JP2589681B2 - 湯水混合制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は高温湯と水とを混合しシャワーや洗面に、あ
るいは浴槽への湯張り等に使用する適温湯をつくる湯水
混合制御装置に関する。

従来の技術 従来の湯水混合制御装置は、例えば特開昭61−112879
号公報に示されている様に第５図のような構造になって
いた。第７図において水側配管１と湯側配管２の途中に
水側弁３と湯側弁４が取り付けられ、水側駆動部５（例
えばモーター等）及び湯側駆動部６とで弁開度を調節す
る。水側配管１と湯側配管２は合流し一本の混合配管７
となり混合された湯温を検出する感温センサー８が設け
られている。感温センサー８（サーミスタ等）の出力部
は制御部９に接続され、その信号を処理し水側駆動部５
及び湯側駆動部６に操作量を出力する様に接続されてい
る。

次に従来例の構成の動作を説明する。第６図は感温セ
ンサー８の信号と水側駆動部５あるいは湯側駆動部６の
付勢量との関係を示し、又第７図は制御部９の動作を示
すフローチャートである。第７図よりまず設定温度を設
定した後水側駆動部５により水側弁３を初期位置迄開
く。次に制御部９から湯側駆動部６に出力し湯側弁４を
開く。そして混合配管７に設けた感温センサー８により
混合湯温を検出し設定温度と比較する。設定温度と出湯
温度との偏差が±0.5℃の許容範囲外の場合温度偏差の
絶対値に比例した速度で水側弁３を開方向もしくは閉方
向に開度の調節制御を行なう。出湯温度の設定温度に対
する偏差が許容範囲に入れば水側弁３の駆動を停止す
る。第６図は横軸に感温センサー８で検出したサーミス
タ感知温度を、又縦軸に弁開閉速度を（角速度／秒）で
示した図である。

発明が解決しようとする問題点 しかしこの様な湯水混合装置では一度給湯した後長時
間使用しなかったために湯側配管２中の湯温が環境温度
あるいは水温位迄低下していた場合（以後死水と呼
ぶ）、冷却した湯が出湯されつくすと混合配管７から出
湯される温度は設定温度よりはるかにオーバーシュート
した温度の湯が出てくる。これは次の理由による。

即ち湯側弁４には冷却した湯が供給されるので設定温
度に対して出湯温度が大きく低いため、水側弁３の弁開
度を閉止する方向に水側駆動部５により駆動される。こ
の冷却された湯が出つくすと次第に出湯温度が上昇す
る。しかし出湯温度は設定温度に達する迄水側弁３は閉
止方向に調節されるため全閉状態になることもある。出
湯温度が設定温度より越すと水側弁３を開ける方向に調
節し始める。その結果設定温度の弁位置に達する迄に熱
湯が出てしまう。従って利用者がシャワーを浴びようと
して冷えた湯を出つくすのを待ってやって湯温が上がり
始めたので使用すると突然熱湯を浴びたりして非常に危
険で、人体生命に悪影響を及ぼす。

本発明はかかる点に鑑みてなされたもので冷却された
湯を速く出湯させ、さらに供給湯温が急峻に変化しても
設定温度に出湯温度を制御する安全で使い勝手の良い湯
水混合制御装置を提供する。

問題点を解決するための手段 本発明は上記問題を解決するために、湯水の混合比率
を調節する混合手段と、供給水温及び混合湯温を検出す
る混合湯温検出手段と、混合湯温を設定する湯温設定手
段と、前記混合手段に供給される高温水の湯温を予め想
定して設定した供給湯温設定手段と、供給水温と供給湯
温とを設定温度とから混合比率を求める混合比率演算手
段と、温度偏差を求める偏差演算手段と、温度偏差をも
とに混合比率を補正する混合比率補正手段と、補正され
た混合比率をもとに前記混合手段を調節する付勢量設定
手段と、湯側配管の湯温が設定温度以下の低温状態であ
る死水の出湯完了を検出する死水完了検出手段と、混合
湯温が設定温度に達したことを検出する定常状態検出手
段と、前記死水完了検出手段により死水排出を検出した
以降の温度偏差と前記混合手段の調節量との関係を湯量
が減少する方向に前記混合手段を調節する制御規則とし
て記憶する第１の制御規則記憶手段と、前記定常状態検
出手段により混合湯温が設定温度に達したことを検出し
た以降の温度偏差と前記混合手段の調節量との関係を制
御規則として第２の制御規則手段として記憶する第２の
制御規則記憶手段と、前記第１又は第２の制御規則記憶
手段の出力を切りかえる第１の切換手段と、温度偏差信
号と前記第１又は第２の制御規則記憶手段とから推論処
理し前記混合手段の調節量を決定する制御推論手段と、
前記付勢量設定手段もしくは前記制御推論手段の出力部
を切りかえる第２の切換手段とからなる。

作用 給湯開始時供給湯温推定手段と前記湯温設定手段と前
記混合湯温検出手段とから混合比率を求め混合手段を調
節する。この時混合湯温検出手段で検出した混合湯温と
湯温設定手段の設定値との温度偏差をもとに混合比率を
補正し混合手段を調節する。次に冷たい湯の出湯完了を
死水完了検出手段で検出したら第１の切換手段を第１の
制御規則記憶手段に、又第２の切換手段を制御推論手段
に切りかえる。湯温設定手段と混合湯温検出手段とから
求めた温度偏差をもとに第１の制御規則記憶手段の制御
規則を参照し制御推論手段でさらに推論処理を行ない混
合手段の調節方向と調節量の大きさを決定し混合手段を
調節する。そして混合湯温が定常状態検出手段により定
常状態に達したら第２の制御規則記憶手段に切りかえ
る。

このようにして混合手段に冷たい湯が供給されていて
も速く出湯させ、かつ混合湯温に大きなオーバーシュー
トを生じることなく整定させることができ、その後は第
１の制御規則から第２の制御規則に切りかえることによ
り混合湯温を安定に調節できる。

実施例 本発明の一実施例を図面を用いて説明する。第１図と
第４図と同相当物には同一番号を付した。第１図で10は
混合手段で、湯水量の混合比率を調節する。11は混合湯
温検出手段で、供給水温及び混合後の湯温を検出する。
12は湯温設定手段で、混合湯温を設定する。第２図は制
御装置９の一実施例を示すブロック図である。

13は供給湯温設定手段で、供給湯温を推定し、14は混
合比率演算手段で混合湯温検出手段11と湯温設定手段12
と供給湯温推定手段13とから混合比率を求める。15は偏
差演算手段で混合湯温検出手段11と湯温設定手段12とか
ら温度偏差を求める。16は混合比率補正手段で、求めた
温度偏差より混合比率を補正する。17は付勢量設定手段
で、補正された混合比率をもとに混合手段10を調節す
る。18は死水完了検出手段で、混合湯温検出手段11又は
偏差演算手段15の出力信号の傾きで死水の出湯完了を検
出する。19は第１の切換手段、20は第２の切換手段で、
死水完了検出手段18の出力信号により、第１の切換手段
19は第１の制御規則記憶手段21から第２の制御規則記憶
手段22に切りかえ、又第２の切換手段20は付勢量設定手
段17から制御推論手段23に切りかえる。24は定常状態検
出手段で、偏差演算手段15の出力が０もしくは負になる
か、もしくは混合湯温検出手段11と湯温設定手段12とを
比較手段25で比較し、その出力信号で混合湯温が定常状
態に達したのを検出する。

次に本発明の構成の動作を説明する。第３図は本発明
の湯水混合制御装置の動作を示すフローチャートであ
る。まず給湯開始時供給湯温と供給水温と湯温設定値と
から混合比率を求め、付勢量設定手段17を介し混合手段
10を調節する。次に混合湯温検出手段11で出湯温度を検
出し設定温度との温度偏差をなくすために、求めた温度
偏差をもとに混合比率を補正しつつ混合手段10を調節す
る。このことにより死水が混合手段10に供給されていて
も速く出湯することができる。第３図のフローチャート
のP₁、P₂、P₃、P₄、P₅、P₆、P₇になる。

死水完了検出手段18により死水出湯の完了検知をした
ら第１の切換手段19は第１の制御規則記憶手段21の出力
部に設定し、又第２の切換手段は付勢量設定手段17から
制御推論手段23に切りかえる。第１の制御規則記憶手段
21には死水時の温度偏差と混合手段10の調節量との関係
を制御変数を用いて制御規則として記憶されている。第
２の制御規則記憶手段22は定常時の温度偏差と混合手段
10の調節量との関係を制御規則として記憶する。求めた
温度偏差をもとに第１の制御規則記憶手段21の制御規則
を参照し制御推論を行ない混合手段の調節方向及び調節
量の大きさを決定し、混合手段10を調節する。第３図の
フローチャートのP₈、P₉である。

次に混合湯温が設定温度に達したかどうかを定常状態
検出手段24で検出する。これは温度偏差の出力、又は混
合湯温と設定温度を比較手段25で比較しその出力で判定
する。混合湯温が定常状態検出手段24で定常状態になっ
たことを検出すると、第１の切換手段19の第１の制御規
則記憶手段21から第２の制御規則記憶手段22に切りかえ
る。第２の制御規則記憶手段22は混合湯温が設定温度よ
り低い場合湯側を開け（水側を閉め）、設定温度より高
ければ湯側を閉め（水側を開け）るという制御規則であ
る。このことにより死水時出湯温度にオーバーシュート
を生じることなく、又定常状態になれば定常時の制御規
則に切りかえることにより湯温を常に安定的に保つこと
ができる。第４図にその結果を示す。

発明の効果 以上のように本発明の湯水混合制御装置によれば、供
給水温と供給湯温と設定温度とから混合比率演算手段で
混合比率を求め混合手段を調節し、又混合湯温を設定温
度に調節するために、偏差演算手段で温度偏差を求め、
求めた温度偏差から混合比率を補正しつつ混合手段を調
節し、次に死水完了検出手段で死水出湯の完了検出した
ら求めた温度偏差をもとに第１の制御規則記憶手段の制
御規則を参照し制御推論を行ない混合手段の調節量の大
きさ及び調節方向を決定し水側を早く開け同時に湯側を
早く閉めるように混合手段を調節し、さらに混合湯温が
定常状態検出手段により定常状態に達したのかを検出し
たら混合湯温が設定温度より低ければ湯側を開け、逆に
高ければ湯側を閉める方向に混合手段を調節するという
第２の制御規則記憶手段に切りかえることによって、混
合手段に供給される冷たい湯を速く出湯させ、かつ死水
出湯完了後混合湯温が過大なオーバーシュートを生じる
ことなく、定常状態に達すれば定常時の制御規則に切り
かえることにより安定的に混合湯温を制御でき人体生命
を危険な状態にさらすことなく安全で使い勝手のよい効
果を得ている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の湯水混合制御装置のシステ
ム図、第２図は同装置の制御ブロック図、第３図は同装
置の動作を示すフローチャート図、第４図は同装置によ
る制御結果を示す図、第５図は従来の湯水混合制御装置
のシステム図、第６図は同装置の特性図、第７図は同装
置のマローチャート図である。 10……混合手段、11……混合湯温検出手段、12……湯温
設定手段、13……供給湯温推定手段、14……混合比率演
算手段、15……偏差演算手段、16……混合比率補正手
段、17……付勢量設定手段、18……死水完了検出手段、
19……第１の切換手段、20……第２の切換手段、21……
第１の制御規則記憶手段、22……第２の制御規則記憶手
段、23……制御推論手段、24……定常状態検出手段。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高温湯と水との混合比率を調節する混合手
   段と、供給水温及び前記混合手段で混合した後の湯温を
   検出する混合湯温検出手段と、混合湯温を設定する湯温
   設定手段と、前記混合手段に供給する湯温を予め想定し
   て設定した供給湯温推定手段と、前記供給湯温推定手段
   と前記湯温設定手段と前記混合湯温検出手段とから混合
   比率を求める混合比率演算手段と、前記湯温設定手段と
   前記混合湯温検出手段とから温度偏差を求める偏差演算
   手段と、前記偏差演算手段の出力信号で混合比率を補正
   する混合比率補正手段と、前記混合比率補正手段の出力
   信号より前記混合手段を付勢する付勢量設定手段と、湯
   側配管の湯温が設定温度以下の低温状態である死水の出
   湯完了を検出する死水完了検出手段と、混合湯温が設定
   温度に達したことを検出する定常状態検出手段と、前記
   死水完了検出手段により死水排出を検出した以降の温度
   偏差と前記混合手段の調節量との関係を湯量が減少する
   方向に前記混合手段を調節する制御規則として記憶する
   第１の制御規則記憶手段と、前記定常状態検出手段によ
   り混合湯温が設定温度に達したことを検出した以降の温
   度偏差と前記混合手段の調節量との関係を制御規則とし
   て記憶する第２の制御規則記憶手段と、前記死水完了検
   出手段もしくは前記定常状態検出手段の出力信号で前記
   第１及び第２の制御規則記憶手段の出力を切りかえる第
   １の切換手段と、前記偏差演算手段と前記第１あるいは
   第２の制御規則記憶手段とから推論処理し前記混合手段
   の調節量を決定する制御推論手段と、前記死水完了検出
   手段の出力信号で前記付勢量設定手段もしくは前記制御
   推論手段の出力部に切りかえる第２の切換手段とからな
   る湯水混合制御装置。
2. 【請求項２】死水完了検出手段は前記混合湯温検出手段
   又は前記偏差演算手段の出力信号の勾配で死水の出湯完
   了を検出する特許請求の範囲第１項記載の湯水混合制御
   装置。
3. 【請求項３】定常状態検出手段は前記偏差演算手段又は
   前記湯温設定手段と前記混合湯温検出手段とを比較する
   比較手段の出力信号で混合湯温が定常状態に達している
   のを検出する特許請求の範囲第１項記載の湯水混合制御
   装置。