JP2615688B2 - 誘導電動機の制御方法 - Google Patents

誘導電動機の制御方法

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JP2615688B2 JP62273992A JP27399287A JP2615688B2 JP 2615688 B2 JP2615688 B2 JP 2615688B2 JP 62273992 A JP62273992 A JP 62273992A JP 27399287 A JP27399287 A JP 27399287A JP 2615688 B2 JP2615688 B2 JP 2615688B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、電気自動車などに用いる誘導電動機の制
御方法、特にそのエネルギー効率の改善に関する。
[従来の技術] 従来から交流電動機のトルク応答制御として、1次電
流を励磁電流とトルク電流に分解して考えるベクトル制
御が広く行なわれている。そして、誘導電動機のベクト
ル制御は通常励磁電流を一定値としておき、トルク電流
を変更して出力トルクを制御している。
また、特公昭61−59071号公報には誘導電動機の回転
数が所定値まで増加した時には、励磁電流を減少させる
界磁弱め制御について示されている。
さらに、特公昭58−49092号公報には、誘導電動機の
低負荷時において、励磁電流をあらかじめ定められた一
定の比率で減少し、界磁弱め制御を行うことが示されて
いる。
また、各出力トルク毎に最適な励磁電流値、トルク電
流値を実験により求めておき、この実験データに基づい
て、励磁電流値、トルク電流値を制御する方法も知られ
ている。
[発明が解決しようとする問題点] このような従来の誘導電動機の制御方法においては、
次のような問題点があった。
(A)励磁電流を一定とする場合は、低負荷時にエネル
ギーの損失が大きいという問題点があった。
つまり、励磁電流を一定値とする場合は必要とされる
最大トルクに対応する値に励磁電流を固定する必要があ
る。このため、低負荷領域においては、励磁電流が必要
以上に大きくなり、エネルギー損失が大きくなるという
問題点があった。そして、特に電気自動車の駆動源とし
ての誘導電動機のような場合、発進時、急加速時、上り
坂走行時など高負荷の場合が多くある。このため、この
ような高トルク時に合わせて励磁電流値を設定すると、
低トルク時のエネルギーロスが非常に大きくなる。
(B)特公昭61−59071号公報記載のように高回転時に
界磁弱め制御を行っても、低負荷時のエネルギー損失を
減少することはできない。
(C)特開昭57−49092号公報記載のように、低負荷時
に界磁弱め制御を行えば、ある程度のエネルギー効率の
改善は図れる。しかし、励磁電流値を最適値にできる訳
ではなく、十分なエネルギー効率の改善は図れなかっ
た。また、トルク電流と励磁電流の配分を変更すると、
磁束が励磁電流に対して一次遅れになっていることに起
因して、過渡的にトルクはこれらの積に比例しなくなり
最適なトルク制御が行えなかった。
(D)最適値をあらかじめ求めた実験データによって求
める方法によれば、かなりの場合に適当な励磁電流、ト
ルク電流の設定が行え、エネルギーロスを減少できる。
しかし、この方法で精度を上げるためには、実験量をそ
れだけ多くしなければならず、また実験条件の設定上の
都合上すべての場合に十分な対応をすることは困難であ
った。
この発明は、このような問題点を解決するためになさ
れたものであって、トルク指令値に変化のない時はすべ
り角周波数を誘導電動機の特性値から演算算出した銅損
を最小とする最適すべり角周波数に保持するため、この
状態でのエネルギー効率を最適に保つことができトルク
指令値が変化する時はベクトル制御により応答性の良い
制御が行える誘導電動機の制御方法を提供することを目
的とする。
[問題点を解決するための手段] この発明の誘導電動機の制御方法は、トルク指令値に
基づいて誘導電動機への電力供給を制御する誘導電動機
の制御方法において、トルク指令値の変化が実質的にあ
る場合は励磁電流を一定値に保ったまますべり周波数お
よびトルク電流を変更するベクトル制御を行い、誘導電
動機の出力トルクを上記トルク指令値に応じたものと
し、トルク指令値の変化が実質的にない場合は、すべり
周波数を上記誘導電動機の1次側抵抗、2次側抵抗、相
互インダクタンス、2次側リアクタンスの各特性値から
演算算出して得た上記誘導電動機における銅損を最小と
する最適すべり角周波数とするとともに、励磁電流及び
トルク電流を上記トルク指令値に応じたものとし、誘導
電動機の出力トルクを上記トルク指令値に応じたものと
することを特徴とするとともに、上記最適すべり角周波
数は次式によって演算算出することを特徴とする誘導電
動機の制御方法である。
ωs min=[R1・R22/{M2R2+R1(L2+l2)}]0.5 (ここで、ωs minは最適すべり角周波数、R1は1次側
抵抗、R2は2次側抵抗、Mは1次側2次側の相互インダ
クタンス、L2は2次側インダクタンス、l2は2次側漏れ
インダクタンスである) [作用] この発明によれば、最初に誘導電動機の1次側抵抗、
2次側抵抗、相互インダクタンス、2次側リアクタンス
の各特性値から該誘導電動機の銅損を最小とする最適す
べり角周波数を演算算出する。
そして、トルク指令値が変化しない場合は、すべり周
波数をこの最適すべり各周波数にするとともに、励磁電
流及びトルク電流をトルク指令に対応した所定値にす
る。また、トルク指令値が変化する場合は、励磁電流を
一定に保った状態ですべり周波数およびトルク電流を変
更し出力トルクを制御するベクトル制御を行う。
このように、トルク指令値の変化する過渡状態におい
ては応答性の良いベクトル制御を行い、変化のない場合
はすべり角周波数を最適すべり角周波数にするととも
に、トルク指令値に励磁電流及びトルク電流の両方をト
ルク指定値に応じたものとする。このため、トルク指令
値の変化量が大きい場合には応答性の良い制御が行える
にもかかわれず、トルク指令値の変化量がない場合に
は、低トルク領域及び高トルク領域の両方において、エ
ネルギー効率の最適化制御が行え、エネルギー損失を最
小限におさえることができる。
[実施例] この発明に係る誘導電動機の制御方法を適用した電気
自動車の一実施例について図面に基づいて説明する。
直流電源10からの直流電力は、PWM(パルス幅変調)
制御を行うインバータ主回路12のスイッチングトランジ
スタ(図示せず)のスイッチング制御によって、所定の
交流電力に変換され、誘導電動機14に供給される。そし
て、誘導電動機14が駆動制御されることによって、電気
自動車の走行が制御される。
この誘導電動機14の回転数ωrはタコジェネレータ16
によって検出される。そして、この回転数ωrは加算器
18に供給される。また、誘導電動機14への供給電流量は
電流センサ20によって計測され、この電流量の計測値は
2−3相変換器22に供給される。
2−3相変換器22は、励磁電流指令値I0およびトルク
電流指令値ITおよび電源角周波数指令値ω0の供給を受
け、これを3相の電流指令値Iu、Iv、Iwに変換し、イン
バータ主回路12のスイッチングを制御する。
そして、この2−3相変換器22に供給される励磁電流
指令値I0、トルク電流指令値ITおよび電源角周波数指令
値ω0はベクトル制御演算部100、遷移制御演算部200、
すべり一定最適制御演算部300のいずれかから供給され
る。この演算部の選択は、トルク指令値Tqの変化を検出
する制御部決定部400からの選択信号Cによって行われ
る。
ここで、第2図に基づいてこの制御全体の流れを説明
する。
スタートすると、最初にベクトル制御演算部100にお
ける励磁電流指令値I0を最大値I0maxに設定する(I0=I
0max)。これは、スタート時点では最大トルク指令ITma
xに備えておいた方が良いからである。
次に、トルク指令値Tqを制御部決定部400が取込む
(トルク指令値Tq)。そして、ここでこのTqに変化があ
ったかどうかをチェックする(Tq変化あり)。スタート
直後の場合はトルク指令値Tqに変化があるので、制御部
決定部400は選択信号Cによってベクトル制御演算部100
を選択する(Yes)。
ベクトル制御演算部100は、I0をI0maxに保持した状態
で入力されるトルク指令値Tqに対応したすべり角周波数
ωs、トルク電流指令値ITを演算算出する(ベクトル制
御演算)。そして、この演算によって得たトルク電流指
令値IT、および上記I0maxを励磁電流指令I0として2−
3相変換器22に出力する。また、演算によって得たすべ
り周波数wsを加算器18を開し、2−3相変換器22に出力
する。この出力が終った後、制御部決定部400における
カウント時間Tをリセットする(T=0)。
2−3相変換器22は供給された励磁電流指令値I0、ト
ルク電流指令値ITから一次電流指令値I1を算出し、これ
を加算器18から供給される電源周波数ω0によって3相
一次電流値Iu、Iv、Iwを決定する。そして、この3相一
次電流指令値に基づいてインバータ主回路12を制御する
(Iu、Iv、Iw出力)。
そして、次のループのトルク指令Tqの取込みに戻る
(トルク指令値Tq)。ここで、トルク電流指令値Tqの変
化をチェックし、変化がある場合は、上述の場合と同じ
ようにベクトル制御を行う。
次に、トルク指令Tqに変化がない場合はカウント時間
Tに所定値、例えば1を加算する(Tインクリメン
ト)。ベクトル制御を行った時は上述のカウント時間T
が0になっているので、このカウント時間Tは、トルク
指令値Tqの変化がない時間をカウントしたものとなる。
次に、このカウント時間Tをあらかじめ記憶されてい
る所定時間ΔTと比較する(T>ΔT)。この所定時間
ΔTは、ベクトル制御から他の制御に移る場合の実質的
にトルク指令値Tqが一定であることを判断する時間とな
っている。そして、このカウント時間Tが所定時間ΔT
より小さい場合(No)は、トルク指令値Tqが変化してい
ないとの判断はできないため、トルク指令値Tqの取込み
に戻る。
このループを繰返しカウント時間Tが所定時間ΔTよ
り大きくなった場合は、トルク指令値Tqが実質的に一定
とみなせるので、制御部決定部400は選択信号Cの変更
によって他の制御部、つまり遷移制御演算部200または
すべり一定最適制御演算部300を選択する。
この選択のため、カウント時間Tと所定時間ΔTの2
倍の値と比較する(T>2ΔT)。そして、カウント時
間TがΔTと2ΔTの間にある場合は遷移制御演算部20
0を選択し、2ΔT以上の場合は、すべり一定最適制御
演算部300を選択する。つまり、遷移制御演算部200は、
トルク指令値Tqが所定時間T秒以上一定である場合にベ
クトル制御からすべり一定最適制御に直接切替えず一度
経由する演算部である。なお、ここで、すべり一定最適
制御演算部300に切替えるまでの時間としてΔTを使用
したが、他の適当な値でも良い。
遷移制御演算部200、すべり一定最適制御演算部300は
独自の演算式によって、励磁電流指令値I0、トルク電流
指令値IT、すべり角周波数ωsを演算算出し、これを2
−3相変換器22および加算器18に出力する。そして、こ
れらの値に基づいて、2−3相変換器18がインバータ主
回路12におけるスイッチングを制御し、誘導電動機14の
出力トルク制御を行う。
このようにして、トルク指令値Tqの一定な時間がが所
定時間ΔTから2ΔTの時は遷移制御演算部200による
制御が行なわれ、一定な時間が2ΔTを越えた場合はす
べり一定最適制御演算部300による制御が行なわれる。
また、トルク指令値Tsの一定な時間がΔT以下の場合は
ベクトル制御演算部100による制御が引き続き行なわれ
る。
次に、ベクトル制御演算部100におけるベクトル制
御、遷移制御演算部200における遷移制御およびすべり
一定最適制御演算部300での演算におけるすべり一定最
適制御について説明する。
まず、ベクトル制御演算部100においては、従来から
周知のように励磁電流を一定値に保持した状態で、出力
トルクTが所定値となるようにすべり角周波数ωsおよ
びトルク電流指令値I0を決定する。すなわち、誘導電動
機14の励磁方向およびトルク方向の2軸に分けた状態式
より、次のように各値を決定する。
I0=Iα(一定) Φ2=MIα(一定) ωs=R2・Tq/Φ22 IT=(L2+l2)ωs・Φ2/M・R2 ここで、I0は励磁電流指令値、Iαは定数、Φ2は2
次磁束、Mは相互インダクタンス、R2は2次抵抗、Tqは
トルク指令値、ωsはすべり角周波数指令値、L2は2次
インダクタンス、l2は漏れインダクタンス、ITはトル
ク、電流指令値である。
このようにして、あらかじめ定められている定数Iα
(スタート当初は上述のようにIαとしてI0maxが採用
される)より2次磁束Φ2を決定し、この2次磁束Φ2
とトルク指令値Tqとよりすべり周波数指令値ωs、さら
にトルク電流指令値ITを算出する。そして、これら励磁
電流指令値I0、トルク電流指令値IT、すべり角周波数指
令値ωsに基づいてインバータ主回路におけるスイッチ
ングを制御する。
これによってトルク指令値Isの変化に対する応答性の
よいベクトル制御が行える。
次に、すべり一定最適制御演算部300における演算に
ついて説明する。このすべり一定最適制御演算部300は
誘導電動機14の特性値より最適すべり角周波数ωs min
を算出し、ここに記憶しており、すべり角周波数をこの
最適角周波数ωs minに保持する。
そこで、この最適すべり角周波数ωsminの算出方法に
ついて以下に説明する。まず、誘導電動機14を2軸変換
した場合の等価回路を第3図に示す。ここで、すべり一
定最適制御演算部300による制御を行う場合は、定常状
態のため、次のような関係が成立つことが分る。
I1d=Φ2/M I1q={(L2+l2)/R2}・ωs・Φ2/M I2d=0 I2q=−ωs・Φ2/R2 ここで、i1dは1次側励磁電流でI0に対応するもので
あり、i1qは1次側トルク電流でITに対応するものであ
り、i2dは、i2qはそれぞれ2次側の励磁電流、トルク電
流である。また、ωsはすべり角周波数、L2は2次側イ
ンダクタンス、l2は2次側漏れインダクタンス、R2は2
次側抵抗、Φ2は2次側磁束である。
また、出力トルクTは、 T=Φ2・i2q であり、これをすべり周波数ωsを使って表せば次のよ
うになる。
T=ωs・Φ22/R2 る。
ここで、この最適すべり角周波数のωs minの算出
は、誘導電動機14の定常回転時において、特定のすべり
角周波数ωで誘導電動機14の銅損Lが最小となること基
本とする。
そして、誘導電動機14における抵抗への電流流通の際
のエネルギー損失である銅損Lは、電流の2乗に抵抗を
乗算したものなので、次のように表せることになる。
L=(I1d2+I1q2)R1+(I2d2+I2q2)R2 =T[{1+(L2+l2)2/M2×R1/R2}ωs+R1・R2/M2 ×1/ωs] この銅損Lを最小にするωs、つまり最適すべり角周
波数ωs minを求める為には、この銅損Lをωsで微分
し、これが0となるωsを求めればよい。このようにし
て、最適すべり角周波数ωs minが次式のように求めら
れる。
ωs min=[R1・R22/{M2・R2+R1(L2+l2)}]0.5 また、すべり周波数ωsをこの最適すべり角周波数ω
s minに固定すると、励磁電流I0はトルク指令値Tqに応
じて次のように表される。ここで、この時の励磁電流I0
をIα′とする。
I0=Iα′ Iα′=(R2・Tq/ωs min)0.5/M さらにトルク電流指令値IT、2次磁束Φ2は次のよう
になる。
IT={(L2+l2)/M・R2}・(ωs min・Tq/R2)0.5 Φ2=(R2・Tq/ωs min)0.5 このようにすべり一定最適制御演算部300では、誘導
電動機14の特性値より定常状態における銅損Lの最小と
なる最適すべり角周波数ωs min算出する。そして、す
べり周波数ωsを最適周波数ωs minにした状態で励磁
電流指令値I0、トルク電流指令値ITをトルク電流指令値
Tqに応じた値とする。このため、定常状態においてエネ
ルギー効率の非常に良い運転が可能となる。なお、この
最適すべり角周波数ωs minはすべり角周波数指令値と
して加算器18にを介し、励磁電流指令値I0、トルク電流
指令値ITは直接2−3相変換器22に供給される。
次に、ベクトル制御からすべり一定制御に移行する際
の制御である遷移制御演算部200における遷移制御につ
いて説明する。
つまり、トルク指令TqがΔT秒間変化しない場合は、
次のΔT秒間は出力トルクを一定として、すべり角周波
数ωsを最適すべり角周波数ωs minに変化させる。こ
こで、出力トルクTをトルク指令値Tgに応じたものとす
るためには、励磁電流I0を最適すべり周波数ωs minに
対応した励磁電流指令値Iα′とする必要がある。
この励磁電流I0の変更を瞬時に行うと、その制御が滑
かでなくなるため、遷移制御演算部200によってこの接
続を滑かにする制御を行う。
第1の例としては、この励磁電流I0をベクトル制御に
おける一定値Iαからすべり一定最適制御における励磁
電流Iα′に変更する際2次関数とする。
つまり、遷移制御演算部300における制御がΔT秒間
で完了するとして励磁電流I0が次のように変化させる。
I0=(Iα−Iα′)(t−ΔT)2/ΔT2+Iα′ この式に従えば、励磁電流I0はIαからIα′に2次
関数で滑かに変化する。
なお、上式に代えて下式のような直線で変化させても
良い。
I0=(Iα′−Iα)t/ΔT+Iα ここで、第4図に励磁電流I0を2次関数で変化させた
場合と直線で変化させた場合の変化の状態を示す。
このように、励磁電流I0を変更した場合の2次磁束Φ
2は次のようになる。
そして、このような2次磁束Φ2に対し、出力トルク
をトルク指令値Tqに対応したものとするため、トルク電
流指令値IT、すべり角周波数ωsは次のようになる。
IT=(K・R2・Tq)/M・Φ2 ωs=M・IT/K・Φ2 このようにして、ベクトル制御からすべり一定最適制
御への切替えが行なわれる。
また、遷移制御またはすべり一定最適制御を行ってい
る時にトルク指令値Tqが変化した場合は第2図のフロー
チャートから明らかなようにベクトル制御に戻る。ここ
で、ベクトル制御の場合励磁電流I0を一定値に保持す
る。そこで、この励磁電流I0は直前の値を保持すること
とする。つまり、すべり一定最適制御などにおける励磁
電流値I0をそのままIαとして保持することとなる。
なお、トルク指令値Tqが例えば最大トルク指令値Tq m
axとなった場合には、励磁電流指令値I0も最大励磁電流
指令値I0maxとする必要がある。このため、励磁電流I0
が低いために十分なトルクを得られない場合には、励磁
電流指令値I0を変更できるようにするとよい。例えば、
遷移制御で用いた励磁電流指令値I0の変更方法をそのま
ま用いて、励磁電流指令値I0を最大励磁電流指令値I0ma
xに変更してもよい。
以上のように、この実施例の方法によればトルク指令
値Tqが一定の場合には誘導電動機14の特性値から銅損L
を最小とできるすべり周波数ωs minに保持し、エネル
ギー効率の非常に良い制御が行える。
(B)トルク指令値Tqが変化する過渡期には、従来と同
様の励磁電流指令値I0を一定に保持するベクトル制御に
より応答性の良い制御が行える。
(C)さらに、ベクトル制御からすべり一定最適制御に
移行する際には、励磁電流指令値I0を変更しなければな
らないが、遷移制御演算部200によりこの移行をスムー
ズに行うことができる。
なお、以上の実施例においては、トルク指令値Tqに変
化があるかどうかの判定に、所定の時間ΔT秒間トルク
指令値Tqに変化がないかどうかのチェックを行ったが、
これに限らず下記のような方法でも良い。
つまり、ある時間TAにおけるトルク指令値をTqAとし
所定の時間Δ後のトルク指令値をTqΔとし、下記の場合
にトルク指令値Tqに変化があると判定することなどが考
えられる。
(A)ΔTq=|TqΔ−TqA|≠0 (B)トルク指令値Tqの微分値の絶対値が所定の微小値
ε以上の場合。
つまり、 |(TqΔ−TqA)/Δ|>ε (C)トルク指令値TqΔが所定の定数αより大きい場
合。
TqΔ>α (D)トルク指令値Tqの変化の絶対値が所定の定数βを
越える場合。
ΔTq>β [発明の効果] 以上のように、この発明に係る誘導電動機の制御方法
によれば、トルク指令値が一定の場合にすべり角周波数
を銅損を最小とできる最適角周波数とするので、エネル
ギー損失の少ない誘導伝動機の運転が行え、トルク指令
値が変化している場合にはベクトル制御を行うので、応
答性の良い制御が行える。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例に係る誘導電動機の制御方
法を適用したシステムのブロック図、 第2図は同実施例の動作を示すフローチャート図、 第3図は同実施例の誘導電動機14の等価回路図、 第4図は遷移制御における励磁電流の変化を示す特性図
である。 10……直流電源 12……インバータ主回路 14……誘導電動機 100……ベクトル制御演算部 200……遷移制御演算部 300……すべり一定最適制御演算部 400……制御部決定部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トルク指令値に基づいて誘導電動機への電
    力供給を制御する誘導電動機の制御方法において、 トルク指令値の変化が実質的にある場合は励磁電流を一
    定値に保ったまますべり周波数及びトルク電流を変更す
    るベクトル制御を行い、誘導電動機の出力トルクを上記
    トルク指令値に応じたものとし、 トルク指令値の変化が実質的にない場合は、すべり周波
    数を上記誘導電動機の1次側抵抗、2次側抵抗、相互イ
    ンダクタンス、2次側リアクタンスの各特性値から式ω
    s min=[R1・R22/{M2R2+R1(L2+l2)}]0.5(こ
    こで、ωs minは最適すべり角周波数、R1は1次側抵
    抗、R2は2次側抵抗、Mは1次側2次側の相互インダク
    タンス、L2は2次側インダクタンス、l2は2次側漏れイ
    ンダクタンスである)で演算算出して得た上記誘導電動
    機における銅損を最小とする最適すべり角周波数とする
    とともに、励磁電流及びトルク電流を上記トルク指令値
    に応じたものとし、誘導電動機の出力トルクを上記トル
    ク指令値に応じたものとすることを特徴とする誘導電動
    機の制御方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の方法におい
    て、上記ベクトル制御を行う際の励磁電流は、そのベク
    トル制御を始める直前の値に保持することを特徴とする
    誘導電動機の制御方法。
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