JP2592643B2 - 菌根菌の菌根形成法 - Google Patents

菌根菌の菌根形成法

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JP2592643B2 JP63070698A JP7069888A JP2592643B2 JP 2592643 B2 JP2592643 B2 JP 2592643B2 JP 63070698 A JP63070698 A JP 63070698A JP 7069888 A JP7069888 A JP 7069888A JP 2592643 B2 JP2592643 B2 JP 2592643B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,マツタケ,ホンシメジ等のような菌根性茸
の活物寄生の菌根菌を宿主の植物(寄主植物)であるマ
ツ,コナラ,クヌギ等の根に感染させ,菌根性茸を人工
栽培する方法に関する。
(従来の技術) マツタケ,ホンシメジ等は,それら特定の寄主植物の
生根に活着し菌根を形成し,十分生育(シロを形成す
る)した後子実体を形成する活物寄生菌であるが,マツ
タケ,ホンシメジ等の菌糸は生育が非常に遅いので,人
為的に植菌する際,菌糸が寄主植物の生根に活着する前
に糸状菌,細菌などの雑菌が繁殖し,菌糸の生育及び菌
根の形成を阻害し子実体を形成するためのシロをつくる
ことが困難であった。そこで,人為的にマツタケ,ホン
シメジ等の菌根を形成させるための方法として,人工培
養したマツタケ,ホンシメジ等の培養菌糸体を寄主植物
の林地の地中に埋め込む際に,主として雑菌の繁殖を防
ぐために寄生植物の根に無菌的な処理を施す方法や,減
菌した土壌に入れかえる方法などが行なわれてきた。
(発明が解決しようとする問題点) 然し乍ら,通常の土壌は有機物及びそれを栄養として
いる微生物をふんだんに含んであり,又マツタケ,ホン
シメジ等の菌糸の培養物中には,それら菌糸の培養のた
めの培養基も含まれており,マツタメ,ホンシメジ等の
菌糸のみならず他の微生物の栄養源ともなるためにマツ
タケ,ホンシメジ等の菌糸の生育が妨げられてしまう。
また,寄主植物の根や土壌を減菌処理しても前記したよ
うに土壌中には無数の雑菌が存在し,その栄養物となる
有機物がかなり含まれているため,雑菌の繁殖する可能
性が高いと考えられる。このため,林地はもとより室内
においても土壌での人工栽培が困難とされてきた。
(問題点を解決するための手段) 本発明は菌根菌の培養菌糸体を,前記菌根菌の寄主植
物の根に植菌する際に,前記菌根菌の培養菌糸体を多孔
体に保持せしめ,該菌糸体保持多孔体をゲルで被覆する
ことを特徴とする菌根菌の菌根形成法を要旨とするもの
である。
以下詳述する。
本発明の特徴である,菌根菌を保持する多孔体として
は,例えば,発泡ウレタン,発泡シリコン,ポリオレフ
ィン系焼結体,セラミッス多孔体,軽石等が利用でき
る。これ等の多孔体を選定する際の留意点として (1)多孔体自体から菌根菌にとって有害な物質を出さ
ない。
(2)形をある程度任意に設計できる。
(3)孔径は0.01〜2mmの範囲であれば使用できるが,
保水性,強度などの点から0.1〜0.5mmの孔径を有するも
のが良い。
以上のような条件を備えたものであれば,前記無機,
有機多孔体に限定されるものではない。又,これらを使
用する多孔体の減菌法としては,例えば,無機多孔体な
らばオートクレイブ,有機多孔体ならば,耐熱性のある
ものならばオートクレイブ,ないものならばγ線照射,
エチレンオキシド減菌等があり材質に応じて適宜選択す
る。
本発明の菌根菌菌糸体保持多孔体を被覆するゲルは,
例えば,寒天,アルギン酸,コンニャク,カラゲナン,
ゲラン,プルラン,グァーガム,ローカストビーンガ
ム,ザンサンガム,ペクチン,澱粉等の天然高分子や,
ポリアクリルアミド,ポリエチレンオキシド,ポリビニ
ルアルコール等の合成高分子が使用でき,これらは単
独,又は複数混合して用いても良いものである。これら
の高分子を水,緩衝液又は,塩類溶液等で溶解し,それ
ぞれの常法に従ってゲル化する。これらのゲルは菌根形
成の目的のために,純粋培養された菌根菌が存在し,無
菌の寄主植物の根が浸入接触するまで,ゲルの状態を維
持し雑菌と隔離する目的で使用されるものであるから,
必ずしも以下の条件に限らないが,好ましくは,次の条
件を満たすものが望ましい。
(1)半年〜一年半の間は土壌の雑菌で分解され難いも
の。
これを補うためにゲルに菌根菌に有害でない濃度のグ
ルコン酸クロルヘキシジン,サイアベンダゾール,ベノ
ミル,ストレプトマイシン等の抗菌剤を適宜添加しても
良い。
(2)ゲルは植菌時の取扱いのし易さ,土壌中での土圧
に体する安定性のために十分な強度。
(3)ゲル作成時に高温等の菌根菌に悪影響を及ぼさな
い。
(4)ゲル作成後,ゲル中に菌根菌に有害になる程度の
濃度の物質又はイオンを含有しない。
(5)ゲルは寄主植物の根が十分浸入できる軟らかさで
ある。
(6)高分子はゲル作成の前に加熱,放射線等による滅
菌にたいして安定である。
以上のような条件を備えたものであれば,前記天然,
合成高分子に限定されるものではない。
一般的には0.5〜5.0%好ましくは1.0〜3.0%の濃度が
使用できる。
菌根菌は,マツタケ,ホンシメジ菌,コウタケ菌,ハ
ツタケ菌,アミタケ菌等種々のものを用いることが出来
る。特に有用な食用茸の菌根菌としては,マツタケ菌,
ホンシメジ菌が挙げられる。これらの菌根菌は,それぞ
れの適する条件下で液体培養や固体培養によって培養さ
れたものを利用し得る。
多孔体に菌根菌を保持させるには,前述の菌根菌の培
養物をホモジナイズし,分散させてから使用するか,又
は培養法によっては適度に分散している場合もあるの
で,このようなときはそのまま用いてもかまわない。前
述の菌根菌分散液を多孔体に噴霧あるいは分散液に多孔
体を浸漬するなどして分散された菌根菌を多孔体に接触
保持させる。多孔体単位当たりの菌量を多くすることと
菌と多孔体との接触をより強固にすることを目的とし
て,菌を多孔体に保持させた状態で適当な期間培養する
ことが望ましい。このようにして得られた菌根菌菌糸体
保持多孔体に前述したゲルを用いてゲルの被膜を形成さ
せるわけであるが、その被膜厚はゲル強度にもよるが数
mm〜十数mmで十分である。
ゲルの被覆の状態は,雑菌を隔離できる状態であれば
良く,菌根菌菌糸保持多孔体を全てゲルで包み込んでし
まう状態に限らず,他の雑菌隔離手段の組合せ,菌根菌
菌糸体保持多孔体を被覆する部分を,寄主植物の根が浸
入できる程度に被覆できれば,部分的であっても良い。
尚,多孔体の孔の部分にのみゲル被覆を施しても良い。
また,菌根菌が感染する寄主植物として,例えば,マ
ツタケ菌ではアカマツ等のマツ科の植物,ホンシメジ菌
では,コナラ,クヌギ,アカマツ等が挙げられる。これ
らの寄主植物の根元に植菌する際には,ポット等による
人工栽培にも応用できるが,子実体を得るには,林地で
の人工栽培が好ましい。
(作用) 無菌状態の樹木の細根の先端が純粋培養中の菌に接触
すれば比較的短時間内に根に感染し菌根を形成すること
が知られている。また自然状態の根の生長点は,バイラ
スフリーとさえ言われている。従って菌根菌菌糸体を保
持した多孔体を寒天等のゲルで被覆し,無菌の樹木の根
が前記ゲルの中を貫通しつつ生長して菌根菌に遭遇すれ
ば感染状態は容易に成立し菌根が形成される。
(実施例) 以下,本発明を実施例により,更に詳細に説明する
が,実施例中単に部とあるのは「重量部」を示す。
実施例1 酵母エキス 0.15部 ソイトン(ディフコ社製) 0.15部 ブドウ糖 2.0 部 蒸留水 100 部 pH5の上記成分の液体培養基にマツタケ菌を約4週間
培養した後,ホモジナイザーで分散し,家庭用の洗物用
ウレタンを25〜30mm角に切断して,上記菌糸体分散液に
浸漬し,そのまま約2ヶ月間培養し,マツタケ菌保持多
孔体を得た。2%寒天溶液を上記多孔体にかけることで
ゲル被膜を形成させた。このようにして得られたゲル被
覆を有するマツタケ菌保持多孔体を樹齢25〜40年のマツ
の根元より2〜5m離れたところを10〜15cm堀り植菌す
る。マツの根の伸長しはじめる4〜5月に植菌すれば,
ほぼ2ヶ月でマツの新根が寒天に浸入するのが確認でき
る。更に,1ヶ月後には菌根の形成が認められる。
実施例2 酵母エキス 0.15部 ソイトン(ディフコ社製) 0.15部 ブドウ糖 2.0 部 蒸留水 100 部 寒天 1.5 部 pH5.0の上記成分の固体培養基にマツタケ菌を約4週
間培養した後,菌をかき集めホモジナイザーで分散し
た。セラミックス多孔体(イソライト CP;イソライト
コ工業(株)製)を25〜30mm角に切断し,上記菌体液に
浸漬し,そのまま2ヶ月培養し,マツタケ菌保持多孔体
を得,2%寒天溶液に浸漬を数回繰返し,ゲル被膜を形成
した。得られたゲル被膜を有するマツタケ菌保持多孔体
を実施例1と同様に植菌したところ同様な結果が得られ
た。
実施例3 実施例1において得られたマツタケ菌分散液に25〜30
mm角の軽石(天然軽石;(株)オーエ)を浸漬し,その
まま約2ヶ月間培養し,マツタケ菌保持多孔体を得た。
2%寒天溶液に上記多孔体を浸漬を数回繰返し,ゲル被
膜を形成した。このようにして得られたゲル被膜を有す
るマツタケ菌保持多孔体を実施例1と同様にして植菌し
たところ同様な結果が得られた。
比較例 実施例1及び2のようにして培養したマツタケ菌の菌
糸体を多孔体に保持させず,且つゲル被膜を形成させな
いで実施例1及び2と同様にして植菌したところ,2ヶ月
後にはマツタケ菌はほとんど死滅していた。
(効果) 本発明は,ゲルで菌根菌の菌糸体を包埋する際,前記
菌根菌の菌糸体を多孔体に保持し,該多孔体をゲルで被
覆したので,経済的に且つ大量に任意形状の菌根菌を包
埋したゲル化物を得ることができ,しかも,ゲルで雑菌
から隔離させているので菌根菌を長期間生存せしめ,そ
の間に寄主植物の新根を無菌的にゲル層に侵入させて菌
糸による感染を可能とし菌根を形成させることができ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】菌根菌の培養菌糸体を,前記菌根菌の寄主
    植物の根に植菌する際に,前記菌根菌の培養菌糸体を多
    孔体に保持せしめ,該菌糸体保持多孔体をゲルで被覆す
    ることを特徴とする菌根菌の菌根形成法。
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JP5612340B2 (ja) * 2010-03-19 2014-10-22 国立大学法人鳥取大学 新規な菌根形成の方法

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