JP2614920B2 - 抗生物質pbj―5,360複合体 - Google Patents

抗生物質pbj―5,360複合体

Info

Publication number
JP2614920B2
JP2614920B2 JP1125297A JP12529789A JP2614920B2 JP 2614920 B2 JP2614920 B2 JP 2614920B2 JP 1125297 A JP1125297 A JP 1125297A JP 12529789 A JP12529789 A JP 12529789A JP 2614920 B2 JP2614920 B2 JP 2614920B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pbj
antibiotic
complex
water
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1125297A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02303496A (ja
Inventor
純一 東海林
光雄 服部
浩一 松本
眞三 松浦
正 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shionogi and Co Ltd
Original Assignee
Shionogi and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shionogi and Co Ltd filed Critical Shionogi and Co Ltd
Priority to JP1125297A priority Critical patent/JP2614920B2/ja
Publication of JPH02303496A publication Critical patent/JPH02303496A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2614920B2 publication Critical patent/JP2614920B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規な抗生物質に関し、さらに詳しくは、
シュウドモナス(Pseudomonas)sp.PBJ-5,360により産
生される抗生物質PBJ-5,360複合体に関するものであ
る。
[従来技術と発明が解決すべき課題] 抗生物質の抗細菌活性は個々の細菌によって異なる
上、しばしば耐性菌が出現して効果が低下することが知
られている。今日では、多剤耐性菌の出現が問題となっ
ており、治療を効果的に行うためには新規で有効な抗生
物質の開発が望まれている。とりわけブドウ状球菌や溶
血性連鎖状球菌などのグラム陽性菌には抗生物質耐性菌
が多く、これらグラム陽性菌に対して高い活性を有する
新規な抗生物質が必要とされている。
[課題を解決する手段] 本発明は、シュウドモナスsp.PBJ-5,360(Psedomonas
sp.PBJ-5,360)が産生する抗生物質PBJ-5,360複合体を
提供するものである。この抗生物質は、上記シュウドモ
ナスsp.PBJ-5,360によって産生され、構造式は不明であ
るが、加水分解によって後述のアミノ酸を与えることか
らペプチド抗生物質と考えられる。この抗生物質は上記
シュウドモナスの菌株を培養することにより産生される
物質であり、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によ
って数本のピークを与える(第1図参照)、極めて近似
した同族体の複合体として得られる。その抗菌活性は従
来のダブトマイシン(特開昭55-92353)やバンコマイシ
ンと比較して、極めて強力であるが、個々の成分の単離
にはまだ成功していない。
本発明のPBJ-5,360複合体は、ナトリウム塩として以
下の物理化学的特性を有する。
1)融点:250℃以上で分解 2)元素構成:炭素約44.77%、水素約6.94%、窒素約1
2.25%、ナトリウム約4.65% 3)分子量:約1,400〜約1,600 4)外観:無色粉末 5)酸または塩基性:両性 6)呈色反応等:ニンヒドリン反応、坂口反応およびI2
呈色反応に陽性 7)溶解性:pH7以上またはpH2以下の水、メタノール、
水飽和ブタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)に可
溶性 8)加水分解によるアミノ酸生成物:ヒドロキシアスパ
ラギン酸、アスパラギン酸、セリン、ヒドロキシイソロ
イシン、グリシン、アラニンおよびアルギニン 9)赤外吸収スペクトル(臭化カリウム錠):第2図参
照 10)紫外吸収スペクトル(20mM PBS、pH7.0):強い末
端吸収 11)薄層シリカゲルクロマトグラフィー:下記のRf値を
示す。 溶媒 Rf n−ブタノール:酢酸:水(4:1:2) 0.25 n−プロパノール:ピリジン:酢酸:水(15:10:1:12)
0.60n-ブタノール:ピリジン:酢酸:水(10:6:1:4) 0.10 上記の物性で表される本発明の抗生物質PBJ-5,360複
合体はインビトロおよびインビボで優れた抗菌活性を有
し、特にグラム陽性菌に対して強力な作用を有すること
が分かった。
即ち、本発明の抗生物質は、インビトロにおいて、グ
ラム陽性菌に対して0.006〜0.025mcg/mlで、グラム陰性
菌に対して1.56〜25mcg/mlで活性を示す。また、インビ
ボにおいても多剤耐性菌にED500.16mg/kgと優れた効果
を示した(実験例2参照)。代表的な菌に対する最小阻
止濃度(MIC)およびマウスにおけるED50を以下の表1
に示す。
上記表1から分かるように、本発明のPBJ-5,360はバ
ンコマイシンより優れた活性を示し、特にグラム陽性菌
に高活性を有する。その作用機構は、細胞壁合成阻害作
用に基づくと考えられる。
急性毒性としては、マウスへの300mg/kgおよび500mg/
kg静脈内投与では、毒性死を認めなかった。
本発明の抗生物質PBJ-5,360複合体は前記のごとく同
族体の複合体であると考えられるが、本明細書では、実
質上、上記の抗生物質活性および特性を示し、シュウド
モナスsp.PBJ-5,360によって産生される抗生物質の成分
の複合体およびその塩を便宜上、抗生物質PBJ-5,360複
合体と呼称することとする。
本発明の抗生物質PBJ-5,360複合体は、シュウドモナ
ス属の菌株シュウドモナスsp.PBJ-5,360を同化可能な炭
素源、窒素源および無機塩類を含有する培地中で常法通
り好気的に液中培養することにより得られる。なお、こ
の菌は後述の実験例3記載の方法で培養し、その形態学
的所見、培養特性、生理学的および生化学的性状等を基
に、バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック
・バクテリオロジー(Bergey′s Manual of Systematic
Bacteriology)、第1巻(1984)の記載を参照して総
合的に判断し、上記菌株に帰属されたものである。この
菌株は、自然発生的に、または人為的に変異する可能性
があり、そのような変異体も、本発明のPBJ-5,360複合
体を産生する能力を保持している限り、本発明の範囲内
に包含されるものであることは、当業者には明らかであ
る。従って、本発明は、新規な抗生物質PBJ-5,360複合
体を産生する、シュウドモナスsp.PBJ-5,360および、そ
の抗生物質PBJ-5,360複合体産生性の変異体を提供する
ものである。シュウドモナスsp.PBJ-5,360は、茨城県つ
くば市東1−1−3の工業技術院微生物工業技術研究所
に受託番号微工研菌寄第10578号の下で寄託されている
(受託日:平成元年2月27日)。本菌株は平成5年6月
17日、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管された
(受託番号:FERM BP-4342)。
また、本発明はこのような菌株を培養することによ
り、抗生物質PBJ-5,360複合体を製造する方法をも提供
するものである。
培地組成、培地条件などは抗生物質の生産に一般に用
いられているものを用いるとよい。培地は原則として、
炭素源、窒素源、無機塩などを含む。必要に応じて、ビ
タミン類、前駆物質などを加えてもよい。炭素源として
は、例えば、グルコース、澱粉、デキストリン、グリセ
リン、糖蜜、有機酸などが単独でまたは混合物として用
いられる。窒素源としては、例えば、大豆粉、コーンス
チープリカー、肉エキス、酵母エキス、綿実粉、ペプト
ン、小麦胚芽、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムな
どが単独または、混合物として用いられる。無機塩とし
ては、例えば、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化
カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化マンガン、
硫酸亜鉛、塩化コバルト、各種リン酸塩などがあげら
れ、必要に応じて培地に添加する。本発明のシュウドモ
ナスsp.PBJ-5,360を適当な培地中で、温度20〜35℃、好
ましくは25〜29℃で約1〜7日間培養すると、充分量の
抗生物質PBJ-5,360複合体が培養物中に産生される。次
いで、通常の方法で培養物から生成物を分離し、所望に
より、精製する。そのような方法は、全て当業者にとっ
て周知である。
本発明のPBJ-5,360複合体は、インビトロおよびイン
ビボで著しい活性を示し、種々の感染症、特にグラム陽
性の多剤耐性菌による感染症の治療に有用と考えられ
る。
以下に実施例および実験例を挙げ、本発明を更に詳し
く説明する。
実施例1 1)発酵 シュウドモナス属の菌株PBJ-5,360の細胞懸濁液を坂
口コルベン内のデキストリン2.0%、トマトペースト1.0
%、ドライイースト1.0%組成の培地100mlに植菌し、28
℃で2日間振盪培養を行う。次いで、これを種菌として
グルコース1.0%、麦芽エキス1.0%、ドライイースト1.
0%、トマトペースト0.2%組成の培地250lを含む500lの
発酵槽に2%(v/v)となるように植菌し、28℃におい
て、攪拌数120rpm、通気量0.5vvmで4日間発酵を行う。
2)単離 発酵液450lをpH3.0に調整し、NaCl 60kg、ブタノール
110lを加えて激しく攪拌する。静置し、エマルジョンを
含むブタノール層を分離し、ろ過助剤ハイフロスーパー
セル15kgを加えてろ過し、ブタノール抽出液84lを得
る。これにEA(酢酸エチル)72lを加え、3%NaHCO3 70
l、60l、30lで逆抽出を行う。得られた水層150lをpH3.0
に調整し、NaCl 20kgを加え、ブタノール30lで抽出す
る。ブタノール抽出液を減圧濃縮し、アセトンを加えて
析出する沈澱を集め、粗粉末26gを得る。粗粉末25gをpH
8.0でH2Oに溶解し、IRA-458(Cl-7のカラム1.3l)に適
用して吸着させ、水洗した後、5%NaCl/50mMリン酸緩
衝液pH8.0で溶出する。E.coli LS-1を用いるアッセイプ
レートで抗菌力の測定を行い、活性な分画1.7lを得る。
これをCHP-20Pのカラム(200ml)に吸着させ、10%アセ
トン/10mMリン酸緩衝液(PBS)(pH8.0)300mlで洗浄し
た後、10mM PBS(pH8.0)を含む10%から80%のアセト
ン溶液で、濃度勾配溶出法により溶出する。
主な活性分画を集め、CHP-20Pのカラム(170ml)に吸
着せしめ、5%アセトン300mlで洗浄後、5%から80%
の水性アセトン濃度勾配溶出を行う。主な活性分画を集
め、濃縮後、凍結乾燥することによりPBJ-5,360複合体
の粉末70mgを得た。
3)精製 上記粉末43mgを薄層クロマトグラフィーにより更に精
製した。即ち、シリカゲルプレート(Merck,Silica gel
GF,500μ)6枚に適用し、BuOH-AcOH-H2O(4:1:2)で
展開、ニンヒドリン反応および坂口反応陽性のゾーン
(Rf約0.25)の部分を切り取り、60%aq.MeOH、pH8.0で
抽出する。抽出液をpH7.5にしてMeOHを溜去し、CHP-20P
カラム(20ml)に吸着させ、10%アセトンで洗浄後、50
%アセトンで溶出する。次いで、活性を示す溶出液を濃
縮した後、凍結乾燥し、PBJ-5,360複合体のNa塩の無色
粉末27mgを得た。融点:250℃以上で分解する両性物質。
本発明のPBJ-5,360複合体(ナトリウム塩)の物理化
学的特徴、インビトロおよびインビボでの活性を以下の
実験例に示すごとくに検討した。
実験例1 物理化学的特性 実施例1で得たナトリウム塩の物理化学的特性を検討
し、以下の結果を得た。
1.元素分析 元素分析値(Na塩として) C:44.77、H:6.94、N:12.25、Na:4.65(%) アミノ酸分析値からその分子量は1,400〜1,600程度と
推定される。2.薄層クロマトグラフィー 薄層クロマトグラフィー(TLC、シリカゲルプレート
使用)では、バイオオートグラフィーおよび呈色反応
(ニンヒドリン、坂口、I2)による単一のスポットを示
した。以下に結果を示す。 溶媒 Rf n−ブタノール:酢酸:水(4:1:2) 0.25 n−プロパノール:ピリジン:酢酸:水(15:10:1:12)
0.60n-ブタノール:ピリジン:酢酸:水(10:6:1:4) 0.10 3.呈色反応、溶解性: ニンヒドリン反応、坂口反応およびI2呈色反応に陽性、
pH7以上またはpH2以下の水、メタノール、水飽和ブタノ
ール、ジメチルスルホキシドに可溶性。
4.高速液体クロマトグラフィー HPLC測定は以下の条件で行った。
カラム:Nucleosil5C18(4.6×150mm) 溶媒:アセトニトリル−50mM NaSO4を含む50m PBS、pH
7.5 (38:62) 流速:1.35ml/min チャートスピード:1.0cm/min OD220nmでモニター。
数本のピークが現れ、数種の同族体の複合体であるこ
とを示した(第1図参照)。
5.アミノ酸組成分析 以下の方法でPBJ-5,360の酸加水分解し、アミノ酸組
成を分析した。
定沸点塩酸により、110℃で20時間処理して加水分解
し、日立アミノ酸自動分析機835を用いて分析した。
分析値(μmol/mg):β−ヒドロキシアスパラギン酸
(HyAsp):0.44、アスパラギン酸(Asp):0.60、セリン
(Ser):0.53、β−ヒドロキシイソロイシン:0.10
(a)および0.16(b)、グリシン:0.62、アラニン:0.
40、アルギニン(Arg):0.22、NH3:0.48 (a)および(b):β−ヒドロキシイソロイシンの
ジアステレオアイソマーと推察され、アミノ酸残基の酸
加水分解によりかなり分解されていると考えられる。
6.赤外吸収スペクトル:第2図参照。
7.紫外吸収スペクトル(20mM PBS、pH7.0):強い末端
吸収。
実験例2 インビトロおよびインビボでの抗菌活性 1)インビトロ活性 実施例1で得た抗生物質PBJ-5,360のインビトロでの
抗菌活性を寒天希釈法で検討した。結果を表2に示す。表 2 インビトロの抗菌活性 被検微生物 MIC(mcg/ml) グラム陽性菌 S.アウレウス(S.AUREUS) FDA JC-1 0.025 S.アウレウス(S.AUREUS) SMITH 0.0125 S.アウレウス(S.AUREUS) SR77 0.025 S.アウレウス(S.AUREUS) SR14(R) 0.0125 S.ピオゲネス(S.PYOGENES) C-203 0.0125 S.ニューモニエ(S.PNEUMONIAE) TYPE I 0.006 グラム陰性菌 E.コリ(E.coli) H 1.56 E.コリ(E.coli) NIHJ JC-2 6.25 E.コリ(E.coli) EC-14 6.25 E.コリ(E.coli) SR377(R) 6.25 E.コリ(E.coli) SR73(R) 12.5 K.ニューモニエ(K.PNEUMONIAE) SR1 1.56 K.オキシトカ(K.OXYTOCA) SR696 6.25 P.ミラビリス(P.MIRABILIS) PR-4 3.13 M.モルガニー(M.MORGANII) SR9 6.25 P.ブルガリス(P.VULGARIS) CN-329 3.13 P.ブルガリス(P.VULGARIS) SR3(R) 12.5 E.クロアカエ(E.CLOACAE) SR233 6.25 E.クロアカエ(E.CLOACAE) A13047 6.25 S.マルセスセンス(S.MARCESCENS) A13880 12.5 P.エルギノーザ(P.AERUGINOSA) A25619 12.5 P.エルギノーザ(P.AERUGINOSA) SR1012 12.5 P.エルギノーザ(P.AERUGINOSA) SR24 12.5 接種菌量:106cells/ml 2)インビボ活性 本発明の抗生物質複合体を用い、インビボの抗菌活性
を調べた。マウスを感染性の細菌で腹腔内感染させ(チ
ャレンジ)、チャレンジの1および5時間後に被験物質
を皮下投与した。チャレンジから7日後の生存率に基づ
いて、ED50値を算出した。MICは寒天希釈法によって求
めた。結果を下記の表2に示す。表3から分かるよう
に、本発明の抗生物質複合体の治療効果は、バンコマイ
シンの10〜20倍である。
実験例3 PBJ-5,360の菌学的特性 本発明のPBJ-5,360の菌学的諸性状は以下の通りであ
る。なお、PBJ-5,360は、京都府下で採取した土壌試料
より分離した。
培養は原則として28℃で実施した。
A.形態 グラム陰性、桿菌であり、大きさは0.3〜0.5(μ)×
0.8〜1.3(μ)である。一本以上の極鞭毛により激しく
運動する。
B.培養所見 1)肉汁培地における培養 菌体の生育は殆ど見られなかった。管底に灰白色半透
明の沈澱がごくわずかに生成した。
2)肉汁寒天穿刺培養 穿刺線に沿って糸状乃至は小乳頭状の生育を認めた。
ガスの発生および色素の生成は見られなかった。表面に
赤味がかかった薄い菌苔を形成したが、この菌苔は時間
の経過と共に、うす茶色半透明となり疣状の突起を所々
に認めた。好気性菌である。
3)肉汁寒天斜面培養 菌体の生育は決して早い方ではなく、28℃においては
2日後より開始(目に見える)された。生育は糸状で、
菌苔は半透明、淡黄色、隆起は扁平でぶつぶつした外観
を呈した。周縁は全縁であった。菌苔の生育はその後良
好となり、生育は糸状乃至は疣状で光沢を有し、湿潤し
たやや赤味を帯びた半透明褐色の菌苔になる。周縁は波
状乃至は長波状である。ガスおよび色素の生成は認めら
れなかった。
4)肉汁ゼラチン穿刺培養 培養は室温下(22〜25℃)で実施した。ゼラチンを液
化した。
5)肉汁寒天平板培地上での培養 菌体の生育は速くない。28℃、2日後よりコロニーは
可視となった。コロニーは最初、小型、点状、褐色半透
明であり、周縁は全縁である。隆起については、コロニ
ーが小型過ぎて観察不可能であった。その後、コロニー
は生長し、点状乃至は円型を呈し、周縁は全縁、隆起は
扁平乃至は凸円状である。コロニーは半透明、茶褐色で
光沢を有する。ガスおよび可溶性色素の生成は、一切認
められなかった。
6)リトマスミルクにおける培養所見 酸を生成し、ペプトン化を行うが反応の開始は14日以
後となるなど、反応はかなり遅い方である。ガスの発生
はなかった。表面に灰赤紫色の薄い菌膜を時として形成
する。上層は赤紫色半透明、下層は紫がかったベージュ
色で不透明である。沈澱はベージュ色に近い赤紫色であ
った。
C.生理学的および生化学的諸性状 1)カタラーゼテスト:陽性 2)オキシダーゼテスト:陽性 3)OF−テスト:陰性(アルカリ性を呈した) 4)溶血性テスト:陽性(弱い) 5)5℃における生育能:陰性 6)H2Sの生成:陰性 7)硝酸塩の還元能:陽性 8)脱窒反応:陰性、但しN2gasを発生しないが、NO2 -
は還元する様であった。
9)クエン酸の利用能:陰性(クリステンセン培地、お
よびシモンズ培地) 10)NAC寒天培地上での生育:陰性(生育不可能) 11)インドールの生成:陰性 12)Voges-Proskauer反応(フォーゲス・プロスカウエ
ル・テスト):陰性 13)メチルレッドテスト:陰性 14)アルギニンの加水分解能:陽性 15)リジンの脱炭酸能:陽性 16)オルニチンの脱炭酸能:陽性 17)エスクリンの加水分解能:陰性 18)DNaseテスト:陰性 19)澱粉の加水分解能:陰性 20)ONPGテスト(37℃で培養):陰性 21)アシルアミダーゼテスト:陰性 22)フォスファターゼテスト:陽性 23)キチンの加水分解能:陰性 24)シュークロースよりのレバンの生成能:陽性 25)糖類よりの酸およびガスの生成能:以下の13種の糖
類から、酸およびガスを発生しない。糖類としては、グ
ルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、
キシロース、アラビノース、マルトース、ラクトース、
ラムノース、シュークロース、セロビオース、トレハロ
ース、マンニットである。
26)菌体内におけるpoly−β−ヒドロキシブチレートの
蓄積:陰性 27)炭素源の資化能:無機塩を含む培地上において、単
一の炭素源としてグルコース、および2ケト−グルコン
酸カルシウムを資化して、菌体を形成することができ
る。この場合、生育のための特定のビタミン類は、特に
要求する様には思われなかった。一方、D−(+)−ト
レハロース、DL−アルギニン、ゲラニオール、β−アラ
ニン、L−バリン、イノシットを資化しなかった。
28)G+C mole%(HPLC法):60.4% (A+T mole%は39.6%であった) 以上の諸結果より見て、本菌は好気性のグラム陰性の
桿菌であり、1本以上の極鞭毛を用いて液体培地中で活
発なる運動を行う。カタラーゼ陽性であって、オキシダ
ーゼを有する。OF−テストは陰性(アルカリ性を示す)
であった。これらの結果より見れば、本菌はシュウドモ
ナス科の中のシュードモナス属に帰属されることは明ら
かである。
シュウドモナス属について、バージーズ・マニュアル
・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Berger
y′s Manual of Systematic Bacteriology)、第1巻
(1984)中に記載の菌体内にpoly−β−ヒドロキシブチ
レート(PHB)を蓄積しない菌複合体について、上述の
各性状を対比した所、一致するものおよび近似のものを
発見することはできなかった。それ故、本菌はシュウド
モナスの一新種とも考えられるが、アルギニンを加水分
解し、リジンおよびオルニチンを脱炭素する点で、かな
り変わったシュウドモナスの一種といえる。そして、G
+C mole%も60.4%とシュウドモナスの中では、低い方
のグループに帰属せられる。以上の諸結果を見て、本菌
をシュウドモナスsp.PBJ-5,360と同定した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の抗生物質PBJ-5,360のHPLCにおけるク
ロマトグラムの模写図、第2図は赤外吸収スペクトルの
模写図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38) (C12P 21/00 C12R 1:38)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シュウドモナスsp.PBJ-5,360により産生さ
    れ得る抗生物質であって、そのナトリウム塩が以下の性
    状を有することを特徴とする抗生物質PBJ-5,360複合体
    またはその塩。 1)融点:250℃以上で分解 2)元素構成:炭素約44.77%、水素約6.94%、窒素約1
    2.25%、ナトリウム約4.65% 3)分子量:約1,400〜約1,600 4)外観:無色粉末 5)酸または塩基性:両性 6)呈色反応等:ニンヒドリン反応、坂口反応およびI2
    呈色反応に陽性 7)溶解性:pH7以上またはpH2以下の水、メタノール、
    水飽和ブタノール、ジメチルスルホキシドに可溶性 8)加水分解によるアミノ酸生成物:ヒドロキシアスパ
    ラギン酸、アスパラギン酸、セリン、ヒドロキシイソロ
    イシン、グリシン、アラニンおよびアルギニン 9)赤外吸収スペクトル(臭化カリウム錠):第2図参
    照 10)紫外吸収スペクトル(20mM PBS、pH7.0):強い末
    端吸収 11)薄層シリカゲルクロマトグラフィー: 溶媒 Rf n−ブタノール:酢酸:水(4:1:2) 0.25 n−プロパノール:ピリジン:酢酸:水(15:10:1:12)
    0.60n-ブタノール:ピリジン:酢酸:水(10:6:1:4) 0.10
  2. 【請求項2】請求項1記載の抗生物質PBJ-5,360複合体
    を産生するシュウドモナスsp.PBJ-5,360または、その抗
    生物質PBJ-5,360複合体産生性変異体。
  3. 【請求項3】請求項2記載のシュウドモナスsp.PBJ-5,3
    60またはその変異体を培養し、培養物から請求項1記載
    の抗生物質PBJ-5,360複合体を分離、回収することから
    なる抗生物質PBJ-5,360複合体の製造方法。
JP1125297A 1989-05-18 1989-05-18 抗生物質pbj―5,360複合体 Expired - Fee Related JP2614920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1125297A JP2614920B2 (ja) 1989-05-18 1989-05-18 抗生物質pbj―5,360複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1125297A JP2614920B2 (ja) 1989-05-18 1989-05-18 抗生物質pbj―5,360複合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02303496A JPH02303496A (ja) 1990-12-17
JP2614920B2 true JP2614920B2 (ja) 1997-05-28

Family

ID=14906598

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1125297A Expired - Fee Related JP2614920B2 (ja) 1989-05-18 1989-05-18 抗生物質pbj―5,360複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2614920B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU669187B2 (en) * 1992-08-25 1996-05-30 Shionogi & Co., Ltd. Antibiotic stalobacins
JP3568978B2 (ja) * 1994-03-01 2004-09-22 塩野義製薬株式会社 抗生物質スタロバシン類

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02303496A (ja) 1990-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0637508B2 (ja) 抗生物質A40926複合体およびその純粋な因子PA、PB、A、BおよびBo
JP2614920B2 (ja) 抗生物質pbj―5,360複合体
EP0668358B1 (en) Antibiotic WAP-8294A, method for preparing the same and antibacterial composition
JP3111240B2 (ja) Fa−70d物質、その製造法及びその用途
Katayama et al. SPERABILLINS, NEW ANTIBACTERIAL ANTIBIOTICS WITH POTENT IN VIVO ACTIVITY TAXONOMY, FERMENTATION, ISOLATION AND BIOLOGICAL ACTIVITY
JPS6261037B2 (ja)
KR950013857B1 (ko) 신규 항생물질 무레이도마이신 a, b, c 및 d 그의 제조 방법 및 치료학적 용도
US4533631A (en) Fermentation process for preparation of antibiotic Bu-2517
JPS5948992B2 (ja) 抗生物質c−14482a↓1
JP3036923B2 (ja) デプシペプチドa、bその製造方法、並びに抗ウイルス剤及び抗菌剤
JP3568978B2 (ja) 抗生物質スタロバシン類
JP3542150B2 (ja) 抗生物質スタロバシン
US5171836A (en) Antibiotics plusbacin
AU669187B2 (en) Antibiotic stalobacins
US5165931A (en) Peptifluorin and neopeptifluorin
AU705610B2 (en) Antibiotic WAP-8294A, method for preparing the same and antibacterial composition
US5456910A (en) Antibiotic stalobacins
US4950605A (en) FR-900493 substance, a process for its production and a pharmaceutical composition containing the same
JPH0647569B2 (ja) バリオ−ルアミン誘導体およびその製造法
US4298599A (en) Novel antibiotic BN-235 substance, and process for the production thereof
US6103231A (en) Antibiotic stalobacins
JP3112342B2 (ja) 新規化合物uce6
JPS5928481A (ja) 抗生物質y−02039hおよびその製造法
MXPA96003613A (en) Antibioti shelves
JPH0751597B2 (ja) ダイトサイジン類及びその生産方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees