JP2601056B2 - 軟磁性膜材料構造体および磁気ヘッド - Google Patents

軟磁性膜材料構造体および磁気ヘッド

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JP2601056B2 JP3119083A JP11908391A JP2601056B2 JP 2601056 B2 JP2601056 B2 JP 2601056B2 JP 3119083 A JP3119083 A JP 3119083A JP 11908391 A JP11908391 A JP 11908391A JP 2601056 B2 JP2601056 B2 JP 2601056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁性膜形成用セラミ
ック基板、磁気ヘッド材料、及び、磁気ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、飽和磁化の大きいFeSiAl系
膜,FeMN系膜を磁気ヘッドコア材料として用いる際
には、セラミック基板上に直接これらの軟磁性膜を成膜
していた。このセラミック基板は上記金属軟磁性膜と熱
膨張係数が近いことが必要である。そのため、NiO,
MnO,CoOなどの熱膨張係数の大きい酸化物を多く
含有させる必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】FeSiAl系膜,F
eMN系膜はスパッタなどの気相成長法による成膜後、
500℃以上の熱処理を施すことにより、軟磁気特性膜
となる。これらの膜を、磁気ヘッド化する際にセラミッ
ク基板上に直接成膜し、熱処理すると、軟磁性膜を構成
する元素の酸化物の生成エネルギーが、セラミック基板
を構成する金属、或は、半金属の酸化物の生成エネルギ
ーよりも低いと、セラミック中の酸素が磁性膜に奪わ
れ、磁性膜の軟磁気特性が劣化していた。特に、Ni
O,CoOなどは酸化物生成エネルギーが高いため、熱
処理の際の金属軟磁性膜への酸素の取り込みが顕著であ
った。
【0004】例えば、MnO,NiOからなるセラミッ
ク基板にFeTaN系膜を成膜し、熱処理すると、図4
に示すように、Niの酸化物生成エネルギーがFeのそ
れよりも高いため、基板の酸素が磁性膜に奪われ、軟磁
気特性が劣化していた。
【0005】結果として、磁気ヘッドの特性が劣化して
いた。
【0006】本発明の目的は、いかなる軟磁性体膜に対
しても基板から酸素の侵入による磁気特性の劣化の起こ
らないセラミック基板構造体を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、セラミック基板上に
成膜した磁性膜の軟磁気特性劣化が抑制された軟磁性体
膜構造体を提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、効率を向上さ
せた磁気ヘッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属あるいは
半金属の酸化物の粒から成るセラミック基板であって、
前記セラミック基板がNiO粒あるいはCoO粒の少な
くとも一方を含み、前記基板表面に酸化物の薄膜を形成
し、前記酸化物の薄膜上に軟磁性膜を形成したことを特
徴とする軟磁性膜構造体であって、前記酸化物を形成す
る元素の酸化物生成エネルギーが、前記軟磁性膜を形成
する金属あるいは半金属の酸化物生成エネルギーに対し
て、同等もしくは小さいことを特徴とする。
【0010】本発明は、前記軟磁性膜がFeMNから成
り、MはTi,Nb,Zr,Mo,Hf,Taの群から
選択される少なくとも1種類の元素であり、Nは窒素で
ある軟磁性膜であり、前記酸化物膜が、Al23 、あ
るいはMgO、あるいはCaO、あるいはSiO2 、あ
るいはMnOであることを特徴とする。また本発明は、
前記軟磁性膜がFeAlSiから成る軟磁性膜であり、
前記酸化物膜が、Al23 、あるいはMgO、あるい
はCaOであることを特徴とする。
【0011】以上の軟磁性膜構造体の軟磁性膜を磁気コ
アとして磁気ヘッドを作製する。
【0012】
【実施例】
実施例1 図1に示すように、基板としてMnO,NiOから成る
セラミック板11を用い、基板上にAl2 3 膜12を
0.1μm成膜した場合(図1(a))と、しない場合
(図1(b))について、図2(a),(b)に示すよ
うにFeTaN膜(軟磁性膜)を形成して、軟磁性膜構
造体を作り、550℃で熱処理を施した後の軟磁気特性
を評価した。その結果、Al2 3 膜を形成した時の保
磁力(図3(a))は、Al2 3 膜のない時の保磁力
(図3(b))に較べて大きく減少し、軟磁気特性が改
善された。
【0013】AES(オージェ電子分光法)による膜厚
方向での酸素の分布を調べた結果、Al2 3 膜がない
場合は、熱処理によって酸素が磁性膜中に拡散している
ことが判った。これは、図4に示す酸化物の生成エネル
ギーが基板のNiよりも、磁性膜のFeの方が低いた
め、基板のNiOの酸素が、熱処理によって磁性膜のF
eに奪われたためである。それに対し、Al2 3 膜を
設けた時には、熱処理による酸素の磁性膜中への拡散は
認められなかった。これはAlの酸化物生成エネルギー
が低いため、磁性膜を構成する元素に酸素を奪われなか
ったためである。
【0014】また、Al2 3 の膜厚は0.05μmで
も有効であった。
【0015】実施例2 基板としてCaO,TiO2 ,NiOからなるセラミッ
ク板を用い、基板上にAl2 3 を0.1μm成膜した
場合と、しない場合について、FeTaN膜を形成し、
550℃で熱処理を施した後の軟磁気特性を評価した。
軟磁性膜構造体は図2(a),(b)の通りである。そ
の結果、Al2 3 膜を形成した時の保磁力は、Al2
3 膜のない時の保磁力に較べて大きく減少し、軟磁気
特性が改善された。
【0016】実施例3 CaO,TiO2 ,NiOから成るセラミック基板にA
2 3 膜を0.1μm形成し、更に、Al2 3 上に
FeTaN膜を成膜し熱処理した軟磁性膜構造体を用
い、軟磁性膜52がセラミック基板51で挟まれた構造
の磁気コアを作成し、これを用いて図5に示す構造の磁
気ヘッドを作製した。FeTaN膜厚は5μm、ギャッ
プ幅は0.3μmであった。
【0017】Al2 3 膜を形成しなかった磁気ヘッド
に較べ、図6に示すように、大きい出力が得られた。こ
れはAl2 3 膜によってFeTaN膜へ基板から酸素
が侵入して来なかったために、FeTaNの軟磁気特性
が良好であったことによる。
【0018】以上の各実施例の他にも、基板としてCo
Oを含む複合系でも本発明の効果があることは自明であ
る。また、Al23 膜に代えて、CaO膜,MgO
膜,SiO 2 ,MnO膜などを用いても同様である。磁
性膜として、Ta以外のFeMN(M=Ti,Zr,N
b,Mo,Hf,Ta)系膜や、FeSiAl膜の場合
も同様に、磁性膜を構成する元素よりも酸化物の生成エ
ネルギーの低い元素の酸化物を基板表面に形成すること
によって、酸素の膜中への拡散を防止し、軟磁気特性の
劣化を抑制できる。
【0019】
【発明の効果】本発明により、熱膨張係数を磁性体膜な
みに大きくするために酸化物生成エネルギーの高いNi
O,CoOを多く含するセラミック基板であっても、い
かなる軟磁性体膜に対しても基板からの酸素の侵入によ
る磁気特性の劣化の起こらないセラミック基板構造体が
実現できた。また、この構造により、表面研磨の難しい
セラミックであっても、表面に形成した酸化物などの膜
を研磨することにより、表面平滑性の改善が可能であ
る。
【0020】更に、本発明により、セラミック基板上に
成膜した磁性膜の軟磁気特性劣化が抑制された軟磁性体
膜構造体が実現した。実施例の他にも、基板としてCo
Oを含む複合系でも本発明の効果があることは自明であ
る。
【0021】以上の効果から、本発明による軟磁性体膜
構造体を磁気ヘッドコアとすることにより、磁気ヘッド
の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明および従来のセラミック基板構造体を示
す図である。
【図2】本発明および従来の軟磁性材料構造体を示す図
である。
【図3】本発明および従来の軟磁性膜構造体による磁化
曲線を示す図である。
【図4】酸化物の標準生成自由エネルギーを示すグラフ
である。
【図5】磁気ヘッドの斜視図である。
【図6】磁気ヘッドの規格化出力を示すグラフである。
【符号の説明】
11,51 セラミック基板 12 Al2 3 膜 13,52 軟磁性膜

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属あるいは半金属の酸化物の粒から成る
    セラミック基板であって、前記セラミック基板がNiO
    粒あるいはCoO粒の少なくとも一方を含み、前記基板
    表面に酸化物の薄膜を形成し、前記酸化物の薄膜上に軟
    磁性膜を形成したことを特徴とする軟磁性膜構造体であ
    って、前記酸化物を形成する元素の酸化物生成エネルギ
    ーが、前記軟磁性膜を形成する金属あるいは半金属の酸
    化物生成エネルギーに対して、同等もしくは小さいこと
    を特徴とする軟磁性膜材料構造体。
  2. 【請求項2】前記軟磁性膜がFeMNから成り、MはT
    i,Nb,Zr,Mo,Hf,Taの群から選択される
    少なくとも1種類の元素であり、Nは窒素である軟磁性
    膜であり、前記酸化物膜が、Al23 、あるいはMg
    O、あるいはCaO、あるいはSiO2 、あるいはMn
    Oであることを特徴とする請求項1記載の軟磁性膜材料
    構造体。
  3. 【請求項3】前記軟磁性膜がFeAlSiから成る軟磁
    性膜であり、前記酸化物膜が、Al23 、あるいはM
    gO、あるいはCaOであることを特徴とする請求項1
    記載の軟磁性膜材料構造体。
  4. 【請求項4】請求項2記載の軟磁性膜材料構造体を磁気
    コアとしたことを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】請求項3記載の軟磁性膜材料構造体を磁気
    コアとしたことを特徴とする磁気ヘッド。
JP3119083A 1991-04-24 1991-04-24 軟磁性膜材料構造体および磁気ヘッド Expired - Lifetime JP2601056B2 (ja)

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DE69203029T DE69203029T2 (de) 1991-04-24 1992-04-24 Magnetische Struktur.
US08/155,185 US5572391A (en) 1991-04-24 1993-11-22 Magnetic head

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