JP2601623Y2 - ホーンスイッチ付きエアバッグ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ステアリングホイール
の中央部に配置され、自動車の衝突時等における着座乗
員の衝撃を吸収してその保護を図るホーンスイッチ付き
エアバッグ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の衝突時等における運転者を保護
するために、ステアリングホイールの中央部にエアバッ
グカバーが運転席に対向するように配置されたホーンス
イッチ付きエアバッグ装置が提供されている。

【０００３】従来、この種のホーンスイッチ付きエアバ
ッグ装置としては、実開平４−５１７１号公報に記載の
ものが知られている。このものは、エアバッグカバー
（パッド部）を内部部材と外部部材とで構成してあり、
外部部材と相対向する内部部材の壁面に位置決め壁面と
複数の凸部を形成する一方、薄膜スイッチを一対の薄い
導電プレートで構成し、前記凸部に対応して第１の薄膜
スイッチに複数の穴部を設け、第１の薄膜スイッチを内
部部材に嵌装すると共に、第２の薄膜スイッチを内部部
材の位置決め壁面と凸部とに当接させて、第１の薄膜ス
イッチと対向し所定の間隙を保持して配設し、内部部材
と外部部材とをリベット締めする構成のものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前記公報に記載のもの
においては、内部部材に嵌装した第１の薄膜スイッチと
対向し所定の間隙を保持して第２の薄膜スイッチを配設
し、これら両薄膜スイッチを包み込むようにして外部部
材と内部部材を４側面ともリベット締めする構成である
ので、薄膜スイッチが故障したときに、薄膜スイッチを
取り替えることは極めて困難であった。

【０００５】本考案は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、薄膜スイッチを容易に交換できると共に、エア
バッグ展開時にも薄膜スイッチの飛散を防止することが
できるホーンスイッチ付きエアバッグ装置を提供しよう
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案におけるホーンスイッチ付きエアバッグ装置
は、ステアリングホイールの中央部に配置されるエアバ
ッグ装置において、エアバッグカバーが頂板と頂板の周
縁より折曲延成した側板とを有し、前記頂板から一側板
の内面にかけて一側板側に開放するコ字状のリブを突設
すると共に、前記リブに係止突起を形成してあり、前記
リブの外周で頂板と側板との連接部位には薄肉状に凹溝
を形成して、エアバッグ作動時に一側板と頂板との連接
部位がヒンジとして開口するようにしてあり、バックプ
レートには前記係止突起と嵌合する嵌合孔を設けてあ
り、前記リブとバックプレートとによって形成される空
間部に薄膜スイッチが収納されると共に、前記一側板に
バックプレート及び薄膜スイッチを取り外し可能な締結
手段によって固定し、前記薄膜スイッチをホーンスイッ
チとして使用したものである。

【０００７】

【作用】乗員が薄膜スイッチを作動させるためにエアバ
ッグカバーの頂板を押圧操作すると、この押圧力は頂板
の直下に位置する薄膜スイッチに伝わり、薄膜スイッチ
が作動してホーンが鳴ることとなる。このホーンを鳴ら
す操作において、エアバッグカバーの頂板下に広い面積
にわたって薄膜スイッチを設けてあるので、頂板のいず
れの部位を押圧してもホーンを鳴らせることができる。
そして、この薄膜スイッチは、エアバッグカバーの一側
板のボルトを外すことにより、容易に交換することがで
きる。また、薄膜スイッチは、バックプレートにより外
れないように支持されていると共に、エアバッグ作動時
にエアバッグカバーは一側板と頂板とが連接する部位を
ヒンジとして開口するので、エアバッグ展開時において
も飛散しない。

【０００８】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。１
１は、エアバッグ装置を被覆し、ステアリングホイール
１２の中央部に配置されるエアバッグカバーである。こ
のエアバッグカバー１１は、熱可塑性エラストマー樹脂
製又はウレタン発泡製のものを使用すればよい。エアバ
ッグカバー１１は、頂板１３と頂板１３の周縁より折曲
延成した側板１４とを有する。

【０００９】図３及び図４に詳示するように、ステアリ
ングホイール１２を前走方向に位置せしめた状態（図３
に示す状態）において、上方に位置する部位の一側板１
４ａの内壁面には、両側部において、下端より頂板１３
に向けて並行に夫々リブ１５，１５を突出形成してあ
る。この２列のリブ１５，１５は、頂板１３の内壁面に
突出形成したリブ１５に連続し、頂板１３の内壁面の乗
員側に位置する側端部において屈曲し、頂板１３におい
てコ字状を呈するように連続形成してある。このリブ１
５は、後述する薄膜スイッチ１６及びバックプレート１
７を収納するための空間部を形成するためのものであ
り、例えば、内壁面より１ｍｍ程度の高さを有するよう
に形成すればよい。尚、一側板１４ａと頂板１３とが連
接する部位のリブ１５，１５には、図４に示すように、
アールをつけておくと、薄膜スイッチ１６の取付操作が
容易となる。

【００１０】頂板１３に設けたリブ１５の両側部及び側
端部には、バックプレート１７を取り付けるための係止
突起１８，１８…を形成してある。また、一側板１４ａ
と頂板１３とが連接する部位には、リブ１５，１５間
に、アールをつけたガイドリブ１９を形成すると、薄膜
スイッチ１６の取付操作がより容易となる。

【００１１】頂板１３の内壁面において、リブ１５の外
周で頂板１３と側板１４とが連接する部位には、エアバ
ッグ袋体２０の膨張展開時にエアバッグカバー１１の破
断を容易にするため、局部的に薄肉となるように凹溝２
１を形成してある。そして、エアバッグの作動時に、エ
アバッグカバー１１がこの凹溝２１に沿って破断し、頂
板１３と一側板１４ａとが連接する部位をヒンジとして
開口する（１枚開き）となるようにしてある。２２は、
ボルト２３により薄膜スイッチ１６、バックプレート１
７等を取り付けるための取付孔である。

【００１２】ホーンスイッチとして用いる薄膜スイッチ
１６は、弾性を有する薄いシート状のものである。薄膜
スイッチ１６は、誤作動がないように、エアバッグカバ
ー１１の頂板１３の下に位置する部位のみに感知部１６
ａを設けてある。また、薄膜スイッチ１６には、前記取
付孔２２に対応する部位に孔２４を設けてある。尚、２
５はコネクタであり、２６は薄膜スイッチ１６のスイッ
チ配線である。

【００１３】バックプレート１７は、頂板１３の内壁面
より一定間隔の間隙を形成して、薄膜スイッチ１６の挿
入空間を形成するためのものである。また、このバック
プレート１７により、シート状の薄膜スイッチ１６に剛
性を持たせ、薄膜スイッチ１６を安定して作動させるこ
とができる。バックプレート１７は、熱可塑性エラスト
マー樹脂等ある程度の剛性のある樹脂を使用する。そし
て、バックプレート１７は、エアバッグカバー１１の一
側板１４ａと頂板１３との屈曲形状と同様に屈曲形成し
てある。尚、薄膜スイッチ１６の取替操作が容易となる
ように、バックプレート１７及びエアバッグカバー１１
の薄膜スイッチ接触面に塗装を施したり、シリコンオイ
ル等を塗布する方がよい。

【００１４】バックプレート１７には、前記係止突起１
８，１８…に対応する部位に、これら係止突起１８，１
８…と嵌合する嵌合孔２７，２７…を設けてある。そし
て、これら嵌合孔２７，２７…に係止突起１８，１８…
を嵌合させることにより、バックプレート１７をエアバ
ッグカバー１１の内壁面に取り付ける。かくして、バッ
クプレート１７とエアバッグカバー１１の内壁面との間
には、リブ１５の高さだけ空間が形成され、この空間部
に薄膜スイッチ１６を容易に挿入することができる。

【００１５】また、バックプレート１７には、前記エア
バッグカバー１１の取付孔２２と対応する部位に、孔２
８を設けてある。そして、エアバッグカバー１１の一側
板１４ａの取付孔２２、薄膜スイッチ１６の孔２４、バ
ックプレート１７の孔２８、後述するベースプレート２
９の取付孔３０にボルト２３を通すことにより、薄膜ス
イッチ１６は固定される。薄膜スイッチ１６が故障すれ
ば、ボルト２３を外すことにより、薄膜スイッチ１６だ
けを容易に取り替えることができる。

【００１６】エアバッグ袋体２０は、円形状を呈する２
枚の基材の外縁部を縫合して形成してある。このエアバ
ッグ袋体２０は、従来の自動折り畳み機により均一に折
り畳まれたものを使用すればよい。エアバッグ袋体２０
は、基材の中央部に設けた開口の周縁部をリングプレー
ト３１とベースプレート２９との間にリベット等で挟持
せしめられ、更にインフレータ３２に気密に結合されて
いる。

【００１７】リングプレート３１は、その中央部にイン
フレータ３２の頭部を嵌挿するための透孔３３を形成し
た円環形状を呈し、複数個の締結孔３４，３４…を穿設
してある。そして、リングプレート３１とベースプレー
ト２９との間にエアバッグ袋体２０が挟持され、リング
プレート３１の締結孔３４とベースプレート２９の締結
孔３５を介して、リベット３６により結合されている。

【００１８】ベースプレート２９には、その中央部にイ
ンフレータ３２の頭部を嵌挿するための透孔３７を穿設
してある。また、ベースプレート２９には、インフレー
タ３２を取り付けるなどのために、複数個の貫通孔３
８，３８…を穿設してある。そして、リングプレート３
１にかしめられたボルト３９を貫通孔３８に挿通するこ
とにより、ベースプレート２９にエアバッグ袋体２０、
リングプレート３１、インフレータ３２が取り付けられ
ると共に、リベット４０によりエアバッグカバー１１が
ベースプレート２９に取り付けられている。本装置は、
このベースプレート２９を介して、ステアリングホイー
ル１２に固定される。

【００１９】インフレータ３２は、内部にガス発生剤を
封入した薄い円筒容器状のもので、その側面部に複数個
のガス噴出口４１，４１…を形成してある。また、イン
フレータ３２の外周には、ガス噴出口４１，４１…の側
方にフランジ４２を設けてある。そして、インフレータ
３２は、その頭部がベースプレート２９、エアバッグ袋
体２０の開口、リングプレート３１を貫通して、そのフ
ランジ４２がリベット３６により、ベースプレート２９
に固定されている。そして、インフレータ３２のガス噴
出口４１，４１…は、エアバッグ袋体２０により囲繞さ
れている。

【００２０】尚、図面に示した実施例では、頂板１３と
側板１４とが連接する部位にエアバッグカバー１１の破
断を容易にする凹溝２１を設けた１枚開きなるものを示
したが、頂板１３中央部に凹溝を設けて２枚開きとなる
ものでもよい。この場合は、一側板１４ａは上下の側板
を示すことになり、バックプレート及び薄膜スイッチは
上下の側板から頂板にかけて取り付けるものとする。

【００２１】

【考案の効果】本考案は、上述の通り構成されており、
薄膜スイッチをエアバッグカバーより取り外し可能にし
ているので、薄膜スイッチが故障したときに、薄膜スイ
ッチだけを容易に取り替えることができる。また、薄膜
スイッチをエアバッグカバーの頂板下に広い面積にわた
って配してあるので、スイッチ感知部が広く、安定した
ホーンスイッチ機能を発揮することができる。更に、エ
アバッグ袋体の展開時において、薄膜スイッチがリブと
バックプレートとにより形成される空間部に収納され、
また、バックプレートと薄膜スイッチはエアバッグカバ
ーの一側板にボルトにより固定されているので、薄膜ス
イッチ等の飛散がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ホーンスイッチ付きエアバッグ装置の要部分解
斜視図である。

【図２】ホーンスイッチ付きエアバッグ装置の縦断面図
である。

【図３】エアバッグカバーの底面図である。

【図４】エアバッグカバーの底面側から見た部分斜視図
である。

【図５】バックプレートの斜視図である。

【図６】メンブレンスイッチの正面図である。

【符号の説明】

１１ エアバッグカバー １２ ステアリングホイール １３ 頂板 １４ 側板 １４ａ 一側板 １５ リブ １６ 薄膜スイッチ １７ バックプレート １８ 係止突起 ２３ ボルト ２７ 嵌合孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B60R 21/16 - 21/32 B62D 1/04 - 1/20

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ステアリングホイールの中央部に配置さ
   れるエアバッグ装置において、 エアバッグカバーが頂板と頂板の周縁より折曲延成した
   側板とを有し、 前記頂板から一側板の内面にかけて一側板側に開放する
   コ字状のリブを突設すると共に、前記リブに係止突起を
   形成してあり、 前記リブの外周で頂板と側板との連接部位には薄肉状に
   凹溝を形成して、エアバッグ作動時に一側板と頂板との
   連接部位がヒンジとして開口するようにしてあり、 バックプレートには前記係止突起と嵌合する嵌合孔を設
   けてあり、 前記リブとバックプレートとによって形成される空間部
   に薄膜スイッチが収納されると共に、前記一側板にバッ
   クプレート及び薄膜スイッチを取り外し可能な締結手段
   によって固定し、前記薄膜スイッチをホーンスイッチと
   して使用したことを特徴とするホーンスイッチ付きエア
   バッグ装置。