JP2604446B2 - 紡績工場の搬送システムにおける走行レール切換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は紡績工場の搬送システムにおける走行レール
切換装置に関するものである。

［従来の技術］ 近年、紡績工場においては省力化が進み、各工程内の
自動化から一歩進展して各工程間の連結、搬送の自動化
を取り入れる場合が多くなっている。そして、粗紡・精
紡工程間の粗糸ボビンの搬送についても自動化が提案さ
れ、又実施されている。粗紡・精紡工程間の粗糸搬送シ
ステムとして、例えば特開昭61−194228号公報には第７
図に示すように、精紡機31及び粗紡機32の機台群の外周
に沿って主搬送路33を設け、多数の粗糸ボビンを吊下し
て主搬送路33、主搬送路33から分岐された予備粗糸巻レ
ール34、粗紡機内レール35及び待機レール36上をそれぞ
れ走行可能な搬送体37を牽引してあるいは単独で主搬送
路33に沿って移動する搬機38に、主搬送路33と分岐レー
ルとしての前記各レール34,35,36とを接続するブリッジ
レールと搬送体37の分岐レール内への送り込みあるいは
分岐レール内からの送り出し作用をなす送り装置を設
け、主搬送路33上を巡回走行する搬機38により搬送体37
を介して粗紡・精紡工程間で粗糸ボビンを搬送する粗糸
搬送システムが提案されている。

又、本願出願人は主搬送路と分岐レールとの分岐部に
ポイントを設け、分岐レール内に搬送体を搬入する場合
には搬機に連結された搬送体の最後部が各分岐レールに
設けられたポイントを通過した後、搬機が後退すること
により搬送体を各分岐レールに搬入する方法を提案して
いる（例えば特願昭62−255778号）。

このように閉ループをなす主搬送路33上を走行する搬
機38により搬送体37を介して粗紡工程と精紡工程間で粗
糸ボビンの搬送を行うシステムでは、精紡機31及び粗紡
機32の機台数が少ない場合には問題はないが、精紡機31
及び粗紡機32の機台数が多数となった場合には問題が生
じる。すなわち、精紡機31及び粗紡機32の機台数に対応
して搬機38の数を増やしても、搬機38による各レール3
4,35,36内への搬送体37の搬入あるいは各レールからの
搬送体37の搬出作業に一定の時間がかかるため、搬入、
搬出作業中の搬機が他の搬機の走行の支障となり、搬機
38の台数を増やしても搬送システム全体としての搬送効
率を高くすることができない。そのため、精紡機31及び
粗紡機32の機台数が多い場合には精紡機及び粗紡機を複
数のグループに分け、各グループ毎に閉ループをなす主
搬送路を設けて各グループ内で搬機38及び搬送体37によ
る粗糸ボビンの搬送を行うほうが搬送効率が高くなる。

ところが、生産する糸の品種すなわち紡出条件は一定
ではないため、精紡機及び粗紡機を複数のグループに分
けてそのグループ内のみで粗糸ボビンの搬送を行うと、
紡出条件（例えば紡出糸の番手）の変更により精紡工程
と粗紡工程とで生産能力のバランスが崩れ、精紡機ある
いは粗紡機の稼動効率を低くせざるえなくなる。この不
都合を解消するために複数のグループ毎に配設された閉
ループをなす主搬送路相互で搬機及び搬送体の乗入れを
可能とすることが必要となる。又、閉ループをなす主搬
送路上を走行する搬機の台数が複数台の場合には一台の
搬機が長時間停止すると他の搬機の走行を妨げ、搬送シ
ステム全体が停止することになる。一方、主搬送路上か
ら搬機を容易に着脱可能にすることは極めて難しい。従
って、搬機の保全を行う場合などのために、搬機を主搬
送路から退避した位置に容易に移動させることができる
装置が必要となる。

これらの要求を実現する手段として第８図に示すよう
に、A,B両ラインの主搬送路33A,33Bをその一部が互いに
接近した状態で平行となるように配設し、その部分に主
搬送路33A,33Bの一部をなす直線状の短レール39A,39Bと
両主搬送路33A,33Bの相互に接続可能な半円弧状のＲレ
ール40A,40Bとを装備した支持枠41を主搬送路33A,33Bと
同一平面内で水平方向にスライド可能に設け、第９図
（ａ），（ｂ）に示すように支持枠41をスライドさせる
ことにより短レール39A,39BあるいはＲレール40A,40Bが
それぞれ主搬送路33A,33Bと接続するように切換えて搬
機38のA,B両ライン間への乗り入れを可能とする装置が
考えられる。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、前記の装置では短レール39A,39Bは主搬送
路33A,33Bを巡回走行する搬機38同士の擦れ違いを可能
とするため搬機38の幅より広い間隔で配置する必要があ
り、その横にＲレール40A,40Bが配設されるため支持枠4
1の占めるスペースが広くなるのに加えて、短レール39
A,39B及びＲレール40A,40Bの連結の切換えが支持枠41の
スライドにより行われるのでスライドを許容するスペー
スも必要となり、この装置を設置するためには大きなス
ペースが必要となる。

一方、紡績工場において粗糸搬送システムを導入する
場合には、すでに設置されている精紡機あるいは粗紡機
のレイアウトを変更せずに搬機が走行する搬送路を配設
するため、前記のように設置スペースを多く必要とする
走行レール切換装置の場合には搬送路のレイアウトを決
める場合に自由度が非常に小さくなるという問題があっ
た。

本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであっ
て、その目的は、粗紡機、精紡機の稼動効率を向上させ
ることができるとともに、設置スペースを広く取る必要
がなく搬送路のレイアウトを決定する際の自由度を大き
くすることができる紡績工場の搬送システムにおける走
行レール切換装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 前記の目的を達成するため本発明においては、多数の
精紡機，粗紡機等を複数のグループに分けて、各グルー
プ毎に搬機が走行するための閉ループをなす走行路を配
設した紡績工場の搬送システムにおいて、隣接するグル
ープの走行路の互いに隣接した部分をそれぞれ分断し、
該分断箇所に支持体を走行路が配設された平面と直交す
る面内で回転自在に配設するとともに該支持体を回動さ
せる駆動装置を設け、前記支持体の上下いずれか一方の
側には、前記各グループ毎に閉ループをなす走行路を構
成する走行レールを固定し、他方の側には、前記一方の
グループの走行路と他方のグループの走行路との間を搬
機が相互に乗り移ることができるように一方のグループ
の走行路と他のグループの走行路とを接続する２つの略
Ｕ字状の切換用レールを固定し、支持体の回動により走
行レールあるいは切換用レールを前記走行路に切換接続
可能とした。

［作用］ 本発明の走行レール切換装置では、走行路の分断箇所
に走行レールが配置された状態では、各グループ毎に閉
ループをなす走行路が構成され、各グループ内で搬機に
よる粗糸搬送が効率良く行われる。一方、紡出条件の変
更によりグループ内における精紡工程と粗紡工程との生
産能力のバランスが崩れるような場合等には、走行路の
分断箇所に２つの略Ｕ字状の切換用レールが配置された
状態に切換えることにより、隣接するグループ間で搬機
を相互に乗り移ることができるため、粗紡機，精紡機の
稼動効率を低下させる必要がなくなる。しかも、搬機が
通常走行する走行路を構成する走行レールと切換用レー
ルとが支持体の上下両側に固定されているため、支持体
の設置に必要なスペースは一方の走行路を構成する走行
レールを配設するのに必要なスペースと同じくなる。そ
して、レールの切換は支持体が180度回動することによ
り行われ、レール切換後も支持体の位置は変化せず走行
レール切換装置の設置に必要なスペースが小さくてす
む。

［実施例］ 以下、本発明を２つのラインにそれぞれ設けられた閉
ループをなす主搬送路上を走行する搬機を別のラインの
搬送路への乗り移り可能とする走行レール切換装置に具
体化した一実施例を第１〜６図に従って説明する。第４
図に示すように多数の粗紡機（図示せず）が配置された
粗紡ゾーン１と、多数の精紡機（図示せず）が配置され
た精紡ゾーン２と、残粗糸処理ゾーン３と、ストックゾ
ーン４とからなる２つのラインA,Bの外周には、走行路
としての閉ループをなす主搬送路5A,5Bがそれぞれ天井
に架設されている。各主搬送路5A,5Bにはそれぞれ搬送
体６を牽引してあるいは単独で走行する搬機７が複数台
配備されている。走行レール切換装置８は主搬送路5A,5
Bが互いに近接する状態で平行に延びる位置において両
搬送路5A,5Bの一部を分断した箇所に配設されている。

走行レール切換装置８の支持枠９はその四隅に固定さ
れたブラケット10を介して水平状態で天井に架設されて
いる。支持枠９の中央部には回転軸11が回転自在に支持
されている。回転軸11の一端近傍の支持枠９上にはモー
タ12が固定され、該モータ12の駆動軸に嵌着固定された
駆動歯車13と噛合する被動歯車14が回転軸11の一端に嵌
着固定されている。回転軸11には支持体としての支持ア
ーム15,16,17が回転軸11と直交する方向に互いに平行と
なる状態で固定されている。支持アーム15,16の一方の
側（第1,3図の下方）には主搬送路5A,5Bの一部を構成す
る走行レール18,19がボルト20a及び支持ブラケット20b
を介して支持されている。又、支持アーム16,17の反対
側には分断された主搬送路5A,5Bの各端部を接続するた
めのほぼ半円弧状をなす切換用レール21,22が互いに対
称となる位置にボルト23a及び支持ブラケット23bを介し
て支持されている。各走行レール18,19及び切換用レー
ル21,22の内側にはそれぞれトロリーダクト18a,19a,21
a,22aが各レールと平行に配設されている。

回転軸11の他端にはほぼ円形の位置決め用プレート24
が一体回転可能に固着され、支持枠９には該位置決め用
プレート24と対向する位置にロック装置としてのエアシ
リンダ25が固定されている。位置決め用プレート24には
走行レール18,19が主搬送路5A,5Bと接続される位置に配
置された際、前記エアシリンダ25のピストンロッド25a
と対応する位置と、同位置に対して回転軸11を挟んで対
称位置とに前記ピストンロッド25aが嵌挿される透孔24
a,24bが形成されている。

次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
走行レール切換装置８は常には走行レール18,19及びト
ロリーダクト18a,19aがそれぞれ主搬送路5A,5Bに接続さ
れてその一部を構成する位置に配置され、その状態でエ
アシリンダ25のピストンロッド25aが位置決め用プレー
ト24の透孔24aに嵌挿された状態に保持されている。こ
の状態ではラインＡとラインＢとは互いに完全に切り離
された状態にあり、両ラインA,Bに配備された搬機７は
主搬送路5A,5B上をそれぞれ巡回走行して各作業ゾーン
１〜４間での搬送体６の搬送あるいは各作業ゾーン１〜
４において搬送体６の搬入、搬出作業を行う。

紡出条件の変更、一方のラインでのトラブル発生等に
より両ラインA,B間での粗糸搬送が必要となった場合あ
るいは他方のラインにおける粗糸搬送の応援用として搬
機７のみを他方のラインに送り込む場合等ラインＡの主
搬送路5AとラインＢの主搬送路5Bとの連結が必要となっ
た場合には、まずエアシリンダ25が作動される。これに
より、ピストンロッド25aが引込まれて位置決めプレー
ト24の透孔24aからピストンロッド25aが離脱し、回転軸
11の回動が可能となる。次にモータ12が駆動されて駆動
歯車13及び被動歯車14を介して回転軸11が回動され、回
転軸11とともに支持アーム15〜17が回動される。これに
より支持アーム15〜17に支持されている走行レール18,1
9、切換用レール21,22、トロリーダクト18a,19a,21a,22
aが第５図（ａ）に示す状態から第５図（ｂ），（ｃ）
に示すように回転軸11と一体的に回動され、180度回動
された時点でモータ12の駆動が停止されて第５図（ｄ）
に示す状態となる。次にエアシリンダ25が作動されてピ
ストンロッド25aが突出し、その先端が位置決め用プレ
ート24の透孔24bに嵌挿されて切換用レール21,22がそれ
ぞれ主搬送路5A,5Bと接続される位置に保持される。従
って、この状態では第６図に示すように、主搬送路5A上
を走行する搬機７は切換用レール22を通って主搬送路5B
へ、主搬送路5B上を走行する搬機７は切換用レール21を
通って主搬送路5Aへと乗移ることが可能となる。主搬送
路5A,5B間での搬機７の乗移りが不要となった場合には
再びエアシリンダ25が作動されてピストンロッド25aと
位置決め用プレート24との係合状態が解除され、その状
態でモータ12が駆動されて前記と同様に回転軸11ととも
に各レール18,19,21,22及びトロリーダクト18a,19a,21
a,22aが回動され、走行レール18,19及びトロリーダクト
18a,19aが主搬送路5A,5Bとそれぞれ接続される通常の状
態に復帰する。

なお、本発明は前記実施例に限定されるものではな
く、例えば、位置決め用プレート24の他に走行レール1
8,19及び切換用レール21,22の両端部にも位置決め用プ
レートを設け、支持枠９には走行レール18,19あるいは
切換用レール21,22が主搬送路5A,5Bと接続される位置に
配置された際に前記各位置決め用プレートと対応する位
置にそのピストンロッドが位置決め用プレートと係合可
能なエアシリンダを設け、各レール18,19,21,22の接続
位置での保持をより確実にしてもよい。さらには、粗紡
・精紡工程間の粗糸搬送に限らず、チーズ等他の物を搬
送する搬送システムに具体化してもよい。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明によれば走行路の分断箇
所に走行レールが配置された状態では、各グループ毎に
閉ループをなす走行路が構成され、各グループ内で搬機
による粗糸搬送が効率良く行われる。一方、紡出条件の
変更によりグループ内における精紡工程と粗紡工程との
生産能力のバランスが崩れるような場合等には、走行路
の分断箇所に２つの略Ｕ字状の切換用レールが配置され
た状態に切換えることにより、隣接するグループ間で搬
機を相互に乗り移ることができるため、粗紡機，精紡機
の稼動効率を低下させる必要がなくなる。その結果、粗
紡機，精紡機の稼動効率を向上させることができる。

又、上記の走行レールと切換用レールとの切換は、走
行路が配設された平面と直交する面内での回転により行
われるため、各レールのスライドにより切換を行う装置
に比較して走行レール切換装置を設置するのに必要なス
ペースが少くてすみ、紡績工場における搬送システムの
搬送路のレイアウトを設計する際の自由度が大幅に増大
するのいう優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図は本発明を具体化した一実施例を示すもので
あって、第１図は走行レール切換装置の側断面図、第２
図は同じく平面図、第３図は第２図のＸ−Ｘ線拡大断面
図、第４図は２つのラインの主搬送路と走行レール切換
装置の配置を示す概略平面図、第５図（ａ）〜（ｄ）は
作用を示す概略図、第６図は２つのラインの主搬送路と
走行レール切換装置の配置を示す概略平面図、第７図は
従来装置の精紡機、粗紡機、主搬送路の配置を示す概略
平面図、第８図は２つのライン毎に設けられた主搬送路
と走行レール切換装置の配置を示す概略平面図、第９図
（ａ），（ｂ）は従来の走行レール切換装置の作用を示
す概略平面図である。 走行路としての主搬送路5A,5B、搬機７、走行レール切
換装置８、駆動装置を構成する回転軸11,モータ12,駆動
歯車13,被動歯車14、支持体としての支持アーム15,16,1
7、走行レール18,19、切換用レール21,22,27。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−194228（ＪＰ，Ａ) 特公 昭32−7578（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多数の精紡機，粗紡機等を複数のグループ
   に分けて、各グループ毎に搬機が走行するための閉ルー
   プをなす走行路を配設した紡績工場の搬送システムにお
   いて、隣接するグループの走行路の互いに隣接した部分
   をそれぞれ分断し、該分断箇所に支持体を走行路が配設
   された平面と直交する面内で回転自在に配設するととも
   に該支持体を回動させる駆動装置を設け、前記支持体の
   上下いずれか一方の側には、前記各グループ毎に閉ルー
   プをなす走行路を構成する走行レールを固定し、他方の
   側には、前記一方のグループの走行路と他方のグループ
   の走行路との間を搬機が相互に乗り移ることができるよ
   うに一方のグループの走行路と他のグループの走行路と
   を接続する２つの略Ｕ字状の切換用レールを固定し、支
   持体の回動により走行レールあるいは切換用レールを前
   記走行路に切換接続可能とした紡績工場の搬送システム
   における走行レール切換装置。