JP2607952B2 - 表面粗さ測定装置 - Google Patents

表面粗さ測定装置

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JP2607952B2
JP2607952B2 JP1071488A JP7148889A JP2607952B2 JP 2607952 B2 JP2607952 B2 JP 2607952B2 JP 1071488 A JP1071488 A JP 1071488A JP 7148889 A JP7148889 A JP 7148889A JP 2607952 B2 JP2607952 B2 JP 2607952B2
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哲則 品川
千尋 丸茂
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株式会社 ミツトヨ
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は表面粗さ測定装置に関し、詳しくは被測定
物の表面粗さを検出する検出手段は検出が触針を用いた
接触式であって、且つ検出可能な範囲に上方限界及び下
方限界を有する表面粗さ測定装置に関する。
[従来の技術] 被測定物の表面粗さを検出する検出手段は検出が触針
を用いた接触式であって、且つ検出可能な範囲に上方限
界及び下方限界を有する表面粗さ測定装置として、従
来、実開昭57−94804号公報で開示したものがある。
[発明が解決しようとする課題] 実開昭57−94804号で開示した測定装置では、検出す
べき被測定物の表面粗さの値が検出手段の検出可能な上
方限界及び下方限界を越えている場合に、得られる測定
結果は十分に信頼できないという問題があった。
又、検出可能を構成している触針を検出手段の検出可
能な限界を越えて被測定面に追従させると、触針の移動
許容範囲を越えた位置で触針が被測定面から押圧力を受
けて検出手段そのものが破損するという問題がある。こ
の破損の問題を解決するために、検出手段を非接触タイ
プのものにすることが考えられる。しかし、非接触タイ
プの検出手段を用いると、測定すべき面に微細な塵埃や
油滴等が付着している場合は、それらの付着物をも含ん
で検出し結果的に信頼できる測定結果が得られないとい
う問題が生じる。
この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、
検出手段が触針を有した接触式であって且つその検出に
検出可能な上方限界及び下方限界を有している表面粗さ
測定装置であって、しかも検出すべき値が検出手段の有
する検出可能な限界を越えていても信頼できる測定結果
が得られ、加えて触針が測定すべき面を追従している際
にその測定すべき面に触針が押圧されて破損するという
ことのない表面粗さ測定装置を提供するものである。
又、前記課題を解決するにあたって、触針による非測
定面への傷等の損傷を最低限に抑えることを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] この発明は、測定すべき面の表面粗さを検出している
際に、その時の検出結果が検出手段の検出可能な上方限
界又はその近傍の値、もしくは下方限界又はその近傍の
値になると、検出結果がその対応する検出可能な限界か
ら離隔するようにテーブルを自動的に移動させ得る手
段、及びテーブルを検出手段との相対位置から自動的に
移動した際に測定値をその移動の前後で連続させ得る手
段を設けてなる表面粗さ測定装置である。
その詳細な構成は、基台と、該基台に立設された支柱
と、該基台に配設されて被測定物を載置支持するテーブ
ルと、該支柱に支持され、且つ被測定物の表面に接触す
る触針を有して表面粗さを検出し、更にその検出におい
て検出可能な上方限界及び下方限界を有する検出手段
と、該検出手段の触針とテーブルとを相対的に平行にス
ライドさせ得るスライド手段と、検出手段の検出結果に
基づき被測定物の表面粗さを演算表示する演算表示手段
と、を有する表面粗さ測定装置において、 前記検出手段が被測定物の表面粗さを検出している際
に、その検出結果が検出手段の検出可能な上方限界又は
その近傍の値、もしくは下方限界又はその近傍の値のな
る場合には、検出可能の検出結果がその対応する検出可
能な限界から離隔するように前記被測定物が載置された
テーブルを自動的に上下移動させる移動手段と、前記移
動手段の作動によって移動される距離に基づいて、移動
手段の作動前後のそれぞれの検出結果の少なくとも一つ
を補正する信号を上記演算表示手段に出力するための補
正手段が設けられ、 更に前記移動手段が、基台上を一定方向に摺動し、上
面に該摺動方向の傾斜を有する滑動体と、該滑動体が連
結され、前記検出手段の検出結果に応じて滑動体を摺動
させるモータ及び送りねじからなる滑動体駆動部と、上
面が前記テーブルを支持し、下面が前記滑動体の上面に
係合する傾斜を有するスライダと、前記基台に立設して
該スライダを上下動可能に支持し、該上下動方向のガイ
ド部を有するピラーと、を備えたことを特徴とする表面
粗さ測定装置である。
又、この発明は、更にテーブルに被測定物を載置支持
して表面粗さを測定した際に、その表面粗さの平均軌跡
とスライド手段のスライド方向とが平行であるか否かを
判断する判断手段、及びその判断手段の判断結果に基づ
き前記平均軌跡がスライド手段のスライド方向に平行に
なるようにテーブルの傾斜姿勢を補正する姿勢補正手段
を備えて構成されることができる。
尚、上記スライド手段は具体的に、支柱に支持される
検出手段に触針をスライドさせ得るスライド機構を設け
てなる構成が挙げられる。
[作用] 被測定物の表面粗さを検出している際に、検出結果が
検出手段の検出可能な上方限界又はその近傍の値、もし
くは下方限界又はその近傍の値になると、移動手段が作
動して検出結果がその対応する限界から離隔するよう
に、テーブルを上下移動させる。又、この際、補正手段
が作動し、移動手段の作動の前後の検出結果は補正され
て移動手段の作動の前の検出結果に連続する。
前記移動手段の作動は、その滑動体駆動部より滑動体
に駆動力が加わり、該滑動体が基台上を一定方向に摺動
する。滑動体の上面は摺動方向に傾斜を有しており、更
に該上面にはその傾斜と同一傾斜を有するスライダの下
面が係合している。また、前記スライダは上下移動方向
のガイド部を有するピラーにより上下動可能に支持され
ている。
このため、前記滑動体を基台上で摺動させると、スラ
イダの下面との係合位置、即ち滑動体の上面が接面支持
しているスライダ下面の傾斜位置が変化し、該スライダ
が上下移動することとなる。
そして、該スライダの上面はテーブルを支持してお
り、該スライダの上下移動がそのままテーブルの上下移
動となる。
この結果、前記テーブルに載置された被測定物と共
に、該被測定面に接触している触針の接触部の位置も上
下移動することとなり、検出手段の検出結果をその対応
する限界値から離隔させることが可能となる。
また、前記移動手段は、モータ及び送りねじにより滑
動体を摺動させ、該滑動体と固定せずに接面支持されて
いるスライダを上下移動させている。このため、送りね
じの回転により生じる滑動体の回転モーメントはスライ
ダ及びテーブルに伝わることがなく、該テーブルには上
下方向の力のみが働く。従って、テーブルに載置された
被測定物表面と触針との間にズレが生じず、該触針によ
る被測定面への傷の発生を防止することが可能となる。
[実施例] この発明を第1〜4図に示す実施例に従って詳述す
る。しかし、この実施例によって、この発明が限定され
るものではない。
表面粗さ測定装置1は第1図に示すように、基台2に
垂直上方に支柱3が立設されており、支柱3に被測定物
の粗さを測定する検出手段4が支持されている。基台2
の下方には、検出手段4によって検出した検出結果に基
づき被測定物(図示省略)の表面粗さを演算表示する演
算表示手段5が配設されている。又、演算表示手段5の
前面には、表面粗さ測定装置1を操作するための操作パ
ネル6が組込まれていると共に、演算表示手段5の液晶
式の表示パネル7が設けられている。支柱3と検出手段
4との間には、ボールねじ8、駆動モータ9等から構成
されて、検出手段4を上下方向(矢印A方向)にスライ
ドさせてテーブル10上に載置支持される被測定物の被測
定面(図示省略)の高さに合致させるための手段、及び
検出手段4の触針11がテーブル10上に載置支持される被
測定物の被測定面に平行にスライドするように検出手段
4を水平方向(矢印B方向)にスライドさせ得るスライ
ド手段12が設けられている。
検出手段4は、被測定面に接触走査する触針11と、触
針11の接触部位の上下動を電気の量に変換する変換器
(図示省略)と、この変換器からの電気信号を演算表示
手段5に送るためのコネクタ(図示省略)と、筒形状
で、触針11をその接触部位が上下可動に支持するケーシ
ング13等を備えて構成されている。尚、検出手段4は、
触針11の接触部位が上下動し、この上下動に対して前記
変換器が電気の量に変換して表面粗さを検出することに
おいて、検出可能な上方限界及び下方限界を有してい
る。
スライド手段12は、検出手段4を保持するホルダ14
と、ホルダ14のスライドを水平前後方向、つまり矢印B
方向にガイドするスライダ15及びガイド16と、スライダ
15を駆動するボールねじ17及び出力モータ18と、ケーシ
ング19から主に構成されている。
表面粗さ測定装置1は、検出手段4がテーブル10に載
置支持された被測定物の表面粗さを検出している際に、
検出手段4の検出結果が検出可能な上方限界、もしくは
下方限界になる場合には、検出手段4の検出結果が対応
する検出可能な限界から離隔するように、テーブル10を
上下移動させる移動手段20が備えられている。
即ち、検出手段4の検出可能な上方限界、もしくは下
方限界とは、触針11の先端接触部位の高さが上方限界、
もしくは下方限界に位置していることであるから、該触
針11をその限界位置から離隔するように上下移動させて
やれば、検出結果が検出可能範囲を逸脱することがない
のである。
そして、本実施例においては、テーブル10を移動手段
20により上下移動させることによって、該テーブル10上
に載置された被測定物と共に該被測定物に接触追従する
触針11を上下移動させている。
前記移動手段20はその駆動部が第2図に示すように、
基台2とテーブル10との間に介在され、ベース21と、ベ
ース21に立設されたピラー22,23,24と、ピラー22,23,24
によって水平状態に保たれて上下方向、つまり矢印A方
向に案内されてスライドされ得るスライダ25と、スライ
ダ25とピラー22,23,24との間に介在されたクロスローラ
ガイド26と、スライダ25の傾斜した底面27と係合するよ
う上面が傾斜し、水平前後方向(矢印B方向)にスライ
ドされることによってスライダ25に上下方向(矢印A方
向)の移動のための力を与える滑動体28と、滑動体28に
矢印B方向のスライドの駆動力を与える滑動体駆動部で
ある出力モータ29及び送りねじ30とから主に構成されて
いる。
移動手段20の作動に係わる構成は第3図に示すよう
に、検出手段4と、検出手段4の変換器からの信号を受
けて検出手段4の検出結果がゼロレベル、及び検出可能
な上方限界と下方限界であることを検出する信号検査部
31と、信号検査部31を経て来たデータの信号にA/D変換
等のデータ加工をおこなう演算処理部32と、信号検査部
31から検出結果が検出可能な上方限界及び下方限界であ
ることを基づいた制御信号を受けて移動手段20の出力モ
ータ29に駆動及び停止の制御信号を出力すると共に、演
算処理部32にデータ加工の制御信号を出力するシステム
制御部33からなっている。
又、表面粗さ測定装置1は、移動手段20が作動し、テ
ーブル10が検出手段4に対して矢印A方向に移動した際
にその移動した距離に基づいて、移動の前後で検出結果
が連続するように移動後の検出結果を補正する補正手段
(図示省略)が備えられている。補正手段はシステムと
して第3図に示すように、信号検査部31と、システム制
御部33と、移動手段20が作動した際にシステム制御部33
から制御信号を受けて、信号検査部31を経て来たデータ
信号を補正する演算処理部32と、演算処理部32が補正演
算を行う際のデータを記憶しておく記憶部34を備えて構
成されている。
更に、表面粗さ測定装置1は、テーブル10に被測定物
を載置支持して表面粗さを測定した際に、その表面粗さ
の平均軌跡とスライド手段12のスライド方向とが平行で
あるか否かを判断する判断手段(図示省略)、及びこの
判断手段によるスライド方向の判断結果に基づき前記中
心軌跡がスライド手段のスライド方向に平行になるよう
にテーブル10の傾斜姿勢を補正する姿勢補正手段36が設
けられている。前記判断手段は具体的には、主に信号検
査部31から構成されている。姿勢補正手段36はその駆動
部を第2図に示すように、スライダ25の上面に固定され
たマウント部材37と、くさび状であってスライダ25の上
面を矢印B方向にスライドし得る滑動体38と、上面がテ
ーブル10を載置固定し、且つピン40によってマウント部
材37に対して矢印C方向に回転可能に枢支され、更に滑
動体38の斜面と係合してテーブル10の検出姿勢を変え得
る支持部材39と、滑動体38に矢印B方向にスライドする
力を与える駆動モータ41及び送りねじ42から主に構成さ
れている。43及び44はカバーであって、それぞれベース
21及びテーブル10に取付けられている。姿勢補正手段36
はシステムとして第3図に示すように、検出手段4と、
信号検査部31と、演算処理部32と、システム制御部33
と、記憶部34と、駆動モータ41から構成されている。
尚、45は、測定結果を記録するレコーダである。
表面粗さ測定装置1は、上述したように構成されてい
る。以下において、表面粗さ測定装置1の使用を説明す
る。
測定者は、被測定物をテーブル10上に載置してから操
作パネル6を操作して表面粗さ測定装置1の作動をスタ
ートさせる。ここで、まず駆動モータ9が出力し、予め
最高位置にセットしていたスライド手段12は支柱3にそ
って矢印A方向下方にスライドを開始する。このスライ
ド手段12のスライドと共に検出手段4も下方にスライド
するが、検出手段4のそのスライドの際に触針11の先端
接触部位が被測定物に当接すると、検出手段4は被測定
物に当接したことを示すデータ信号を信号検査部31に送
る。信号検査部31は検出手段4からのデータ信号を受け
て、システム制御部33に検出手段4がゼロレベルで位置
するように駆動モータ9を停止させるための制御信号を
出力する。システム制御部33は信号検査部31からの制御
信号を受けて、駆動モータ9に停止指令の制御信号を出
力すると共に、検出手段4に被測定物を所定の距離だけ
走査させるための制御信号を、スライド手段12に出力す
る。駆動モータ9はシステム制御部33からの制御信号を
受けて停止し、検出手段4は被測定物に対してゼロレベ
ルで位置する。他方、スライド手段12はシステム制御部
33からの制御信号を受けて、検出手段4は所定距離だけ
矢印B方向にスライドされる。ここで、検出手段4は被
測定物を所定距離だけ走査し、その走査によって得られ
たデータを信号検査部31を介して演算処理部32に電気信
号によって送る。演算処理部32は検出手段4からのデー
タ信号に基づいて被測定物の被測定面の所定距離におけ
る表面粗さの平均軌跡を算出し、つまり平均軌跡の角度
を算出し、更にその算出した角度をシステム制御部33に
信号で出力する。この角度を示す信号は、実質的に制御
信号となる。システム制御部33は演算処理部32からの信
号を受けて、前記角度が許容範囲外で有れば、つまりス
ライド手段12のスライド方向に対して前記平均軌跡が平
行ではなく角度を有している場合には、その角度が許容
範囲内となるように姿勢補正手段36に作動し、つまり駆
動モータ41に出力のための制御信号を出力する。駆動モ
ータ41はこの出力のための制御信号を受けて、送りねじ
42を回転させることによって滑動体38を矢印B方向にス
ライドさせ、結果的に支持部材39と共にテーブル10を矢
印C方向に回転させて前記平均軌跡をスライド手段12の
スライド方向に平行する。この後、システム制御部33
は、スライド手段12に検出手段4が被測定物を走査する
ための信号を出力する。スライド手段12は、出力モータ
18が出力して検出手段4を矢印B方向にスライドする。
このスライドによって、検出手段4は触針11が被測定物
を走査し、表面粗さのデータを信号検査部31に送る。信
号検査部31に送られたデータは演算処理部32及び記憶部
34に取込まれて演算処理され、測定結果は表示パネル7
に表示されると共にレコーダ45に記録される。
この測定を行なっている際に、検出結果が検出手段4
の検出可能な上方限界の値になると、信号検査部31は検
出手段4からの測定データを検査して上方限界であるこ
とを検知し、検出結果が検出可能な上方限界の値である
旨の信号をシステム制御部33に出力する。システム制御
部33は信号検査部31からこの信号を受けると、スライド
手段12に停止のための信号を出力すると共に、ゼロレベ
ルと上方限界との差だけテーブル10を矢印A方向下方に
スライドさせるように、移動手段20に作動の信号を出力
する。スライド手段12はシステム制御部33からこの信号
を受けて、出力モータ18が停止して検出手段4の走査は
一時停止する。他方、移動手段20はシステム制御部33か
らこの信号を受けて、出力モータ29が送りねじ30を回転
駆動して滑動体28を矢印B方向左方向にスライドさせ
る。このため、該滑動体28の上面と接面するスライダ25
の底面27の位置も前記左方向に移動して、結果的にテー
ブル10を矢印A方向下方にゼロレベルと上方限界との差
だけスライドさせる。そして、検出手段4の触針11の先
端接触部位は、テーブル10上に載置された被測定物に接
触追従するので、該触針11の先端接触部位がゼロレベル
の位置となる。又、この時システム制御部33は補正手段
に検出結果がスライド手段12の一時停止の前後で連続す
るための信号を出力する。つまり演算処理部32及び記憶
部34に上方限界の検出以後に得られる検出結果にテーブ
ル10が移動した距離だけを加えるための制御信号を出力
する。記憶部34はシステム制御部33から上記信号を受け
て、予め記憶しているゼロレベルと上方限界との差の距
離を演算処理部32に送る。演算処理部32はシステム制御
部33から上記信号を受けて、前記上方限界の検出以後に
得られる検出した検出結果に記憶部34からの前記差の距
離を加えるよう演算式を交換する。システム制御部33
は、移動手段20及び補正手段がそれぞれ上述した制御信
号を受けてその作動を終えると、スライド手段12に再び
作動を開始する旨の制御信号を出力する。スライド手段
12はシステム制御部33からこの制御信号を受けて、再び
検出手段4を矢印B方向にスライドする。再び矢印方向
にスライドを開始した検出手段4は、スライドの停止前
の状態に連続するように被測定物の被測定面の粗さを再
び検出し始めるが、その検出はゼロレベルを基準に開始
される。しかし、この検出で得られる検出結果は、補正
手段で補正されることによって、検出手段4が検出した
値にゼロレベルと上方限界の差の値が加わった値が表示
パネル7及びレコーダ45にそれぞれ表示及び記録され
る。つまり、表面粗さ測定装置1は、被測定物の被測定
面の粗さが検出手段4の検出可能な上方限界を越える場
合では、テーブル10を下方向にスライドすることでその
被測定面が検出手段4に対して相対位置を変え、且つ検
出手段4からのデータをそのスライドする量だけ補正す
る演算処理をおこなう構成になっている。従って、被測
定面の粗さが検出手段4の信頼できる検出可能な検出初
期設定における上方限界を越える場合であっても、得ら
れる測定結果は信頼することができる。又、検出手段4
の触針11は被測定面から強く押圧されて触針11の移動許
容範囲を越えることがないから、検出手段4が破損する
ということは生じない。
ここで、前記検出手段4の検出結果が検出可能な上方
限界となった場合に、検出手段4をゼロレベルと上方限
界の差だけ上方に移動させても理論的には触針11の先端
接触部位はゼロレベルに位置することとなる。即ち、検
出手段4の検出可能範囲とは、該検出手段4と被測定面
との相対的な位置関係によって決定するものであり、テ
ーブル10を下方に移動する変りに検出手段4を上方に移
動させても両者の相対位置を変更することは可能であ
る。
また、検出手段4と支柱3との間には、前述したよう
にボールねじ8、駆動モータ9が設けられており、検出
手段4を上下動させる機構が既に備えられている。従っ
て、検出手段4の検出結果が検出可能限界値となった場
合に、該ボールねじ8及び駆動モータ9を利用して検出
手段4を上下動させ、検出手段4と被測定面との相対位
置を調整した方が合理的とも思える。
しかし、本発明においては、前記検出手段4と被測定
面との相対位置の変更を、敢えて前記移動手段20を設け
てテーブル10の上下移動により行なっている。
これは、検出開始後の触針11が被測定面に接触してい
る状態で前記ボールねじ8及び駆動モータ9により検出
手段4を上下移動させると被測定面に多大な悪影響を与
えてしまうからである。
即ち、触針11を有する接触式の検出手段4において最
も留意しなければならない1つとして、被測定面に触針
11との接触による傷をいかに少なくするかという問題が
ある。
しかし、検出手段4の上下移動は、前記駆動モータ9
の駆動力によりボールねじ8を回転させ、該回転力を検
出手段4の上下方向の移動力に直接変換しているため、
該検出手段4の上下移動によって被測定面に多数の傷が
生じてしまう。つまり、検出手段4は、基本的にボール
ねじ8と共に該ボールねじ8を軸に回転しようとする
が、該回転方向に拘束を受けているために上下移動する
ものである。一方、検出手段4は前記回転方向に拘束し
ているとはいっても、該回転方向の力の影響を完全に排
除することはできず、上下移動と共に該回転方向にも微
小な振動を生じてしまう。そして、前記回転方向の微小
な振動も触針11の先端接触部位において最も大きな回転
モーメントとなり、先端接触部位が被測定面上に該回転
方向(触針11の走査方向と略直交方向)の傷を多数つけ
てしまうのである。
これに対し、本発明の移動手段20は、前述したように
出力モータ29及び送りねじ30による駆動力を直接テーブ
ルに伝えるのではなく、別体に形成された滑動体28とス
ライダ25を介して伝えることにより前述した問題を解決
している。
即ち、本発明は出力モータ29により送りねじ30を回転
させ、該回転力により滑動体28をまず一定方向に水平移
動させる。ここで、該滑動体29には送りねじ30の回転方
向の力が加わるために、前述した検出手段4と同様に滑
動体28にも該送りねじ30を軸とした回転方向に微小な振
動が生じる。しかし、本発明は前記滑動体28と別体に形
成したスライダ25によって前述したようにテーブル25を
上下移動させている。即ち、前滑動体28とスライダ25は
固定されておらず、接面しているだけなので、記送りね
じ30の回転モーメントは滑動体28とスライダ25との間で
切断され、該回転モーメントがスライダ25及びテーブル
25に伝わらないのである。
従って、テーブル25が前記回転方向に振動することは
なく、該テーブル25の上下移動中に触針11の先端接触部
位が被測定面に傷を付けることを防止することが可能と
なる。
尚、表面粗さ測定装置1の上述した作動は検出手段4
の検出結果が検出可能な上方限界の値になる場合である
が、検出結果が検出可能な下方限界の値になる場合には
移動手段20が作動してテーブル10を上方に移動させるこ
とで被測定面を検出手段4のゼロレベルの位置にスライ
ドし、且つスライド後に得られる測定値は補正手段の作
動によって検出手段4の検出結果からそのスライドした
量だけを引いた値となって表示及び記録される。
又、第4図に、表面粗さ測定装置1の作動を示すフロ
ーチャートを図示する。
この実施例においては、移動手段20及び補正手段は検
出手段4の検出結果が検出可能な上方限界の値及び下方
限界の値になる場合に作動する。しかし、検出手段4の
検出可能な上方限界近傍の値、及び下方限界近傍の値に
なる場合、つまり例えばそれぞれ上方限界の90%の値及
び下方限界の90%の値になる場合に、移動手段20及び補
正手段が作動するようにした構成であってもよい。この
場合、記憶部に記憶される補正のための値は移動手段20
のその場合の移動距離の値となる。
表面粗さ測定装置1は、姿勢補正手段36が作動してい
る際に検出手段4の触針11が検出手段4の検出可能な限
界の値になった場合においても、移動手段20を作動させ
て検出手段4が新たなゼロレベルをとるように構成して
もよい。
[発明の効果] この発明によれば、測定すべき被測定面の表面粗さが
検出手段の検出可能な限界を越える場合であっても被測
定物を載置したテーブルを上下移動することにより正確
な測定が可能で、しかも得られる測定結果が連続してお
り、又被測定面から押圧されて検出手段が破損するとい
うことが生じないという効果が得られている。
又、前記テーブルの上下移動中における触針による被
測定面への傷の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す斜視図、第2図は第
1図のI−I断面図、第3図はこの実施例の構成を示す
構成説明図、第4図はこの実施例の作動を示すフローチ
ャートである。 1;表面粗さ測定装置、 2;基台、3;支柱、 4;検出手段、5;演算表示手段、 6;操作パネル、7;表示パネル、 10;テーブル、12;スライド手段、 20;移動手段、36;姿勢補正手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−261916(JP,A) 実開 昭63−159715(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基台と、該基台に立設された支柱と、該基
    台に配設されて被測定物を載置支持するテーブルと、該
    支柱に支持され、且つ被測定物の表面に接触する触針を
    有して表面粗さを検出し、更にその検出において検出可
    能な上方限界及び下方限界を有する検出手段と、該検出
    手段の触針とテーブルとを相対的に平行にスライドさせ
    得るスライド手段と、検出手段の検出結果に基づき被測
    定物の表面粗さを演算表示する演算表示手段と、を有す
    る表面粗さ測定装置において、 前記検出手段が被測定物の表面粗さを検出している際
    に、その検出結果が検出手段の検出可能な上方限界又は
    その近傍の値、もしくは下方限界又その近傍の値になる
    場合には、検出手段の検出結果がその対応する検出可能
    な限界から離隔するように前記被測定物が載置されたテ
    ーブルを自動的に上下移動させる移動手段と、 前記移動手段の作動によって移動される距離に基づい
    て、移動手段の作動前後のそれぞれの検出結果の少なく
    とも一つを補正する信号を上記演算表示手段に出力する
    ための補正手段と、を備え、 更に前記移動手段が、基台上を一定方向に摺動し、上面
    に該摺動方向の傾斜を有する滑動体と、 該滑動体が連結され、前記検出手段の検出結果に応じて
    滑動体を摺動させるモータ及び送りねじからなる滑動体
    駆動部と、 上面が前記テーブルを支持し、下面が前記滑動体の上面
    に係合する傾斜を有するスライダと、 前記基台に立設して該スライダを上下動可能に支持し、
    該上下動方向のガイド部を有するピラーと、を備えたこ
    とを特徴とする表面粗さ測定装置。
  2. 【請求項2】テーブルに被測定物を載置支持して表面粗
    さを測定した際に、その表面粗さの平均軌跡とスライド
    手段のスライド方向とが平行であるか否かを判断する判
    断手段と、 前記判断手段の判断結果に基づき前記平均軌跡がスライ
    ド手段のスライド方向に平行になるようにテーブルの傾
    斜姿勢を補正する姿勢補正手段と、を備えたことを特徴
    とする請求の範囲第1項に記載の表面粗さ測定装置。
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