JP2608012B2 - 癌抑制遺伝子mccの産物に対する抗体 - Google Patents
癌抑制遺伝子mccの産物に対する抗体Info
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Description
遺伝子 MCC の産物に対する抗体に係るものであり、癌
及び腫瘍の診断に利用することができる。
より得られるハイブリドーマは正常細胞と変わらない形
値を示すこと並びに網膜芽細胞腫、Wilms 腫瘍、神経芽
細胞腫等の遺伝性腫瘍においては染色体の特定部位に異
常が認められるので、遺伝性腫瘍の発生には癌抑制遺伝
子の異常が関与しているものと考えられてきた。事実、
分子生物学の進歩により、最近になって遺伝性腫瘍であ
る網膜芽細胞腫、Wilms腫瘍等に関する癌抑制遺伝子が
次々とクローニングされ、その構造が明らかにされ、当
該遺伝子における異常が確認されるに至っている。更
に、現在では上記の遺伝性腫瘍のみならず肺癌、乳癌、
胃癌、大腸癌等の一般的な腫瘍の発生に関しても癌抑制
遺伝子の異常が重要な役割を果たしていることが解明さ
れつつある。
従来技術に鑑みて、癌や腫瘍の発生を解明するためには
癌抑制遺伝子、殊にその産物に関する研究が肝要であ
る。従って、本発明の目的は癌抑制遺伝子の産物に対す
る抗体を提供し、これによって各種の癌や腫瘍の発生に
関する研究を発展させ、延いては癌や腫瘍の診断に利用
する途を開くことにある。
よれば、上記の課題はアミノ酸配列が Cys-Glu-Asn-Ser-Arg-Pro-His-Thr-Asn-Glu-Thr-Ser-Le
u である抗原性ペプチドとキャリヤー蛋白との結合物を抗
原として得られる抗体であって、免疫グロブリンクラス
が IgG、分子量が約 150000、分子吸光係数 [E1%(1cm),
(280nm)] が 1.40 であることを特徴とする、癌抑制遺
伝子 MCC の産物に対する抗体により解決されると共
に、上記の目的が達成される。
定の上記アミノ酸配列を有するペプチドが採択された理
由は、大腸癌に関する癌抑制遺伝子 MCC の推定構造の
一部であって、抗原性が高い部分であると推定されたか
らである。この抗原性ペプチドと結合させるべきキャリ
ヤー蛋白としては各種のものを用いることができ、例え
ばキーホールリンペットヘモシアニン (KLH)、ウシ血清
アルブミン等を例示することができる。抗原性ペプチド
とキャリヤー蛋白との結合は自体公知の手法にて、例え
ばサクシンイミドを用いる方法 [T. Kitagawa 等「J. B
iochem.」第 79 巻、第 233 頁(1976 年)] にて行うこ
とができる。
でマウス、ウサギ、ラット、ヒツジ等の動物に慣用の方
法で投与される。免疫した動物から本発明による抗体を
得る方法としても慣用の手法を採用することができる。
例えば、免疫した動物から採血し、常法に従い抗血清を
調製することにより行うことができ [この場合における
抗体の存否の判定は癌抑制遺伝子 MCC を発現している
細胞、例えばサル正常繊維芽細胞株 CV-1 を可溶化さ
せ、上記の抗血清を用いウエスタンブロット法により解
析し、癌抑制遺伝子 MCC の産物 (分子量 100000) が検
出されるか否かにより行うことができる]、又免疫した
動物のリンパ球を採取しミエローマ 細胞と融合させて
ハイブリドーマを調製し、スクリーニングにより抗体を
特異的に産生するハイブリドーマを特定し、該抗体産生
ハイブリドーマを培養することによりモノクローナル抗
体として得ることができる。尚、上記の抗体産生ハイブ
リドーマを動物に移植して抗体を産生させ、次いで採血
等により採取し単離することによっても所望の抗体を得
ることができる。
本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
報告されている推定構造を検討し、抗原性が高い部分と
推定されるペプチドであって、下記のアミノ酸配列を有
するペプチドを、自動ペプチド合成装置 (ベックマン社
製の 990B 型)により、固相法で合成した。 Cys-Glu-Asn-Ser-Arg-Pro-His-Thr-Asn-Glu-Thr-Ser-Le
u 上記の合成ペプチドを 0℃ において 30 分間にわたり
75% 弗化水素/25% アニソールで処理することにより固
相から剥離させ、1mM ジチオスライトール含有0.05M 酢
酸アンモニウム緩衝液 (pH 7.0) により平衡化させ、SP
セファデックスカラム (2.5 x 50cm) に吸着させた。
上記の平衡化用緩衝液 500ml と 1mM ジチオスライトー
ル含有 0.5M 酢酸 (pH 7.0) 500ml とのグラジェントに
より上記カラム内の吸着物を分画溶出させた。各画分を
フルオロレスカミンにてチェックすることによりペプチ
ド含有画分を集めて濃縮し、この濃縮物を、30% 酢酸溶
液で平衡化したセファデックス G-10 カラム (1.0 x 50
cm) に吸着させ、上記と同様にしてペプチド含有画分を
集めて濃縮し、乾固させることにより所望の抗原性ペプ
チドを得た。このペプチドを 1N 塩酸溶液に 120℃ で
一晩浸漬して加水分解させ、アミノ酸分析装置によりア
ミノ酸組成を調べた結果は下記の通りであった。 Cys 1.0; Glu 1.9; Asn 2.0; Ser 2.0; Arg 0.9; Pro
1.1; His 1.0;Thr 1.9; Leu 1.0 (%)
ールリンペットヘモシアニンと、15mg/ml の割合で 10m
M 燐酸緩衝液に溶解させた n-マレイミド-n-ハイドロキ
シサクシンイミドエステル 63μl とを混合し、室温下
に 30 分間保持して反応させた。0.1M 燐酸緩衝液 (pH
6.0) により平衡化させたセファデックス G-25 カラム
を用い 4℃ の温度条件下で、上記の反応液をクロマト
グラフィーすることによりキーホールリンペットヘモシ
アニンを活性化させた。この活性化キーホールリンペッ
トヘモシアニン 2.3ml と、10mg/ml の割合で10mM 燐酸
緩衝液 (pH 7.3) に既述の (a) 項で得た抗原性ペプチ
ドを溶解させた溶液に 5mM EDTA を添加した溶液 0.1ml
とを混合し、pH を 6.5 に調整し、次いで室温下で 4
時間混合することにより所望の抗原 (抗原性ペプチド
と、キャリヤー蛋白であるキーホールリンペットヘモシ
アニンとの結合物) を得た。この結合物が生成したこと
は、SDS-ゲル電気泳動解析により確認された。
アジュバンドと共にウサギの手掌部に注射投与した。そ
の後、更に、3 週間間隔で抗原を 200μg 宛 4回背皮下
に注射投与することにより免疫を施した。最終投与から
10 日目に採血し、血清を分取した。この血清を遠心
(10000 x g) して得た上清に飽和硫安溶液 (pH 7.4) を
添加して硫安濃度を 14% になした。この溶液を氷冷下
で一晩攪拌した後に 10000 x g にて 10 分間遠心して
沈澱物を採取した。得られた沈澱物を蒸留水に溶解さ
せ、500 倍量の 0.15M NaCl に対して 48 時間透析処理
して抗血清溶液を得た。
させた DEAE-セルロース (ワットマン DE32) カラム
(1.0 x 15cm) に上記の抗血清溶液 2ml を流し、素通り
画分として免疫グロブリン IgG 画分を得た。この IgG
の収量は 24mg である。集められた IgG を 0.1M 炭酸
ナトリウム緩衝液 (pH 8.0) により透析処理した。一
方、活性化 CH-セファロース 4B (ファルマシア社製) 1
g を 0.1M 炭酸ナトリウム緩衝液 (pH 8.0) 5μl に懸
濁させ、これに既述の (a) 項で得た抗原性ペプチド 10
mg を添加して室温下で 2 時間攪拌することによりペプ
チド結合 CH-セファロース 4B を調製してカラム (0.5
x 2.0cm) に入れ、このカラムに上記の透析処理済み Ig
G 画分をチャージし、0.15M NaCl/0.002M 炭酸ナトリウ
ム緩衝液 (pH 8.0) により充分に洗浄し、次いでカラム
に吸着しているペプチド抗体を 0.17M グリシン-塩酸緩
衝液 (pH 2.3) により溶出させた。集めた溶出液を0.15
M NaCl に対して透析処理し、次いで限外濾過すること
により所望の IgG 抗体を含有する溶液を 0.5ml 得た。
及び抗ウサギ IgA +IgM + IgG 抗体を使用し、オクタロ
ニー法により、上記の製造例により得られた抗体 (癌抑
制遺伝子 APC の産物に対する精製抗体) の免疫沈降試
験を実施して、その免疫グロブリンクラスを決定した。
即ち、1% 寒天ゲルに形成した穴の中心部には上記の 3
種の抗ウサギ抗体を入れ、周囲に形成された穴には、こ
れらの抗ウサギ抗体に対して 1/20 量から 2倍づつ稀釈
した製造例による精製抗体を入れ、0℃ において一晩放
置した後に、形成された沈降縁を観察した処、当該精製
抗体は抗ウサギ IgG 抗体及び抗ウサギ IgA + IgM + Ig
G 抗体によって免疫沈降を示していたので、その免疫グ
ロブリンクラスは IgG であることが確認された。
を用い、ゲル濾過法により決定した。即ち、0.02M 炭
酸ナトリウム緩衝液にて平衡化させたセファデックス G
-100カラム (1.0 x 100cm) に製造例で得た精製抗体を
1mg チャージし、上記の緩衝液にて展開させ、280nm で
の吸光度を測定して溶出する蛋白を検出し、分子量マー
カ [バイオラッド社製の分子量測定キット(No. 151 - 1
901) であってチログロブリン (分子量 670000)、γ-グ
ロブリン (分子量 158000)、卵白アルブミン(分子量 44
000)、ミオグロビン (分子量 17000) 及びビタミン B12
(分子量1350) が予めセットされているもの] における
溶出パターンと比較した処、精製抗体の分子量は約 150
000 であることが判明した。
衝液 (pH 9.0) に溶解させ、280nm での吸光度を測定し
た処、1.40 であった。従って分子吸光係数はE1% (1cm)
= 1.40 となる。
-1 を RIPA 緩衝液(1% NP-40、0.1% デオキシコール酸
ナトリウム塩、0.5% NaCl 及び 1mM フェニルメチルス
ルフォニルフルオライド及び 50mM トリス塩酸緩衝液を
含有、pH7.4) により可溶化させた後に 10000 x g にて
30 分間遠心して上清を採取し、この上清 をレムリ (L
emmli) の方法に従い 10% SDS-ゲル電気泳動法により分
離した。得られた各分離蛋白を常法によりニトロセルロ
ースフィルタにウエスタントランスファーした後に、製
造例により得た精製抗体とアルカリフォスファターゼ結
合抗ウサギ IgG 抗体 (カッペル社製) とを用いて癌抑
制遺伝子 MCC 産物の検出を行った。その結果、癌抑制
遺伝子 MCC を発現しているサル繊維芽細胞株 CV-1 に
関しては分子量 100000 の蛋白の存在が確認された。
尚、製造例の (a) 項に記載の抗原性ペプチドを添加し
て抗体を吸収させた後に、上記と同様の試験を行った
処、分子量 100000 の蛋白を検出することはできなかっ
た。これらの事実は、製造例により得られた抗体が癌抑
制遺伝子 MCC の産物を特異的に認識するものであるこ
とを示している。
を特異的に認識する。癌抑制遺伝子は遺伝性の特殊な癌
や腫瘍のみならず、一般的な各種の癌や腫瘍の発生に関
与するものであることが解明されつつあるので、本発明
による抗体は癌や腫瘍の発生解明や診断に利用すること
が可能である。更に、本発明による抗体は鎖長の短い、
従って合成が容易なペプチドを抗原材料とするのみで、
他は生物工学分野において自体周知の手法を用いて調製
することができ、従って製造が容易である。
Claims (1)
- 【請求項1】 アミノ酸配列が Cys-Glu-Asn-Ser-Arg-Pro-His-Thr-Asn-Glu-Thr-Ser-Le
u である抗原性ペプチドとキャリヤー蛋白との結合物を抗
原として得られる抗体であって、免疫グロブリンクラス
が IgG、分子量が約 150000、分子吸光係数 [E1%(1cm),
(280nm)] が 1.40 であることを特徴とする、癌抑制遺
伝子 MCC の産物に対する抗体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4278499A JP2608012B2 (ja) | 1992-10-16 | 1992-10-16 | 癌抑制遺伝子mccの産物に対する抗体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4278499A JP2608012B2 (ja) | 1992-10-16 | 1992-10-16 | 癌抑制遺伝子mccの産物に対する抗体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06201700A JPH06201700A (ja) | 1994-07-22 |
JP2608012B2 true JP2608012B2 (ja) | 1997-05-07 |
Family
ID=17598170
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4278499A Expired - Lifetime JP2608012B2 (ja) | 1992-10-16 | 1992-10-16 | 癌抑制遺伝子mccの産物に対する抗体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2608012B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2598666B2 (ja) * | 1987-10-19 | 1997-04-09 | 忠三 岸本 | 抗ヒトbcdfモノクローナル抗体 |
JPH048296A (ja) * | 1990-04-24 | 1992-01-13 | Ajinomoto Co Inc | 新規モノクローナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマ |
-
1992
- 1992-10-16 JP JP4278499A patent/JP2608012B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06201700A (ja) | 1994-07-22 |
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