JP2602084Y2 - メリヤス丸編機の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、メリヤス丸編機におい
て、直径の異なる各種の上釜に適応した上釜用カムホル
ダーを上釜用保持板に取り付ける際に、各種の上釜用カ
ムホルダーの交換作業と上釜用カムホルダーの製作を容
易にした構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばメリヤスシャツを丸編機で
編成し製造する際には、着用者の大中小の体型に適合す
るように、一般に小型寸法、中型寸法、大型寸法の３種
類のシャツを編成している。これらの各種寸法のシャツ
は、シャツ本体の胴部寸法に適合したシリンダ径を有す
る丸編機を使用して編成している。すなわち、下釜の直
径が１６インチの丸編機では小型寸法のシャツが編成さ
れ、下釜の直径が１７インチの丸編機では中型寸法のシ
ャツが編成され、下釜の直径が１８インチの丸編機では
大型寸法のシャツが編成される。そして、シリンダ径が
固有の専用の丸編機をそれぞれ稼働して各種寸法のシャ
ツを製造している。しかしながら、小型寸法及び大型寸
法のシャツの生産量は中型寸法のシャツの生産量に比べ
て極めて少ないので、通常は下釜の直径が１７インチの
丸編機で中型寸法のシャツが編成されており、下釜の直
径が１６インチの丸編機及び下釜の直径が１８インチの
丸編機は、倉庫に格納しておき、必要に応じて１６イン
チの丸編機及び１８インチの丸編機を工場内に搬入し、
据え付けるようにしている。

【０００３】したがって、下釜の直径が１６インチの丸
編機及び下釜の直径が１８インチの丸編機は、倉庫に格
納されている時間が長いのでの稼働率や投資効率が極め
て悪く、また、工場内に搬入するためのスペースを確保
しておく必要があり、工場内のスペース効率も極めて悪
くなる等の欠点があった。

【０００４】また、回転シリンダを駆動ギアに固定する
とともにダイヤルはニードルハブに連結し、シリンダカ
ムホルダー、ダイヤルカムホルダーの呼称サイズを変更
した場合、各部品の大きさを変更することは公知である
（実開平２−１４６１８２号公報）。編成するメリヤス
編地に応じて編成用カムを交換することは当然のことで
あるが、前記公知の編機においては、各種寸法のメリヤ
ス編地は、編地の寸法に適合したシリンダ径を有する丸
編機を使用して編成している。すなわち、シリンダ径を
変更する場合は、回転シリンダ、シリンダカムホルダ
ー、駆動ギア、ダイヤル、ダイヤルカムホルダーをそれ
ぞれ変更する必要がある。

【０００５】この際、編成部品の交換を最小限度にとど
めるために、交換部品の取付け位置を共通する必要があ
る。そのために、例えばダイヤルカムホルダーを一定の
個数に不等分割し、シリンダ径を変更する場合は、共通
の取付け位置において異なるダイヤルカムホルダーを取
付けるものである。

【０００６】しかしながら、各種寸法のメリヤス編地の
寸法に適合したシリンダ径を有する丸編機を使用してシ
リンダ径を変更する場合は、その度ごとに異なった不等
分割したダイヤルカムホルダーを用意しておかなければ
ならない。ダイヤルカムホルダーを不等分割することは
機械工作上高度の精度を必要とし、また各種の不等分割
したダイヤルカムホルダーを用意することは煩雑で、編
機に据え付る際に作業効率が悪るく、従って、丸編機の
稼働率が極めて悪く、また、各種の多数の不等分割した
ダイヤルカムホルダーを用意するための工場内のスペー
ス効率も極めて悪くなる等の欠点があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記の欠点
を解消し、各種の上釜用カムホルダーを上釜用保持板に
取り付ける際に、上釜用カムホルダーの交換作業を容易
にし、上釜用カムホルダーの製作を容易にしたメリヤス
丸編機を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記課題を解
決するために、直径の異なる各種の上釜に適応し裏面内
周側に切欠部を設けた各種の上釜用カムホルダーと、裏
面外周側に切欠部を設けた上釜用保持板と、前記上釜用
カムホルダーの切欠部と上釜用保持板の切欠部に係合す
る円形ドーナツ型の連結片と、前記上釜用カムホルダー
と連結片とを結合するボルトと、前記上釜用保持板と連
結片とを結合するボルトとからなり、前記上釜用保持板
と連結片とを結合するボルトの位置のみを共通化して構
成してなる点に特徴がある。

【０００９】

【作用】本考案は、従来のように、各種寸法の編地を編
成する際に、シリンダ径が固有の専用の各種の丸編機を
すべて保有することなく、各種編地を編成する際には、
直径の異なる各種の上釜用カムホルダーを上釜用保持板
に装着、固定するに当たり、円形ドーナツ型の連結片を
介して一対のボルトで固定し、上釜用保持板と連結片と
を結合するボルトの位置のみを共通化することにより、
作業能率が向上し、編機の稼働率、投資効率及びスペー
ス効率を著しく向上させるものである。

【００１０】

【実施例】本考案の実施例を図面に基づいて説明する
と、１はメリヤス丸編機、、２は上釜、３は下釜、４は
上釜用回転盤、５は下釜用回転盤で適宜駆動回転される
ようにしてある。６は上釜用カムホルダー、７は下釜用
カムホルダー、８は上釜用保持板、９は下釜用保持板で
それぞれ適宜固定されている。

【００１１】上釜２は所定位置に設けたボルト１０，１
１を介して上釜用回転盤４に固定してあり、同様に下釜
３は所定位置に設けたボルト１２を介して下釜用回転盤
５に固定してある。

【００１２】図１に示すように、上釜用カムホルダー６
の裏面内周側に切欠部６Ａを設け、上釜用保持板８の裏
面外周側にも切欠部８Ａを設ける。そして円形ドーナツ
型の連結片１５を切欠部６Ａと切欠部８Ａに係合する。
そして、上釜用保持板８と連結片１５とをボルト１６で
結合するとともに上釜用カムホルダー６と連結片１５と
をボルト１７で結合することにより、上釜用カムホルダ
ー６は、連結片１５及びボルト１６，１７を介して上釜
用保持板８に固定してある。また、下釜用カムホルダー
７は、ボルト１８を介して下釜用保持板９に固定してあ
る。

【００１３】図１、図２に示すように、上釜２及び下釜
３よりも直径の大きい上釜２０及び下釜２１を回転盤
４，５に装着する場合には、前記と同様にボルト１０，
１１を介して上釜２０を上釜用回転盤４に固定し、さら
にボルト１２を介して下釜２１を下釜用回転盤５に固定
するようにする。

【００１４】また、各種のサイズの異なった上釜及び下
釜をそれぞれ上釜用回転盤４及び下釜用回転盤５に固定
するには、各種サイズにおいても共通化したボルト１
０，１２を介して同様に固定するようにする。

【００１５】また、前記の直径の大きい上釜２０に適合
した上釜用カムホルダー２２、即ち前記の上釜用カムホ
ルダー６よりも上釜２０の直径方向での長さが長く、か
つ外側に位置する別の上釜用カムホルダー２２を上釜用
保持板８に装着するときには、連結片１５及びボルト１
６，２５を介して上釜用カムホルダー２２を上釜用保持
板８に固定するようにする。

【００１６】なお、上釜用カムホルダー２２を上釜用保
持板８に装着するにあたり、図３に示すように、ボルト
１６の位置は共通であるのに対して、ボルト２５の位置
はボルト１７と同一円周軌跡上でかつ位置がズレた状態
にある。これは上釜用カムホルダーを直径の大小にかか
わらず等分割したセグメントを用いるからである。

【００１７】さらに、図４に示すように、前記の直径の
大なる下釜２１に適合した下釜用カムホルダー２３、即
ち、下釜用カムホルダー７よりも外側に位置する下釜用
カムホルダー２３を下釜用保持板９に装着するときに
は、ボルト１８の位置よりも外側に位置するボルト２４
を介して下釜用カムホルダー２３を下釜用保持板９に固
定するようにする。

【００１８】なお、上釜用カムホルダー６よりも直径方
向での長さが長く、かつ外側に位置する別の上釜用カム
ホルダー２２を上釜用保持板８に装着するにあたり、図
２に示すように、連結片１５の代わりに断面が逆Ｔ字形
の連結片２６を介して装着するようにしてもよい。

【００１９】

【考案の効果】本考案は、上記のように構成されるの
で、従来のように、各種寸法の編地を編成する際に、シ
リンダ径が固有の専用の各種の丸編機をすべて保有する
ことなく、一種類のシリンダ径の編機だけ保有し、各種
の寸法の編地を編成する際には、直径の異なる各種の上
釜用カムホルダーを用意し、各種サイズに適応したカム
ホルダーを保持板に装着、固定するに当たり、円形ドー
ナツ型の連結片を介して一対のボルトで固定し、上釜用
保持板と連結片とを結合するボルトの位置のみを共通化
して、上釜用保持板と連結片を固定するとともに、他方
のボルトを介して上釜用カムホルダーと連結片とを結合
し固定するようにしたものであるから、上釜用カムホル
ダーの取替え作業を能率的に行うことができ、かつ従来
のように余分の上釜用保持板を各種サイズに応じて準備
する必要がなく、極めて経済的である。

【００２０】上釜用カムホルダーの裏面内周側に設けた
切欠部と上釜用保持板の裏面外周側に設けた切欠部に円
形ドーナツ型の連結片を係合するので、上釜用カムホル
ダーの位置あわせが容易であり、交換作業が省力化さ
れ、したがって、編機の稼働率、投資効率を著しく向上
させることができる。

【００２１】また、上釜用カムホルダーを直径の大小に
かかわらず等分割したセグメントを用いるから、上釜用
カムホルダーの製作が容易になり、各種の上釜用カムホ
ルダーを多数大量に生産することができ、各種の寸法の
編地を編成する際には、各種上釜用カムホルダーだけを
準備し、それらの上釜用カムホルダーだけを交換するだ
けですむので、組立てや分解を容易にかつ能率的に行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の構造全体を示した概略断面図である。

【図２】本考案の構造全体を示した他の実施例による概
略断面図である。

【図３】本考案による上釜用カムホルダーの配置を示し
た説明用概略平面図である。

【図４】本考案による下釜用カムホルダーの配置を示し
た説明用概略平面図である。

【図５】本考案による上釜用カムホルダーの配置を示し
た他の実施例のよる説明用概略平面図である。

【符合の説明】

８ 保持板 １５、２６ 連結片

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直径の異なる各種の上釜に適応し裏面内
   周側に切欠部を設けた各種の上釜用カムホルダーと、裏
   面外周側に切欠部を設けた上釜用保持板と、前記上釜用
   カムホルダーの切欠部と上釜用保持板の切欠部に係合す
   る円形ドーナツ型の連結片と、前記上釜用カムホルダー
   と連結片とを結合するボルトと、前記上釜用保持板と連
   結片とを結合するボルトとからなり、前記上釜用保持板
   と連結片とを結合するボルトの位置のみを共通化して構
   成してなるメリヤス丸編機の構造。
2. 【請求項２】 連結片の断面形状が逆Ｔ字形である請求
   項１記載のメリヤス丸編機の構造。