JP2593476B2 - Dnaおよび形質転換体 - Google Patents

Dnaおよび形質転換体

Info

Publication number
JP2593476B2
JP2593476B2 JP62157495A JP15749587A JP2593476B2 JP 2593476 B2 JP2593476 B2 JP 2593476B2 JP 62157495 A JP62157495 A JP 62157495A JP 15749587 A JP15749587 A JP 15749587A JP 2593476 B2 JP2593476 B2 JP 2593476B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
kinase
dna
rat
amino acid
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62157495A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH012572A (ja
JPS642572A (en
Inventor
功貴 小野
勉 黒川
貢一 五十嵐
泰美 西塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Publication of JPH012572A publication Critical patent/JPH012572A/ja
Publication of JPS642572A publication Critical patent/JPS642572A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2593476B2 publication Critical patent/JP2593476B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
    • C12N9/1205Phosphotransferases with an alcohol group as acceptor (2.7.1), e.g. protein kinases
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/573Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for enzymes or isoenzymes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、カルシウムおよびリン脂質依存性蛋白質リ
ン酸化酵素(蛋白質リン酸化酵素CあるいはC−キナー
ゼと略称することもある。)の製造のための組み換えDN
A技術に関し、中でもラットC−キナーゼの組み換えDNA
技術およびヒトC−キナーゼに関するものである。
従来の技術 生体の多彩な機能発揮や適応現象には、細胞の生長因
子、ホルモンあるいは神経伝達物質など多種類の生理活
性物質の関与が知られている。これらの細胞外シグナル
は、サイクリックAMP(cAMP)、サイクリックGMP(cGM
P)、ジアシールグリセロール(DG)、カルシウム(Ca
++)などの細胞内伝達物質を通じて発揮される。特にDG
は細胞機能の活性化を引き起す多くのホルモンや神経伝
達物質によって細胞膜のイノシトール燐脂質が分解され
た結果を生じることが判明している。このDGがカルシウ
ムの存在下にC−キナーゼを活性化し、この酵素による
細胞内各種蛋白質のリン酸化反応が種々の細胞機能の活
性化や細胞増殖をもたらすと考えられている。つまりC
−キナーゼは外界シグナルの主要な情報伝達機構の一つ
において重要な役割を担っている酵素である。ラット代
納より精製された該酵素は等電点がpH5.6の酸性蛋白質
であり、分子量は約77,000である。またこの酵素は疎水
性の部分と親水性の部分とからなる単一ペプチドからで
きており、疎水性部分を介して細胞膜に結合し、親水性
部分に活性中心が存在する。C−キナーゼは通常不活性
型であり、カルシウムとフォスファチジールセリンおよ
びDGの三者によって活性化される。またリン酸供与体は
ATPであることがわかっている。
このようにC−キナーゼは蛋白質リン酸化酵素の一つ
として蛋白質リン酸化を通じて細胞外シグナルの細胞内
伝達を行うことから、細胞外シグナルの受容伝達機構の
研究には欠くことのできない酵素であり、その試薬とし
ての価値は非常に高い。また、本酵素は発ガンプロモー
ターであるフォルボールエステルにより直接活性化され
る。フォルボールエステルは発ガン過程の促進を引き起
こすだけではなく、細胞分裂や分化、酵素の誘導、脂質
の代謝昂進など多くの生物反応に深く関与していること
が知られている。これらのことは細胞膜受容伝達機構の
異常が成因となる種々の病的細胞やガン細胞において、
C−キナーゼが重要な指標酵素となる可能性が高く、C
−キナーゼに対する抗体などが診断剤や検査薬として用
いられることが考えられる。これらの目的のためには十
分な量のヒトC−キナーゼの供給が必要となる。しか
し、天然に存在するヒトC−キナーゼは微量であり、ま
たこれをヒトの組織から得る試みは種々の制約によって
極めて困難なため、未だにヒトC−キナーゼのアミノ酸
配列や遺伝子の塩基配列は決定されていない。
一方、材料が比較的容易に得られる動物由来のC−キ
ナーゼは、例えばラット脳から既に精製されているが、
この場合もアミノ酸配列や遺伝子の塩基配列が決定され
ていないし、またラットC−キナーゼについても大量生
産は非常に難かいしのである。
発明が解決しようとする問題点 上記のようにヒトC−キナーゼやラットC−キナーゼ
の性質、アミノ酸配列および遺伝子については不明の点
が多い。従って試薬や検査薬として例えばそれをコード
する遺伝子を同定し、その蛋白質を遺伝子組み換え技術
によって生産する方法が望まれていた。
問題点を解決するための手段 一般に、ヒトにより近い動物の蛋白質はそのアミノ酸
配列において非常に高い相同性があり、アミノ酸の異な
っている部分もその大部分はコドンのone point mutati
onによって導びかれるものである。そこで、本発明者等
はまず材料の入手が容易なラット脳由来のC−キナーゼ
を精製し、得られるアミノ酸配列を決定するとともに、
それをもとにクローニングされたラットC−キナーゼ遺
伝子のDNA配列を解明した。このラットC−キナーゼ遺
伝子のDNA配列については後述の実施例1、2、3及び
4に具体的に述べているとおりであり、その塩基配列お
よび該塩基配列より予測されるアミノ酸配列は第2図、
第8図および第13図に示している。
そしてこのクローニングされたラットC−キナーゼ遺
伝子のDNA配列は、コドンの縮重により多数のDNA配列が
可能となるものの、その一部はヒトC−キナーゼ遺伝子
のDNA配列に極めて良く似ているものと推定される。そ
こで本発明者らはこのような考えに基づいて、一たんラ
ットC−キナーゼ遺伝子をクローニングし、このcDNAを
DNAプローブとして用いてヒトC−キナーゼ遺伝子をヒ
ト細胞よりクローニングした。該遺伝子を含む組み換え
DNAを構築し、該DNAで形質転換された形質転換体を培養
するとヒトC−キナーゼが生産される。本発明者らは、
これらの知見に基づき、さらに研究した結果、本発明を
完成した。
本発明は、 (1)以下の式IまたはII〔I(β−1)は第8図にお
いて四角で囲んだ部分の配列を除外したアミノ酸配列を
有するものであり、II(β−2)は第8図において622
〜673番目に相当するアミノ酸配列として四角で囲んだ
部分の配列を有するものである〕で示されるアミノ酸配
列を有するポリペプチドであるラット蛋白質リン酸化酵
素Cをコードする塩基配列を含有する組み換えDNA: (2)ラット蛋白質リン酸化酵素Cをコードする塩基配
列が以下の式(i)または(ii)で示されるものである
(1)記載の組み換えDNA: (3)以下の式IまたはII〔I(β−1)は第8図にお
いて四角で囲んだ部分の配列を除外したアミノ酸配列を
有するものであり、II(β−2)は第8図において622
〜673番目に相当するアミノ酸配列として四角で囲んだ
部分を配列を有するものである〕で示されるアミノ酸配
列を有するポリペプチドであるラット蛋白質リン酸化酵
素Cをコードする塩基配列を含有するDNAを含有するベ
クターで形質転換された形質転換体: および (4)ラット蛋白質リン酸化酵素Cをコードする塩基配
列が以下の式(i)または(ii)で示されるものである
(3)記載の形質転換体: に関するものである。
ラットC−キナーゼをコードする塩基配列を含有する
組み換えDNAとしては、たとえば第8図もしくは第13図
に示される塩基配列を含有するものが好ましい。
ラットC−キナーゼとしては、第8図のアミノ酸配列
において、第1〜224番目のアミノ酸残基からなるポリ
ペプチド,該第1〜224番目のアミノ酸残基にさらに第2
25〜621番目のアミノ酸残基が付加したポリペプチド,
該第1〜621番目のアミノ酸残基にさらに で示されるアミノ酸残基が付加したもの(I)、該第1
〜621番目のアミノ酸残基にさらに で示されるアミノ酸残基が付加したもの(II);同一の
活性を有する、これらポリペプチドの一部;もしくは上
記アミノ酸配列が部分的に変換され、かつ同一の活性を
有するポリペプチドが挙げられる。ラットC−キナーゼ
をコードする塩基配列を含有する組み換えDNAとして
は、第8図もしくは第13図に示されるアミノ酸配列をコ
ードする塩基配列あるいはその一部であって、得られる
蛋白質がラットC−キナーゼ活性を有するものであれば
どのような塩基配列も用いることができるが、前述のよ
うに第8図もしくは第13図に示される塩基配列を含有す
るものが好ましく用いられる。更に具体的に述べれば62
2番目以降のアミノ酸配列として第8図における四角で
囲んだ部分を除いたアミノ酸配列(I)(No.1〜671)
に対応するもの(i)(No.685〜2697)や第8図におけ
る四角で囲んだ部分を含むアミノ酸配列(II)(No.1〜
673)に対応するもの(ii)(No.685〜2703)を含有す
るものが特に好ましく用いられる。
また、本発明のラットC−キナーゼのクローニング、
形質転換体の製造、該形質転換体を用いたラットC−キ
ナーゼ蛋白の製造及びその有用性は、以下に記載するヒ
トC−キナーゼのクローニング、形質転換体の製造、該
形質転換体を用いたヒトC−キナーゼ蛋白の製造と同様
に行なうことができ、また同様の有用を有するものであ
る。
ヒトC−キナーゼ蛋白質のポリペプチドをコードする
塩基配列を有するDNAを含有する発現型ベクターは、例
えば、 (イ)ヒトC−キナーゼをコードするRNAを分離し、 (ロ)該RNAから単鎖の相補DN(cDNA)を、次いで二重
鎖DNAを合成し、 (ハ)該相補DNAをプラスミドに組み込み、 (ニ)得られた組み換えプラスミドで宿主を形質転換
し、 (ホ)得られた形質転換体を培養後、形質転換体から適
当な方法、例えばラットcDNAをプローブとして用いたコ
ロニーハイプリダイゼーション法、により目的とするDN
Aを含有するプラスミドを単離し、 (ヘ)そのプラスミドから目的とするクローン化DNAを
切り出し、 (ト)該クローン化DNAをビークル中のプロモーターの
下流に連結する、ことにより製造することができる。
ヒトC−キナーゼをコードするRNAは、種々のヒトC
−キナーゼ産生細胞、例えばヒト脳由来細胞あるいはヒ
ト線維芽細胞から得ることができる。該ヒト線維芽細胞
としてはW138(ATCC番号CCL−75)あるいはIMR90(ATCC
番号CCL−186)などがあげられる。上記細胞W138あるい
はIMR90は、ジ・アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクション(The American Type Culture Collection)
発行のカタログ・オブ・セル・ラインズ・アンド・ハイ
ブリドーマズ(Catanloge of Cell Lines & Hybridoma
s)5th edition,1985に掲載されている。
ヒトC−キナーゼ産生細胞からRNAを調製する方法と
しては、グアニジンチオシアネート法〔J.M..Chirgwin
ら、バイオケミストリー(Biochemistry),18,5294(1
979)〕などが挙げられる。
このようにして得られたRNAを鋳型とし、逆転写酵素
を用いて、例えばH.Okayamaらの方法〔モレキュラー・
アンド・セルラー・バイオロジー(Molecular and Cell
ular Biology)2,161(1982)および同誌3,280(198
3)〕に従いcDNAを合成し、得られたcDNAをプラスミド
に組み込む。
cDNAを組み込むプラスミドとしては、たとえば大腸菌
由来のpBR322〔ジーン(gene),2,95(1977)〕,pBR32
5〔ジーン,4,121(1978)〕,pUC12〔ジーン,19,,259
(1982)〕,pUC13〔ジーン,19,259(1982)〕、枯草菌
由来のpUB110〔バイオケミカル・バイオフィジカル・リ
サーチ・コミュニケーション(Biochemical and Biophy
sical Research Communication),112,678(1983)〕
などが挙げられるが、その他のものであっても、宿主内
で複製保持されるものであれば、いずれをも用いること
ができる。
プラスミドに組み込む方法としては、たとえば、T.Ma
niatisら,モレキュラー・クローニング(Molecular Cl
oning)コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ
ー(Cold Spring Harbor Laboratory),第239頁(198
2)に記載の方法などが挙げられる。
上記cDNAが組み込まれたプラスミドとしては、ヒト正
常2倍体細胞mRNAより合成したcDNAをpCDベクター〔Oka
yamaら,モレキュラー・セル・バイオロジー(Molecula
r Cell Biology),3,280(1983)参照〕に組み込んで
作成した大腸菌x1776を宿主としたcDNAライブラリー(N
ational Institute of Child Health and Human Develo
pment,Bethesda,U.S.A.の岡山博士より分与を受けるこ
とができる。)を用いて得られたプラスミドでもよい。
このようにして得られたプラスミドは、適当な宿主た
とえばエシェリキア(Escherichia)属菌,バチルス(B
acillus)属菌などに導入する。
上記エシェリキア属菌の例としては、エシェリキア・
コリ(Escherichia coli)K12DH1〔プロシージング・オ
ブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Pro
c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)60,160(1968)〕,M103〔ヌ
クレイック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Re
search),9,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ
・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular
Biology)〕,120,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル
・オブ・モレキュラー・バイオロジー41,459(196
9)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39,440
(1954)〕などが挙げられる。
上記バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サチ
ルス(Bacillus subtilis)MI114(ジーン,24,255(19
83)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリ
ー(Journal of Biochemistry)95,87(1984)〕などが
挙げられる。
形質転換する方法としては、たとえばT.Maniatisら、
モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)コ
ールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold S
pring Harbor Laboratory),第249頁(1982)に記載の
カルシウムクロライド法あるいはカルシウムクロライド
/ルビジウムクロライド法などが挙げられる。
このようにして得られた形質転換体中から自体公知の
方法、例えばコロニー・ハイブリダイゼーション法〔ジ
ーン,10,63(1980)〕およびDNA塩基配列決定法〔プロ
シージング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)74,560(197
7、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids
Research)9,309(1981)〕を用い、求めるクローンを
選出する。
このようにして、クローン化されたヒトC−キナーゼ
をコードする塩基配列を含有するDNAの有するベクター
を保持する微生物が得られる。
後述の実施例3(1)で得られたEscherichia coli K
12DH1/pTB637が保持するプラスミドpTB637は、ヒトC−
キナーゼ(I)をコードする塩基配列を含有するDNAを
有する。該DNA中の、ヒトC−キナーゼ(I)をコード
する塩基配列は、DNAの一部分であると考えられる。該D
NAの制限酵素切断位置を第3図に示す。第3図に示すよ
うに該DNAは全長約1.2kbpであり、制限酵素Pst Iあるい
はBamH Iにより断片に切断される。
次に、該微生物からプラスミドを単離する。
該単離法としては、アルカリ法〔H.C.Birmboimら、ヌ
クレイック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Re
search),,1513(1979)〕などが挙げられる。
上記クローン化されたヒトC−キナーゼをコードする
塩基配列を含有するDNAを有するプラスミドはそのま
ま、または所望により制限酵素で切り出す。
クローン化された遺伝子は、発現に適したビークル
(ベクター)中のプロモーターの下流に連結して発現型
ベクターを得ることができる。
ベクターとしては、上記の大腸菌由来のプラスミド
(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13),枯草菌由来プラ
スミド(例、pUB110,pTP5,pC194),酵母由来プラスミ
ド(例、pSH19,pSH15),あるいはλファージなどのバ
クテリオファージおよびレトロウィルス、ワクシニアウ
ィルスなどの動物ウィルスなどが挙げられる。
該遺伝子はその5′末端に翻訳開始コドンとしてのAT
Gを有し、また3′末端には翻訳終止コドンとしてのTA
A,TGAまたはTAGを有していてもよい。さらに該遺伝子を
発現させるにはその上流にプロモーターを接続する。本
発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現
に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればい
かなるものでもよい。
また、形質転換する際の宿主がエシェリキア属菌であ
る場合は、trpプロモーター,lacプロモーター,recAプロ
モーター,λPLプロモーター,lppプロモーターなどが、
宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター,S
PO2プロモーター,penPプロモーターなど、宿主が酵母で
ある場合は、PHO5プロモーター,PGKプロモーター,GAPプ
ロモーター,ADHプロモーターなどが好ましい。とりわけ
宿主がエシェリキア属菌でプロモーターがtrpプロモー
ターまたはλPLプロモーターであることが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモー
ター、レトロウィルスのプロモーターなどが挙げられ、
とりわけSV40由来のプロモーターが好ましい。
このようにして構築されたDNA(II)を含有するベク
ターを用いて、形質転換体を製造する。
宿主としては、たとえばエシェリキア属菌、バチルス
属菌、酵母、動物細胞などが挙げられる。
上記エシェリキア属菌、バチルス属菌の具体例として
は、前記したものと同様のものが挙げられる。
上記酵母としては、たとえばサッカロマイセスセレビ
シアエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22R-,NA87−11A,
DKD−5Dなどが挙げられる。
動物細胞としては、たとえばサル細胞COS−7,Vero,チ
ャイニーズハムスター細胞CHO,マウスL細胞,ヒトFL細
胞などが挙げられる。
上記エシェリキア属菌を形質転換するには、たとえば
プロシージング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),69,2110(1
972)やジーン,17,107(1982)などに記載の方法に従
って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、たとえばモレキュ
ラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecu
lar & General Genetics),168,111(1979)などに記
載の方法に従って行なわれる。
酵母を形質転換するには、たとえばプロシージング・
オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA),75,1929(1978)に記載の方
法に従って行なわれる。
動物細胞を形質転換するには、たとえばヴィロロジー
(Virology)52,456(1973)に記載の方法に従って行な
われる。
このようにして、ヒトC−キナーゼをコードするDNA
を含有するベクターで形質転換された形質転換体が得ら
れる。
その一例としては、たとえば後述の参考例1で得られ
たEscherichia coli K12DH1/pTB637が挙げられ、該微生
物は、昭和61年(1986年)6月13日に財団法人発酵研究
所(IFO)の受託番号IFO14510として寄託され、また、
本微生物は、昭和61年6月20日に通商産業省工業技術院
微生物工業技術研究所(FRI)に受託番号FERM P−881
5として寄託され、該寄託はブダペスト条約に基づく寄
託に切換えられて、受託番号FERM BP−1371として同研
究所(FRI)に保管されている。
宿主がエシェリキア属菌、バチルス属菌である形質転
換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体
培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必
要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられ
る。炭素源としては、たとえばグリコース、デキストリ
ン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえ
ばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカ
ー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイシ
ョ抽出液などの無機または有機物質、無機物としてはた
とえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化
マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン
類、生長促進因子などを添加してもよい。
培地のpHは約6〜8が望ましい。
エシェリキア属菌を培養する際の培地としては、例え
ばグリコース、カザミノ酸を含むM9培地〔Miller,ジャ
ーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー
・ジェネティックス(Jouranl of Experiments in Mole
cular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Labor
atory,New York 1972〕が好ましい。ここに必要により
プロモーターを効率よく働かせるために、たとえば3β
−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることが
できる。
宿主がエシェリキア属菌の場合、培養は通常約15〜43
℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や攪拌を加え
ることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で
約6〜24時間行ない、必要により通気や攪拌を加えるこ
ともできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培
地〔Bostian,K.L.ら、「プロシージング・オブ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA)77,4505(1980)〕が挙げられる。培地のpH
は約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃
〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や攪拌を
加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地
としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血際を含むMEM
培地〔サイエンス(Science)122,501(1952)〕,DMEM
培地〔ヴィロロジー(Virology),,396(1959)〕,R
PMI1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メ
ディカル・アソシエーション(The Jounal of the Amer
ican Medical Association)199,519(1967)〕,199培
地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー
・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of th
e Society for the Biological Medicine)73,1(195
0)〕などが挙げられる。pHは約6〜8であるのが好ま
しい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必
要に応じて通気や攪拌を加える。
上記培養物からヒトC−キナーゼ蛋白質を分離精製す
るには、例えば下記の方法により行なうことができる。
ヒトC−キナーゼ蛋白を培養菌体あるいは細胞から抽
出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは
細胞を集め、これを塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤を
含む緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび(また
は凍結融解)によって菌体あるいは細胞を破壊したの
ち、遠心分離によりヒトC−キナーゼ蛋白を得る方法な
どが適宜用い得る。
上記上澄液からヒトC−キナーゼ蛋白を精製するに
は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行な
うことができる。これらの公知の分離、精製法として
は、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透
析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気応動法などの主として分子量の差を
利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷
電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフ
ィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体
クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、
等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法など
が挙げられる。
本発明の遺伝子組み換え技術によって得られたヒトC
−キナーゼ蛋白の一例としては、例えば第1図における
アミノ酸配列で示されるポリペプチドを含有する蛋白質
を挙げることができる。該ポリペプチドはそのN末端に
Metを有していてもよい。
かくして生成するヒトC−キナーゼの活性は公知の蛋
白質リン酸化などにより測定することができる。
本発明のDNAで遺伝子感染または形質転換した細胞で
は、本来わずかのヒトC−キナーゼしか合成されない、
あるいは全く合成されない各種細胞においても大量のヒ
トC−キナーゼを産生せしめることができ、ヒトC−キ
ナーゼ生産を有利に導くことができる。
ヒトC−キナーゼ蛋白をコードする遺伝子を含有する
発現型プラスミドは、これを各種細胞に導入することに
より該細胞にヒトC−キナーゼを産生させることができ
るため、ヒトC−キナーゼを大量に取得することができ
る。ここに製造されるヒトC−キナーゼは、試薬として
また抗体を調製しその抗体と共に診断・検査薬として用
いることができる。たとえば本発明のC−キナーゼは、
細胞膜受容伝達機構などの研究用試薬、細胞膜受容伝達
機構の異常が原因となる疾病(例:腫瘍)に対する診断
・検査薬、あるいはこれらの疾病に対する予防・治療薬
のスクリーニング用試薬として用いることができる。た
とえば、1回の診断・検査に約0.001〜10μgのC−キ
ナーゼが用いられる。
本発明明細書および図面において、塩基やアミノ酸な
どを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Bi
ochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野に
おける慣用略号に基づくものであり、その例を下記す
る。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、
特に明示しなければL−体を示すものとする。
DNA:デオキシリボ核酸 cDNA:相補的デオキシリボ核酸 A:アデニン T:チミン G:グアニン C:シトシン RNA:リボ核酸 dATP:デオキシアデノシン三リン酸 dTTP:デオキシチミジン三リン酸 dGTP:デオキシグアノシン三リン酸 dCTP:デオキシシチジン三リン酸 ATP:アデノシン三リン酸 EDTA:エチレンジアミン四酢酸 SDS:ドデシル硫酸ナトリウム Gly:グリシン Ala:アラニン Val:バリン Leu:ロイシン Ile:イソロイシン Ser:セリン Thr:スレオニン Cys:システイン Met:メチオニン Glu:グルタミン酸 Asp:アスパラギン酸 Lys:リジン Arg:アルギニン His:ヒスチジン Phe:フェニールアラニン Tyr:チロシン Trp:トリプトファン Pro:プロリン Asn:アスパラギン Gln:グルタミン 実施例および発明の効果 以下の実施例及び参考例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
なお、実施例2で得られた形質転換体E.coli K12DH1
/pTB638は昭和61年(1986年)6月20日にIFOに受託番号
IFO 14514として寄託され、本形質転換体は昭和61年6
月28日にFRIに受託番号FERM P−8829として寄託さ
れ、該寄託はブダペスト条約に基づく寄託に切換えられ
て、受託番号FERM BP−1372としてFRIに保管されてい
る。
また、実施例3で得られた形質転換体E.coli K12DH1
/pTB652は昭和61年8月29日にIFOに受託番号IFO 14539
として寄託され、また本形質転換体は昭和61年9月5日
にFRIに受託番号FERM P−8958として寄託され、該寄
託はブダペスト条約に基づく寄託に切換えられて、受託
番号FERM BP−1373としてFRIに保管されている。
実施例3で得られた形質転換体E.coli K12DH1/pTB65
3は昭和61年8月29日にIFOに受託番号IFO 14540として
寄託され、本形質転換体は昭和61年9月5日にFRIに受
託番号FERM P−8959として寄託され、該寄託はブダペ
スト条約に基づく寄託に切換えられて、受託番号FERM
BP−1374としてFRIに保管されている。
実施例4で得られた形質転換体E.coli DH1/pTB755は
昭和62年5月21日にIFOに受託番号IFO 14612として寄
託され、本形質転換体は昭和62年5月29日にFRIに受託
番号FERM BP−1382としてブダペスト条約に基づいて寄
託された。
実施例1 (1)ラット−Cキナーゼのアミノ酸配列の決定 ラット−Cキナーゼは吉川らの方法〔ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリィ(J.Biol.Chem.)25
7,13341(1982)〕に従ってラット脳より抽出精製し
た。240匹のラット脳より、2.0mgの精製C−キナーゼ標
品を得た。この標品1.9mgを6M尿素を含む50mM Tris−HC
l(pH9.0)溶液1.9mlにとかし、リジルエンドペプチダ
ーゼを25μ/mlに添加して37℃21時間消化した。生成
したペプチドを逆相HPLC(Micro pak Protein C18−10,
0.4×30cmカラム)にかけアセトニトルリルのグラジエ
ント溶出により分画、分取した。分画された約50のペプ
チドのうちの4種類(ペプチドNo.24,37,49,51)につい
てそのアミノ酸配列を気相プロティンシークエンサー
(モデル470A,Applied Biosystems,Inc.)を用いた自動
エドマン分解法により決定した。エドマン分解により生
じたアミノ酸のチオヒダントイン化物はMicro pak SPC
18−3カラム(Varian Associatates,Inc)を用いたHPL
Cにより分析した。得られた4種類のペプチドのアミノ
酸配列を第1図に示した。
実施例2 (1)ラット脳mRNA由来のcDNAライブラリーの作製 ラット脳よりRNAをグアニジンイソチオシアネート法
(Chirgwimら、Biochemistry 18,5294,1978)を用いて
抽出した。このRNAよりポリ(A)RNAをオリゴdTセルロ
ースカラムクロマトグラフィーにより精製した〔Avivと
Leder,「プロシージング・オブ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)69,1
408(1972)〕。
このポリ(A)RNAを鋳型としてcDNAライブラリーをO
kayamaとBergの方法〔Okayama & Berg,「モレキュラー
アンド セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Bio
l.)」,161,1982,同誌,,280,1983〕に従ってpcDV1
ベクター、pL1リンカーを用いて作製した。環状化したc
DNAを含むベクターplasmidは大腸菌DH−1に感染させ、
5μgのポリ(A)RNAより出発して約5×105個のクロ
ーンよりなる大腸菌DH−1を宿主としたcDNAライブラリ
ーを得ることができた。
(2)ラット−C−キナーゼcDNAを含むプラスミドの単
離とその塩基配列の決定 上記大腸菌DH1を用いたラットcDNAライブラリーをニ
トロセルロースフィルター(ミリポオ社、HATFフィルタ
ー)上に約3×104クローン/フィルターとなるように1
0枚まき、このフィルターをマスターフィルターとして
いる各2枚ずつを1組としたレプリカフィルター計20枚
を作製した。このレプリカフィルター上の大腸菌を0.5N
NaOH溶液でとかし露出変性したプラスミドDNAをフィル
ター上に乾燥固定した〔Grunstein,M, & Hogness,D.S.
「プロシージング・オブ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)72,3961(1
975)〕。
一方、実施例1の(1)で決定したペプチドのアミノ
酸配列より、その配列に対応する塩基配列を有するオリ
ゴヌクレオチドを化学合成した。即ち、ペプチドNo.24
の7−12のアミノ酸配列(Tyr−Ile−Asp−Trp−Glu−L
ys)に対応する ペプチドNo.51の3−8のアミノ酸配列(Asp−Trp−Trp
−Ala−Phe−Gly)に対応する さらにペプチドNo.51の24−29のアミノ酸配列(Glu−As
p−Glu−Asp−Glu−Leu)に対応する (プローブNo.3)を合成してラットC−キナーゼcDNAの
スクリーニングプローブとした。
これらオリゴヌクレオチドプローブの5′末端をT4ポ
リヌクレオチドキナーゼ,〔γ−32P〕ATPを用いて32P
で標識した。
標識したプローブNo.2とプローブNo.3をDNAを固定し
たレプリカフィルターに別々に会合させた。会合反応は
10μCiの標識プローブを含む5×SSC(0.15M NaCl,0.01
5M Sodium citrate),5×Denhardt's,0.1%SDS,100μg/
ml変性サケ精子DNA溶液10ml中で42℃16時間行い、反応
後、フィルターを6×SSC,0.1%SDS溶液で室温で30分ず
つ3回、さらにプローブNo.2を用いた場合では47℃、プ
ローブNo.3では43℃で60分ずつ2回洗浄した(T.Maniat
isら,「モレキュラー クローニング(Molecular Clon
ing)Cold Spring Harbor Laboratory,p309,1982)洗浄
したフィルターよりラジオオートグラムをとり、二種類
のプローブの両方に対して反応する菌株を1組2枚のレ
プリカフィルターをラジオオートグラムを重ね合わせる
ことにより探した。この方法により3×105coloniesよ
り、二種類のプローブの両方に対して反応する1株E.co
li K12DH/1pTB638(IFO 14514,FERM BP−1372)を得
た。
この菌株よりプラスミドDNA(pTB638)をアルカリ法
〔Birnboim,H.C. & Doly,J.「ヌクレイック アシッズ
リサーチ(Nucleic Acids Res.),」,1513,(197
9)〕によって抽出精製した。DNAを制限酷素BamH I(宝
酒造製)で切断し、アガロースゲル電気泳動で分画した
後、.DNA断片をアガロースゲル中よりニトロセルロース
フィルター(エス アンド エス社,BA85)上に移した
〔サザンブロッティング法、T.Maniatisら,「モレキュ
ラー クローニング(Molecular Cloning)Cold Spring
Harbor Laboratory,p382,1982〕。このフィルターを前
記三種のオリゴヌクレオチドプローブ(プローブNo.1,
2,3)と会合させると、プラスミドDNA断片は三種のプロ
ーブのいずれとも反応した。
このプラスミドDNAのcDNA部分の塩基配列をジデオキ
シヌクレオチド合成鎖停止法〔J.Messingら「ヌクレイ
ック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.),」
,309,(1981)〕によって決定した。その塩基配列お
よび塩基配列より予測されるアミノ酸配列を第2図に示
した。
この配列で、実施例1の(1)で決定したペプチドN
o.24のアミノ酸配列はNo.445−480の塩基配列にまたペ
プチドNo.51のアミノ酸配列はNo.220−312の塩基配列に
正しく対応していることがわかる。従って、このプラス
ミドpTB638がラットC−キナーゼcDNAであることが確認
された。また、このcDNAはポリ(A)構造を含んでいる
ことから、C−キナーゼのC末端側コード部分と、mRNA
の3′末端側非翻訳部分の構造を保持していることがわ
かった。なお、ラットのC−キナーゼとしては第2図に
示したアミノ酸配列をその一部として含む。
参考例1 (1)ヒトC−キナーゼcDNAを含有するプラスミドの単
離 ヒト包皮由来初代培養細胞mRNAより合成したcDNAをpC
Dベクター〔Okayamaら,「モレキュラー アンド セル
ラー バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)」,280,(198
3)参照〕に組み込んで作成した大腸菌x1776を宿主とし
たcDNAライブラリーをNational Institute of Child He
alth and Human Development,Bethesda,U.S.A.の岡山博
士より分与を受けた。このcDNAライブララーよりアルカ
リ法〔Birnboim,H.C.& Doly,J.「ヌクレイック アシ
ッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.),」,1513,
(1979)〕でプラスミドDNAを抽出し、このDNAを大腸菌
DH1に感染させ、約2×106個のcloneよりなる大腸菌DH1
を宿主としたcDNAライブララーを作成した。
上記大腸菌DH1を用いたcDNAライブラリーをヒトロセ
ルロースフィルター(ミリポア社、HATFフィルター)上
に約5×104クローン/フィルターとなるように12枚ま
き、このフィルターをマスターフィルターとしてレプリ
カフィルターを作製した。このレプリカフィルター上の
大腸菌を0.5N NaOH溶液でとかし露出変性したブラスミ
ドDNAをフィルター上に乾燥固定した〔Grunstein,M, &
Hogness,D.S.「プロシージング・オブ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA)72,3961(1975)〕。
一方、実施例2の(2)で単離したプラスミドpTB638
を制限酵素Pst Iで切断して得られる約0.7kbのDNA断片
を〔α−32P〕αATP,DNAポリメラーゼIを用いて32P標
識した〔ニックトランスレーション法、P.W.Rigbyら
「ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.
Mol.Biol.」113,237(1977)〕。
この標識DNA断片をプローブとしてDNAを固定したレプ
リカフィルターと会合させた。会合反応は5μCiのプロ
ーブを含む20%ホルムアミド、5×SSPE,5×Denhardt'
s,0.1%SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA溶液10ml中で42
℃16時間行い、反応後、フィルターを2×SSC,0.1%SDS
溶液で室温で30分3回、さらに50℃で30分ずつ2回洗浄
した〔T.Maniatisら,「モレキュラー クローニング
(Molecular Cloning)Cold Spring Harbor Laborator
y,pp309,1982〕。洗浄したフィルターよりラジオオート
グラムをとり、プローブと反応する菌株E.coli K12DH/
1pTB637(IFO 14510,FERM BP−1371)を得た。
(2)cDNAの塩基配列の決定 上記(1)で得た菌株E.coli K12DH/1pTB637(IFO
14510,FERM BP−1371)よりプラスミドDNA(pTB637)
をアルカリ法〔Birnbom,H.C. & Doly,J.「ヌクレイッ
ク アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.),」
,1513,(1979)〕によって抽出精製した。このプラス
ミドに含まれるcDNA部分は全長約1.2Kbpであり、その簡
単な制限酵素地図を第3図に示した。
このcDNA部分の塩基配列の一部をジデオキシヌクレオ
チド合成鎖停止法〔Messing J.ら「ヌクレイック アシ
ッズ リサーチ(Nucleic Acids Res.),」,309,(1
981)〕によって決定した。決定された塩基配列および
その配列により推測されるアミノ酸配列を第4図に示し
た。
推測されたアミノ酸配列は、実施例2の(2)で示し
たラットC−キナーゼcDNAより推測されるアミノ酸配列
に高い相同性を示しており、プラスミドpTB637に含まれ
るcDNAがヒトC−キナーゼcDNAであることを示している
(第5図及び第6図参照)。なお、第5図は、第2図を
基に第4図の第26番目のアミノ酸(Ala)から重ね合わ
せ、アミノ酸の相同性をみたものであり、囲みが同一ア
ミノ酸を示す。また第6図は、第4図を基に、第4図の
第26番目のアミノ酸(Ala)の先頭のコドンGに第2図
の先頭のコドンを重ね合わせ、塩基配列の相同性をみた
ものであり、囲みが同一塩基を示す。
実施例3 (1)ラット脳mRNA由来のcDNAライブララーの作製 ラット脳より、RNAをグアニシンイソチオシアネート
法〔Chirgwimら,バイオケミストリー(Biochemistr
y)」,18,5294,1978〕を用いて抽出した。このRNAより
ポリ(A)RNAをオリゴdTセルロースカラムクロマトグ
ラフィーにより精製した〔AvivとLader,「プロシージン
グ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)69,1408(1972)〕。この
ポリ(A)RNAを鋳型としてcDNAライブラリーを、Watso
nとJacksonの方法〔Watson.C.J.and Jackson,J.F.,DNA
クローニング・ア・プラクティカル・アプローチ(DNA
Cloning A Practical approach)IRL press,Oxford,p7
9,1985〕に従って、λファージベクターλgt10(Huynh,
T.V.ら、DNAクローニング・ア・プラクティカル・アプ
ローチ,IRL press,Oxford,p49,1985)を用いて作成し
た。10μgのポリ(A)RNAより出発して、約1.5×106
個のクローンよりなる大腸菌C600,HflA(Huynh T,Vら、
同上)を宿主としたcDNAライブラリーを得ることができ
た。
(2)ラットCキナーゼcDNAを含むファージの単離とそ
のDNA塩基配列の決定 上記ファージcDNAライブラリーを大腸菌C600,HflAを
宿主として、軟寒天プレート上に、約1×105クローン
ずつ、10枚まき、これを、ニトロセルロースフィルター
(ミリポア社,HATFフィルター)上に移した後、0.5N Na
OH溶液でとかし露出変性したファージDNAをフィルター
上に乾燥固定した。(Maniatisら,「モレキュラー・ク
ローニング(Moleculler Cloning)」Cold Spring Harb
or Laboratory,p320,1982)。一方、実施例2の(2)
で得られたE.coli.K12,DH1/pTB638(IFO14514,FERM BP
−1372)を制限酵素Pst Iで切断して得られる0.7KbのDN
A断片をニックトラスレーション法(Mainatisら,同上p
109)により32P標識し、プローブとした。
標識したプローブと、DNAを固定したフィルターを、
標識プローブを含む、5×SSPE(0.9M NaCl 50mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH7.4),5mM EDTA),50%ホルムア
ミド,5×Denhardt's,0.1%SDS,100μg/ml変性サケ精子D
NA溶液10ml中で42℃,16時間,会合反応を行い、反応
後、フィルターを2×SSC(1×SSC=0.15M NaCl,0.015
Mクエン酸ナトリウム),0.1%SDS溶液中で室温で30分ず
つ2回,1×SSC,0.1%SDS溶液中で、68℃で30分ずつ2回
洗浄した。洗浄したフィルターを乾燥させた後、ラジオ
オートグラムをとり、プローブと反応するクローンを検
索した。この方法により得られたクローンλCKR107より
Davisらの方法(Davisら,「アドバンスト・バクテリア
ル・ジェネティクス(Advanced Bacterial Genetic
s)」,Cold Spring Harbor Laboratory 1980)によりフ
ァージDNAを抽出し、これにより制限酵素Bal IIとEcoR
Iの切断により、約0.5KbのDNA断片を切り出し、上記と
同様の方法により32P標識し、再び、上記と同様の方法
により会合反応を行い、プローブと反応するクローンの
検索を行った。以上の検索の結果得られた数種類のクロ
ーンのcDNA部分の塩基配列をジデオキシヌクレチオド合
成鎖停止法〔Messingら,「ヌクレイック・アシッズ・
リサーチ(Nucleic Acids Reserch)」,309,(198
1)〕によって決定した。
この結果、得られたファージクローンのcDNA部分を組
み合わせるとこにより、ラット脳Cキナーゼのコード領
域全体をカバーすることができる。
塩基配列より予想されるアミノ酸配列を調べることに
より、ラット脳Cキナーゼには、C末端部分のみ異なる
アミノ酸残基数671〔I型(β−1)〕および673〔II型
(β−2)〕の少くとも2種類の分子型が存在すること
が判明した。
第7図に得られたクローンの重なりの様子、第8図に
全塩基配列および、これより予想されるアミノ酸配列を
示した。
(3)ラット脳Cキナーゼの動物細胞発現用プラスミド
の構築 第7図に示した、ファージクローンλCKR152DNAを制
限酵素EcoR Iで部分分解し、1.4KbのcDNAを分離した。
このDNAを、特開昭61−63282号公報に記載のプラスミド
pTB106のインターロイキン−2遺伝子領域の5′末端側
のPst I切断部位及び3′末端側のBamH I切断部位をEco
R Iに変換しインターロイキン−2遺伝子領域を除去し
たプラスミドpTB389を制限酵素EcoR Iで切断し5′末端
のリン酸基をアルカリ性ホスファターゼ処理により除去
したものと混合し、T4DNAリガーゼを作用させて、プラ
スミドpTB648を構築した。さらに、このプラスミドpTB6
48をEcoR Iで部分分解し、cDNAの5′末端側937bpを含
む4.0kbのDNAを分離し、5′末端のリン酸基を除去し
た。このDNAを、第7図に示したファージクローンλCKR
107を制限酵素EcoR Iで部分分解し、分離した2.5kbのcD
NAまたは、ファージクローンλCKR108をEcoR Iで分解
し、分離した2.3kbのcDNAと混合し、T4DNAリガーゼを作
用させて、ラット脳Cキナーゼのコード領域全体をカバ
ーする動物細胞形質転換用プラスミドpTB651及びpTB650
を構築した。
別に、動物細胞用インターロイキン−2遺伝子発現ベ
クターpTB106〔特開昭61−63282号公報〕を制限酵素Hgi
A Iで切断し、インターロイキン−2遺伝子リーダー配
列を含む1.0kbDNA断片を分離した。T4DNAポリメラーゼ
反応により付着末端を平滑化し、EcoR IリンカーCCGGAA
TTCCGGをT4DNAリガーゼにより付加したのち、EcoR Iお
よびHind IIIで完全消化をおこなってSV40DNA由来の配
列(プロモーターおよびスプライス部位)と、IL−2遺
伝子リーダー配列からなる0.64kbDNA断片を分離した。
また、前記pTB106を別にBamH IおよびHind IIIで切断
し、プラスミドpBR322に由来するDNAの大腸菌での複製
のためのDNA複製開始部位と、アンピシリン耐性遺伝子
を含む配列およびSV40DNA由来のポリA付加部位を含む
2.6kbDNA断片を分離した。一方、ヒト表皮細胞増殖因子
(EGF)合成遺伝子がクローニングされたプラスミドpTB
361〔特開昭61−88881号公報〕から、ヒトEGFをコード
する0.18kb EcoR I−BamH I DNA断片を製造した。これ
ら3種のDNA断片を、T4DNAリガーゼ反応により結合さ
せ、プラスミドpTB406を構築した。上記で得られたプラ
スミドpTB406を、SV40プロモーター上流に存在するCla
IおよびHind IIIで切断し、pTB314〔特開昭61−63282号
公報〕から分離精製したエーベルソンマウス白血病ウィ
ルス(A−MuL V)LTR領域を含む1.1kbcla I−Hind III
DNA断片を挿入して、プラスミドpTB505を構築した。
さらに、プラスミドpTB505を制限酵素Cla IおよびBam
H Iで切断し、1.5kbのMuL V−LTRを含むDNAを分離し
た。このDNAをプラスミドpTB650またはプラスミドpTB62
1のCla I・BamH I DNA断片と混合し、T4DNAリガーゼを
作用させることにより、MuL V−LTRを上流にもつ動物細
胞形質転換用プラスミドpTB652及びプラスミドpTB653を
それぞれ構築した(第9図)。
(4)上記(2)で得られたプラスミドpTB652またはプ
ラスミドpTB653を用い、大腸菌(E.coli)K12DHIを「プ
ロシージング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)」,69,2110
(1972)に記載の方法に従って形質転換し、形質転換体
E.coli K12DH1/pTB652(IFO 14539,FERM BP−1373)お
よびE.coli K12DH1/pTB653(IFO 14540,FERM BP−137
4)をそれぞれ得た。
(5)ラット脳CキナーゼcDNAの動物細胞での発現: サルCOS−7細胞〔「セル(Cell)」,27,279−288
(1981)]を5%胎児牛血清を含むDMEM培地で単層培養
(ファルコン径100mmプラスチックディシュ5枚)した
後、同培地で培地交換した。交換の4時間後に公知の方
法〔Grahamら、「ヴィロロジー(Virology」,52,456
(1973)〕に従いディシュ1枚当りプラスミドpTB652ま
たはpTB653のDNA30μgを含むカルシウムホスフェート
ゲルを調製し細胞に添加し、pTB652感染細胞またはpTB6
53感染細胞をそれぞれ得た。さらにその4時間後グリセ
ロール処理して5%胎児牛血清を含む培地で上記pTB652
感染COS−7細胞またはTB653感染COS−7細胞の培養を
続けた。70〜72時間後に培養上清をすて、細胞を1.5ml
の0.25Mショ糖、20mM Tris HCl(pH7.5),10mM EGTE,2m
M EDTA,20μg/mlリューペプチン緩衝液中に懸濁させテ
フロンホモジナイザーで細胞をホモジナイズした。この
ホモジネートをベックマン100.2ローターを用いて55000
rpm,60分間遠心することにより、細胞質分画を得た。pT
B652感染細胞またはpTB653感染細胞のそれぞれより得た
この分画について、公知の方法[Kikkawaら、「シャー
ナル・オブ バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.C
hem.)」,257.13341(1982)]に従ってCキナーゼ活
性を測定し、タンパク量1mg当りの活性値を測定した。
第1表に示したように、pTB652感染COS−7細胞またはp
TB653感染COS−7細胞の細胞質分画には、対照実験とし
て用いた非感染細胞の細胞質分画にくらべて、約3倍程
度のCキナーゼ活性が検出された。
(6)感染細胞より得られたCキナーゼの解析: 上記の方法で得られた細胞質分画を、それぞれ6倍量
の0.5mM EGTA,0.5mM EDTA 10mM2−メルカプトエタノー
ルを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)(緩衝液A)
で希釈した後、ファルマシアFPLC−Mono Qカラム(0.5
×5cm,ファルマシアHR5/5)にのせた。緩衝液Aでカラ
ムを洗った後、20mlの0−0.6M NaClを含む緩衝液Aの
直線濃度勾配により、Cキナーゼ活性を溶出した。第10
図に示すように、pTB652感染細胞およびpTB653感染細胞
由来の検体においては、非感染細胞由来のそれに比べ、
明らかに多量の酵素活性が検出された。
Mono Qカラムより溶出された活性画分(各30μg)を
Laemmliの方法〔Laemmli,U.K.(1970)「ネイチャー(N
ature)」227 680−685〕により8.5%SDSポリアクリル
アミドゲル電気泳動した後、Towbinらの方法〔Towbin
H.ら(1979)「プロシージング・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス」(Proc.Natl.Accid.
Sci.U.S.A.)76,4350−4354〕により、ニトロセルロー
スフィルターに移した。これを4℃で150mM NaCl,5%カ
ゼイン、20%正常ウマ血清を含む10mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)中で一晩置き、次に、150mM NaCl,1%カゼイ
ンおよび抗Cキナーゼ抗体〔P.J Parker博士より分与、
Coussens L.S.(1986)「サイエンス」(Science)233,
859−866〕を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中に
て、室温で1時間放置した。0.05%Tween 20,150mM NaC
lを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中でフィルター
を洗った後、1%カゼイン、150mM NaCl、0.1μCi/ml
125IプロテインAを含むトリス塩酸緩衝液中にて、室温
で1.5時間放置した。フィルターを上記と同様にして洗
った後、X線フィルムに抗体と反応したタンパクバンド
を露光させた。第11図に示すように、感染細胞由来の検
体では、ラット脳より精製したCキナーゼと同じ位置
に、明らかに抗体と反応するタンパクバンドが検出され
た。
(7)感染細胞より得られたCキナーゼの精製: pTB652の5′非翻訳領域を短くしたpTB707(55塩基対
の5′−非翻訳領域をもつ)およびpTB653の5′非翻訳
領域を短くしたpTB708(55塩基対の5′−非翻訳領域を
もつ)を感染させたCOS−7細胞においても、上記と同
様の結果が得られた。
そこでpTB707およびpTB708感染COS−7細胞(各100mm
シャーレ50枚分)より上記と同様の方法にて、細胞質
画分を得た後、Mono Qカラム(1×10cm,ファルマシアH
R10/10)により活性画分を分取し、さらにヒドロキシル
アパタイトカラムにより部分精製した。Mono Qカラムの
活性画分を等量の0.5mM EGTA,0.5mM EDTA10%グリセロ
ール、10mMメルカプトエタノールを含む20mMリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.5)(緩衝液B)で希釈した後、ハイ
ドロキシルアパタイトカラム(0.78×10cm,KOKEN Type
S)を用いて、ファルマシアFPLCシステムにより、20−2
80mMリン酸カリウムを含む緩衝液Bの直線濃度勾配によ
り、Cキナーゼ活性を溶出させた。第12図に示すよう
に、ラット脳より精製したCキナーゼは3つのピーク
(第12図のDの左よりピーク1,2,3)に分かれるのに対
して、非感染細胞由来の検体ではピーク3のみの活性し
か観察されなかった。
一方、感染細胞由来の検体では、ピーク2およびピー
ク3に対応する活性が観察された。このことにより感染
細胞においてはピーク2に対応するCキナーゼ活性がプ
ラストミドDNAを関せさせることにより発現されたと考
えられる。
実施例4 (1)ラットCキナーゼIII型(α型)cDNAを含むファ
ージの単離とそのDNA塩基配列の決定 実施例3(1)で得られたラット脳mRNA由来のcDNAラ
イブラリーを大腸菌C600、HflAを宿主として、軟寒天プ
レート上に、約1×105クローンずつ10枚まき、これを
ニトロセルロースフィルター(ミリポア社、HATFフィル
ター)上に移した後、0.5N NaOH溶液でとかし露出変性
したファージDNAをフィルター上に乾燥固定した。一
方、既に公知〔Parkerら、サイエンス(Science)233,8
53−859(1986)〕のウシCキナーゼαのアミノ酸配列
(アミノ酸No.162−170)に対応する塩基配列を有する
オリゴペプチド(′TCCGTGACCTCGGCCTTCAGGTAGA
T3′)を化学合成し、この5′末端をT4ポリヌクレオチ
ドキナーゼ、〔γ−32P〕ATPを用いて32Pで標識してラ
ットCキナーゼIII型(α型)のスクリーニングプロー
ブとした。
標識したプローブと、DNAを固定したフィルターを標
識プローブを含む、5×SPE(0.9M NaCl50mMリン酸ナト
リウム緩衝液pH7.4),5×Denhordts,0.1%SDS,100μg/m
l変性サケ精子DNA溶液10ml中で42℃、16時間会合反応を
行い、反応後、フィルターを6×SSC(1×SSC=0.15M
NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム)0.1%SDS溶液中で室
温で30分ずつ2回、さらに同溶液で60℃で30分間ずつ2
回洗浄した。洗浄したフィルターを乾燥させた後、ラジ
オオートグラムをとり、プローブと反応するクローンを
検索した。この方法により得られたクローン λCKRα
5のcDNA部分の塩基配列をジデオキシヌクレオチド合成
鎖停止法によって決定した。
第13図にラットCキナーゼIII型(α型)のアミノ酸
コード領域の塩基配列、およびこれより予想されるアミ
ノ酸配列を示した。
(2)ラットCキナーゼIII型(α型)cDNAの動物細胞
での発現 λCKRα5を制限酵素EcoR Iで分解し、約3.1KbのcDNA
部分を分離した。一方、実施例3(3)で得られたpTB6
52をEcoR Iで分解し、cDNA部分を除いた約4.3KbのDNA断
片を分離した。これら2つのDNA断片をT4DNAリガーゼで
連結し、動物細胞発現用プラスミドpTB755を構築した。
このpTB755より大腸菌形質転換体E.coil DH1/pTB755(I
FO 14612,FERM BP−1382)を得た。このプラスミドpTB7
55を実施例3(5)に示した方法により、サルCOS7細胞
に感染させた後、細胞質分画を得た。この細胞質分画を
実施例3(7)に示した方法により、Mono Qカラム、お
よび、ハイドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフ
ィーを行い、発現されたラットCキナーゼIII型(α
型)のカラムクロマトグラフィー上での挙動を調べた
(第14図)。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1の(1)でラットC−キナーゼから得
られた4種類のペプチド分画分のアミノ酸配列を示す図
である。 第2図はラットC−キナーゼcDNA部分の塩基配列および
該塩基配列より予測されるアミノ酸配列を示した図であ
る。 第3図はヒトC−キナーゼcDNA部分の簡単な制限酵素図
である。 第4図はヒトC−キナーゼcDNAの一部の塩基配列および
その配列より推測されるアミノ酸配列を示した図であ
る。 第5図及び第6図はラットC−キナーゼcDNA部分の塩基
配列および該塩基配列より予測されるアミノ酸配列(第
2図)とヒトC−キナーゼcDNAの一部の塩基配列および
その配列より推測されるアミノ酸配列(第4図)との相
同関係を示す図である。 第7図は実施例3で得られた2つの型のラット脳C−キ
ナーゼクローンの重なりの様子を示す図である。 第8図はラット脳CキナーゼI型(β−1)及びII型
(β−2)のcDNAの全塩基配列および、これより予想さ
れるアミノ酸配列を示す。四角で囲った部分は、II型
(β−2)のアミノ酸配列第622〜673番目に相当する部
分を示す。 第9図はラット脳Cキナーゼの動物発現用プラスミドの
構築を示す。 第10図は感染細胞または非感染細胞由来の細胞質画分の
Mono Qカラムクロマトグラフィーにおける、Cキナーゼ
活性の挙動を示している。 A:pTB652感染細胞由来、B:pTB653感染細胞由来、C:非感
染細胞由来 第11図は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分画
した抗体タンパクの抗Cキナーゼ抗体を反応させた後の
オートラジオグラムを示している。 a:ラット脳より精製したCキナーゼ、b:非感染細胞由
来、c:pTB652感染細胞由来、 d:pTB653感染細胞由来 第12図は感染細胞または非感染細胞由来の細胞質画分の
Mono Qカラム上での活性画分をハイドロキシルアパタイ
トカラムクロマトグラフィーした時のCキナーゼ活性の
挙動を示している。 A:pTB707感染細胞由来、B:pTB708感染細胞由来、C:非感
染細胞由来、D:ラット脳Cキナーゼ 第13図はラットCキナーゼIII型(α型)のタンパクコ
ード領域の塩基配列および、それより推測されるアミノ
酸配列を示す。 第14図は、感染細胞または非感染細胞由来の細胞質画分
のMono Qカラム上での活性画分をハイドロキシルアパタ
イトカラムクロマトグラフィーした時のCキナーゼ活性
の挙動を示している。 A:ラット脳由来Cキナーゼ、B:pTB755感染細胞由来〔C
キナーゼIII型(α型)発現細胞由来〕、C:pTB707感染
細胞由来〔CキナーゼI型(β−1)発現細胞由来〕、
D:pTB756感染細胞由来〔Cキナーゼγ型発現細胞由来、
(Knopfら セル(Cell)46,491−502(1986)〕、E:非
感染細胞由来。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 9/12 C12R 1:19) (C12N 9/12 C12R 1:91) 微生物の受託番号 FERM BP−1371 微生物の受託番号 FERM BP−1372 微生物の受託番号 FERM BP−1373 微生物の受託番号 FERM BP−1374 微生物の受託番号 FERM BP−1382 前置審査 (72)発明者 西塚 泰美 芦屋市平田町3番6号 (56)参考文献 Science233(4766)P.859− 866(1986.8.22) J.Biol.Chem260(18)P. 10039−10043(1985)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式IまたはIIで示されるアミノ酸配
    列を有するポリペプチドであるラット蛋白質リン酸化酵
    素Cをコードする塩基配列を含有する組み換えDNA:
  2. 【請求項2】ラット蛋白質リン酸化酵素Cをコードする
    塩基配列が以下の式(i)または(ii)で示されるもの
    である請求項1記載の組み換えDNA:
  3. 【請求項3】以下の式IまたはIIで示されるアミノ酸配
    列を有するポリペプチドであるラット蛋白質リン酸化酵
    素Cをコードする塩基配列を含有するDNAを含有するベ
    クターで形質転換された形質転換体:
  4. 【請求項4】ラット蛋白質リン酸化酵素Cをコードする
    塩基配列が以下の式(i)または(ii)で示されるもの
    である請求項3記載の形質転換体:
JP62157495A 1986-06-27 1987-06-26 Dnaおよび形質転換体 Expired - Lifetime JP2593476B2 (ja)

Applications Claiming Priority (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14938586 1986-06-27
JP21794486 1986-09-18
JP28187086 1986-11-28
JP4016087 1987-02-25
JP61-217944 1987-02-25
JP61-281870 1987-02-25
JP61-149385 1987-02-25
JP62-40160 1987-02-25

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8258449A Division JP2739895B2 (ja) 1986-06-27 1996-09-30 ポリペプチド、dnaおよびその用途

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPH012572A JPH012572A (ja) 1989-01-06
JPS642572A JPS642572A (en) 1989-01-06
JP2593476B2 true JP2593476B2 (ja) 1997-03-26

Family

ID=27460860

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62157495A Expired - Lifetime JP2593476B2 (ja) 1986-06-27 1987-06-26 Dnaおよび形質転換体
JP13710298A Expired - Lifetime JP3146352B2 (ja) 1986-06-27 1998-05-19 Dnaおよびその用途

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13710298A Expired - Lifetime JP3146352B2 (ja) 1986-06-27 1998-05-19 Dnaおよびその用途

Country Status (7)

Country Link
US (1) US5219748A (ja)
EP (2) EP0251244B1 (ja)
JP (2) JP2593476B2 (ja)
AT (2) ATE347592T1 (ja)
CA (1) CA1341288C (ja)
DE (2) DE3751893T2 (ja)
ES (1) ES2093600T3 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1988001303A1 (en) * 1986-08-13 1988-02-25 Genetics Institute, Inc. Protein kinase c enzymes
EP0358325A1 (en) * 1988-08-10 1990-03-14 Takeda Chemical Industries, Ltd. Production of protein kinase C by yeast
JPH0536077U (ja) * 1991-10-22 1993-05-18 蔡 憲堂 騒音防止手段を有する空気ポンプ
US5459036A (en) * 1993-03-19 1995-10-17 Max-Planck-Gesellschaft Zur Forderung Der Wissenschaften E.V. Extracellular signal-regulated kinase, sequences, and methods of production and use
EP0910645B1 (en) * 1996-03-19 2004-04-28 Millennium Pharmaceuticals, Inc. A KINASE CAPABLE OF SITE-SPECIFIC PHOSPHORYLATION OF I-kappa-B-alpha
AU723585B2 (en) * 1996-03-28 2000-08-31 Trustees Of Boston University Methods of modulating melanin synthesis
US6271211B1 (en) 1997-02-13 2001-08-07 Albert Einstein College Of Medicine Of Yeshiva University Gene therapy for regulating penile smooth muscle tone
US7030096B1 (en) * 1997-02-13 2006-04-18 Albert Einstein College Of Medicine Of Yeshiva University Method of enhancing relaxation of penile smooth muscle by introduction of DNA encoding maxi-K potassium channel protein
US6150338A (en) * 1997-02-13 2000-11-21 Albert Einstein College Of Medicine Of Yeshiva University Gene therapy for alleviating erectile dysfunction
US6239117B1 (en) 1997-02-13 2001-05-29 Albert Einstein College Of Medicine Of Yeshiva University Gene therapy for regulating bladder smooth muscle tone
CN1311309A (zh) * 2000-03-02 2001-09-05 上海博德基因开发有限公司 一种新的多肽——人信号传导蛋白激酶17和编码这种多肽的多核苷酸
CN111432829B (zh) * 2017-12-14 2023-07-14 斯特拉斯堡大学 用于治疗和预防非酒精性脂肪肝病和纤维化的肽

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1988001303A1 (en) * 1986-08-13 1988-02-25 Genetics Institute, Inc. Protein kinase c enzymes

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
J.Biol.Chem260(18)P.10039−10043(1985)
Science233(4766)P.859−866(1986.8.22)

Also Published As

Publication number Publication date
DE3751893T2 (de) 1997-01-16
EP0251244A2 (en) 1988-01-07
EP0686695B1 (en) 2006-12-06
JPH11123084A (ja) 1999-05-11
EP0251244A3 (en) 1989-02-08
ATE347592T1 (de) 2006-12-15
JPS642572A (en) 1989-01-06
DE3752391T2 (de) 2007-12-13
ATE142256T1 (de) 1996-09-15
DE3752391D1 (de) 2007-01-18
DE3751893D1 (de) 1996-10-10
CA1341288C (en) 2001-09-04
US5219748A (en) 1993-06-15
ES2093600T3 (es) 1997-01-01
EP0686695A1 (en) 1995-12-13
JP3146352B2 (ja) 2001-03-12
EP0251244B1 (en) 1996-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Characterization of the WW domain of human yes-associated protein and its polyproline-containing ligands
Kawata et al. A novel small molecular weight GTP-binding protein with the same putative effector domain as the ras proteins in bovine brain membranes. Purification, determination of primary structure, and characterization.
Matsui et al. Nucleotide and deduced amino acid sequences of a GTP-binding protein family with molecular weights of 25,000 from bovine brain.
Yamanashi et al. Identification of the Abl-and rasGAP-associated 62 kDa protein as a docking protein, Dok
Lock et al. Two isoforms of murine hck, generated by utilization of alternative translational initiation codons, exhibit different patterns of subcellular localization
JP2593476B2 (ja) Dnaおよび形質転換体
WO2001019999A1 (fr) Gene codant une nouvelle threonyl-arnt synthase, ses utilisations et procedes de preparation
Madsen et al. Psoriasis upregulated phorbolin-1 shares structural but not functional similarity to the mRNA-editing protein apobec-1
JPH10262681A (ja) ヒト遺伝子
JPH012572A (ja) Dnaおよび形質転換体
US5780245A (en) Polypeptides having a serotonin receptor activity, nucleic acids coding for these polypeptides and uses
US5324651A (en) DNA encoding rat and human protein kinase C
Bayarsaihan et al. Genomic organization of the genes Gtf2ird1, Gtf2i, and Ncf1 at the mouse chromosome 5 region syntenic to the human chromosome 7q11. 23 Williams syndrome critical region
US20030027232A1 (en) Novel compounds
Reed et al. In vivo and in vitro expression of a non-mammalian cyclooxygenase-1
JP2739895B2 (ja) ポリペプチド、dnaおよびその用途
US6482605B1 (en) Protein tyrosine phosphatase PTP20 and related products and methods
EP0738277A1 (en) Novel proteins which bind to retinoblastoma protein and their encoding dna sequences
US20030109002A1 (en) SIRP proteins and uses thereof
JP2844455B2 (ja) ポリペプチド、dnaおよびその用途
JP2771188B2 (ja) ポリペプチド、dnaおよびその用途
EP0804218A1 (en) Product and process for regulating signal transduction pathways
JPH104976A (ja) Tab1蛋白質及びそれをコードするdna
JPH0892285A (ja) ヒトclap蛋白質およびそれをコードするdna
US6811987B1 (en) Human calcium binding protein and a polynucleotide encoding the same

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071219

Year of fee payment: 11