JP2615525B2 - 磁気ヘッドの高さ調整方法 - Google Patents

磁気ヘッドの高さ調整方法

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    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/48Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/52Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with simultaneous movement of head and record carrier, e.g. rotation of head
    • G11B5/53Disposition or mounting of heads on rotating support

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転シリンダを用いた磁
気記憶装置における、磁気ヘッドの高さを調整する磁気
ヘッドの高さ調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッドの
位置決め精度は、媒体に記録される情報のフォーマット
を決定する重要な精度である。
【0003】例えば、家庭用として広く普及しているビ
デオテープレコーダでは、回転シリンダに180°対向
して取り付けられた2対の磁気ヘッドが、順次、磁気テ
ープに対して斜め方向に走査しながら画像や音声の情報
を記録再生している。実際に磁気テープ上に記録される
トラックピッチは、2時間モードで約60μm、6時間
モードで約20μmと非常に狭くなっている。
【0004】仮に前述した2対の磁気ヘッドが、これら
のトラック上を正確に走査できない場合、記録された情
報を正確に再生することができず、再生画像の画質は著
しく低下してしまう。これを防ぐには、磁気ヘッドの走
査ピッチを前述したトラックピッチに正確に合わせる必
要があるが、この走査ピッチを決める重要な要因に、磁
気ヘッドの高さがある。
【0005】磁気ヘッドの高さには、図4にHaで示し
た絶対高さとHrで示した相対高さがある。絶対高さH
aとは、下シリンダ31の基準面35と上シリンダ32
に固定されたヘッド30のギャップ端部との距離であ
る。
【0006】従来のヘッド高さ調整方法について図4を
用いて以下に説明する。まず、上シリンダ32とヘッド
チップ30を貼付けたヘッドベース33との間に所定厚
みのスペーサ39を挟んで大まかな調整をする。
【0007】つぎに、CCDカメラ36を用いてヘッド
高さをモニタ37で観察しながら、ヘッドベース33の
一部に当たっている虫ネジ40を必要な調整量の分だけ
図4中の矢印Bの方向にねじ込み、ヘッドベース33を
部分的に変形させることで所定のヘッド高さになるよう
に調整する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の虫ネジを用いた
調整の基本は、ヘッドベースの弾性変形の限界以内での
虫ネジの押し込み力によるヘッドベースの変形を利用し
ている点にある。このような場合、仮に機械的な振動や
温度変化によって虫ネジの押し込み量が変われば、ヘッ
ドベースの変形量はその分だけ変化し、結局ヘッド高さ
が変化してしまう恐れがある。
【0009】実際のVTRにはシリンダの回転やテープ
搬送など様々な振動原因となる要素があり、また、それ
らの駆動系から発生する熱の経時変化や使用環境の変化
などによる温度変化は避けられない。
【0010】現在、これらの変動要因からの影響を最小
限にとどめようとして、虫ネジに対してネジ緩み防止剤
(常温で固着する樹脂)を用いているが、その効果は十
分ではなく、数ミクロンのオーダーでヘッド高さが変化
してしまっていた。
【0011】また、回転シリンダの軸受けに流体軸受け
を用いた場合、回転する上シリンダの下シリンダに対す
る相対位置は、軸が回転しているかどうかによって大き
く変化するので、静止状態での調整による従来法では十
分な精度を確保することは困難であり、結局、調整作業
は試行錯誤的なものにならざるを得なかった。
【0012】また一方、虫ネジによる調整の上記問題点
を解決するために、特願平3−76169号(特開平4
−310613号公報)に見られるようなレーザ光を磁
気ヘッドを支持しているヘッドベースに照射して部分的
な塑性変形を引き起こし、ヘッド高さを調整する方法で
あるが、その場合、調整可能なシリンダの回転数は照射
するレーザ光の照射タイミング精度や変形に必要なレー
ザエネルギーに依存し、正規のシリンダ回転数で調整が
できるとは限らない。
【0013】本発明の目的は、上記問題を解決し、調整
したヘッド高さが振動や温度変化に左右されず、しかも
正規の回転数でシリンダを回転させた状態で高精度、高
能率にヘッド高さを調整することができる方法を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、単一の金属板からなるヘッドベースと少な
くとも1つ以上のヘッドチップとからなる磁気ヘッドが
回転シリンダに取り付けられた状態において、ヘッドベ
ースのヘッドチップ取付け部分の近傍にレーザ光を照射
することにより、前記ヘッドベースの照射部分を熱的に
塑性変形させてヘッド高さを調整する磁気ヘッドの高さ
調整方法であって、前記レーザ光の光軸シリンダ回転
に同期して回転させることにより、光軸とヘッドの相対
位置関係時間的に変化させることなく疑似静止状態で
レーザ光を照射し、シリンダ回転中にヘッド高さを調整
するものである。
【0015】
【作用】本発明によれば、レーザ光の照射によるヘッド
ベースの塑性変形によってヘッド高さは調整されるの
で、その調整されたヘッド高さは、機械的振動や温度変
化に影響されにくく、また、そのヘッドベースの変形は
非接触で行えるため、シリンダを回転させた状態での調
整が可能となる。
【0016】また、レーザ光の光軸がシリンダ回転に同
期して回転しているので、シリンダに取り付けられてい
るヘッドとレーザ光との位置関係は、シリンダが回転し
ていても常に静止しており、照射位置を正確に制御でき
るだけでなく、照射時間を変化させても照射痕は流れる
ことなく所定の位置に正確に照射でき、高精度なヘッド
高さの調整が行える。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。図1は本発明の一実施例におけるシ
リンダの断面とレーザ光を示す概略図、図2はレーザ光
を発振するための励起用ランプの電圧とヘッド高さの関
係を示す特性図、図3は本実施例のレーザ光照射位置を
説明するための上シリンダの部分拡大図である。
【0018】図1に示されるように、シリンダユニット
1は、ヘッドチップ3と、厚み1.5mmの真鍮からな
るヘッドベース4と、流体軸受けにより固定された1対
の上下シリンダにより構成されている。
【0019】また、シリンダユニット1の上にはシリン
ダユニット1の回転軸と同軸上に回転軸をもつ中空モー
タ2が設置されている。本実施例のシリンダユニットは
一般に市販されている家庭用VTRのVHSシリンダで
ある。
【0020】中空モータ2の回転部分には中空モータ2
の中空軸を通ってくるレーザ光19を反射させるための
2つのミラー5、6が取り付けてあり、さらに中空モー
タ2が回転時に偏心しないように、ダミーのミラー7に
よって重量バランスが調整されている。
【0021】レーザ光19は、レーザ発振器8で発振さ
れミラー9によって中空モータ2の回転軸中心に向かっ
て進み、フォーカシングレンズ10によってヘッドベー
ス4上で焦点を結ぶように設置されている。
【0022】ここで、図3に示すように上シリンダ32
には、回転方向に伸びた円弧状の貫通穴20を設けてあ
り、発振されたレーザ光19はこの貫通穴20を通って
ヘッドベースに照射される。
【0023】また、図1に示される様に、照射位置はレ
ーザ光の光学系を共有するCCDカメラ11とモニタ1
2によって観察されている。一方、調整あるいは測定さ
れるヘッドのギャップ面は、同様にCCDカメラ13と
モニタ14によって観察されている。
【0024】照射するレーザ光と磁気ヘッドを擬静止状
態に保つ為、中空モータ2と上シリンダ32を同期回転
させている。ここで、回転数は毎分1800回転であ
る。
【0025】さらに、ミラー6の真下にくる被調整ヘッ
ドを異なるヘッドに変えたり、被調整ヘッドのレーザ光
照射位置(特に回転方向の位置)を調整するために、照
射位置確認用モニタ12を見ながら中空モータ2と上シ
リンダ32両者の回転位相ずれを調整できるようにして
ある。
【0026】具体的には、同期回路15に基準信号発生
部と遅延回路が組み込まれており、その遅延量を変える
ことによって、駆動回路16、17のそれぞれに位相の
異なる同期回転信号を与え、両者を同じ回転数でしかも
位相の異なる回転をさせ、照射位置の調整及び照射する
ヘッドの選択を行っている。
【0027】同様に、同期回路15はストロボ光源18
につながっており、ここでも位相の異なる同期信号を与
え、観察したいヘッドがCCDカメラ13の前を通過す
る瞬間に発光するようになっている。その時得られるヘ
ッドギャップ面の画像をCCDカメラ13によって静止
画像としてモニタ14上に写し、シリンダに取り付けら
れた種々のヘッドの相対的なヘッド高さを測定する。
【0028】次に具体的な調整方法を説明する。まず、
調整すべきヘッド3の高さ基準となるヘッド(図示せ
ず)に対する相対的な高さをCCDカメラ13によるギ
ャップ面観察によって測定し、所定ヘッド高さにするた
めに必要なヘッドの必要調整量を求めた。本実施例で
は、必要調整量は12.3μmであった。
【0029】レーザ光19としてはNd:YAGレーザ
ー(波長1.06μm)の短パルス発振レーザ光を用い
た。ヘッド高さを調整するために、本実施例では励起用
フラッシュ光のパルス幅を5msecとし、励起電圧を
制御してレーザ光を照射した。
【0030】図2にダミーのヘッドベースに対して行っ
たヘッド高さ変化量の励起電圧依存性の実験結果を示
す。図2では、一回の照射で変形した量を縦軸にとって
いる。
【0031】図2の結果より、ヘッド3の高さを12.
3μm変化させるためには一回の照射では不十分である
ことがわかる。レーザ光照射によるヘッドベースの変形
すなわちヘッド高さの調整は、レーザ光が照射された位
置での溶接角変形を原理としており、溶接変形には加算
性がある。このことから本実施例では、複数回の照射を
照射位置を変えながら行い、トータルの変化量が12.
3μmになるようにした。
【0032】具体的には、まず図2から分かるように7
μmの変形が得られる730voltで図3のA位置に
照射した。照射とほぼ同時に高さを計測した結果、6.
5μmの高さ変位が起こっており、残る必要調整量は
5.8μmであった。
【0033】そこで次に、照射位置をシリンダ回転方向
に1.2mmずらしたB位置にした。
【0034】照射位置の変更は、シリンダ中心から半径
およそ25mmの円周上であるので、1.2mmずらす
ために、中空モータ側に与える回転同期信号をシリンダ
に与える同期信号よりも約255μsecだけ遅らせる
ことで得た。
【0035】B位置での照射条件は、図2より3μmの
高さ変化が期待される310voltの励起電圧とし
た。先と同様に照射とほぼ同時に測定した結果、3.2
μmの変化が起こっており、残る必要調整量は、2.6
μmであった。さらに、調整精度を0.5μm以下に追
い込むため、調整位置を図3中のA位置とB位置の中間
であるC位置に変更した。C位置への変更は、先と同様
に今度は、同期信号を127μsecだけ進めて調整し
た。
【0036】C位置での照射条件は、図2より2.6μ
mの変化が得られる270voltの励起電圧とした。
照射とほぼ同時に測定した結果、変化量は2.3μmで
あった。
【0037】結局、最終的なヘッド高さの調整量は1
2.0μmで、必要調整量12.3μmに対し、わずか
0.3μmの調整誤差でしかなく、非常に精度の高いヘ
ッド高さの調整が可能であった。また、−40℃〜80
℃の範囲における10時間のヒートショック試験後も、
その変形量に変化はなく安定していた。
【0038】なお、本実施例では変形量の調整に照射位
置を変えてのレーザ光の電圧制御を行ったが、同一箇所
へのレーザ光照射を行い、その照射回数の制御でも良
い。
【0039】本実施例では、シリンダに同期回転する中
空モータを光軸回転に用いたが、他の例としては、高速
レーザマーキングに使われているようなガルバノミラー
をシリンダ回転に同期させて動かし、光軸を回転させる
方法も考えられる。
【0040】また、レーザ光源としてはNd:YAGレ
ーザーを用いたが、他の光源を用いても良い。たとえ
ば、炭酸ガスレーザーや、Arガス、エキシマレーザー
等でもよい。また本発明は、真鍮以外の材質のヘッドベ
ースにも、レーザー照射条件を変更することで適用でき
る。
【0041】また、本実施例ではヘッドベースに1つの
ヘッドチップが接着されている状態での高さ調整の説明
をしたが、複数のヘッドチップが一つのヘッドベースに
接着されている時にも本発明は適用できるし、さらに、
そのようなヘッドベースが複数でシリンダに固定されて
いれば、それらすべてのヘッドベースについても同様に
本発明は適用できる。
【0042】なお、本実施例では、光エネルギーを用い
たレーザ光の照射による溶接変形を利用したが、原理的
には、局所加熱が行える方法ならばなんでもよい。たと
えば、電気的エネルギーを用いたアーク溶接や電子ビー
ム溶接、超音波エネルギーを用いた超音波溶接、化学的
エネルギーを用いたガス溶接などがあげられる。
【0043】
【発明の効果】以上実施例で述べたように、本発明によ
ればシリンダを回転させた状態でのヘッド高さの調整が
でき、レーザ光軸がシリンダ回転に同期して回転し常に
照射したいヘッドの真上に位置できるので、照射時間に
よってレーザ光の照射部分が流れることなくスポット状
に照射する事ができる。
【0044】また、レーザ光を単一の金属板からなるヘ
ッドベースに照射してヘッドベースに部分的な熱塑性変
形を起こさせてヘッド高さを調整する方法であるため、
特殊な接着剤を用いたり外力を加える事なく従来通りの
磁気ヘッドにおいてヘッド高さが調整できる。また、単
一のヘッドベースに固定された複数のヘッドチップ間の
相対的なヘッド高さも調整可能であり、さらに回転シリ
ンダに取り付けられた状態に於ても複数の磁気ヘッド間
の相対的なヘッド高さが調整可能となる。しかも、それ
らの調整は、レーザ光の光軸が回転シリンダと同期回転
する構成なので、回転シリンダの回転中に行えるため、
調整を短時間に終えられるとともに高い調整精度を確保
することが可能である。
【0045】また、本発明は虫ネジを使用しないため直
接的なコストダウンメリットに加え、虫ネジ先端の接触
部のバラツキによる高さ調整バラツキや、振動による高
さ変動などを排除でき、高い信頼性を持つ高さ調整が高
精度に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例をシリンダの断面とレーザ光
で説明するための概略図
【図2】レーザ光を発振するための励起用ランプの電圧
とヘッド高さの関係を示す図
【図3】本実施例のレーザ光照射位置を説明するための
上シリンダの部分拡大図
【図4】従来のヘッド高さの調整方法を説明する図
【符号の説明】
1 シリンダユニット 2 中空モータ 3 ヘッドチップ 4 ヘッドベース 5 レーザ光反射用ミラー 6 レーザ光反射用ミラー 9 レーザ光反射用ミラー 10 フォーカス用レンズ 15 同期回路 16 回転用駆動回路 17 回転用駆動回路 19 レーザ光
フロントページの続き (72)発明者 東陰地 賢 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−102715(JP,A) 特開 昭62−159326(JP,A) 特開 平2−206015(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の金属板からなるヘッドベースと少
    なくとも1つ以上のヘッドチップとからなる磁気ヘッド
    が回転シリンダに取り付けられた状態においてヘッド
    ベースのヘッドチップ取付け部分の近傍にレーザ光を照
    射することにより、前記ヘッドベースの照射部分を熱的
    に塑性変形させてヘッド高さを調整する磁気ヘッドの高
    さ調整方法であって、前記レーザ光の光軸シリンダ回
    転に同期して回転させることにより、光軸とヘッドの相
    対位置関係時間的に変化させることなく疑似静止状態
    でレーザ光を照射し、シリンダ回転中にヘッド高さを調
    整することを特徴とする磁気ヘッドの高さ調整方法。
  2. 【請求項2】レーザ光の光軸が回転運動する中空モータ
    の軸中心を通っていることを特徴とする請求項1記載の
    磁気ヘッドの高さ調整方法。
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