JP2605792Y2 - サーマルリレーの動作点調節装置 - Google Patents

サーマルリレーの動作点調節装置

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JP2605792Y2
JP2605792Y2 JP1992015790U JP1579092U JP2605792Y2 JP 2605792 Y2 JP2605792 Y2 JP 2605792Y2 JP 1992015790 U JP1992015790 U JP 1992015790U JP 1579092 U JP1579092 U JP 1579092U JP 2605792 Y2 JP2605792 Y2 JP 2605792Y2
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rotation
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勝 大室
潤次郎 辻
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Matsushita Electric Works Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、通電量に応じた熱動素
子の変位に応動して接点装置を駆動するようにしたサー
マルリレーの動作点調節装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のサーマルリレーで
は、バイメタル等を備えた熱動素子の変位を接点装置に
伝達するためにトリップ装置が設けられている。トリッ
プ装置は、反転板が所定量押圧されたときに接点装置の
開閉状態を反転させる反転機構部と、熱動素子と反転板
との間に介在して、熱動素子の変位量と反転板の押圧量
との対応関係を調節することにより、接点装置を反転さ
せるのに要する熱動素子の変位量を調節する動作点調節
装置とを備える。
【0003】動作点調節装置は、中間部が器体に対して
揺動自在に枢支された回動レバーと、回動レバーと同じ
方向に揺動自在であって揺動範囲を規制された形で中間
部が回動レバーの一端部に枢支された作動板と、回動レ
バーの他端部にカム面を当接して回動レバーの回動範囲
を規制する動作点調節用のカム体と、このカム体を固定
して器体表面から回動自在に設けられた調節ダイヤルと
からなる。熱動素子の変位は連動板を介して作動板の一
端部に伝達され、反転機構部の反転板は作動板の他端部
によって押圧される。したがって、作動板による反転板
の押し込み量は、作動板の回動レバーに対する回動量
と、回動レバーの器体に対する回動量との合計に対応す
ることになるのであって、動作点調節用のカム体によっ
て回動レバーの回動範囲を調節すれば、接点装置の開閉
状態が反転するのに要する熱動素子の変位量が調節され
ることになる。
【0004】また調節ダイヤル表面には器体側に示した
基準位置を示すマークに合致させたときにカム体のカム
面の有効範囲の中心位置のカム面が回動レバーの他端部
に当接する位置にあることを示す△のマークが記されて
いた。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】ところで完成した製品
では特性にばらつきがあるため、通常は、反転機構部が
反転すべき定格電流量を熱動素子に通電した時の熱動素
子の変位量に対応した厚みの基準ゲージを連動板と作動
板の一端部との間に挿入して回動レバーを一定量回動さ
せ、この状態で回動レバーにカム体のカム面が当接して
反転機構部が反転するまで調節ダイヤルを回動させ、そ
の反転した位置で調節ダイヤルを固定する調節作業を行
なうのであるが、上記のように調節ダイヤルにはカム体
の有効範囲の中心位置のカム面が回動レバーの他端部に
当接する位置にあることを示す△のマークが記されてい
るだけであるため、カム体の有効範囲を逸脱した位置ま
で調節ダイヤルを回動させてしまうという問題があっ
た。
【0006】本考案は、上述の問題点に鑑みて為された
もので、その目的とするところは定格電流量に対応した
反転機構部の反転動作を得るように調節するためのカム
体の有効範囲が分かり、調節が容易に行なえるサーマル
リレーの動作点調節装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本考案では、上記目的を
達成するために、通電量に応じて変位する熱動素子と、
所定量押圧されたときに接点装置の開閉状態を反転させ
る反転機構部と、中間部が器体に対して揺動自在に枢支
され規定範囲で回動する回動レバーと、回動レバーと同
じ方向に揺動自在であって揺動範囲を規制された形で中
間部が回動レバーの一端部に枢支され、一端部に受ける
押圧力で回動レバーを規定範囲の最大位置まで回動させ
て回動が規制されたときに他端部で上記反転機構部を押
圧する作動板と、熱動素子の変位を作動板の一端部に押
圧伝達する連動板とを具備したサーマルリレーに設ける
動作点調節装置において、上記回動レバーと、上記作動
板と、上記回動レバーが当接したときにそれ以上の回動
レバーの回動を規制するカム面を回動軸回りの周部に形
成して、回動レバーが当接するカム面の位置を変えるこ
とにより回動レバーの回動規制位置を調節自在としたカ
ム体と、このカム体を固定し、表面中央にドライバ溝を
形成して器体外から回動操作自在に器体に設けられた調
節ダイヤルと、調節ダイヤル表面におけるドライバー溝
の外側に形成され、器体外設けた基準マークが目盛範
囲内であれば上記カム体のカム面の有効範囲内で回動レ
バーが当接可能であることを示す目盛と、調節ダイヤル
による調節後にドライバー溝の外側で目盛を覆う形で調
節ダイヤルの表面に貼着される電流目盛板とからなるも
のである。
【0008】
【作用】上記構成によれば、調節ダイヤルを回動して定
格電流調整を行なう場合に、回動レバーに当接するカム
体のカム面が有効範囲内であるかどうかが明確に分かる
ため、有効範囲を逸脱した位置に調節ダイヤルを回動さ
せて調節することが無くなり、調節が確実に行なえる。
また調節ダイヤルによる定格電流調節後に、電流目盛板
と基準マークとの位置を正確に整合させ易くすることが
でき、また、電流目盛板を調節ダイヤルに貼着した後に
は、調節ダイヤルのドライバ溝にドライバの先端を嵌め
込んで回動操作することができ、電流目盛板の適宜な電
流値を器体の基準マークに合わせたときにその電流値と
しての正確な特性を得ることができる
【0009】
【実施例】図3、図4、図5などに示すように、器体1
は、一面が開口したボディ11と、ボディ11の開口を
閉塞するカバー12と、ボディ11の一部を覆う形でボ
ディ11とカバー12との間に介装される中蓋6とによ
り形成され、ボディ11に形成されたボス13に対して
カバー12を通して組立ねじ14を螺合させることによ
って、ボディ11とカバー12とが結合される。図7に
示すように、ボディ11の一側面には係合突起11aが
突設され、カバー12に設けた孔明き係合片12aに係
合することによって、ボディ11とカバー12との結合
強度が高められている。
【0010】ボディ11の内部は、仕切壁15によって
大きく3つの区画16a、16b、16cに分割され
る。第2区画16bは、器体1の一方の側部に図2にお
ける上4方向のほぼ全長に亙って形成され、第1区画1
6aと第3区画16cとは、図3における上下に配置さ
れる。第1区画16aは、ほぼ平行に形成された仕切壁
15によってさらに3室に分割され、中央の1室を除く
他の2室にはそれぞれ熱動素子2が収納される。熱動素
子2は、矩形板状に形成されたバイメタル21に絶縁材
22を介して帯状のヒータ23を螺旋状に巻回したもの
であって、ヒータ23の一端はバイメタル21の一端部
に溶着などの方法で固着される。バイメタル21は、第
1区画16aを3室に仕切る仕切壁15と平行になるよ
うに配置され、バイメタル21は加熱されると、仕切壁
15の厚み方向に変形するようになっている。バイメタ
ル21の他端部とヒータ23の他端部とは、それぞれ端
子板24、25に固着される。
【0011】端子板24は、板金によって形成され、ボ
ディ11の底壁内側面に沿って配置された固定片24a
と、ボディ11の底壁内側面に対して突出する形で配設
され固定片24aに一体に連続した接続片24bと、ボ
ディ11の底壁を貫通する形で配設され固定片24bに
一体に連続した端子片24cとを備えている。固定片2
4aにはねじ孔24dが形成され、図7に示すように、
ボディ11の底壁を通してねじ孔24dに螺合する固定
ねじ26によって、端子板24がボディ11に固定され
る。また、接続片24bにはバイメタル21の上記他端
部が溶着などの方法で固着される。端子片24cには、
座金27aを有した端子ねじ27が螺合するようにねじ
孔24eが形成されている。
【0012】一方、端子板25は、バイメタル21にほ
ぼ平行な接続片25aと、カバー12を通して器体1か
ら突出する端子片25bとを一体に連続させた形状を有
している。接続片25aにはヒータ23の上記他端部が
溶着などの方法によって固着される。また、接続片25
aには階段部25cが形成され、接続片25aの一部は
ボディ11の開口面よりも外側に突出して第3区画16
cに跨がるようになっている。
【0013】第1区画16aの中央の1室には、端子板
24と端子板25との接続片24b、25a同士を一体
に連結した形の端子板28が配設される。すなわち、端
子板28は、ボディ11の底壁を通して器体1から突出
する端子片28aと、カバー12を通して器体1から突
出する端子片28bとを備え、両端子片28a、28b
が一体に接続されているのである。端子片28aには、
座金27aを有した端子ねじ27が螺合するようにねじ
孔28cが形成されている。
【0014】ボディ11の外側面において、各端子片2
4c、28aが突出する部位には、各端子片24c、2
8aを隔絶するように隔壁11bが設けられている(図
8参照)。また、カバー12において、端子片25b、
28bが突出する部位には、保持壁12bが突設され、
端子片25b、28bのがたつきが防止される。以上の
構成によれば、端子片24cと端子片25bとの間で通
電すれば、バイメタル21およびヒータ23を通して電
流が流れるのであって、バイメタル21の自己発熱およ
びヒータ23の発熱によって、バイメタル21の上記一
端部が他端部に対してバイメタル21の厚み方向に変位
する。変位の向きは上記一端部が第2区画16bに近づ
く向きであり、変位の量はバイメタル21およびヒータ
23の発熱量に依存する。
【0015】第1区画16aを3室に分割する仕切壁1
5、および第1区画16aと第2区画16bとを仕切る
仕切壁15には、それぞれバイメタル21の上記一端部
に対応する位置でスリット15aが形成され、スリット
15aの開口面に直交する方向に移動自在となるように
連動板17が配置される。連動板17は、3本の脚片1
7aを連結片17bを介して一体に連結した略E形に形
成され、少なくとも一つのバイメタル21が変形したと
きに脚片17aが押圧されて連動板17の一端部の第2
区画16bへの突出量が大きくなるようにしてある。第
2区画16bに突出する脚片17aには押し片17cが
突設される。また、連動板17はバイメタル21に対し
て移動方向に遊びがあり、一つのバイメタル21が変形
したときに他のバイメタル21を変形させることなく移
動できるようになっている。
【0016】第2区画16bには、トリップ装置3が収
納される。トリップ装置3は反転機構部31と動作点調
節機構部32とを備えている。反転機構部31は、図1
0に示すように、ボディ11に固定されるフレーム33
に対して第1の反転板34と第2の反転板35とを揺動
自在に取り付け、第1の反転板34と第2の反転板35
とをコイルスプリングよりなる引張ばねである反転ばね
36を介して連結した構成を有している。フレーム33
は、ボディ11に形成された取付孔18(図9参照)に
圧入される圧入片33aと、略V形の切欠溝33d、3
3eを有した腕片33b、33cとを備える。第1の反
転板34および第2の反転板35は、それぞれ切欠溝3
3d、33eに一端部が挿入されることによってフレー
ム33の厚み方向において他端部が揺動自在となるよう
に支承される。また、切欠溝33d、33eは互いに離
れる向きに開放されており、第1の反転板34と第2の
反転板35との間に反転ばね36を介して引張力を与え
ることによってフレーム33に保持されるようになって
いる。反転ばね36は、両端部にリング状の引掛部36
aを備え、第1の反転板34および第2の反転板35に
貫設された引掛孔34a,35aに各引掛部36aを挿
通した形で、第1の反転板34および第2の反転板35
に連結される。
【0017】この反転機構部31では、第2の反転板3
5の先端部をフレーム33の厚み方向においてフレーム
33から離れる向きに移動させたときに、反転ばね36
の中心線が、第2の反転板35における反転ばね36と
の結合部と第2の反転板35のフレーム33に対する支
点とを結ぶ直線を越えてフレーム33の反対側に位置す
るようになると、第2の反転板35の先端部をフレーム
33から引き離す向きに反転ばね36のばね力が作用す
る。したがって、第2の反転板35の先端部がフレーム
33の厚み方向においてフレーム33から離れた位置に
保持される(以後、この位置をリセット位置と呼称す
る)。また、第2の反転板35の先端部がフレーム33
の厚み方向においてフレーム33から離れている状態で
は、第1の反転板34の中間部をフレーム33に近付け
る向きに押圧したときに、反転ばね36の中心線が、第
2の反転板35における反転ばね36との結合部と第2
の反転板35のフレーム33に対する支点とを結ぶ直線
を越えてフレーム33寄りに位置するようになると、第
2の反転板35の先端部をフレーム33に近付ける向き
に反転ばね36のばね力が作用して、第2の反転板35
をフレーム33に近付く向きに急速に移動させる。すな
わち、いわゆるスナップ動作を行い、第2の反転板35
の先端部がフレーム33の厚み方向においてフレーム3
3に近い位置に保持される(以後、この位置をトリップ
位置と呼称する)。
【0018】動作点調節装置32は、図10に示すよう
に、ボディ11に設けた軸突起19に回動自在に取着さ
れた回動レバー37と、回動レバー37に対して揺動自
在に保持された作動板38と、ボディ11の周壁に対し
て回動自在に取り付けられた図1、図2に示す調節ダイ
ヤル39及びこの調節ダイヤル39aの下部に一体設け
られたカム体39cとからなる。
【0019】回動レバー37は、互いに平行な一対の脚
片37aを一対の連結片37bを介して連結した略コ形
のレバー本体37cを有し、一方の脚片37aには軸突
起19が挿通される軸受孔37dが形成され、他方の脚
片37aには軸リブ19aの周面に当接する弧状の軸受
凹所37eが形成されている。レバー本体37cの一方
の連結片37bは略T形であって、T形の脚部に略直交
する形で保持片37fが形成され、保持片37fには作
動板38を揺動自在に保持する保持孔37gが形成され
る。保持孔37gは、図11に示すように略矩形状であ
って、連結片37b側の一辺に保持凹所37hが形成さ
れた形状を有している。また、保持凹所37hに対向し
て保持孔37gの内周縁には保持突起37iが突設され
る。軸受孔37dを設けた脚片37aは軸受孔37dに
対して保持片37fとは反対側に延長されており、この
脚片37aの先端部には連結片37bとほぼ同じ面内で
調節片37jが形成される。
【0020】作動板38は、中間部の両側縁に切欠溝3
8aを有している。この作動板38は、回動レバー37
の保持孔37gに挿通され、両切欠溝38aには、保持
孔37gの保持凹所37hの両側周部が嵌入される。す
なわち、作動板38の一部を保持凹所37h内に嵌入す
ることにより、作動板38の長手方向および幅方向への
移動が規制されるのである。また作動板38の厚み方向
への移動規制のために、保持凹所37hの底面と保持突
起37iの先端面との距離が作動板38の厚みより若干
大きい程度になるように、図12(a)の状態で作動板
38を保持孔37gに挿入した後、図12(b)に示す
ように、保持孔37gの周部のうち保持突起37iを設
けた一辺をたたき加工などの方法で塑性変形させる。こ
こにおいて、保持凹所37hの底面と保持突起37iと
の距離によって、図13に示すように、回動レバー37
に対する作動板38の揺動範囲θが規制されることにな
る。すなわち、図14に示すように、保持凹所37hの
底面と保持突起37iの先端面との間の隙間に対応した
範囲でのみ作動板38は揺動するのである。作動板38
の一端部は連動板17の押し片17cに当接可能な位置
に配置され、他端部は第1の反転板34に当接可能な位
置に配置される。すなわち、熱動素子2の変形によって
連動板17が移動すると、作動板38は連動板17に押
圧されて保持孔37gを中心として回動し、第1の反転
板34をフレーム33に向かって押圧するのである。
【0021】一方、調節ダイヤル39は、図3に示すよ
うに、円柱状の脚部39aと、脚部39aの一端に設け
たフランジ部39bと、脚部39aの他端に突設したカ
ム体39cとを備えている。脚部39aはボディ11の
周壁に穿孔された貫通孔11cに挿通され、フランジ部
39bはボディ11の外側面に当接する。調節ダイヤル
39においてボディ11の外側面に露出している部分の
中心部にはプラスドライバの先端部などが挿入できるよ
うに十字形のドライバ溝39fが形成され、ドライバな
どを用いて調節ダイヤル39を回動させることができる
ようになっている。また、表面にはカム体39cのカム
面の有効範囲を示す目盛80、80と、この目盛80、
80間には2次調節時の目安となる目盛81…を所定間
隔で形成している。
【0022】ボディ11の周壁外側面にはフランジ部3
9bの周縁を囲む保護壁11dが形成され、フランジ部
39bの外周縁に他の部材が触れて調節ダイヤル39が
不用意に回動するのを防止している。脚部39aの周面
には全周に亙って溝部39dが形成され、ボディ11の
周壁内周面に形成された保持溝11eとの間に保持ばね
39eが装着される。また、ボディ11には保持ばね3
9eに対向する部位に、脚部39aが当接する保持壁1
1fが形成され、保持ばね39eと保持壁11fとの間
に脚部39aを挟持することによって調節ダイヤル39
のボディ11からの抜け止めがなされる。
【0023】カム体39cは、回動レバー37における
調節片37jが当接可能な位置で、脚部39aの回動中
心に対して偏心したカム面を回動軸回りに形成してお
り、したがって、調節ダイヤル39を回動させれば、回
動レバー37の軸突起19の回りでの回動範囲を調節す
ることができる。また、作動板38は回動レバー37に
対する揺動範囲が規制されているから、調節ダイヤル3
9を回動させることによって、第1の反転板34が作動
板38からの押圧力を受けるときの熱動素子2の変形量
を変えることができるのである。すなわち、熱動素子2
の変形によって連動板17が移動すると作動板38が押
圧されるが、回動レバー37の調節片37jがカム体3
9cに当接するまでは連動板17から作動板38が受け
る押圧力は、回動レバー37を回動させるのみであって
(図5における右回りに回動する)、反転機構部31の
第1の反転板34には作用しないのである。一方、回動
レバー37の調節片37jがカム体39cのカム面に当
接すると回動レバー37は回動できなくなるから、連動
板17から作動板38に作用する押圧力が第1の反転板
34に伝達されるのである。このような構成によって、
反転機構部31がリセット位置であるときにトリップ位
置に反転させるのに要する熱動素子2の変形量を、調節
ダイヤル39の回動位置によって調節することができる
のである。すなわち、調節ダイヤル39を回動すること
によって、感度が調節されるのである。
【0024】ここで本実施例では、図1、図2に示すよ
うに調節ダイヤル39の表面にボディ11側に設けた基
準マークXが目盛の範囲内あれば上記カム体39cのカ
ム面の有効範囲内で回動レバー37が当接可能であるこ
とを示す目盛80、80を設けてあるため、定格電流調
節時において次のような調節作業ができる。つまり予め
組み立て時に基準マークXと、カム面の有効範囲の中心
位置が回動レバー37の調節片37jに対応する位置に
あることを示すマークYとを合致させておき、この状態
で反転機構部31が反転すべき定格電流量を熱動素子2
に通電した時の熱動素子2の変位量に対応した厚みの基
準ゲージを連動板17と作動板38の一端部との間に挿
入して作動板38を押圧し、この押圧により回動レバー
37を一定量回動させ、この状態で回動レバー37にカ
ム体37cのカム面が当接して反転機構部31が反転す
るまで調節ダイヤル39を回動させ、その反転した位置
で調節ダイヤル39を固定する調節作業を従来と同様に
行なうであるが、ボディ11側にある基準マークXがカ
ム面の有効範囲を示す目盛80、80の間から逸脱しな
いように調節ダイヤル39を回動すれば、適正な調節が
行なえることになる。
【0025】このようにして調節が終了し、また目盛8
1…を使用した2次調節が終了後に電流目盛板82を調
節ダイヤル39の表面に貼れば良いのである。接点装置
4は、第2区画16bおよび第3区画16cに跨がって
配置される。接点装置4は、一対の可動ばね板41a、
42aと、各可動ばね板41a、42aにそれぞれ対応
した一対の固定板43a、44aとを備えている。各可
動ばね板41a、42aおよび各固定板43a、44a
は、それぞれボディ11の底壁を貫通するように配置さ
れた端子板41b、42b、43b、44bに固着され
る。各端子板41b、42b、43b、44bには、そ
れぞれ座金45aを有した端子ねじ45が螺合するねじ
孔41c、42c、43c、44cが形成される。器体
1の外側面において各端子板41b、42b、43b、
44bの間は、図8に示すように、隔壁11bによって
隔絶される。各可動ばね板41a、42aおよび各固定
板43a、44aには、それぞれ細長形に形成された接
点がほぼ直交する形で設けられている。また、各可動ば
ね板41a、42aは、外力を作用させないときに対応
する各固定板43a、44aに接触するようにばね力を
有している。
【0026】可動ばね板41a、41bには、絶縁性の
合成樹脂よりなるカード46を介して、反転機構部31
の第2の反転板35に連結されている。カード46は、
仕切壁15に形成されたスリット15b、15cに両端
部が挿通される形でスライド自在に配置され、スリット
15bを通して第2区画16bと第3区画16cとに跨
がるように配置される。図15に示すように、カード4
6において第2区画16bの中に挿入される一端部に
は、第2の反転板35が係合する切欠溝46aと、一方
の可動ばね板41aが係合する切欠溝46bとが形成さ
れる。また、カード46において第3区画16cに配置
されている部分には、各可動ばね板41bが挿通される
広幅の切欠溝46cが形成される。したがって、反転機
構部31の第2の反転板35の揺動に伴ってカード46
がスライドし、カード46によって可動ばね板41a、
42aが揺動するのである。カード46のスライド方向
における広幅の切欠溝46cの両周部には、各スリット
15b、15cの周部に対して当接可能なストッパ突起
46d、46eが突設され、カード46の移動時にいず
れか一方のストッパ突起46d、46eが対応するスリ
ット15b、15cの周縁に当接することによって、カ
ード46の移動範囲が規制されるようになっている。す
なわち、両ストッパ突起46d、46eは両スリット1
5b、15cの間に形成され、両スリット15b、15
cの間の距離と両ストッパ突起46d、46eの間の距
離との差に相当する距離が、カード46の移動可能距離
になる。反転機構部31がリセット位置であって、カー
ド46がスライド方向において第2区画16b側に移動
した位置では、可動ばね板41aが固定板43aに接触
し、可動ばね板42aは切欠溝46cの周縁に押圧され
て固定板44aから離れる。また、反転機構部31がト
リップ位置であって、カード46がスライド方向におい
て第3区画16c側に移動した位置では、可動ばね板4
2aが固定板44aに接触し、可動ばね板41aは切欠
溝46bの周縁に押圧されて固定板43aから離れる。
要するに、両可動ばね板41a、42aは、対応する固
定板43a、44aに対する開閉状態が互いに逆になる
のである。
【0027】カード46には、カバー12を通して器体
1の外部に突出するテスト片46fが突設され、テスト
片46fをドライバ等を用いて操作することにより、接
点装置4の開閉状態についての動作試験ができるように
なっている。また、図8、図16に示すように、ボディ
11の外側面にはカード46における第3区画16c側
の一端縁に対応する部位で3面に囲まれた凹段部11g
が形成されており、凹段部11gを囲む3面のうちカー
ド46に直交する2面により形成される入隅部分にはカ
ード46の一部が進退自在に挿通される。すなわち、カ
ード46がスライドするのに伴って凹段部11gへのカ
ード46の露出量が変化するのである。ここに、反転機
構部31がリセット位置に位置しているときには、凹段
部11gにカード46がほとんど露出しないように凹段
部11gの形状を設定している。また、器体1を黒色、
カード46を黄色などとして、器体1とカード46とが
容易に識別できるようにすることによって、カード46
の位置確認が容易に行えるようにしてある。要するに、
凹段部11gへのカード46の突出量を見ることによっ
て、反転機構部31の動作状態や接点装置4の開閉状態
を確認できるのである。
【0028】ボディ11には、反転機構部31がトリッ
プ位置であるときにボディ11側に押し込むことによっ
て、カード46を介して反転機構部31をリセット位置
に復帰させるために、リセット釦5が設けられる。リセ
ット釦5は、円柱状の頭部5aの一端面から脚部5bが
突設され、脚部5bの中間部に円板状の鍔部5cが設け
られた形状に形成されている。ボディ11には、カード
46と平行な外壁の一部と、カバー12との対向面とが
開口し、カード46と平行な仕切壁52を有した凹所5
1が形成される。この凹所51の仕切壁52に形成され
たスリット溝53の周縁を、リセット釦5の脚部5bに
挿着されるコイルスプリングよりなる復帰ばね54の一
端縁と鍔部5cとの間で挟持することにより、リセット
釦5は頭部5aがボディ11の外側面に突出するように
復帰ばね54によって付勢されることになる。したがっ
て、リセット釦5は、復帰ばね54が頭部5aと凹所5
1の仕切壁52との間で最大限に圧縮される位置(ボデ
ィ11の中にもっとも押し込まれた位置)と、鍔部5c
が凹所51の仕切壁52に当接する位置(ボディ11か
らもっとも突出した位置)との間で進退自在になる。
【0029】凹所51の周壁のうちカード46と平行で
あってボディ11の外壁となる周壁には、カバー12側
が開口した切欠55が形成され、この切欠55の周縁の
うちカバー12に対向する周縁の中央部には半円状に凹
没した切欠凹所56が形成される。また、凹所51の内
部には、図17に示すように、ストッパリブ57および
ガイドリブ58が形成される。ストッパリブ57は、カ
ード46に対して略直交する方向に走り、ガイドリブ5
8は、ストッパリブ57の一部に対向して平行に形成さ
れた部分とカード46に平行になるようにボディ11の
外壁から離間して形成された部分とが連続するように形
成されている。ガイドリブ58のうちカード46に平行
な部分の端縁は切欠凹所56の開口縁に沿う形状に形成
されている。
【0030】ところで、第3区画16cに対応する部位
には、ボディ11の仕切壁15とカバー12との間で挟
持される中蓋6が配設される。中蓋6には2か所に位置
決め孔61が形成され、仕切壁15の先端面に突設され
た位置決め突起15dが位置決め孔61に挿入されるこ
とによって、中蓋6のボディ11に対する位置決めがな
される。中蓋6におけるカバー12との対向面には、図
18に示すように、各端子板25、28の一部をそれぞ
れ保持する保持壁62が形成されている。さらに、中蓋
6には、図19に示すように、上記凹所51に挿入され
る第1突台63と、第3区画16cに挿入される第2突
台64とが一体に形成される。第1突台63と第2突台
64とは、凹所51の仕切壁52を挟んで離間してい
る。第1突台63は切欠51のうち切欠凹所56を除く
部位を満たす形状に形成されており、切欠凹所56との
対向面は、切欠凹所56と合わせて円形をなしてリセッ
ト釦5の頭部5aを保持できるように、断面半円状に形
成されている。第1突台63には、リセット釦5の頭部
5aの外周面に沿ってボディ11の外側面に突出する突
壁65が一体に形成されている。この突壁65のボディ
11からの突出量は、リセット釦5のボディ11からの
最大突出量とほぼ等しくなるように設定され、リセット
釦5の頭部5aの半周を囲むようになっている。したが
って、突壁65が存在することによってリセット釦5に
他の部材が不用意に当接することが防止されるのであ
る。突壁65の周方向における中間部には窓孔66が形
成され、窓孔66の中には、第1突台63に一部が一体
に連結されるとともに、一部が突壁65の内周面よりも
内側に突出するガイド片67が設けられる。ガイド片6
7は比較的容易に折り取ることができるように第1突台
63に結合されている。第2突台64の先端面は、リセ
ット釦5の鍔部5cが当接してスライドできるように、
断面半円状に形成されている。したがって、リセット釦
5は、スリット溝53、切欠凹所56、第1突台63、
第2突台64などによって、軸振れすることなく進退で
きるように保持されるのである。
【0031】リセット釦5の頭部5aの周面には、図2
0に示すように、ガイド突起5eが突設され、ガイド突
起5eは、ガイドリブ58に沿ってのみ移動できるよう
に配置される。すなわち、ガイド突起5eは、ストッパ
リブ57とガイドリブ58との間、および、ガイドリブ
58と凹所51の底壁との間のみで移動できるのであ
る。ガイド突起5eがストッパリブ57とガイドリブ5
8との間に位置していると、リセット釦5は回動ができ
ないから進退することになり、ガイド突起5eがガイド
リブ58と凹所51の底壁との間に位置していると、リ
セット釦5は回動はできるが、ガイドリブ58によって
ボディ11に押し込まれた状態に規制されて進退はほと
んどできなくなる。また、回動の範囲は、ストッパリブ
57に当接する位置(以後、手動リセット位置と呼称す
る)と第1突台63の先端面に当接する位置(以後、自
動リセット位置と呼称する)との間で約90度の範囲に
規制されている。
【0032】リセット釦5の脚部5bの先端には傾斜面
5dが形成されている。傾斜面5dは、手動リセット位
置ではカード46のスライド方向において傾斜するので
あって、反転機構部31のトリップ位置側がリセット位
置側よりも突出するように傾斜する。いま、反転機構部
31がトリップ位置であると、リセット釦5を押し込む
ことによってカード46の切欠溝46cの周縁に傾斜面
5dが当接するのであって、傾斜面5dから受ける押圧
力によってカード46が移動し、反転機構部31がリセ
ット位置に反転するようになっている。一方、傾斜面5
dは、自動リセット位置ではカード46のスライド方向
にほぼ直交する方向に傾斜し、この状態では、反転機構
部31がトリップ位置に移動しようとすると、カード4
6の切欠溝46cの周縁にリセット釦5の脚部5bが当
接することによって、トリップ位置が保持されないよう
にカード46の移動範囲が規制される。すなわち、反転
機構部31の第1の反転板34に作動板38からの押圧
力が作用している間のみ可動ばね板42aを固定板44
aに接触させ、第1の反転板34への押圧力が除去され
ると、可動ばね板41aが固定板43aに接触する状態
に自動的に復帰するのである。要するに、リセット位置
でのみ安定することになって単安定動作になる。
【0033】リセット釦5の頭部5aには、手動リセッ
ト位置において、ガイド片67が挿入されるガイド溝5
fが形成される。ガイド溝5fはリセット釦5の進退方
向に沿って形成されており、ガイド片67がガイド溝5
fに挿入された状態では、リセット釦5は進退のみが可
能なように移動規制がなされる。すなわち、ガイド片6
7が存在しているときには自動リセット位置をとること
ができないようになっている。通常の使用状態では手動
によってリセットすればよいから、機能に支障は生じな
い。ガイド片67は比較的容易に折り取ることができる
から、リセット釦5を自動リセット位置に移動させるこ
とが必要になれば、ガイド片67を折り取ればよい。リ
セット釦5の頭部5aの先端面には、プラスドライバを
差し込むことができるようにドライバ溝5gが形成さ
れ、ドライバなどを用いてリセット釦5の押し込み、お
よび、回動ができるようになっている。
【0034】
【考案の効果】本考案は上述のように、回動レバーが当
接したときにそれ以上の回動レバーの回動を規制するカ
ム面を回動軸回りの周部に形成して、回動レバーが当接
するカム面の位置を変えることにより回動レバーの回動
規制位置を調節自在としたカム体と、このカム体を固定
し、表面中央にドライバ溝を形成して器体外から回動操
作自在に器体に設けられた調節ダイヤルと、調節ダイヤ
ル表面におけるドライバー溝の外側に形成され、器体外
に設けた基準マークが目盛範囲内であれば上記カム体の
カム面の有効範囲内で回動レバーが当接可能であること
を示す目盛と、調節ダイヤルによる調節後にドライバー
溝の外側で目盛を覆う形で調節ダイヤルの表面に貼着さ
れる電流目盛板とからなるので、調節ダイヤルを回動し
て定格電流調節を行なう場合に、回動レバーに当接する
カム体のカム面が有効範囲内であるかどうかが明確に分
かるため、有効範囲を逸脱した位置に調節ダイヤルを回
動させて調節することが無くなり、調節が確実に行なえ
るという利点がある。また、定格電流調節後、ドライバ
溝の外側で目盛を覆う形で調節ダイヤルの表面に電流目
盛仮が貼着されるので、電流目盛と器体の基準マークと
を整合させ易くできるという利点がある。さらに、電流
目盛板を調節ダイヤルに貼着した後には、調節ダイヤル
のドライバ溝にドライバの先端を嵌め込んで回動操作す
ることができ、電流目盛板の適宜な電流値を器体の基準
マークに合わせたときにその電流値としての正確な特性
を得ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を示す要部の拡大分解斜視図である。
【図2】実施例の説明図である。
【図3】実施例の分解斜視図である。
【図4】実施例の外観斜視図である。
【図5】実施例の分解斜視図である。
【図6】実施例のカバーおよび中蓋を外した状態の背面
図である。
【図7】実施例の縦断面図である。
【図8】実施例の正面図である。
【図9】実施例の縦断面図である。
【図10】実施例に用いる動作点調節機構部の分解斜視
図である。
【図11】実施例を示す要部の分解斜視図である。
【図12】実施例を示す要部の組立過程を示す図であ
る。
【図13】実施例の要部の動作説明図である。
【図14】実施例の要部の動作説明図である。
【図15】実施例の要部の横断面図である。
【図16】実施例の要部の平面図である。
【図17】実施例の要部のカバーおよび中蓋を外した状
態の背面図である。
【図18】実施例のカバーを外した状態の背面図であ
る。
【図19】実施例に用いる中蓋の斜視図である。
【図20】実施例の要部断面図である。
【図21】実施例のカム体有効範囲と調節ダイヤルの回
動角の関係説明図である。
【符号の説明】 37 回動レバー 37j 調節片 39 調節ダイヤル 39c カム体 80 目盛 Y マーク
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 61/01

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】通電量に応じて変位する熱動素子と、所定
    量押圧されたときに接点装置の開閉状態を反転させる反
    転機構部と、中間部が器体に対して揺動自在に枢支され
    規定範囲で回動する回動レバーと、回動レバーと同じ方
    向に揺動自在であって揺動範囲を規制された形で中間部
    が回動レバーの一端部に枢支され、一端部に受ける押圧
    力で回動レバーを規定範囲の最大位置まで回動させて回
    動が規制されたときに他端部で上記反転機構部を押圧す
    る作動板と、熱動素子の変位を作動板の一端部に押圧伝
    達する連動板とを具備したサーマルリレーに設ける動作
    点調節装置において、上記回動レバーと、上記作動板
    と、上記回動レバーが当接したときにそれ以上の回動レ
    バーの回動を規制するカム面を回動軸回りの周部に形成
    して、回動レバーが当接するカム面の位置を変えること
    により回動レバーの回動規制位置を調節自在としたカム
    体と、このカム体を固定し、表面中央にドライバ溝を形
    成して器体外から回動操作自在に器体に設けられた調節
    ダイヤルと、調節ダイヤル表面におけるドライバー溝の
    外側に形成され、器体外に設けた基準マークが目盛範囲
    内であれば上記カム体のカム面の有効範囲内で回動レバ
    ーが当接可能であることを示す目盛と、調節ダイヤルに
    よる調節後にドライバー溝の外側で目盛を覆う形で調節
    ダイヤルの表面に貼着される電流目盛板とからなるサー
    マルリレーの動作点調節装置。
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