JP2595051B2 - 半導体集積回路 - Google Patents

半導体集積回路

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、半導体集積回路に関し、特に神経回路網モ
デルをモノリシツクICで形成するために好適な半導体集
積回路に関する。
〔従来の技術〕
神経細胞は、細胞体,樹状突起および神経繊維よりな
る。このうちの細胞体は、その内部電位が上昇しある閾
値を越えると、パルス状の電圧出力を発生する。このパ
ルス電圧は神経繊維を伝達して神経の未端部まで到達す
る。その神経未端部は、別の神経細胞の樹状突起またた
細胞体に接触している。この接触点をシナブスと呼ぶ。
神経細胞相互間の情報の伝達は、このシナプスを介して
行なわれる。シナプスには、相手側の神経細胞の細胞体
の内部電位を上昇させる性質を持つシナプス(以下、興
奮性シナプスと表わす)と、相手側の神経細胞の細胞体
の内部電位を下降させる性質を持つシナプス(以下、抑
制性シナプスと表わす)の2種類がある。1個の神経細
胞には複数のシナプスが接続されており、1個の興奮性
シナプスにパルスが到達すると、それにより内部電位が
一定の時定数で立ち上つた後、ゆるやかに下降する。1
つのシナプスに連続して到達すると、それらの電位が順
次加算され、時間的な加算がなされる。その場合、パル
スが到達するのが、興奮性シナプスか抑制性シナプスか
によつて、正または負の加重係数が割り当てられるの
で、内部電位と値は全入力の代数的加算和となり、この
値が閾値を越えると、この神経細胞はパルス状出力を発
生する。
人間等の脳内で行われている情報処理は、このような
神経細胞を単位として構成されるネツトワークにより行
われる。従来より、この脳内の情報処理のアルゴリズム
を解明するために、神経回路網をハードウエアやソフト
ウエアによりモデル化し、種々の情報処理を行わせる研
究が行われている。
一方、最近では、半導体集積回路の進歩に伴つて、半
導体チツプ上にこの神経回路網モデルを実現するための
研究が盛んに行われている。例えば、日経エレクトロニ
クス(1987年1月26日号、P159〜P170)「ニユーロコン
ピユータの研究・開発」等に詳述されている。上述のニ
ユーロコンピユータとは、人間の脳の動作を模倣した並
列処理に向くコンピユータのことである。すなわち、こ
れは神経回路網の特徴の1つである並列処理機能を活用
して、パターン認識や組み合わせ問題等の高速処理を図
つている。
第6図は、ニユーロンのシンボル図と、ニユーロンの
入出力関係を表わす図である。
一般に神経回路網モデルは、第6図(a)に示すよう
な多入力し出力の素子(以下、ニユーロンと呼ぶ)によ
り構成されている。ニユーロンの各入力端子には、他の
ニユーロンからの出力値が与えられるが、その際に、そ
の接続部分(以下、シナプスと記す)の働きによつて、
その入力は一定の結合係数が掛けられて神経細胞体(以
下、セルと記す)1に与えられる。第6図(a)は、こ
のニユーロンのシンボルを示しており、正の結合係数を
持つ興奮性シナプス21と、負の結合係数を持つ抑制性シ
ナプス22の2種類のシナプスが示されている。
前述のように、ニユーロンの入出力関係は、一定の時
定数で立ち上がる電圧の代数的加重和で表わされる。す
なわち、第6図(b)に示すように出力OUTは全ての入
力(P1,P2,…Pi,…Pn)とその各々の入力端にあるシナ
プスの結合係数(W1,W2,…Wi,…Wn)を掛けたものの総
の関数となる。
複数のニユーロンを互いに結合させて、各々のシナプ
スの持つ結合係数を適切に選ぶと、その回路網は、意味
のある情報処理を行うことができる。
この神経回路網モデルを、電気的回路を用いて表わし
たものの例として、ホツプフイールド(Hopfield)のモ
デルがある。このモデルでは、結合係数を表現するもの
として抵抗が使用され、第6図(b)に類似した入出力
関係を表わすものとしてゲート回路が使用されている。
第5図は、従来のHopfieldのモデルを表わす図であ
る。
これは、米国特許第4660166号に記載されているモデ
ル図であつて、図中、黒角印は、その点で交差する2つ
の線間の結合係数を表わす抵抗を示しており、ゲート印
およびインバータのゲート印は、各々、興奮性および抑
制性の集合入力と出力を示している。第5図では、3つ
のニユーロンに対する各入力結合係数と正負各出力の接
続先が示される。
〔発明が解決しようとする課題〕
一般に、神経回路網モデルでは、おらかじめ決められ
たアルゴリズムに従つて、シナプス結合係数を変化させ
てゆくと、各々のシナプス結合係数はある値に収束して
ゆく場合がある。このような作業は一般に、「学習」と
呼ばれている。
この学習のアルゴリズムには、いくつかの方法が提案
されているが、いづれの場合においても、シナプス結合
係数の変更することが必要とされる。
上記従来技術では、シナプス結合係数は抵抗によつて
表現されており、一度製造された回路のシナプス結合係
数の修正は、抵抗値を変更する必要があるため、ICのレ
イアウトから全てやり直しを行わなければならず、学習
内容の変更は困難であつた。
本発明の第1の目的は、このような従来の問題点を解
決し、必要に応じてシナプス結合係数を変更することが
簡単に行うことができ、モノリシツクICに適合したニユ
ーロン回路を実現できる半導体集積回路を提供すること
にある。
一方、神経回路モデルの学習動作においては、1つの
ニユーロンに接続されるシナプス結合係数の総和が一
定、あるいはその2乗和が一定といつた拘束条件をつけ
ると、学習結果が向上する場合があることが、計算機シ
ミユレーシヨンを用いた研究では知られている。
上記従来の技術においては、このような効果について
全く考慮されていなかつた。
本発明の第2の目的は、1つのニユーロンに接続され
るシナプス結合係数の総和が、必然的に一定となるよう
なシナプス回路の構成を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の半導体集積回路は、半導体集積回路上に神経
回路網モデルを構成した電気的回路において、1出力端
子と2入力端子を備えた差動増幅器と、該差動増幅器の
非反転入力端子に接続される興奮性シナプス回路と、該
差動増幅器の反転入力端子に接続される抑制性シナプス
回路とを有し、該興奮性および抑制性シナプス回路は、
各々複数個の電流スイツチと、該電流スイツチに流れる
電流を決める、該電流スイツチと同数の定電流源回路
と、該電流スイツチのすべてに接続される1個の負荷抵
抗とを具備し、該電流スイツチを開閉する端子を入力端
子とし、これらの入力端子には、外部からの入力又は他
神経回路出力が接続され、該電流源回路は、その電流値
が外部より別に与えられる電圧によつて増減できる回路
とし、その電流値を増減する電圧値を、各シナプス係数
に対応させた点に特徴がある。
また、上記の構成に加え、シナプス回路内のすべての
定電流源回路が流そうとする全電流を、別にもうけたも
う1つの定電流源回路によつて一定としている点に別の
特徴がある。
〔作用〕
本発明においては、1つのシナプスは1つの電流スイ
ツチと1つの電流源回路で表現され、各電流源回路によ
り電流スイツチ内に流れる電流値が、1つのシナプス結
合係数に対応し、この電流値は外部から制御できるよう
になつている。このため、シナプス結合係数は外部から
与える電圧等によつて簡単に変更できるようになる。
また、シナプス結合係数を与えるすべての定電流源の
トータルの電流値は、別にもうけたもう1つの定電流源
によつて一定とされているので、外部電圧によりいくつ
かの電流値を増やそうとすると、別の定電流源の電流は
必然的に減少する。各定電流源の電流は、シナプス結合
係数を表現するもので、本発明においては、シナプス結
合係数の総和が一定であるという拘束条件が付加されて
いることになる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明す
る。
第1図は、本発明の一実施例を示す半導体集積回路
(ニユーロン)の構成図である。
第1図(a)において、2−1,2−2はそれぞれnコ
のシナプスを含むシナプス回路で、差動増幅器11の+側
(非反転入力端子)に接続された回路2−1は、興奮性
シナプス回路、−側(反転入力端子)に接続された回路
2−2は、抑制性シナプス回路である。また、第1
(b)図は、第1(a)図をシンボル図で表現した図で
ある。1つのシナプス回路2内に設けられたP1〜Pn,
P1′〜Pn′はそれぞれ外部からの入力又は他のニユーロ
ン出力が接続される入力端子である。ここでP1〜PnはW1
〜Wnの結合係数をもつ興奮性シナプスを介した入力端
子、P1′〜Pn′はW1′〜Wn′の結合係数をもつ抑制性シ
ナプスを介した入力端子を意味する。
第1(c)図はシナプス回路2−1もしくは2−2の
詳細を表わした図である。同図において各各の入力は、
トランジスタペアQi1,Qi2(i=1〜n)から成る電流
スイツチのQi2のベースに接続される。電流スイツチの
もう一方の入力(Qi1のベース)には、すべて一定電圧V
BBが供給される。そして、各トランジスタペアQi1,Qi2
のエミツタは、共にその下のQiSのコレクタに接続され
ている。QiSとその下のrは、定電流源として動作す
る。即ち、QiSのベース電位Wiに対応したある一定の電
流値IiがQiS中を流れる。
i番目の入力PiがVBBより十分大きくなると、Wiに対
応した電流Iiが、抵抗RからQi2を通つてVEEへと流れ
る。逆にPiがVBBより十分小さくなると、IiはGNDからQi
1を通つてVEEへと流れる。そしてPiがVBB近傍の場合に
は、Piの大きさに比例した大きさの電流がRに流れる。
抵抗Rは、すべての電流スイツチに接続されているの
で、複数個の入力Piによる電流で同時に流れると、R中
にはその総和電流が流れることになる。即ち、シナプス
回路2の出力をVOとすると、 となる。
なお、上式中、Pi*はPiへの入力電圧が、VBBより十
分大きい時には1、十分小さい時には0、そしてVBB
傍の時には、Piに比例した1〜0の間の値となる変数
で、Pi*を与える関数f(Pi)は、第1図(d)のよう
に第6図(b)に似た形をしており、その詳細は各トラ
ンジスタペアの特性で決まる。たとえば、第1(e)図
に示すように、電流スイツチである各トランジスタペア
Qi1,Qi2(i=1〜n)のエミツタ結合部分に抵抗rd
入れ、その値を変化させると、第1図(d)に示した特
性のVBB近傍の入電圧付近の直線領域を、広くしたり狭
くしたりできる。rdをピンチ抵抗のように電圧Vdによつ
て、抵抗値が変えられるものにすれば、入力にかける飽
和関数f(Pi)(第1図(d))を、動作中にダイナミ
ツクに変化させることもできる。
また、第(1)式中のIiは、i番目の電流スイツチで
制御される電流値であるが、その値はi番目の定電流源
中のQiSのベース電位Wiに対応している。ここで、Wiを
シナプス結合係数に対応するものとすると、第(1)式
のVOは、シナプス結合係数と入力の積の総和を示してい
ると見なしてよい。
結局、興奮性と抑制性の各々のシナプス回路で、シナ
プス結合係数と入力との積の総和が出力され、それらの
各々差動増幅器11の非反転及び反転入力に入力し、差動
増幅器11の出力が2つの入力の差に比例するようにすれ
ば、すべてのシナプス結合におれる係数と入力との積の
総和が得られる。そしてこの出力は他のニユーロンのシ
ナプス回路へ入力され、第1図(c)のような関数がか
けられるので、第1図(a)の回路は、1つのニユーロ
ンとして動作する。
このような構成でニユーロンを表現すれば、シナプス
結合係数Wiは、外部からシナプス回路2中のQiSのベー
スに与える電位で表現されることになり、その値を容易
に変更することができる。
本発明の第2の実施例は、上記第1の実施例のシナプ
ス回路2中の定電流源列3を、第2図に示すような、MN
OS(フローテイングゲート付きMOSトランジスタ)を用
いた構成に交換したものである。
MNOSのゲートには、シナプス結合係数Wi(i=1〜
n)に対応した時間だけ、パルス電圧が印加される。MN
OS中を流れるドレイン電流IDは、ゲートに印加されるパ
ルス電圧の印加時間にほぼ比例して大きくなる。しか
も、一度パルス印加によつてIDを設定すると、次に再び
パルス印加があるまでIDの値は一定のままとなる。
従つて、前記第1の実施例では、Wiの値を一定に保つ
ための何らかの工夫がシナプスの数だけ外部に必要であ
るのに対し、本実施例では、それが不必要となり、回路
全体の構成を簡略化できる効果がある。
第3図は本発明の第3の実施例である。第1の実施例
と異なるのは、シナプス回路の定電流源列が流そうとす
る全電流が、別に設けた定電流源回路Iによつて一定と
されている点である。これにより本実施例のシナプス回
路では、Wi(i=1〜n)に応じた電流値Iiが各電流ス
イツチを通して流れるものの、その総和は常に一定とな
る。言い換えると、結合係数Wiの総和が必然的に一定と
なる。
本発明の第4の実施例は、第3図に示したシナプス回
路中の定電流源トランジスタ列の部分を、第4図に示す
ような、ベース電位を共通とし、各各のエミツタ面積を
流したい電流値に応じて変えたトランジスタ列に置き換
えたものである。本実施例では、各シナプス結合係数に
対応する。各々の定電流値は各々の定電流源トランジス
タのエミツタ面積で決まる。従つて、第1〜第3の実施
例のようにシナプス結合係数に対応する定電流値を外部
より自由に変化させることはできず、製造時のパターン
により結合係数が決められてしまう。ただし素子の規模
やコストの点では有利な面が多く、両者のタイプは用途
により使い分けられる。
なお、上記第3,第4の実施例の第3図,第4図におい
ては、定電流源列を構成するトランジスタのエミツタ
に、第1(b)図にあるような抵抗rが接続されていな
いが、抵抗rを接続しても全く同様の動作が得られるこ
とは明らかである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、外部より与えられる電圧によつて、
シナプス結合係数に対応する電流値が容易に変更できる
ので、学習内容の変更が容易でモノリシツクICに適した
ニユーロン回路を構成することが可能となる。
また、シナプス結合係数に対応する電流値の総和を、
他の定電流源によつて一定とするので、必然的にシナプ
ス結合係数の総和が一定となるニユーロン回路を構成す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例及び、電流スイツチの入
出力関係を表わす図、第2図の第2の実施例の定電流源
列部分の図、第3図は第3の実施例のシナプス回路の
図、第4図は第4の実施例の定電流源列部分の図、第5
図は従来のHoptieldのモデルの示す図、第6図はニユー
ロンのシンボル図およびニユーロンの入出力関係を表わ
す図である。 1……セル、2……シナプス回路、3……定電流源列、
11……差動増幅器、21……興奮性シナプス、22……抑制
性シナプス、111……ゲート回路、Q11〜Qn1,Q12〜Qn2
…電流スイツチ用トランジスタ、QS1〜QSn……定電流源
列用トランジスタ、P1〜Pn……入力端子、W1〜Wn……結
合係数、R,r……抵抗。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体集積回路上に神経回路網モデルを構
    成するための構成単位となる電気的回路において、ひと
    つの出力端子と2差動入力端子を備えた差動増幅器と、
    該差動増幅器の非反転入力端子に接続される興奮性シナ
    プス回路と、該差動増幅器の反転入力端子に接続される
    抑制性シナプス回路とを有し、かつ該興奮性および抑制
    性シナプス回路は、各々複数個の電流スイツチと、該電
    流スイツチに流れる電流値を決定する該電流スイツチと
    同数の定電流源回路より成る定電流源列と、該電流スイ
    ツチのすべてに接続される1個の負荷抵抗とを具備し、
    該電流スイツチを開閉する端子を入力端子とし、該入力
    端子には外部入力又は他回路出力が接続され、該定電流
    源回路はその電流値が外部より独立に与えられる電圧に
    よつて変更可能であることを特徴とする半導体集積回
    路。
  2. 【請求項2】上記定電流源回路は、フローテイングゲー
    ト付きMOSトランジスタと抵抗器によつて構成され、パ
    ルス電圧を該フローテイングゲート付きMOSトランジス
    タのゲートに与えることによつて、該定電流源回路が流
    す電流値を制御することを特徴とする、第1請求項記載
    の半導体集積回路。
  3. 【請求項3】上記定電流源列において、その中に含まれ
    る全ての定電流源回路が流す全総和電流が、別に設けら
    れた1つの定電流源によつて一定とされていることを特
    徴とする、第1請求項記載の半導体集積回路。
  4. 【請求項4】上記定電流源列は、各々が流す電流値に応
    じてエミツタ面積が異なる複数のトランジスタで構成さ
    れることを特徴とする、第1請求項記載の半導体集積回
    路。
  5. 【請求項5】上記電流スイツチは、1組のトランジスタ
    ペアと、その各々のエミツタに直列に接続された抵抗器
    によつて構成され、該抵抗器はピンチ抵抗等の外部から
    の電圧等によりその抵抗値が変更可能なもので構成され
    たことを特徴とする第1請求項記載の半導体集積回路。
  6. 【請求項6】半導体集積回路上に神経回路網モデルを構
    成するための構成単位となる電気的回路において、該回
    路は、1つの出力端と複数の入力端を有し、該出力端よ
    り発生する出力には飽和特性を持たせず、外部入力又は
    他回路の出力を受ける該複数の入力端子側に、各々飽和
    特性を持たせたことを特徴とする半導体集積回路。
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