JP2614060B2 - 温度補償されたミクサ回路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明の通信機器等に使用されるIC化ミクサ回路に関
する。

（従来の技術） 第２図は従来のミクサ回路を示す。この回路はマルチ
プライヤ回路で、IC化回路として通常用いられているも
のである。

同図でトランジスタQ₃,Q₄,Q₅,Q₆、抵抗R₄,R₅によりロ
ーカル信号を入力する２対の上段差動トランジスタが構
成され、トランジスタQ₇,Q₈,抵抗R₇によりミクサ信号を
入力する１対の下段差動トランジスタが構成され、又他
素子によりバイアスが供給されている。

特にトランジスタQ₇,Q₈に関しては、抵抗R₁₁及びダイ
オードQ₁₁,Q₁₂,Q₁₃によりバイアスが与えられている。

端子Ａへのローカル入力信号は、マルチプライヤ上段
２対の差動トランジスタQ₃,Q₄,Q₅,Q₆へ、端子Ｂへのミ
クサ入力信号は、マルチプライヤ下段１対の差動トラン
ジスタQ₇,Q₈へ加えられ、両者が掛算された結果が出力
ポートＣに出力され、周波数変換が行なわれる。

（発明が解決しようとする問題点） 上記のマルチプライヤ回路のゲインは ここでV_IN;ミクサ信号入力、 V_out;ミクサ信号出力 で表される。

第２図の場合のゲインは、ミクサ出力端Ｃに外部負荷
が接続されていないと仮定すると、 ここでgm;実動コンダクタンス、 K;ボルツマン常数 g;電子の電荷量 T;絶対温度 で示される。

G₁のもつ温度係数は、（２）式をＴで偏微分すると、 （３）式から明らかなように、従来回路のゲインは負
の温度特性が存在することが分かる。

（３）式が示すようにゲイン温度特性を生じる要因と
しては、（イ）トランジスタgmのもつ本質的な負の温度
特性、（ロ）バイアスの温度特性がある。

従来回路では（ロ）の要因が負の特性を有し、（イ）
の負の特性と相俟って全体として負の特性を有する結果
となったのである。

（問題点を解決するための手段） 以上のような背景のもとに、本発明は、バイアスの有
する温度特性を制御して（イ）による本質的な負の温度
特性を相殺し、ゲインの温度補償を行う回路である。即
ち差動トランジスタのバイアス供給として温度に無関係
な定電圧源を用意し、この値を所定値に設定して温度に
無関係なミクサゲインを得るようにしたものである。以
下本発明の実施例につき、図面により詳細に説明する。

（実施例） 第１図は本発明のミクサ回路の一実施例を示す。同図
で同一符号は同一機能のエレメントを表している。下段
差動トランジスタQ₇,Q₈は温度に無関係な定電圧源V₁に
よりバイアスされている。

本回路のミクサゲインは で表される。

G₂の有する温度係数は、αV₁/αＴ＝０とすると
（４）式から を得る。

従って右辺第１項の値をG₂/Tとすることで温度係数α
G₂/αＴを零にできる。即ちV₁の値を の等式を満足させるようにすればよい。

更に、ミクサ出力端子Ｃに外部負荷が接続され、その
負荷の有する温度係数がゲインに影響を与える場合で
も、右辺第１項の値を制御することで、即ち外部負荷分
を含んでG₂/Tとして温度補償ができる。

定電圧源の実施例としては、バンド・ギャップ回路等
がある。

（発明の効果） 以上説明したように、定電圧源を所定値に設定するこ
とにより、ミクサゲインを極めて良く温度補償すること
ができる。従って、例えば電界検出機能を有する受信用
IC等に適用することにより優れた温度特性のものを実現
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す回路図、第２図は従来
の回路図を示す。 Ａ……ローカル信号入力端子、Ｂ……ミクサ入力信号端
子、Ｃ……ミクサ出力信号端子、Q₃,Q₄,Q₅,Q₆……上段
差動トランジスタ、Q₇,Q₈……下段差動トランジスタ、R
₇,R₁₂,R₁₃……抵抗、V₁……定電圧源。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ローカル信号を入力する２対の上段差動ト
   ランジスタと、ミクサ信号を入力する１対の下段差動ト
   ランジスタから成り、乗算結果をミクサ出力信号とする
   マルチプライヤ回路に於て、該マルチプライヤ回路に流
   す電流を制御して、前記１対の下段差動トランジスタの
   ベースに加えるバイアス供給源として温度に無関係な定
   電圧源を具え、その値V₁を （ここでＴは絶対温度、V_BEはトランジスタのベースエ
   ミッタ間電圧）の式を満足させるように設定して、ミク
   サゲインを温度に無関係とすることを特徴とする温度補
   償されたミクサ回路。