JP2606495Y2 - フーリエ変換分光光度計における信号処理回路 - Google Patents

フーリエ変換分光光度計における信号処理回路

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JP2606495Y2
JP2606495Y2 JP1993049576U JP4957693U JP2606495Y2 JP 2606495 Y2 JP2606495 Y2 JP 2606495Y2 JP 1993049576 U JP1993049576 U JP 1993049576U JP 4957693 U JP4957693 U JP 4957693U JP 2606495 Y2 JP2606495 Y2 JP 2606495Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、各種の物質の赤外吸
収スペクトル分析などに利用されているフーリエ変換分
光光度計に関し、特に、フーリエ変換分光器の検出器か
ら出力されるアナログのインターフェログラム信号をA
/D変換器でディジタル信号に変換する信号処理回路の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】フーリエ変換分光光度計の概略的な装置
構成を図4に示している。よく知られているように、光
源1からの光が前置試料室2を通り干渉計3に入射さ
れ、ここで入射光は変調を受け、インターフェログラム
として出力される。干渉計3からの出射光は後置試料室
4に入り、試料を透過または反射した光が検出器5に受
光されて電気信号に変換される。検出器5から出力され
るアナログのインターフェログラム信号は後述のように
増幅されてA/D変換器6でディジタル信号に変換さ
れ、データ処理用のコンピュータ7に取り込まれる。ま
た、干渉計3における移動鏡駆動機構8はコンピュータ
7の指令により動作する制御部9で駆動・制御され、コ
ンピュータ7は移動鏡の駆動による走査と同期してディ
ジタル・インターフェログラム信号のサンプリングと処
理を行う。
【0003】そして、干渉計3の移動鏡駆動機構8を動
作させて光路差を−Lから+Lまで走査して測定を行
う。このときのインターフェログラム信号は、一般に図
5(A)のように、光路差がゼロとなる原点(センター
バースト)を中心としたバースト波形になる。このバー
スト波形のインターフェログラム信号のダイナミックレ
ンジは相当大きいので、この信号をA/D変換器6に入
力する系に図6に示す以下のようなゲイン切り換え手段
を設け、測定精度およびSN比の向上とA/D変換器の
ローコスト化を図っている。
【0004】すなわち、図6に示すように、メインアン
プ10からのインターフェログラム信号をそのままA/
D変換器6に入力するか、サブアンプ11でさらに増幅
して入力するのかをスイッチ12で切り換えるように構
成する。そしてスイッチ12の切り換え制御はコンピュ
ータ7が次のように行う。
【0005】つまり光路差−Lから走査を開始するとき
には、スイッチ12をb側に切り換えて、サブアンプ1
1を経由した増幅ゲインの大きなインターフェログラム
信号をA/D変換器6に入力する。そして、光路差が予
め設定した基準値−mに達した時点でスイッチ12をa
側に切り換えて、サブアンプ11を経由しない増幅ゲイ
ンの小さなインターフェログラム信号をA/D変換器6
に入力する。また、光路差が原点を通過して基準値+m
に達するとスイッチ12を再びb側に切り換えて、増幅
ゲインの大きなインターフェログラム信号をA/D変換
器6に入力する。このスイッチ12の切り換え制御とイ
ンターフェログラム信号との関係を図5(B)に示して
いる。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】前述のように従来にお
いては、インターフェログラム信号のセンターバースト
を生じる付近の光路差−mから+mの範囲を走査すると
きにA/D変換器6の入力段の増幅ゲインを小さくし、
その範囲外は増幅ゲインを大きくしている。
【0007】この場合、増幅ゲインを大きくする走査範
囲−L〜−mおよび+m〜+LにおいてA/D変換器6
の入力が飽和しないように、ゲイン切り換え点−mおよ
び+mを設定しなければならない。当然ながら、インタ
ーフェログラム信号のバースト波形は各種試料によって
さまざまに異なるわけであるが、それらに対して前記飽
和が生じないようにするために、増幅ゲインを小さくす
る走査範囲−m〜+mを広めに設定しなければならな
い。
【0008】増幅ゲインを小さくする走査範囲−m〜+
mを余裕をもって広めに設定するということは、個々の
測定時には、増幅ゲインが大きくてもA/D変換器6が
飽和しないのにも拘らずゲインが小さくなっている、と
いう状態をたびたび発生することになる。このように、
必要のない状態で増幅ゲインを小さくしてしまうこと
は、A/D変換器6の入力レンジを充分に活用している
ことにならず、測定精度およびSN比の向上の面で不利
である。
【0009】本考案は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、A/D変換器の入力
段のインターフェログラム信号の増幅ゲインを小さくす
る期間を必要最小限になるようにし、その結果測定精度
およびSN比がより向上するようにしたフーリエ変換分
光光度計における信号処理回路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本考案に係る信号処理回路では、フーリエ変換
分光器の検出器から出力されるアナログのインターフェ
ログラム信号をA/D変換器でディジタル信号に変換す
る信号処理系において、前記A/D変換器に入力される
インターフェログラム信号の増幅ゲインを切り換える入
力段のゲイン切り換え手段と、前記インターフェログラ
ム信号レベルと基準レベルとを比較するレベル弁別手段
と、このレベル弁別手段の弁別結果に応動して前記ゲイ
ン切り換え手段を制御し、前記インターフェログラム信
号のレベルが大きいときには前記増幅ゲインを小さくす
る制御手段とを設けた。そして、前記制御手段は、前記
インターフェログラム信号のレベルが基準レベルを超え
たことが検出された場合にすぐに前記増幅ゲインを大か
ら小に切り換えるとともに、その後前記インターフェロ
グラム信号のレベルが基準レベルを超えることが検出さ
れなくなってから適宜期間遅れて前記増幅ゲインを小か
ら大に復帰させるように構成した。
【0011】
【作用】予め定めた特定の走査範囲で増幅ゲインを低下
させるのではない。実測定時においてインターフェログ
ラム信号のレベルを前記レベル弁別手段で監視し、その
信号レベルが増大して前記A/D変換器の飽和レベルに
達する直前レベルになった場合に前記ゲイン切り換え手
段を動作させて増幅ゲインを小さくする。それ以外の場
合は増幅ゲインを大きく保つ。
【0012】
【実施例】以下、本考案に係るフーリエ変換分光光度計
における信号処理回路について添付図面を参照にして詳
述する。図1は本考案の一実施例による信号処理回路を
示しており、同図中メインアンプ10、サブアンプ1
1、スイッチ12、A/D変換器6、コンピュータ7の
関係は図6の従来回路と同じである。
【0013】ここで本考案の回路では、メインアンプ1
0からのインターフェログラム信号Xがウインド・コン
パレータ13にも入力される。このウインド・コンパレ
ータ13にはレベル弁別の基準レベルとして+eおよび
−eが設定入力されており、インターフェログラム信号
Xのレベルが小さくて基準レベル+eと−eの範囲に収
まっている場合はウインド・コンパレータ13のオープ
ンコレクタ型の出力トランジスタTrがオフし、インタ
ーフェログラム信号Xのレベルが前記範囲+e〜−eの
上または下に外れるとトランジスタTrがオンする。
【0014】なお、本例でウインド・コンパレータ13
を用い、正負の両側に基準レベルを用いたのは、インタ
ーフェログラム信号Xの脈動波形が、測定試料の種類等
によっては負側に大きな値(絶対値)となることがある
ため、係る負側でも増幅ゲインを適宜設定して測定精度
の向上を図るためである。
【0015】トランジスタTrのコレクタは抵抗14a
を介して電源に接続されているとともに、コンデンサ1
4bを介して接地されている。この抵抗14aとコンデ
ンサ14bは立上り遅延回路14を構成しており、この
遅延回路14を介して取り出されるウインド・コンパレ
ータ13の出力Yがラッチ回路15の入力となる。
【0016】また、図4における移動鏡駆動機構8によ
り干渉計3の光路差を微小な単位量だけ変化させる毎に
生じる走査同期信号CKが、前記ラッチ回路15のラッ
チ信号となる。
【0017】そして、ラッチ回路15の出力信号QがA
/D変換器6に入力されるインターフェログラム信号の
増幅ゲインを切り換えるスイッチ12の切り換え制御信
号となるとともに、コンピュータ7に対して状態通知信
号となる。
【0018】以上の構成において、干渉計3において光
路長−Lから走査が開始される場合、原点から大きく外
れたスタート点−Lでのインターフェログラム信号Xの
レベルはほぼゼロなので、図2に示すように、ウインド
・コンパレータ13の出力トランジスタTrはオフして
おり、遅延回路14を経た比較信号Yは高レベル“1”
であり、従ってラッチ回路15の出力信号Qも“1”で
あり、このときスイッチ12はb側に切り換えられてい
る。つまり、走査開始時にはサブアンプ11を経た増幅
ゲインの大きなインターフェログラム信号がA/D変換
器6に入力される。
【0019】走査が進んで光路差が原点に近づくとイン
ターフェログラム信号Xにセンターバーストが現れてそ
のレベルが増大する。インターフェログラム信号Xのレ
ベルが+e〜−eの範囲から外れるとウインド・コンパ
レータ13のトランジスタTrがオンし、このとき比較
信号Yはすぐに低レベル“0”に反転する。この“0”
信号が直後の走査同期信号CKの立上りタイミングでラ
ッチ回路15に読み込まれ、ラッチ回路15の出力信号
Qが“0”となる。するとスイッチ12がa側に切り換
わり、サブアンプ11を経由しない増幅ゲインの小さな
インターフェログラム信号がA/D変換器6に入力され
る。
【0020】走査がさらに進んで原点を通過するとイン
ターフェログラム信号Xのレベルが減少し始める。イン
ターフェログラム信号Xのレベルが+e〜−eの範囲内
に入るとウインド・コンパレータ13のトランジスタT
rがオフになるが、遅延回路14があるのでラッチ回路
15に入力される比較信号Yのレベルはゆっくりと増加
し、トランジスタTrがオフしてから一定時間Td経過
しないとラッチ回路15の入力は“1”にはならない。
【0021】つまり、ウインド・コンパレータ13のト
ランジスタTrがオフである状態が一定時間Td(同期
信号CKの数周期分)以上継続すると、その後の走査同
期信号CKに同期してラッチ回路15の出力信号Qが
“1”に反転し、そのときスイッチ12がb側に切り換
わって、A/D変換器6に入力されるインターフェログ
ラム信号の増幅ゲインが再び大きくなる。
【0022】この様に、本例では遅延回路14を設けて
上記のように増幅ゲインが小から大になるタイミングを
遅らせたのは、例えば、インターフェログラム信号Xの
レベルが、センターバースト付近等で正負両側の基準レ
ベル+e,−eを交互に越えていたり、一方の基準レベ
ルを境に信号Xのレベルが高くなったり低くなったりし
ているような場合には、スイッチ12の切換が頻繁に行
われチャタリングを起こすおそれがあり、さらに、切換
タイミングがずれて飽和するおそれがあるためである。
よって、係る遅延回路14は必ずしも設ける必要はな
い。
【0023】以上の実施例ではスイッチ12の切り換え
制御をウインド・コンパレータ13と遅延回路14およ
びラッチ回路15からなる専用のハードウェアで行って
いるが、遅延回路14による遅延作用や、ラッチ回路1
5によるスイッチ12の切り換え制御信号の生成作用は
コンピュータ7によりソフトウェアで簡単に行うことが
できる。その場合の回路構成を図6に示している。ここ
ではウインド・コンパレータ13の比較信号がコンピュ
ータ7に入力されるとともに、走査同期信号CKもコン
ピュータ7に入力され、これらの入力に基づいてソフト
ウェア処理によりスイッチ12の切り換え制御信号をコ
ンピュータ7が生成する。
【0024】なお、上記した各実施例では、いずれも増
幅ゲインの切換は2段としたが、3段以上としてもよ
い。
【0025】
【考案の効果】以上のように、本考案に係るフーリエ変
換分光光度計における信号処理回路では、実測定時にお
いてインターフェログラム信号のレベルを前記レベル弁
別手段で監視し、その信号レベルが増大して前記A/D
変換器の飽和レベルに達する直前レベルになった場合に
前記ゲイン切り換え手段を動作させて増幅ゲインを小さ
くし、それ以外の場合は増幅ゲインを大きく保つので、
個々の測定信号(インターフェログラム信号)に合せ
て、本当に必要な期間のみ増幅ゲインが小さくなり、従
ってA/D変換器の限られた入力レンジを個々の測定で
常に有効に活用することができ、総合的に測定精度およ
びSN比を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の第1実施例による信号処理回路の構
成図である。
【図2】同上実施例における主要部の動作を示すタイミ
ングチャートである。
【図3】この考案の第2実施例による信号処理回路の構
成図である。
【図4】この考案の対象であるフーリエ変換分光光度計
の概略的な装置構成図である。
【図5】一般的なインターフェログラム信号のバースト
波形(A)および従来のゲイン切り換え方式のタイミン
グチャート(B)である。
【図6】従来の信号処理回路の構成図である。
【符号の説明】
5 検出器 6 A/D変換器 7 コンピュータ 10 メインアンプ 11 サブアンプ 12 スイッチ 13 ウインド・コンパレータ 14 遅延回路 15 ラッチ回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−201540(JP,A) 特開 昭60−133324(JP,A) 特開 昭61−110004(JP,A) 特開 平1−272941(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01J 3/00 - 3/52 G01N 21/00 - 21/61

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フーリエ変換分光器の検出器から出力さ
    れるアナログのインターフェログラム信号をA/D変換
    器でディジタル信号に変換する信号処理系において、 前記A/D変換器に入力されるインターフェログラム信
    号の増幅ゲインを切り換える入力段のゲイン切り換え手
    段と、 前記インターフェログラム信号レベルと基準レベルとを
    比較するレベル弁別手段と、 このレベル弁別手段の弁別結果に応動して前記ゲイン切
    り換え手段を制御し、前記インターフェログラム信号の
    レベルが大きいときには前記増幅ゲインを小さくする制
    御手段とを備え、 前記制御手段は、前記インターフェログラム信号のレベ
    ルが基準レベルを超えたことが検出された場合にすぐに
    前記増幅ゲインを大から小に切り換えるとともに、その
    後前記インターフェログラム信号のレベルが基準レベル
    を超えることが検出されなくなってから適宜期間遅れて
    前記増幅ゲインを小から大に復帰させるように構成され
    ている ことを特徴とするフーリエ変換分光光度計におけ
    る信号処理回路。
JP1993049576U 1993-08-20 1993-08-20 フーリエ変換分光光度計における信号処理回路 Expired - Lifetime JP2606495Y2 (ja)

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