JP2607452Y2 - カムシャフトミラーの位相位置決め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案はカムシャフトのような
ワークの位相位置決めを行うカムシャフトミラーの位相
位置決め装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来内燃機関などで使用するカムシャフ
トは、カムシャフトミラーにより切削加工しているが、
加工するに当ってワークの位相位置決めをする必要があ
る。このため従来のカムシャフトミラーには、図１に示
すようにチャックａに位相位置決めピンｂが設けられて
いて、チャックａのセンタｃ間にワークｄの両端を支持
させた状態でワークｄの回転を止め、チャックａ側を回
転させて位相位置決めピンｂの先端をワークｄに穿設し
たピン孔ｅに嵌挿することにより、ワークｄの位相位置
決めを行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし従来の位相位置
決めピンｂはチャックａに固定されている上、ピン孔ｅ
に嵌挿しやすいように断面が剛性の低いダイヤ形状に形
成されているため、ワークｄに穿設されたピン孔ｅの位
置にバラツキがあると、位相位置決め後ワークｄの両端
をチャックａで把持した際位相位置決めピンｂに曲げ荷
重が作用して位置決めピンｂが曲ったり、折損するなど
の不具合があった。この考案はかかる不具合を改善する
ためになされたもので、ワークのピン孔位置にバラツキ
があっても位相位置決めピンが折損することのないカム
シャフトミラーの位相位置決め装置を提供することを目
的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するために、加工すべきワークの両端をチャックのセ
ンタで支持した状態でチャックとワークを相対回転さ
せ、チャックに設けた位相位置決めピンをワークのピン
孔に嵌挿することにより、ワークの位相位置決めを行う
カムシャフトミラーの位相位置決め装置において、上記
チャックの少なくとも一方に、該チャックの半径方向に
細長い長方形状の基板を、チャックの半径方向へ移動自
在に支承し、かつこの基板の一端側のセンタ近傍に、上
記位相位置決めピンのピン部を突設することにより、上
記ピン部をセンタを基準にチャックの半径方向に移動自
在となすと共に、上記基板の他端側に、ピンの半径方向
の移動を規制するストッパを設けたものである。

【０００５】

【作 用】上記構成によりワークのピン孔の位置がバ
ラツキがあっても、位相位置決めピンが半径方向に移動
してこれを吸収するため、位相位置決め後ワークを把持
しても、位相位置決めピンに曲げ荷重が加わることがな
い。また位相位置決めピンを半径方向へ移動できるよう
にしたことにより、ピン部の断面形状を従来のダイヤ形
状から円形状にできるため、ピンの剛性を高めることが
できる。

【０００６】

【実 施 例】この考案の一実施例を図面を参照して詳
述する。図２は図示しないカムシャフトミラーの主軸に
取付けられたチャックの断面図、図３は図２のＺ方向か
らの矢視図、図４は図３のＡ−Ａ線に沿う断面図、図５
は作用説明図である。

【０００７】これら図において１はチャックで、中心部
にワーク２の両端部に形成されたセンタ孔２ｂに嵌入す
るセンタ３と、ワーク２の両端を把持する図示しない爪
体が設けられていると共に、一方のチャック１の前面に
は、半径方向に凹溝１ａが形成されていて、この凹溝１
ａに半径方向に摺動自在に位相位置決めピン４の基板部
４ａが嵌入されている。上記位相位置決めピン４は長方
形状の基板４ａを有していて、この基板４ａの一端側前
面に断面が円形状のピン部４ｂが突設されていると共
に、他端側には表裏面に貫通するピン孔４ｃが穿設され
ている。

【０００８】そして上記ピン孔４ｃにチャック１の凹溝
１ａ内に植設されたストッパ５の先端が緩く嵌挿され
て、位相位置決めピン４の半径方向の移動範囲が規定さ
れている。またチャック１の前面には、凹溝１ａ内より
位相位置決めピン４が抜け出すのを阻止する押え板６が
固着具７により取付けられていると共に、ワーク２の一
端側端面に上記位相位置決めピン４のピン部４ｂが嵌入
するピン孔２ａが穿設されている。

【０００９】次に作用を説明すると、カムシャフトミラ
ーにより加工すべきワーク２が各チャック１の間に搬入
されて両端がセンタ３により支持される。そしてワーク
２の回転が固定された状態でチャック１が回転され、チ
ャック１側に設けられた位相位置決めピン４のピン部４
ｂとワーク２のピン孔２ａが一致したところで、ピン部
４ｂがピン孔２ａに嵌挿されて、ワーク２の位相位置決
めが行われる。位相位置決めピン４は図５に示すように
チャック１の半径方向に移動自在となっているので、ワ
ーク２のピン孔２ａの位置にバラツキがあっても、ピン
孔２ａに確実にピン部４ｂを挿入することができると共
に、位相位置決め後ワーク２の両端をチャック１の爪体
により把持しても、ピン孔２ａのバラツキに追従して位
相位置決めピン４が移動するため、ピン部４ｂに曲げ荷
重が加わることもない。

【００１０】

【考案の効果】この考案は以上詳述したように、中心部
にワークの両端を支持するセンタを有するチャックの少
なくとも一方に、チャックの半径方向に細長い長方形状
の基板をチャックの半径方向へ移動自在に支承し、かつ
この基板の一端側のセンタ近傍に、位相位置決めを行う
ピン部を突設して、このピン部をセンタを基準にチャッ
クの半径方向へ移動自在となすと共に、上記基板の他端
側に、ピンの半径方向の移動を規制するストッパを設け
たことから、カムシャフトのように端面の面積が小さ
く、かつワークの両端をセンタで支持するチャックであ
っても、センタに近接した狭いスペースにピン部を容易
に設けることができる。またセンタを基準に位相位置決
めピンのピン部がチャックの半径方向へ移動するため、
センタにより両端が支持されたワークのピン孔に、チャ
ックの半径方向にバラツキがあっても、ピン部をピン孔
に容易かつ確実に嵌挿することができ、これによって位
相割出し時間を短縮することができるため、生産性も向
上すると共に、また基板の他端側にピンの半径方向の移
動を規制するストッパを設けたことにより、ワーク端面
に穿設されたピン孔に対して位相位置決めピンの位置が
大きくずれることがなく、これによって位相位置決めピ
ンの先端がワークの端面に当接して、ピン孔へ挿入でき
なくなるなどの不具合も生じない。さらに位相位置決め
後ワークの両端をチャックで把持する際、ワークのピン
孔の位置のバラツキに追従して位相位置決めピンが移動
する上、ピン部の断面形状を従来のダイヤ形状より剛性
の高い円形状としたことから、ワークのクランプ時位相
位置決めピンに曲げ荷重が作用したり、位相位置決めピ
ンが折損するなどの不具合を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の位相位置決めピンを示す説明図である。

【図２】この考案の一実施例になるカムシャフトミラー
の位相位置決め装置を示す断面図である。

【図３】図２のＺ方向からの矢視図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図５】この考案の一実施例になる位相位置決め装置の
作用説明図である。

【符号の説明】

１…チャック、２…ワーク、２ａ…ピン孔、３…セン
タ、４…位相位置決めピン。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 加工すべきワーク２の両端をチャック１
   のセンタ３で支持した状態でチャック１とワーク２を相
   対回転させ、チャック１に設けた位相位置決めピン４を
   ワーク２のピン孔２ａに嵌挿することにより、ワーク２
   の位相位置決めを行うカムシャフトミラーの位相位置決
   め装置において、上記チャック１の少なくとも一方に、
   該チャック１の半径方向に細長い長方形状の基板４ａ
   を、チャック１の半径方向へ移動自在に支承し、かつこ
   の基板４ａの一端側のセンタ３近傍に上記位相位置決め
   ピン４のピン部４ｂを突設することにより、上記ピン部
   ４ｂをセンタ３を基準にチャック１の半径方向に移動自
   在となすと共に、上記基板４ａの他端側に、ピン４の半
   径方向の移動を規制するストッパ５を設けてなるカムシ
   ャフトミラーの位相位置決め装置。
2. 【請求項２】 位相位置決めピン４のピン部４ｂの断面
   形状を円形としてなる請求項１記載の位相位置決め装
   置。