JP2735986B2 - 癌抑制遺伝子wtの産物に対する抗体 - Google Patents
癌抑制遺伝子wtの産物に対する抗体Info
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Description
遺伝子 WT の産物に対する抗体に係るものであり、癌及
び腫瘍の診断に利用することができる。
より得られるハイブリドーマは正常細胞と変わらない形
値を示すこと並びに網膜芽細胞腫、Wilms 腫瘍、神経芽
細胞腫等の遺伝性腫瘍においては染色体の特定部位に異
常が認められるので、遺伝性腫瘍の発生には癌抑制遺伝
子の異常が関与しているものと考えられてきた。事実、
分子生物学の進歩により、最近になって遺伝性腫瘍であ
る網膜芽細胞腫、Wilms腫瘍等に関する癌抑制遺伝子が
次々とクローニングされ、その構造が明らかにされ、当
該遺伝子における異常が確認されるに至っている。更
に、現在では上記の遺伝性腫瘍のみならず肺癌、乳癌、
胃癌、大腸癌等の一般的な腫瘍の発生に関しても癌抑制
遺伝子の異常が重要な役割を果たしていることが解明さ
れつつある。
従来技術に鑑みて、癌や腫瘍の発生を解明するためには
癌抑制遺伝子、殊にその産物に関する研究が肝要であ
る。従って、本発明の目的は癌抑制遺伝子の産物に対す
る抗体を提供し、これによって各種の癌や腫瘍の発生に
関する研究を発展させ、延いては癌や腫瘍の診断に利用
する途を開くことにある。
よれば、上記の課題はアミノ酸配列が Cys-His-Gln-Arg-Asn-Met-Thr-Lys-Leu-Gln-Leu-Ala-Le
u である抗原性ペプチドとキャリヤー蛋白との結合物を抗
原として得られる抗体であって、免疫グロブリンクラス
が IgG、分子量が約 150000、分子吸光係数 [E1%(1cm),
(280nm)] が 1.40 であることを特徴とする、癌抑制遺
伝子WT の産物に対する抗体により解決されると共に、
上記の目的が達成される。
定の上記アミノ酸配列を有するペプチドが採択された理
由は、Wilms 腫瘍に関する癌抑制遺伝子 WT の推定構造
の一部であって、抗原性が高い部分であると推定された
からである。この抗原性ペプチドと結合させるべきキャ
リヤー蛋白としては各種のものを用いることができ、例
えばキーホールリンペットヘモシアニン (KLH)、ウシ血
清アルブミン等を例示することができる。抗原性ペプチ
ドとキャリヤー蛋白との結合は自体公知の手法にて、例
えばサクシンイミドを用いる方法 [T. Kitagawa 等「J.
Biochem.」第 79 巻、第 233 頁(1976 年)] にて行う
ことができる。
でマウス、ウサギ、ラット、ヒツジ等の動物に慣用の方
法で投与される。免疫した動物から本発明による抗体を
得る方法としても慣用の手法を採用することができる。
例えば、免疫した動物から採血し、常法に従い抗血清を
調製することにより行うことができ [この場合における
抗体の存否の判定は癌抑制遺伝子 WT を発現している細
胞、例えばヒト赤芽球症細胞株 K-562 を可溶化させ、
上記の抗血清を用いウエスタンブロット法により解析
し、癌抑制遺伝子 WT の産物 (分子量 55000) が検出さ
れるか否かにより行うことができる]、又免疫した動物
のリンパ球を採取しミエローマ細胞と融合させてハイブ
リドーマを調製し、スクリーニングにより抗体を特異的
に産生するハイブリドーマを特定し、該抗体産生ハイブ
リドーマを培養することによりモノクローナル抗体とし
て得ることができる。尚、上記の抗体産生ハイブリドー
マを動物に移植して抗体を産生させ、次いで採血等によ
り採取し単離することによっても所望の抗体を得ること
ができる。
本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
に報告されている推定構造を検討し、抗原性が高い部分
と推定されるペプチドであって、下記のアミノ酸配列を
有するペプチドを、自動ペプチド合成装置 (ベックマン
社製の 990B型) により、固相法で合成した。 Cys-His-Gln-Arg-Asn-Met-Thr-Lys-Leu-Gln-Leu-Ala-Le
u 上記の合成ペプチドを 0℃ において 30 分間にわたり
75% 弗化水素/25% アニソールで処理することにより固
相から剥離させ、1mM ジチオスライトール含有0.05M 酢
酸アンモニウム緩衝液 (pH 7.0) により平衡化させ、SP
セファデックスカラム (2.5 x 50cm) に吸着させた。
上記の平衡化用緩衝液 500ml と 1mM ジチオスライトー
ル含有 0.5M 酢酸 (pH 7.0) 500ml とのグラジェントに
より上記カラム内の吸着物を分画溶出させた。各画分を
フルオロレスカミンにてチェックすることによりペプチ
ド含有画分を集めて濃縮し、この濃縮物を、30% 酢酸溶
液で平衡化したセファデックス G-10 カラム (1.0 x 50
cm) に吸着させ、上記と同様にしてペプチド含有画分を
集めて濃縮し、乾固させることにより所望の抗原性ペプ
チドを得た。このペプチドを 1N 塩酸溶液に 120℃ で
一晩浸漬して加水分解させ、アミノ酸分析装置によりア
ミノ酸組成を調べた結果は下記の通りであった。 Cys 0.9; His 1.0; Gln 2.0; Arg 1.1; Asn 0.9; Met
1.0; Thr 1.0;Lys 0.9; Leu 1.9, Ala 1.0 (%)
合) 10mg/ml の割合で 10mM 燐酸緩衝液に溶解させたキーホ
ールリンペットヘモシアニンと、15mg/ml の割合で 10m
M 燐酸緩衝液に溶解させた n-マレイミド-n-ハイドロキ
シサクシンイミドエステル 63μl とを混合し、室温下
に 30 分間保持して反応させた。0.1M 燐酸緩衝液 (pH
6.0) により平衡化させたセファデックス G-25 カラム
を用い 4℃ の温度条件下で、上記の反応液をクロマト
グラフィーすることによりキーホールリンペットヘモシ
アニンを活性化させた。この活性化キーホールリンペッ
トヘモシアニン 2.3ml と、10mg/ml の割合で10mM 燐酸
緩衝液 (pH 7.3) に既述の (a) 項で得た抗原性ペプチ
ドを溶解させた溶液に 5mM EDTA を添加した溶液 0.1ml
とを混合し、pH を 6.5 に調整し、次いで室温下で 4
時間混合することにより所望の抗原 (抗原性ペプチド
と、キャリヤー蛋白であるキーホールリンペットヘモシ
アニンとの結合物) を得た。この結合物が生成したこと
は、SDS-ゲル電気泳動解析により確認された。
アジュバンドと共にウサギの手掌部に注射投与した。そ
の後、更に、3 週間間隔で抗原を 200μg 宛 4回背皮下
に注射投与することにより免疫を施した。最終投与から
10 日目に採血し、血清を分取した。この血清を遠心
(10000 x g) して得た上清に飽和硫安溶液 (pH 7.4) を
添加して硫安濃度を 14% になした。この溶液を氷冷下
で一晩攪拌した後に 10000 x g にて 10 分間遠心して
沈澱物を採取した。得られた沈澱物を蒸留水に溶解さ
せ、500 倍量の 0.15M NaCl に対して 48 時間透析処理
して抗血清溶液を得た。
させた DEAE-セルロース (ワットマン DE32) カラム
(1.5 x 15cm) に上記の抗血清溶液 2ml を流し、素通り
画分として免疫グロブリン IgG 画分を得た。この IgG
の収量は 24mg である。集められたIgG を 0.1M 炭酸ナ
トリウム緩衝液 (pH 8.0) により透析処理した。一方、
活性化 CH-セファロース 4B (ファルマシア社製) 1g を
0.1M 炭酸ナトリウム緩衝液 (pH 8.0) 5μl に懸濁さ
せ、これに既述の (a) 項で得た抗原性ペプチド 10mg
を添加して室温下で 2 時間攪拌することによりペプチ
ド結合 CH-セファロース 4B を調製してカラム (0.5 x
2.0cm) に入れ、このカラムに上記の 透析処理済み IgG
画分をチャージし、0.15M NaCl/0.002M 炭酸ナトリウ
ム緩衝液 (pH 8.0) により充分に洗浄し、次いでカラム
に吸着しているペプチド抗体を 0.17M グリシン-塩酸緩
衝液 (pH 2.3) により溶出させた。集めた溶出液を0.15
M NaCl に対して透析処理し、次いで限外濾過すること
により所望の IgG 抗体を含有する溶液を 0.5ml 得た。
及び抗ウサギ IgA +IgM + IgG 抗体を使用し、オクタロ
ニー法により、上記の製造例により得られた抗体 (癌抑
制遺伝子 WT の産物に対する精製抗体) の免疫沈降試験
を実施して、その免疫グロブリンクラスを決定した。即
ち、1% 寒天ゲルに形成した穴の中心部には上記の 3 種
の抗ウサギ抗体を入れ、周囲に形成された穴には、これ
らの抗ウサギ抗体に対して 1/20 量から 2倍づつ稀釈し
た製造例による精製抗体を入れ、0℃ において一晩放置
した後に、形成された沈降縁を観察した処、当該精製抗
体は抗ウサギ IgG 抗体及び抗ウサギ IgA + IgM + IgG
抗体によって免疫沈降を示していたので、その免疫グロ
ブリンクラスは IgG であることが確認された。
を用い、ゲル濾過法により決定した。即ち、0.02M 炭
酸ナトリウム緩衝液にて平衡化させたセファデックス G
-100カラム (1.0 x 100cm) に製造例で得た精製抗体を
1mg チャージし、上記の緩衝液にて展開させ、280nm で
の吸光度を測定して溶出する蛋白を検出し、分子量マー
カ [バイオラッド社製の分子量測定キット(No. 151 - 1
901) であってチログロブリン (分子量 670000)、γ-グ
ロブリン (分子量 158000)、卵白アルブミン(分子量 44
000)、ミオグロビン (分子量 17000) 及びビタミン B12
(分子量1350) が予めセットされているもの] における
溶出パターンと比較した処、精製抗体の分子量は約 150
000 であることが判明した。
衝液 (pH 9.0) に溶解させ、280nm での吸光度を測定し
た処、1.40 であった。従って分子吸光係数はE1% (1cm)
= 1.40 となる。
-562 を RIPA 緩衝液(1% NP-40、0.1% デオキシコール
酸ナトリウム塩、0.5% NaCl 及び 1mM フェニ ルメチル
スルフォニルフルオライド及び 50mM トリス塩酸緩衝液
を含有、pH7.4) により可溶化させた後に 10000 x g に
て 30 分間遠心して上清を採取し、この上清 を (Lemml
i) レムリの方法に従い 10% SDS-ゲル電気泳動法により
分離した。得られた各分離蛋白を常法によりニトロセル
ロースフィルタにウエスタントランスファーした後に、
製造例により得た精製抗体とアルカリフォスファターゼ
結合抗ウサギ IgG 抗体 (カッペル社製) とを用いて癌
抑制遺伝子 WT 産物の検出を行った。その結果、癌抑制
遺伝子 WT を発現しているヒト赤芽球症細胞株 K-562
に関しては分子量 55000 の蛋白の存在が確認された。
尚、製造例の (a) 項に記載の抗原性ペプチドを添加し
て抗体を吸収させた後に、上記と同様の試験を行った
処、分子量 55000 の蛋白を検出することはできなかっ
た。これらの事実は、製造例により得られた抗体が癌抑
制遺伝子 WT の産物を特異的に認識するものであること
を示している。
を特異的に認識する。癌抑制遺伝子は遺伝性の特殊な癌
や腫瘍のみならず、一般的な各種の癌や腫瘍の発生に関
与するものであることが解明されつつあるので、本発明
による抗体は癌や腫瘍の発生解明や診断に利用すること
が可能である。更に、本発明による抗体は鎖長の短い、
従って合成が容易なペプチドを抗原材料とするのみで、
他は生物工学分野において自体周知の手法を用いて調製
することができ、従って製造が容易である。
Claims (1)
- 【請求項1】 アミノ酸配列が Cys-His-Gln-Arg-Asn-Met-Thr-Lys-Leu-Gln-Leu-Ala-Le
u である抗原性ペプチドとキャリヤー蛋白との結合物を抗
原として得られる抗体であって、免疫グロブリンクラス
が IgG、分子量が約 150000、分子吸光係数 [E1%(1cm),
(280nm)] が 1.40 であることを特徴とする、癌抑制遺
伝子 WT の産物に対する抗体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27849892A JP2735986B2 (ja) | 1992-10-16 | 1992-10-16 | 癌抑制遺伝子wtの産物に対する抗体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27849892A JP2735986B2 (ja) | 1992-10-16 | 1992-10-16 | 癌抑制遺伝子wtの産物に対する抗体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06128299A JPH06128299A (ja) | 1994-05-10 |
JP2735986B2 true JP2735986B2 (ja) | 1998-04-02 |
Family
ID=17598156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27849892A Expired - Lifetime JP2735986B2 (ja) | 1992-10-16 | 1992-10-16 | 癌抑制遺伝子wtの産物に対する抗体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2735986B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7901693B2 (en) | 1998-09-30 | 2011-03-08 | Corixa Corporation | Compositions and methods for WT1 specific immunotherapy |
US7553494B2 (en) | 2001-08-24 | 2009-06-30 | Corixa Corporation | WT1 fusion proteins |
CN110872345B (zh) * | 2019-08-20 | 2020-09-01 | 中科世生(北京)医药科技有限公司 | 一种高纯免疫球蛋白g的制备方法 |
-
1992
- 1992-10-16 JP JP27849892A patent/JP2735986B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
ONCOGENE,VOL.6,1991,P.2339−2348 |
Also Published As
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---|---|
JPH06128299A (ja) | 1994-05-10 |
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