JP2589325B2 - フィルム状熱硬化型接着剤及びその製造方法 - Google Patents

フィルム状熱硬化型接着剤及びその製造方法

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JP2589325B2 JP62271292A JP27129287A JP2589325B2 JP 2589325 B2 JP2589325 B2 JP 2589325B2 JP 62271292 A JP62271292 A JP 62271292A JP 27129287 A JP27129287 A JP 27129287A JP 2589325 B2 JP2589325 B2 JP 2589325B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子部品の組み立て等に使用されるフィルム
状熱硬化型接着剤に関し、特に貯蔵安定性およびフィル
ム化された際の物性に優れるエポキシ樹脂系のフィルム
状熱硬化型接着剤及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
たとえば電子部品の組立て等に使用される接着剤とし
て、フィルム状熱硬化型接着剤が提案されている。従来
のこの種の接着剤としては、エポキシ樹脂系の熱硬化型
接着剤が広く使用されている。このエポキシ樹脂系の熱
硬化型接着剤は接着性,強度,耐蝕性,電気絶縁性に優
れるという特徴を有しているが、その多くは二液型であ
り、取扱性や保存性に問題を有している。そこでこの問
題を解決する技術として、いくつかのエポキシ樹脂組成
物が提案されている。これらはたとえばBF3アミン錯
体,ジシアンジアミド,有機酸ヒドラジド,イミダゾー
ル化合物等の潜在性硬化剤をエポキシ樹脂に配合したも
のである。しかしこれらは、貯蔵安定性に優れるものは
硬化に高温を要し、比較的低温で硬化できるものは貯蔵
安定性に劣るというように一長一短がある。
これをさらに改善するために、エポキシ樹脂とイミダ
ゾール誘導体を反応させ、その生成物の表面部のみをさ
らにイソシアナート化合物で不活性化した一液型のエポ
キシ樹脂組成物が特開昭60−99179号公報に開示されて
いる。エポキシ樹脂とイミダゾール誘導体の反応は、た
とえばビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキ
シ樹脂と2−メチルイミダゾールの反応を例にとると、
次式のように表される。
上式からもわかるように、生成物(I)には水酸基が
存在し、これが樹脂の硬化に寄与している。したがっ
て、水酸基が過剰に存在していると保存中に硬化が起こ
り、フィルム状接着剤としての取り扱い性が著しく損な
われる。
そこで、このエポキシ樹脂組成物を予めイソシアナー
ト化合物を用いて処理し、水酸基の一部をブロックする
ことも提案されている。この反応は、たとえばトリレン
ジイソシアナートを用いた場合、次式のように表され
る。
この反応は通常、生成物(I)を粉末化した後、これ
を溶解しない溶剤中で行われる。したがって、ブロック
される水酸基はエポキシ樹脂組成物(II)の粒子の表面
に存在する分のみである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上述のようにして得られたエポキシ樹脂組成物(II)
は、室温で6ヵ月以上安定に保存することができる。し
かしその一方で耐溶剤性に乏しく、固形エポキシ樹脂、
あるいはウレタン樹脂,アクリル樹脂,フェノキシ樹
脂,ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を配合してフィ
ルム状接着剤を製造しようとする場合、希釈溶剤等を添
加すると40℃において2〜3時間で硬化してしまう。こ
れは、イソシアン基と水酸基との結合によって生じたウ
レタン構造層が膨潤して粒子内部に存在する活性な水酸
基が表面に露出し、エポキシ樹脂と接触して硬化反応が
開始することが原因と考えられる。このような硬化反応
がエポキシ樹脂組成物の塗布前に始まるとエポキシ樹脂
組成物の粘度が増大して取扱い性が悪くなったり、フィ
ルム化後の貯蔵安定性が低下する等の不都合が生ずる。
さらに、従来のエポキシ樹脂系の熱硬化型接着剤は、
樹脂成分としてはエポキシ樹脂を単独に使用しているも
のが多い。このため、フィルム化された場合の強度が不
足してシール抜きやスリット加工を行う際にフィルムの
伸びや割れが発生したり、また剥離紙上へ塗布する際に
塗布ムラや流れが発生する等の問題も生じている。
そこで本発明は、上述の問題点を解決して貯蔵安定性
およびフィルム化された際の物性に優れるフィルム状熱
硬化型接着剤及びその製造方法を提供することを目的と
する。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明にかかるフィルム状熱硬化型接着剤は、上述の
目的を達成するために提案されたものであり、イミダゾ
ール誘導体とエポキシ化合物との反応生成物よりなる粉
末状の硬化剤と、上記硬化剤によって硬化されるエポキ
シ樹脂を含むフィルム形成性樹脂組成物と、上記フィル
ム形成性樹脂組成物を溶解する溶剤とからなる接着剤組
成物が成膜されてなるフィルム状熱硬化型接着剤におい
て、上記硬化剤は、予め上記反応生成物を溶解しない溶
剤中でイソシアナート処理されるとともに、接着剤調整
時に使用され且つこの粉末状の硬化剤を溶解せず膨潤さ
せる溶剤中で、さらにイソシアナート化合物より処理さ
れてなることを特徴とするものである。
また、本発明にかかるフィルム状熱硬化型接着剤の製
造方法は、イミダゾール誘導体とエポキシ化合物との反
応生成物よりなる粉末状の硬化剤に対し、予めこの反応
生成物を溶解しない溶剤中でイソシアナート処理する工
程と、接着剤調整時に使用され且つこの粉末状の硬化剤
を溶解せず膨潤させる溶剤中で、さらにイソシアナート
化合物により処理して硬化剤溶液を調製する工程と、前
記硬化剤溶液にエポキシ樹脂を含むフィルム形成性樹脂
組成物を添加混合して熱硬化型接着剤を調製する工程
と、前記熱硬化型接着剤をフィルム状にする工程とから
なることを特徴とするものである。
上記イミダゾール誘導体とは、たとえばイミダゾール
化合物,イミダゾール化合物のカルボン酸塩,およびイ
ミダゾール化合物とエポキシ化合物の付加物あるいはイ
ミダゾール化合物のカルボン酸塩との付加物を指すもの
である。まず上記イミダゾール化合物としては、次の一
般式 (ただし、R1は水素原子,カルバモイルアルキル基,シ
アノアルキル基,カルボキシアルキル基,ジアミノ−3
−トリアジルアルキル基を示し、好ましくは水素原子で
ある。R2は水素原子,アルキル基,アリール基を示し、
R3は水素原子,アルキル基を示し、R4は水素原子,アル
キル基を示す。)で表される化合物が使用でき、たとえ
ばイミダゾール,2−メチルイミダゾール,2−エチルイミ
ダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,2−イソ
プロピルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−ド
デシルイミダゾール等が挙げられる。好ましくは2−メ
チルイミダゾールである。
また上記イミダゾール化合物のカルボン酸塩として
は、酢酸塩,乳酸塩,サリチル酸塩,安息香酸塩,アジ
ピン酸塩,フタル酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,マレイ
ン酸塩,トリメリト酸塩等が使用できる。
また上記イミダゾール化合物がエポキシ化合物と付加
物を形成する場合、該エポキシ化合物としてはモノエポ
キシ化合物あるいはポリエポキシ化合物のいずれも使用
することができる。モノエポキシ化合物としてはたとえ
ばブチルグリシジルエーテル,ヘキシルグリシジルエー
テル,フェニルグリシジルエーテル,p−キシリルグリシ
ジルエーテル,グリシジルアセテート,グリシジルブチ
レート,グリシジルヘキソエート,グリシジルベンゾエ
ート等が挙げられる。またポリエポキシ化合物として
は、たとえばビスフェノールAのグリシジルエーテル型
エポキシ樹脂,グリセリンのグリシジルエーテル型エポ
キシ樹脂,ポリアルキレンオキシドのグリシジルエーテ
ル型エポキシ樹脂,オキシ安息香酸のグリシジルエステ
ルエーテル型エポキシ樹脂,ダイマー酸のグリシジルエ
ステル型エポキシ樹脂,フェノールノボラックのグリシ
ジルエーテル型エポキシ樹脂,臭素化ビスフェノールA
のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂,ビスフェノール
Fのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂,ポリブタジエ
ンを過酢酸でエポキシ化した脂環型エポキシ樹脂等が挙
げられる。好ましくはビスフェノールAのグリシジルエ
ーテル型エポキシ樹脂である。
上述のようなイミダゾール誘導体とエポキシ化合物と
の反応生成物は、一般に予めイソシアナート化合物で表
面処理され、粉末化されて硬化剤として使用される。し
かしながら、前記イソシアナート化合物による表面処理
だけでは、硬化剤表面の活性水酸器を完全に閉じ込める
ことは難しく、また接着剤の保存時に内部に存在する活
性な水酸基が表面に露出してくる虞れがある。
そこで、本発明においては、前記硬化剤に対して、使
用直前に接着剤を調製し成膜するための溶剤中において
再度イソシアナート化合物を作用させ、表面付近の水酸
基を不活性化する。上記イソシアナート化合物として
は、たとえばフェニルイソシアナート,トリルイソシア
ナート等のモノイソシアナート化合物、テトラメチレン
ジイソシアナート,ヘキサメチレンジイソシアナート,
トリレンジイソシアナート,キシリレンジイソシアナー
ト,ジフェニルメタンジイソシアナート,イソプロピリ
デンシクロヘキシルイソシアナート,リジンイソシアナ
ート,トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロ
パンの付加物,トリレンジイソシアナートとペンタエリ
スリトール付加物,トリレンジイソシアナートとポリエ
チレングリコールの付加物,トリレンジイソシアナート
とポリプロピレングリコールの付加物,ヘキサメチレン
ジイソシアナートとポリエチレンジアジペートのプレポ
リマー等のポリイソシアナート化合物が挙げられる。こ
れらのうち、硬化性の観点からトリレンジイソシアナー
トおよびジフェニルメタンイソシアナートが特に望まし
い。
この際のイソシアナート化合物の使用量は硬化剤100
重量部に対して0.01〜15重量部とする。上記使用量が0.
01重量部未満では溶剤に対する安定性が不足し、また15
重量部より多い場合には加熱時の硬化性が著しく低下す
る。
またこの時の溶剤としては、キシレン,トルエン,シ
クロヘキサン,ヘキサン等の無極性溶剤、あるいは上記
無極性溶剤とメチルエチルケトン,酢酸エチル等の極性
溶剤との混合溶剤を使用することができる。上記混合溶
剤を使用する場合、極性溶剤の混合比は50%以下とする
ことが望ましい。
上記溶剤は、接着剤を調製し成膜するために使用され
る溶剤と同一であるので、イソシアナート処理を行った
後、ただちにこの溶剤系に後述のエポキシ樹脂やフィル
ム形成性樹脂を添加して接着剤組成物を調製することが
できる。しかし、残存するイソシアナート化合物による
影響等を避けたいときには、イソシアナート処理された
硬化剤をいったん上記溶剤系から分離し、改めて新しい
溶剤を添加しても良い。ただしこの場合は、硬化剤を完
全に乾燥させないことが肝要である。
なお、硬化剤としては予めイソシアナート化合物によ
り処理されたものも市販されているのでこれを使用して
も良いが、この場合にも、実際に接着剤を調製し成膜す
るための溶剤系で再度イソシアナート処理を行う必要が
ある。
次に、上記硬化剤により硬化されるエポキシ樹脂とし
ては、前述のイミダゾール誘導体の説明においてポリエ
ポキシ化合物として列挙したものがいずれも使用可能で
ある。
この際の硬化剤の添加量は、エポキシ樹脂100重量部
に対して15〜70重量部であることが望ましく、上記範囲
より硬化剤が少ないとエポキシ樹脂を十分に硬化するこ
とができず、また上記範囲より硬化剤が多いと硬化が過
度に進行してフィルム化された場合の安定性がかえって
低下する。
上記エポキシ樹脂は、さらにその成膜性を改善する目
的で他のフィルム形成性の樹脂と配合されてフィルム形
成性樹脂組成物とされる。このフィルム形成性の樹脂と
しては、ウレタン,ポリエステル,フェノキシ樹脂,ア
クリルゴム,スチレン−ブタジエンゴム(SBR),アク
リロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられ
る。この際のエポキシ樹脂とフィルム形成性の樹脂との
配合比率は、95:5から10:90の範囲で選ばれる。ただ
し、エポキシ樹脂が十分なフィルム形成能を有する場合
(たとえば脂肪族ポリエポキシ樹脂等の場合)には、フ
ィルム形成性樹脂を添加する必要はない。
〔作用〕
本発明においては、イミダゾール誘導体とエポキシ化
合物との反応生成物よりなる粉末状の硬化剤が、実際に
フィルム形成性樹脂組成物を溶解してフィルム状熱硬化
型接着剤を調製するための溶剤中でイソシアナート化合
物により処理される。このとき、上記粉末状の硬化剤は
溶剤中で膨潤し、粒子内部の活性水酸基が表面付近に露
出するが、この活性水酸基は溶剤中に存在するイソシア
ナート化合物により直ちに不活性化されるため、エポキ
シ樹脂を硬化させることがない。したがって、コーティ
ング前に接着剤組成物が増粘・硬化したり、あるいはフ
ィルム化された状態で硬化が進行することもなく、フィ
ルム安定性および取扱い性が向上する。
上述のようなイソシアナート処理は、予めイソシアナ
ート処理され乾燥状態で市販されている硬化剤を購入し
て使用する場合に有効である。それは、予めイソシアナ
ート処理されていても、いったん乾燥されてから再び溶
剤中に投入されると新たな活性水酸基が表面に露出して
くる虞れがあり、これを不活性化する必要が生ずるから
である。
さらに本発明においては、エポキシ樹脂に加えてフィ
ルム形成性の樹脂が配合されているため、エポキシ樹脂
を単独に使用した場合に比べてフィルム強度や塗布性が
改善される。
〔実施例〕
以下、本発明の好適な実施例について実験例にもとづ
いて説明する。
始めに第1の予備実験として、市販の硬化剤をさらに
溶剤中においてイソシアナート化合物により処理した場
合の貯蔵安定性を調べた。本実験では、イミダゾール化
合物とエポキシ化合物との反応生成物の表面をイソシア
ナート化合物で処理した粉末状の硬化剤(商品名:HX360
1,旭化成社製)を使用した。
まず、100gの上記硬化剤HX3601,所定量のトリレンジ
イソシアナート(商品名:B−80,住友バイエルウレタン
社製),およびトルエンを混合し、固形分80%の混合物
を調製した。この混合物をスリーワン・モーターを使用
して常温で30分間、均一になるまで攪拌した。さらに攪
拌を続けながら上記混合物を40℃に加温し、その温度に
24時間保って硬化剤HX3601とトリレンジイソシアナート
B−80を反応させ、硬化剤組成物を調製した。この反応
により、溶剤が添加されたために新たに硬化剤HX3601の
表面に露出してきた活性水酸基が、トリレンジイソシア
ナートB−80により不活性化される。
その後、温度を40℃に保ったままさらに一定時間放置
し、その間の上記硬化剤組成物の性状を観察した。
第1表にこの実験の結果を示す。ここで、トリレンジ
イソシアナートB−80の添加量は0.005g,3g,18gの3段
階とし、添加量の違いと貯蔵安定性との関係を調べた。
また比較のため、トリレンジイソシアナートB−80によ
り処理しなかった硬化剤HX3601の結果も併せて示す。
なお、表中の○印は上記硬化剤組成物が流動性を保っ
ていることを示し、また×印は上記硬化剤組成物が硬化
したことを示す。
第1表をみると、トリレンジイソシアナートB−80を
3gあるいは18g添加した硬化剤組成物が貯蔵安定性に優
れている。しかし、トリレンジイソシアナートB−80を
3g添加したものは170℃に加熱した場合約15分で硬化す
るのに対し、18g添加したものは硬化時間が延長するこ
とがわかった。またトリレンジイソシアナートB−80を
0.005g添加したものは、全く添加しなかったものに比べ
るとやや貯蔵安定性に優れるものの、40℃において12時
間放置した時点で硬化し、表面の水酸基が十分に不活性
化されていないことがわかった。
次に第2の予備実験として、上述のようなイソシアナ
ート処理を行った硬化剤が実際にエポキシ樹脂と配合さ
れ、フィルム化された場合の安定性を調べた。本実験で
使用したイソシアナート化合物は上述のトリレンジイソ
シアナートB−80とトリイソシアナート(商品名:T−10
0,東レ社製)である。またエポキシ樹脂としては、ビス
フェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:エピコート
1007,油化シェル社製)およびビスフェノールA型固形
エポキシ樹脂(商品名:エピコート828,油化シェル社
製)を使用した。
まず、100gの上記硬化剤HX3601と3gのトリレンジイソ
シアナートB−80あるいはトリイソシアナートT−100
を混合し、さらにトルエンを添加して固形分80%の混合
物を調製した。この混合物を前述の方法にしたがって反
応させ、各硬化剤組成物を調製した。
上記硬化剤組成物に上記液状エポキシ樹脂エピコート
1007および固形エポキシ樹脂エピコート828を添加して
接着剤組成物を調製し、30℃で24時間エージングを行っ
た後、塗布してフィルム状接着剤(I)および(II)を
調製した。また比較として、イソシアナート処理を行わ
なかった硬化剤組成物を使用して同様にフィルム状接着
剤(III)を調製した。これら各フィルム状接着剤にお
ける成分比は第2表に示すとおりである。数字はすべて
重量部を表す。
さらに、これらのフィルム状接着剤(I)〜(III)
を40℃で所定の日数放置し、フィルム安定性を検討し
た。
第3表にこの実験の結果を示す。ここで、フィルム安
定性は、40℃における放置開始後0日目,5日目,10日目,
15日目,30日目における各フィルムのメチルエチルケト
ンに対する溶解性をもって判定し、溶解するものを○
印、既に硬化が進行しており溶解しないものを×印で表
した。
さらにエージングを行わなかった場合の安定性も比較
検討するため、上記各フィルム状接着剤(I)〜(II
I)を調製後、直ちに40℃において放置し、上述と同様
の日数が経過するたびにフィルムの安定性を観察した。
この結果も併せて第3表に示す。
この表をみると、フィルム状接着剤(I)およびフィ
ルム状接着剤(II)ではエージングの有無にかかわらず
観察期間の全般にわたって良好なフィルム安定性が保た
れている。一方、硬化剤組成物がイソシアナート化合物
で処理されていないフィルム状接着剤(III)では、エ
ージングを行わなかった場合には15日目から安定性の劣
化が始まり、この日数はエージングを行った場合に一層
早まることがわかる。これは、硬化剤の粉末が溶剤中で
膨潤した際に露出した水酸基をブロックするイソシアナ
ート化合物が存在しなかったために、フィルム化された
状態で放置される間に硬化反応が進行したことを示して
いる。このようにフィルム化された状態で既に硬化が進
行していると、最終的に加熱により硬化される際に接着
剤としての機能を果たさなくなる。
以上の予備実験により、硬化剤組成物およびフィルム
状接着剤におけるイソシアナート処理の硬化が確認され
た。本発明では、上述のような硬化剤組成物およびエポ
キシ樹脂の他に、フィルム化された際の物性を改善する
ためにさらにフィルム形成性樹脂を添加することが特徴
となっている。以下に、本発明にかかるフィルム状熱硬
化型接着剤の実施例について説明する。
実施例1〜実施例12 本実施例においては、6種類のエポキシ樹脂,5種類の
フィルム形成性樹脂,およびトリレンジイソシアナート
B−80による処理を行った硬化剤HX3601を適宜組合わせ
て各熱硬化型接着剤組成物を調製し、これを前述の条件
によるエージングを経て、あるいは経ずにコーティング
し、フィルム化してフィルム状熱硬化型接着剤を調製し
た。これら各フィルム状熱硬化型接着剤の組成は、第4
表に示すとおりである。表中の数字はすべて重量部を表
す。
なおこの表には、後述の比較例1〜比較例9にかかる
組成も併せて示してある。
次に、これらの各フィルム状熱硬化型接着剤につい
て、170℃でプレス硬化を行った際の硬化時間(メチル
エチルケトンに対する不溶分が90%以上となる時間
〔秒〕)、エージングを経ないで調製されたフィルム状
熱硬化型接着剤の40℃におけるフィルム安定性(日)、
エージングを経て調製されたフィルム状熱硬化型接着剤
の40℃におけるフィルム安定性(日)、シール抜き性、
コーティング性を評価した。これらの結果を第5表に示
す。
表中、シール抜き性の欄の○印は良好なシール抜きが
行えること、また×印は強度の不足によりフィルムが切
れることをそれぞれ表す。
またコーティング性の欄の○印は剥離紙に対する密着
性に優れていること、また×印は塗布ムラや流れが発生
することをそれぞれ表す。
なおこの表には、後述の比較例1〜比較例9にかかる
特性も併せて示してある。
比較例1〜9 本比較例は、硬化剤組成物,エポキシ樹脂,フィルム
形成性樹脂のいずれかが含まれないか、いずれかの配合
量が不適当であるか、あるいは硬化剤組成物がイソシア
ナート処理されていない場合の例である。各比較例にお
いて調製されるフィルム状熱硬化型接着剤の組成は、前
述の第4表に併せて示したとおりである。
またこれらの各フィルム状熱硬化型接着剤について同
様の評価を行った。結果は第5表に併せて示したとおり
である。
なお、硬化時間の欄に横線を記したものは硬化しなか
ったことを、またフィルム安定性(エージングあり)の
欄に横線を記したものはコーティングが不可能であった
ことをそれぞれ表す。
これら実施例1〜実施例12、および比較例1〜9につ
いてまとめて考察する。
まず、実施例はいずれも早い硬化時間と良好なフィル
ム安定性,シール抜き性およびコーティング性を示し
た。ここで、フィルム安定性はいずれも30日と記載され
ているが、これは観察期間の上限を示したものであっ
て、フィルム安定性の上限を示すものでないことは言う
までもない。
なお、実施例5ではフィルム形成性樹脂が使用されて
いないが、これはエポキシ樹脂として使用されているデ
ィナコール614がフィルム形成性樹脂の機能も兼ねてい
るからである。
これに対し、比較例はいずれも何らかの問題点を有し
ている。
まず、比較例1〜4は実施例1と同じエポキシ樹脂組
成およびフィルム形成樹脂組成を有しているため、シー
ル抜き性とコーティング性にはいずれも優れている。し
かし、硬化剤組成物がイソシアナート処理されていない
ために、たとえば比較例1ではエージングを経た場合の
フィルム安定性が低下し、比較例2ではエージングの有
無にかかわらずフィルム安定性が低下している。さらに
比較例3および比較例4では使用されている硬化剤組成
物が従来用いられているタイプの化合物であり、フィル
ム安定性が低下するほか、硬化時間が大幅に延長してお
り、特に比較例4においてはエージングを行った後には
コーティングすら不可能である。
比較例5および比較例6は、組成的には問題はないが
硬化剤組成物の含有量が不適当である例である。本発明
においては、エポキシ樹脂100重量部に対して硬化剤組
成物15〜70重量部を含有量の適正範囲としているが、比
較例5においては上記範囲よりも低いために170℃にお
けるプレスによっても硬化が起こらず、シール抜き性に
も劣っている。また比較例6においては上記範囲よりも
高いために、プレス以前に硬化が進行しすぎている。
比較例7ではイソシアナート処理された硬化剤組成物
が適正量使用されているにもかかわらず、フィルム形成
性樹脂が含有されないため、シール抜き性とコーティン
グ性が劣化している。
比較例8ではフィルム形成性樹脂の含有量が少なすぎ
るために、シール抜き性が劣化している。
比較例9ではエポキシ樹脂の含有量が少なすぎるため
に、硬化が起こらない。
〔発明の効果〕
以上の説明からも明らかなように、本発明にかかるフ
ィルム状熱硬化型接着剤及びその製造方法においては、
イミダゾール誘導体とエポキシ化合物との反応生成物を
予めイソシアナート化合物により表面処理した粉末状の
硬化剤を、実際に接着剤を調製するための溶剤中で再度
イソシアナート化合物を用いて処理することにより、硬
化剤の表面付近の活性水酸基が完全に不活性化され、ま
た接着剤保存時等に内部に存在する水酸基が表面に露出
してくることもない。これにより、上記硬化剤の単独で
の貯蔵安定性が向上するのみならず、エポキシ樹脂およ
びフィルム形成性樹脂と混合されて熱硬化型接着剤組成
物とされた際の貯蔵安定性、およびコーティングにより
フィルム状熱硬化型接着剤とされた際のフィルム安定性
が大幅に向上する。
さらに本発明においては、エポキシ樹脂を単独で使用
する代わりに、フィルム形成性に優れた他の樹脂を混合
することにより、フィルム化された際のシール抜き性や
コーティング性が改善される。
したがって、取扱い性および経済性に優れるフィルム
状熱硬化型接着剤の提供が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 幸男 東京都中央区日本橋室町1丁目6番3号 ソニーケミカル株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−141083(JP,A) 特開 昭61−268723(JP,A) 特開 昭59−27914(JP,A) 特開 昭58−83023(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イミダゾール誘導体とエポキシ化合物との
    反応生成物よりなる粉末状の硬化剤と、 上記硬化剤によって硬化されるエポキシ樹脂を含むフィ
    ルム形成性樹脂組成物と、 上記フィルム形成性樹脂組成物を溶解する溶剤とからな
    る接着剤組成物が成膜されてなるフィルム状熱硬化型接
    着剤において、 上記硬化剤は、予め上記反応生成物を溶解しない溶剤中
    でイソシアナート処理されるとともに、 接着剤調整時に使用され且つこの粉末状の硬化剤を溶解
    せず膨潤させる溶剤中で、さらにイソシアナート化合物
    により処理されてなることを特徴とするフィルム状熱硬
    化型接着剤。
  2. 【請求項2】硬化剤100重量部に対し、イソシアナート
    化合物の配合量が0.01〜15重量部、 エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤の配合量が1
    5〜70重量、 前記エポキシ樹脂を含むフィルム形成性樹脂組成物にお
    いて、エポキシ樹脂とその他のフィルム形成性樹脂との
    重量比が、95:5〜10:90、 であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のフ
    ィルム状熱硬化接着剤。
  3. 【請求項3】イミダゾール誘導体とエポキシ化合物との
    反応生成物よりなる粉末状の硬化剤に対し、予めこの反
    応生成物を溶解しない溶剤中でイソシアナート処理する
    工程と、 接着剤調整時に使用され且つこの粉末状の硬化剤を溶解
    せず膨潤させる溶剤中で、さらにイソシアナート化合物
    により処理して硬化剤溶液を調製する工程と、 前記硬化剤溶液にエポキシ樹脂を含むフィルム形成性樹
    脂組成物を添加混合して熱硬化型接着剤を調製する工程
    と、 前記熱硬化型接着剤をフィルム状にする工程と、 からなるフィルム状熱硬化型接着剤の製造方法。
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