JP2589970C - - Google Patents

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JP2589970C
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ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー
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【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本発明は、重合製品およびさらに詳しくは特に電離線による滅菌前および後の
破壊に対し高い耐性を有する重合組成物およびそれから作られる製品に関する。 【従来の技術】 本発明の関係では、ポリプロピレンが最も重要であるポリオレフィンを含む半
結晶質高分子物質は、医療製品の製造にしばしば使用される。注射器、チューブ
、フラスコおよび包装フィルムはこのような医療製品の例である。このような製
品はたとえばフランジ、チップ、管壁等のような部分を含み、ここではポリマー
は非常に薄く、しばしば1 mm未満である。薄く成形された部分は、しばしば技術
者の不注意たとえば落としたりすることにより、または不十分な延性の結果材料
が破損することにより特に破壊されやすい。もちろん、延性が増すにつれて破壊
は次第に減少する。 医療製品は、しばしば使用前に電離線により滅菌される。高分子物質が適切に
安定化されなければこれは変色するであろうし、そして0.1 メガラド以上のレベ
ルで高エネルギー放射線により滅菌されるとその結果脆くなる(すなわち、延性
を失う)であろう。 さらに、照射完了後、照射により発生するフリーラジカルのために枝分かれ鎖
反応に関係する後照射劣化が続いて起こる。それゆえ、これらの高分子物質の機
械的特性の劣化は照射直後すぐに明らかではないが、時間が経過するにつれては
っきりしてくる。したがって、照射後劣化に対し高分子物質を安定化しそして成 形された製品へ透明性をもたらすであろう薬剤または添加剤に対し多くの努力が
払われてきた。放射線安定性と透明性を向上するためにポリオレフィン組成物に
含まれている添加剤の中には、立体障害ピペリジン、ソルビトール誘導体および
非結晶質油があり、これらは自由体積(すなわち、分子により占められない組成
物の体積)を増加する。 上記添加剤は放射線滅菌を意図するポリオレフィン組成物を改良するが、一方
では特に薄く成形された部分の破壊に耐性のある物理的性質を有する組成物のた
めのさらに良好な組成物についての必要性がある。本発明は、この必要性を満た
すものである。 【発明の概略】 本発明の一つの見地は、高い延性の重合組成物である。組成物は、改善された
延性を含めてその機械的特性をひどく劣化することもなく放射線滅菌される。組
成物は狭い分子量分布を有するポリオレフィン、ポリオレフィンの自由体積を増
加するポリオレフィンと相溶性の液状流動化添加剤、立体障害アミンのポリシロ
キサンエーテルの放射線安定化量を含み、またジベンジリデンソルビトール透明
剤を含んでもよい。 ポリオレフィンは重量平均分子量の数平均分子量に対する比が9 以下、好まし
くは約 2-4の、好ましくはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーであ
る。好ましい流動剤は密度約 0.6-1.9 であり、最も好ましくは炭化水素油また
はフタル酸エステルである。 本発明の第二の見地は本発明組成物から加工される製品、好ましくは滅菌され
た医療製品である。 すなわち、本発明は、ポリオレフィン組成物およびこれから成形された医療製
品を提供するものであり、これは組成物の延性を予想外に強化しこのため電離線
照射前または後のいずれにおいても組成物から作られる製品は変形を非常に受け
にくくなる。 【発明の詳細な記載】 本発明は多くの異なった形の実施態様により満足されるが、ここに本発明の好
ましい実施態様を詳細に記載し、その際この開示は本発明の原理の例示として考 えるべきものであり、本発明が説明し記載した実施態様に限定されるものではな
いことは理解されるであろう。本発明の範囲は特許請求の範囲およびその等価物
により決められるであろう。 本発明のポリオレフィンは基本的には直線状として記載されるが、しかしなが
ら場合により側鎖を含んでもよく、たとえば通常の低密度ポリエチレンのような
ものである。これは脂肪族の好ましくは炭素原子数約 2-6のモノオレフィンのホ
モポリマーまたはコポリマーである。このようなポリオレフィンの例としては、
ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン等である。好
ましいポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの
コポリマーである。 ポリオレフィンは、適当なモノマーと共重合することにより組成物へ混入した
追加のポリマーの少量、一般に約 0.1-10 % を含むこともできる。このようなコ
ポリマーを組成物へ添加すると最終組成物の別の特性を強化することができ、こ
れらはたとえばポリアクリル酸エステル、ポリビニル、ポリスチレン等である。 組成物のポリオレフィンは狭い分子量分布であることが好ましい。ポリマーの
分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比により定義され、その
際最低の可能性のある比 1.0はすべての鎖が同じ大きさであるポリマーを定義す
る。本発明の組成物に好適なポリオレフィンは数平均分子量約10,000-400,000
、好ましくは30,000-80,000 であり、通常のゲル透過クロマトグラフィーにより
測定されるように比は 1-9、好ましくは 2-6である。最も好ましい比は 2-4であ
る。 狭い分子量分布であることに加えて、本発明のポリオレフィンは半結晶質であ
るのが好ましい。好ましいポリオレフィンは結晶含有率約20-90、好ましくは約4
0-80、最も好ましくは約45-65%である。結晶度は、サンプルの密度と直線的に比
例し、当該技術で公知のように、通常の密度勾配カラムで測定されうる。 本発明の組成物は、放射線安定性に寄与する少なくとも二つの添加剤を含む。
第一の安定化剤(以後、添加剤 Aとする)は、流動化添加剤である。流動剤は高
分子物質と相溶性であり、また、これと混和性である低分子量非結晶質物質であ
り、すなわち流動剤はポリマーの特性に悪影響を与えない。流動剤はポリマーの
自由体積を増加する物質で、したがってその結果ラジカル末端反応を増やし、放 射線の間およびこれに続いての劣化を予防しまたは最小化する。 本発明の全自由体積を増加する様々な種類の液体が流動剤として働く。ここで
使用される用語液体とは、通常グリースと呼ばれる高粘度物質も含む。一般に、
このような流動剤は密度0.6-1.9 g/cm3、好ましくは0.6-1.1 g/cm3である。流
動剤は好ましくは低分子量であり、平均分子量は一般に100-10,000の桁、最も好
ましくは 100-5,000である。 好適な流動剤の代表的例は、炭化水素油、ハロゲン化炭化水素油、フタル酸エ
ステル油、植物油、シリコーン油、低分子量非晶質ポリマーグリース、たとえば
炭化水素ポリマーグリース、低分子量ポリエステルグリース、ポリアクリル酸エ
ーテルグリース等である。上記例は単に説明しただけであり、他の流動剤を使用
することは、ここで示したものから当業者にとって明らかであると思われる。好
ましい流動剤は、あまり高粘度でない液体であり、最も好ましくは炭化水素油ま
たはフタル酸エステル油である。 流動化添加剤は、流動化量、一般に約 0.1-50、好ましくは約 1-20 重量% で
組成物へ混入される。 第二の放射線安定化添加剤(以後、添加剤 Bとする)は、次の一般的構造式: 【化4】 (式中、R は炭素原子数 1-6の低級アルキル基であり、R1は水素原子または炭素
原子数1 〜 6の低級アルキル基であり、m は 2〜4 であり、n は約1000〜3000の
分子量を添加剤へ与えるのに十分な整数である。)を有する立体障害アミン- ポ
リシロキサンエーテルである。 これらの生成物は容易に合成され、たとえば通常の合成手段のもとでペトラル
ヒ(Petrarch)から入手可能なヒドロキシルアルキルポリシロキサンと適当に置換 された4-ヒドロキシ- ピペリジンとを反応させることにより合成される。 イタリア国ミラノのエニケム シンセシス(EniChem Synthesis)SpA から登録
商標ユバシル(UVASIL)(商標名)として市販されている好ましい添加剤において
、R はメチル基であり、R1はH であり、m は 3であり、n は添加剤が約1100-250
0の平均分子量を有するような値である。 添加剤 Bの約 0.01-5.0、好ましくは約 0.05-3.0 重量% を使用できる。 本発明によれば、光安定剤として添加剤B を含むポリプロピレン組成物はチヌ
ビン(商標名)クラスの通常の立体障害アミン光安定剤を含む同様の組成物より
もかなり良い物理的性質を示すことが見いだされた。 本発明の透明化添加剤(以後、添加剤 Cとする)は以下の一般式 【化5】 (式中、R は水素原子、ヒドロキシル、ハロゲン原子、低級アルコキシ、低級ア
ルキル、低級アルキルチオ、低級アルキルスルホキシまたはフェニルチオ基であ
り、その際アルキルまたはアルコキシについての“低級”とは炭素原子数1-6 の
枝分かれまたは枝分かれしていないものを意図する)で表されるジベンジリデン
ソルビトールである。好ましい添加剤は各環において一つ以上の低級アルキル基
好ましくはメチル基を有する。最も好ましい透明剤はビス 2,4- ジメチル誘導体
である。 透明性は、本発明の添加剤をポリオレフィン組成物へ約 0.005-0.5、最も好ま
しくは約 0.1-0.3重量% の範囲の量で配合すると与えられる。ポリオレフィンの
ためのジベンジリデンソルビトール透明剤は当該技術でよく知られており、本発
明のこの点についてのこれ以上の詳細は本発明を完全に理解するために必要では
ない。 ポリオレフィン組成物の透明性は通常曇り度として記録される。本発明組成物
の曇り度はASTM法 D 1003 により測定される。 当該技術で公知の他の添加剤を添加すると、組成物へ他の好ましい特性を与え
ることができる。たとえば、充填剤、着色剤、静電気防止物質、湿潤剤、抗酸剤
等は、所望の物理的特性、透明性または放射線安定性になんらの悪影響も及ぼさ
ないならば適当な量で添加される。これに加えて、他の公知透明剤、たとえば有
機酸およびその金属塩、たとえばパラ−t-ブチル安息香酸を組成物へ混入しても
よい。 その成分部分から本発明の組成物を調製することは一般的であり、通常の混合
手段で実施される。一般に、ポリオレフィンペレットと添加剤を攪拌またはタン
ブリングにより十分混合し、混合物を溶融し、そして溶融物をペレット化し、所
望の製品形状へ成形する。本発明組成物から加工される代表的医療製品は、非限
定的に、注射器、カテーテル、チューブアセンブリー、組織培養フラスコおよび
包装フィルムである。勿論、組成物は非医療製品を作るために使用されてもよい
ことは明らかである。 本発明の組成物または製品の滅菌は高エネルギー電離線、たとえば電子ビーム
照射およびガンマ線照射特にコバルト-60 源からのものの滅菌量へ暴露すること
により行われる。滅菌量は、一般に約 0.5-10 メガラドであり、代表的線量は約
1.0-5.0 メガラド好ましくは約 1.5-3.5メガラドの範囲である。より高い線量を
使用することもできるが、一般には必要ではないと思われる。電離線による滅菌
で本発明の製品または組成物は変色をほとんど起こさない。 薄い成形部分たとえば注射器のフランジおよびチップのようなものを有するプ
ラスチック製品は、破壊に対して耐性がなければならない。延性はプラスチック
物質が破壊することなく伸びることにより変形する力として定義され、その際、
伸びとはポリマーが破断することなく延伸することができることをいう。延性は
、インストロン ユニバーサル テスティング インストゥルメント(Instron U
niversal Testing Instrument)1122 型を用いてASTM D638 にしたがって様々な
歪速度(strain rate)でポリマーの破断における伸び率% を測定す
ることにより測られる。図1 および2 は、それぞれ60Co電離線で滅菌する前およ
び した後のこのデータを示す。図から明らかなように、歪を施す速度に関係なく、
実施例I の段付きプラーク(曲線A)は通常の立体障害アミン放射線安定剤を含む
先行技術の段付きプラーク(実施例II、曲線B)よりかなり延性である。 まだ立証はされていないが、ここに開示した延性における著しい改善は、先行
技術の組成物における結晶のそして溶解度の低い立体障害ピペリジンと比べて本
発明組成物における液状立体障害アミンポリシロキサンエーテル安定剤の高い濃
度によるものと思われる。 【実施例】 実施例I 本発明の組成物の調製 狭い分子量分布を有し、および溶融流れ速度12の半結晶性ポリプロピレンペレ
ットをビス(2,4- ジメチルベンジリデン)ソルビトール透明剤 0.125 %、流動化
炭化水素油 4.7 %、ステアリン酸ナトリウム(抗酸剤)0.1 % およびユバシル(U
VASIL)(商標名)299 安定剤 0.1 %とともに振盪し、ペレットを被覆した。次
いで、ペレットを210℃にて一軸押出し機を介して押出し、冷却しそして再度ペ
レット化した。次いで、新しいペレットを射出成形により全長 50 ×75 mm の段
付きプラークへ成形した。上部段は厚さ 0.08 インチ(2 mm)であり、一方下部段
は厚さ0.04インチ(1 mm)であった。 実施例II(比較例) 段付きプラークを実施例I に記載のように調製したが、ただし立体障害アミン
安定剤をチバ- ガイギー社のチヌビンTM770(ビス(2,2,6,6- テトラメチル- 4-
ピペリジニル)セバケートとした。 この先行技術組成物および実施例I の本発明の組成物についての曇り度は以下
のとおりである。
【図面の簡単な説明】 【図1】 最も近い先行技術ポリオレフィン組成物を本発明の好ましい組成物の延性と比
較するものである。 【図2】 図1 と同じ組成物を電離線で滅菌後に比較するものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量平均分子量の数平均分子量に対する比が 9以下である分子
    量分布を有する半結晶性ポリオレフィンと、0.6-1.9 g/cm3の密度を有する前記
    ポリオレフィンと相溶性の液体流動化油を0.1-50重量%と、線量1.0-5.0メガラ
    ドのガンマ線又は電子ビーム照射に対する方射線安定剤であって、以下の構造式
    : 【化1】(式中、R は炭素原子数1 〜 6の低級アルキル基であり、R1は水素原子または炭
    素原子数 1〜 6の低級アルキル基であり、m は 2〜4 であり、n は1000 〜3000
    の分子量を添加剤へ与えるのに十分な整数である。) を有する群から選択される放射線安定剤を0.01-5.0重量%とからなり、放射線安
    定剤であるポリシロキサン成分を含まないこと以外は同一である組成物と比較し
    て、改良された延性を有する、組成物。 【請求項2】 20-90 %の結晶含有率と重量平均分子量の数平均分子量に対す
    る比が 9以下である分子量分布を有するポリオレフィンと、0.6-1.9 g/cm3の密
    度を有する前記ポリオレフィンと相溶性の液体流動化油を0.1-50重量%と、線量
    1.0-5.0メガラドのガンマ線又は電子ビーム照射に対する放射線安定剤であって
    以下の構造式: 【化2】 (式中、n は1100〜2500の分子量を前記安定剤へ与えるのに十分な整数である。
    ) を有する群から選択される放射線安定剤を0.01-5.0重量%とからなり、放射線安
    定剤であるポリシロキサン成分を含まないこと以外は同一である組成物と比較し
    て、改良された延性を有する、組成物。 【請求項3】 前記ポリオレフィンがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
    チルペンテンおよびそれらのコポリマーからなる群から選択される請求項2の組
    成物。 【請求項4】 前記流動化油が炭化水素油、フタル酸エステル、ポリマーグリ
    ース、植物油およびシリコーン油からなる群から選択される請求項2の組成物。 【請求項5】 さらに0.005-0.5重量%のジベンジリデンソルビトール透明剤
    を含む請求項2の組成物。 【請求項6】 結晶含有率30-70%を有し重量平均分子量の数平均分子量に対す
    る比が2-4である分子量分布を有するポリプロピレンと、炭化水素油およびフタ
    ル酸エステル油からなる群から選択される殆ど非粘性の液体流動化剤を0.1-50重
    量%、2,4,2',4'-テトラメチル- ジベンジリデンソルビトールを0.005-0.5重量
    %、および線量1.0-5.0メガラドのガンマ線又は電子ビーム照射に対する放射線
    安定剤であって、以下の構造式: 【化3】 (式中、n は1100〜2500の分子量を前記安定剤へ与えるのに十分な整数である。
    ) を有する放射線安定剤を0.01-5.0重量%含み、放射線安定剤であるポリシロキサ
    ン成分を含まないこと以外は同一である組成物と比較して、改良された延性を有
    する、組成物。 【請求項7】 請求項2の組成物からなる医療製品。 【請求項8】 電離線により滅菌された請求項7の製品。 【請求項9】 請求項6の組成物からなる医療製品。 【請求項10】 電離線により滅菌された請求項9の製品。

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