JP2605508B2 - 全自動ビル建設工法における作業床上昇装置 - Google Patents

全自動ビル建設工法における作業床上昇装置

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JP2605508B2
JP2605508B2 JP3174788A JP17478891A JP2605508B2 JP 2605508 B2 JP2605508 B2 JP 2605508B2 JP 3174788 A JP3174788 A JP 3174788A JP 17478891 A JP17478891 A JP 17478891A JP 2605508 B2 JP2605508 B2 JP 2605508B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、作業床を貫通して上下
方向に延びる複数の脚柱を下方に押し下げて該作業床自
身を逐次上昇させ、該作業床の下方の空間に順次下層階
を構築して建造物を高層化する全自動ビル建設工法にお
ける作業床上昇装置に関する。
【0002】
【従来の技術】平成2年10月16日付け日刊建設工業
新聞に、ルーフプッシュアップ工法と称する全自動ビル
建設工法が紹介されている。この工法では、ビル組立工
場と呼ぶ自昇式の作業床を用いる。当該作業床はこれを
嵌通して下方に伸びる多数の脚柱によって支持され、ま
たこれらの脚柱はその下端が建築中の建物躯体の柱上端
に突き当てられた状態で固定されて、建築中の建物躯体
の最上部に設置される。作業床には各脚柱を上下に駆動
するジャッキ機構が設けられており、ジャッキ機構によ
って全ての脚柱を一斉に押し下げることで、作業床自体
が上昇する。
【0003】そして、上昇した作業床の下側を仮支柱で
支持した状態で脚柱を上昇させることにより、この作業
床の下方に空間を形成し、この空間に新たに柱および梁
を取り付けて下層階を構築し、この下層階の柱上端に前
記脚柱を支持して仮支柱を取り外す。以下同様の作業を
繰り返すことにより、前記作業床を持ち上げつつその下
方で建物を高層化していく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の全自動ビル建設工法における作業床上昇装置で
は、脚柱は下層階の柱上端等に剛に結合させ、また作業
床に対してはこれに一体的に設けた円筒状の柱の中に上
下に摺動自在に収納する等して水平方向に対して剛に係
合させていた。このため、地震等により水平方向の力お
よび振動が作用した場合に、それら作業床と脚柱との係
合部に応力集中が発生して脚柱又は作業床に変形が生じ
てしてしまう虞があり、また脚柱が一時的に傾斜される
とこれに伴って作業床も傾斜されてしまうといった課題
があった。
【0005】本発明はかかる従来の課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、脚柱と作業床とを水平方向
に対して相互に緩衝機能をもって係合させることによ
り、地震等による水平方向の力および振動が作用した場
合にも、それら作業床と脚柱との係合部に変形が生じる
ことを可及的に防止できると共に作業床の傾斜を可及的
に抑制できる全自動ビル建設工法における作業床上昇装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明は、作業床を貫通して上下方向に延びる複数
の脚柱を上昇機構で押し下げることにより該作業床自身
を上昇させ、該作業床の下方の空間に順次下層階を構築
して建造物を高層化する全自動ビル建設工法における作
業床上昇装置において、前記脚柱を前記作業床に遊嵌さ
せて挿通させると共に、該作業床の該脚柱挿通部位に、
該脚柱の外側に付勢力をもって当接されて該作業床と該
脚柱との横方向の相対移動を緩衝しつつ許容し、かつそ
れらの相対距離を一定に保持する押圧装置を設けた。
【0007】また、前記押圧装置は前記作業床の脚柱挿
通部位の上下両側に設けることが望ましい。
【0008】さらに、前記押圧装置には、前記脚柱の中
心方向に向けて付勢されて該脚柱の外側に当接する複数
のローラを備えることが望ましい。
【0009】
【作用】以上の構成による本発明の全自動ビル建設工法
における作業床上昇装置によれば、地震等により水平方
向の力および振動が入力されると、作業床の脚柱挿通部
位に設けた押圧装置によってこの作業床とこれに遊嵌さ
れた脚柱との相対移動が許容されつつ緩衝されるので、
当該脚柱挿通部位における作業床と脚柱との係合部位に
応力集中が生じることが無いばかりか、作業床の水平方
向への変位が可及的に小さく抑えられる。また水平力に
よって脚柱が一時的に傾斜してもこの傾斜は直に作業床
側に伝達されることは無く、当該作業床の傾斜が可及的
に小さく抑えられる。そして、前記水平力が除去されて
脚柱が鉛直状態に復帰されれば、押圧装置によって作業
床も脚柱に対して鉛直な定常位置に押し戻されて水平状
態に復帰されるので、その後の作業を通常通り行うこと
ができる。
【0010】また、前記押圧装置は、脚柱の中心方向に
向かって押圧付勢する複数のローラを備えて構成するこ
とにより、脚柱の上下移動時にはローラが転動するた
め、脚柱の上下移動案内を滑らかに行うことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。図1から図4は本発明にかかる全自動ビル建
設工法における作業床上昇装置の一実施例を示し、図1
は要部断面正面図、図2は作動状態を示す要部断面正面
図、図3は要部の拡大平面図、図4は要部の拡大断面図
である。また、図5は本発明が適用される全自動ビル建
設工法を示す全体の概略説明図である。
【0012】ここで、本実施例が適用される建造物とし
てのビルディングにおける全自動ビル建設工法を図5に
より概略説明すると、1は作業床としてのルーフステー
ジの一部を示し、このルーフステージ1にはこれを貫通
して下方に延びる多数の脚柱A1 ,A2 ,…およびB1
,B2 ,…が備えられ、これらの脚柱は1つ置きに選
択されて2つのグループA(A1 ,A2 ,…)およびB
(B1 ,B2 ,…)とに分けられている。また、各脚柱
A1 ,A2 ,…,B1 ,B2 ,…は、ルーフステージ1
に設置した上昇機構としてのジャッキ機構3により、そ
れぞれ一定ストロークSだけ上下移動可能になってい
る。
【0013】図5(A)の状態では、ルーフステージ1
に対してAグループの脚柱A1 ,A2 ,…は上昇位置に
あり、Bグループの脚柱B1 ,B2 ,…は下降位置にあ
る。これらAグループの脚柱A1 ,A2 ,…とBグルー
プの脚柱B1 ,B2 ,…は、ルーフステージ1の下方に
構築した高位置の本設柱4a,4c,…および低位置の
本設柱4b,4d,…の上端に当接して、ルーフステー
ジ1が水平に支持されている。高位置の本設柱4a,4
c,…と低位置の本設柱4b,4d,…との間には、前
記ストロークSと同じ高低差を設けてある。
【0014】次に、図5(B)に示すように前記Aグル
ープ脚柱A1 ,A2 ,…をジャッキ機構3により押し下
げると、ルーフステージ1は前記Bグループの脚柱B1
,B2 ,…と共に上昇し、このBグループの脚柱B1
,B2 ,…と前記低位置の本設柱4b,4d,…との
間に1ストロークS分の空間を形成することができる。
更に、この状態から図5(C)に示すように、前記Bグ
ループの脚柱B1 ,B2 ,…をルーフステージ1に対し
て1ストロークSだけ上昇すると、このBグループ脚柱
B1 ,B2 ,…と本設柱4b,4d,…との間には2ス
トローク2S分の大きな空間が形成されることになる。
【0015】そして、図5(D)に示すように前記2ス
トローク2S分の空間に、これに見合った長さの本設柱
4eを建て込むことにより、低位置の本設柱4b,4
d,…を延長することができる。従って、このように低
位置の本設柱4b,4d,…を延長した場合には、前記
図5(A)の状態から1階分の骨組を積層したことにな
る。また、この状態では本設柱の高低関係が前記図5
(A)と反対になり、延長した前記本設柱4eの上端に
Bグループ脚柱B1 ,B2 ,…を当接した後、脚柱グル
ープのA,Bを反対にして同様の作業を行い、これを繰
り返すことにより本設柱を順次上方に延長していくこと
ができる。
【0016】ところで、図1,図2は前記脚柱10(A
1 ,A2 ,…,B1 ,B2 ,…)がルーフステージ1を
貫通した部分の拡大断面を示し、脚柱10はルーフステ
ージ1を上下方向に貫通して形成された挿通穴12内に
遊嵌されている。脚柱10の上端部にはフランジ14が
設けられ、このフランジ14の両側部に前記ルーフステ
ージ1から立設する一対のガイドロッド16が摺動可能
に貫通されている。尚、前記ガイドロッド16には、同
図中省略したが前記ジャッキ機構3が係合し、このジャ
ッキ機構3の作動により脚柱10はガイドロッド16に
沿って上下移動する。また、図1はルーフステージ1に
対して脚柱10を上方に持ち上げた状態を示し、図2は
脚柱10を押し下げた状態を示す。
【0017】ここで、本実施例では前記脚柱10が貫通
された前記ルーフステージ1の脚柱挿通部位の上下両端
部にそれぞれ押圧装置20が設けられ、この押圧装置2
0によりルーフステージ10は脚柱10に対する水平方
向の相対位置が一定の状態に位置決めされて水平な状態
に保持されるようになっている。尚、本実施例では前記
脚柱10を、前記本設柱4a,4b,4c,4d,4e
…と同様に断面円形状の筒状体として形成してある。
【0018】前記押圧装置20は図3,図4に示すよう
に、脚柱10の外側に四方から当接する4個のローラ2
2を有し、これら各ローラ22はそれぞれブラケット2
4の上端部にピン26を介して回転自在に枢着されてい
る。各ブラケット24の下端部は、前記ルーフステージ
1にボルト28結合した基台30に、ピン32を介して
枢着されている。また、前記基台28の外側端部は脚柱
10から離れる方向に延設され、この延設端部と前記ブ
ラケット24の上端部外側との間には付勢手段34が配
設されている。この付勢手段34はブラケット24を脚
柱10方向に押圧付勢して、ローラ22を脚柱10の外
周面に当接させてその中心方向に向けて押圧させる。す
なわち、本実施例では前記付勢手段34は、基台30側
に一端を固定して他端をブラケット24側に遊嵌させた
ロッド30aに多数の皿ばね36を同軸上に積層して、
その皿ばね36の両端をロッド30aに一体的に固定さ
れたスプリングシート30bとブラケット24に形成し
たスプリングシート24aとに係止させて構成してい
る。なお、皿ばね36は他の付勢手段、例えば、コイル
スプリングを替えても良いことは勿論である。なお、図
3,4は脚柱挿通部位の上端側に設けられている押圧装
置20を示しており、下端部側に設けられる押圧装置の
場合はその上下が対称となる。
【0019】以上の構成により本実施例の作業床上昇装
置にあっては、ルーフステージ1を上下方向に貫通した
各脚柱10は、このルーフステージ1の上下端部に設け
た押圧装置20により当該ルーフステージに対して相互
に水平方向において弾力的に係合される。即ち、前記押
圧装置20は付勢手段34を介して脚柱10を外側から
中心方向に押圧する4個のローラ22を備え、その押圧
力並びに機械的な摩擦とにより、脚柱10とルーフステ
ージ1との水平方向への相対移動を許容緩衝しつつ、そ
の相対位置を弾力的に一定位置に保持することができ
る。
【0020】従って、地震等により前記脚柱10に水平
方向の力および振動が入力されても、ルーフステージ1
の脚柱挿通部位の上下両端に設けた押圧装置20によっ
てこのルーフステージ1とこれに遊嵌された脚柱10と
の相対移動が許容されつつ緩衝されるので、当該脚柱挿
通部位におけるルーフステージ1と脚柱10との係合部
位に応力集中が生じることが無いばかりか、ルーフステ
ージ1の水平方向への振動変位が可及的に小さく抑えら
れる。また水平力によって脚柱10が一時的に傾斜して
もこの傾斜は直にルーフステージ1側に伝達されること
は無く、当該ルーフステージ1の傾斜が可及的に小さく
抑えられる。そして、前記水平力が除去されて脚柱10
が鉛直状態に復帰されれば、押圧装置20によってルー
フステージ1も脚柱10に対して鉛直な定常位置に押し
戻されて水平状態に復帰されるので、その後の作業を通
常通り行うことができる。
【0021】このように本実施例では、前記水平方向の
力および振動を押圧装置20により吸収することができ
るため、水平力による応力が部分的に集中するのを防止
して、ルーフステージ1および脚柱10に破損とか歪み
を生じることを防止することができる。また、前記押圧
装置20は脚柱10との当接部分を前記ローラ22とし
たため、このローラ22の転動により脚柱10の上下移
動を滑らかに行うことができる。
【0022】尚、本実施例に示した全自動ビル建設工法
では、複数の脚柱10を1つおきに分けたグループA,
Bをそれぞれ交互に上下させることでルーフステージ1
を自昇させる方法を示したが、これに限ることなく、す
べての脚柱10を同時に一斉に押し下げてルーフステー
ジ1を自昇させる方法にあっても本発明を適用すること
ができることはいうまでもない。また、本実施例では水
平力のエネルギーを、押圧装置20のローラ22の転動
に伴う摩擦や,皿バネ36相互間の摩擦,および皿バネ
36自体の弾性変形に伴う内部損失等によって吸収して
緩衝するようにしているが、別途に流体式等のショック
アブソーバを並設してより緩衝力を高めるようにしても
良い。また、上昇機構はジャッキ機構に限らず例えばラ
ックピニオン機構等を採用しても良い。
【0023】
【発明の効果】以上の構成により本発明の請求項1に示
す全自動ビル建設工法における作業床上昇装置にあって
は、作業床とこれに遊嵌させて挿通した脚柱との間に、
それらの水平方向への相対移動を許容して緩衝する押圧
装置を介在させてそれら両者を水平方向に対して弾性的
に係合させるようにしたので、脚柱に入力される地震等
の水平方向の力および振動を押圧装置で吸収して、当該
作業床および脚柱とに破損とか歪みが発生することを防
止することができる。
【0024】また、本発明の請求項2にあっては、作業
床の脚柱挿通部位の上下両端に押圧装置を設けて構成す
ることにより、水平力が除去された後の作業床の水平状
態への復帰力をより高めることができる。
【0025】またさらに、本発明の請求項3にあって
は、前記押圧装置を、脚柱の中心方向に向かって押圧付
勢する複数のローラを備えて構成することにより、ロー
ラの付勢力により前記横力を吸収できるのは勿論のこ
と、脚柱の上下移動時にはローラの転動により、脚柱の
上下移動を滑らかに案内することができるという各種優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる全自動ビル建設工法における作
業床上昇装置の一実施例を示す要部断面正面図である。
【図2】本発明の一実施例の作動状態を示す要部断面正
面図である。
【図3】本発明の一実施例に用いられる作業床上昇装置
の要部を拡大して示す平面図である。
【図4】図3中A−A線から断面した要部拡大断面図で
ある。
【図5】本発明が適用される全自動ビル建設工法を順を
追って示す全体の概略説明図である。
【符号の説明】
1 ルーフステージ(作業床) 4a〜4e 本設
柱 10 脚柱 12 挿通穴 20 押圧装置 22 ローラ 34 付勢手段

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業床を貫通して上下方向に延びる複数
    の脚柱を上昇機構で押し下げることにより該作業床自身
    を上昇させ、該作業床の下方の空間に順次下層階を構築
    して建造物を高層化する全自動ビル建設工法における作
    業床上昇装置において、前記脚柱を前記作業床に遊嵌さ
    せて挿通させると共に、該作業床の該脚柱挿通部位に、
    該脚柱の外側に付勢力をもって当接されて該作業床と該
    脚柱との横方向の相対移動を緩衝しつつ許容し、かつそ
    れらの相対距離を一定に保持する押圧装置を設けたこと
    を特徴とする全自動ビル建設工法における作業床上昇装
    置。
  2. 【請求項2】 前記押圧装置が、前記作業床の脚柱挿通
    部位の上下両側に設けられたことを特徴とする請求項1
    に記載の全自動ビル建設工法の作業床上昇装置。
  3. 【請求項3】 前記押圧装置が、前記脚柱の中心方向に
    向けて付勢されて該脚柱の外側に当接する複数のローラ
    を備えたことを特徴とする請求項2に記載の全自動ビル
    建設工法の作業床上昇装置。
JP3174788A 1991-06-20 1991-06-20 全自動ビル建設工法における作業床上昇装置 Expired - Lifetime JP2605508B2 (ja)

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