JP2589375B2 - 鋼製セルを使用した堰堤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は火山泥流、土石流などを捕捉・拡散したり
河床の根固めをするための鋼製セルを使用した堰堤に関
するものである。

〔従来技術〕

鋼製セルを使用して火山泥流や土石流などを捕捉・拡
散したり、河床の根固めを行なう堰堤を構築することが
知られている。本件出願人はこのような堰堤として特願
昭60−93291号（特開昭61−250220号）、特願昭60−105
451号（特開昭61−102908号）及び特願昭60−135386号
（特開昭61−294014号）にかかる発明を開示している。

〔この発明が解決すべき課題〕

このような従来の堰堤は、全て複数の鋼製セルを一列
に並べたものである。このような一列の構造であると横
からの衝撃に弱く、土石流などによって流されてしまう
ことがあった。

また鋼製セル内にはコンクリートなどの中詰め材を詰
めるのであるが、コンクリートが打設不可能な場合に土
砂を詰めることがある。この土砂が経年変化によって流
れたり沈下してしまうことがあり、堰堤として充分に機
能しないことがあった。

この発明は以上のような課題を解決するためになされ
たもので、衝撃に対して強く、また堰堤としての性能を
維持するようメンテナンスが可能な鋼製セルを使用した
堰堤を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この発明の請求項１は複数個の円筒状の鋼製セルを中
心軸を垂直にして連続して並べて形成した列を複数列並
べ、隣り合う鋼製セル同士は周面を接するようにし、隣
り合わせた鋼製セルの周壁を貫通させた連結材を固定材
によって固定して鋼製セル同士を連結して全鋼製セルを
一体につなぎ、鋼製セル内に中詰め材を充填したことを
特徴とする。

この発明の請求項２は鋼製セルの上端部の内側には補
剛材を内周面に沿って固定し、内部に充填した中詰め材
上には鋼製セル内部にて昇降可能なように蓋体を載置し
たことを特徴とする。

〔作 用〕

複数列の鋼製セル全体を一体に連結してある。横方向
の衝撃に対しても複数の鋼製セルによって対向するた
め、全体の強度が高い。

鋼製セル内の土砂が経年変化によって流出したり沈下
した場合、土砂の表面と一緒にその上の蓋体が沈む。そ
の上に中詰め材を補充できる。

〔実 施 例〕

以下、図に示す一実施例に基づきこの発明を詳細に説
明する。

図において１は鋼製セルであって、この鋼製セル１を
複数並べて列とし、この列を複数列並べて堰堤Ａとす
る。第１図に示すのは火山泥流を堰止めるために構築し
た堰堤である。

鋼製セル１の上下端部の内側にはアングルリング２を
配してあり、このアングルリング２から複数本の鉄筋３
を放射状に配してセル１の周壁に固定して補強してあ
る。

鋼製セル１は全て隣り合う鋼製セル１同士の周面を接
触させ、連結材であるネジバー４を周壁に貫通させる。
ネジバー４は左右に二本づつ適宜間隔離して貫通し、上
下にも適宜間隔づつ離して複数本貫通する。このネジバ
ー４に固定材であるナット５を螺合して固定する。

鋼製セル１内には中詰め材６を充填する。実施例では
土砂を使用している。

以上のように全体を一体に連結し、必要により鋼製セ
ル１の下部を地中から若干埋設せる。

第６図〜第８図に示す鋼製セル１は、上端部の内周に
補剛材であるＨ型鋼７が固定されている。Ｈ型鋼７は半
円形に屈曲してあり、このＨ型鋼７をボルト・ナット８
によって内周面に沿って固定してある。二本のＨ型鋼７
は周端に固定した添接板９によって連結する。

中詰め材６としては土砂を充填してあり、この上にコ
ンクリート製の蓋体10が載置してある。蓋体10は補剛材
であるＨ型鋼７の内側に載置するだけであり、土砂が沈
下したり沈下して上面が下がった場合、蓋体10も同時に
下がることになる。コンクリート製の蓋体10は円形を四
分割して、その四つによって一組みにしたものである。
蓋体10の厚さは実施例では300mmである。

中詰め材６が下がった場合蓋体10も自重によって下が
り、この蓋体10上にできた空間に中詰め材６を充填すれ
ばよい。

〔発明の効果〕

この発明は以上のような構成を有し、以下のような効
果を得ることができる。

イ 複数列の鋼製セルを互いに連結材にて連結して、全
体を一体として堰堤としたため、横方向からの衝撃にも
強い堰堤となる。

ロ 中詰め材上に蓋体を載置してあるため、中詰め材が
流出したり沈下したとき蓋体も同時に下がり、この上に
中詰め材を補充して堰堤としての性能を保つことができ
る。

蓋体が下がっても補剛材によって鋼製セルの強度を維
持している。

【図面の簡単な説明】

第１図は火山泥流を堰止めるために施工した堰堤の斜視
図、第２図はその側面図、第３図はその平面図、第４図
はその一部平面図、第５図は鋼製セルの一実施例の斜視
図、第６図は鋼製セルの他の実施例の斜視図、第７図は
その一部斜視図、第８図は蓋体上に中詰め材を補充した
状態の斜視図である。 Ａ……堰堤、 １……鋼製セル、２……アングルリング、３……鉄筋、
４……ネジバー、５……ナット、６……中詰め材、７…
…Ｈ型鋼、８……ボルト・ナット、９……添接板、10…
…蓋体。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝見 倉一 長野県松本市大手３―１―１ 住金鋼材 工業株式会社内 (72)発明者 波戸元 達之 東京都中央区八重洲２―２―１ 住金鋼 材工業株式会社内 (72)発明者 東 三郎 北海道札幌市中央区宮の森三条11丁目５ ―15 (56)参考文献 実開 昭63−151531（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭59−45042（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数個の円筒状の鋼製セルを中心軸を垂直
   にして連続して並べて形成した列を複数列並べ、隣り合
   う鋼製セル同士は周面を接するようにし、隣り合わせた
   鋼製セルの周壁を貫通させた連結材を固定材によって固
   定して鋼製セル同士を連結して全鋼製セルを一体につな
   ぎ、鋼製セル内に中詰め材を充填したことを特徴とする
   鋼製セルを使用した堰堤。
2. 【請求項２】鋼製セルの上端部の内側には補剛材を内周
   面に沿って固定し、内部に充填した中詰め材上には鋼製
   セル内部にて昇降可能なように蓋体を載置したことを特
   徴とする請求項（１）記載の鋼製セルを使用した堰堤。