JP2607218B2 - タフティング機のパイル糸打込装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、敷物等の基布にパイ
ル糸を打ち込むためのタフティング機におけるパイル糸
打込装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のタフティング機においては、パイ
ル糸を打ち込むべき基布の幅に応じて、必要幅以外の糸
を針からすべて抜き取り、所定の場所に束ねて作業を進
めるようにし、幅変更に際しては、針に一本づつパイル
糸を通したり又は抜いたりして必要な幅が得られるよう
にしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したような従来方
法によるときは、幅変更に当たって、針にパイル糸を一
本づつ通したり、又は針からパイル糸を一本づつ抜いた
りする作業が必要であり、その間パイルの打ち込み作業
は中断せざるを得ず、また幅変更の作業自体煩わしいも
のであるので、この発明はこの点の改善を図ろうとする
ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、タ
フティング機の上部機械室の上部側面に突設された枠体
に糸給糸部からのヤーンガイドを経由して導かれるパイ
ル糸を打込み輻に応じて給糸幅を調節するクラッチ付き
フィードロール群を支持し、一方、前記上部機械室の下
方には、個別に上下動可能に多数の単位体を前記タフテ
ィング機の幅方向に列設し、これら単位体はそれぞれ、
前記パイル糸を通される多数の針を装着された針保持体
を含む針取付部材と、これら針取付部材をエアシリンダ
により上下に作動するロッドと、前記針取付部材を上昇
位置でロックするロック手段を具え、もってパイル糸打
込幅に応じて所要単位体以外の単位体を、これら単位体
の前記針にパイル糸が通されたまま前記エアシリンダの
作動により上昇させて、前記ロック手段で不作動位置に
ロックした際に、前記フィードロール群のクラッチを外
すことで、この不作動位置の単位体へのパイル糸の更な
る供給を停止し、幅寸法の変更により、パイル糸の打込
幅を広くするに当たっては、拡げる部分の単位体のロッ
クを外しかつ前記フィードロール群の幅を拡げる部分を
作動させるようにしたことを特徴とするタフテイング機
のパイル糸打込装置を提案するものである。

【０００５】

【作用】上記構成において、パイル糸を打ち込むべき基
布の幅に応じて不必要な単位体を針からパイル糸を抜く
ことなく不作動位置例えば上方へ移動し、併せて不作動
位置の単位体に供給されるパイル糸の供給を停止するこ
とにより、所定の幅部分のみでパイルの打ち込みを行な
うものである。

【０００６】

【実施例】次にこの発明を添付図面に示す実施例につい
て詳細に説明する。先ず図１において、１は上部機械室
を示し、その上部側面に突設された枠体２には、図示し
ない糸給糸部からヤーンガイド３を経由して導かれるパ
イル糸４を案内するクラッチ付きフイードロール群５が
支承されている。

【０００７】前記フイードロール群５から導出されたパ
イル糸４は適宜数のヤーンガイド６，７，８を経て針取
付部材９のニードルバーすなわち針保持体１０に取り付
けた針１１に通される。

【０００８】前記上部機械室１から下方へ突設したプッ
シュロッド１２には平行してエアシリンダ１３を取り付
け、このエアシリンダ１３の下方に全幅に亘る門形の案
内枠構１４が形成される。この案内枠構を形成する枠体
１５及びそれに相対する枠体１６にはそれぞれガイド溝
１７，１８が形成されており、前記保持体１０と一体的
に形成した前記針取付部材９をロックピン１９が貫通す
る。

【０００９】前記ロックピン１９の一端部には膨隆頭部
２０が形成され、他端部に形成したねじ部２１にはロッ
クハンドル２２がねじ込まれている。この際、このロッ
クハンドル２２の操作によって、前記針取付部材９を前
枠体１５，１６間に挟持してロックすることを可能とす
べく、枠体１６はその基端部をピン２３によって揺動可
能に枢支するものとする。なお前記針取付部材９は、前
記エアシリンダ１３内のピストンの往復動にともないロ
ッド２４を介して上下に変位するのである。

【００１０】前記保持体１０には簡略のために唯一の針
１１が図示されているが、実際上、前記保持体１０には
多数の針が装着されており、前記針取付部材９からロッ
ド２４までの各部分によって一つの単位体２５を構成す
るのである。

【００１１】上記した構成を概念的に示すと、図２に示
すようになる。すなわち、装置の幅方向に延長している
上部機械室１には、前記フイードロール群を支承する枠
体２が突設され、前記上部機械室１の下方には、前記構
成からなる単位体２５が列設されており、多数の針１１
が装着されているこれら単位体２５は、個別に作動状態
と不作動状態を占めることができるのである。

【００１２】図３はタフティング機の作動によつてパイ
ル糸が打ち込まれる作動状態を示しており、これに対し
て図４は不作動状態を示す。この場合は一旦ロックハン
ドル２２を弛めて針取付部材９をガイド溝１７，１８に
沿って上方へ移動させておいて、再度ロックハンドル２
２を締め込んで針取付部材９をその位置に固定するので
ある。その結果、前記プッシュロッド１２を駆動して単
位体２５を上下動させても、針１１は基布２６に届か
ず、したがってパイルは打ち込まれないのである。

【００１３】すなわち、基布２６の幅寸法に応じてパイ
ル糸の打ち込みを行なう場所の分割された単位体２５に
よって、図１に示すようにベッド２７上の前記基布２６
にパイル糸の打ち込みを行なうのであるが、基布２６の
幅寸法において打ち込みを行なわない場所の、分割され
た個々の単位体２５に対応する前記フイードロール群５
のクラッチを外して、ロールをフリーにしておき、かつ
前記したように、針１１を支承する針取付部材９を引上
げてロックした状態にすれば、機械を駆動してプッシュ
ロッド１２が上下動しても、基布２６に対するパイル糸
の打ち込みは行なわれないのである。

【００１４】また幅寸法の変更により、パイル糸の打込
幅を広くする必要が生じた場合は、拡げる部分の単位体
２５のロックを外し、かつ前記フイードロール群５のク
ラッチをＯＮにして機械を作動させれば、幅を広くした
寸法でのパイル糸の打ち込みが可能となるのである。

【００１５】

【発明の効果】この発明の上述の構成からなる装置によ
れば、従来、打込幅の変更に伴う、糸通し、糸抜きの作
業が不要となり、寸法変更時のロスタイムを大幅に短縮
することが可能となるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を実施すべきタフティング機の要部側
面図である。

【図２】この発明の装置の構成を概念的に示す図であ
る。

【図３】この発明の装置の単位体が作動状態にある場合
の拡大図である。

【図４】図３に示す単位体が不作動状態にある場合の拡
大図である。

【符号の説明】

９ 針取付部材 １０ 針保持体 ２５ 単位体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タフティング機の上部機械室の上部側面
   に突設された枠体に、糸給糸部からのヤーンガイドを経
   由して導かれるパイル糸を打込み幅に応じて給糸幅を調
   節するクラッチ付きフイードロール群を支持し、一方、
   前記上部機械室の下方には、個別に上下動可能に多数の
   単位体を前記タフティング機の幅方向に列設し、これら
   単位体はそれぞれ、前記パイル糸を通される多数の針を
   装着された針保持体を含む針取付部材と、これら針取付
   部材をエアシリンダにより上下に作動するロッドと、前
   記針取付部材を上昇位置でロックするロック手段とを具
   え、もってパイル糸打込幅に応じて所要単位体以外の単
   位体を、これら単位体の前記針にパイル糸が通されたま
   ま前記エアシリンダの作動により上昇させて、前記ロッ
   ク手段で不作動位置にロックした際に、前記フィードロ
   ール群のクラッチを外すことで、この不作動位置の単位
   体へのパイル糸の更なる供給を停止し、幅寸法の変更に
   より、パイル糸の打込幅を広くするに当たっては、拡げ
   る部分の単位体のロックを外しかつ前記フィードロール
   群の幅を拡げる部分を作動させるようにしたことを特徴
   とするタフティング機のパイル糸打込装置。