JP2591616Y2 - 歯 車 - Google Patents

歯 車

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JP2591616Y2
JP2591616Y2 JP1990099402U JP9940290U JP2591616Y2 JP 2591616 Y2 JP2591616 Y2 JP 2591616Y2 JP 1990099402 U JP1990099402 U JP 1990099402U JP 9940290 U JP9940290 U JP 9940290U JP 2591616 Y2 JP2591616 Y2 JP 2591616Y2
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基晴 仁木
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エヌティエヌ株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、変速機やギヤポンプ等に用いられる歯
車、更に詳しくは、自動車のトランスミッションに使用
するアブレジョン(Abrasion)、スコーリング(Scorin
g)性能に優れた歯車に関する。
〔従来の技術〕
第1図は自動車用のトランスミッションの一例を示し
ており、ケース1内にインプットシャフト2とドライブ
ピニオン3及びアウトプットシャフト4を直列に配置
し、更にアウトプットシャフト4に平行にカウンターシ
ャフト5とリバースシャフト6が配置され、上記ドライ
ブピニオン3と各シャフト2、4、5に歯車7群が取付
けられ、ケース1の外部からの操作による各歯車7群の
噛合せを変化させることにより、インプットシャフト2
の嵌入をアウトプットシャフト4に変速もしくは逆転し
て取り出すようになっている。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところで、上記自動車用トランスミッション用歯車7
群に対する潤滑油の供給ははねかけ式の為条件が悪く、
特に起動時に於いては、十分な潤滑油の供給は期待出来
ない。従ってアブレジョン、スコーリングが生じ、耐久
性に劣るという問題がある。
また、走行時、トランスミッション内の油温が上昇
し、歯面間に油膜を形成し得る粘度が得られず、直接歯
面どうしが接触し合う、いわゆるメタルタッチの現象は
避けられない。従って。温度上昇を招くと共に、歯面の
摩耗が促進され、歯車のガタが大きくなり、振動や騒音
増大の原因ともなる。
そこで、この考案の課題は、歯車の歯面間の油膜形成
が十分に行なえ、アブレジョン、スコーリングの発生を
防ぎ、温度上昇の防止、摩耗を防止して耐久性を向上さ
せることができる歯車を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記のような課題を解決するため、この考案は、歯車
における歯面に、独立した微小なくぼみを無数にランダ
ムに設け、この微小なくぼみの平均面積が35〜150μ
m2、微小なくぼみの表面に占める割合いが10〜40%、微
小なくぼみを設けた表面の面粗さは平均でRmax0.6〜2.5
μm、微小なくぼみを設けた歯面の表面粗さのパラメー
タSK値が−1.6以下になっている構成を採用したもので
ある。
〔作用〕
歯車の歯面に設けたランダムなくぼみにより、歯面の
油膜形成率が向上し、温度上昇を防止してアブレジョ
ン、スコーリングを防ぎ、長寿命化を図ることができ
る。
〔実施例〕
以下、この考案の実施例を添付図面の第1図乃至第8
図に基づいて説明する。
第1図に示す自動車のトランスミッションの歯車は入
力軸2の回転に伴い、オイルパンに溜まった油がはねか
けられ、夫々歯車7群、軸受8、9等を潤滑し、オイル
パンに戻る。
第2図は歯車7の歯面11を示しており、特殊バレル研
磨加工によって独立した微小なくぼみを無数にランダム
に形成した微小粗面aになっている。第3図は微小粗面
aの断面粗さ形状を示しており、同図の如く、平面に凹
部を形成し、平面から凸部が生じないような特殊な表面
になっている。
上記微小粗面aの微小なくぼみの平均面積は35〜150
μm2、くぼみの表面に占める割合いは10〜40%である。
また、微小粗面aの面粗さは平均でRmax0.6〜2.5μ
m、表面粗さのパラメータSK値が−1.6以下になってい
る。
前記パラメータSK値とは、表面粗さの分布曲線の歪み
度(SKEWNESS)を指し、例えばガウス分布のような対象
形分布ではSK値が0となるが、パラメータSK値が−1.6
以下は、表面凹部の形状、分布が油膜形成に有利な範囲
であり、くぼみがすべり接触、転がり接触において油溜
りとなり、接触部への油の供給の役目をする。
なお、歯面の表面粗さのパラメータSK値が−1.6をこ
えると、油膜形成が十分にえられず、接触部への油の供
給が不十分となる。
歯車のピッチングは潤滑油粘度、歯面のすべり速度、
歯面の粗さ等に影響を受け、又歯車の歯面間の油膜が切
れ直接歯面どうしが接触し、表面が融着して再び引きは
がされる為に生じる損傷、即ち、スコーリングの発生に
は歯面負荷、周速は無論のこと、特に潤滑油の特性や潤
滑条件等の要因が関係する。
次にすべり接触に於いて、供試品の表面に微小くぼみ
の面積比率の異なる状況を与え、比較試験を行なった。
耐焼付性能は微量潤滑で焼付までの時間で比較した結果
を第4図に示す。同図から明らかなように、くぼみの表
面に占める面積比率は10%以上で耐焼付性に効果が現わ
れている。
そこで、微小粗面の転がり接触での効果について述べ
る。
供試軸受は第5図に示すニードル軸受21であり、ころ
22の表面に微小くぼみの面積比率、凹部の平均面積等の
異なる状況を与え、ラジアル荷重による耐久寿命試験を
行なった。
ころ22は直径Dが5mm、長さLは13mmで内接内径drが2
8mmの保持器23付針状ころである。
また、使用した試験機は第6図に概略図面で示したよ
うなラジアル荷重試験機31であり、回転軸32の両側に試
験軸受を取付け、回転と荷重を与えて試験を行なうもの
である。
試験に用いたインナーレースの仕上げは研削仕上げの
Rmax2μm、アウターレースは研削仕上げのRmax1.6μm
である。
また、試験条件は以下の通りである。
軸受ラジアル荷重 1465kgf 軸 回 転 数 3050rpm 潤 滑 油 タービン油 以上の条件で各試験軸受に対して行なった耐久寿命の
結果を第7図と第8図に示す。
第7図は微小くぼみの面積比率と耐久寿命、第8図は
微小くぼみの平均面積と耐久寿命の関係である。
この第7図と第8図において、同図中の縦軸のL10/Lh
とは、L10がサンプルの90%が損傷しないで使える時
間、Lhは基準となる従来品の寿命時間を示し、両者の対
比によって、この考案の歯車が長寿命であることがわか
る。
以上の結果より、転がり耐久寿命は面積比率で10%以
上、平均面積で35μm2以上のものが、長寿命効果が大き
い。
面積比率40%以上、平均面積150μm2以上は有効接触
面積の減少で耐久寿命の面からは効果が少ない。
特殊表面の好ましい状態は先のすべり摩擦抵抗、耐焼
付性能と転がり疲れ寿命の双方を満足する範囲が望まし
い。
〔効果〕 以上のように、この考案によると、歯車の歯面に独立
した微小くぼみを無数にランダムに設け、この微小くぼ
みの平均面積が35〜150μm2、微小くぼみの表面に占め
る割合いが10〜40%とし、かつ、微小なくぼみを設けた
表面の面粗さを平均でRmax0.6〜2.5μm、微小なくぼみ
を設けた歯面の表面粗さのパラメータSK値を−1.6以下
としたので、以下に列挙する効果がある。
(I)ランダムな微小粗面は油膜を形成しやすく、しか
も微小なくぼみが油溜りとなるため、すべり面の油膜形
成が確実に行なえる。
(II)すべり面の油膜形成が効率よく確実に行なえるた
め、歯車の耐アブレジョン性、耐スコーリング性を向上
させることができる。
(III)すべり面の油膜形成が確実に行なえるため、温
度上昇の低減が可能になる。
(IV)トルクの低減と耐アブレジョン性、耐スコーリン
グ性の向上により耐久性を向上させることができ、これ
によって高硬度材料で対応でき、結果的に高面圧に耐
え、限界PV値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は自動車用トランスミッションの一例を示す縦断
面図、第2図は同上に用いる歯車の歯面形状を示す斜視
図、第3図は歯車表面の表面粗さ状態を示す断面図、第
4図は微小くぼみの面積比率と耐焼付性の測定結果を示
すグラフ、第5図はニードル軸受の断面図、第6図は寿
命試験装置の概略図、第7図と第8図は寿命試験の結果
を示すグラフである。 7……歯車、11……歯面、a……粗面。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】歯車における歯面に、独立した微小なくぼ
    みを無数にランダムに設け、この微小なくぼみの平均面
    積が35〜150μm2、微小なくぼみの表面に占める割合い
    が10〜40%、微小なくぼみを設けた表面の面粗さは平均
    でRmax0.6〜2.5μm、微小なくぼみを設けた歯面の表面
    粗さのパラメータSK値が−1.6以下になっている歯車。
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