JP2609318B2 - 4―アシルアミノ―2―アミノ―アルコキシベンゼンの製法 - Google Patents

4―アシルアミノ―2―アミノ―アルコキシベンゼンの製法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明の対象は、2,4−ジニトロ−アルコキシベンゼ
ンを酢酸ブチル中でニッケル触媒の存在下接触水素添加
して2,4−ジアミノ−アルコキシベンゼンとし、引き続
いてこれを選択的にアシル化させて4−アシルアミノ−
2−アミノ−アルコキシベンゼンを製造する、公知技術
と比較して改善された方法である。
2,4−ジニトロ−アルコキシベンゼンから4−アシル
アミノ−2−アミノ−アルコキシベンゼンを製造するこ
とは、原理的に公知である(欧州特許第0011048号明細
書)。そこに記載されたジニトロアルコキシベンゼンの
還元(水素添加)は、アルコール性懸濁液中で水素ふん
囲気に於いて貴金属の存在下実施される。著しく発熱的
なこの反応は、特にタール様副生成物の生成を避けるた
めに60℃の温度を超過してはならないから、その制御が
困難である。この温度限界を保持しようとすれば、還元
は徐々にしか進行しない。何となればさもなければ遊離
している2個のニトロ基の還元熱を除去することが可能
でないからである。このことは、長い反応時間を意味
し、このことはしたがって還元反応中間体の存在期間が
長くなり、そのために立体的に近接する二つの置換基に
よる反応が起こり、それにより副反応生成物の生成を増
大するという結果を招く。
同様に還元中間体の寿命及び従って不所望の副生成物
を形成する可能性は使用した溶剤によっても影響される
ことが公知である(JACS74(1952)1297)。例えば、2,
4−ジニトロベンゼン化合物を還元(水素添加)するた
めの溶剤として水が著しく不適であることが判明してい
る。
一層良好な結果は、アルコール例えばメタノール又は
エタノールを用いて達成される。溶剤として殊に酢酸ア
ルキルエステルが有効である。これら溶剤中で接触還元
(水素添加)する場合副生成物の含有率が最低になる。
例えば殊に酢酸エステルが単独又はアルコール例えばメ
タノール又はエタノールと混合されて2,4−ジニトロト
ルエンの接触還元用の溶剤として使用される(ドイツ特
許出願公開第2428141号明細書)。
同様に、オートクレーブ中で水素ふん囲気下に仕込ま
れそして撹拌した触媒懸濁液にジニトロベンゼン化合物
の溶液又は懸濁液をポンプにより導入することによって
還元中間体の存在時間を短縮する方法が公知である(ド
イツ特許出願公開第2732409号公報、米国特許第3154584
号明細書)。
芳香族2,4−ジニトロベンゼン化合物を還元(水素添
加)するための触媒としては殆ど専ら貴金属−触媒例え
ば白金又はパラジウム−炭担持触媒又はラネーニッケル
が使用されている。何となればこの様な触媒のみが低温
に於いて還元(水素添加)を可能にするからである(欧
州特許第0011048号明細書、特開昭56−45445号公報)。
これに対しニッケル−けいそう土担持触媒を使用すれ
ば、著しく高い水素添加温度が必要であり、このことは
特にジニトロ化合物の場合還元中間体の相互作用のため
に通常の水素添加方法に於いては著しく副生成物の高い
含有率が得られ、従って収率が低下する。
接触還元(水素添加)に引き続いて行われる選択的ア
シル化は同様に記載されている(欧州特許第0011048号
明細書、英国特許第1324303号明細書、特開昭53−15328
号公報、特開昭55−167264号公報、特開昭56−45445号
公報、特開昭59−65054号公報)。この場合ジアミノ−
アルコキシベンゼン及びアシル化剤は常に等モル比で、
又はアシル化剤の過剰が使用される。選択性に好影響を
及ぼすといわれる添加剤として就中酸化マグネシウム又
はジアルキルアミン及び酢酸からなる混合物が使用され
る。この場合アシル化は、接触還元(水素添加)が行わ
れていた溶剤中で実施される。
2,4−ジアミノフェニルエーテルをアシル化する場合
所望の4−アシルアミノ−2−アミノフェニルエーテル
が生成するばかりでなく、反応混合物は又このほかに常
に末反応出発化合物及びビス−アシル化化合物を部分的
に含有する。
驚くべきことに、本発明者は、一般式(1) (式中RはアルキルC1〜C6−又はアルコキシC1〜C4−ア
ルキレンC1〜C4−基を意味しそしてR′はメチル基又は
エチル基を意味する) で示される4−アシルアミノ−2−アミノ−アルコキシ
ベンゼンを、次の様にして一層高い収率及び一層良好な
品質で製造することができることを見出した。即ち一般
式(2) (式中Rは前記の意味を有する) で示される2,4−ジニトロ−アルコキシベンゼンの酢酸
ブチル中の溶液又は懸濁液を、オートクレーブ中に予め
仕込まれており、ニッケル−けいそう土担持触媒が撹拌
されている酢酸ブチル中の懸濁液中に約5乃至50バール
好ましくは約30乃至約40バールの水素圧及び約60乃至約
120℃好ましくは約80乃至約110℃の温度に於いて、2,4
−ジニトロ−アルコキシベンゼンの2,4−ジアミノ−ア
ルコキシベンゼンへの水素添加の速度に相当する速度で
ポンプにより導入し、水素添加が完了した後反応溶液を
共沸的に脱水し、得られる2,4−ジアミノ−アルコキシ
ベンゼンを2乃至3個の炭素原子を有するアルキルモノ
カルボン酸の無水物で約−5乃至約+15℃の好ましくは
約5乃至約10℃の温度に於いてアシル化するのである。
上記の両反応段階に関して驚くべき他の利点は、特に
撹拌したそして水素ふん囲気下にある触媒懸濁液への2,
4−ジニトロ−アルコキシベンゼンの溶液又は懸濁液の
配量と組み合わせた溶剤又は稀釈剤としての酢酸ブチル
の使用が2,4−ジアミノ−アルコキシベンゼン又は4−
アシルアミノ−2−アミノ−アルコキシベンゼンの著し
く改善された品質及び収率を与える−その際配量速度は
水素添加速度に相当すべきであり、即ちジアミンへの還
元(水素添加)は迅速に行われるべきであり、還元中間
段階を、相互作用が排除される様に急速に通通過させる
べきである−ことである。
更に、溶剤としての例えばアルコール又は水の使用下
での公知の水素添加法に於いては使用不能の生成物を与
えるというニッケル−けいそう土担持触媒を用いても約
60乃至約120℃という温度に於いても達成することがで
きることが驚くべき効果として考えられる。即ち本発明
による実施態様に於いて速かに生成する2,4−ジアミノ
−アルコキシベンゼンは水素添加混合物中に於いて水素
ふん囲気下高温ですら非常に安定であることが判明し
た。
更にニッケル触媒(けいそう土担持)は貴金属触媒及
びラネー−ニッケルと比較して、本触媒は自己発火性で
なく、実際上容易かつ安全に取り扱うことができるとい
う長所を有する。更に本触媒は、不純物及び触媒毒に対
しあまり過敏性でなくまたその価格が比較的低いので本
触媒を多数回くり返して使用する必要もない。例えば貴
金属触媒の場合多数度にわたる使用は使用につれて低下
する触媒活性に水素添加の条件を絶えず適合させること
を必要とする。これに対し触媒を一回使用する場合でも
本方法の実際上の実施に関して、常に変わらない反応条
件を維持できるという大なる長所を有する。
接触還元に引き続いて行われる選択的アシル化は有利
には接触還元の実施の際と同一の溶剤(酢酸ブチル)中
で実施される。しかし接触還元(水素添加)の場合2,4
−ジニトロ−アルコキシベンゼン1モル当たり4モルの
水が生じまたその水がアシル化の際の吸収及び選択性を
損なうから、得られる還元溶液を予め脱水することが有
利である。溶剤としてアルコールを使用する場合(欧州
特許第0011048号明細書、英国特許第1324303号明細書)
水素添加溶液の脱水は実際上可能ではない。しかし酢酸
ブチルを溶剤として使用するならば、還元(水素添加)
の際生成した水は下相として混合物から分離されるか又
は共沸蒸留により好都合に除去することができ、その際
共沸蒸留による除去は一層高い収率が達成可能なために
好ましい。アルコール中で実施される方法の場合の如き
酸化マグネシウムの使用を本発明による方法に於いては
省くことができる。
更に驚くべきことは選択的アシル化の場合2,4−ジア
ミノ−アルコキシベンゼンに対し10%までの過剰のアシ
ル化剤の使用によって4−アシルアミノ−2−アミノ−
アルコキシベンゼンの一層高い収率が得られることであ
る。それ以上多くアシル化剤を添加しても、目的生成物
の生成が増大しないばかりでなく、又2,4−ビス−(ア
シルアミノ)−アルコキシベンゼンの生成のために収率
が低下する。
本発明による方法は、詳細には次の様に実施される: オートクレーブ中で約5乃至約50バール好ましくは約
30乃至約40バールの水素圧下80℃に加温した、酢酸−n
−ブチル−又は−イソ−ブチルエステル又はこれらの混
合物中のニッケル−触媒(けいそう土担持)の懸濁液
に、触媒の懸濁に使用されたのと同一の溶剤中の2,4−
ジニトロアルコキシベンゼンの溶液又は懸濁液を、ジニ
トロ−化合物又はジアミノ−化合物に水素添加する速度
に相当する速度−これは水素吸収の度合により非常に容
易に調節することができる−でポンプにより導入する。
還元中に温度は110℃に上昇する。使用される触媒は、6
0重量%までのニッケルを含有するけいそう土−担体か
ら成り、好ましくは2,4−ジニトロ−アルコキシベンゼ
ンに対し1乃至3重量%の量で使用する。
第二反応段階に於いて、得られる2,4−ジアミノ−ア
ルコキシベンゼンを中間単離せずに行われる選択的アシ
ル化の前に、触媒を除去した還元溶液を簡単な共沸蒸留
により脱水する。アシル化剤として無水酢酸又は無水プ
ロピオン酸を2,4−ジアミノ−アルコキシベンゼン1モ
ル当たり0.90乃至0.99モル好ましくは0.93乃至0.96モル
の量で使用する。アシル化は約−5乃至+15℃の温度好
ましくは約+5乃至+10℃に於いて行なう。
前記一般式(1)で示される生成物は、分散染料を製
造するための価値の高いカップリング成分である。
下記の例により本発明による方法を説明するが、しか
し本発明による方法はこれらの例に限定されてはならな
い。
例 1 2容−水素添加用オートクレーブ中に酢酸−n−ブ
チルエステル300ml中のニッケル−触媒(ニッケル−け
いそう土担持触媒約55重量%を含有する)3gを導入す
る。窒素でフラッシした後水素30バールを圧入し、触媒
懸濁液を撹拌下80℃に加温する。その後酢酸−n−ブチ
ルエステル500ml中2,4−ジニトロ−メトキシエトキシベ
ンゼン242.2gの溶液のポンプによる添加を、とくにジア
ミンまでの還元速度に相当する速度−このことは配量の
中断後直ちに水素吸収が終了することで認められる−で
開始する。
約90分の配量時間中温度は冷却するにもかかわらず80
℃から約110℃に上昇する。還元終了後オートクレーブ
内容物を40℃に冷却し、排出する。引き続いて、触媒を
除いた還元溶液を共沸的に脱水し、その際還元中生成し
た水を水分離機により排出する。
この様にして得られた、酢酸−n−ブチルエステル中
の水不含ジアミン溶液を撹拌下5℃に冷却する。6時間
以内に無水プロピオン酸123gを一様にポンプで添加し、
温度をこの時間中10℃上昇させる。後処理及び乾燥後9
8.6%生成物229.7gが得られ、これは理論値の95.2%の
4−プロピオニルアミノ−2−アミノ−メトキシエトキ
シベンゼンの収率に相当する。
HPLC−分析により非アシル化2,4−ジアミノ−メトキ
シエトキシベンゼンの含有率は0.3%であり、2,4−ビス
−(プロピオニルアミノ)−メトキシエトキシベンゼン
の含有率は0.7%である。
例 2 例1中で記載の如く実施するが、アシル化するために
無水酢酸96.5gを無水プロピオン酸123gの代わりに使用
する点を異にする。後処理及び乾燥後98.3%生成物215.
1gが得られ、これは理論値の94.4%の4−アセチルアミ
ノ−2−アミノ−メトキシベンゼンの収率に相当する。
非アシル化2,4−ジアミノ−メトキシエトキシベンゼ
ンの含有率は0.8%であり、2,4−ビス−(アセチルアミ
ノ)−メトキシ−エトキシベンゼンの含有率は0.5%で
ある(HPLC)。
例 3 例1中で記載の如く実施するが、但し2,4−ジニトロ
−メトキシベンゼン198gを2,4−ジニトロ−メトキシエ
トキシベンゼン242.2gの代わりにそして無水酢酸を無水
プロピオン酸の代わりに使用する点を異にする。触媒除
去及び水素添加水の共沸的除去後酢酸ブチル中2,4−ジ
アミノ−メトキシベンゼンの13.9重量%溶液972gが得ら
れ、これは理論値の97.9%の収率に相当する。
例1と同様にして6時間以内に無水酢酸95.0gを5℃
に冷却しそして撹拌したジアミン−溶液中にポンプで導
入する。後処理及び乾燥後4−アセチルアミノ−2−ア
ミノ−メトキシエトキシベンゼン165.8gが得られ、これ
は理論値の92%の収率に相当する。非アシル化2,4−ジ
アミノ−メトキシエトキシベンゼンの含有率は0.8%で
あり、2,4−ビス−(アセチルアミノ)−メトキシベン
ゼンの含有率は1.2%である(HPLC)。
例 4 例1中で記載の如く実施するが、2,4−ジニトロフェ
ニル−イソプロピルエーテル226.2gを2,4−ジニトロ−
メトキシエトキシベンゼン242.2gの代わりに使用する点
を異にする。後処理及び乾燥後98.4%生成物(融点88〜
89℃)216.4gが得られ、これは理論値の95.8%の4−プ
ロピオニルアミノ−2−アミノフェニル−イソプロピル
エーテルの収率に相当する。
非アシル化2,4−ジアミノフェニル−イソプロピルエ
ーテルの含有率は0.4%であり、2,4−ビス−(プロピオ
ニルアミノ)−フェニル−イソプロピルエーテルの含有
率は0.7%である(HPLC)。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) (式中RはアルキルC1〜C6−又はアルコキシC1〜C4−ア
    ルキレンC1〜C4−基を意味しそしてR′はメチル基又は
    エチル基を意味する) で示される4−アシルアミノ−2−アミノ−アルコキシ
    ベンゼンを製造する方法に於いて、一般式(2) (式中Rは前記の意味を有する) で示される2,4−ジニトロ−アルコキシベンゼンの酢酸
    ブチル中の溶液又は懸濁液を、オートクレーブ中に予め
    仕込まれており、ニッケル−けいそう土担持触媒が撹拌
    されている酢酸ブチル中の懸濁液中に約5乃至50バール
    の水素圧及び約60乃至約120℃の温度に於いて、2,4−ジ
    ニトロ−アルコキシベンゼンの2,4−ジアミノ−アルコ
    キシベンゼンへの水素添加の速度に相当する速度でポン
    プにより導入し、水素添加が完了した後反応溶液を共沸
    的に脱水し、得られる2,4−ジアミノ−アルコキシベン
    ゼンを2,4−ジアミノ−アルコキシベンゼン1モルに対
    し約0.90乃至約0.99モルの、2乃至3個の炭素原子を有
    するアルキルモノカルボン酸の無水物で約−5乃至約+
    15℃の温度に於いてアシル化することを特徴とする方
    法。
  2. 【請求項2】水素添加及びアシル化を酢酸−n−ブチル
    エステル又は酢酸−イソ−ブチルエスル又はこれらエス
    テルの混合物中で実施する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】水素添加を約30乃至約40バールの水素圧に
    於いて実施する請求項1及び2の少なくとも1項に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】水素添加を約80乃至約110℃の温度に於い
    て実施する請求項1乃至3の少なくとも1項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】アシル化を約5乃至10℃の温度に於いて実
    施する請求項1乃至4の少なくとも1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】アシル化するためにアルキルモノカルボン
    酸無水物を2,4−ジアミノ−アルコキシベンゼン1モル
    に対し約0.93乃至約0.96モルの量で使用する請求項1乃
    至5の少なくとも1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】アシル化剤として無水酢酸を使用する請求
    項1乃至6の少なくとも1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】アシル化剤として無水プロピオン酸を使用
    する請求項1乃至6の少なくとも1項に記載の方法。
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CA1310019C (en) 1992-11-10
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DE3804621A1 (de) 1989-08-24
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