JP2590558Y2 - 貴金属の密閉容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は金などの貴金属を密閉保
持して該貴金属のすり換えを防止し得る貴金属の密閉容
器に係り、特に、貴金属のパチンコ景品としての販売に
適した貴金属の密閉容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】パチンコ業界では、パチンコゲームで得
た玉を景品に取り換えた後、さらにこの景品を現金に換
金する風習がある。例えば、パチンコ屋で、玉と交換し
て２千円相当の景品を得た場合に、この景品をさらに景
品取換所にもって行き、ここで、この景品と引換えに２
千円の現金を受け取る風習である。

【０００３】このような換金の流通機構において、パチ
ンコ屋で得た前記景品は換金で得た金額に相当する価値
を有するものでなければならないが、実際には、これは
単なる換金のための便宜上の景品に過ぎず、換金で得る
金額ほど価値のあるものではない。

【０００４】しかも、この差額は相当に大きく、近年で
は、この差額をねらった種々の不都合が生じており、こ
のため、パチンコ業界では、玉との交換によって得られ
る景品を、換金で得られる金額に相当する価値のあるも
のに変えるよう当局から指導を受けている。そこで、近
年では、パチンコ景品として、従来の価値のない景品に
置き換えて、金などの貴金属を用いることが試みられて
おり、これを保持する各種容器が開発されつつある。

【０００５】上述の貴金属保持容器として、従来、貴金
属を収納するくぼみが形成された保持板上に上ぶたを積
層させ、これら積層体を感熱シールを用いてシールした
ものが知られている。

【０００６】

【考案が解決しようとする問題点】しかし、この種の容
器では、感熱シールは指先で、あるいはナイフ等の小道
具を用いて意図的に、容易にかつ傷つけずに剥がされ、
内容物の貴金属がにせ物にすり換えられてしまい、この
すり換えの後、再び前記剥がされた感熱シールをそのま
ま貼りつければ、内容物のすり換えに全く気づくことが
なく、このため貴金属の盗難防止には全く役立たない。

【０００７】そこで、本考案の目的は貴金属を密閉保持
して該貴金属のすり換えを防止し、かつ仮に、意図的に
はこのすり換えを試みても、その後すぐにすり換えに容
易に気づくことができ、このため盗難防止に役立つこと
ができ、上述の公知技術に存する欠点を改良した貴金属
の密閉容器を提供することにある。

【０００８】

【問題点を解決するための手段】上述の目的を達成する
ため、本考案によれば、貴金属保持板を備え、この貴金
属保持板の表面には貴金属を収納するくぼみが形成さ
れ、かつ裏面には前記くぼみを囲むように切り込み溝が
形成され、さらにこの裏面の前記くぼみの底面に相当す
る個所にはつめが設けられてなり、さらにこの保持板の
表面には上ぶたを積層固着して前記くぼみを密閉してな
ることを特徴とする。

【０００９】

【考案の実施例】以下、本考案を添付図面を用いて具体
的に詳述する。図１は本考案にかかる容器の一具体例の
分解斜視図、図２は分解断面図、図３は組み立てた状態
の断面図および図４は内部に収納された貴金属を取り出
す操作を表した部分断面図である。

【００１０】図中、１は貴金属保持板であって、この表
面１ａには、金などの貴金属を収納するくぼみ２が形成
される。さらに、この保持板１の裏面１ｂには、くぼみ
２を囲むように切り込み溝３が形成される。さらに、こ
の裏面１ｂのくぼみ２の底面４に相当する個所にはつめ
５が設けられる。10は当て台である。

【００１１】 上述のように構成される貴金属保持板１
はくぼみ２に金などの貴金属７を収納の後、表面１ａ上
に上ぶた６を積層固着してくぼみ２を密閉する。この固
着は例えば、超音波融着により、あるいは溶剤型接着剤
を用いることにより行い、これにより上ぶた６は表面１
ａ上に完全に固着される。８は下ぶたであって、貴金属
保持板１の裏面１ｂに取りはずし自在に装着される。な
お、図示しないが、貴金属保持板１の表面１ａには、模
様や絵柄が形成されてもよい。この形成は例えば、熱転
写フイルムに付着された模様や絵柄を該フイルムから表
面１ａ上に転写することにより行うこともでき、さらに
は、これら模様や絵柄の印刷されたシールを表面１ａ上
に貼りつけることにより行うこともできる。

【００１２】

【作用】上述の構成からなる本考案容器は保持板１のく
ぼみ２に貴金属７を収納の後、表面１ａ上に上ぶた６を
積層固着させるから、くぼみ２は完全に密閉されてこの
中に収納された貴金属７も完全に密閉され、これをにせ
ものとすり換えようと試みても不可能である。

【００１３】さらに、貴金属７をくぼみ２から取り出す
場合には、まず、下ぶた８を取りはずした後、次いで、
図４に示されるように、例えば、コイン９をつめ５の下
側に挿入するとともに、当て台10上に当てがって矢印方
向に強く押すと、貴金属保持板１はくぼみ２の周囲の切
り込み溝３に沿って破れ、この結果、くぼみ２がえぐり
取られて貴金属７を取り出すことができる。

【００１４】 しかし、この場合、貴金属保持板１は破
壊されて再使用が不可能となるので、仮に意図的に内部
の貴金属を上述のように保持板１を破ってにせ物とすり
換えたとしても、保持板１が破壊されているから容易に
発見される。しかも、この場合、保持板１の表面１ａに
模様や絵柄を形成しておくと、上述の破壊によりこれら
模様や絵柄も切断されるため、発見が一層容易となる。
なお、上述の本考案容器はパチンコ景品としての貴金属
保持容器の使用のみならず、一般の店頭での貴金属販売
用容器としても使用可能である。

【００１５】

【考案の効果】上述のとおり、本考案容器は貴金属を密
閉保持して該貴金属のすり換えを防止し、かつ仮に、意
図的にこのすり換えを試みても、その後すぐにすり換え
に容易に気づくことができ、このため盗難防止に役立つ
ことができ、実用上極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案容器の一具体例の分解斜視図である。

【図２】図１の容器の分解断面図である。

【図３】図１の容器を組み立てた状態の断面図である。

【図４】容器から貴金属を取り出す状態を表した断面図
である。

【符号の説明】

１ 貴金属保持板 1a 表面 1b 裏面 ２ くぼみ ３ 切り込み溝 ４ 底面 ５ つめ ６ 上ぶた ７ 貴金属

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 貴金属保持板を備え、この貴金属保持板
   の表面には貴金属を収納するくぼみが形成され、かつ裏
   面には前記くぼみを囲むように切り込み溝が形成され、
   さらにこの裏面の前記くぼみの底面に相当する個所には
   つめが設けられてなり、さらにこの保持板の表面には上
   ぶたを積層固着させて前記くぼみを密閉してなる貴金属
   の密閉容器。
2. 【請求項２】 前記貴金属保持板の表面には模様や絵柄
   が形成されてなる請求項１の貴金属の密閉容器。
3. 【請求項３】 請求項２の模様や絵柄が熱転写フイルム
   に付着された模様や絵柄を該フイルムから該表面上に転
   写することにより形成される請求項２の貴金属の密閉容
   器。
4. 【請求項４】 請求項２の模様や絵柄がこれら模様や絵
   柄の印刷されたシールを該表面上に貼りつけることによ
   り形成される請求項２の貴金属の密閉容器。