JP2604855Y2 - 内視鏡の光源装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は内視鏡の光源装置に関
し、特に、光源からライトガイドの入射端部に入射する
照明光の光束（明るさ）を調整することができるように
した内視鏡の光源装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の内視鏡の光源装置は、一般に、
光源ランプから放射された照明光を反射鏡で平行光線束
にして、その平行光線束を集光レンズで集束させて照明
用ライトガイドの入射端部に入射させている。

【０００３】そして、その光源ランプからライトガイド
の入射端部に向かう照明光路の途中に可動絞りを設け
て、ライトガイドに入射する照明光の光束（明るさ）の
調整を行っていた。

【０００４】しかし、そのような光源装置は、入射光束
の調整に伴ってライトガイドに入射する照明光の通過経
路が変わって、ライトガイドから射出する照明光の配光
特性や分光特性が著しく変化してしまう問題があり、こ
れらを改善するには、絞り形状やその駆動機構が複雑で
コスト高になってしまう等の問題があった。

【０００５】そこで、そのような問題点を改善するため
に、集光レンズと光源との間に光軸を挟んで対称に少な
くとも一対の平行平面板を配置し、光軸と垂直かつ平行
平面板と平行の方向を回転軸として平行平面板の向きを
可変に構成して、ライトガイドに入射する照明光の光束
の調整をしていた（特開平１−２００２１７号）。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上述の特開平１−２０
０２１７号の装置によれば、簡単な構造で、ライトガイ
ドから射出する照明光の配光特性や分光特性の変化を小
さくすることができる。

【０００７】しかし、それでもライトガイドに入射させ
る照明光の光束を変化させるのに伴って、照明光の通過
経路が変わることは避けられないので、ライトガイドに
入射する照明光の光束を大きく変化させた場合には、射
出光の配光特性や分光特性が明らかに相違してしまい、
実用上問題になる場合があった。

【０００８】そこで本考案は、ライトガイドに入射する
照明光の光束を大きく変化させても配光特性や分光特性
の変化が小さく、しかも構造が簡単で低コストで製造す
ることができる内視鏡の光源装置を提供することを目的
とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の内視鏡の光源装置は、照明用ライトガイド
の入射端部に照明光を集光するための集光レンズとその
照明光の光源との間の照明光路に、光軸を挟んで少なく
とも一対の遮光板を配置して、光軸と垂直な回転軸を中
心に上記遮光板を回動可能に構成し、上記遮光板で照明
光を遮ることにより上記照明用ライトガイドの入射端部
に入射する照明光の光束を調整するようにした内視鏡の
光源装置において、上記一対の遮光板を、上記回転軸と
上記光軸とを含む平面を中心として非対称形に配置した
ことを特徴とする。

【００１０】なお、上記一対の遮光板を平行平面板に形
成して、そのうちの一方の板と他方の板とで上記回転軸
との間の距離を相違させてもよく、上記一対の遮光板の
うちの少なくとも一方の遮光板の断面形状を、光軸方向
から見て中間部分で向きを変えた形状に形成してもよ
い。また、上記一対の遮光板のうちの一方と他方とで、
光軸方向の長さを相違させてもよい。

【００１１】

【実施例】図面を参照して実施例を説明する。実施例装
置を略示する図１において、１は内視鏡の挿入部、２は
その先端に配置された対物レンズであり、対物レンズ２
による被写体の結像位置に固体撮像装置３の受光面が配
置されている。ただし、固体撮像素子に代えてイメージ
ガイドファイババンドルを用いてもよい。

【００１２】４は、対物レンズ２の視野範囲を照明する
照明用ライトガイドファイババンドルであり、その射出
端部４ａから射出された照明光によって、観察部位が照
明される。

【００１３】１０は、ライトガイドファイババンドル４
に照明光を供給するための光源装置であり、ライトガイ
ドファイババンドル４の入射端部４ｂが着脱自在に差し
込まれている。

【００１４】光源装置１０内に配置された光源ランプ１
１から平行光線束として射出された照明光は、集光レン
ズ１２によって集光し、ライトガイドファイババンドル
４の入射端部４ｂに入射する。

【００１５】光源ランプ１１と集光レンズ１２との間の
照明光路中には、集光レンズ１２に達する照明光線束５
０の一部又は全部を遮ることができるように、一対の不
透明な第１の実施例の遮光板１３，１３が回転軸１５を
挟んで対称に配置されている。

【００１６】この一対の遮光板１３，１３は、平行平面
板に形成されて、一方の板と他方の板とで光軸に向かう
回転軸１５との間の距離が相違していて（ｗ＜Ｗ）、底
部において連結板１４によって一体的に連結されてい
る。

【００１７】連結板１４の底部中央には、照明光軸と垂
直方向でかつ遮光板１３，１３と平行の向きに回転軸１
５が連結固着されていて、この回転軸１５をモータ又は
手動で回転させることにより、遮光板１３，１３を回動
させて、任意の位置で静止させることができ、それによ
って、ライトガイドファイババンドル４に入射する照明
光の光束（明るさ）を変化させることができる。

【００１８】図２は、遮光板１３，１３を光軸方向から
見た状態を示しており、この部分における照明光の有効
光線束５０の半径をｒとする。

【００１９】ただし、図３に示されるように、光源ラン
プ１１から射出される照明光線束の径Ｘが集光レンズ１
２の径Ｙより大きい場合には、集光レンズ１２の径Ｙが
有効径（ｒ＝Ｙ／２）であり、ＸがＹ以下の場合はｒ＝
Ｘ／２である。

【００２０】遮光板１３，１３の板間距離と光軸方向の
長さとの関係は、遮光板１３，１３の回転角度とライト
ガイドファイババンドル４に入射する照明光の光束（明
るさ）との関係に影響を与えるものであり、周囲のスペ
ースの問題なども考慮してその値が決められる。ここで
は、遮光板１３，１３の光軸方向の長さを２ｒとした。

【００２１】図４は、回転軸１５中心に遮光板１３，１
３をある程度回転させて、照明光の有効光線束５０の一
部を遮った状態を示している。この遮蔽面積が大きけれ
ば大きいほど、ライトガイドファイババンドル４に入射
する照明光の光束（明るさ）が減少する。

【００２２】ここで、図５に示されるように、照明光の
有効光線束５０を、中心光線束Φ１と周辺光線束Φ２と
に分けて考える。ただし、有効光線束５０が遮光板１
３，１３で遮蔽されていない全開状態のときに中心光線
束Φ１の光束（明るさ）と周辺光線束Φ２の明るさが等
しくなるようにΦ１とΦ２を分けるものとする。

【００２３】遮光板１３，１３を回転させていったとき
に、中心光線束Φ１と周辺光線束Φ２の割合があまり変
化しなければ、ライトガイドファイババンドル４から観
察部位に向けて射出される照明光の配光特性や分光特性
の変化は小さい。

【００２４】図６は、上述の第１の実施例の遮光板１
３，１３を回転軸１５回りに回転させたときに減少する
ライトガイドファイババンドル４への入射光の光束（明
るさ）と、その時の入射光線束の周辺（Φ２）と中心
（Φ１）の比との関係を示しており、実線はＷ＝０．５
ｒ、ｗ＝０．４５ｒの場合を示し、破線はＷ＝ｗ＝０．
５ｒの従来例を示している。

【００２５】その結果、全体の光束を全開から−４Ｅ
Ｖ、即ち１６分の１の明るさまで絞った範囲において
も、その間で周辺光線束Φ２と中心光線束Φ１との比の
変化が従来例に比べて小さく、ライトガイドファイババ
ンドル４から射出される照明光の配光特性や分光特性の
変化を小さくすることができる。

【００２６】

【００２７】

【００２８】

【００２９】

【００３０】

【００３１】

【００３２】

【００３３】図７ないし図９は、第２の実施例の遮光板
１３ａ，１３ｂを示しており、一対の遮光板１３ａ，１
３ｂのうちの一方の遮光板１３ａを光軸方向から見て
「く」の字状に折り曲げ、他方の遮光板１３ｂを平板状
に形成したものである。

【００３４】

【００３５】

【００３６】図１０ないし図１２は、第３の実施例の遮
光板１３ａ，１３ｂを示しており、一対の遮光板１３
ａ，１３ｂを平行平面板に形成すると共に、一方の遮光
板１３ａに比べて他方の遮光板１３ｂの光軸方向の長さ
を短く形成したものである。

【００３７】このように形成すると、やはり、同サイズ
の平行平面板を組み合わせて対にする場合に比べて、ラ
イトガイドファイババンドル４への入射光束を減らした
ときの入射光線束の周辺と中心との比の変化を小さくす
ることができる。

【００３８】なお、上記各実施例においては、いずれも
遮光板は一対設けたが、本考案はこれに限定されるもの
ではなく、例えば図１３に示されるように遮光板１３
ａ，１３ｂ，１３ｃを３枚（一対プラス一枚）設けても
よく、その場合には中央の遮光板１３ｂの光軸方向の長
さを両サイドの遮光板１３ａ，１３ｃより短く形成する
とよい。また、図１４に示されるように、遮光板１３…
を４枚（二対）又はそれ以上設けてもよい。

【００３９】

【考案の効果】本考案の内視鏡の光源装置によれば、遮
光板を回動させてライトガイドに入射する照明光の光束
（明るさ）を変化させたときに、その変化の広い範囲に
わたって、ライトガイドに入射する周辺光線束と中心光
線束の比の変化が小さく、ライトガイドから射出される
照明光の配光特性及び分光特性の変化が小さい。

【００４０】その結果、照明光の明るさ調整によって変
化することの少ない良好な色再現性を得ることができ、
しかも簡単な構成により低コストで装置を製造すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例の全体略示図である。

【図２】第１の実施例の遮光板の正面図である。

【図３】実施例の照明光路の側面図である。

【図４】第１の実施例の遮光板をある程度回動させた状
態の正面図である。

【図５】実施例の照明光路の正面図である。

【図６】第１の実施例の照明光束特性線図である。

【図７】第２の実施例の遮光板の斜視図である。

【図８】第２の実施例の遮光板の正面図である。

【図９】第２の実施例の遮光板をある程度回動させた状
態の正面図である。

【図１０】第３の実施例の遮光板の斜視図である。

【図１１】第３の実施例の遮光板の正面図である。

【図１２】第３の実施例の遮光板をある程度回動させた
状態の正面図である。

【図１３】第４の実施例の遮光板の斜視図である。

【図１４】第５の実施例の遮光板の正面図である。

【符号の説明】

４ ライトガイドファイババンドル ４ｂ 入射端部 １０ 光源装置 １１ 光源ランプ １２ 集光レンズ １３ 遮光板 ５０ 有効光線束

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−200217（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−272711（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G02B 23/26 A61B 1/06

Claims (5)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】照明用ライトガイドの入射端部に照明光を
   集光するための集光レンズとその照明光の光源との間の
   照明光路に、光軸を挟んで少なくとも一対の遮光板を配
   置して、光軸と垂直な回転軸を中心に上記遮光板を回動
   可能に構成し、上記遮光板で照明光を遮ることにより上
   記照明用ライトガイドの入射端部に入射する照明光の光
   束を調整するようにした内視鏡の光源装置において、 上記一対の遮光板を、上記回転軸と上記光軸とを含む平
   面を中心として非対称形に配置したことを特徴とする内
   視鏡の光源装置。
2. 【請求項２】上記一対の遮光板が、上記回転軸を挟んで
   その両側に、上記回転軸からの距離を相違させて各々上
   記回転軸と平行に配置された平行平面板である請求項１
   記載の内視鏡の光源装置。
3. 【請求項３】上記一対の遮光板が、上記回転軸に対して
   平行な平面板と「く」の字状の断面形状に形成された斜
   面板とを、上記回転軸を挟んで配置したものである請求
   項１記載の内視鏡の光源装置。
4. 【請求項４】上記一対の遮光板が、上記回転軸を挟んで
   その両側に上記回転軸と平行に配置されて上記光軸方向
   の長さが相違する平行平面板である請求項１記載の内視
   鏡の光源装置。
5. 【請求項５】上記一対の遮光板が複数対配置されている
   請求項１ないし４のいずれかの項に記載の内視鏡の光源
   装置。