JP2600779Y2 - 固形物付着防止型凝集混和槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、下水汚泥の脱水処理工
程において用いる固形物付着防止型凝集混和槽に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、下水処理施設における汚泥の脱水
処理工程では、下水汚泥を脱水機に投入するに先だって
脱水効果の向上のために下水汚泥中に凝集剤を添加して
調質している。下水汚泥の調質は、例えば図３に示すよ
うに、凝結過程をなす急速攪拌槽１に下水汚泥２を投入
して無機凝集剤ないしカチオン系凝集剤４を添加し、槽
内に設置した攪拌器３により下水汚泥２とカチオン系凝
集剤４を急速に攪拌混合して下水汚泥２の荷電中和を行
っている。その後、急速攪拌槽１の下水汚泥２をフロッ
ク形成過程をなす緩速攪拌槽５に導いてアニオン系凝集
剤６を添加し、槽内に設置した攪拌器７により下水汚泥
２とアニオン系凝集剤６を緩速に攪拌混合して後に、緩
速攪拌槽５内の下水汚泥２を脱水機に供給している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】無機凝集剤と高分子凝
集助剤、カチオン系凝集剤とアニオン系凝集剤等を用い
て下水汚泥を二液調質する場合に、第１液の注入時、つ
まり凝結過程においては急速攪拌が必要である。しか
し、図３に示したような、従来の攪拌器３において急速
攪拌を行うと下水汚泥２に含まれた夾雑物やし渣の繊維
質が攪拌翼３ａに絡み付き、メンテナンスに手間がかか
る問題があった。一方、脱水機としてベルトプレスを使
用する場合には、下水汚泥中の夾雑物やし渣の繊維質を
スクリーンで除去することなく、繊維質を含んだ下水汚
泥を脱水する方が脱水効果が良い。

【０００４】本考案は上記した課題を解決するもので、
夾雑物やし渣の繊維質等を絡ませることなく下水汚泥を
攪拌することができる固形物付着防止型凝集混和槽を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本考案の固形物付着防止型凝集混和槽は、原汚泥を
貯留する凝集攪拌槽と、凝集攪拌槽内に浸漬する攪拌器
と、攪拌器を回転駆動する駆動装置と、凝集攪拌槽に原
汚泥を供給する汚泥供給管と、汚泥供給管の途中に連通
する凝集剤供給管とを備え、攪拌器に回転軸の軸心廻り
に回転する回転体を設け、回転体の上下両面を各々コー
ン形状に形成するとともに、回転体の上下両面上に複数
の羽根体を突設し、汚泥供給管の開口を回転体の下面に
対向する位置に上方に向けて設けたものである。

【０００６】また、凝集攪拌槽の内側面に複数の固定羽
根体を設けたものである。

【０００７】

【作用】上記した構成により、駆動装置によって攪拌器
を回転駆動し、攪拌器の回転体が回転軸の軸心廻りに回
転する状態で、汚泥供給管から凝集攪拌槽内に原汚泥を
供給する。この原汚泥は汚泥供給管の途中において凝集
剤供給管から凝集剤を添加したものであり、汚泥供給管
の開口から攪拌器の回転体の下面に向けて噴出する。

【０００８】凝集攪拌槽内に噴出した原汚泥は回転体の
下面に衝突し、その吐出圧によって回転体のコーン形状
に沿って中心部から周縁部に向かって流れるとともに、
回転体に設けた羽根体による攪拌作用を受けて拡散し、
攪拌流となって凝集攪拌槽内を巡回する。また、下向流
となって回転軸付近を降下する原汚泥は回転体の上面に
衝突し、そのコーン形状に沿って中心から周縁に向けて
流れるとともに、回転体に設けた羽根体による攪拌作用
を受けて拡散する。この作用によって原汚泥と凝集剤と
を急速に攪拌混合する。

【０００９】上述の作用において、羽根体は回転体のコ
ーン状の表面に沿って流れる原汚泥を回転体の周方向に
押し出すように作用し、原汚泥は羽根体の表面に沿って
流れる。したがって、従来においては、原汚泥が攪拌器
の攪拌羽根の表裏方向に、つまり回転軸心方向に沿って
流れるために、原汚泥中の繊維質が攪拌羽根に絡み付い
たが、本考案においては、回転軸の軸心方向に向かって
噴出する原汚泥を回転体で一旦受け止め、回転体のコー
ン形状および羽根体による押し出し作用によって原汚泥
を回転体の径方向および周方向に導くので、原汚泥中の
繊維質が羽根体に絡み付くことがない。

【００１０】また、凝集攪拌槽内を回転体の回転方向に
流れる原汚泥は、凝集攪拌槽の内側面に設けた複数の固
定羽根体に衝突し、その攪拌作用により乱流となって流
れるので、攪拌効果が向上する。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図１〜図２において、固形物付着防止型凝集混
和槽２１は、その槽体を凝集攪拌槽２２で形成してお
り、凝集攪拌槽２２の内部は越流堰２３によって主槽部
２２ａと副槽部２２ｂに仕切っている。主槽部２２ａの
内部には攪拌器２４を浸漬配置しており、攪拌器２４を
回転駆動する駆動装置２５を凝集攪拌槽２２の周縁部に
掛け渡した架台２６に設けている。

【００１２】攪拌器２４は駆動装置２５に連結した回転
軸２４ａと、回転軸２４ａの下端に設けた回転体２４ｂ
と、回転体２４ｂの上下両面に突設した複数の羽根体２
４ｃからなる。回転体２４ｂは上下両面が各々コーン形
状をなしており、羽根体２４ｃは回転体２４ｂの中心部
から周縁部に向けて放射状に延びるとともに、回転方向
に向けて円弧状に湾曲している。尚、羽根体２４ｃの形
状は上述のものに限られず、種々の形状が可能である。

【００１３】凝集攪拌槽２２の主槽部２２ａには原汚泥
２７を供給するための汚泥供給管２８を配置しており、
汚泥供給管２８は基端側が供給原（ポンプ等）に連通し
先端側が回転体２４ｂの下面に対向する位置において上
方に向けて開口している。汚泥供給管２８の途中には１
液目の凝集剤２９を添加するための凝集剤供給管３０が
連通しており、副槽部２２ｂの底部には脱水機に連通す
る汚泥排出口３１が開口している。また、凝集攪拌槽２
２の主槽部２２ａの内側面には複数の固定羽根体３２を
設けている。

【００１４】以下、上記構成における作用を説明する。
駆動装置２５によって攪拌器２４を回転駆動し、回転軸
２４ａを介して回転体２４ｂおよび羽根体２４ｃを回転
軸心廻りに回転させ、汚泥供給管２８から凝集攪拌槽２
２の主槽部２２ａ内に原汚泥２７を供給する。この原汚
泥２７には汚泥供給管２８の途中において凝集剤供給管
３０から凝集剤２９を添加する。

【００１５】汚泥供給管２８の開口から攪拌器２４の回
転体２４ｂの下面に向けて噴出した原汚泥２７および凝
集剤２７の混合流体は、回転体２４ｂの下面に衝突し、
そのポンプ等の吐出圧により回転体２４ｂのコーン形状
に沿って中心部から周縁部に向けて流れるとともに、回
転体２４ｂに設けた羽根体２４ｃによる攪拌作用を受け
て拡散し、攪拌流となって凝集攪拌槽２２の主槽部２２
ａ内を巡回する。また、主槽部２２ａ内を下向流となっ
て回転軸付近を降下する原汚泥２７は回転体２４ｂの上
面に衝突し、そのコーン形状に沿って中心部から周縁部
に向けて流れるとともに、回転体２４ａに設けた羽根体
２４ｃによる攪拌作用を受けて拡散する。この作用によ
って原汚泥２７と凝集剤２９とを急速に攪拌混合する。

【００１６】上述の作用において、羽根体２４ｃは回転
体２４ｂのコーン状の表面に沿って流れる原汚泥２７を
回転体２４ｂの周方向に押し出すように作用し、原汚泥
２７は羽根体２４ｃの表面に沿って流れる。

【００１７】したがって、従来においては、原汚泥が攪
拌器の攪拌羽根の表裏方向に、つまり回転軸心方向に沿
って流れるために、原汚泥中の繊維質が攪拌羽根に絡み
付いたが、本実施例においては、回転軸２４ａの軸心方
向に向かって噴出する原汚泥２７を回転体２４ｂで一旦
受け止め、回転体２４ｂのコーン形状および羽根体２４
ｃによる押し出し作用によって原汚泥２７を回転体２４
ｂの径方向および周方向に導くので、原汚泥２７に夾雑
物やし渣が存在してもその繊維質が羽根体２４ｃに絡み
付くことがない。

【００１８】また、凝集攪拌槽２２の主槽部２２ａ内を
回転体２４ｂの回転方向に流れる原汚泥２７は、凝集攪
拌槽２２の内側面に設けた複数の固定羽根体２２に衝突
し、その攪拌作用により乱流となって流れるので攪拌効
果が向上する。

【００１９】凝集攪拌槽２２の主槽部２２ａにおいて急
速攪拌された原汚泥２７と凝集剤２９の混合体は越流堰
２３を越えて副槽部２２ｂに流入し、汚泥排出口３１を
通って脱水機に投入される。この投入過程において凝集
剤の２液目を汚泥に投入し、調質した汚泥を脱水機にお
いて脱水する。

【００２０】したがって、脱水機には原汚泥２７の夾雑
物やし渣の繊維質を含んだ調質汚泥が投入されるので、
脱水効果が向上する。

【００２１】

【考案の効果】以上述べたように本考案によれば、凝集
攪拌槽内に噴出する原汚泥が吐出圧によって回転体のコ
ーン形状に沿って中心部から周縁部に向かって流れると
ともに、羽根体が原汚泥を回転体の周方向に押し出すよ
うに作用し、原汚泥は羽根体の表面に沿って流れるの
で、原汚泥中の繊維質が羽根体に絡み付くことなく、原
汚泥を攪拌混合することができ、繊維質を含む調質汚泥
を脱水機に供給することができる。

【００２２】また、凝集攪拌槽の内側面に設けた複数の
固定羽根体によって乱流を生起させ、攪拌効果の向上を
図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す固形物付着防止型凝集
混和槽の全体断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面図である。

【図３】従来の混和槽を示す全体構成図である。

【符号の説明】

２１ 固形物付着防止型凝集混和槽 ２２ 凝集混和槽 ２２ａ 主槽部 ２４ 攪拌器 ２４ｂ 回転体 ２４ｃ 羽根体 ２５ 駆動装置 ２８ 汚泥供給管 ３０ 凝集剤供給管 ３２ 固定羽根体

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 原汚泥を貯留する凝集攪拌槽と、凝集攪
   拌槽内に浸漬する攪拌器と、攪拌器を回転駆動する駆動
   装置と、凝集攪拌槽に原汚泥を供給する汚泥供給管と、
   汚泥供給管の途中に連通する凝集剤供給管とを備え、攪
   拌器に回転軸の軸心廻りに回転する回転体を設け、回転
   体の上下両面を各々コーン形状に形成するとともに、回
   転体の上下両面上に複数の羽根体を突設し、汚泥供給管
   の開口を回転体の下面に対向する位置に上方に向けて設
   けたことを特徴とする固形物付着防止型凝集混和槽。
2. 【請求項２】 凝集攪拌槽の内側面に複数の固定羽根体
   を設けたことを特徴とする請求項１記載の固形物付着防
   止型凝集混和槽。