えるようにシートバック上端部に付設されるヘッド
レストがある。

【０００３】このようなヘッドレストとして従来から種
々の構成のものが知られており、一般的には、ヘッドレ
ストスティをシートバックの上部フレームに取付ける手
段として、上部フレームにホルダブラケットを固着し、
このホルダブラケットにスティホルダを支持させ、該ス
ティホルダにヘッドレストのヘッドレストスティが挿入
保持されるようになされている。

【０００４】更に、近年この種の車両用シートにあって
は、生産性の向上及び軽量化の目的より、シートフレー
ムをワイヤーフレームより形成し、このワイヤーフレー
ムと一体にパッド材を一体発泡成形する方法が採用され
るようになっている。

【０００５】また、前記ワイヤーフレームより形成され
たシートフレームにヘッドレストを取付ける手段とし
て、シートバックの上部フレームの背面側に支持プレー
トを固着し、シートバックの背面側から前記支持プレー
トに取付けプレートを固着し、前記支持プレートと取付
けプレートとの間にホルダブラケットを挾持し、このホ
ルダブラケットにスティホルダを取付けるようになされ
た車両用シートのヘッドレスト装置（実公平３−３６３
０６号公報）が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、前記実公平
３−３６３０６号公報に示される従来構造におけるヘッ
ドレスト装置においては、ワイヤーフレームを十分に強
度を有するものを用いなければならず、補強材を用いる
場合にはコストアップとなると共に、剛性及び強度不足
の場合にはヘッドレストの支持状態が弱くならざるを得
ず、このような場合にはワイヤーフレーム及びヘッドレ
ストが変形したり、スティホルダを中心としてヘッドレ
ストが回動する虞れを有していた。

【０００７】本発明の目的は、必要最小限の構成部品点
数によって簡単に構成し、然も、シートバックのフレー
ムを補強することなしに、ヘッドレストの支持状態を強
化することができ、ヘッドレストに強度の荷重が加えら
れた場合にもヘッドレストの変形を著しく小さくするこ
とができ、著しく安全性に優れた車両用シートのヘッド
レスト装置を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、本発明に係る車両用シートのヘ
ッドレスト装置は、シートバックのシートフレームがワ
イヤーフレームより形成され、該ワイヤーフレームの上
部フレームに支持プレートが固着され、前記支持プレー
トにホルダブラケットが取付けられ、該ホルダブラケッ
トにスティホルダが取付けられ、該スティホルダにヘッ
ドレストのヘッドレストスティが挿入保持されるように
なされた車両用シートのヘッドレスト装置において、前
記シートバックの取付けられる車体パーセルの下方の車
体フレームに前記ワイヤーフレームの上部フレームを係
止するフック部が形成され、該フック部より下方位置の
車体フレームにスティ受けブラケットが形成され、該ス
ティ受けブラケットに前記スティホルダの下部より下方
に突出するヘッドレストスティが挿入されていることを
特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明によれば、シートバックの取付けられる
車体パーセルの下方の車体フレームにシートバックのワ
イヤーフレームの上部フレームを係止するフック部が形
成され、該フック部より下方位置の車体フレームにステ
ィ受けブラケットが形成され、該スティ受けブラケット
に前記スティホルダの下部より下方に突出するヘッドレ
ストスティが挿入されているので、前記ヘッドレストに
後方向への荷重が加えられた場合に、前記フック部に係
止されたワイヤーフレームの上部フレームを中心にヘッ
ドレストに回動力が与えられ、ヘッドレストスティが同
様に回動しようとするが、スティホルダの下部より下方
に突出するヘッドレストスティがスティ受けブラケット
に係止され、ヘッドレストの回動が規制され、車体フレ
ーム側に負荷を伝達させることができる。

【００１０】

【実施例】以下本発明に係る車両用シートのヘッドレス
ト装置を図面を参照して詳述する。図１乃至図３は本発
明に係る車両用シートのヘッドレスト装置の一実施例の
概略を夫々示すものであり、車両用シートのシートバッ
ク１１は枠線構成からなるワイヤーフレーム１２と、こ
のワイヤーフレーム１２の外周に一体発泡成形されたパ
ッド材１３と、このパッド材１３の外周を被覆する表皮
材１４とから形成されている。

【００１１】図２に示す実施例は、シートバック１１が
左右一対の着座部を有するものであり、中央の上下に延
びるフレーム１５にアームレストが取付けられるように
なされている。シートバック１１の後方には車体パーセ
ル等の車体フレーム１７が位置している。尚ワイヤーフ
レーム１２の枠線構成の詳細説明はこれを省略するも、
従来公知の枠線構成を適用することができ、またシート
バック１１が左右一対の着座部を有しないものであって
もよい。

【００１２】ヘッドレスト装置２１はヘッドレスト本体
２２と、このヘッドレスト本体２２のヘッドレストフレ
ーム２３より下方に垂下されたヘッドレストスティ２７
とを備えている。前記ヘッドレスト本体２２はヘッドレ
ストフレーム２３と、このヘッドレストフレーム２３の
外周に配設されたパッド材２４、及びこのパッド材２４
の外周を被覆する表皮材２５より形成されている。

【００１３】前記ヘッドレストスティ２７は、本実施例
では左右一対形成され、または逆Ｕ字状のヘッドレスト
スティを用いたが、一本のヘッドレストスティであって
もよい。尚前記シートバック１１のパッド材１３及びヘ
ッドレスト本体２２のパッド材２４は一体発泡成形され
たものに限定されるものではない。

【００１４】この一対のヘッドレストスティ２７の間隔
に対応する位置に断面円弧状の一対の凹部３２が形成さ
れ、且つ横方向に長く形成された支持プレート３１がシ
ートバック１１の枠線構成からなるワイヤーフレーム１
２の上部フレーム１２ａの前面側に固着されている。

【００１５】前記支持プレート３１の一対の凹部３２に
ホルダブラケット３４が取付けられている。前記ホルダ
ブラケット３４にスティホルダ（図示せず）が取付けら
れ、該スティホルダにヘッドレスト２１のヘッドレスト
スティ２７が挿入保持されるようになされている。

【００１６】図１及び図２に示す如く、シートバック１
１のワイヤーフレーム１２の上部フレーム１２ａと対向
する車体パーセル等の下方の車体フレーム１７にはフッ
ク部４１が形成されている。このフック部４１に前記ワ
イヤーフレーム１２の上部フレーム１２ａが回動可能に
係止される。

【００１７】前記フック部４１より下方位置の車体フレ
ーム１７にスティ受けブラケット４３が形成されてい
る。このスティ受けブラケット４３は側面から見て台形
状に形成され、スティ受けブラケット４３の両端部に車
体フレーム１７に固着するための固着部４５が形成され
ている。

【００１８】尚、本実施例ではフック部４１及びスティ
受けブラケット４３として、フック状及び台形状に形成
された別部材を車体フレーム１７に固着したが、車体フ
レーム１７が金属製である場合が多いので、この車体フ
レーム１７に切り起こしによりフック部４１及びスティ
受けブラケット４３を形成することができる。

【００１９】前記スティ受けブラケット４３に前記ホル
ダブラケット３４の下部より下方に突出するヘッドレス
トスティ２７の下端側が挿入されている。前記スティ受
けブラケット４３に挿入されたヘッドレストスティ２７
の下端側は、スティ受けブラケット４３に挿入されてい
るが、通常時当接状態にない。

【００２０】前記ヘッドレスト２１に後方向への比較的
軽い荷重が加えられた場合には、ヘッドレストスティ２
７を介してシートフレーム１２の上部フレーム１２ａに
荷重が加えられ、図３に示す如く、通常の軽い負荷の場
合にはシートフレーム１２の上部フレーム１２ａ及び支
持プレート３１によりヘッドレスト２１が支持されてい
る状態にある。

【００２１】また、図４に示す如く、前記ヘッドレスト
２１に後方向への衝撃荷重Ｆが加えられた場合には、前
記フック部４１に係止されたワイヤーフレーム１２の上
部フレーム１２ａを中心にヘッドレスト２１に回動力が
与えられ、ヘッドレストスティ２７に回動力が与えられ
る。

【００２２】ヘッドレストスティ２７が回動しようとす
るが、ホルダブラケット３４、即ちスティホルダの下部
より下方に突出するヘッドレストスティ２７の下部がス
ティ受けブラケット４３に係止され、ヘッドレスト２１
の回動が規制される。スティ受けブラケット４３より前
記回動力が車体フレーム１７側に負荷として伝達させる
ことができ、ヘッドレスト２１のこれ以上の変形が阻止
されるようになされている。

【００２３】尚、本発明は上述した実施例構造に限定さ
れず、ヘッドレスト２１やシートバック１１等の各部の
形状、構造等を、必要に応じて適宜変形、変更すること
は自由である。

【００２４】

【発明の効果】以上が本発明に係る車両用シートのヘッ
ドレスト装置の一実施例の構成であるが、斯る構成に依
れば、シートバックの取付けられる車体パーセルの下方
の車体フレームにシートバックのワイヤーフレームの上
部フレームを係止するフック部が形成され、該フック部
より下方位置の車体フレームにスティ受けブラケットが
形成され、該スティ受けブラケットに前記スティホルダ
の下部より下方に突出するヘッドレストスティが挿入さ
れているので、前記ヘッドレストに後方向への荷重が加
えられた場合に、前記フック部に係止されたワイヤーフ
レームの上部フレームを中心にヘッドレストに回動力が
与えられ、ヘッドレストスティが同様に回動しようとす
るが、スティホルダの下部より下方に突出するヘッドレ
ストスティがスティ受けブラケットに係止され、ヘッド
レストの回動が規制され、車体フレーム側に負荷を伝達
させることができ、必要最小限の構成部品点数によって
簡単に構成し、然も、シートバックのフレームを補強す
ることなしに、ヘッドレストの支持状態を強化すること
ができ、ヘッドレストに強度の荷重が加えられた場合に
もヘッドレストの変形を著しく小さくすることができ、
著しく安全性に優れた車両用シートのヘッドレスト装置
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るヘッドレスト装置の要部を示す分
解斜視図。

【図２】本発明に係るヘッドレスト装置を適用したシー
トバックと車体フレームとを示す斜視図。

【図３】本発明に係るヘッドレスト装置の側断面図。

【図４】本発明に係るヘッドレスト装置の衝撃荷重時の
作動状態を示す側面図。

【符号の説明】

１１ シートバック １２ シートフレーム １３ パッド材 １４ 表皮材 １５ フレーム １７ 車体フレーム ２１ ヘッドレスト ２２ ヘッドレスト本体 ２３ ヘッドレストフレーム ２４ パッド材 ２５ 表皮材 ２７ ヘッドレストスティ ３１ 支持プレート ３２ 凹部 ３４ ホルダブラケット ４１ フック部 ４３ スティ受けブラケット ４５ 固着部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートバックのシートフレームがワイヤ
   ーフレームより形成され、該ワイヤーフレームの上部フ
   レームに支持プレートが固着され、前記支持プレートに
   ホルダブラケットが取付けられ、該ホルダブラケットに
   スティホルダが取付けられ、該スティホルダにヘッドレ
   ストのヘッドレストスティが挿入保持されるようになさ
   れた車両用シートのヘッドレスト装置において、前記シ
   ートバックの取付けられる車体パーセルの下方の車体フ
   レームに前記ワイヤーフレームの上部フレームを係止す
   るフック部が形成され、該フック部より下方位置の車体
   フレームにスティ受けブラケットが形成され、該スティ
   受けブラケットに前記スティホルダの下部より下方に突
   出するヘッドレストスティが挿入されていることを特徴
   とする車両用シートのヘッドレスト装置。