JP2596989B2 - 射出成形機のスクリュ回転制御装置 - Google Patents

射出成形機のスクリュ回転制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、射出成形機のスクリュ回転を樹脂特性に応
じて制御する装置に関する。
(従来の技術) 電動機を用いてスクリュの回転駆動を行う場合にサー
ボモータ、インバータ等が用いられるが、ここではイン
バータを用いたスクリュの回転速度制御の1例を第3図
乃至第5図により説明する。
射出成形機の可塑化工程におけるスクリュ回転は、以
下のような動作をとる。
ホッパ6には粒状の樹脂ペレット8が貯留されてい
る。スクリュ1は適当な減速比をもつ減速機を介して誘
導電動機4により回転駆動される。このときの回転数指
令は制御装置10からインバータ11に与えられ、誘導電動
機4の回転数はインバータ11の周波数制御によりコント
ロールされる。樹脂ペレット8は、スクリュ1の回転に
よる剪断発熱とスクリュシリンダ2に巻かれたバンドヒ
ータ5による加熱とにより、溶融しながら前方へ移送さ
れ、1回の射出に必要な量の溶融樹脂がスクリュ前部A
に貯留される。この溶融樹脂は、図示しない油圧シリン
ダ等によりスクリュ1を前進させることで、スクリュシ
リンダ2先端のノズル3より図示しない金型に注入さ
れ、そこで冷却固化して成形品となる。
さて、インバータ11による制御においては、インバー
タ11の過電流を防止するため、回転の指令周波数を0か
ら所定の回転数が得られる周波数まで、例えば4Pモータ
の場合でスリップを無視して、所定の回転数を1800r.p.
m.とすると、0から60Hzまで徐々に上昇させる。
こうすることで指令周波数に基づく回転数と実際の回
転数との差、即ちスリップ過大による過電流を防止し、
インバータを保護している。
この周波数を上昇させるカーブは、第4図に示すよう
な直線的な加・減速や第5図に示すようなS字カーブ状
の加・減速曲線が利用される。
加・減速のこのカーブのパターンはインバータ内部に
固定定数として設定保有している。
(発明が解決しようとする課題) ところで、射出成形機は一般に汎用機がその殆んどで
あり、従って使用する樹脂も多岐にわたり軽負荷の樹脂
(例えば、PS樹脂)から重負荷の樹脂(例えば、PC樹
脂)に至るまで同一成形機が使用され、回転数も高速か
ら低速まで広範囲にわたる。
これに対し上記の如く同一の加・減速パターンに固定
されていると、例えば軽負荷樹脂の低速回転に基づき加
・減速パターンを設定した場合には、重負荷樹脂に対す
る高速回転時には過電流が流れることになって、直ちに
保護機能が働き運転が不能となる。また、その逆の場合
を設定すると、加速時間が長くかかり、その分成形サイ
クル時間が長くなる欠点を有している。
こうした点を回避しようとして、従来の加・減速パタ
ーンを重負荷樹脂に合わせて設定し、同パターンで広範
な樹脂に対応させているのが実情であり、その結果、総
じて成形サイクルが長くなるという問題点があった。
本発明はこうした点を排除し、異なる成形条件に対応
して夫々最適な加・減速パターンに基づいてスクリュ回
転を制御することを可能にした制御装置を提供しようと
するものである。
(課題を解決するための手段) このため、本発明は射出成形機におけるスクリュの回
転駆動を各種電動機を介して制御する回転制御装置にお
いて、各種樹脂の異なる負荷特性に対応するスクリュ回
転の加・減速パターンを2以上設定記憶する記憶手段
と、前記加・減速パターンを任意に選択する手動のスイ
ッチ手段と、同スイッチ手段の操作により前記記憶され
た加・減速パターンのうちから特定のパターンを選定す
るパターン選定手段と、同選定手段により選定された加
・減速パターンに基づき前記電動機の回転を制御する操
作手段とからなることを構成とし、これを上記課題の解
決手段とするものである。
(作用) 2以上の加・減速パターンを選択する2以上のスイッ
チの中から、実成形に用いられようとする樹脂の負荷特
性に見合ったパターンに対応するスイッチを押すと、パ
ターン選定手段により所望の加・減速パターンが選定さ
れ、同パターンに基づいて電動機の駆動を制御し、上記
樹脂に適応する加・減速時間の下でスクリュ回転駆動が
なされる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図に本発明の代表的な実施例である制御ブロック
図を示す。射出成形機のインバータによるスクリュ回転
駆動方法の一般的な説明は従来と同一のため、ここでは
その説明を省略する。
ところで本発明は、既述した如く従来技術の欠点であ
る「射出成形機は使用する樹脂が多岐にわたっており、
スクリュ回転を同一の加・減速パターンで異なる特性を
もつ広範な樹脂に対応しようとすると、加・減速時間に
要する時間を長くせざるを得ず、その結果成形サイクル
時間が長くなる。」点を解消することにある。
そのため、本発明はインバータの内部に過電流の保護
回路が働かない範囲内で多種類の加・減速パターンを設
定記憶させておき、これらの加・減速パターンの中から
樹脂の種類に対応したパターンをセレクトスイッチの操
作により選択し、スクリュ回転の加・減速時間を各種樹
脂に適合した時間とし、成形サイクルの合理化を計って
いる。
図示実施例では、上記加・減速パターンを3種類設定
したもので、そのパターンを第2図に(a)〜(c)で
示している。
第2図(a)の加・減速パターンは減速時間の設定を
加速時間に対して比較的長くしてあり、軽負荷樹脂(例
えば、PS樹脂、PP樹脂等)用に適したパターンである。
第2図(c)の加・減速パターンは加速時間を減速時
間よりも極端に長くしたもので、重負荷樹脂(例えば、
PMMA樹脂、PC樹脂等)用に使われるパターンである。
第2図(b)の加・減速パターンは加速時間を減速時
間より比較的長くし、軽負荷樹脂と重負荷樹脂の中間に
位置する樹脂に対応させる。
以上の3種類の加・減速パターンがインバータ11内に
設定され、各設定パターンの選択は3段階に切換わるセ
レクトスイッチ12を手動で操作することにより行う。
図示例では、例えばセレクトスイッチ12のを選択す
ると、制御装置10を介して設定切換回路13のSW1がON
し、インバータ11内に設定記憶された第2図(a)に示
す加・減速パターンに基づき周波数を制御して誘導電動
機4の回転速度、即ちスクリュ回転速度を制御する。
またセレクトスイッチ12のの選択により設定切換回
路13のSW2がONし、第2図(b)の加・減速パターンの
下でスクリュ1の回転速度が制御され、同じくセレクト
スイッチ12のを選択すると、設定切換回路13のSW3がO
Nして第2図(c)の加・減速パターンに基づいてスク
リュ1の回転速度が制御される。
上記実施例はインバータを介して誘導電動機の加・減
速制御を行う場合の例であるが、当業者であれば本発明
をサーボモータ等各種モータにも適用することが可能で
あることは以上の説明からも明らかである。
(発明の効果) 以上、詳細に説明した如く本発明によれば、スクリュ
回転の加・減速時間を樹脂の種類に対応して任意に選択
できるため、樹脂の負荷特性に適合した時間でスクリュ
回転の加・減速ができ、成形サイクルの短縮が計れる。
従って、従来の如く成形サイクルの短縮を計るため、
重負荷樹脂に対するスクリュ回転の加速を短時間で出来
る電動機やインバータを選定する必要がなくなり、同時
に電動機等の小型化が計れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の代表的な1実施例に係るスクリュ回転
駆動部の構成図、第2図は同実施例によるスクリュ回転
加・減速時間の設定パターン図、第3図は従来のスクリ
ュ回転駆動部を示す構成図、第4図及び第5図は従来の
スクリュ回転加・減速パターン例図である。 図の主要部分の説明 10……制御装置 11……インバータ 12……(マニアル)セレクトスイッチ 13……設定切換回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】射出成形機におけるスクリュの回転駆動を
    各種電動機を介して制御する回転制御装置において、各
    種樹脂の異なる負荷特性に対応するスクリュ回転の加・
    減速パターンを2以上設定記憶する記憶手段と、前記加
    ・減速パターンを任意に選択する手動のスイッチ手段
    と、同スイッチ手段の操作により前記記憶された加・減
    速パターンのうちから特定のパターンを選定するパター
    ン選定手段と、同選定手段により選定された加・減速パ
    ターンに基づき前記電動機の回転を制御する操作手段と
    からなることを特徴とする射出成形機のスクリュ回転制
    御装置。
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