JP2598802B2 - 菌体結合型グルコシルトランスフェラーゼ - Google Patents

菌体結合型グルコシルトランスフェラーゼ

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、スクロースに作用し、水に不溶性のグルカ
ンを合成する反応を触媒する菌体結合型のグルコシルト
ランスフェラーゼ及びその精製方法、並びにその製造方
法に関する。
[従来の技術] う蝕予防等の面から、う蝕の病原菌として知られてい
るストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus
mutans)の性質や該菌のう蝕の発生への関与のメカニズ
ムの解明が盛に行なわれている。
う蝕の発生に関与するS.mutansとしては、現在のとこ
ろ血清学的にa〜hまでの8つの血清型に分類される菌
株が見い出されており、血清学的にd型菌とg型菌が、
またc型菌とe型菌とf型菌が類似しており、これらは
2つのグループに分類されている。
S.mutansがう蝕の発生に関与するメカニズムにおいて
重要な過程は、S.mutansの有するグルコシルトランスフ
ェラーゼ(以後、GTFと略称する)が関与するスクロー
スからの粘着性で水不溶性のグルカンの生成過程である
ことが既に知られている。
このS.mutansの産生するGTFは、培養上清に存在する
ものと、菌体表面に結合された状態で存在するものとに
分けることができる。
例えば、血清学的に類似しているd型菌またはg型菌
のスクロースの非存在下での培養においては、GTFのほ
とんどが培養上清に存在し、その培養上清から現在のと
ころ3種のGTF、すなわちGTF−S1、S2及びI(Sは水溶
性グルカン合成酵素、Iは水不溶性グルカン合成酵素で
ある)が分離・精製されている。これらの3種のGTFの
共同作用で水不溶性かつ粘着性のグルカンが合成される
[例えば、「Streptococcus mutansのグルカン合成とそ
の付着メカニズム」、古賀敏比古、日本細菌学会誌、第
41巻、第4号、679(1986)参照]。
なお、d型およびg型菌のスクロースの存在下での培
養においては、上記3種のGTFのほとんどがグルカンを
介して菌体と結合し菌体結合型となることも知られてい
る[Hamada,S.and Slade,H.D.,Archs oral.biol.,24,39
9−402(1979)]。
一方、血清学的に類似するc型、e型およびf型菌の
培養上清からも、GTF−SおよびGTF−Iが分離されてい
る[Kuramitsu,H.K.,and Wondrack,L.,Infect.Immunit
y,42:763−770(1983)]。
しかしながら、これらのGTF−SとGTF−Iの共同作用
によって水不溶性で粘着性のグルカンが合成されるとい
う報告はない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、より効果的なう蝕予防技術の確立を目
的として、ヒト口腔内に最も多く分布しヒトのう蝕の発
生に最も重要な役割を演じていると考えられるc型菌、
及びc型菌と血清学的に類似するe型菌、f型菌に着目
し、これらのう蝕発生への関与のメカニズムを解明する
ための種々の検討を行なう過程で、これらの菌が産生す
る水不溶性のグルカンが合成される過程に関与するGTF
を分離精製し、その性質を解明することが重要であると
の見地から研究を更に進めてきた。
その結果、本発明者らはこれらの菌の産生するGTFの
なかで、特にスクロース依存性の菌体の歯面への付着に
おいて重要であると思われる菌体結合型の水不溶性グル
カン合成酵素活性を有するGTF(以後CA−GTF−Iと呼
ぶ)の存在を確認するに至り、該CA−GTF−Iの分離・
精製を試みた。
なお、従来技術においては、c、eまたはf型菌にお
ける菌体結合型のGTF(−I)を精製酵素タンパク質と
して分離し、その性質を充分に解明するところまで至っ
ていなかったのが現状である。
例えば、c型菌の産生する菌体結合型のGTF−Iに関
しては、Kuramitsuの報告[Kuramitsu,H.K.,Infect.Imm
unity,10:227−235(1974)]がある。すなわち、Kuram
itsuらは、菌体から1M NaClを用いて水不溶性グルカン
合成酵素活性を有する抽出物を得、そのGTFとしての性
質を試験し、該抽出物におけるGTF活性の至適pHが6.0、
また至適温度が37℃であることなどを報告している。
しかしながら、Kuramitsuが得たこの抽出物は、その
精製に必要な脱塩処理にかけると、水に不溶性となって
しまうものであるため、該抽出物からGTF活性を有する
精製されたタンパク質を得るまでには至っていない。従
って、Kuramitsuの報告した菌体結合型のGTFに関するデ
ータは精製酵素タンパク質を用いて求めたものでないの
で、GTF活性を有する酵素を特定するには極めて不充分
なものであった。特に、菌体から抽出された抽出物に含
まれる酵素がどのような分子量や等電点などの酵素タン
パク質としての特性を有しているかについては何ら示さ
れていなかった。
一方、GTF−Iがc型菌の培養上清中に存在すること
が、KenneyらおよびKuramitsuらによって示されてい
る。
Kenneyらは、c型菌の培養上清中に分子量153kダルト
ンの水不溶性多糖を合成する作用を有するGTF−Icが存
在することを示した[A.C.Kenney and J.A.Cole,FEMS M
icrobiol.Lett.,16:159−162(1983)]。
しかしながら、KenneyらはGTF−Icの培養上清中での
存在を示したのみにとどまり、該酵素の分離・精製につ
いて、あるいは該酵素のタンパク質としての性質を特定
するのに必要なデータは何ら示していなかった。
一方、Kuramitsuらは水溶性グルカンを合成する作用
を有するdextransucrase(DS、GTF−Sc)を含む画分
と、水不溶性グルカンを合成する作用を有するmutansyn
thetase(MS、GTF−Ic)を含む画分をc型金の培養上清
から分離し、これらの画分におけるGTF活性等について
各種の分析を行ない、DSとMSとが異なる酵素であること
を示した。ここで得られたMSは、DSと異なる免疫原性を
有し、更に155kダルトンの分子量及び4〜5の等電点
(pI)を有するものであった[Kuramitsu,H.K.,and Won
drack,L.,Infect.Immunity,42:763−770(1983)]。
このような状況の中で、本発明者らはCA−GTF−Iの
存在を明確とするために該酵素の分離精製法について鋭
意検討を重ねた結果、CA−GTF−Iをc型菌の菌体から
分離・精製することに始めて成功し、その性質について
新たな知見を得るに至り本発明を完成した。
本発明の目的は、う蝕発生のメカニズムの詳細な解明
やう蝕予防に必要なより効果的な技術あるいは各種薬剤
の開発等に有用である水不溶性グルカン合成酵素として
のCA−GTF−Iの提供することにある。
特に本発明のCA−GTF−Iは、動物に対する免疫原性
を有することが本発明者らによって明らかとされたこと
から、該酵素を用いて調製した該酵素に対する特異抗体
を利用して、う蝕予防に必要な技術の確立、該抗体を有
効成分として含むう蝕予防剤及び各種う蝕予防剤の開発
が可能となる。また、本発明のCA−GTF−Iは、スクロ
ースからのグルカンの製造に有効に利用できる。
本発明のCA−GTF−Iは、SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(SDS−PAGE)により測定した分子量が、150
k〜165kダルトンである酵素タンパク質であり、スクロ
ースから水に不溶性のグルカンが合成される反応を触媒
とする酵素として機能する。
本発明のCA−GTF−Iの酵素活性の至適pHは、pH6.7〜
7.0である。
なお、この至適pHは口腔内のpHとほぼ一致するもので
あり、この点からもCA−GTF−Iが口腔内でのS.mutans
の挙動において重要な働きを演じていることが容易に推
定できる。
なお、本発明のCA−GTF−Iが酵素活性を示す温度
は、15〜50℃の範囲にあり、至適温度は27〜37℃の範囲
にある。
なお、該酵素のGTF活性は、80℃、5分間の処理で失
活する。
一方、本発明のCA−GTF−Iは、動物において免疫原
となり得るものであり、該酵素を動物に投与して、該酵
素に対する特異抗体を生成させることができる。このよ
うにして得られた抗体は、上述のように、う蝕予防の分
野等において有用である。
本発明のCA−GTF−Iの酵素活性は、例えば該酵素
に、[14C−グルコース]スクロース([14C−glucos
e]sucrose)を基質として反応させた際に生成されるグ
ルカンへの放射能の取り込み量を計測することにより測
定できる。
なお、本発明においては、1分間に1μmolのグルコ
ースをグルカンに転移させる活性を1単位(U)とし
た。
本発明のCA−GTF−Iは、例えば、菌体に結合した状
態で生産されたGTF−Iを菌体から分離精製して得るこ
とができる。
本発明のCA−GTF−Iは、後述の実施例において明ら
かとされているように、c型菌の培養上清中に存在する
水溶性グルカンを合成する作用を有するGTF−S(CF−G
TF−S)とは明確に区別される。
本発明のCA−GTF−Iは以下のようにしてc、eまた
はf型菌から分離・精製することができる。
まず、c、eまたはf型菌を適当な培地で培養し、得
られた菌体を集菌し、必要に応じて洗浄する。
ここで用いるc型菌としては、S.mutans MT8148株、I
ngbritt株、10449株等を利用することができる。
なお、これらの菌は公知であり、容易に入手可能であ
る。
例えば、S.mutans MT8148株、Ingbritt株は大阪大学
歯学部から、10499株ナショナル コレクション オブ
タイプ カルチャーズ[National Collection of Typ
e Cultures(NCTC)]から入手できる。また、e型菌や
f型菌についても公知の菌株を入手して用いれば良い。
また、培地としては、少なくともグルコースを含む培
地が利用でき、例えば、TTY培地(Trypticase、Tryptos
e、Yeast extractの複合培地)、BHI(Brain Heart Inf
usion)培地、FMC培地などを用いることができる。
また、培養温度は、菌体増殖が得られ、かつCA−GTF
−Iの生産に適した範囲内であれば良いが、良好な菌体
増殖とCA−GTF−Iの生産という点からは、通常37℃程
度とすると良い。
また、培養時間は、培養温度、培地の種類等の培養条
件によって異なるが、CA−GTF−Iの最適収量に達する
時期を選択して決定すれば良く、通常18〜20時間程度と
すれば良い。
また、その他の培養条件についても、上記の観点から
適宜選択すれば良い。
次に、菌体からCA−GTF−Iを抽出する。
菌体からのCA−GTF−Iの抽出は、尿素溶液、グアニ
ジン塩酸溶液などの抽出用溶液と菌体とを接触させる方
法などにより行なうことができる。
抽出用溶液中の懸濁菌体濃度、抽出用溶液の濃度、抽
出の温度および時間等の抽出条件は、目的とする酵素の
十分な抽出が可能であるように、用いる抽出用溶液の種
類に応じて適宜選択して設定すれば良い。
なお、高比活性の抽出物を高回収率で得るという点か
らは、好ましくは6〜10M、より好ましくは8Mの尿素溶
液を用いた、好ましくは20〜30℃、より好ましくは25℃
で、15分〜2時間程度の処理を行なうと良い。
抽出操作が終了したところで、抽出液から菌体等の固
形物を遠心分離法などの方法により除いた後、これを透
析、限外瀘過、ゲル瀘過等の手段で処理して尿素や低分
子量の不純物等を該抽出液から除去して、CA−GTF−I
粗抽出標品を得ることができる。
なお、この透析等の処理の際に沈殿が生じた場合に
は、それを遠心分離法などの手法によって除去すれば良
い。
更に、粗抽出標品を、精製してCA−GTF−I精製標品
を得ることができる。
この精製には、陰イオン交換体を用いた吸着法と、ヒ
ドロキシアパタイトを用いた吸着法を組み合せた方法が
好適に適用できる。
粗抽出標品の精製に用いる陰イオン交換体としては、
ジエチルアミノエチル[Diethylaminoethyl(DEAE)]
等の官能基を有する陰イオン交換体が利用でき、具体的
には、DEAE−セファセル(DEAE−Sephacel、ファルマシ
ア社製)などを挙げることができる。
また、ヒドロキシアパタイトとしては、Bio−Gel HTP
[バイオラッド(Bio−Rad)社製]等を用いることがで
きる。
陰イオン交換体を用いた精製処理は、粗抽出標品に含
まれる抽出物(粗タンパク質)を陰イオン交換体に接触
させた後、陰イオン交換体に吸着した画分から、目的と
する酵素を含む画分を選択的に溶出させて分画すること
によって行なうことができる。
目的とする酵素を含む画分は、例えば溶出液の塩濃度
を調節することによって得ることができる。
この塩濃度は、用いる陰イオン交換体の種類や溶出条
件等に応じて異なるが、GTF(I)活性を有する画分を
選択的に分画できる濃度範囲を選択して決定すれば良
い。
例えば、DEAE−セファセルを用いた場合には、リン酸
緩衝液中のNaCl濃度が0.45〜1.0Mの範囲でGTF(−I)
活性を有する画分を得ることができる。
なお、陰イオン交換体と接触させる試料は、粗抽出標
品から硫安、エタノール沈殿等の塩の溶液や有機溶媒を
用いた沈殿法などによって得た沈殿粗タンパク質を、遠
心分離法等により回収した後に、適当な溶媒に溶解し、
これを必要に応じて透析等で処理して該沈殿物から低分
子量の不純物を除くことによって調製することができ
る。
陰イオン交換体での処理が終了したところで、GTF
(−I)活性を有する画分を集め、これを透析等の手段
で脱塩処理した後、ヒドロキシアパタイトと接触させ
る。
次に、ヒドロキシアパタイトに吸着した画分からCA−
GTF−Iを選択的に分離溶出させて、CA−GTF−I画分を
得、該画分を必要に応じて透析等で処理して、CA−GTF
−I精製標品を得ることができる。
このようにして得られたCA−GTF−I精製標品は、SDS
−PAGEにおいて分子量150k〜165kダルトンに相当する位
置に単一バンドを与える。
また、上記の操作によれば、例えば後述の実施例に示
されているように、比活性で6.96U/mg・タンパク質まで
の精製が可能である。
更に、本発明のCA−GTF−Iは、上述の菌体培養およ
び抽出操作を行なうことによって製造することができ
る。得られた抽出物は、更に所望に応じた精製度が得ら
れるまで精製すれば良い。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 (S.mutansの各種血清型におけるGTFの局在の検討) 表1に示す各血清型のS.mutansのそれぞれ(大阪大学
歯学部から入手)を個別に50mlのBHI培地およびTH(Tod
d−Hewitt)培地で37℃、18時間培養した。
培養終了後、遠心分離法によって菌体と培養上清とを
分離し、得られた菌体は生理食塩水で洗浄した。
次に、菌体と培養上清のそれぞれのGTF活性を以下の
方法にしたがって測定した。その結果を表1に示す。
GTF活性の測定方法; 1)測定に供した試料 菌体の場合 集菌した培養菌体を生理食塩水で洗浄後、全菌量を5m
lの10mMリン酸緩衝液(pH6.0)に懸濁させ、超音波処理
で菌体を分散させて得た菌体懸濁液を試料とした。
上清の場合 培養上清をそのまま試料とした。
2)GTF活性の測定 各試料10μを、基質としての20mMの[14C−グルコ
ース]スクロース([14C−glucose]sucrose、0.05 Ci
/mol)を含む0.2Mリン酸緩衝液(pH6.0)の10μと混
合し、37℃で1時間反応後、反応液全量を瀘紙(1.0×
2.0cm)にスポットし、これをメタノールで洗浄後、濾
紙上に残ったメタノールに不溶性のグルカン中に取り込
まれた放射能量を測定し、GTF活性を算出した。
表1に示した結果から明らかなように、d型菌および
g型菌では、BHI培地での培養、すなわちスクロースの
非存在下ではGTFのほとんどは培養上清中に存在する
が、TH培地での培養、すなわちスクロースの存在下では
GTFのほとんどが菌体結合型となっている。
一方、c型、e型及びf型菌においては、d型菌およ
びg型菌におけるような大きな変化は認められなかっ
た。
実施例2 (菌体からのCA−GTF−Iの抽出) S.mutans MT8148株(血清型c)を、1のTTY培地
で、37℃、18時間培養し、遠心分離法により菌体を集菌
し、更に生理食塩水で集菌した菌体を2度洗浄した。
次に、各種抽出用溶液に菌体の一部を懸濁させ、得ら
れた懸濁液を撹拌しながら抽出を行なった。
抽出操作終了後、各抽出液から菌体を遠心分離法によ
り分離し、得られた上清液を10mMリン酸緩衝液(pH6.
0)に対して透析した。
透析終了後、各上清液中に生じた不溶物を遠心分離法
により除去したのち、各上清液のGTF活性と、タンパク
質含量を測定した。
なお、GTF活性は、実施例1に記載した方法を用い、
またタンパク質含量はローリー(Lowry)らの方法[牛
血清アルブミン(BSA)を標準として用いた]により測
定し、比活性を求めた。
抽出操作に用いた抽出用溶液と抽出条件、および抽出
物のGTF比活性の代表例を表2に示す。
更に、先に得た菌体を1mMのリン酸緩衝液(pH6.0)中
に懸濁し、該懸濁液を、20KHz、200W、3分間の条件の
超音波破壊処理にかけて菌体破壊物混合物を調製し、遠
心分離法により不溶画分を除いた後、その上清のGTF活
性を同様に測定した結果も表2に示した。
表2に示した結果から明らかなように、各抽出操作に
よって、菌体からGTF活性を有するタンパク質を抽出す
ることができ、高収率で高比活性の抽出物を得るには、
8M尿素溶液を用いた25℃、1時間の抽出操作が最適であ
ることが判明した。
実施例3 (CA−GTF−I精製標品の調製) 実施例2において8M尿素を用いた25℃、1時間の抽出
操作が最適であることが判明したので、実施例2と同様
の条件で、MT8148をTTY培地(8)で培養し、得られ
た菌体を集菌、洗浄し、それを300mlの8M尿素溶液に懸
濁した。なお、得られた培養菌体は乾燥重量で9.7gであ
った。
次に、該懸濁液を25℃、1時間撹拌して抽出を行なっ
た。
抽出終了処理後、抽出液から菌体を遠心分離法により
除去して得た上清液を、10mMリン酸緩衝液(pH6.0)に
対して透析した。
透析終了後、上清液中に生じた不溶物を遠心分離法に
より除去し、CA−GTF−I粗抽出標品を得た。
次に、粗抽出標品から60%飽和の硫安による沈殿物を
調製し、この沈殿物を更に20mlの50mMリン酸緩衝液(pH
7.5)に溶解させ、得られた溶液を50mMリン酸緩衝液(p
H7.5)に対して透析した。
透析終了後、透析処理中に生じた不溶物を溶液から遠
心分離法により除去したのち、その上清液をDEAE−セフ
ァセル(DEAE−Sephacel、ファルマシア社製)の2.5×1
3cmのカラムにかけた。
カラムに吸着した画分は、リン酸緩衝液(pH7.5)中
のNaClの濃度勾配によって選択的に溶出させた。
溶出された各画分のGTF活性を実施例1に記載した方
法で、またタンパク質含量を280nmの紫外吸収法で測定
したところ、第1図に示したように0.45〜1.0MのNaCl濃
度画分中に顕著なGTF活性が認められた。
0.45〜1.0MのNaCl濃度による溶出画分を集め、それを
10mMリン酸緩衝液(pH6.0)に対して透析し、次いで10m
Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したヒドロキシアパタ
イト[Bio Gel HTP、バイオラッドBio−Rad)社製]の
カラム(1.0×13cm)にかけた。
カラムに吸着した画分は、0.01M、0.2M、0.26Mおよび
0.5Mのリン酸緩衝液(pH6.0)でそれぞれ溶出させた。
各画分の、GTF活性およびタンパク質含量を上述と同
様の方法で測定した結果、第2図に示したように、0.5M
のリン酸緩衝液による画分中にGTF活性が認められた。
次に、高活性を示す0.5Mのリン酸緩衝液による溶出画
分を集め、それを10mMリン酸緩衝液(pH6.0)に対して
透析し、精製酵素標品とした。
なお、以上の抽出および精製の各段階で得られたGTF
活性を有する画分中のGTF活性、タンパク質含量、GTF比
活性、収率を表3に示す。
更に、この精製酵素標品を以下の条件のSDS−PAGE
[クマシ ブリリアント ブルー(CBB)でタンパク質
を染色]にかけたところ、分子量156kダルトンの位置に
単一のバンドが検出され、該精製酵素標品が分子量156k
ダルトンの酵素タンパク質であることが確認された。
SDS−PAGE操作条件; SDS−PAGEはレムリー(Laemmli)らの方法により行な
った。
すなわち、粗抽出標品および精製標品(0.2〜35μ
g)を個々に2%SDS、5%2−メルカプトエタノール
及び20%グルセロールを含む62.5mMのトリス塩酸緩衝液
(pH6.8)中で100℃、3分間処理した。
電気泳動は、0.1%のSDSを含む7.5%の分離ゲルと、
4%の濃縮ゲル中、室温下、10mA、2時間の条件で行な
った。
なお、分子量マーカーとしては、フェリチン(ferrit
in、220kダルトン)、ホスフォリラーゼ(phosphorylas
e、94kダルトン)、牛血清アルブミン(bovine serum a
lbumin、67kダルトン)、カタラーゼ(catalase、60kダ
ルトン)、オブアルブミン(ovalbumin、43kダルトン)
および乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase、36kダ
ルトン)(いずれもファルマシア社製)を用いた。
次に、50mU酵素活性量に相当する量の精製酵素標品
を、最終濃度で1%スクロース及び0.1%のアジ化ナト
リウムを含む0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.0)に加え、蒸
留水で3mlに容量を調整した後、混合し、37℃、18時間
酵素反応を行なわせた。なお、酸素反応は、反応溶液を
氷冷して4℃にすることにより停止させた。
酸素反応終了後、反応生成物を1600×gの遠心分離で
処理し、沈殿した水不溶性画分と上清液に分けた。
水不溶性画分は蒸留水で2度洗浄し、3mlの蒸留水に
懸濁して、水不溶性グルカン標品とした。
また、上清液にその2.5倍容量のエタノールを加え、
4℃で1時間放置後、生じた沈殿を1600×gの遠心分離
で回収し、それを3mlの蒸留水に溶解させ、更に同様の
沈殿処理を再度行なって回収された沈殿を再び3mlの蒸
留水に溶解し水溶性グルカン標品とした。
更に、これらの標品に含まれるグルカンの量をアンス
ロン法により定量分析して該精製酵素標品の作用によっ
て合成されるグルカンの種類を調べたところ、該精製酵
素標品は水不溶性グルカンを合成する作用を有するCA−
GTF−Iであることが明らかとなった。
更に、実施例1におけるGTF活性の測定法における、
温度、pHを変化させて、該精製酵素標品の水不溶性グル
カン合成酵素活性における至適温度、至適pHを求めた。
また、常法に従ってそのKm値も測定した。
以上の測定および試験において得られた結果を表4に
示す。
なお、比較のため、MT8148株のBHI透析外液培養上清
液から馬場らの方法[CarbohydrateResearch,158,147−
155(1986)]によって得たCF−GTF−Sにおける同様の
測定結果を表4に付記した。
更に、本発明のCA−GTF−Iで免疫したマウスから調
製した抗血清を用いてイムノブロッティグを行なったと
ころ、該抗血清中に本発明のCA−GTF−Iに反応する抗
体が得られることが確認された。
一方、上記の操作によって得られたCA−GTF−IとCF
−GTF−Sの抗原性について、CA−GTF−Iに対するマウ
ス抗血清[MT8148株から得たCA−GTF−IをFCA(フロイ
ント完全アジュバント)とともに皮下注射することによ
り免疫したマウスから調製]と、CF−GTF−Sに対する
モノクローナル抗体[MT8148株の培養上清液からSatoら
の方法(Sato,S.,Koga,T.and Inoue,M.,CarbohydrateRe
search,134,293−304(1984))に従って調製した水溶
性グルカン合成酵素と反応するモノクローナル抗体]を
用い、更に、2次抗体としてアルカリフォスファターゼ
標識ヤギ抗マウスIgA+IgG+IgM抗体を、基質としてp
−ニトロフェニルリン酸−2−ナトリウムを使用したEL
ISA法によって検討したところ表5に示す結果を得た。
すなわち、CA−GTF−Iに対するマウス抗血清とCF−GTF
−Sとは反応せず、またCF−GTF−Sに対するモノクロ
ーナル抗体はCA−GTF−Iと反応せず、これらが異なる
抗原性を有することが判明した。
なお、上の各操作で調製した各種溶液%表示は全て重
量/容量%である。
[発明の効果] 本発明によって、う蝕発生のメカニズムの解明やう蝕
予防に必要な技術あるいは各種薬剤の開発または探索等
に有用である水不溶性グルカン合成酵素活性を有する血
清型がc,eまたはfであるS.mutansのCA−GTF−Iが提供
された。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例3におけるDEAE−セファセルからの各溶
出画分中のタンパク質含量(A280)、GTF活性およびFT
ase(D−フルクトシルトランスフェラーゼ)活性を示
したグラフであり、第2図は実施例3におけるヒドロキ
シアパタイトからの各溶出画分中のタンパク質含量(A
280)、GTF活性およびFTase活性を示したグラフであ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記理化学的特性を有する菌体結合型グル
    コシルトランスフェラーゼ。 作用及び基質特異性; スクロースに作用し、水に不溶性のグルカンを合成す
    る。 至適pH; pH6.7〜7.0 作用適温の範囲; 15〜50℃ 失活の条件; 80℃、5分間の処理で失活する。 分子量; SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定した
    分子量が、150k〜165kダルトンである。 免疫原性; 動物において免疫原となり、該酵素に対する特異抗体を
    生成させ得る。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の菌体結合型グルコシルト
    ランスフェラーゼを生産する血清型がc、eまたはfで
    あるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcu
    s mutans)の培養菌体から該菌体結合型グルコシルトラ
    ンスフェラーゼを抽出し、精製する過程を有することを
    特徴とする請求項1に記載の菌体結合型グルコシルトラ
    ンスフェラーゼの精製方法。
  3. 【請求項3】前記精製が陰イオン交換体を用いた吸着法
    による精製過程と、ヒドロキシアパタイトを用いた吸着
    法による精製過程とを組み合わせた処理によって行われ
    る請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の菌体結合型グルコシルト
    ランスフェラーゼを生産する血清型がc、eまたはfで
    あるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcu
    s mutans)を培養し、得られた培養菌体から該菌体結合
    型グルコシルトランスフェラーゼを採取する過程を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の菌体結合型グルコ
    シルトランスフェラーゼの製造方法。
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