JP2596714B2 - 傾斜磁界発生装置 - Google Patents

傾斜磁界発生装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、医療用磁気共鳴診断
装置に使用する傾斜磁界発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、例えば特開平3−173530
号公報に記載された磁気共鳴診断装置の全体構成を概念
的に示した構成図である。図5において、1は磁石で、
内部空間2に静磁場が形成される。3は被験者で、ベッ
ド4に例えば横たわった状態で静磁場内に収容される。
5は照射コイルで、被験者3の周囲に配設される。6は
傾斜磁場電源7から励磁用駆動電流が供給される傾斜磁
界発生装置で、照射コイル5の外側の周囲に配設され
て、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸方向に傾
斜磁場を発生させる。8は受信コイルで、被験者3の頭
部近傍に配設されている。9は照射コイル5に接続され
た送信器で、磁気共鳴信号を得るための高周波磁場を発
生させる高周波信号を送給する。
【0003】静磁場と傾斜磁場と高周波磁場とによる作
用で被験者3から磁気共鳴信号が発生する。磁気共鳴信
号は受信コイル8で検出され、受信器10で得られた信
号はデータ処理装置11で像を再構成するデータ処理が
行われる。その結果、得られたデータをCRTディスプ
レイ12で検査画像が表示される。13は制御装置で、
傾斜磁場電源7と送信器9と受信器10とに制御信号を
与えて、動作内容と動作タイミングの制御を行う。
【0004】図6は傾斜磁界発生装置の主コイル群又は
遮蔽コイル群の正面図である。図7は図6の側面図であ
る。図6及び図7において、円筒状の巻枠14上にそれ
ぞれ対向したX軸用のコイル15が2組で4個が巻き付
けられている。Y軸用のコイル16も同様にして2組の
4個が巻き付けられている。なお、各コイル15及び1
6はそれぞれ鞍形状で同様の形状をしている。さらに、
Z軸用のコイル17は各組が1個で構成されている。各
コイル15、16及び17に示した矢印は、任意の瞬時
における電流の方向で、各コイル15、16及び17内
での電流方向の同時性である。
【0005】図8は、導体をうず巻形状に巻回して鞍形
状に形成した従来のX軸用及びY軸用コイルを平面状に
展開した展開図である。図8において、18は導体18
aの幅が各部分とも一定になるように形成したうず巻形
状のコイルで、形状に合わせて各導体18aの相互間の
溝部19の幅が異なるように構成してある。
【0006】コイル18は、板状の導電部材から例えば
ウォータジェット加工等によって導体18aの幅方向の
両側を切断して除去することによって形成している。図
9は図8のIX−IX線の加工時の状態を示す説明図で
ある。図9において、20及び21はウォータジェット
加工の際に生じる切断溝、22は各導体18間の溝部1
9を形成するために切断された廃却材である。
【0007】図10は、主コイル群と外部への漏洩磁界
を遮蔽する遮蔽コイルとを組み合わせた状態を示す構成
図である。図11は図10のXI−XI線の断面図であ
る。図10及び図11において、23は巻枠14に巻か
れた主コイル群で、各コイル15、16及び17が図7
に示すように巻回されている。24は主コイル群23と
所定の間隔をあけて主コイル群23の外周の巻枠25に
巻回されたX軸用コイル24a、Y軸用コイル24b及
びZ軸用コイル24cからなる遮蔽コイル群で、主コイ
ル群23から外部へ漏洩する磁界を遮蔽する。26は両
巻枠14及び25間に取り付けられた固定具で、両コイ
ル群23及び24の位置関係を電気的、機械的に固定す
る。
【0008】上記構成において、主傾斜磁界を発生する
主コイル群23は、巻枠14の定められた位置に取り付
けられて、矢印27の方向の運転時の電磁機械力に耐え
るように固定されている。また、遮蔽コイル群24も主
コイル群23と同様に、巻枠25の定められた位置に取
り付けられて、矢印27の方向の運転時の電磁機械力に
耐えるように固定されている。なお、主コイル群23及
び遮蔽コイル群24に作用する電磁機械力は向きが逆で
位相が同一で、それぞれ巻枠14及び25で保持されて
いる。そして、各コイル群23及び24は傾斜磁界発生
のために、固定具26で所定の位置関係になるように固
定されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の傾斜磁界発生装
置は以上のように構成されているので、導体の両側の部
分を導体の全長にわたって加工するので、加工長が長く
なるため加工時間が長くなるという問題点があった。ま
た、導体間の溝部を形成するために切断する廃却材が多
くなるという問題点があった。
【0010】また、巻枠で遮蔽コイルの電磁機械力を受
けていたので、振動や騒音を防止するために巻枠を強固
にしなければならないという問題点があった。
【0011】さらに、主コイル群と遮蔽コイル群との間
に通風して強制冷却する場合に、遮蔽コイル群は巻枠を
介して冷却するため、冷却効果がよくないという問題点
があった。
【0012】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、導体を形成するときの加工長が
短くなる導体形状にした傾斜磁界発生装置に関するもの
である。
【0013】また、遮蔽コイル群を放射状に配置したス
ペーサで主コイル群と固着し、直接冷却風に接するよう
に構成した傾斜磁界発生装置に関するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】傾斜磁界発生装置の発明
に係る請求項1は、導体をうず巻形状に巻回して鞍形状
に形成したX軸用コイルとY軸用コイルとを巻枠上に配
置し、巻枠に巻回したZ軸用コイルとX軸用コイルとY
軸用コイルとで主コイル群を構成した傾斜磁界発生装置
において、X軸用コイル及びY軸用コイルを形成した導
体間の間隔が導体を切断加工する加工手段の加工幅でほ
ぼ一定の幅になるようにしたものである。
【0015】請求項2は、導体をうず巻形状に巻回して
鞍形状に形成したX軸用コイルとY軸用コイルとを巻枠
上に配置し、巻枠に巻回したZ軸用コイルとX軸用コイ
ルとY軸用コイルとで主コイル群を構成し、主コイル群
と対向して主コイル群と所定の間隔をあけて遮蔽コイル
を配置して、遮蔽コイル群で主コイル群の漏洩磁束を遮
蔽するようにした傾斜磁界発生装置において、X軸用コ
イル及びY軸用コイルを形成した導体間の間隔が導体を
切断加工する加工手段の加工幅でほぼ一定の幅になるよ
うにしたものである。
【0016】請求項3は、請求項2において、主コイル
群と遮蔽コイル群との間に放射状に所定の間隔でスペー
サを配置し、スペーサを各コイル群に固着したものであ
る。
【0017】請求項4は、請求項3において、主コイル
群及び遮蔽コイル群の巻枠の軸方向に沿ってスペーサを
配置し、各コイル群とスペーサとで巻枠の軸方向に冷却
用の通風路を形成したものである。
【0018】
【作用】請求項1の発明は、導体間が導体を切断加工す
る加工手段の加工幅であるほぼ一定の間隔になるように
構成したので、例えば加工手段がウォータジェット加工
装置の場合、導体間隔をウォータジェットのノズルの切
断幅にすることによって、ノズルを1回移動させること
で導体間の溝部の加工ができ、廃却材の低減が図れる。
【0019】請求項2の発明は、導体間が導体を切断加
工する加工手段の加工幅であるほぼ一定の間隔になるよ
うに構成したので、例えば加工手段がウォータジェット
加工装置の場合、導体間隔をウォータジェットのノズル
の切断幅にすることによって、ノズルを1回移動させる
ことで導体間の溝部の加工ができ、廃却材の低減が図れ
る。
【0020】請求項3の発明は、主コイル群と遮蔽コイ
ル群との間に放射状に所定の間隔でスペーサを配置し、
スペーサを各コイル群に固着することによって、逆方向
に作用する電磁機械力が打ち消し合うので、振動や騒音
を低減させる。
【0021】請求項4の発明は、主コイル群及び遮蔽コ
イル群の巻枠の軸方向に沿ってスペーサを配置し、各コ
イル群とスペーサとで巻枠の軸方向に冷却用の通風路を
形成することによって、各コイルが直に冷却風に接する
ので、冷却性能の向上ができる。
【0022】
【実施例】
実施例1.図1は実施例1の構成を示す正面図である。
図2は図1のII−II線の断面図である。図3はX軸
用及びY軸用うず巻形状のコイルの展開図である。図1
〜図2において、巻枠14は従来のものと同様である。
28は巻枠14に巻かれた主コイル群で、図3に示すX
軸用コイル28a及びY軸用コイル28bと従来のもの
と同様のZ軸用コイル28cで構成されている。29は
主コイル群28と所定の間隔をあけて主コイル群28の
外周に巻かれた主コイル群28と同様にX軸用コイル2
9a、Y軸用コイル29b及びZ軸用コイル29cから
なる遮蔽コイル群で、主コイル群28から漏洩する磁界
を遮蔽する。
【0023】30は主コイル群28と遮蔽コイル群29
との間に放射状に所定の間隔で配置されたスペーサで、
各コイル群28及び29に固着されている。なお、スペ
ーサ30は巻枠14の軸方向に沿って配置され、各コイ
ル群28及び29と共同で巻枠14の軸方向に通風路3
1を形成している。
【0024】図3において、32は平面状に展開したX
軸用及びY軸用のコイルで、巻枠14の軸方向の図示の
たて方向の中心線に対して対称形の鞍形状に形成して巻
枠14に巻かれている。なお、コイル32の導体33間
の溝部34の幅は、加工手段である例えばウォータジェ
ット加工装置のウォータジェットのノズルの切断幅で決
められ、図4に示すように全周にわたってほぼ一定に形
成してある。したがって、隣接した導体33の各端面を
同時に切断加工するので、全加工長さは導体33の外周
の長さとほぼ同じになって、廃却材がほとんど生じな
い。また、溝部34を狭くして導体33の幅を広くした
ので、電流密度が一定の場合には導体33の厚さを薄く
することができるため、切断加工が容易になる。
【0025】図1及び図2に示すように、スペーサ30
を主コイル群28と遮蔽コイル群29との間に放射状に
所定の間隔で配置し、スペーサ30を各コイル群28及
び29に接着剤等で固着することによって、各コイル群
28及び29によって逆方向に作用する矢印27の電磁
機械力が打ち消し合うので、振動や騒音を低減すること
ができる。
【0026】また、スペーサ30と各コイル群28及び
29とで冷却用の通風路31を形成することによって、
各コイル群28及び29が冷却風と直に接するので、冷
却効果がよくなる。
【0027】上記実施例では、巻枠14の上に主コイル
群28のZ軸用コイル28c、X軸用コイル28a及び
Y軸用コイル28bを順次巻回したものについて示した
が、例えば巻枠14の上にX軸用コイル28a、Y軸用
コイル28b及びZ軸用コイル28cを順次巻回するこ
ともできる。各軸用コイルを巻回する順序は適宜決めら
れる。
【0028】実施例2.実施例1では主コイル群28と
遮蔽コイル群29とで構成された傾斜磁界発生装置につ
いて説明したが、主コイル群28のみで構成することも
できる。
【0029】
【発明の効果】請求項1によれば、導体間が導体を切断
加工する加工手段の加工幅であるほぼ一定の間隔になる
ように形成したので、導体間の溝部の加工が容易になる
とともに、廃却材の低減を図ることができる。
【0030】請求項2によれば、導体間が導体を切断加
工する加工手段の加工幅であるほぼ一定の間隔になるよ
うに形成したので、導体間の溝部の加工が容易になると
ともに、廃却材の低減を図ることができる。
【0031】請求項3によれば、主コイル群と遮蔽コイ
ル群との間に放射状に所定の間隔でスペーサを配置し、
スペーサを各コイル群と固着することによって、逆方向
に作用する電磁機械力が打ち消し合うので、振動や騒音
を低減できる。
【0032】請求項4では、主コイル群と遮蔽コイル群
の巻枠の軸方向に沿ってスペーサを配置し、各コイル群
とスペーサとで巻枠の軸方向に冷却風の通風路を形成す
ることによって、各コイル群が直に冷却風と接するの
で、冷却性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施例1を示す正面図である。
【図2】 図1のII−II線の断面図である。
【図3】 図1のX軸用コイル及びY軸用コイルを平面
状に展開した展開図である。
【図4】 図3のIV−IV線の断面の加工時の状態を
示す説明図である。
【図5】 磁気共鳴診断装置の全体構成を概念的に示し
た構成図である。
【図6】 従来の傾斜磁界発生装置の主コイル群又は遮
蔽コイル群の正面図である。
【図7】 図6の側面図である。
【図8】 従来のX軸用コイル及びY軸用コイルを平面
状に展開した展開図である。
【図9】 図8のIX−IX線の断面の加工時の状態を
示す説明図である。
【図10】 従来の主コイル群と遮蔽コイル群とを組み
合わせた状態を示す構成図である。
【図11】 図10のXI−XI線の断面図である。
【符号の説明】
14 巻枠、28 主コイル群、29 遮蔽コイル群、
28a,29a X軸用コイル、28b,29b Y軸
用コイル、28c,29c Z軸用コイル、30 スペ
ーサ、31 通風路、32 X軸用及びY軸用コイル、
33 導体、34 溝部。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体をうず巻形状に巻回して鞍形状に形
    成したX軸用コイルとY軸用コイルとを巻枠上に配置
    し、上記巻枠に巻回したZ軸用コイルと上記X軸用コイ
    ルと上記Y軸用コイルとで主コイル群を構成した傾斜磁
    界発生装置において、上記X軸用コイル及び上記Y軸用
    コイルを形成した上記導体間の間隔が上記導体を切断加
    工する加工手段の加工幅でほぼ一定の幅になるようにし
    たことを特徴とする傾斜磁界発生装置。
  2. 【請求項2】 導体をうず巻形状に巻回して鞍形状に形
    成したX軸用コイルとY軸用コイルとを巻枠上に配置
    し、上記巻枠に巻回したZ軸用コイルと上記X軸用コイ
    ルと上記Y軸用コイルとで主コイル群を構成し、上記主
    コイル群と対向して上記主コイル群と所定の間隔をあけ
    て遮蔽コイルを配置して、上記遮蔽コイル群で上記主コ
    イル群の漏洩磁束を遮蔽するようにした傾斜磁界発生装
    置において、上記X軸用コイル及び上記Y軸用コイルを
    形成した上記導体間の間隔が上記導体を切断加工する加
    工手段の加工幅でほぼ一定の幅になるようにしたことを
    特徴とする傾斜磁界発生装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、主コイル群と遮蔽コ
    イル群との間に放射状に所定の間隔でスペーサを配置
    し、上記スペーサを上記各コイル群に固着したことを特
    徴とする傾斜磁界発生装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、主コイル群及び遮蔽
    コイル群の巻枠の軸方向に沿ってスペーサを配置し、上
    記各コイル群と上記スペーサとで上記巻枠の軸方向に冷
    却用の通風路を形成したことを特徴とする傾斜磁界発生
    装置。
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