JP2593455Y2 - フェライト磁心及びそれを用いるバルントランス - Google Patents

フェライト磁心及びそれを用いるバルントランス

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JP2593455Y2
JP2593455Y2 JP1993047763U JP4776393U JP2593455Y2 JP 2593455 Y2 JP2593455 Y2 JP 2593455Y2 JP 1993047763 U JP1993047763 U JP 1993047763U JP 4776393 U JP4776393 U JP 4776393U JP 2593455 Y2 JP2593455 Y2 JP 2593455Y2
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秀昭 斉藤
光司 二宮
年宏 中村
直弘 金澤
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富士電気化学株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、端子一体構造の多孔フ
ェライト磁心及びそれを用いて巻線したバルントランス
に関するものである。更に詳しく述べると本考案は、複
数の巻線孔を配設した板状の磁心本体と、その磁心本体
の側面に該磁心本体と一体的に形成されている複数の凸
状の端子部とを有する構造のフェライト磁心、及びその
巻線孔を利用して巻線を施し、巻線端末を前記端子部に
絡げて固定したバルントランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の巻線孔を有するフェライト磁心は
従来公知である。これらの多孔フェライト磁心は、通
常、小判形あるいは円形の面に、2個あるいは4個の巻
線孔を対称的に貫通形成した構造である。それらの巻線
孔を利用して必要な巻線を施し、バルントランスのよう
な巻線部品とする。通常、巻線端末は、そのまま引き出
され、回路基板上のパターン等に接続される。
【0003】典型的な例として、バルントランスの場合
について説明する。テレビジョン受像機やVTR等のア
ンテナ入力回路には、インピーダンス整合のためにバル
ントランスが組み込まれている。例えば、アンテナの出
力インピーダンスやフィーダの特性インピーダンスは普
通300Ωの平衡形伝送線路が使われるが、チューナ入
力回路のインピーダンスは75Ωの不平衡形伝送路が多
く用いられている。バルントランスは両者を結合するた
めの平衡−不平衡変換用トランスで同時にインピーダン
ス整合も行っている。
【0004】こうしたバルントランスは、一般に、2個
の巻線孔を有する眼鏡型のフェライト磁心を用いて、こ
の両巻線孔に2本の平行線を巻装し、原理的には2個の
独立した伝送線路型トランスを、入力側で直列に、出力
側で並列に接続した構造である。そして巻装部分から端
末を引き出して他の伝送線路と結線している。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】多孔フェライト磁心の
巻線部分から端末を引き出して外部の伝送線路等に接続
する構成では、どうしても接続箇所までの配線が長くな
り、特性インピーダンスの乱れが生じ易く、且つ配線接
続処理が煩瑣となる。また特に高周波領域で使用する広
帯域バルントランスの場合は、配線が長くなることと、
配線の引き回しが一定しないことのために、接続箇所で
反射が生じてインピーダンスのミスマッチによる損失が
発生する。
【0006】本考案の目的は、上記のような欠点を解消
し、巻線端末の引出しを最小限に抑えてインピーダンス
の乱れを防止すると共に、配線接続処理が容易に行える
ようにし、特に広帯域バルントランスとしてインピーダ
ンスのミスマッチによる損失を抑えることができるよう
なフェライト磁心及びそれを用いるバルントランスを提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本考案は、複数の巻線孔
を配設した板状の磁心本体と、該磁心本体の側面に該磁
心本体と一体的に形成されている複数の凸状の端子部と
を有するフェライト磁心である。特に、4個の巻線孔を
対称的に配設した矩形板状の磁心本体と、該磁心本体の
側面の四隅近傍と一側面の中央に対称的に該磁心本体と
一体的に形成されている合計5個の凸状の端子部とを有
し、各端子部の底面がほぼ同一平面上に位置する構造が
好ましい。また端子部に半田付け可能なメタライズを施
す構成としてもよい。
【0008】本考案に係るバルントランスは、上に述べ
たフェライト磁心を用い、その巻線孔を使用して巻線を
施し、巻線端末を端子部に絡げて半田付けして固定した
構造である。このバルントランスには、巻線を施したフ
ェライト磁心の上部に樹脂モールドによるカバーを施し
平坦面を形成してもよい。
【0009】
【作用】本考案のフェライト磁心は、磁心本体と端子部
とが一体的に形成されているから、巻線孔と端子部との
距離が極めて短くなる。従って配線部分が短くなり、特
に高周波領域におけるインピーダンスの変動を低く抑え
ることができると共に、配線端末処理作業が容易とな
る。しかも配線の引き出し方、接続状態が一定となるの
で、特に高周波バルントランスの場合、インピーダンス
の乱れが低減され、インピーダンスのミスマッチによる
損失の増加が抑制される。
【0010】フェライト磁心を、4個の巻線孔を対称的
に配設した矩形板状の磁心本体と、その側面の四隅近傍
と一側面の中央に対称的に且つ該磁心本体と一体的に形
成した構造とすると、巻線の位置や端末処理の仕方によ
って、多種多様な巻線部品への適用が可能となる。例え
ば、上記のようなバルントランスの他、絶縁トランスや
分配器などにも、同一磁心形状で対応できる。
【0011】更に、端子部の底面がほぼ同一平面上に位
置するような構成とすると、面実装に対応でき、且つ巻
線を施した後に樹脂モールドして上面を平坦面とする
と、吸着式の自動実装機で取り扱うことが可能となるた
め、印刷配線基板などへの実装作業の効率が向上する。
【0012】
【実施例】図1は、本考案に係るフェライト磁心の一実
施例を示す斜視図である。このフェライト磁心10は、
4個の巻線孔12を有する磁心本体14と、5個の凸状
の端子部16との一体構造体である。磁心本体14は、
矩形板状の部分に4個の円形巻線孔12を対称的に(各
巻線孔の中心を結ぶ四角形が磁心本体と同じ向きとなる
ように)、上面から底面まで貫通形成した形状である。
各端子部16は、磁心本体14の側面の四隅近傍と一側
面の中央(ここでは対向する二辺の両端位置と、残りの
二辺の一方の中央)に位置し、それぞれ先端部が上面か
ら見て半円形で且つ厚さが磁心本体14と同じ厚みとな
る形状である。そのため各端子部16は、それらの底面
がほぼ同一平面上に位置することになる。このようなフ
ェライト磁心10は、通常の粉末成形技術を用いて上記
のような構造に成形し、焼成することによって量産でき
る。
【0013】ここで巻線孔12は所望の巻線を形成する
ためのものであり、端子部16は巻線端末を絡げて固定
するためのものである。巻線端末の絶縁被覆を剥離する
ことで外部回路との接続(実装)が可能であるが、巻線
端末の固定や外部回路との接続をより容易にするには、
図2に示すように、端子部16の表面に半田付け可能な
メタライズ層17(図中、影線を付した部分)を形成す
るのも有効である。このメタライズ層17は、焼結した
フェライト磁心10に、例えば銀ペースト等を塗布して
焼き付けたものでよい。
【0014】次に、このようなフェライト磁心10を用
いて形成したバルントランスの平面図を図3に示す。こ
のバルントランスは、従来技術として述べたバルントラ
ンスと同様に、2個の独立した伝送線路型トランスを、
入力側で直列に、出力側で並列に接続した構造であり、
その回路図を図4に示す。即ちフェライト磁心10の2
対の巻線孔12にそれぞれ平行線による巻線18を施し
て、2個の独立した伝送線路型トランスを設ける。平行
線の端末を図4の回路図に対応するように、それぞれの
端子部16に絡めて固定する。そして半田槽に浸漬して
予備半田する。図2に示すようなメタライズ層を形成し
たフェライト磁心を用いた場合は、それによって端末が
半田付けされることになる。
【0015】このように、磁心本体14と端子部16が
一体的に形成されているので巻線孔12と端子部16と
の距離が短く、巻線部分から端子部16への配線長さは
短くて済む。特に高域周波数において配線の長さは巻線
部分の特性インピーダンスを乱す一要因であり、上記の
構成のように短ければそれだけインピーダンスの乱れは
抑えられることになる。また、各端子部16に巻線18
の端末を固定する構成であるから、配線の引き出し方を
一定とできる。従って取り付け毎のインピーダンス変動
が少なく、インピーダンスを一定に保持できる。このた
め特に広帯域インピーダンス変換器(40MHz〜1G
Hz)では効果的である。
【0016】このバルントランスでは各端子部16の底
面はほぼ同一平面上に位置する。したがって面実装が可
能であり、また5個の端子部を有するフェライト磁心は
形状の向きを特定できるから、印刷配線基板へ向きを指
定して搭載することが容易となる。図5に示すように、
巻線18を施したフェライト磁心の上部に樹脂モールド
によるカバー20を施し、巻線孔12も埋め込み、平坦
面を形成すると、巻線18を保護できるばかりでなく吸
着式の自動実装機が使用できるため、面実装において作
業効率は向上する。
【0017】上記のような4個の巻線孔と5個の端子部
を備えたフェライト磁心は、バルントランスのみなら
ず、他の様々な巻線部品にそのまま使用可能である。そ
の例を図6〜図8に示す。図6は、図7に示すような回
路構成の絶縁トランスに適用した例である。一対の巻線
孔12を利用してそれに巻線18を施して1個のトラン
スを形成し、巻線端末を他の巻線孔を利用して引き出
し、4個の端子部16に絡げて固定した構成である。ま
た図8は分配器の例であり、このような回路にも同じフ
ェライト磁心をそのまま用いることができる。
【0018】以上、本考案の実施例について説明した
が、本考案はこのような構成のみに限定されるものでは
ない。例えば、フェライト磁心の構造を、端子部の底面
が、磁心本体の底面よりも突出した形状としてもよい。
このようにすると、特にターン数の多い巻線を施したと
きに、その巻線部分が面実装する際の邪魔にならず、外
部配線基板の接続パターンに各端子部の底面が確実に当
接するようになり、実装作業が容易となる。
【0019】
【考案の効果】本考案は、フェライト磁心の磁心本体と
端子部とが一体的に形成されて巻線孔と端子部との距離
が極めて短くなるから、巻線の引き出しを最小限に抑え
ることができるので、特に高周波領域におけるインピー
ダンスの乱れを低く抑えることができると共に、配線端
末処理作業が容易となる優れた効果を有する。また端子
部の底面がほぼ同一平面上に位置するような構成とする
と、面実装に対応可能となる。
【0020】こうしたフェライト磁心を用いたバルント
ランスは、特に広帯域用のものにおいて、インピーダン
スのミスマッチによる損失が抑制される。また、樹脂モ
ールドとして上面を平坦面とする、自動吸着式の実装機
で取り扱うことが可能となるため、印刷配線基板などへ
の実装作業の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るフェライト磁心の一実施例を示す
斜視図。
【図2】本考案に係るフェライト磁心の他の実施例を示
す斜視図。
【図3】本考案に係るバルントランスの一実施例を示す
平面図。
【図4】このバルントランスの回路図。
【図5】モールドしたバルントランスの一実施例を示す
正面図。
【図6】本考案に係るフェライト磁心を用いた絶縁トラ
ンスを示す平面図。
【図7】この絶縁トランスの回路図。
【図8】分配器の回路図。
【符号の説明】
10 フェライト磁心 12 巻線孔 14 磁心本体 16 端子部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 金澤 直弘 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−237510(JP,A) 実開 平5−33507(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 17/04 H01F 19/06

Claims (4)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4個の巻線孔を対称的に配設した矩形板
    状の磁心本体と、該磁心本体の側面の四隅近傍と一側面
    の中央に対称的に該磁心本体と一体的に形成されている
    合計5個の凸状の端子部とを有し、各端子部の底面がほ
    ぼ同一平面上に位置するフェライト磁心。
  2. 【請求項2】 端子部にメタライズが施されている請求
    1記載のフェライト磁心。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のフェライト磁心を
    用い、その巻線孔を使用して巻線を施し、巻線端末を端
    子部に絡げて半田付けして固定したバルントランス。
  4. 【請求項4】 巻線を施したフェライト磁心の上部に樹
    脂モールドによるカバーを施し平坦面を形成した請求項
    記載のバルントランス。
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