JP2590151B2 - ブラウン管陰極加熱ヒータ及びそれを用いたブラウン管 - Google Patents

ブラウン管陰極加熱ヒータ及びそれを用いたブラウン管

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JP2590151B2 JP30317187A JP30317187A JP2590151B2 JP 2590151 B2 JP2590151 B2 JP 2590151B2 JP 30317187 A JP30317187 A JP 30317187A JP 30317187 A JP30317187 A JP 30317187A JP 2590151 B2 JP2590151 B2 JP 2590151B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ブラウン管に使用する陰極加熱用ヒータ、
これを用いたブラウン管陰極及びブラウン管に係り、特
にヒータ動作中の金属コイルの脆化を防ぎ、長寿命化を
達成できるブラウン管陰極加熱ヒータ、これを用いたブ
ラウン管陰極、及びブラウン管とそれらの製造方法に関
する。
〔従来の技術〕
従来のブラウン管陰極加熱ヒータは、第1図に示すよ
うにタングステン(W)コイル1から成り、タングステ
ンコイルは戻り曲げ端に向かつて捻られコイルドコイル
形をしており絶縁性アルミナ(Al2O3)層4でその表面
が被覆されている。このタングステンコイル1はその外
側に設置されている陰極スリーブ2を加熱し、陰極スリ
ーブ先端部の陰極ペレツト3から熱電子を放出させる役
目を有する。タングステンコイル1の表面上の絶縁性ア
ルミナ層4はアルミナ粒子から成り、陰極スリーブ3と
タングステンコイル1間の絶縁性を確保する(特開昭57
−95037;米国特許第3,500,454)。
また、この絶縁膜上にダーク層を更に設けて急速加熱
を行うようにしている(特開昭59−132537)。
しかし陰極ヒータ加熱時に陰極スリーブ構成成分であ
るNi又はCrのイオン種が放出しタングステンコイルに拡
散する。またアルミナ絶縁膜中の微量成分であるMgOな
どの不可避的不純物が陰極ヒータ加熱中に蒸発しMgなど
の不純物元素がタングステンコイルに拡散する結果、タ
ングステンコイルの脆化を引起し、その結果ヒータの寿
命を短くする。
タングステンコイル中への不純物元素の拡散はアルミ
ナ絶縁膜が電気泳動法あるいは吹付法,浸漬法などで形
成されるため完全に防ぐことは困難である。その理由
は、電気泳動法などにより形成される絶縁膜の強度は多
孔体のゆえに大きくなく、クラツクが発生しやすいため
である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記従来技術は、陰極スリーブから放出されるイオン
種、及びアルミナ絶縁膜から蒸発する元素種に起因する
タングステンコイルの脆化の点について配慮がされてな
く、陰極ヒータ加熱時にタングステンコイルが脆化し、
破断するという問題点が有つた。
本発明の目的は、陰極ヒータ加熱時にも脆化され難い
タングステンコイルを備えたブラウン管陰極加熱用ヒー
タ及びその製造方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的はかかるヒータを備えた長寿
命のブラウン管陰極及びそのブラウン管とそれらの製造
方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の第一の目的は電子管の電子線放出陰極ペレツ
トを加熱するら旋状に巻回された金属コイルと金属コイ
ル上に付着され、その金属コイルの主成分元素以外の15
00℃までの温度、10-7トル以下、好ましくは10-8トルま
での真空下で昇華、溶融せずその上に設けられた絶縁用
アルミナ膜中の不可避的不純物が金属コイル中に拡散す
ることを防止しそれ自体金属コイル中に拡散しても金属
コイルの引張り強度を低下させない金属元素から成る金
属薄膜と、その金属薄膜上に付着された絶縁用アルミナ
膜とからなるブラウン管陰極加熱用ヒータによつて達成
される。
また本発明の第二の目的は、陰極スリーブ、その先端
部に配置された陰極ペレツトと陰極スリーブ内に設けら
れた陰極加熱用ヒータとから成り、陰極加熱用ヒータが
電子管の電子線放出陰極ペレツトを加熱する螺旋状に巻
回された金属コイルと金属コイル上に付着され、その金
属コイルの主成分元素以外の1500℃以下、10-7トル以
下、好ましくは10-8トルまでの真空下で昇華、溶融せ
ず、その上に設けられた絶縁用アルミナ膜中の不可避的
不純物が金属コイル中に拡散することを防止しそれ自体
が金属コイル中に拡散しても金属コイルの引張り強度を
低下させない金属元素から成る金属薄膜と、その金属表
面薄膜上に付着された絶縁用アルミナ膜とからなるもの
であるブラウン管陰極によつて達成される。
また、本発明の第三の目的は、蛍光面スクリーンと、
その対抗端部に設けられたグリツドと陰極と成る電子銃
から成るブラウン管であつて、陰極が陰極スリーブ、そ
の先端部に配置された陰極ペレツトと陰極スリーブ内に
挿入された陰極加熱用ヒータとから成り、陰極加熱用ヒ
ータが電子管の電子線放出陰極ペレツトを加熱する螺旋
状に巻回された金属コイルと、金属コイル上に付着さ
れ、その金属コイルの主成分元素以外の1500℃以下、10
-7トル以下、好ましくは10-8トルまでの真空下で昇華、
溶融せず、その上に設けられた絶縁用アルミナ膜中の不
可避的不純物が金属コイル中に拡散することを防止しそ
れ自体が金属コイル中に拡散しても金属コイルの引張り
強度を低下させない金属元素から成る金属薄膜と、その
金属薄膜表面上に付着された絶縁用アルミナ膜とから成
るものであるブラウン管によつて達成される。
かかる金属薄膜用金属元素はRu,Rh,Pd,Ta,Re,Os,Ir,P
tから選ばれた純度が99.9%以上の少なくとも一種の金
属元素である。
陰極ヒータは一般にモリブデン芯線に金属線としてタ
ングステン線、またはレニウム入りタングステン線を巻
回して一次コイルを成型し、次いで一次コイルを800〜1
300℃で加熱してアニールし、次いでこの一次コイルを
そのまま、または所定のコイルドコイル形状に巻回した
のち、アルミナを電気泳動により付着してアルミナ絶縁
層を形成して焼結し、必要有れば、更に例えばアルミナ
粒子とタングステン粒子とから成りダーク層をその上に
付着して焼結し、またはダーク層を未焼結アルミナ層上
に形成し、アルミナ絶縁層とダーク層を焼結し、次いで
モリブデン芯線を溶解除去,水洗い、乾燥して製造され
る。
本発明の前記金属薄膜はアルミナ絶縁膜を形成する前
に、金属コイル表面に前記薄膜金属元素を蒸着,イオン
スパツタ,CVDあるいはPVD等の各種薄膜生成法のいずれ
かにより形成される。
すなわち、本発明のイオン種,元素種拡散防止,金属
コイル脆化防止用金属薄膜は成形前の細線状金属線、モ
リブデン芯線に巻回した一次コイル、更には一次コイル
をアニールしたもの、所定形状に巻回したもののいずれ
に形成しても良い。本発明の前記金属薄膜の肉厚は0.1
〜1μmあれば前記効果が充分に達せられる。
陰極ヒータ用金属コイルとしては通常(W)、はたコ
イルの強度を上げるために最大3重量%のReを含有した
タングステンが用いられる。
本発明は、熱電子線放出陰極ペレツトを加熱する金属
線コイルをら旋状に酸に可溶性金属線に巻回するコイル
形成工程と、金属線コイル上に絶縁用セラミツクス膜を
塗布し焼成する焼成工程及び前記金属線を溶解除去する
除去工程を有する陰極加熱ヒータ製造工程及び陰極スリ
ーブ先端部キヤツプ内に熱電子放出酸化物からなる陰極
ペレツトを形成し、陰極スリーブ内に陰極加熱ヒータを
挿入する工程を包含するブラウン管陰極の製造方法にお
いて、前記コイル形成工程後、前記金属線コイル上にそ
の金属コイルの主成分元素以外の1500以下、10-7トル以
下の真空下で昇華、溶融せず、その上に設けられた絶縁
用セラミツクス膜中の不可避的不純物が金属コイル中に
拡散することを防止しそれ自体が金属線コイル中に拡散
しても金属コイルの引張り強度を低下させない金属元素
から成る金属薄巻を形成することを特徴とするブラウン
管陰極の製造方法にある。
更に、本発明は、蛍光面スクリーンとなる密封容器の
該スクリーンの対抗端部に設けられたグリツドと陰極と
を有する電子銃を備えたブラウン管であつて、前記陰極
は陰極スリーブ先端部に熱電子放出酸化物からなる陰極
ペレツトを形成する工程及び陰極スリーブ内に陰極加熱
ヒータを挿入する工程を有し、前記陰極ペレツトを加熱
する金属線コイルをら旋状に酸に可溶性金属線に巻回す
るコイル形成工程と、前記金属線コイル上に絶縁用セラ
ミツクス膜を塗布焼成する焼成工程及び前記金属線を溶
解除去する除去工程を有する陰極加熱ヒータ製造工程、
及び前記容器内に前記陰極を密封する工程を含有するブ
ラウン管の製造方法において、前述と同様に金属薄膜を
形成することにある。
〔作用〕
本発明は金属線コイル中への絶縁用セラミツクス膜中
に含有するNi,Cr又はMgOなどが使用中における拡散を防
止するもので、前述の高融点純金属又はそれらの合金薄
膜を形成するものである。その膜厚は0.1〜1μmが好
ましい。0.1μmでは前述の元素の拡散を十分に防止
し、コイルの寿命向上が小さい。しかし、1μmを越え
て形成させてもそれ以上の顕著な効果が得られない。
絶縁用セラミツクス膜としてアルミナが最も好まし
い。勿論他のセラミツクスを使用することも可能であ
る。アルミナ中には0.2重量%付近のMgOが含有されてい
るが、MgO量を0.1重量%以下とするものを用いるのが好
ましい。膜厚はコイル全体を覆うように約0.5mmφ以下
になるように設けられる。金属線コイルは0.2mmφ以下
の直径でら旋状に形成される。
コイルは陰極ペレツトを加熱する先端部で、更に複数
ターンにコイル化され、好ましくは4〜10巻きされる。
このコイル間は互いに絶縁セラミツクス膜が接触せず、
独立して存在するのがよい。金属線コイルの中は中空に
なつており、高い抵抗を形成することができる。
カソードペレツトはカーソドスリーブ先端に設けられ
たキヤツプにBa,Ca及びAlの混合酸化物からなるペース
トを塗布して焼成され形成される。カソードスリーブは
ヒータの熱を逃さないようにし、かつペレツトにできる
だけ伝達するもので、高融点金属が用いられる。Ta板が
好ましい。
〔実施例1〕 タングステン線(97重量%W−3重量%Re,径60μ
m)をモリブデン芯線(径100μm)に巻回し、一次コ
イルを作成し、次いで800〜1300℃に加熱してアニール
し、次いでこの上に約0.5μm厚さのRe薄膜を第2図に
示す装置を用いてイオンスパツタリングにより均一に形
成した。すなわち、第2図に示した装置では真空容器20
4内の一方の電極(直流の場合極)にRe板(純度>99.
95重量%)201を結線し、他方の電極(直流の場合
極)に上記のようにして作成した一次コイルを50本円形
に固定させた。一次コイル固定治具203は水平方向に回
転させた。
真空容器204内は真空ポンプ205で減圧しアルゴン(A
r)ガスを導入し、10-3〜10-4トルの減圧状態に保持し
た。両電極間に200〜500Vの直流若しくは交流電流を流
すと、20〜30分で約0.5μmのRe膜が一次コイル表面に
生成した。この場合、一次コイルはイオンスパツタリン
グのために自然に200〜400℃に昇温した。なおRe薄膜の
格子構造は若干のAr原子をとりこんでいるので、Re膜生
成後、純H2雰囲気中で加熱し1000℃に30分保持、冷却す
ることによつてArを除去した。次いで、電解質としてMg
(NO32,Al(NO3とAl2O3(Al2O3 99.83%以上、Mg
O 0.2%以下)粒子との水性サスペンジヨンを用いて電
気泳動でRe薄膜表面上に約70μmの厚さのアルミナ多孔
質絶縁膜を形成した。このように作成したアルミナ絶縁
膜を純水素ガス雰囲気で加熱速度約400℃/hrの速度で加
熱し1600,1650又は1800℃に3分間焼結して、次いでモ
リブデン芯線を酸で溶解除去し水洗乾燥して陰極加熱用
ヒータを作成した。このようにして作成したヒータのタ
ングステンコイルの破断力を測定した。その結果を平均
値として第3図に31としてプロツトした。第3図では横
軸に焼結温度(℃)、縦軸にタングステンコイルの破断
力(g)を示す。
また、前記Re薄膜層をタングステンコイルに被覆せず
に、前記と同一条件で前記と同一のタングステン線を同
様に処理して陰極加熱用ヒータを作成し、その破断力を
測定した。その結果を平均値として第3図に32としてプ
ロツトした。
第3図の33はRe薄膜層,アルミナ絶縁膜をつけていな
いタングステンコイルのみを上記と同様な焼結条件にさ
らしたときの破断力を示す。
第3図に31,32の陰極加熱用ヒータは前記の如くタン
グステンコイル表面にそれぞれ間接的に(Re薄膜を中間
層として介して)たは直接的に(Re薄膜を介して)電気
泳動法にてアルミナ絶縁膜を被覆したものであり、電気
泳動液中の電解質(アルミナ粒子をタングステンコイル
表面に付着させる役割を有する)成分、例えばMg(N
O3などがアルミナ被覆の際にMg(OH)となつてア
ルミナ粒子間に残存する。タングステンコイルぜい化の
問題はこれら電解質成分がH2焼結時に蒸発し、タングス
テンコイル中に拡散することによるものである。電解質
成分がいかなる成分であつても蒸発、タングステンコイ
ル中への拡散の現象は焼結時に現われる。
第3図から明らかなように、従来のコイル32がアルミ
ナ被覆後1800℃で焼結すれば著しく破断力が低下してい
たのに対して、本発明の31では1800℃で焼結してもタン
グステンコイルの破断力の低下は顕著ではない。
33の場合、コイル破断力が温度上昇と共に低下するの
は、温度上昇に伴う結晶粒子粗大化の影響が出現したこ
とによる従来のヒータ32で、1600及び1650℃で焼結した
後の破断力が33の場合より大きいのはアルミナ膜を被
覆,焼結したことによりコイル表面にアルミナ焼結収縮
応力が働いたものと推定される。ところが、1800℃で焼
結した場合には33より従来の32の方が低い値となる。
第4図はアルミナ層の焼結温度(℃,横軸)と焼結後
のタングステンコイル中のマグネシウムの濃度の相対強
度比(縦軸)との関係を示したものであり、符号41及び
42は第3図の31と32に相応する。なお縦軸は1800℃で焼
結した従来ヒータのコイルのマグネシウムの濃度を基準
にした相対値で表している。本発明品は第3図に示すよ
うにReによる表面改質及び硬化の効果が出現し、更に第
4図のように、1800℃焼結後の場合でもRe膜を施したこ
とでマグネシウムのタングステンコイルへの拡散が抑制
され、タングステンコイルの脆化が防止される。
これらヒータの寿命試験の結果を第5図に示す。すな
わち、第5図は寿命試験時間(103h、横軸)とヒータ電
流(単位アンペア(A)、縦軸)との関係を示すグラフ
であり、符号51及び52は第3図の31,32に相当する。
寿命試験条件は以下の諸元により行つた。即ち本発明
のヒータを3本ずつ組み込んだブラウン管ネツク部のみ
を真空封入してダミー球を作る。このダミー球のヒータ
に負荷する電圧(ヒータ電圧)は定格値(6.3V)より20
%高い7.6Vとし、強制的に5分ON,15分OFFの例熱サイク
ルを与える。第5図の横軸、寿命試験時間はONとOFFの
時間を積算したものであり、ヒータ電流値はヒータ電圧
6.3Vを負荷したときの値である。本発明のヒータは第5
図で51で示してある。
従来ヒータについても比較のために全く同様の条件で
ダミー球を作成し、試験しその結果を52として第5図に
示した。ヒータの合否判定基準は以下の通りである。一
本のダミー球中の3本ヒータのヒータ電流の平均値の低
下値が初期ヒータ電流に対して5%以上となる時点をも
つて不合格とする。この不合格率、即ち試験に供したダ
ミー球本数に対する不合格ダミー球本数の割合が、上記
寿命試験時間2000時間において0.1%以下、また同5000
時間において1.0%以下ならば、製品実用可能なヒータ
として判定される。本発明ヒータ51と、従来ヒータ52の
寿命試験の結果、経過時間ごとでの不合格率について示
したのが下記の表である。
上記の表から明らかなように、本発明ヒータ51では50
00時間で不合格率が0.6%であり、従来ヒータ52では、1
000時間で0.2%、5000時間で1.4%の不合格率が得ら
れ、本発明ヒータ51が従来ヒータ52に比べ、長寿命化の
効果とともに、製品実用可能が明らかになつた。イオン
ビームスパツタリング、またはマグネトロンスパツタリ
ングで金属薄膜形成を行うときは、より高速で、より純
度の高い金属薄膜を形成することが判つた 〔実施例2〕 実施例1ではダーク層をアルミナ絶縁層上に設けなか
つたが、実用上必要時にはアルミナ絶縁層の焼結後にア
ルミナ粒とタングステン微粒とから成るダークサスペン
ジヨンを浸漬法、または電気泳動により付着して焼結す
るか、アルミナ絶縁層の焼結前に浸漬、または電気泳動
により付着させ、アルミナ絶縁層と共に焼結してダーク
層を形成することが出来る。特に後者の場合は焼結工程
が一回で経済的である。
本発明のブラウン管用陰極は前記のようにしてモリブ
デン芯線に巻回し、金属薄膜をその表面に被用したタン
グステン線をアルミナ絶縁層を付着する前に前記第1図
に示すようなコイルドコイルの形状に成形したあと前記
と同様の操作方法によりアルミナ絶縁層及びダーク層を
形成し、焼結後モリブデン芯線を混酸で溶解除去、水洗
乾燥して製造されたヒータを第1図に示すように陰極ス
リーブに挿入固定し、カソードペレツトを陰極スリーブ
先端部に配置して製造される。
アルミナを電着法により被着させた後、引き続きダー
クサスペンジヨンを付着させて焼結し、ダーク層を形成
した後、マンドレル線を溶解除去する方法が望ましい。
Mo芯線の外周部にヒータとするW−Re線1をダブルコ
イル状に巻設してヒータ組立体を第1図の如く製作す
る。そして、このヒータ組立体に実施例1と同様に約0.
5μm膜厚のTa薄膜を形成し、その後、アルミナ粒,硝
酸アルミニウム,硝酸マグネシウム,変性アルコールお
よび水からなるアルミナサスペンジヨン組成液に浸漬し
て電着法によりアルミナ絶縁層4を形成し、アセトン,
メタノール等の洗浄液で洗浄した後、引き続きW粒(1
重量比)、アルミナ粒(平均粒度4.5μm,2重量比)、硝
酸アルミニウム,硝酸マグネシウム,変性アルコールお
よび水からなるダークサスペンジヨン組成液に浸漬して
電着法によりダーク層を形成しアセトン,メタノール等
の洗浄液で洗浄した後、水素炉による焼結を行なう。し
かる後、硝酸および硫酸からなる混酸溶液中に浸漬して
マンドレル芯線を溶解してダークヒータを完成させる。
このような製造方法において、アルミナサスペンジヨ
ンのアルミナ粒度およびダークサスペンジヨンのW粒度
を変化させ、完成したヒータの黒さはダーク層の層厚を
4〜15μm,W粒0.3〜3μmとすることにより良好なもの
が得られることがわかつた。
実施例1と同様に試験した結果、同様のすぐれた長寿
命が得られることが判つた。
〔実施例3〕 実施例1及び2によつて製造されたブラウン管用陰極
は第6図に示す構造でブラウン管にカラーブラウン管で
は3本取付けられる。即ち、ブラウン管は漏斗状の形を
したガラス管で、電子銃601と蛍光面602を封入してあ
る。ガラスバルブはふくらんでいるコーン部と細い円筒
状のネツク部とに分かれ、コーン部の底に蛍光体(電子
があたると蛍光を発生する物質)を塗布して高真空に排
気してある。
電子銃601は電子を放出する本発明の陰極603と、その
電子を流れの束にまとめて電子ビームとし、速い速度に
加速するとともに蛍光面上に収束するための幾つかの円
筒電極(グリツド)604から出来ている。
このうち、最終電極はネツク部やコーン部の内面に塗
布してある導電膜605に接続してあり、さらに導電膜は
蛍光面602をおおつているアルミ膜606につながつてい
る。
607は本発明ヒータ、609は偏向ヨーク、610はアノー
ドボタンである。
以上のブラウン管により長期にわたつてヒータの脆化
がなく輝度の高い長寿命のものとなる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、アルミナ膜中
のマグネシウム等のタングステンへの拡散及びタングス
テンの脆化が防止され、また陰極筒体のイオン放出に伴
うタングステン脆化も防止することができ、ヒータの長
寿命化に顕著な効果が有り、従つて、このヒータを用い
た陰極、かかる陰極を用いたブラウン管は相対的に長寿
命となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はブラウン管陰極の概略構造を示す図、第2図は
金属コイル上に金属薄膜をイオンスパツタにより付着さ
せる装置の概略構造を示す図、第3図は本発明と従来の
各タングステンコイル上のアルミナ絶縁層の焼結温度と
タングステンコイル破断力との関係を示すグラフ、第4
図は本発明と従来の各タングステンコイル上のアルミナ
絶縁層の焼結温度とタングステンコイル中のMg濃度強度
比との関係を示すグラフ、第5図は本発明と従来の各ヒ
ータの寿命試験結果を示すグラフ、第6図は本発明の陰
極を用いたブラウン管の概略構造図である。 1……タングステンコイル、2……陰極スリーブ、3…
…陰極ペレット、4……アルミナ層、601……電子銃、6
02……蛍光面、603……陰極、604……グリツド、605…
…導電膜、606……アルミ膜、607……陰極加熱ヒータ、
608……リード線、609……偏向ヨーク、610……アノー
ドボタン。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子管の熱電子線放出陰極ペレツトを加熱
    するら旋状に巻回された金属線コイルと、金属線コイル
    上に付着された絶縁セラミツクス膜を有するブラウン管
    陰極加熱ヒータにおいて、前記金属線コイルと絶縁用セ
    ラミツクス膜との間に、金属線コイルの主成分元素以外
    の1500℃以下、10-7トル以下の真空下で昇華及び溶融せ
    ず、その上に設けられた絶縁用セラミツクス膜中の不可
    避的不純物が金属線コイル中に拡散することを防止し、
    それ自体が金属線コイル中に拡散しても金属線コイルの
    引張り強度を低下させない金属元素から成る金属薄膜を
    設けたことを特徴とするブラウン管陰極加熱ヒータ。
  2. 【請求項2】上記金属薄膜用金属元素が、Ru,Rh,Pd,Ta,
    Re,Os,Ir,Ptから選ばれた純度が99.9%以上の少なくと
    も一種の金属元素から成る特許請求の範囲第1項記載の
    ブラウン管陰極加熱ヒータ。
  3. 【請求項3】上記金属薄膜の肉厚は0.1〜1μmである
    特許請求の範囲第1項又は第2項に記載のブラウン管陰
    極加熱ヒータ。
  4. 【請求項4】上記金属コイルはタングステンまたは最大
    3重量%のReを含有するタングステンからなる特許請求
    の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のブラウン管陰
    極加熱ヒータ。
  5. 【請求項5】上記絶縁用セラミツクス膜の表面上に更に
    ダーク層が設けられている特許請求の範囲第1項〜第4
    項のいずれかに記載のブラウン管陰極加熱ヒータ。
  6. 【請求項6】陰極スリーブ、該陰極スリーブ先端部に配
    置された熱電子放出酸化物からなる陰極ペレツトと陰極
    スリーブ内に挿入された陰極加熱ヒータとを有し、陰極
    加熱ヒータが電子管の熱電子線放出陰極ペレツトを加熱
    するら旋状に巻回された金属コイルと、金属コイル上に
    付着された絶縁用セラミツクス膜を有するブラウン管陰
    極において、前記金属線コイルと絶縁用セラミツクス膜
    との間に金属コイルの主成分元素以外の1500℃以下、10
    -7トル以下の真空下で昇華及び溶融せず、その上に設け
    られた絶縁用セラミツクス膜中の不可避的不純物が金属
    コイル中に拡散することを防止しそれ自体が金属線コイ
    ル中に拡散しても金属コイルの引張り強度を低下させな
    い金属元素から成る金属薄膜を設けたことを特徴とする
    ブラウン管陰極。
  7. 【請求項7】蛍光面スクリーンとその対抗端部に設けら
    れたグリツドと陰極とを有する電子銃を備えたブラウン
    管であつて、陰極が陰極スリーブ、該陰極スリーブ先端
    部に配置された陰極ペレツトと陰極スリーブ内に挿入さ
    れた陰極加熱ヒータとを有し、陰極加熱ヒータが電子管
    の電子線放出陰極ペレツトを加熱するら旋状に巻回され
    た金属コイルと、金属コイル上に付着された絶縁用セラ
    ミツクス膜を有するブラウン管において、前記金属線コ
    イルと絶縁用セラミツクス膜との間に、金属コイルの主
    成分元素以外の1500℃以下、10-7トル以下の真空下で昇
    華及び溶融せず、その上に設けられた絶縁用セラミツク
    ス膜中の不可避的不純物が金属コイル中に拡散すること
    を防止しそれ自体が金属コイル中に拡散しても金属コイ
    ルの引張り強度を低下させない金属元素から成る金属薄
    膜を設けたことを特徴とするブラウン管。
  8. 【請求項8】電子管の電子線放出陰極ペレツトを加熱す
    る金属線コイルをら旋状に酸に可溶性金属線に巻回する
    コイル形成工程と、金属線コイル上に絶縁用セラミツク
    ス膜を塗布し焼成する焼成工程及び前記金属線を溶解除
    去する除去工程を有するブラウン管陰極加熱ヒータの製
    造法において、前記コイル形成工程後、前記金属線コイ
    ル上にその金属コイルの主成分元素以外の1500℃以下、
    10-7トル以下の真空下で昇華、溶融せず、その上に設け
    られた絶縁用アルミナ膜中の不可避的不純物が金属コイ
    ル中に拡散することを防止し、それ自体が金属線コイル
    中に拡散しても金属コイルの引張り強度を低下させない
    金属元素から成る金属薄膜を形成することを特徴とする
    ブラウン管陰極加熱ヒータの製造方法。
  9. 【請求項9】上記金属薄膜用金属元素が、Ru,Rh,Pd,Ta,
    Re,Os,Ir,Ptから選ばれた純度が99.9%以上の少なくと
    も一種の金属元素から成る金属をスパツタリングによつ
    て形成する特許請求の範囲第14項記載のブラウン管陰極
    加熱ヒータの製造方法。
  10. 【請求項10】電子管の電子線放出陰極ペレツトを加熱
    する金属線コイルをら旋状に酸に可溶性金属線に巻回す
    るコイル形成工程と、金属線コイル上に絶縁用セラミツ
    クス膜を塗布し焼成する焼成工程及び前記金属線を溶融
    除去する除去工程を有する陰極加熱ヒータ製造工程及び
    陰極スリーブ先端部キヤツプ内に熱電子放出酸化物から
    なる陰極ペレツトを形成し、陰極スリーブ内に陰極加熱
    ヒータを挿入する工程を包含するブラウン管陰極の製造
    方法において、前記コイル形成工程後、前記金属線コイ
    ル上にその金属コイルの主成分元素以外の1500℃以下、
    10-7トル以下の真空下で昇華、溶融せず、その上に設け
    られた絶縁用セラミツクス膜中の不可避的不純物が金属
    コイル中に拡散することを防止しそれ自体が金属線コイ
    ル中に拡散しても金属コイルの引張り強度を低下させな
    い金属元素から成る金属薄膜を形成することを特徴とす
    るブラウン管陰極の製造方法。
  11. 【請求項11】蛍光面スクリーンとなる密封容器の該ス
    クリーンの対抗端部に設けられたグリツドと陰極とを有
    する電子銃を備えたブラウン管であつて、前記陰極は陰
    極スリーブ先端部に熱電子放出酸化物からなる陰極ペレ
    ツトを形成する工程及び陰極スリーブ内に陰極加熱ヒー
    タを挿入する工程を有し、前記陰極ペレツトを加熱する
    金属線コイルをら旋状に酸に可溶性金属線に巻回するコ
    イル形成工程と、前記金属線コイル上に絶縁用セラミツ
    クス膜を塗布焼成する焼成工程及び前記金属線を溶融除
    去する除去工程を有する陰極加熱ヒータ製造工程、及び
    前記容器内に前記陰極を密封する工程を包含するブラウ
    ン管の製造方法において、前記コイル形成工程後、前記
    金属線コイル上にその金属コイルの主成分元素以外の15
    00℃以下、10-7トル以下の真空下で昇華、溶融せず、そ
    の上に設けられた絶縁用アルミナ膜中の不可避的不純物
    が金属コイル中に拡散することを防止しそれ自体が金属
    コイル中に拡散しても金属コイルの引張り強度を低下さ
    せない金属元素から成る金属薄膜を形成することを特徴
    とするブラウン管の製造方法。
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