JP2588898B2 - ガラス製磁気ディスク基板の製造方法 - Google Patents

ガラス製磁気ディスク基板の製造方法

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雄三 村山
徹 伊勢田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はガラス製磁気ディスク基板の製造方法に関す
るものである。
[従来の技術] 一般にガラスは表面の平滑性に優れ、硬く、変形抵抗
が大きくかつ表面欠陥が少ない等の理由から高密度化に
適した磁気ディスク用基板として注目されている(特開
昭49−122707号、特開昭52−18002号)。
しかしながら耐CSS(コンタクト・スタート・ストッ
プ)性及びヘッドスティック性に対してはガラスの鏡面
性が優れているが故にガラス基板を用いた磁気記録媒体
は、他の平滑性の劣る基板を用いた磁気記録媒体に比
べ、ヘッドと記録媒体の接触面積が増大するため摩擦抵
抗の増加や凝着力の増大を招くことから問題があった。
これらの問題を解決するため従来から磁気ディスクと
磁気ヘッドを損傷から保護するために磁気ディスクの表
面を粗面にすることが行なわれておりラッピングテープ
などを用いてその粗面の形成が行なわれている(特開昭
54−23508号、特開昭55−117741号、特開昭56−130834
号)。
又、化学エッチングによりガラス基板表面を粗面化す
る方法も提案されている(特開昭60−138035号、特願昭
61−239249号)。
この他、ガラス基板として安価なソーダライムガラス
を用いた場合、磁性膜のピンホール部あるいは膜の形成
されていない部分のようなガラスが露出した部分から高
温多湿環境下においてNa+イオンが溶出し、これが引き
金となって磁性膜が腐食されることを最近見出した。こ
の腐食の問題は、機械的な方法で表面を粗面化したもの
には特に顕著であった。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明はガラス製磁気ディスク基板のもつ前述した耐
CSS特性及びヘッドスティック性といった問題点ならび
にソーダライムガラスのようなアルカリ溶出の容易なガ
ラスによる磁性膜性能の劣化といった問題点を併せて解
決せんとするものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明は前述の問題点を解決すべくなされたものであ
り、金属アルコキシド溶液を加水分解、縮重合して作ら
れたゾル溶液中に、1次粒径が50〜500Åの範囲にある
無機質の微粒子を分散させたコーティング溶液をガラス
基板の表面にコーティングし、150〜500℃の温度で焼成
し、300〜3000Åの厚さであって、表面粗さの最大高さ
(Rmax)が、基準長さ250μmにおいて700Å以下であ
り、かつ基準長さ50μmの任意の箇所において50Å以上
である微小な表面凹凸が均一に設けられた非晶質のコー
ティング層を形成することを特徴とするガラス製磁気デ
ィスク基板の製造方法である。
第1図は本発明の方法により製造したガラス製磁気デ
ィスク基板の主面に垂直な断面図である。前記ガラス製
磁気ディスク基板はガラス基板1と該ガラス基板1の上
に設けられた表面に均一な微小な凹凸3を有するコーテ
ィング層2から構成される。
ガラス基板はソーダライムシリカガラスの他、これを
化学強化したもの、低アルカリガラス、各種結晶化ガラ
ス等が使用できるが、価格の点からソーダライムガラス
が好ましく、機械的強度を要求される場合は化学強化し
たソーダライムガラスが好ましい。
本発明における非晶質のコーティング層の構成要素で
ある無機質の微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタ
ニアなどを用いることができる。ガラス基板を傷つけな
いためには、このなかで比較的軟らかいシリカ、アルミ
ナが好ましい。これら無機質の微粒子の1次粒径は50〜
500Åの範囲にある。ここで1次粒径とは、粒子の最小
基本単位であるところの1次粒子の粒径をいう。
上記コーティング層は、金属のアルコキシド溶液を加
水分解、縮重合してつくったゾル液中に上記シリカ、ア
ルミナ、チタニアなどの微粒子を分散させた液をガラス
表面にコーティングし、焼成することにより得られる。
金属アルコキシドとしてはメチルシリケート、エチル
シリケート、エチルチタネートなどが使用でき、水、ア
ルコール、酸、触媒の使用も有効である。コーティング
の方法はスプレイ法、浸漬・引き上げ法あるいはスピン
コート法が適用できる。コーティング層の均一な微小凹
凸形成は、予めコーティング液に1次粒径50〜500Åの
無機質の微粒子を均一に分散させておけばよい。凹凸の
適正形状としては再生ノイズに大きな影響を与えること
なくヘッドを記録媒体の摩擦軽減効果によりCSS特性を
改善できる理由から前記凹凸からなる表面粗さの最大高
さ(Rmax)が基準長さ250μmにおいて700Å以下であ
り、かつ基準長さ50μmの任意の個所において50Å以上
であることが望ましい。更に、基準長さ10μmの任意の
個所において50Å以上であることが望ましい。かかる表
面粗さを得るために前記無機質の微粒子の一次粒径が50
〜500Åの範囲にあることが好ましい。
この凹凸からなる表面粗さは、JIS B 0601−1982に基
づき、触針式表面粗さ計を用い半径2.5μmの触針で、
触針が被測定物表面に対して十分追従し得る速度で走査
することにより測定されるものとする。
コーティング層の厚さは300〜3000Å好ましくは700〜
2000Åとすることがアルカリバリアーとしての効果、コ
ーティング層のクラック防止や本発明のディスク基板表
面の平面度の悪化防止の点から好ましい。
コーティング層の焼成温度は150℃以上、好ましくは1
50℃〜500℃、特に好ましくは250〜450℃とすることが
表面硬度を高める上からあるいはガラスの変形防止、表
面粗度、凹凸形状の保持の点から、また強化ガラスの場
合は加熱による強化層の応力緩和低減の点から望まし
い。
[作用] 本発明によるガラス製磁気ディスク基板上に連続磁性
薄膜を形成して得られた磁気ディスクは摩擦係数が小さ
く、CSSテストによる耐久テストにおいても磁気ヘッド
の損傷が無く、高温多湿テストを行なっても膜の変色・
腐食は認められない。
これらは無機質の微粒子を分散して形成したコーティ
ング層の表面の凹凸が摩擦力を軽減させ、またコーティ
ング層自身がアルカリバリアー層として働いているため
と推定される。
[実施例] エチルシリケートを加水分解、縮重合して作ったコー
ト液に1次粒子の平均粒径120Åのシリカの微粒子を0.2
重量%混合、分散させた。
外径130mm、内径40mm、厚さ1,905mmのソーダライムガ
ラスの円板を上記の液に浸漬後34cm/minの速度で垂直に
引上げて表面に均一な凹凸を有する厚さ1000Åのコーテ
ィング層を形成させた。
これを自然乾燥後、ダストのないクリーンな状態で30
0℃で1時間焼成したのち磁性膜と保護膜をスパッタ法
で形成した。磁性膜は厚さ1500ÅのCr下地層と厚さ600
ÅのCo−Ni層から成り保護層は厚さ300Åのカーボンか
ら成る。更に浸漬法によりパーフロロポリエーテルから
成る潤滑剤を前記保護膜の上に被覆した こうして得られた磁気ディスクを80℃、90%RHの条件
で1000時間耐湿テストを行なったが外観的な変化だけで
なくサーティファイヤによる欠点検出においても欠点の
増加は全く認められなかった。また薄膜磁気ヘッドを用
いて摩擦力の測定とCSSテストを行なったが、静止摩擦
係数は初期で0.2以下、CSSテスト3万回後で0.5以下で
あった。
[発明の効果] 本発明のガラス基板を用いた磁気ディスクは、ガラス
のNa+イオンの溶出防止効果をもつことにより優れた耐
食性を有し、高温多湿な環境下での使用が可能となる。
またヘッドとの摩擦力も低くCSS方式の磁気ディスク
装置において長期間の耐久性を有する。
またガラスを基板とすることにより軽量化、薄板化が
可能となる。またそれらにより小型電池による駆動が実
現できポータブル化が容易となる。
さらに従来摩擦力低減のための表面の粗面化及びアル
カリバリアー層形成の2つの工程が必要とされていた
が、本発明によれば表面の粗面化とアルカリバリアー層
形成が同時になされるため生産性が向上するなどの経済
的効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるガラス製磁気ディスク基板の一実
施例の基板主面に垂直な断面図である。 1……ガラス基板 2……コーティング層 3……微小な凹凸

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属アルコキシド溶液を加水分解、縮重合
    して作られたゾル溶液中に、1次粒径が50〜500Åの範
    囲にある無機質の微粒子を分散させたコーティング溶液
    をガラス基板の表面にコーティングし、150〜500℃の温
    度で焼成し、300〜3000Åの厚さであって、表面粗さの
    最大高さ(Rmax)が、基準長さ250μmにおいて700Å以
    下であり、かつ基準長さ50μmの任意の箇所において50
    Å以上である微小な表面凹凸が均一に設けられた非晶質
    のコーティング層を形成することを特徴とするガラス製
    磁気ディスク基板の製造方法。
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