JP2611026B2 - 多官能性ポリマ−を含む脱インク剤 - Google Patents

多官能性ポリマ−を含む脱インク剤

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、脱インク剤に関するものである。
従来技術 ここ数年において、木材資源および有効埋め立て部位
の両方とも減少してきているので、印刷された紙、特に
新聞印刷紙のリサイクルに対する要求が急激に上昇して
きている。かかるリサイクルに向けた努力は、予め使用
された紙を使用するために再加工し、そしてリサイクル
することができる方法を開発することが目的とされてい
る。かかる方法の主要な目的は、より高価な未使用のパ
ルプの物理的性質および光沢を有する繊維の回収にあ
る。また、最終用途の考慮は、どのパラメータが効率的
リサイクルに臨界的であるかを決定するのに主要な役割
を果たす。従って、例えば新聞印刷紙において、インク
の有効寿命は、第一の重要点であり、一方組織において
は、充填材料の分離が満足いく柔軟性の最終生成物を得
るのに重要である。
かかる紙の効率的リサイクルの主要な障害の一つは、
パルプ化工程の前後または工程中における印刷された紙
からインクを除去する際に遭遇する困難性である。これ
は、新たに開発されたインクおよび印刷方法の場合、こ
れらが繊維に対するインクのより一層強固な結合をもた
らすので特に困難となる。改良された脱インク剤は、脱
インク法の使用効果を高めるために必要とされる。
脱インク法および脱インク剤は、多くの文献で議論さ
れている(例えば、Crow and Secor,Tappi Journal,197
8年7月,第101〜100頁;Wasilewski 1987 Pulping Conf
erence Proceedings,第25〜31頁;McCool and Silveri,1
987 Pulping Conference Proceedings,第33〜39頁;お
よびGilkey等,1987 Pulping Conference Proceedings,
第133〜141頁を参照のこと)。要約すれば、かかる方法
の全ては、脱インク剤、例えば洗浄剤または界面活性剤
の使用により再生された紙からインクを除去し、次いで
パルプから除去されたかかるインクの分離を必要とする
ものである。この分離は、インクを水系に分散させ、そ
して機械的方法、例えば遠心分離または篩分けにより水
と共に除去する洗浄によるか、インクを水系に懸濁させ
疎水化し、続いて泡状態にあるパルプから機械的手段
(凝集、篩分け遠心分離等)またはこれらの方法の組合
せにより、浮選する(泡を次いで真空または機械的オー
バーフローシステムにより系から抜き取る)ことで達成
される。これらの方法のいずれも全てのインクを完全に
除去することができないので、脱インク剤は、分離した
インクの洗浄された繊維上への再付着を防ぐ化合物また
は官能基をも含まなくてはならない。
今までのところ、これらの方法に使用されている脱イ
ンク剤は、これらの機能の全てを十分には備えていな
い。例えば、米国特許第4,518,459号明細書、カナダ特
許第1,009,804号明細書、ドイツ特許第2,903,150号明細
書および特公昭55−51,892号公報、同57−117,690号公
報、同59−59,990号公報、同60−155,794号公報および
同57−117,690号公報には、脱インクに使用する従来の
洗浄剤および界面活性剤が記載されており、一方界面活
性剤とポリマーとの組合せの使用は、特公昭61−75,889
号公報および同62−85,089号公報および英国特許出願公
開第2,178,079号明細書に記載されている。上記の混合
物は、パルプの光沢が充分得られるが、パルプを多くの
用途に使用するのには望ましくないものとする巨大スポ
ットを含む残留インクがなおもパルプ中に残存させる。
更に、新規の印刷用インク剤および印刷方法が開発さ
れるにつれて、そしてその他の種類の古紙(例えばフィ
ルム、ホイル被覆紙およびパルプ着色紙)が増加するに
つれて、印刷されたインクろ仕上げ物から効率的に除去
できる改良された脱インク剤に対する要求が存在する。
発明が解決しようとする課題 従って、本発明の目的の一つは、ハイグレード紙を要
求する分野に導入するのに好適なインクを含まないパル
プを残す、リサイクル可能な紙から効率的にインクを除
去することのできる改良された脱インク剤を提供するこ
とにある。また、本発明の別の目的は、種々の印刷され
た媒体、例えばフィルム、ホイル被覆紙およびパルプ着
色紙に使用することのできる脱インク剤を提供すること
にある。
課題を解決するための手段 上記諸目的並びに関連する目的は、本発明の脱インク
剤、を提供することによって達成される。本発明に従え
ば、 (A) 式 (上式中、Rは水素原子またはメチル基を表わす) で示されるモノマーと、 (B) 式 CH2=CH−CH2−OCH2CH2OnH (上式中、nは20〜50の整数である) で示されるモノマー とから誘導される多官能性コポリマーであって、 モノマー(B)を少なくとも10重量%使用して得ら
れ、そして 重量平均分子量が2,000〜100,000である、 コポリマーまたはその塩を含んでなる脱インク剤が提
供される。
本発明に従う上記コポリマーは、(B)項に記載され
たアリルアルコール−ポリオキシエチレンエーテル[モ
ノマー(B)]を、一般に、総モノマー重量当たり、少
なくとも10重量%、好ましくは25〜65重量%使用して製
造する。
製造は、それ自体既知の水性重合法、例えば好適な補
助溶剤の存在下における溶液重合、ミセル重合またはエ
マルジョン重合等によって行うことができる。こうして
得られるコポリマーは、常法によりアンモニウム塩また
はアルカリ金属塩に造塩し、塩形態で使用することもで
きる。
製造されたポリマーは、常用されているいずれかの脱
インク法、例えば浮選、洗浄および機械的分野に使用す
ることができる。使用された方法に無関係に、上記ポリ
マーは、脱インク操作中の都合のよい時点において添加
される。処理レベルは、0.001〜1重量%(乾燥パルプ
に基づく)、好ましくは0.01〜0.7重量%である。しか
しながら、これらのレベルは、利用される特定の方法、
特定の構成および特定の官能性ポリマーに応じて変える
ことができる。
本発明の官能性ポリマーは、普通にリサイクルされる
完成紙料(例えば新聞紙)並びにその他の完成紙料、例
えばレーザープリント紙、フレキソ印刷紙、パルプ着色
紙、ホイル−被覆紙、プラスチック被覆紙等の完成紙料
に対して使用することができる一般にリサイクルされる
紙のリストは、引用することにより本明細書の内容とな
るPS−86 of Paper Stock Institute of America(1986
年4月,第4〜8頁)に記載されている。
実施例 以下の例は、本発明の一定の好ましい実施態様を具体
的に説明するものであり、全ての実施態様を説明するこ
とを意図するものでない。
実施例I脱インク用ポリマーの製造 本発明の代表的な脱インク用ポリマーを以下に記載す
るごとく製造した。
ポリマー(A)(比較例) この例においては、界面活性高分子モノマー(モノメ
タクリレートPEG2000)およびビニルモノマー(アクリ
ル酸)からなる多官能性ポリマーを製造した。
450gの脱イオン水および20gのイソプロピルアルコー
ルの混合物を還流冷却管、撹拌機、温度計およびモノマ
ーおよび触媒添加用の2つの導入口部分を備えた2リッ
トルガラス反応器にチャージした。この混合物を10分
間、90℃で還流させた後に、各々100gのアクリル酸、モ
ノメタクリレートPEG(プロピレングリコール)2000
(約40E0、分子量=2000)および脱イオン水からなる30
0gのモノマー混合物および80gの1.875%過硫酸ナトリウ
ム水溶液を、温度を約90±2℃に保持しながら反応器に
ポンプ供給した。次いで、この系を、更に30分間90±2
℃でインキュベートし、その後、40gの2.5%過硫酸ナト
リウム水溶液を加えた。引き続いてこの反応混合物を、
更に1時間90±2℃に保持し、次いで50%苛性ソーダで
pH7に中和した。引き続いて、中和された生成物を真空
蒸留し、70gの蒸留物を除去し、そして粘稠であり、29.
7%の固形分含有量でそして約7.0のpHの透明の淡黄色液
状生成物を残した。製造されたポリマーは、約100,000
の重量平均分子量(M.W.)(標準としてスルホン化され
たポリスチレンを使用してゲル透過クロマトグラフィー
により測定)を有していた。これを、ポリマーAとして
使用した。
ポリマーB−1およびB−2(本発明) この実施例においては、アリルアルコールエトキシレ
ート(24EO)およびアクリル酸を含有する第二の官能性
ポリマーを製造した。
アクリル酸/アリルアルコールエトキシレート(24E
O)比を80/20とした以外はポリマーAの製造に使用され
たものと同一の操作で行われた。使用した触媒の量を変
えて2種の調製物を生成した。得られた生成物は、27.5
%および29.7%の固形分含有量を示し、そして各々75,0
00(B−1)および25,000(B−2)の重量平均分子量
を示した。
ポリマーC(本発明) この実施例においては、アクリル酸およびアリルアル
コールエトキシレート(44EO)を含有する官能性ポリマ
ーをポリマーAの操作に従って製造した。アクリル酸と
アリル44EOとの比率は80/20とした。
この生成物は、31%の固形分含有量および23,000の重
量平均分子量を示した。
ポリマーD−1およびD−2(参考例) この実施例においては、二つのアニオン性ビニルモノ
マー(アクリル酸およびマレイン酸)および疎水性モノ
マー(t−オクチルアクリルアミド)から誘導された官
能性ポリマーを製造した。配合は、以下の通りである。
先ず、A部分を温度計、二つの滴下漏斗、撹拌機およ
び還流冷却管を備えた2リットルフラスコにチャージ
し、そしてこの系を還流温度にまで加熱して、続いて撹
拌しながらBおよびCを両方ともゆっくりと同時に加え
た(Bは3時間、Cは5時間かけた)。反応が完結する
と、この系を更に2時間還流させて(この時間中に沈降
が形成された)、しかる後、Dを加えた。次いで、トル
エンを、系から留去し、そしてpHを7.0〜7.5に調節し
た。
生成物D−1は、15.4%の固形分含有量および24,000
の重量平均分子量を示し、一方D−2は、19.4%の固形
分含有量および20,000の重量平均分子量を示した。
ポリマーE(参考例) この実施例においては、界面活性モノマー(アリルア
ルコールエトキシレート,44EO)、疎水性モノマー(ト
リデシルメタクリレート)およびアニオン性ビニルモノ
マー(アクリル酸)から誘導された官能性ポリマーを製
造した。
450gの脱イオン水および150gのn−プロパノールの混
合物を還流冷却管、撹拌機、温度計およびモノマーおよ
び触媒の添加のための2つの導入口部分を備えた2リッ
トルガラス反応器にチャージした。この混合物を10分間
還流させた後、モノマー混合物(135gのアクリル酸、44
gのアリルアルコールエトキシレート、40gの脱イオン水
および5gのトリデシルメタクリレートからなる)および
80gの1.25%過硫酸溶液を、反応温度を85℃に保持しな
がら同時に連続して反応器に3時間かけてポンプ供給し
た。反応が完結した後、この系を引き続いて更に10分間
85℃でインキュベートし、しかる後、20gのアクリル酸
をポンプ供給し、続いて20gの2.5%過硫酸ナトリウム溶
液をポンプ供給した。引き続いて、この系を更に1時間
85℃に保ち、しかる後、反応器内容物を約50℃に冷却
し、そして50%苛性ソーダでpH7に中和した。続いて、
中和された生成物を真空蒸留し、280gの蒸留物を除去
し、次いで50gの脱イオン水を添加して最終生成物を生
成した。これは28%の固形分含有量を有する白色の粘稠
液であった。このポリマーは、39,000の重量平均分子量
を有していた。
例II 脱インク法 上記のポリマー、を以下の方法を使用して浮選および
洗浄脱インクシステムにおける試験に供した。
浮選 浮選法は、標準的なウェムコ セル(Wemco cell)を
利用した。
1910mlの水を40〜45℃に加熱し、そしてワーニング
ブレンダー(Warning blender)にチャージした。続い
て、以下のものをチャージした。
(a) 珪酸ナトリウム 1.0 ml (b) 35%ナトリウムパーオキシド 2.8 ml (c) 50% NaOH 2.0 ml (d) DTPA(Kalex Penta) 0.15ml (e) ポリマー 下記表の通り。
そして、この系を1分間混合する。全量92gの紙(69g
新聞紙、23g雑誌)を加え、そして全系をブレンダー中
にて高速で2分間パルプ化し、続いて低速で8分間パル
プした。
次いで、得られたパルプを40〜45℃で5750mlの水で希
釈し、そしてWemco cellに移し、5分間800rpmで泡立て
て、泡をこの期間の間、取出口より系から回収し、そし
て毎分500mlの水を系に加えて回収された泡を補う。回
収された泡の量(ml)を記録し、そして乾燥後に、回収
された繊維の量を測定した「これを、回収繊維量とし
て、次式に従って算出した繊維損失(%)を報告す
る]。
次いで、1リットルのパルプをブフナー漏斗(#4紙
により)で濾過し、続いてスチールパッテンで加圧する
ことによってパルプ「パッド」を形成した。このパッド
をテクニブライト マイクロ(Technibrite Micro)TB
−1Cアナライザー上で反射率を測定することによって光
沢について評価する。即ち、この値は、MgO標準の反射
率の(%)として記録される。この値を原料パルプ[古
紙を離解してパッド化したもの]の光沢と比較し、そし
て光沢の増加を珪酸する。一般に、光沢の増加が大きく
なるにつれて、インク除去の程度が良好であることを意
味する。
洗浄 このシステムにおいて、1910mlの水(浮選方法と同様
に)を (a) DTPA(Kalex Penta) 1.0 ml (b) 珪酸ナトリウム 0.85ml (c) ポリマー 下記表の通り と1時間混合する。全量88gの新聞紙を加え、そしてこ
の系を浮選方法と同様にしてパルプ化する。
脱インクされたパルプをチーズクロスで漉し、手動的
に絞り乾燥することによって濃縮する。50gのこのパル
プを2リットルの蒸留水で希釈し、そして5分間標準的
な市販の離解機で離解(すなわち、繊維状に分離)す
る。次いで、浮選方法と同様にして1リットルのこの混
合物をブフナー漏斗で濾過し、そしてスチールパテンで
加圧してパッドを形成する。このパッドを浮選方法と同
様にして試験する。
例III 浮選脱インク法 本発明のポリマーの浮選脱インク法での有効性を評価
するために、種々のポリマー(または脱インク剤)を異
なる処理レベルで実施例Iに挙げられたものと比較し
た。実施例IIに記載された浮選の方法により操作した。
結果を第I表に示す。
第I表に示されるごとく、特に低い処理レベル(0.06
%以下)において、本発明のポリマー(例えば、B−
1)が市販界面活性剤より格段に良好な光沢を与えると
いうことがわかる。また、0.06%の処理レベルでは、ポ
リマーA(比較)とポリマーB−1(本発明)は殆ど優
劣がつかないものの、一層低い0.01%の処理レベルで
は、本発明のポリマーB−1は比較ポリマーAよりも有
意に優れた光沢を与えることも認められる。こうして、
本発明に従えば、特に、ある一定の処理レベル以下の少
量使用時において、優れた作用効果が達成されることが
わかる。
また、本発明に従うポリマーは、比較ポリマーAのよ
うなエステル結合 をもたないことから、ポリマーAに比べより苛酷な条件
下でも使用できる可能性がある。このことからも、本発
明に従えば、脱インク剤の分解による効能の低下を伴う
危険性が少ないので、少量使用で良好なインク除去効果
が達成できる。
例IV レーザープリント紙の脱インク レーザープリント紙の脱インクにおける本発明の官能
性ポリマーの利用性を評価するために、レーザープリン
ト紙を使用した以外は実験を例IIIに従って行った。結
果を第II表に示す。
第II表に示される如く、光沢の所望とされる増加が低
い処理レベルでも観察されたということがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブリギト・エイチ・リクスト カナダ国、オンタリオ州エル7 エヌ・ 1 ワイ9、バーリントン、レイクビユ ー・アベニユー、291 (56)参考文献 特開 昭62−28488(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 式 (上式中、Rは水素原子またはメチル基を表わす) で示されるモノマーと、 (B) 式 (上式中、nは20〜50の整数である) で示されるモノマー とから誘導される多官能性コポリマーであって、 モノマー(B)を少なくとも10重量%使用して得られ、
    そして 重量平均分子量が2,000〜100,000である、 コポリマーまたはその塩を含んでなる脱インク剤。
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