JP2598173Y2 - コークス乾式消火設備の冷却塔内水吹込装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コークス乾式消火設備
の冷却塔内水吹込装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、コークス乾式消火設備は、図４
に示される如く、上部に高温の赤熱コークス１を貯留す
るプリチャンバ２が形成され、且つ下部に前記赤熱コー
クス１を冷却するための冷却室３が形成された冷却塔４
を備えており、高温の赤熱コークス１を収容したバケッ
ト５を、移送台車６に搭載された巻上機７によって吊り
上げてから冷却塔４の上部へ移送した後、該冷却塔４の
頂部中央に設けられた装入口８から前記バケット５内の
赤熱コークス１を冷却塔４内上部のプリチャンバ２に投
入し、該プリチャンバ２において前記赤熱コークス１を
貯留し、続いて冷却室３において赤熱コークス１を後述
する熱回収ボイラ（図示せず）から循環される低温の循
環ガス９によって冷却し、該循環ガス９によって冷却さ
れ温度降下したコークス１’を、冷却塔４底部の切出装
置１０から搬出コンベア１１上に切り出し、該搬出コン
ベア１１によって外部へ搬出する一方、前記赤熱コーク
ス１を冷却して温度上昇した高温の循環ガス９’を図示
していない熱回収ボイラへ導入し、高温高圧蒸気を発生
させ、熱回収を行うようにしている。

【０００３】前記冷却塔４の上側には、図５及び図６に
示されるように、装入口８を開閉可能な蓋体１２が支持
アーム１３に吊り下げられる形で搭載された蓋体台車１
４と、該蓋体台車１４に連結され且つバケット５からの
赤熱コークス１を冷却塔４の装入口８へ導くためのホッ
パ１５がスプリング（図示せず）によって弾性支持され
るように搭載されたホッパ台車１６が、シリンダ１７の
伸縮作動によりリンク１８，１９と駆動アーム２０を介
して横行可能に配設され、赤熱コークス１の投入時に
は、図６に示される状態から、シリンダ１７が収縮し、
リンク１８，１９を介して駆動アーム２０と支持アーム
１３とが反時計方向に所要量回動することにより、蓋体
１２が所要高さ位置まで持ち上げられた後、前記蓋体台
車１４が装入口８から図６中左側へ待避して、図５に示
される如く、装入口８が開放されると共に、前記蓋体台
車１４と連動する形でホッパ台車１６が装入口８の真上
に移動し、この状態でホッパ１５の上にバケット５が載
せられてその重みでホッパ１５がスプリングの付勢力に
抗して所要量下降し、該ホッパ１５の下端が装入口８に
接続された状態で、バケット５から赤熱コークス１がホ
ッパ１５を介して冷却塔４内に投入される一方、赤熱コ
ークス１の投入完了後には、図５に示される状態からバ
ケット５を吊り上げると、ホッパ１５が前記スプリング
の付勢力によって所要量上昇し、この後、シリンダ１７
が伸長し、ホッパ台車１６が装入口８から図５中右側へ
待避すると共に、蓋体台車１４が蓋体１２を所要高さ位
置に保持したまま図５中右側へ移動して行き、蓋体１２
が装入口８の真上に到達する位置において蓋体台車１４
が停止し、該蓋体台車１４の停止後、前記シリンダ１７
が更に伸長し、リンク１８，１９を介して駆動アーム２
０と支持アーム１３とが時計方向に所要量回動すること
により、図６に示される如く、蓋体１２が下降して装入
口８が閉塞されるようになっている。

【０００４】又、前記冷却塔４上部の傾斜部分には、図
５及び図６に示される如く、水吹込ノズル２１が配置さ
れており、冷却塔４内の上部においてバケット５から投
入された赤熱コークス１に水吹込ノズル２１から水２２
を吹き付けることにより、水性ガス反応（Ｃ＋Ｈ₂Ｏ→
Ｈ₂＋ＣＯ）を起こさせて可燃成分Ｈ₂，ＣＯを発生さ
せ、該可燃成分Ｈ₂，ＣＯを冷却塔４と熱回収ボイラと
を結ぶ煙道（図示せず）内において空気を吹き込むこと
によって燃焼させ、前記熱回収ボイラにおいて高温高圧
蒸気の発生量を増加させるようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
如く、冷却塔４上部の傾斜部分に水吹込ノズル２１を配
置するのでは、該水吹込ノズル２１からの水２２の吹き
始めや吹き終わりの際に、水吹込ノズル２１周囲の耐火
物２３に水２２がかかってしまい、該耐火物２３が高温
状態から急冷される形となり、損傷が生ずる虞れがあ
り、又、冷却塔４内に投入される赤熱コークス１の高さ
レベルが変化した場合、該赤熱コークス１の中央部に水
２２を均等に吹き付けることが困難となって、水性ガス
反応による可燃成分Ｈ₂，ＣＯの発生が均一に行われな
くなる一方、前記赤熱コークス１の高さレベルが低いと
きには、水吹込ノズル２１と対向する側の耐火物２３に
水２２がかかって前述と同様に損傷が生ずる虞れもあ
り、更に又、冷却塔４を構成する鉄皮２４と耐火物２３
との間には熱膨張による相対変位が発生するが、前記鉄
皮２４と耐火物２３を貫通するように水吹込ノズル２１
を配置する関係上、該水吹込ノズル２１の挿入部分に前
記鉄皮２４と耐火物２３との間に生ずる相対変位を吸収
する構造を設けなければならず、冷却塔４における水吹
込ノズル２１の挿入部分の構造が複雑化する等の欠点を
有していた。

【０００６】本考案は、斯かる実情に鑑み、冷却塔内に
投入される赤熱コークスの高さレベルにかかわらず、常
に赤熱コークスの中央部に水を均等に吹き付けることが
でき、水性ガス反応による可燃成分Ｈ₂，ＣＯの発生量
を増大し得、耐火物に損傷が生ずることを防止し得、し
かも、鉄皮と耐火物との間に発生する熱膨張による相対
変位を水吹込ノズルに伝えないよう吸収する構造につい
て考慮する必要もなく、冷却塔における水吹込ノズルの
挿入部分の構造の複雑化を回避し得るコークス乾式消火
設備の冷却塔内水吹込装置を提供しようとするものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、赤熱コークス
を冷却して熱回収を行うコークス乾式消火設備の冷却塔
の頂部中央に、赤熱コークスを投入するための装入口を
開口せしめ、該装入口に蓋体を開閉自在に取り付け、該
蓋体の中心部に、外周部に水冷ジャケットを有する水吹
込ノズルを貫通配置し、該水吹込ノズルへ水を供給する
水吹込ライン途中に、前記蓋体の開閉時における変位を
吸収可能なフレキシブル配管を設けると共に、前記水冷
ジャケットへ水を供給するジャケット給水ラインと水冷
ジャケットから水を排出するジャケット排水ラインの途
中に、前記蓋体の開閉時における変位を吸収可能なフレ
キシブル配管を設けたことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】従って、蓋体が装入口を閉塞した状態で、水吹
込ラインとジャケット給水ラインへ水を送給すると、水
吹込ノズルから冷却塔内の赤熱コークスに水が吹き付け
られると共に、水冷ジャケットに水が供給されて水吹込
ノズルを冷却した後、ジャケット排水ラインから排水さ
れる。

【０００９】このように、冷却塔内に投入された赤熱コ
ークスに水吹込ノズルから水を吹き付けた場合、水吹込
ノズルは冷却塔の頂部中央に開口する装入口を開閉自在
な蓋体の中心部に貫通配置されているため、水吹込ノズ
ルからの水の吹き始めや吹き終わりの際に、水吹込ノズ
ル周囲の耐火物に水がかかってしまうことはなく、該耐
火物が高温状態から急冷されて損傷が生ずる虞れもな
く、又、冷却塔内に投入される赤熱コークスの高さレベ
ルが変化したとしても、該赤熱コークスの中央部に常に
水が均等に吹き付けられ、水性ガス反応による可燃成分
Ｈ₂，ＣＯの発生が効果的に行われる一方、前記赤熱コ
ークスの高さレベルが低いときでも、水吹込ノズルと対
向する側の耐火物に水がかかる心配もなく、更に又、熱
膨張による相対変位が発生する鉄皮と耐火物を貫通する
ように水吹込ノズルを配置するのではないため、該水吹
込ノズルの挿入部分に前記鉄皮と耐火物との間に生ずる
相対変位を吸収する構造を設ける必要もなく、冷却塔に
おける水吹込ノズルの挿入部分の構造が複雑化すること
も避けられる。

【００１０】又、赤熱コークスの投入時には、水冷ジャ
ケットへの水の供給、即ち水吹込ノズルの冷却は継続さ
れたまま、水吹込ノズルへの水の供給が停止され、蓋体
が開かれるが、このときの蓋体の開閉に伴う変位は、フ
レキシブル配管によって吸収され、開放された装入口か
ら赤熱コークスが冷却塔内に投入される。

【００１１】

【実施例】以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明
する。

【００１２】図１〜図３は本考案の一実施例であって、
図中、図４〜図６と同一の符号を付した部分は同一物を
表わしており、冷却塔４の頂部中央に開口する装入口８
を開閉自在な蓋体１２の中心部に、外周部に水冷ジャケ
ット２５を有する水吹込ノズル２６を、ガイドパイプ２
７を介して貫通配置し、該水吹込ノズル２６へ水２２を
供給する水吹込ライン２８途中に、前記蓋体１２の開閉
時における変位を吸収可能なフレキシブル配管２９，３
０を設けると共に、前記水冷ジャケット２５へ水２２’
を供給するジャケット給水ライン３１と水冷ジャケット
２５から水２２’を排出するジャケット排水ライン３２
の途中に、前記蓋体１２の開閉時における変位を吸収可
能なフレキシブル配管３３，３４，３５を設ける。

【００１３】前記水吹込ライン２８は、図３に示す如
く、工水ライン３６に接続され且つ各種バルブ類（図示
せず）が内蔵されたバルブユニット３７から延びる固定
配管３８と、蓋体台車１４に取り付けられた固定配管３
９と、水吹込ノズル２６に接続された固定配管４０とを
備え、前記固定配管３８，３９間に、蓋体１２の開閉時
における蓋体台車１４の横行動作を吸収するためのフレ
キシブル配管２９を設けると共に、前記固定配管３９，
４０間に、蓋体１２の開閉時における蓋体１２の昇降動
作を吸収するためのフレキシブル配管３０を設けるよう
にしてある。

【００１４】又、前記ジャケット給水ライン３１は、図
３に示す如く、前記バルブユニット３７から延びる固定
配管４１と、蓋体台車１４に取り付けられた固定配管４
２と、水冷ジャケット２５に接続された固定配管４３と
を備え、前記固定配管４１，４２間に、蓋体１２の開閉
時における蓋体台車１４の横行動作を吸収するためのフ
レキシブル配管３３を設けると共に、前記固定配管４
２，４３間に、蓋体１２の開閉時における蓋体１２の昇
降動作を吸収するためのフレキシブル配管３４を設ける
ようにしてある。

【００１５】更に又、前記ジャケット排水ライン３２
は、図３に示す如く、水冷ジャケット２５に接続された
固定配管４４と、ホッパ台車１６に取り付けられた固定
配管４５とを備え、前記固定配管４４，４５間に、蓋体
１２の開閉時における蓋体１２の昇降動作を吸収するた
めのフレキシブル配管３５を設けるようにし、又、前記
固定配管４５の先端は、蓋体台車１４並びにホッパ台車
１６の横行方向に樋状に延びるコークス粉回収トラフ４
６上に開放されるようにしてある。

【００１６】次に、上記実施例の作動を説明する。

【００１７】蓋体１２が装入口８を閉塞した状態で、工
水ライン３６からバルブユニット３７の操作により、水
吹込ライン２８とジャケット給水ライン３１へ水を送給
すると、水吹込ノズル２６から冷却塔４内の赤熱コーク
ス１に水２２が吹き付けられると共に、水冷ジャケット
２５に水２２’が供給されて水吹込ノズル２６の冷却が
行われ、該水吹込ノズル２６を冷却した水２２’がジャ
ケット排水ライン３２からコークス粉回収トラフ４６へ
排水される。

【００１８】このように、冷却塔４内に投入された赤熱
コークス１に水吹込ノズル２６から水２２を吹き付けた
場合、水吹込ノズル２６は冷却塔４の頂部中央に開口す
る装入口８を開閉自在な蓋体１２の中心部に貫通配置さ
れているため、水吹込ノズル２６からの水２２の吹き始
めや吹き終わりの際に、水吹込ノズル２６周囲の耐火物
２３に水２２がかかってしまうことはなく、該耐火物２
３が高温状態から急冷されて損傷が生ずる虞れもなく、
又、冷却塔４内に投入される赤熱コークス１の高さレベ
ルが変化したとしても、該赤熱コークス１の中央部に常
に水２２が均等に吹き付けられ、水性ガス反応による可
燃成分Ｈ₂，ＣＯの発生が効果的に行われる一方、前記
赤熱コークス１の高さレベルが低いときでも、水吹込ノ
ズル２６と対向する側の耐火物２３に水２２がかかる心
配もなく、更に又、熱膨張による相対変位が発生する鉄
皮２４と耐火物２３を貫通するように水吹込ノズル２６
を配置するのではないため、該水吹込ノズル２６の挿入
部分に前記鉄皮２４と耐火物２３との間に生ずる相対変
位を吸収する構造を設ける必要もなく、冷却塔４におけ
る水吹込ノズル２６の挿入部分の構造が複雑化すること
も避けられる。

【００１９】又、赤熱コークス１の投入時には、水冷ジ
ャケット２５への水２２’の供給、即ち水吹込ノズル２
６の冷却は継続されたまま、水吹込ノズル２６への水２
２の供給が停止され、図１に示す状態から、シリンダ１
７が収縮し、リンク１８，１９を介して駆動アーム２０
と支持アーム１３とが反時計方向に所要量回動すること
により、蓋体１２が所要高さ位置まで持ち上げられ、こ
のときの蓋体１２の上昇動作に伴う変位は、フレキシブ
ル配管３０，３４，３５によって吸収され、続いて、前
記蓋体台車１４が装入口８から図１中左側へ待避して装
入口８が開放され、このときの蓋体台車１４の横行動作
に伴う変位は、フレキシブル配管２９，３３によって吸
収され、前記蓋体台車１４と連動する形でホッパ台車１
６が装入口８の真上に移動してホッパ１５が所要量下降
し、該ホッパ１５の下端が装入口８に接続された状態
で、赤熱コークス１がホッパ１５を介して冷却塔４内に
投入される。尚、前記ホッパ台車１６の横行動作に伴っ
てジャケット排水ライン３２の固定配管４５の先端も移
動するが、該固定配管４５の先端は、蓋体台車１４並び
にホッパ台車１６の横行方向に樋状に延びるコークス粉
回収トラフ４６上に常に開放されるため、ジャケット給
水ライン３１から水冷ジャケット２５に供給されて水吹
込ノズル２６を冷却した後の水２２’は、ジャケット排
水ライン３２からコークス粉回収トラフ４６へ排水され
る。

【００２０】こうして、冷却塔４内に投入される赤熱コ
ークス１の高さレベルにかかわらず、常に赤熱コークス
１の中央部に水２２を均等に吹き付けることができ、水
性ガス反応による可燃成分Ｈ₂，ＣＯの発生量を増大し
得、耐火物２３に損傷が生ずることを防止し得、しか
も、鉄皮２４と耐火物２３との間に発生する熱膨張によ
る相対変位を水吹込ノズル２６に伝えないよう吸収する
構造について考慮する必要もなく、冷却塔４における水
吹込ノズル２６の挿入部分の構造の複雑化を回避し得
る。

【００２１】尚、本考案のコークス乾式消火設備の冷却
塔内水吹込装置は、上述の実施例にのみ限定されるもの
ではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種
々変更を加え得ることは勿論である。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のコークス
乾式消火設備の冷却塔内水吹込装置によれば、冷却塔内
に投入される赤熱コークスの高さレベルにかかわらず、
常に赤熱コークスの中央部に水を均等に吹き付けること
ができ、水性ガス反応による可燃成分Ｈ₂，ＣＯの発生
量を増大し得、耐火物に損傷が生ずることを防止し得、
しかも、鉄皮と耐火物との間に発生する熱膨張による相
対変位を水吹込ノズルに伝えないよう吸収する構造につ
いて考慮する必要もなく、冷却塔における水吹込ノズル
の挿入部分の構造の複雑化を回避し得るという優れた効
果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の側断面図である。

【図２】本考案の一実施例における水の配管系統を表わ
す平面図である。

【図３】本考案の一実施例における水の配管系統を表わ
す模式図である。

【図４】一般的なコークス乾式消火設備を表わす概要図
である。

【図５】従来のコークス乾式消火設備の冷却塔内水吹込
装置における赤熱コークス投入状態を表わす側断面図で
ある。

【図６】従来のコークス乾式消火設備の冷却塔内水吹込
装置における赤熱コークス非投入状態を表わす側断面図
である。

【符号の説明】

１ 赤熱コークス ４ 冷却塔 ８ 装入口 １２ 蓋体 ２２ 水 ２２’ 水 ２５ 水冷ジャケット ２６ 水吹込ノズル ２８ 水吹込ライン ２９ フレキシブル配管 ３０ フレキシブル配管 ３１ ジャケット給水ライン ３２ ジャケット排水ライン ３３ フレキシブル配管 ３４ フレキシブル配管 ３５ フレキシブル配管

フロントページの続き (72)考案者 南澤 勇 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属 工業株式会社 和歌山製鉄所内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C10B 39/02

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 赤熱コークスを冷却して熱回収を行うコ
   ークス乾式消火設備の冷却塔の頂部中央に、赤熱コーク
   スを投入するための装入口を開口せしめ、該装入口に蓋
   体を開閉自在に取り付け、該蓋体の中心部に、外周部に
   水冷ジャケットを有する水吹込ノズルを貫通配置し、該
   水吹込ノズルへ水を供給する水吹込ライン途中に、前記
   蓋体の開閉時における変位を吸収可能なフレキシブル配
   管を設けると共に、前記水冷ジャケットへ水を供給する
   ジャケット給水ラインと水冷ジャケットから水を排出す
   るジャケット排水ラインの途中に、前記蓋体の開閉時に
   おける変位を吸収可能なフレキシブル配管を設けたこと
   を特徴とするコークス乾式消火設備の冷却塔内水吹込装
   置。