JP2598977B2 - 感光性組成物 - Google Patents

感光性組成物

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JP2598977B2 JP63230518A JP23051888A JP2598977B2 JP 2598977 B2 JP2598977 B2 JP 2598977B2 JP 63230518 A JP63230518 A JP 63230518A JP 23051888 A JP23051888 A JP 23051888A JP 2598977 B2 JP2598977 B2 JP 2598977B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は平版印刷版、IC回路やフォトマスクの製造に
適する感光性組成物に関するものである。更に詳しく
は、ポジ型又はネガ型に作用する感光性化合物と、耐摩
耗性の優れた高分子化合物からなる感光性組成物に関す
るものである。
〔従来の技術〕
ポジ型に作用する系において、o−ナフトキノンジア
ジド化合物のノボラック型フェノール樹脂からなる感光
性組成物は、非常に優れた感光性組成物として平版印刷
版の製造やフォトレジストとして工業的に用いられてき
た。
しかし主体として用いられるノボラック型フェノール
樹脂の性質上基板に対する密着性が悪いこと、皮膜がも
ろいこと、塗布性が劣ること、耐摩耗性が劣り、平版印
刷版に用いた時の耐刷力が十分でないこと等の改良すべ
き点があり応用面での限界があった。
かかる問題を解決するため種々の高分子化合物が、バ
インダーとして検討されてきた。たとえば特公昭52−41
050号公報に記載されているポリヒドロキシスチレンま
たはヒドロキシスチレン共重合体は確かに皮膜性が改良
されたが、耐摩耗性が劣るという欠点を有していた。ま
た、特開昭51−34711号公報中にはアクリル酸誘導体の
構造単位を分子構造中に有する高分子化合物をバインダ
ーとして用いることが提案されているが、かかる高分子
化合物は適正な現像条件の範囲が狭く、また耐摩耗性も
十分でないなどの問題があった。
更に耐摩耗性の優れた公知なポリマーとして、ポリウ
レタン樹脂があり、特公昭49−36961号公報において、
ポジ作用するジアゾニウム化合物と実質上線状のポリウ
レタン樹脂との組合わせ系について開示されている。し
かし、該ポリウレタン樹脂はアルカリ可溶性基を有して
おらず、本質的に水性アルカリ現像液に対する溶解性が
不十分であり、残膜を生じることなく現像を行なうこと
は非常に困難であった。
更にまた、特開昭61−20939号公報において、アニオ
ン性ポリウレタン樹脂を使用した感光性組成物について
記載されている。かかるアニオン性ポリウレタン樹脂は
水溶性であり、本発明の水不溶なポリウレタン樹脂とは
本質的に異なる。該アニオン性ポリウレタン樹脂は、水
溶性の為、有機塗布溶剤に対する溶解性が不十分であっ
た。またジアゾ化合物の安定性を劣化させるので好まし
くないものであった。
またネガ型に作用する系において感光性物質として使
用されているものの大多数はジアゾニウム化合物であ
り、その最も常用されているものにp−ジアゾジフェニ
ルアミンのホルムアルデヒド縮合物に代表されるジアゾ
樹脂がある。
ジアゾ樹脂を用いた感光性平版印刷版の感光性層の組
成物は、例えば米国特許第2,714,066号明細書に記載さ
れているようにジアゾ樹脂単独のもの、つまり結合剤を
使用しないものと、例えば特開昭50−30604号公報に記
載されているように結合剤とジアゾ樹脂が混合されてい
るものに分類することができるが、近年ジアゾニウム化
合物を用いた感光性平版印刷版の多くのものは高耐刷性
を持たせるためにジアゾニウム化合物と結合剤となるポ
リマーよりなっている。
このような感光層としては特開昭50−30604号公報に
記載されているように、未露光部が水性アルカリ現像剤
によって除去(現像)される所謂アルカリ現像型と、有
機溶剤系現像液によって除去される所謂溶剤現像型が知
られているが、労働安全衛生上、アルカリ現像型が注目
されており、これは主に結合剤の性質により決まる。結
合剤にアルカリ現像性を持たせる方法としては前記特開
昭50−30604号公報に記載されているようにカルボン酸
含有のモノマーを共重合させるか、米国特許第2861058
号明細書に記載されているようにポリビニルアルコール
のヒドロキシル基と無水フタル酸のような環状酸無水物
を反応させることによりポリマー中にカルボン酸を導入
する方法があるが、得られたポリマーは構造上、耐摩耗
性が悪く、このような結合剤を感光層に含む感光性平版
印刷版からは耐刷力の低い平版印刷版しか得られなかっ
た。一方ポリビニルアセタールは強靭な皮膜を形成し、
耐摩耗性もあるが有機溶剤現像型の感光性平版印刷版し
か得られないという欠点があった。
また、耐摩耗性が優れた公知のポリマーとしてポリウ
レタン樹脂があり、前記特公昭49−36961号公報、およ
び特開昭56−94346号公報において、ジアゾニウム化合
物と実質上線状のポリウレタン樹脂との組合わせ系、お
よびジアゾニウム塩重縮合物と分枝状のポリウレタン樹
脂との組合わせ系について開示されている。しかし、こ
れらのポリウレタン樹脂は前述のとおりいずれもアルカ
リ可溶性基を有しておらず、本質的に水性アルカリ現像
液に対する溶解性が不充分であり、残膜を生じることな
く現像を行なうことは非常に困難であった。更に組合わ
せたジアゾニウム化合物と露光時に光反応を起こし、効
率よく架橋する部位を有していない為、充分な強度を有
する画像を形成しないという欠点を有していた。
これらの問題点を解決するために、例えば特開昭62−
123452号に記載されているようにカルボキシル基を含有
するポリウレタン樹脂を結合剤として用いる方法がある
が、このような結合剤を感光層に含む感光性平版印刷版
においても未だ十分な耐刷力は得られなかった。また耐
薬品性に乏しく、特にUVインキを使用した印刷におい
て、耐刷力が不十分である等の改良すべき点があった。
一方、光重合性組成物をネガ作用の感光性平版印刷版
の感光性画像形成層として用いる試みは多く、特公昭46
−32714号公報に開示されているようなバインダーとし
てのポリマー、モノマーおよび光重合開始剤から成る基
本組成、特公昭49−34041号公報に開示されているよう
なバインダーとしてのポリマーに不飽和二重結合を導入
し、硬化効率を改善した組成、特公昭48−38403号及び
特公昭53−27605号の各公報、及び英国特許第1,388,492
号明細書等に開示されているような新規な光重合開始剤
を用いた組成等が知られており、一部で実用に供されて
いるが、いづれの感光性組成物も、画像露光時の感光性
平版印刷版の表面温度により、感度が大きく左右され、
また画像露光時に酸素による重合阻害を強く受けるとい
う欠点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、本発明の目的は、バインダーとして用いる高
分子化合物がアルカリ性水溶液への溶解性及び耐摩耗性
に優れ、水性アルカリ現像液で現像ができ、耐刷力の大
きい平版印刷版を与える感光性組成物を提供する事であ
る。
本発明の他の目的は、バインダーとして用いる高分子
化合物が耐薬品性に優れ、UVインキを用いた印刷を行っ
ても耐刷力の大きい平版印刷版を与える感光性組成物を
提供する事である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結
果、新規な感光性組成物を使用することで、これらの目
的が達成されることを見い出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、感光性化合物と、−CO−NH−CO−基を
有し、水不溶かつアルカリ性水溶液に可溶なポリウレタ
ン樹脂を含有することを特徴とする感光性組成物を提供
するものである。
本発明の感光性組成物に含まれる感光性化合物として
は、下記の(i)、(ii)、(iii)又は(iv)から選
ばれた感光性化合物を用いることができる。
(i)o−キノンジアジド化合物。
(ii)ネガ作用ジアゾニウム化合物。
(iii)重合可能なモノマーと光重合開始剤との組合
せ。
(iv)ネガ作用ジアゾニウム化合物、重合可能なモノマ
ー及び光重合開始剤との組合せ。
以下、本発明に用いられるポリウレタン樹脂及びその
他の成分と、本発明の感光性組成物の製造法及び使用法
について、詳細に説明する。
(1) −CO−NH−CO−基を含むポリウレタン樹脂 本発明に使用される−CO−NH−CO−基を有し、水不溶
かつアルカリ性水溶液に可溶なポリウレタン樹脂は、好
ましくは側鎖中または主鎖中に、または主鎖と共に環を
形成した−CO−NH−CO−基を含有するポリウレタン樹脂
であり、更に好ましくは側鎖中に−CO−NH−CO−基を含
有するポリウレタン樹脂である。
本発明において好適に使用される−CO−NH−CO−基を
有するポリウレタン樹脂は、分子内に1つ以上の−CO−
NH−CO−基を有するポリオール化合物と、ポリイソシア
ナート化合物の反応生成物を基本骨格とするポリウレタ
ン樹脂である。
本発明においてさらに好適に使用される−CO−NH−CO
−基を有するポリウレタン樹脂は下記一般式(I)また
は(II)で示される−CO−NH−CO−基を有するジオール
化合物とジイソシアナート化合物の反応生成物を基本骨
格とするポリウレタン樹脂である。
式中、 R1、R2、R3及びR5、R6はそれぞれ同一でも相異してい
てもよく単結合、置換基を有していてもよい二価の脂肪
族又は芳香族炭化水素基を示す。好ましくはC1〜C20
アルキレン、C6〜C15のアリーレン基、更に好ましくはC
1〜C8のアルキレン基を示す。また必要に応じR1、R2、R
3及びR5、R6中にイソシアナート基と反応しない他の官
能基例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エ
ーテル基を有していてもよい。
尚、R1、R2、R3及びR5、R6のうちの2個以上で環を形
成していてもよい。
R4は置換基を有していてもよいアルキル、アリール、
アラルキル基を示し、好ましくはC1〜C8のアルキル、C6
〜C15のアリール、アラルキル基を示す。
A1、A2はそれぞれ窒素原子及び置換基を有していても
よいC1〜C20の3価の脂肪族または芳香族基を示す。
Bは置換基を有していてもよい3価の脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基またはヘテロ環基を示す。
また、X1、X2はそれぞれ単結合またはC,H,N,O,Sより
選ばれた1種以上の原子より成る2価の連結基を示す。
一般式(I)または(II)で示されるジオール化合物
としては、以下に示すものが挙げられる。
これらの−CO−NH−CO−基を有するジオール化合物
は、単独または2種以上組み合わせて使用する事ができ
る。
また更に、−CO−NH−CO−基を有せず、イソシアナー
トと反応しない他の置換基を有していてもよいジオール
化合物を併用する事もできる。
このようなジオール化合物としては、具体的には以下
に示すものが含まれる。
即ち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−
ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4
−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β
−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサン
ジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビ
スフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノー
ルAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAの
プロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチ
レンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレン
オキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオ
キサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエー
テル、P−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチル
スルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリ
レンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒド
ロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒド
ロキシエチル)イソフタレート、3,5−ジヒドロキシ安
息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン
酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン
酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン
酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ペンタン酸、酒石酸等が挙げられる。
また、本発明において好適に使用されるジイソシアナ
ート化合物としては、具体的には以下に示すものが含ま
れる。
即ち、2,4−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレ
ンジイソシアナートの二量体、2,6−トリレンジイソシ
アナート、p−キシリレンジイソシアナート、m−キシ
リレンジイソシアナート、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアナート、1,5−ナフチレンジイソジアナート、
3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアナート
等の如き芳香族ジイソシアナート化合物;ヘキサメチレ
ンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアナート、リジンジイソシアナート、ダイマー酸ジイ
ソシアナート等の如き脂肪族ジイソシアナート化合物;
イソホロンジイソシアナート、4,4′−メチレンビス
(シクロヘキシルイソシアナート)、メチルシクロヘキ
サン−2,4(又は2,6)ジイソシアナート、1,3−(イソ
シアナートメチル)シクロヘキサン等の如き脂環族ジイ
ソシアナート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルと
トリレンジイソシアナート2モルとの付加体等の如きジ
オールとジイソシアナートとの反応物であるジイソシア
ナート化合物等が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂は上記ジイソシアナート化
合物およびジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それ
ぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒を添加し、加熱
することにより合成される。使用するジイソシアナート
およびジオール化合物のモル比は好ましくは0.8:1〜1.
2:1であり、ポリマー末端にイソシアナート基が残存し
た場合、アルコール類又はアミン類等で処理することに
より、最終的にイソシアナート基が残存しない形で合成
される。
本発明のポリウレタン樹脂の分子量は、好ましくは重
量平均で2,000以上であり、更に好ましくは5,000〜30万
の範囲である。本発明のポリウレタン樹脂は単独で用い
ても混合して用いてもよい。感光性組成物中に含まれ
る。これらのポリウレタン樹脂の含有量は約5〜95重量
%であり、好ましくは約10〜85重量%である。
(2) ポジ型o−キノンジアジド化合物 一方、本発明に使用されるポジ型に作用するo−キノ
ンジアジド化合物としては、好ましくはo−ナフトキノ
ンジアジド化合物がある。
本発明に使用されるo−ナフトキノンジアジド化合物
としては、特公昭43−28403号公報に記載されている1,2
−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとピロガロ
ール−アセトン樹脂とのエステルであるものが最も好ま
しい。その他の好適なo−キノンジアジド化合物として
は、米国特許第3,046,120号および同第3,188,210号明細
書中に記載されている1,2−ジアゾナフトキノンスルホ
ン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と
のエステルがある。その他の有用なo−ナフトキノンジ
アジド化合物としては、数多くの特許に報告され、知ら
れている。たとえば、特開昭47−5303号、同昭48−6380
2号、同昭48−63803号、同昭48−96575号、同昭49−387
01、同昭48−13354号、特公昭41−11222号、同昭45−96
10号、同昭49−17481号公報、米国特許第2,797,213号、
同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917
号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,
227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第
1,329,888号、同第1,330,932号、ドイス特許第854,890
号などの各明細書中に記載されているものをあげること
ができる。
本発明の感光性組成物中に占めるこれらのポジ型に作
用するo−キノンジアジド化合物の量は10〜50重量%
で、より好ましくは20〜40重量%である。
(3) ネガ作用ジアゾニウム化合物 本発明に用いられるネガ作用ジアゾニウム化合物とし
ては米国特許第3,867,147号記載のジアゾニウム化合
物、米国特許第2,632,703号明細書記載のジアゾニウム
化合物などがあげられるが、特に芳香族ジアゾニウム塩
と例えば活性なカルボニル含有化合物(例えばホルムア
ルデヒド)との縮合物で代表されるジアゾ樹脂が有用で
ある。好ましいジアゾ樹脂には、例えばp−ジアゾジフ
ェニルアミンとホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド
の縮合物のヘキサフルオロりん酸塩、テトラフルオロほ
う酸塩、りん酸塩が含まれる。また、米国特許第3,300,
309号に記載されているようなp−ジアゾジフェニルア
ミンとホルムアルデヒドとの縮合物のスルホン酸塩(例
えば、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンス
ルホン酸塩、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベン
ゾイルベンゼンスルホン酸塩など)、ホスフィン酸塩
(例えばベンゼンホスフィン酸塩など)、ヒドロキシ基
含有化合物塩(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン塩など)、有機カルボン酸塩なども好ましい。
更には特開昭58−27141号に示されているような3−
メトキシ−4−ジアゾ−ジフェニルアミンを4,4′−ビ
ス−メトキシ−メチル−ジフェニルエーテルで縮合させ
メシチレンスルホン酸塩としたものなども適当である。
これらジアゾニウム化合物の感光性組成物中の含有量
は、1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%である。ま
た必要に応じ、ジアゾニウム化合物2種以上を併用して
もよい。
(4) 重合可能なモノマー/光重合開始剤 本発明の感光性組成物に添加することのできるモノマ
ーは、常圧で沸点100℃以上の、少なくとも1分子中に
1個、より好ましくは2個以上の付加重合可能なエチレ
ン性不飽和基を有する分子量10,000以下のモノマーまた
はオリゴマーである。このようなモノマー又はオリゴマ
ーとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の
単官能のアクリレートやメタクリレート;ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタ
ントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシア
ネート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価ア
ルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド
を付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公
昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号
各公報に記載されているようなウレタンアクリレート
類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52
−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリ
レート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応さ
せたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレート
やメタクリレートをあげることができる。さらに日本接
着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページに光硬化性モノ
マーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用
することができる。
これらのモノマーまたはオリゴマーと本発明の−CO−
NH−CO−基を有するポリウレタン樹脂の組成比は重量で
5:95〜70:30の範囲が好ましく、更に好ましい範囲は10:
90〜50:50である。
本発明の感光性組成物に添加することのできる光重合
開始剤は米国特許第2,367,660号明細書に開示されてい
るビシナールポリケタルドニル化合物、米国特許第2,36
7,661号及び第2,367,670号明細書に開示されているα−
カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に開
示されているアシロインエーテル、米国特許第2,722,51
2号明細書に開示されているα−位が炭化水素で置換さ
れた芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号
及び第2,951,758号明細書に開示されている多核キノン
化合物、米国特許第3,549,367号明細書に開示されてい
るトリアリールイミダゾールダイマー/p−アミノフェニ
ルケトンの組合せ、米国特許第3,870,524号明細書に開
示されているベンゾチアゾール系化合物、米国特許第3,
751,259号明細書に開示されているアクリジン及びフェ
ナジン化合物、米国特許第4,212,970号明細書に開示さ
れているオキサジアゾール化合物等が含まれる。
好ましくは下記一般式(III)又は(IV)で示される
トリハロメチル−S−トリアジン化合物又はトリハロメ
チルオキサジアゾール化合物が挙げられる。
ここで式中、R8は置換もしくは無置換のアリール、ア
ルケニル基、R7はR8、−CY3又は、置換もしくは無置換
のアルキル基を示す。Yは塩素原子又は臭素原子を示
す。
一般式(III)で示される化合物としては、例えば若
林ら著、Bull.Chem.Sco.Japan、第42巻、第2924頁(196
9年)に記載の化合物、英国特許第1,388,492号、西独特
許第2,718,259号、および西独特許第3,337,024号明細書
記載の化合物が挙げられる。具体的には次に示す化合物
が含まれる。
即ち、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−S−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2
−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−
(2′,4′−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリク
ロロメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリ
クロロメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−n−
ノニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリア
ジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−スチ
リル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジ
ン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリク
ロロメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシス
チリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリ
アジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,
6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−
(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(ト
リクロロメチル)−S−トリアジン、2−〔4−(2−
エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4,7−
ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリク
ロロメチル)−S−トリアジン、2−(アセナフト−5
−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリ
アジン、2−(4−スチリルフェニル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−S−トリアジン等が含まれる。
また一般式(IV)で示される化合物としては、例えば
特開昭54−74728号公報、特開昭55−77742号公報、及び
特開昭59−148784号公報記載の化合物が挙げられる。具
体的には次に示す化合物が含まれる。
即ち、2−スチリル−5−トリクロロメチル−1,3,4
−オキサジアゾール、2−(4−クロロスチリル)−5
−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−
(4−メチルスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,
4−オキサジアゾール、2−(4−メトキシスチリル)
−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、
2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル
−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−スチリルスチ
リル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾ
ール、2−フェニル−5−トリクロロメチル−1,3,4−
オキサジアゾール、2−(4−メトキシフェニル)−5
−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−
(3,4−ジメトキシフェニル)−5−トリクロロメチル
−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−スチリルフェ
ニル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾ
ール、2−(1−ナフチル)−5−トリクロロメチル−
1,3,4−オキサジアゾール等が含まれる。
必要により本発明の感光性組成物に増感剤を添加する
ことができる。具体的には、特公昭59−28328号公報に
示される芳香族チアゾール化合物、特開昭54−151024号
公報に示されるメロシアニン色素、特開昭58−40302号
公報に示される芳香族チオピリリウム塩や芳香族ピリリ
ウム塩、その他9−フェニルアクリジン、5−ニトロア
セナフテン、ケトクロリン類等の光吸収剤が挙げられ
る。更にはこれらにN−フェニルグリシン、2−メルカ
プトベンゾチアゾール、N,N′−ジメチルアミノ安息香
酸エチル等の水素供与体等を組み合わせた系も、本発明
に有効に使用される。
本発明における光重合開始剤及び/又は増感剤の量
は、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と本発明の−
CO−NH−CO−基を有するポリウレタン樹脂との合計に対
して0.01重量%から20重量%の範囲で充分であり、更に
好ましくは0.5重量%から10重量%で良好なる結果にな
る。
また、これらの感光性組成物にさらにジアゾニウム化
合物を添加する場合、ジアゾニウム化合物は全組成物の
好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜35重量
%の添加量で使用される。
(5)その他の成分 本発明の組成物中には、前記−CO−NH−CO−基を有す
るポリウレタン樹脂の他にフェノールホルムアルデヒド
樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール変
性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲ
ン化ヒドロキシスチレン及びカルボキシル基含有エポキ
シ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂等、公知
のアルカリ可溶性の高分子化合物を含有させることがで
きる。かかるアルカリ可溶性の高分子化合物は全組成物
の70重量%以下の添加量で用いられる。
本発明の組成物中には、露光後直ちに可視像を得るた
めの焼出し剤、画像着色剤としての染料、顔料、安定
剤、界面活性剤、可塑剤やその他のフィラーなどの添加
剤を加えることができる。
露光後直ちに可視像を得るための焼出し剤としては露
光によって酸を放出する感光性化合物と塩を形成し得る
有機染料の組合せを代表としてあげることができる。具
体的には特開昭50−36209号公報、特開昭53−8128号公
報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−ス
ルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや特開
昭53−36223号公報、特開昭54−74728号公報に記載され
ているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合
せをあげることができる。画像の着色剤として前記の塩
形成性有機染料以外の他の染料も用いることができる。
塩形成性有機染料を含めて好適な染料として油溶性染料
及び塩基染料をあげることができる。具体的には、オイ
ルイエロー#101、オイルイエロー#130、オイルピンク
#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブ
ルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オ
イルブラックT−505(以上、オリエント化学工業株式
会社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオ
レット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、
ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42
000)、メチレンブルー(CI52015)などをあげることが
できる。
またo−キノンジアジド化合物と組合せる場合、感度
を高めるために環状酸無水物を添加してもよい。環状酸
無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載さ
れているように無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−
Δ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フ
タル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−
フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリ
ット酸等がある。これらの環状酸無水物を全組成物中の
1から15重量%含有させることによって感度を最大3倍
程度に高めることができる。
またジアゾニウム化合物と組合せる場合、安定剤とし
ては、りん酸、亜りん酸、ピロりん酸、蓚酸、ホウ酸、
p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ヒ
ドロキシベンゼンスルホン酸、2−メトキシ−4−ヒド
ロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、リンゴ
酸、酒石酸、ジピコリン酸、ポリアクリル酸及びその共
重合体、ポリビニルホスホン酸及びその共重合体、ポリ
ビニルスルホン酸及びその共重合体、5−ニトロナフタ
レン−1−ホスホン酸、4−クロロフェノキシメチルホ
スホン酸、ナトリウムフェニル−メチル−ピラゾロンス
ルホネート、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,
4、1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、1−ヒ
ドロキシエタン−1,1−ジスルホン酸等が挙げられる。
重合可能なモノマーと光重合開始剤との組合せを使用
する場合、感光性組成物の製造中あるいは保存中におい
て重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を
阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望
ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、
p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキ
ノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミ
ダゾール、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一
セリウム塩等があげられる。
また、塗布性を改良するためのアルキルエーテル類
(たとえばエチルセルロース、メチルセルロース)、界
面活性剤類(たとえばフッ素系界面活性剤)、膜の柔軟
性、耐摩耗性を付与するための可塑剤(たとえばトリク
レジルホスフェート、ジメチルフタレート、ジブチルフ
タレート、りん酸トリオクチル、りん酸トリブチル、ク
エン酸トリブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールなど)を添加することが出来る。これ
らの添加剤の添加量はその使用対象目的によって異なる
が、一般には感光層の全固形分に対して0.5〜30重量%
である。
本発明の感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒
に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒と
しては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n−ブタノール、t−ブタノール、エチレンジクロライ
ド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケト
ン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プ
ロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、
N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、乳酸メ
チル、乳酸エチルなどがあり、これらの溶媒を単独ある
いは混合して使用する。
また、これらの溶媒や混合溶媒に少量の水やトルエン
等のシアゾ樹脂や高分子化合物を溶解させない溶媒を添
加した混合溶媒も適当である。そして、上記成分中の濃
度(固形分)は、1〜50重量%である。
これらの溶媒に溶解させた感光液を塗布し乾燥させる
場合50℃〜120℃で乾燥させることが望ましい。乾燥方
法は始め温度を低くして予備乾燥後高温で乾燥させても
よいが、適当な溶媒と濃度を選ぶことによって直接高温
で乾燥させてもよい。
また、塗布量は用途により異なるが、例えば感光性平
版印刷版についていえば一般的に固形分として0.5〜3.0
g/m2が好ましい。塗布量が少くなるにつれ感光性は大に
なるが、感光膜の物性は低下する。
また本発明の感光性組成物が塗布される支持体として
は、例えば、紙、プラスチックス(例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネート
された紙、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含
む。)、亜鉛、銅などのような金属の板、例えば二酢酸
セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロー
ス、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酪酸セルロ
ース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ
ビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィル
ム、上記の如き金属がラミネート、もしくは蒸着された
紙もしくはプラスチックフィルムなどが含まれる。これ
らの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安
定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、
特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエ
チレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシート
が結合された複合体シートも好ましい。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の
場合には、適当な親水化処理をする事が望ましい。
このような親水化処理としては、例えばアルミニウム
表面を、ワイヤブラシグレイニング、研磨粒子のスラリ
ーを注ぎながらナイロンブラシで粗面化するブラシグレ
イニング、ボールグレイニング等の機械的方法、HFやAl
Cl3、HClをエッチャントとするケミカルグレイニング、
硝酸又は塩酸を電解液とする電解グレイニングやこれら
の粗面化法を複合させて行う複合グレイニングによって
表面を砂目立てした後、必要に応じて酸又はアルカリに
よりエッチング処理され、引き続き硫酸、りん酸、蓚
酸、ホウ酸、クロム酸、スルファミン酸またはこれらの
混酸中で直流又は交流電源にて陽極酸化を行いアルミニ
ウム表面に強固な不動態皮膜を設けたものが好ましい。
この様な不動態皮膜自体でアルミニウム表面は親水化さ
れてしまうが、更に必要に応じて米国特許第2,714,066
号明細書や米国特許第3,181,461号明細書に記載されて
いる珪酸塩処理(珪酸ナトリウム、珪酸カリウム)、米
国特許第2,946,638号明細書に記載されている弗化ジル
コニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細
書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許
第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処
理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポ
リアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書や英
国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニ
ルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されて
いるホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に
記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号や
特開昭58−18291号の各公報に記載されている親水性有
機高分子化合物と2価の金属よりなる複合処理、特開昭
59−101651号公報に記載されているスルホン酸基を有す
る水溶性重合体の下塗によって親水化処理を行ったもの
は特に好ましい。その他の親水化処理方法としては米国
特許第3,658,662号明細書に記載されているシリケート
電着をもあげることが出来る。
支持体上に塗布された本発明の感光性組成物は線画
像、網点画像等を有する透明原画を通して露光し、次い
で水性アルカリ現像液で現像することにより、原画に対
してネガまたはポジのレリーフ像を与える。
露光に使用される光源としてはカーボンアーク灯、水
銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ストロ
ボ、紫外線、レーザ光線などがあげられる。
〔発明の効果〕
本発明の感光性組成物は塗布、乾燥、画像露光後、露
光部を水性アルカリ現像液で現像する際の現像性に優れ
る。得られたレリーフ像は耐摩耗性、支持体への密着性
が良く、印刷版として使用した場合、良好な印刷物が多
数枚得られる。
さらにUVインキを使用した印刷を行った場合において
も良好な印刷物が多数枚得られる。
〔実施例〕
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明
するが、本発明の内容がこれにより限定されるものでは
ない。
合成例1 冷却管、撹拌機を備えた1三ツ口フラスコにメタノ
ール80ml、濃塩酸134ml及び4−ニトロフタルイミド38.
4g(0.2mole)を入れ、室温下で撹拌した。この反応混
合物に鉄粉33.9g(0.607mole)を1時間かけて、少量ず
つ加えた。(この時、フラスコ内の温度は上昇し、溶媒
は還流する。)鉄粉を添加後、フラスコ内の温度が30℃
になるまで撹拌を続けた。反応終了後、この混合物を水
1.4に撹拌下投入し、30分間撹拌した。析出物をろ過
により取り出し、さらに水1でよく洗浄後、乾燥する
と、4−アミノフタルイミドの黄色固体が得られた。
(収量29.5g)撹拌機、冷却管、滴下ロートを備えた500
ml三ツ口フラスコに2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プ
ロピオン酸40g(0.298mole)及び無水酢酸100mlを入
れ、氷水浴下撹拌した。この混合物にピリジン100mlを
滴下ロートにより、約30分間かけて滴下した。滴下終了
後氷水浴をとり去りオイルバスにて、混合物を60℃に加
熱しながら2時間撹拌した。反応終了後塩酸を加え混合
物を酸性とし、分液ロートを用いて、クロロホルムによ
り抽出した。クロロホルム層を水洗したのち、無水硫酸
ナトリウムにより脱水した。このクロロホルム溶液より
溶媒を減圧留去する事により2,2−ビス(アセトキシメ
チル)プロピオン酸の白色固体57gを得た。
次に、2,2−ビス(アセトキシメチル)プロピオン酸3
0g(0.137mole)、及び塩化チオニル20mlを撹拌機、冷
却管、滴下ロートを備えた300ml三ツ口フラスコに入
れ、80℃に加熱しながら2時間撹拌した。
反応終了後減圧留去により未反応の塩化チオニル等を
十分除去した後氷水浴をつけ、この反応生成物を十分に
冷却した。この反応生成物に4−アミノフタルイミド2
2.2g(0.137mole)、ピリジン80ml及びテトラヒドロフ
ラン20mlの混合物を約1時間かけて滴下した。滴下終了
後氷水浴をとり去り、オイルバスにて60℃に加熱しなが
ら2時間撹拌した。反応終了後、この反応混合物を水1
に撹拌下投入し、塩酸で酸性とし、30分間撹拌した。
析出物をろ過によりとり出し、水1でよく洗浄し、乾
燥する事により4−(N−(1,1−ビス(アセトキシメ
チル)エチルカルボニル)アミノ)フタルイミドの淡黄
色固体を得た。(収量25g) 次に4−(N−(1,1−ビス(アセトキシメチル)エ
チルカルボニル)アミノ)フタルイミド21.7g(0.06mol
e)及び水酸化ナトリウム5.6g(0.14mole)、エタノー
ル50ml、水50mlを撹拌機、冷却管を備えた300ml三ツ口
フラスコに入れ、2時間加熱還流した。
反応終了後、この反応混合物を水1に撹拌下投入
し、塩酸にて酸性にした後30分間撹拌した。析出物をろ
過によりとり出し、水500mlでよく洗浄し、乾燥する事
により4−(N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エ
チルカルボニル)アミノ)フタルイミドの淡黄色固体を
得た。(収量10g) 次に4−(N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エ
チルカルボニル)アミノ)フタルイミド3.35g(0.012mo
le)及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸
1.07g(0.08mole)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アナート5.26g(0.021mole)、N,N−ジメチルアセトア
ミド18gを撹拌機、冷却管を備えた100ml三ツ口フラスコ
に入れ、100℃に加熱しながら4時間撹拌した。この反
応混合物を冷却し、メタノール5mlを加えしばらく撹拌
した後、水500mlに撹拌下投入し、30分間撹拌した。析
出物をろ過、乾燥する事により9gの白色固体を得た。ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーによりこのポリ
ウレタン樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を
測定したところ53,000であった。(本発明のポリウレタ
ン樹脂(a))。
合成例2および3 以下第1表に示すジイソシアナート化合物及びジオー
ル化合物を反応させ相当するポリウレタン樹脂(b)お
よび(c)を合成した。
実施例1〜3 厚さ0.30mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400
メッシュのパミストンの水懸濁液を用いてその表面を砂
目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウ
ムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水
洗後20%硝酸で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7V
の条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶
液中で160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処
理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μ(R
a表示)であった。ひきつづいて30%の硫酸水溶液中に
浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20%硫酸水溶液
中、電流密度2A/dm2において陽極酸化皮膜の厚さが2.7g
/m2になるように陽極酸化した。
次に下記感光液〔A〕の本発明に用いるポリウレタン
樹脂の種類を変えて、3種類の感光液〔A〕−1〜
〔A〕−3を調製し、この感光液を陽極酸化されたアル
ミニウム板上に塗布し、100℃で2分間乾燥してそれぞ
れの感光性平版印刷版〔A〕−1〜〔A〕−3を作製し
た。このときの塗布量は乾燥重量で2.5g/m2であった。
なお感光液〔A〕−1〜〔A〕−3に用いた本発明に
用いるポリウレタン樹脂は第2表に示す。
次に比較例として下記の感光液〔B〕を感光液〔A〕
と同様に塗布し、感光性平版印刷版〔B〕を作製した。
乾燥後の塗布重量は2.5g/m2であった。
感光性平版印刷版〔A〕−1〜〔A〕−3及び〔B〕
の感光層上に線画及び網点画像のポジ透明原画を密着さ
せ、30アンペアのカーボンアーク灯で70cmの距離から露
光を行なった。
露光された感光性平版印刷版〔A〕−1〜〔A〕−3
及び〔B〕をDP−4(商品名:富士写真フィルム(株)
製〕の8倍希釈水溶液で25℃において60秒間浸漬現像し
た。
得られた平版印刷版〔A〕−1〜〔A〕−3及び
〔B〕をハイデルベルグ社製KOR型印刷機に取りつけ、
市販の通常インキ及びUVインキを用いて上質紙に印刷し
た。平版印刷版〔A〕−1〜〔A〕−3及び〔B〕の最
終印刷枚数を調べたところ第2表に示すとおりであっ
た。
第2表からわかるように、本発明の感光性組成物を用
いた平版印刷版〔A〕−1〜〔A〕−3(実施例1〜
3)は比較例の〔B〕と比べて通常インキ、UVインキの
どちらを用いた場合においても印刷枚数が多く、耐刷性
が非常に優れたものである。
実施例4〜6 厚さ0.24mmのJIS1050Aアルミニウム板をナイロンブラ
シと400メッシュのパミストンの水性懸濁液を用いてそ
の表面を砂目立てした後よく水で洗浄した。これを10%
水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチ
ングした後、流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄後、特開
昭53−67507号公報記載の電気化学的粗面化法、即ち正
弦波交番波形電流を用い、1%硝酸水溶液中で160クー
ロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。ひ
きつづき30%の硫酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デス
マットした後7%硫酸水溶液中で酸化アルミニウムの被
覆量が2.0g/m2になるように陽極酸化処理を行った。そ
の後70℃のJIS3号珪酸ナトリウムの3%水溶液に1分間
浸漬処理し、水洗乾燥した。
以上のようにして得られたアルミニウム板に次に示す
感光液〔C〕−1〜〔C〕−3をホイラーを用いて塗布
し、80℃で2分間乾燥した。乾燥重量は2.0g/m2であっ
た。
なお感光液〔C〕−1〜〔C〕−3に用いた本発明に
用いるポリウレタン樹脂は第3表に示す。
次に比較例として、上記感光液中の本発明に用いたポ
リウレタン樹脂の代わりに特開昭62−123452合成例
(J)に記載のポリウレタン樹脂(4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアナートと2,2−ビス(ヒドロキシメチ
ル)プロピオン酸及び1,3−プロパンジオールより合成
されるポリウレタン樹脂)を用いた感光液〔D〕を同様
に塗布、乾燥した。乾燥重量は2.0g/m2であった。
感光液〔C〕−1〜〔C〕−3及び〔D〕を用いて得
られた各感光性平版印刷版〔C〕−1〜〔C〕−3及び
〔D〕それぞれに富士写真フィルム(株)製PSライトで
1mの距離から1分間画像露光し、次に示す現像液にて室
温で1分間浸漬した後、脱脂綿で表面を軽くこすり、未
露光部を除去し、平版印刷版〔C〕−1〜〔C〕−3及
び〔D〕を得た。
このようにして得られた各印刷版をハイデルベルグ社
製GTO型印刷機に取りつけ、市販の通常インキ及びUVイ
ンキを用いて上質紙に印刷した。平版印刷版〔C〕−1
〜〔C〕−3及び〔D〕の最終印刷枚数を調べたところ
第3表に示すとおりであった。
第3表からわかるように、本発明の感光性組成物を用
いた平版印刷版〔C〕−1〜〔C〕−3(実施例4〜
6)は比較例の〔D〕と比べて通常インキ、UVインキの
どちらを用いた場合においても印刷枚数が多く、耐刷性
が非常に優れたものである。
実施例7および8 実施例4〜6で得たアルミニウム板に次に示す感光液
〔E〕−1〜〔E〕−2をホイラーを用いて塗布し、80
℃で2分間乾燥した。乾燥重量は2.0g/m2であった。
なお、感光液〔E〕−1〜〔E〕−2に用いた本発明
に用いるポリウレタン樹脂は第4表に示す。
次に比較例として、上記感光液中の本発明に用いるポ
リウレタン樹脂の代わりに前述した、特開昭62−123452
合成例(J)に記載のポリウレタン樹脂を用いた感光液
〔F〕を同様に塗布乾燥した。乾燥重量は2.0g/m2であ
った。
感光液〔E〕−1,〔E〕−2及び〔F〕を用いて得ら
れた各感光性平版印刷版〔E〕−1,〔E〕−2及び
〔F〕をそれぞれに富士写真フイルム(株)社製PSライ
トで1mの距離から1分間画像露光し、先に示した現像液
に室温で1分間浸漬した後、脱脂綿で表面を軽くこす
り、未露光部を除去し、平版印刷版〔E〕1,〔E〕−2
及び〔F〕を得た。
このようにして得られた各印刷版をハイデルベルグ社
製GTO型印刷機に取りつけ、市販のインキにて、上質紙
に印刷した。平版印刷版〔E〕−1,〔E〕−2及び
〔F〕の最終印刷枚数を調べたところ第4表に示すとお
りであった。
第4表からわかるように、本発明の感光性組成物を用
いた平版印刷版〔E〕−1および〔E〕−2(実施例7
および8)は比較例の〔F〕と比べて印刷枚数が多く、
耐刷性が非常に優れたものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】感光性化合物と、−CO−NH−CO−基を有
    し、水不溶かつアルカリ性水溶液に可溶なポリウレタン
    樹脂を含有する事を特徴とする感光性組成物。
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