JP2595544Y2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JP2595544Y2
JP2595544Y2 JP1993007296U JP729693U JP2595544Y2 JP 2595544 Y2 JP2595544 Y2 JP 2595544Y2 JP 1993007296 U JP1993007296 U JP 1993007296U JP 729693 U JP729693 U JP 729693U JP 2595544 Y2 JP2595544 Y2 JP 2595544Y2
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尚 町田
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案に係るトロイダル型無段
変速機は、例えば自動車用の変速機として利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図7〜8に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が、研究
されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実
開昭62−71465号公報に開示されている様に、入
力部材である入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持
し、出力部材である出力軸3の端部に出力側ディスク4
を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケー
シングの内面、或はこのケーシング内に設けられた支持
ブラケットには、上記入力軸1並びに出力軸3に対して
捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動する、ト
ラニオン6、6が設けられている。
【0003】各トラニオン6、6は、両端部外側面に前
記枢軸5、5を設けている。又、各トラニオン6、6の
中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸
5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させる事
により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在として
いる。各トラニオン6、6に支持された変位軸7、7の
周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支
持している。そして、各パワーローラ8、8を、前記入
力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。
【0004】入力側、出力側両ディスク2、4の互いに
対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢
軸5を中心とする円弧形の凹面をなしている。そして、
球面状の凸面に形成された各パワーローラ8、8の周面
8a、8aは、前記内側面2a、4aに当接させてい
る。
【0005】前記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の加圧装置9を設け、この加圧
装置9によって、前記入力側ディスク2を出力側ディス
ク4に向け弾性的に押圧している。この加圧装置9は、
入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11によ
り保持された複数個(例えば4個)のローラ12、12
とから構成されている。前記カム板10の片側面(図7
〜8の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム
面13を形成し、又、前記入力側ディスク2の外側面
(図7〜8の右側面)にも、同様のカム面14を形成し
ている。そして、前記複数個のローラ12、12を、前
記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回
転自在に支持している。
【0006】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の使用時、入力軸1の回転に伴なってカム板10が
回転すると、カム面13によって複数個のローラ12、
12が、入力側ディスク2外側面のカム面14に押圧さ
れる。この結果、前記入力側ディスク2が、前記複数の
パワーローラ8、8に押圧されると同時に、前記1対の
カム面13、14と複数個のローラ12、12との噛合
に基づいて、前記入力側ディスク2が回転する。そし
て、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパワー
ローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、こ
の出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0007】入力軸1と出力軸3との回転速度を変える
場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう
場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6
を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが
図7に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心
寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部
分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜さ
せる。
【0008】反対に、増速を行なう場合には、前記トラ
ニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面
8a、8aが図8に示す様に、入力側ディスク2の内側
面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4a
の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸
7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を、図
7と図8との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間
で、中間の変速比を得る事が出来る。
【0009】更に、図9は、実願昭61−87523号
(実開昭62−199557号)のマイクロフィルムに
記載されたトロイダル型無段変速機で、自動車用変速機
としてより具体化した構造を示している。エンジンのク
ランク軸の回転は、クラッチ15を介して入力軸16に
伝達され、この入力軸16の中間部にスプライン係合し
たカム板10を回転させる。そして、このカム板10を
含んで構成される加圧装置9の作動により、入力側ディ
スク2を、出力側ディスク4に向け図9で左方に押圧し
つつ、回転させる。入力側ディスク2の回転は、パワー
ローラ8、8によって出力側ディスク4に伝達される。
【0010】この出力側ディスク4は前記入力軸16の
周囲に、ニードル軸受17により支持され、この出力側
ディスク4と一体に形成された円筒状の出力軸18は、
ハウジング19の内側に、アンギュラ型の玉軸受20に
より支持されている。一方、前記入力軸16の一端(図
9の右端)は前記ハウジング19の内側にころ軸受21
により、他端は前記ハウジング19の内側にアンギュラ
型の玉軸受22によりスリーブ23を介して、それぞれ
回転自在に支持されている。
【0011】前記出力軸18の外周面には、駆動側前進
ギヤ24と駆動側後退ギヤ25とを一体とした伝達ギヤ
26が、スプライン係合している。車両の前進時にはこ
の伝達ギヤ26を右行させて、前記駆動側前進ギヤ24
と、取り出し軸27の中間部に設けた従動側前進ギヤ2
8とを直接噛合させ、後退時には前記伝達ギヤ26を左
行させて、前記駆動側後退ギヤ25と、前記取り出し軸
27の中間部に固定した従動側後退ギヤ29とを、図示
しない中間ギヤを介して噛合させる。
【0012】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の使用時には、エンジンによりクラッチ15を介し
て入力軸16を回転させ、前記伝達ギヤ26を適宜の方
向に移動させれば、前記取り出し軸27を任意方向に回
転させられる。又、各トラニオン6、6を揺動させて、
各パワーローラ8、8の周面8a、8aと、入力側、出
力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとの接触位置
を変えれば、前記入力軸16と取り出し軸27との回転
速度比を変える事が出来る。
【0013】上述の様なトロイダル型無段変速機の運転
時には、前記加圧装置9の作動に基づき、入力側ディス
ク2を出力側ディスク4に向け押圧する。この結果、加
圧装置9を構成するカム板10を支持した入力軸16に
は、図9で右方向のスラスト荷重が、上記押圧に基づく
反力として加わる。このスラスト荷重は、前記入力軸1
6の端部に螺合したナット30と皿ばね34と前記スリ
ーブ23とを介して、前記玉軸受22により支承され
る。又、加圧装置9の作動により前記出力軸18には、
図9で左方向のスラスト荷重が、入力側、出力側両ディ
スク2、4とパワーローラ8、8とを介して加わる。こ
のスラスト荷重は、前記出力軸18に外嵌したストップ
リング33を介して、前記玉軸受20により支承され
る。
【0014】尚、図9で31はエンジンブレーキ用クラ
ッチ、32は直結用クラッチであるが、これらの構造及
び作用に就いては、前記マイクロフィルムに詳しく記載
されており、又、本考案の要旨とも関係しないので、詳
しい説明は省略する。
【0015】
【考案が解決しようとする課題】本考案は、加圧装置9
の作動に伴なって生じる摩擦の低減を図る事で、内部で
の動力損失を軽減し、伝達効率の向上を図るものであ
る。
【0016】図9に示した従来構造の場合、加圧装置9
の作動に伴なってカム板10が右方に押圧され、入力軸
16に右向きのスラスト荷重が加わると、スリーブ23
とナット30との間の皿ばね34を押し潰しつつ、前記
入力軸16が右方に変位する。この際、この入力軸16
の先端部外周面とスリーブ23の内周面とが摩擦し合う
が、従来構造の場合には、これら両周面同士が滑り摩擦
し合う為、両面間で発生する摩擦力が大きくなり、その
分、トロイダル型無段変速機内部での動力損失が大きく
なる。
【0017】本考案のトロイダル型無段変速機は、上述
の様な加圧装置9の作動に伴なって発生する摩擦力の低
減を図り、伝達効率の向上を図るべく考案されたもので
ある。
【0018】
【課題を解決する為の手段】本考案のトロイダル型無段
変速機は、入力部材と、この入力部材と同心に配置さ
れ、前記入力部材の回転に伴なって回転する入力側ディ
スクと、この入力側ディスクと同心に配置され、且つこ
の入力側ディスクとは独立した回転を自在に支持された
出力側ディスクと、この出力側ディスクと同心に配置さ
れ、前記出力側ディスクの回転に伴なって回転する出力
部材と、運転時に前記入力側ディスクと出力側ディスク
との内の一方のディスクを、他方のディスクに向け押圧
する加圧装置と、この加圧装置を構成するカム板の内周
縁にその外輪を結合固定し、前記加圧装置の作動に伴な
ってこのカム板に加わるスラスト荷重を支承する第一の
転がり軸受と、この転がり軸受の内輪の内周面と前記入
力部材と出力部材との内の一方の部材で前記他方のディ
スクと共に回転する部材の外周面との間に設けられた、
スラスト方向の変位自在な第二の転がり軸受と、前記入
力側、出力側両ディスクの中心軸に対し捻れの位置にあ
る枢軸を中心として揺動するトラニオンと、このトラニ
オンに回転自在に支持された状態で、前記入力側、出力
側両ディスクの間に挟持されたパワーローラとを備えて
いる。そして、前記入力側、出力側両ディスクの互いに
対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、
パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周面と
前記内側面とを当接させている。
【0019】
【作用】上述の様に構成される本考案のトロイダル型無
段変速機が、入力軸と出力軸との間で回転速度比を変え
る際の作用自体は、前述の従来構造の場合と同様であ
る。
【0020】特に、本考案のトロイダル型無段変速機の
場合、加圧装置の作動に伴なって、カム板と、入力部材
と出力部材との内の一方の部材とが軸方向に亙り変位し
た場合に、この一方の部材の外周面に当接したニードル
軸受が、この一方の部材の周囲で回転しつつ、軸方向に
変位する。
【0021】この一方の部材の軸方向に亙る変位に伴な
って、前記ニードル軸受が前記一方の部材の外周面で変
位する軌跡は、螺旋形となる。従って、前記ニードル軸
受と前記外周面との間の摩擦状態は、滑り摩擦よりも転
がり摩擦に近くなる。この結果、前記一方の部材と前記
カム板との変位に基づいて発生する摩擦損失が少なくて
済む。
【0022】
【実施例】図1は、本考案の第一実施例を示している。
入力部材であり、基端部(図1の右端部)をエンジンの
クランクシャフトに結合して、このクランクシャフトに
より駆動される入力軸35は、ハウジング内に設けた支
持部36の内側に、ニードル軸受37と深溝型の玉軸受
38とにより、回転自在に支持されている。この入力軸
35の中間部には、先端側(図1の左側)に開口する円
筒部39が設けられている。
【0023】この円筒部39には、出力部材である出力
軸40の基端部40aを挿入している。そして、この基
端部40aの外周面と前記円筒部39の内周面との間
に、ニードル軸受41を設けている。又、この出力軸4
0の先端部は、前記ハウジング内に設けた別の支持部4
2の内側に、それぞれの接触角を互いに逆方向とした所
謂正面組み合わせにより組み合わされた、第一アンギュ
ラ玉軸受43と第二アンギュラ玉軸受44とにより、回
転自在に支持している。これら第一、第二両アンギュラ
玉軸受43、44が、一方の部材である前記出力軸40
を、前記支持部42に回転自在に、且つ両方向のスラス
ト荷重を支承自在に支持している。
【0024】即ち、前記第一、第二両アンギュラ玉軸受
43、44の内輪45、46同士を、スペーサ47を介
して突き合わせると共に、両内輪45、46とスペーサ
47とを、前記出力軸40の外周面に形成した鍔部48
の片側面(図1の左側面)と、この出力軸40先端部の
雄螺子部49に螺合させたナット50との間で、挟持固
定している。又、第一アンギュラ玉軸受43の外輪51
の端面(図1の右端面)は、前記支持部42の内周面4
2aに形成した段部52に突き当て、第二アンギュラ玉
軸受44の外輪53の端面(図1の左端面)は、前記内
周面42aに止着したストップリング54により抑え付
けている。この結果前記出力軸40は、前記入力軸35
と同心に、且つ、前記入力軸35とは独立して回転自在
に、前記ハウジングの内側に支持される。前記第一、第
二両アンギュラ玉軸受43、44は、組み付け時には特
に与圧付与を行なわなくても良い。
【0025】前記出力軸40の中間部分には、入力側デ
ィスク2と出力側ディスク4とを、両ディスク2、4の
内側面2a、4a同士を互いに対向させた状態で、支持
している。この内の入力側ディスク2の内周面と前記出
力軸40の外周面との間にはニードル軸受55を設け
て、出力軸40と入力側ディスク2との間の相対回転を
自在としている。又、前記出力軸40の外周面と前記出
力側ディスク4の内周面との間には、第一スプライン係
合部56を設けている。
【0026】前記出力側ディスク4の外側面で直径方向
中央寄り部分には、凹部57を形成し、この凹部57の
奥面57aと前記鍔部48の他側面(図1の右側面)と
の間で、出力ギヤ58のボス部59を挟持している。こ
のボス部59と前記出力軸40の外周面との間には、第
二スプライン係合部60を設けている。従って、前記出
力側ディスク4及び出力ギヤ58は、前記出力軸40と
同期して回転する。
【0027】前記入力側ディスク2と出力側ディスク4
との間には、複数のトラニオン6、6を揺動自在に設
け、各トラニオン6、6にそれぞれパワーローラ8、8
を、回転自在に支持している。又、各トラニオン6、6
とパワーローラ8、8との間には、それぞれスラスト軸
受61、61を設けて、トロイダル型無段変速機の運転
時に、各パワーローラ8、8に加わるスラスト荷重を支
承自在としている。
【0028】一方、前記出力軸40の基端寄り中間部分
には、加圧装置9を構成するカム板10が、第二の転が
り軸受であるニードル軸受62と、第一の転がり軸受で
ある第三アンギュラ玉軸受63とにより、前記出力軸4
0に対する回転を自在として、支持している。
【0029】即ち、前記カム板10の内周縁部に形成し
た、短円筒状で断面がL字形の抱持部64に、前記第三
アンギュラ玉軸受63の外輪65を、内嵌固定してい
る。そして、この第三アンギュラ玉軸受63の内輪66
の内周面に、前記ニードル軸受62のレース67を、内
嵌支持している。このニードル軸受62を構成する複数
のニードル68、68は、前記レース67の内周面と前
記出力軸40の外周面との間に、転動自在に挟持されて
いる。従って前記ニードル軸受62はスラスト方向の変
位自在である。
【0030】又、前記出力軸40の中間部で、前記ニー
ドル軸受62よりも基端寄り部分に設けた雄螺子部69
には、フランジナット70を螺合固定している。そし
て、このフランジナット70と、前記内輪66の端面と
の間に、皿ばね71を設けている。従って前記カム板1
0は、この皿ばね71の弾力により、前記入力側ディス
ク2の外側面に形成したカム面14に向け、弾性的に押
圧されている。このカム面14と前記カム板10側面の
カム面13との間には、保持器11に回転自在に保持さ
れた複数個のローラ12、12を設けて、前記カム板1
0の回転時に前記入力側ディスク2を、前記出力側ディ
スク4に向け押圧しつつ、回転させる様にしている。
【0031】又、前記カム板10の外側面(カム面13
と反対面)で直径方向中間位置には、複数の突起72、
72を、前記カム板10の中心軸を中心とする単一円弧
上に、等間隔且つ間欠的に固設している。一方、前記入
力軸35の先端部に形成した円輪部73の外周縁は歯車
状に形成して、この外周縁に複数の突起8585を、
等間隔且つ間欠的に固設している。そして、この突起
85と前記カム板10外側面の突起72、72とを
互いに噛合させている。従って、前記カム板10は、前
記入力軸35の回転に伴なって回転する。
【0032】上述の様に構成される本考案のトロイダル
型無段変速機の作用は、次の通りである。入力軸35を
回転させ、前記加圧装置9を作動させて、カム板10、
ローラ12、12を介して入力側ディスク2を回転させ
ると、この入力側ディスク2の内側面2aと当接したパ
ワーローラ8、8が回転し、この回転が出力側ディスク
4に伝達される。
【0033】前記加圧装置9の作動時、即ち、前記カム
板10のカム面13がローラ12、12を、入力側ディ
スク2のカム面14に押圧する際には、前記カム板10
に作用する反作用に基づいてこのカム板10に発生する
スラスト荷重F1 により、このカム板10が前記皿ばね
71の弾力に抗して、図1で右方に変位する。この状態
で前記カム板10と出力軸40とは相対的に回転してい
る。従って、前記ニードル軸受62を構成する各ニード
ル68、68は、前記出力軸40の外周面を螺旋形に移
動しつつ、前記カム板10の変位を許容する。
【0034】従って、前記加圧装置9の作動に伴なって
前記カム板10が変位する際に生じる摩擦状態が、滑り
摩擦よりも転がり摩擦に近くなって、前記カム板10の
変位に伴なう摩擦損失が少なくて済む。
【0035】前記出力側ディスク4の回転は、第一スプ
ライン係合部56を介して出力軸40に伝達され、更に
第二スプライン係合部60を介して出力ギヤ58に伝達
され、この出力ギヤ58が回転する。この出力ギヤ58
の回転は、図示しないギヤ組立を介してドライブシャフ
トに伝達され、自動車を駆動する。自動車の前進、後退
を切り換える為の構造は、このギヤ組立中に組み込む。
【0036】入力軸35と出力軸40との間の回転速度
比を変えるには、前記トラニオン6、6を揺動させて、
各パワーローラ8、8の周面8a、8aと、前記入力
側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとの当
接位置を変える。
【0037】前記入力軸35を回転駆動する際には第三
アンギュラ玉軸受63が、前記スラスト荷重F1 を支承
する。このスラスト荷重F1 は、前記内輪66と皿ばね
71とフランジナット70とを介して出力軸40に伝達
され、この結果前記出力軸40に前記スラスト荷重F1
が、図1で右方向に加わる。
【0038】一方、前記加圧装置9の作動に基づいて発
生し、前記入力側ディスク2に加えられたスラスト方向
の力は、各パワーローラ8、8を介して出力側ディスク
4に伝達され、この出力側ディスク4に、前記スラスト
荷重F1 と反対方向のスラスト荷重F2 が加わる。更
に、このスラスト荷重F2 は、出力ギヤ58のボス部5
9、鍔部48を介して出力軸40に伝達される。
【0039】前記出力側ディスク4から前記出力軸40
に、スラスト荷重F2 を伝達する結果、この出力軸40
には互いに逆方向のスラスト荷重F1 、F2 が同時に加
わる。従って、実際には前記出力軸40に、両スラスト
荷重F1 、F2 の差分(|F1 −F2 |)だけのスラス
ト荷重が、大きなスラスト荷重に対応した方向に加わ
る。
【0040】例えば前記出力側ディスク4から出力軸4
0に加えられるスラスト荷重F2 は、図1に示す様に入
力側ディスク2と出力側ディスク4とが等速で回転する
場合には等しく(F1 =F2 )なる。従って、この場合
には、前記両スラスト荷重F1 、F2 は打ち消し合っ
て、前記出力軸40にスラスト荷重が作用していないの
と同じ状態となる。この状態では、第一、第二両アンギ
ュラ玉軸受43、44の何れにもスラスト荷重が作用せ
ず、これら両アンギュラ玉軸受43、44によるトルク
損失は僅少となる。
【0041】一方、第三アンギュラ玉軸受63には、常
に前記スラスト荷重F1 が加わっている。従って、トロ
イダル型無段変速機の運転時に発生するスラスト荷重を
支承する為に設けた、第一〜第三アンギュラ玉軸受4
3、44、63に加わるスラスト荷重の合計は、F1
けになって、各アンギュラ玉軸受43、44、63部分
でのトルク損失の低減を図れる。
【0042】各パワーローラ8、8を、前記図7に示す
様に傾斜させ、前記入力側ディスク2と出力側ディスク
4との間で減速を行なう場合には、前記出力側ディスク
4から出力軸40に加えられるスラスト荷重F2 は、前
記カム板10に加わる反力に基づくスラスト荷重F1
りも大きく(F2 >F1 )なる。この点に就いて、図1
0(A)により説明する。 ハーフトロイダル型の無段変
速機の場合には、前記各パワーローラ8、8の周面8
a、8aと前記入力側、出力側両ディスク2、4の内側
面2a、4aとの当接部とこれら両内側面2a、4aの
曲率中心とを結ぶ線は、180度よりも小さい角度θで
交差する。又、上記各周面8a、8aと内側面2a、4
aとの当接圧に基づいてこれら各面8a、2a、4aに
加わる力F 0 は互いに等しい。上記角度θの存在に基づ
き、減速を行なう場合(次述する増速を行なう場合も同
様)にこの力F 0 の作用方向は、前記入力側ディスク2
と出力側ディスク4とで異なる。この結果、前記F 0
る力のうち、スラスト方向の分力が入力側と出力側と
で、言い換えれば前記出力側ディスク4から出力軸40
に加えられるスラスト荷重F 2 と、前記カム板10に加
わる反力に基づくスラスト荷重F 1 とで、上述の様に異
なる。この状態で前記出力軸40には、F2 −F1 なる
スラスト荷重が、前記出力軸40に対して、図1で左方
向に加わる。このスラスト荷重F2 −F1 は、前記第
一、第二両アンギュラ玉軸受43、44の内、比較的大
型の第二アンギュラ玉軸受44により支承する。
【0043】各パワーローラ8、8を、前記図8に示す
様に傾斜させ、前記入力側ディスク2と出力側ディスク
4との間で増速を行なう場合には、前記出力側ディスク
4から出力軸40に加えられるスラスト荷重F2 は、
述の説明と図10(B)から明らかな通り、前記スラス
ト荷重F1 よりも小さく(F2 <F1 )なる。この状態
で前記出力軸40には、F1 −F2 なるスラスト荷重
が、前記出力軸40に対して、図1で右方向に加わる。
このスラスト荷重F1 −F2 は、前記第一、第二両アン
ギュラ玉軸受43、44の内、比較的小型の第一アンギ
ュラ玉軸受43により支承する。
【0044】次に、図2は、本考案の第二実施例を示し
ている。本実施例の場合、入力側ディスク2と出力側デ
ィスク4とを、前記第一実施例の場合とは左右逆に配置
している。この為、入力軸74の両端をハウジング内に
設けた支持部75、75に、それぞれ深溝型の玉軸受7
6、76を介して、回転自在に支持している。そして、
この入力軸74の先端部(図2の左端部)に、円輪状の
伝達板77の内周縁を、スプライン係合部78を介して
支持している。
【0045】前記入力軸74の周囲には円管状の出力軸
79を配置している。一方の部材であるこの出力軸79
の先端部内周面と、前記入力軸74の中間部先端寄り部
分外周面との間には、ニードル軸受80を設けている。
又、前記出力軸79の基端部外周面と、前記ハウジング
に設けた支持部42の内周面42aとの間には、第一ア
ンギュラ玉軸受43と第二アンギュラ玉軸受44とを設
けて、この出力軸79に加わる、両方向のスラスト荷重
を支承自在としている。
【0046】又、前記出力軸79の中間部外周面には出
力ギヤ58を螺合固定し、更にこの出力ギヤ58に対し
て出力側ディスク4を螺合固定している。この出力側デ
ィスク4の内周面と出力軸79の外周面との間に設けた
ころ軸受81は、出力側ディスク4に加わるラジアル荷
重を支承する為のものである。使用時に出力側ディスク
4が出力軸79に対し回転する事はない。
【0047】その他の構成及び作用は、前述の第一実施
例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付し
て重複する説明を省略する。
【0048】次に、図3〜6は、本考案の第三〜第六実
施例を示している。これら各実施例の場合、加圧装置9
を、出力側ディスク4の外側面とカム板10との間に設
けている。出力部材である出力ギヤ58は、このカム板
10の外側面に一体に形成している。又、第三アンギュ
ラ玉軸受63の外輪65は、出力軸40の中間部外周面
に固定した抱持環83に内嵌固定し、ニードル軸受62
のニードル68、68は、前記出力ギヤ58に形成した
円筒部84の外周面に当接させている。
【0049】トロイダル型無段変速機の使用時、前記加
圧装置9の作動に伴なってカム板10が変位すると、前
記ニードル68、68が、前記円筒部84の外周面で、
螺旋方向に変位する。従って、前記各実施例の場合も、
前記カム板10の変位に伴なう摩擦損失を低く抑える事
が出来る。
【0050】
【考案の効果】本考案のトロイダル型無段変速機は、以
上に述べた通り構成され作用する為、運転時に生じる摩
擦損失を少なく抑える事で、効率の良いトロイダル型無
段変速機を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一実施例を示す断面図。
【図2】同第二実施例を示す断面図。
【図3】同第三実施例を示す断面図。
【図4】同第四実施例を示す断面図。
【図5】同第五実施例を示す断面図。
【図6】同第六実施例を示す断面図。
【図7】従来から知られたトロイダル型無段変速機の基
本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図8】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図9】従来の具体的構造の1例を示す断面図。
【図10】両方向のスラスト荷重の大きさが異なる理由
を説明する為の図で、(A)は減速時の状態を、(B)
は増速時の状態を、それぞれ示す部分断面図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9 加圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15 クラッチ 16 入力軸 17 ニードル軸受 18 出力軸 19 ハウジング 20 玉軸受 21 ころ軸受 22 玉軸受 23 スリーブ 24 駆動側前進ギヤ 25 駆動側後退ギヤ 26 伝達ギヤ 27 取り出し軸 28 従動側前進ギヤ 29 従動側後退ギヤ 30 ナット 31 エンジンブレーキ用クラッチ 32 直結用クラッチ 33 ストップリング 34 皿ばね 35 入力軸 36 支持部 37 ニードル軸受 38 玉軸受 39 円筒部 40 出力軸 40a 基端部 41 ニードル軸受 42 支持部 42a 内周面 43 第一アンギュラ玉軸受 44 第二アンギュラ玉軸受 45、46 内輪 47 スぺーサ 48 鍔部 49 雄螺子部 50 ナット 51 外輪 52 段部 53 外輪 54 ストップリング 55 ニードル軸受 56 第一スプライン係合部 57 凹部 57a 奥面 58 出力ギヤ 59 ボス部 60 第二スプライン係合部 61 スラスト軸受 62 ニードル軸受 63 第三アンギュラ玉軸受 64 抱持部 65 外輪 66 内輪 67 レース 68 ニードル 69 雄螺子部 70 フランジナット 71 皿ばね 72 突起 73 円輪部 74 入力軸 75 支持部 76 玉軸受 77 伝達板 78 スプライン係合部 79 出力軸 80 ニードル軸受 81 ころ軸受 82 入力軸 83 抱持環 84 円筒部85 突起

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力部材と、この入力部材と同心に配置
    され、前記入力部材の回転に伴なって回転する入力側デ
    ィスクと、この入力側ディスクと同心に配置され、且つ
    この入力側ディスクとは独立した回転を自在に支持され
    た出力側ディスクと、この出力側ディスクと同心に配置
    され、前記出力側ディスクの回転に伴なって回転する出
    力部材と、運転時に前記入力側ディスクと出力側ディス
    クとの内の一方のディスクを、他方のディスクに向け押
    圧する加圧装置と、この加圧装置を構成するカム板の内
    周縁にその外輪を結合固定し、前記加圧装置の作動に伴
    なってこのカム板に加わるスラスト荷重を支承する第一
    の転がり軸受と、この転がり軸受の内輪の内周面と前記
    入力部材と出力部材との内の一方の部材で前記他方のデ
    ィスクと共に回転する部材の外周面との間に設けられ
    た、スラスト方向の変位自在な、第二の転がり軸受と、
    前記入力側、出力側両ディスクの中心軸に対し捻れの位
    置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンと、この
    トラニオンに回転自在に支持された状態で、前記入力
    側、出力側両ディスクの間に挟持されたパワーローラと
    を備え、前記入力側、出力側両ディスクの互いに対向す
    る内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、パワー
    ローラの周面を球面状の凸面として、この周面と前記内
    側面とを当接させて成るトロイダル型無段変速機。
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