JP2594305Y2 - 丸形ケーブルコネクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はケーブルの端末に取付け
られる丸形ケーブルコネクタに関し、特に外周にシール
ド編組を有するケーブル接続されるコネクタに関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来の丸形ケーブルコネクタの一
例を示した一部断面図で、その構造は、円筒状のコネク
タボディ１の一端側（図面の右側）の開口部付近に絶縁
物からなるインサート２が設けられている。このインサ
ート２は、インサート２の鍔部２ａが円筒状に形成され
ているスリーブ３とコネクタボディ１の内周の段差部１
ｂとに挟み込まれて固定されている。また、インサート
２にはコンタクト４が固定配置され、他端側（図面の左
側）の開口部からケーブル５が引き込まれケーブル芯線
６とコンタクト４がコネクタボディ１内で結線されてい
る。ケーブル５の外周とコネクタボディ１の内周との間
にゴムなどの弾性物質からなるリング状のガスケット７
が嵌め込まれている。このガスケット７は他端側から押
圧される構造になっており、その押圧力によりガスケッ
ト７がケーブル５の外周面とコネクタボディ１の内周面
との双方に密着し、湿気や水などの侵入を防ぐ作用をし
ている。

【０００３】ガスケット７の押圧はコネクタボディ１の
内周に差込まれたスリーブ３と、円筒状に形成されてい
る金属製のグランド８とが、両側に配置されていて、コ
ネクタボディ１のケーブル５の引込み側外周部のねじ部
１ａにねじ嵌合する六角ナット９によりグランド８をコ
ネクタボディ１の内部に押し込むように押圧することに
より変形し密着されるものである。ケーブル５には複数
本のケーブル芯線６を一括してとりまくシールドが編組
状となって設けられており、そのシールド編組１０はコ
ネクタボディ１内で外被から一部露出している。このシ
ールド編組１０は、ケーブル芯線６からの輻射や外来ノ
イズなどの影響を防ぐために接地されている。なお、コ
ネクタボディ１のインサート２が設けてある一端の外周
面には、カップリングリング１１が設けられており、図
示しない相手方コネクタ（雄形コネクタ）との結合を、
ねじ嵌合により固定し、かつ気密性保持作用を行わせる
よう設けてあるものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】一般にシールドされた
ケーブルを使用する場合は、そのシールド編組の一端を
接地するのであるが、このようなケーブルを接続するコ
ネクタも同様にそのコネクタボディ１を接地することが
電磁気的にみて望ましいのである。しかし、従来の丸形
ケーブル用コネクタでは、前述したようにコネクタ内部
への水などの侵入を防ぐためにガスケット７を用いてケ
ーブル５の先端が収容されるコネクタボディ１の内部は
密封される構造となっているため、ケーブル５のシール
ド編組１０をコネクタボディ１に電気的に接続すること
は容易ではなかった。このため、従来のこの種のコネク
タでは、外来ノイズ等の影響を甘受することを前提とし
てコネクタボディ１を接地しないか、或いはコンタクト
４の一本を予めコネクタボディ１に電気的に接触する構
造としておいて、そのコンタクト４を接地回路に接続す
るなどの方策がとられていた。

【０００５】しかし、コンタクト４の一本を接地用に用
いるとコンタクト４が増加することになりコネクタはそ
れだけ小形化しにくくなり、またコネクタの組立作業に
おいても接地回路への接続作業を必要とし組立工数が増
加するなどの問題があった。本考案は、この様な問題を
解決するために成されたもので、従来のようにコネクタ
ボティ１を接地するための特別な作業をすることなく、
コネクタボティ１を接地できるようにした丸形ケーブル
コネクタを提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は前記した課題を
解決するために、シールド編組を有するケーブルを収容
する円筒状のコネクタボディと、このコネクタボディの
内周面に接すると共に前記ケーブルの外周面に接するリ
ング状のガスケットと、このガスケットを前記ケーブル
の先端長手方向に押圧することにより変形せしめ当該ケ
ーブルの外周面と前記コネクタボディの内周面との双方
に密着させる押圧手段とを備えた気密性を有する丸形ケ
ーブルコネクタにおいて、前記ガスケットを押圧するも
のであってその押圧端の他端側の内周部に傾斜面が形成
されている押圧リングと、この押圧リングの他端側に、
一端に複数のスリットを有すると共にその端縁の外周部
を傾斜面としたチャック爪が形成され、かつ他端が前記
コネクタボディの内周段差部に当接するように設けられ
た導電性のチャックスリーブとを備え、前記押圧手段に
よる前記ガスケットを介しての押圧力により前記押圧リ
ングの傾斜面を前記チャック爪の傾斜面に圧接すること
により当該チャック爪が縮径され前記ケーブルのシール
ド編組に接触するよう構成したものである。

【０００７】そして、前記押圧リングと前記チャックス
リーブのチャック爪との圧接面が、その圧接時において
前記チャック爪が縮径されるよう、両者の圧接面のいず
れか一方が傾斜面、他方が突状部として形成されている
ことによっても達成される。

【０００８】

【実施例】本考案を図１〜図３に示した実施例にもとづ
いて説明する。なお、図１は丸形ケーブルコネクタの一
部断面図で図４と同一部分は同一符号により示してい
る。図１においてコネクタボディ１の左側からケーブル
芯線６及びシールド編組１０を露出したケーブル５が引
込まれ、ケーブル芯線６はコネクタボディ１の右側に絶
縁性のインサート２に固定されたコンタクト４に結線さ
れているが、この部分は図４に示した従来例と同様であ
る。コネクタボディ１の内周面とケーブル５の外周面と
の間には、グランド８、ガスケット７、そしてリング状
の押圧リング１２が設けられ、更にその右側にはチャッ
クスリーブ１３が設けられている。この構成において六
角ナット９をコネクタボディ１のねじ部１ａにねじ嵌合
することにより、グランド８を右方向に押圧し、ガスケ
ット７及び押圧リング１２を介してチャックスリーブ１
３の一端部（図面の左側）が押されるようになってい
る。なお、チャックスリーブ１３の他端部はコネクタボ
ディ１の内周面の段差部１ｂに当接し固定されるように
なっている。

【０００９】チャックスリーブ１３は金属製の円筒状で
図２に示す構造となっている。即ち、チャックスリーブ
１３の押圧リング１２と接する一端部（同図左側）に６
本のスリット１３１を設けることにより、６個の独立し
たチャック爪１３２が形成されている。このチャック爪
１３２の先端縁の外周部には角度約４０°の傾斜面１３
３が設けられてあって、この傾斜面１３３は押圧リング
１２の傾斜面に圧接し、前記した六角ナット９の締付け
による押圧力を受けることにより、傾斜面の滑り作用に
よりチャック爪１３２に縮径する方向の力が働き、この
押圧力を高めることによりチャック爪１３２は縮径す
る。またチャック爪１３２の内周面側の先端はケーブル
５のシールド編組１０の直径よりやや大きめの直径とな
るように板厚を厚くして編組接触部１３４が形成されて
いる。このようにすることでチャック爪３２はより確実
にシールド編組１０を把持することができる。

【００１０】チャック爪１３２の傾斜面１３３に当接す
る押圧リング１２の部分は図１に示すとおり内周部に傾
斜面が形成されている。このようにチャック爪１３２と
押圧リング１２との圧接部を、図１に示すように傾斜面
と傾斜面との組合せとしてもよいがこれに限られるもの
ではない。即ち、図３（ａ）（ｂ）に示すようにチャッ
ク爪１３２か押圧リング１２のいずれか一方の圧接部を
傾斜面とし、他方の圧接部を突出部として相手方傾斜面
に圧接させたときチャック爪１３２を縮径させるように
してもよい。図３（ａ）は押圧リング１２の圧接部を傾
斜面とし、チャックスリーブ１５のチャック爪部分を突
出部とした部分側面図であり、図３（ｂ）はチャック爪
１３２の外周部を傾斜面とし、押圧リング１４の圧接部
を突出部として形成した部分側面図である。また前記し
た傾斜面を緩やかな曲面に形成してもよい。

【００１１】図１のような構成において、六角ナット９
を締付けていくとグランド８はガスケット７を側面から
押圧する。一方、ガスケット７の他の側面は押圧リング
１２及びチャックスリーブ１３によりコネクタボディ１
に支えられているから、ガスケット７は両側面から押圧
されて変形し、ケーブル５の外周面及びコネクタボディ
１内周面の両方に密着して気密する。これと同時に押圧
リング１２とチャックスリーブ１３との当接面は斜面同
士の突き合わせになっていて、しかもチャック爪１３２
は縮径する構造となっている（図２参照）から結局チャ
ック爪１３２の傾斜面は押圧リング１２の傾斜面上で滑
ってチャック爪１３２の内周面の編組接触部１３４はシ
ールド編組１０に向かって変位してシールド編組１０を
把持する状態となる。

【００１２】ここでケーブル５の先端に露出されたシー
ルド編組１０の位置はチャック爪１３２の編組接触部１
３４に位置を合わせて引込まれている。また露出された
シールド編組１０はケーブル５の外被に被せられるよう
に折り返したり、シールド編組１０の内側に金属円筒
（一般にインナースリーブと呼ばれる）を入れたりする
従来技術を併用することでより、更に安定した電気的接
触を得ることができる。

【００１３】

【考案の効果】本考案は前述した構成を採ることによ
り、ケーブル芯線接続用のコンタクトを接地用として
使用することを要しないため、コンタクトの増加が抑制
されコネクタの小形化を阻害することがない。コネク
タの組立においては、従来と同様に気密用のガスケット
を押圧するだけでケーブルのシールドとコネクタボディ
との間を電気的に接続できるので、コネクタボディを接
地するための作業を必要としない、などの優れた実用的
効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の一部断面図である。

【図２】本考案の実施例における主要構成部品の斜視図
である。

【図３】本考案の実施例における主要構成部分の部分側
面図である。

【図４】従来例の一部断面図である。

【符号の説明】

１ コネクタボディ ２ インサート ３ スリーブ ４ コンタクト ５ ケーブル ６ ケーブル芯線 ７ ガスケット ８ グランド ９ 六角ナット １０ シールド編組 １１ カップリングリング １２ 押圧リング １３ チャックスリーブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01R 13/56 - 13/72

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シールド編組を有するケーブルを収容す
   る円筒状のコネクタボディと、 このコネクタボディの内周面に接すると共に前記ケーブ
   ルの外周面に接するリング状のガスケットと、 このガスケットを前記ケーブルの先端長手方向に押圧す
   ることにより変形せしめ当該ケーブルの外周面と前記コ
   ネクタボディの内周面との双方に密着させる押圧手段と
   を備えた気密性を有する丸形ケーブルコネクタにおい
   て、 前記ガスケットを押圧するものであってその押圧端の他
   端側の内周部に傾斜面が形成されている押圧リングと、 この押圧リングの他端側に、一端に複数のスリットを有
   すると共にその端縁の外周部を傾斜面としたチャック爪
   が形成され、かつ他端が前記コネクタボディの内周段差
   部に当接するように設けられた導電性のチャックスリー
   ブとを備え、 前記押圧手段による前記ガスケットを介しての押圧力に
   より前記押圧リングの傾斜面が前記チャック爪の傾斜面
   に圧接することにより当該チャック爪が縮径され前記ケ
   ーブルのシールド編組に接触するよう構成した丸形ケー
   ブルコネクタ。
2. 【請求項２】 前記押圧リングと前記チャックスリーブ
   のチャック爪との圧接面が、その圧接時において前記チ
   ャック爪が縮径されるよう、両者の圧接面のいずれか一
   方が傾斜面、他方が突状部として形成されていることを
   特徴とする請求項１記載の丸形ケーブルコネクタ。