JP2597378B2 - ゴム加硫用粒状硫黄 - Google Patents

ゴム加硫用粒状硫黄

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はロール加工性を改善できるゴムの加硫剤とし
て使用する粒状の硫黄に関する。
[従来の技術] ゴムの加硫剤として使用する硫黄は一般的に120メッ
シュ以上の微粉の粉末硫黄が使用されるが、秤量やロー
ル混練の加工時において飛散して作業者の人体に悪影響
を及ぼしたり、作業環境を悪化するばかりでなく、消防
法第2類危険物であり、粉塵爆発を起こす危険性があっ
たり、静電気により凝集してゴム中への分散性が悪い等
の欠点がある。
また、近時、秤量の自動化や混練工程の合理化の一環
として混練時間の短縮によるコストダウンの要望が強い
が、粉末硫黄では流動性が悪く、自動秤量は困難であ
り、またロール混練時に分散性が悪いためやロール皿に
落下した粉末を掃き集め回収して再度添加する手間がか
かる等のため混練時間が長くかかる欠点もあった。
また、硫黄をその溶融温度(融点:115℃)以上の温
度、たとえば140〜150℃の高温混練してゴム中に溶融分
散せさる方法も提唱されているが、粉末硫黄や下記のよ
うな今まで実施されている鉱物油等の低粘度物質での処
理品は溶融してロールでのスリップ現象や滴下現象が起
こる欠点があった。
[発明が解決しようとする課題] 以上の欠点を改善するために、従来から、粉末硫黄に
酸化亜鉛等の無機物を添加して凝集性を防止すること
や、粉末硫黄に鉱物油や鉱物油と界面活性剤やエチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コールで処理することや粉末硫黄に1価アルコールや多
価アルコールの高級脂肪酸エステルやエチレン・酢酸ビ
ニル共重合体で処理することや粉末硫黄のゴムとのマス
ターバッチとすることが提案され、一部では実用化もさ
れているが、粉末硫黄の欠点が完全に改善されていない
ために、実際に粉末硫黄を使用している場合がほとんで
ある。
すなわち、無機物のみの添加では飛散防止やロール皿
落ち等には効果がなく、また、鉱物油や鉱物油と界面活
性剤やエチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコールで処理をしても粒状品が得られ、
飛散防止や流動性の改善は図れるが、ロール混練時のコ
ンパウンドへの作業性が不充分で、コンパウンド内部へ
の拡散に時間がかかったり、ロール皿にも一部落下し、
また、高温混練でのロールでのスリップ現象や滴下現象
の改善は充分でない。
また、ゴムとのマスターバッチでは飛散防止ははかれ
るが、一般に形状が板状であって、また、形状を粒状に
したとしてもマスターバッチ生地が冷えているため、コ
ンパウンド中への拡散に時間がかかる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので
あり、その目的は粉末硫黄の欠点である飛散性、流動
性、分散性、ロール作業性を改善し、更に上記のような
従来提案されている粒状硫黄よりもロール混練でのコン
パウンドへの付着性が強いので喰込みがよく、内部への
拡散も速くて、ロール皿にも落下せず、より混練時間の
短縮がはかれ、また、高温混練でのロールでのスリップ
現象や滴下現象の少ない粒状硫黄を提供するにある。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は粉末硫黄100重量部に、処理剤と
して液状ゴム、またはポリエステル系可塑剤、芳香族ポ
リエーテル系可塑剤及び炭化水素系合成伸展油からなる
群から選択された1種または2種以上3〜100重量部
を、使用する処理剤の軟化点または融点以上、115℃未
満の温度で混合し、造粒してなるゴム加硫用粒状硫黄に
係る。
[作 用] 本発明に使用する粉末硫黄としては、一般にゴム用に
使用されている120メッシュ、150メッシュ、200メッシ
ュ、300メッシュ、325メッシュ、500メッシュ、600メッ
シュ等のものが使用できるが、ゴム中への分散性等を考
慮すると200メッシュ以上の微粉のものが望ましい。
また、処理剤としては液状ゴム、ポリエステル系可塑
剤、ポリエーテル系可塑剤、炭化水素系合成伸展油等を
使用することができる。
処理剤は液状ゴム単独、またはポリエステル系可塑
剤、ポリエーテル系可塑剤及び炭化水素系合成伸展油か
らなる群から選択された1種または2種以上の成分を使
用することができる。
液状ゴムとしては液状アクリロニトリル・ブタジエン
ゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状
クロロプレンゴム、液状ポリサルファイド等の常温で高
粘度のものを使用することができる。なお、これらの成
分は1種または2種以上を併用することができる。
ポリエステル系可塑剤としてはセバシン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、フタル酸等の二塩基酸とモノ−,ジ
−,トリ−エチレングリコール、モノ−,ジ−プロピレ
ングリコール等の二価アルコールのポリエステルで、そ
の粘度が25℃で1,000CP以上のものを使用することがで
きる。
ポリエーテル系可塑剤としてはその粘度が25℃で1,00
0CP以上の芳香族ポリエーテル等を使用することがで
き、例えばバイエル(Bayer)社のブルカノールFH等を
例示することができる。
更に、炭化水素系合成伸展油としては例えば三井石油
化学工場(株)のルーカンHC−10、20、40、100、150、
600、2000、3000Xのように常温で高粘度のエチレンとα
−オレフィンのコオリゴマーである炭化水素系伸展油を
使用することができる。
なお、粉末硫黄と処理剤の混合時の温度としては、そ
の混合時に処理剤が軟化または溶融してバインダーとし
て粉末硫黄粒子を結合して粒状にする必要があるため、
処理剤の軟化点または融点以上の温度が必要であり、ま
た、その温度が硫黄の融点の115℃以上になると硫黄の
粉末粒子が溶融して、冷却後凝集し、ゴム混練時に分散
不良を起こすため、硫黄の融点の115℃未満で行う必要
がある。
また、硫黄は一般的に50〜60℃でゴムコンパウンドに
ロール混練される場合が多いが、その場合には、本発明
による粒状硫黄の処理剤が軟化してコンパウンド中に粉
末硫黄粒子が分散していくためには、その混練温度の50
℃以下の軟化点または融点の処理剤であり、また、コン
パウンドによく付着して喰込みがよいためには処理剤は
混練時にコンパウンドに高粘度性を示す物質である必要
がある。50℃以下の軟化点または融点で、50〜60℃の混
練時に高粘着性を示す物質としては常温で流動性のある
前記の液状ゴムやポリエステル系可塑剤、ポリエーテル
系可塑剤でその粘度が25℃で1,000CP以上の可塑剤や炭
化水素系合成伸展油が使用できる。更に、これらの処理
剤で処理すると、硫黄の融点以上の、例えば150℃で
の、高温での溶融しての混練の場合にも、コンパウンド
によく付着して喰込みがよく、ロールでのスリップ現象
や滴下現象の起こりにくい粒状硫黄となる。
なお、25℃での粘度が100CP以下の一般的な可塑剤及
び軟化剤はもちろんであるが、25℃での粘度が1,000CP
以下の可塑剤または軟化剤を処理剤として処理しても、
粘着性が弱くて、ゴムコンパウンドへの付着性が不充分
で、コンパウンド内部への拡散やロール皿への落下や高
温混練でのロールでのスリップ現象や滴下現象の改善は
不充分で、処理剤としては適当でない。
また、粉末硫黄に必要に応じて、ゴム用充填剤例えば
軽質炭酸カルシウム普通品、軽質炭酸カルシウム膠質
品、重質炭酸カルシウム、クレー、タルク、塩基性炭酸
マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化
アルミニウム等や、ゴム用補強剤例えばカーボンブラッ
ク、ホワイトカーボン等や、白色顔料例えば二酸化チタ
ン、リトポン等や、無機系加硫活性剤例えば亜鉛華、活
性亜鉛華、複合亜鉛華、塩基性炭酸亜鉛、酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、一酸化鉛、鉛丹、塩基性炭
酸鉛、水酸化カルシウム等や、水分による気泡防止剤の
酸化カルシウム等の粉末状のゴム用配合剤を添加して、
前記の処理剤で処理すると生成する粒の硬さや形状や大
きさや粒度分布や粒の表面の粘着性の調整や溶融時の粘
度調整等を図ることができる。これらの成分の添加配合
量は粉末硫黄100重量部当たり0〜100重量部程度であ
る。
また、同様に前記の処理剤に必要に応じて、ゴム用軟
化剤例えば石油系プロセス油、パラフィン、石油アスフ
ァルト、植物油系軟化剤、サブ等や、可塑剤例えばフタ
ル酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エス
テル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマ
ル酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エス
テル、リン酸エステル、エポキシ系可塑剤、オレイン酸
エステル、ブチルステアレート、塩素化パラフィン等
や、ゴム用粘着付与剤例えばクマロン・インデン樹脂、
p−第三−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノ
ール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹
脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹
脂、合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂
肪族系炭化水素樹脂、脂肪族環状炭化水素樹脂、重合型
特殊ポリエステル、ポリブデン、アタクチック・ポリプ
ロピレン、ロジン誘導体等や、ゴム用加工助剤例えばス
テアリル・ステアレート、ペンタエリスリトールのステ
アリン酸エステル、ソルビトールのステアリン酸エステ
ル等の1価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル
や、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等の高級脂
肪酸の亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミ
ニウム塩等や、滑剤例えばパラフィンワックス、低分子
量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、脂肪酸アミド、脂肪アルコール等
や、有機系加硫活性剤例えばステアリン酸、ミリスチン
酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、アミン類等を添加して
処理すると生成する粒の硬さや形状や大きさや粒度分布
の調整や粒の表面の粘着性の調整や溶融時の粘度調整等
を図ることができる。これらの成分の配合量は処理剤10
0重量部当たり0〜100重量部程度である。
前記処理剤の配合量としては、粉末硫黄単独または前
記の充填剤等を添加した粉末硫黄100重量部に対し3〜1
00重量部であるが、望ましくは5〜50重量部である。配
合量が3重量部未満の場合は飛散等で粉末硫黄と同様の
欠点が改善されず、100重量部を超えると処理物は粒状
にならずにブロック状または粘土状やペースト状になり
適当でない。
また、粉末硫黄と処理剤との混合方法としては、混合
時の温度が処理剤の軟化点または融点以上で、硫黄の融
点の115℃未満であればよく、機種としては一般的な回
転式や攪拌式の混合機が使用できるが、高速攪拌流動型
混合機、例えばヘンシェルミキサー、マイクロスピード
ミキサー等が粒の揃った粒状品をつくる上では望まし
い。
[実 施 例] 以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。
実施例1 500メッシュ粉末硫黄2kgを内容積10の高速攪拌流動
混合型混合機[三井三池化工機(株)ヘンシェルミキサ
ーFM10B型]に入れ、それに液状アクリロニトリル・ブ
タジエンゴム[日本ゼオン(株)Nipol 1312]0.5kg
(粉末硫黄100重量部に対して処理剤25重量部)を添加
して混合する。混合を始めると温度上昇するので混合槽
外部のジャケットに冷却水を流して冷却しながら混合温
度が約55℃になるようにして混合すると、0.25〜10mmの
粒状品が生成した。
実施例2 500メッシュ粉末硫黄1.25kgと軽質炭酸カルシウム普
通品0.5kgと液状イソプレンゴム[(株)クラレ:クラ
プレンLIR−50]0.75kg(粉末硫黄と炭酸カルシウムの
合量の100重量部に対し処理剤42.9重量部)を実施例1
と同様に約60℃の混合温度で混合すると0.25〜7mmの粒
状品が生成した。
実施例3 300メッシュ粉末硫黄2kgと液状ブタジエンゴム[宇部
興産(株)Hycar CTB 2000×162]0.5kgとステアリン酸
[日本油脂(株)、牛脂ステアリン酸松]0.17kg(粉末
硫黄100重量部に対して処理剤33.5重量部)を添加し
て、実施例1と同様に約60℃の混合温度で混合すると0.
25〜7mmの粒状品が生成した。なお、この粒状品はステ
アリン酸無添加で、その他は同一の条件で製造した粒状
品よりも粒の表面の粘着性が少なく、より流動性のよい
粒状品となった。
実施例4 300メッシュ粉末硫黄2.5kgとエチレンとα−オレフィ
ンとのコオリゴマーの炭化水素系合成伸展油[三井石油
化学工業(株)ルーカントHC−150)0.13kg(粉末硫黄1
00重量部に対して処理剤5.2重量部)を実施例1と同様
に約40℃の混合温度で混合すると0.15〜1mmの顆粒状品
が生成した。
実施例5 300メッシュ粉末硫黄200gとポリエステル系可塑剤
[アデカ・アーガス化学(株)アデカ・サイザーPN−40
0、アジピン酸系ポリエステル、粘度(25℃)9000〜110
00CP]50g(粉末硫黄100重量部に対して処理剤25重量
部)を磁製乳鉢に入れ、約60℃に加熱して乳棒で混合
し、5mmの金網を通すと0.25〜5mmの粒状品が生成した。
以上、実施例1〜5の粒状硫黄を下記のようなスチレ
ン・ブタジエンゴム(SBR)コンパウンドに促進剤他と
ロール混練するに、粉末硫黄に比べて、コンパウンドに
付着し易く、喰込みが速く、内部への拡散も速く、ま
た、ロール皿にも落ちないので皿落品の掃込み回収等の
余分な手間が省け、そのためロール混練時間が短縮でき
て生産性向上ができ、また、145℃の高温での硫黄の溶
融混練でもロールでのスリップ現象や滴下現象が少なく
て喰込みが速くて約1/3の喰込み時間でよい等の良好な
結果が得られた。
また、粒状品であるため、粉末硫黄の欠点である飛散
や流動性や分散性の改善もできることはもちろんであ
り、また得られるゴム物性も無処理品と差がないことは
もちろんである。
SBRコンパウンド SBR1502 100 亜鉛華3号 5 ステアリン酸 1.5 ホワイトカーボン 40 ハードクレー 30 炭酸カルシウム 30 軟化剤 7 合計 213.5 上記SBRコンパウンドに後記の表のように粉末硫黄と
実施例1〜5の粒状硫黄(粉末硫黄と等量になる量を配
合)及び促進剤他をロール混練し、その時の状況および
ゴム物性の比較は後記の表の通りである。
[発明の効果] 本発明のゴム加硫用粒状硫黄は粉末硫黄の欠点である
飛散性、流動性、分散性、ロール作業性を改善すること
ができ、更に、これまで提唱されている粒状硫黄よりも
ロール混練でのコンパウンドへの付着性が強く、喰込み
がよく、コンパウンド内部への拡散も速く、ロール皿に
も落下せず、より混練時間を短縮することができ、ま
た、高温混練でのロールのスリップ現象や滴下現象が少
ない。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉末硫黄100重量部に、処理剤として液状
    ゴム、またはポリエステル系可塑剤、芳香族ポリエーテ
    ル系可塑剤及び炭化水素系合成伸展油からなる群から選
    択された1種または2種以上3〜100重量部を、使用す
    る処理剤の軟化点または融点以上、115℃未満の温度で
    混合し、造粒してなるゴム加硫用粒状硫黄。
  2. 【請求項2】液状ゴムが液状アクリロニトリル・ブタジ
    エンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、
    液状クロロプレンゴム及び液状ポリサルファイドからな
    る群から選択された1種または2種以上であり、ポリエ
    ステル系可塑剤がセバシン酸、アジピン酸、アゼライン
    酸及びフタル酸からなる群から選択された二塩基酸とモ
    ノ−,ジ−,トリ−エチレングリコール、モノ−,ジ−
    プロピレングリコールからなる群から選択された二価ア
    ルコールのポリエステルで、その粘度が25℃で1,000CP
    以上のものの1種または2種以上であり、芳香族ポリエ
    ーテル系可塑剤はその粘度が25℃で1,000CP以上のもの
    であり、且つ炭化水素系合成伸展油がエチレンとα−オ
    レフィンのコオリゴマーである特許請求の範囲第1項記
    載のゴム加硫用粒状硫黄。
  3. 【請求項3】粉末硫黄がゴム用充填剤、ゴム用補強剤、
    白色顔料、無機系加硫活性剤及び気泡防止剤からなる群
    から選択された1種または2種以上の成分を含有してな
    る特許請求の範囲第1項または第2項記載のゴム加硫用
    粒状硫黄。
  4. 【請求項4】処理剤がゴム用軟化剤、可塑剤、ゴム用粘
    着付与剤、ゴム用加工助剤、滑剤及び有機系加硫活性剤
    からなる群から選択された1種または2種以上の成分を
    含有してなる特許請求の範囲第1項から第3項までのい
    ずれか1項に記載のゴム加硫用粒状硫黄。
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